2023年5月アーカイブ
2023年5月18日 10:13 ( )比叡山一日回峰記
2023年5月6−7日、比叡山、延暦寺会館からの一日回峰行(30km)に参加した。一日回峰は、最も高いところ700−800mの高さの峰々を歩き、日吉大社の坂本迄下リ、再び延暦寺まで帰る行程。当日は雨と予報されていたが、自宅出発時には雨はなかった。合羽、傘は準備し、靴も登山用の靴を用意した。他はいつもの琵琶湖歩行の簡単なバッグを用いて参加した。六地蔵から山科まで地下鉄、山科から坂本まではJR(240円)で向かう。JR比叡山坂本駅から坂本ケーブルまで20分程歩く。暑いぐらいだった。途中、車のついたバッグをひきずる、頭もそった男がいた。やはり参加者であろうと思われた。ケーブルの駅まで行くと丁度出発した後で、次は30分後とのこと。ここで暫く待つ。ケーブルは2025m,11分間との事。かなり急激な傾斜を一気に頂上迄上がる。眼下には琵琶湖が広がる。4時が比叡山会館、受付だがケーブルは3時すぎには頂上へ着いた。そこから歩いて10分ぐらいか。比叡山会館の建物に着く少し前には雨がふリ始めバッグより傘を取り出し、傘をさしながら会場まで向かう。
会場では2−3人が受付中だった。予約番号4155で,カードを使って17000円支払う。同時に名前の書かれた大きな封筒を渡された。一端と言う名前の大部屋に向かう。既に布団が多く敷かれ,何人かの参加者は既に部屋にいた。何れも坊さんの様な人々でハイキングの人々とは違う感じだった。空いている隣の布団に後からきた若い人も、何かおとなしそうなこのツアーに関心のありそうなヒトだった。20人ぐらいの大部屋だった。この建物は新しく、清潔な感じのホテルのような建物だった。持って来たバッグのひもが外れそうだったので、糸と針を事務所から借りて修復した。5時には別室で説明案内があるとの事。移動する。既に殆どのヒト、40名程か。座布団の席に着席する。
僧侶が何やら説明するがその内容は聞き取れなかった。その後,ビデオで回峰行の説明があり,さらに係のものから細かな今夜の行動の説明があった。その後,6時から夕食が2階の食堂であり、食前,食後の作法の仕方、その意味などの説明があり、なるほどと感じた。食事内容は精進料理(精進懐石膳)であった。豆乳鍋,ゴマ豆腐,くみあげ豆腐,ほぼ湯葉料理が中心、さらに何か芋様なモノもあり、贅沢な精進料理だった。隣席は女性で,参加者の半分ぐらいは女性,年配者もいた。食後,ホテル並みの清潔な大浴場に入り、費用17,000円はやはり高級ホテルの様な感じがした。部屋に戻り,横になり仮眠となる。部屋は9時頃迄は明るくて寝付けない。横になるだけで体を休めると言う感じ。その後、灯が小さくなり1時には起きようと目をつむる。12時半、トイレに行き、その後眠れない。1時すぎに全員が動きだし,小生も起きて衣類を着服する。
外はひどい雨である。1時48分、ホールに集合,名前のチェックがあり,全員集合する。全員雨合羽,完全な雨具服装で集合する。軽く体操,ストレッチ後に2時には外へ出る。ひどい雨だが何とかなるだろう。靴も登山靴で何とかなるだろう。体力も大丈夫だろうと。先達の二人の行者について歩きは1列あるいは2列,2時,雨中暗闇を進み,東塔地域の幾つかの寺,根本中堂,大講堂,戒壇院,浄土院を巡り、まず手元の"おつとめ"般若心教を読んだが、般若心教はそらで唱えられる。その後、山にはいる。真っ暗な中,懐中電灯を片手にもって足元を照らして歩く。行者のスピードはかなり早い。走るようだ。道は雨水のたまっている所をよけながら乾いたところを探して歩く様になる。かつて1年前には日中を歩いた道の記憶がありその道を感じながら、前を追う。山道に入ると完全に真っ暗でひどい雨の中を,途中の石仏(33カ所あった)にはパン、パンと手をたたき合掌しながらすすめ、先達者の雨中でたたく手の大きな音は尋常ではなく、真似するがあの様な大きな音は出ない。懐中電灯の明かりの足元をたよりに歩く。道にはだんだん雨水がたまり、その部分は光で明るく、それ以外は草のかたまった暗い部分、そちらを前者は選んで歩くのでそれを真似て歩く。水がないので歩きやすい。しかし道は細く,棒切や石ころなどよく光で照らさないと歩き難い。こけない様に注意深く歩く。完全な深夜で,周辺の太い木々は真っ黒,僅かな明かりでトンネルを歩くような錯覚を覚える。前の白装束の行者は濡れっぱなし,剃り上げた頭には容赦なく雨がかかる。二人目のヒトは足に草履に様なものをはき,水のあるところもそのままどんどん入って歩く。手は後ろで結んでいる。道は上がり下りの繰り返しで,細い道はすぐ横が谷底の様なところもある。
西塔にきたが,にない堂,釈迦堂がどこなのかは暗くて不明,寺の軒下の雨の少ないところに集まり般若心教を読む。雨の中を歩く。懐中電灯の明かりで時計を見ると時間は3時30分ごろか、1時間30分ぐらい歩いたか。まだ真っ暗,半分ぐらい来たかと先達に聞くとまだまだだとのこと。
さらに同じ様に歩行を続け途中何度か石仏に向かって手をたたいて拝みながら進む。先導の行者の拍手音が大きいのに感心する。玉体杉か?4時ゴロには雨の中、空が多少明かるくなるのに気付く。これから山を降り始める。大きな石があるから気をつけて,谷には落ちるなと注意があった。30-40名は全員ついて来ている。1列,かなりスピードは早い,ついて来れないと一人になリ,真っ暗な中一人になると大変と、多分塊になっているのだろう。あるところで反対方向から数名のヒト,頭にライトをつけた男女と行き違う。この行者らに道を譲れとの事であった。途中広いところ、暗中、車が止まっており僧侶から麦茶が出た。横川,横川中堂,恵心堂いうところか。
下りの道、これは昨年も爪先が痛くて苦労したところ、そんな事が頭をよぎる。ここを下ればあとはしまいと言う日吉大社というところか?長い長い下りの坂,石階段で石と石のはばが広い下りの坂。登山靴は24CMできつく、下りは足の指の先端にかかる力が大きい。歩く度にずしんずしんと来る。両足をまっすぐ前に向けて歩けない,横に爪先を向けて爪先に力がかからない様にして苦労して降りる。長い下山,どんどん追い抜かれてゆく。やっと着いたら最も後だった。後には若い僧侶が数名サポートしている。平地に出た。又、麦茶をのむ。A,Bグループを確認された。Aはそのまま上に登る,Bはここからケーブルで登る。一人だけ男性がBを選んだ。小生ははじめからAだったのでそのまま、しかしこの痛い爪先で登れるかどうか心配であった。のぼりだから爪先は大丈夫だろうと、一度登った事があるのでそのままAとした。トイレに行き、もどると全員揃っ揃って待っていてくれた。雨天のため,本来のコース,無動谷寺方面ではなく日吉大社から東塔,延暦寺会館までの最短コース,本坂に変更して登ると言う。急激な坂を一気に登ると言う。雨は厳しく,全員ストック(トレッキングポール)を持っているが、小生はストックがない。足も痛い、準備が悪かったがこのままゆっくりと登る。
7時頃か,登り始める。体中汗と雨水でびっしょり,Gパンは下着のももしきとともに水でぐじょぐじょで足に張り付いている。登り難い、足が滑る、歩き難い。途中棒切れをストックがわりに拾おうとして,体をかがめたら、立ち上がれず後ろに倒れそうになる。若い僧侶が両手で両肩を押し止めててくれた。歩行の足幅を狭くし、1から30までカウントしながら歩く。途中後ろの僧侶から太いドロだらけの棒切れをストック代わりにと手渡された。これで楽になった。これを使って登ったがしまいにそれが重くなったので,軽いのを土中から探してこれを拾って,ストック代わりにして坂を上った。途中先導グループは何度か立ち止まり小生を待ってくれていた。その繰り返しであった。大きな壁の様な坂にまで来た。これが最後の坂だと言われ、長い大きな壁のような坂をフーフー言って登った。登りきったら、出発した延暦寺会館玄関の裏手だった。上から今登って来た下を見ると、急激な坂でびっくりした。よく登って来たものだと思った。ドロだらけのストックがわりの棒切れを若い僧侶にかえした。
8時にはふらふらになり,部屋に戻り,すぐに合羽を に脱ぎ、風呂に行く。ズボンが濡れていて足からなかなか抜けない。何とか裸になり風呂に入り、足腰を手でもんで、頭の上から湯をかけて汗を流す。風呂から上がり、何も食べてないので、もらった白いおむすび、味おむすび,沢庵2個,スポーツドリンクとともに体に流し込む。これがエネルギー源になる。帰宅せねばと、しゃがんでズボンを履こうとするがなかなか履けずに苦労した。立ち上がろうとするが立ち上がれない。両足太ももに痙攣が来そうで慌てる。帰れないのではと心配したが、両手で足を揉むと,痙攣は収まり何とかなろう。帰宅できない程ではない。心配したが大丈夫であった。雨はひどく、外は寒い。着替えの下着は部屋に置きぱなしだったので濡れなかったが、濡れたズボン、上着で体は寒く心配になる。ケーブルまで歩いて、あたたかな缶コーヒーをのみ、ケーブル、バスを使ってJR坂本までもどりそのまま帰宅した。10--11時には自宅にもどった。
40名程の中、小生が最も最後の到着で情けない。準備不足だったせいもあろう。下山の為に靴のサイズ,24cmは駄目で25cmは必要。1年前もこの靴で同様の苦労をこの日吉大社で味わったはずだ。帰宅後親指,小指のツメが充血した。相当の力がかかったのだろう。ストックの準備が必要だ。中には中1の男の子もいた。このような行の参加は大きな影響となろう。日本人は男女ともに,やはり馬力があり,精神的にも強いものと感じた。力をもらって負けない様についてゆきたい。般若心教は最強の哲学と信じる。チャンスがあれば再度挑戦したい。