2018年3月アーカイブ
2018年3月 5日 08:33 (瀬口 正晴)挨拶文
今年度より日本穀物科学研究会会長(3期目)となりました。以下その挨拶文です。
平成26年から4年間の会長職の後、本年よりさらに2年間会長職を勤めることになりました。よろしくお願い申し上げます。その間、本会は40周年記念事業(平成27年2月)を行い、さらに発展いたして参りました。皆様の本会をもり立てる意欲の賜物でありました。厚く感謝申し上げます。
日本の食糧事情、特に穀物関係は、順調に推移してまいりました。すざましい世界の人口増加に伴う食料供給問題は、平和に満たされた我が国とは別次元の大きな問題です。日本穀物科学研究会はその目標、世界の食糧問題解決への貢献ということもあります。世界の穀物状況の変化を掴むのにアメリカ穀物科学者研究会(AACCI)の動きに関心を向け、メールに流れるAACCI年次大会のシンポジウムなどもウオッチしながら世界の動向に貢献しようと努めて参りました。AACCIの動きは小麦を中心とする流れだけでは押しとどまらず、小麦以外の穀物、米、トウモロコシ、雑穀、さらに豆類へと触手をのばし、特に豆類のタンパク質へと向かってます。
豆類は世界中でその種類が非常に多く、豆タンパク質は人類への栄養源として重要なものでしょう。しかし豆類の淡白な味、たべ方などはなかなか容易ではありません。大豆などは堅すぎてそのままでは食べられません。欧米人は大豆のことを油を絞る材料であって食べるものではないと思ってます。アジア人の長い歴史の中でこの大豆を豆腐、湯葉、納豆にしておいしく食べているし、小豆なども餡として上手に食べています。欧米のアジア食への関心はこういうところにもあるのでしょう。日本穀物科学研究会は、これからAACCIなどに向かってアジア人の長い歴史の中で培ってきた食品加工技術面も紹介しながら、飢える人々への手助けをする時代に到っているのではないでしょうか。
AACCIではこの数年来、小麦、大麦、ライ麦等のグルテンタンパク質への関心が大きく向けられてきました。70%アルコール可溶タンパク質(prolamins)とセリアック病(CD)の問題、さらにグルテンフリー食品のことへと世界の関心は向けられています。これらのタンパク質中のグルタミン、プロリン等のエピトープ(例えばFSQPQQQFPQP)によるCDには、治療法としてグルテンフリー食品しかないのです。食べにくいグルテンフリー食が、次第に良質なものへと変わってきました。と同時に医者からグルテン禁止されてない人も食べるヒトが増えているのです。グルテンフリー食は、健康人の食生活にも入り込んできているのです。わが国も同様です。高温多湿に生活する日本人の大好きな粘り食品など、グルテン独特の粘弾性に置き換わるいい食材になるのではないか、本会が世界食料問題への一貢献の出来る糸口になればと願っている次第です。
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