モロコシ、Sorghum:自給自足タイプ
モロコシ:
アフリカのすべての穀物の中で、モロコシは最も重要である。より乾燥した地域ではトウジンビエとトップシェアを分けているが、より湿った地域ではトウモロコシと分けている。事実、アフリカでは他のすべての食物よりも多くのヘクタールをモロコシとキビ(Millet)に当てている。
しかし、モロコシは単純に数字そのままが示すよりも重要である。わずかな、そして往々にして衰退しがちな土地から、かろうじて生活を維持するのに十分なだけのお金を捻出している何百万もの人々の相当部分にとって、このことは非常に重要である。それらの多く、おそらくほとんどのそれを育てる人は、この植物なしではほとんど生き残れない。彼らにとって、それは 健康と空腹の間の限界を生む食事エネルギーと栄養素となる。
モロコシは、サハラ以南のアフリカの地図上、数字の 7 に重ね合わせたように見える 2 つの巨大なベルト地帯にいる最も貧困に苦しむ大多数の人々にとり、不可欠である。1本のベルト 地帯- 緯度約 8 度にまたがる (北緯約 7 度から 15 度まで) - は、西アフリカ全体に巨大なサッシ(小袋)のように伸びていて、セネガルからチャドまである。もう 1つは同じくらい巨大なもので、北から南に伸び、 スーダンから南アフリカまでのアフリカ東部および南部のより乾燥した地域である。
これまでは、これら 2 つの広大な地域にとって優しいものではなかった。特に初期にはそうであった。多くの観察者の見るところ、状況はすでに暗いものであり、ますます暗くなっている。数千万人分の食料を提供するモロコシは、平均して収穫量が少なくなり1 ヘクタールあたり 700 kg 未満であるが、時にはそれよりもはるかに少ない。数十年で収量はほとんどか、またはまったく改善されていない。一部のオブザーバーは、テクノロジーがこれまでに変化を実現させるごとが出来るかどうかも疑問視している。
理由は不明である。アフリカの農民は、手ごわい連結制約に直面している。自然から課せられた制約があり、それは混乱のアフリカにある特別の楽しみのようである。社会、そして伝統から課せられた制約がある。貧困による制約である。そして政治、無能な政府、貧弱な道路、インフラ障害などによって課せられた制約である。自給自足農家はなんとか生き延びて、彼らの作物を生産せねばならない。
制約がアフリカ全体で同じである場合、それらはマネージできる可能性がある、しかしながらそれらは農家ごと、村ごと,地方ごとに程度と種類が異なる。これらすべての地方化されたさまざまな制約では、1960 年代にインドとパキスタンを席巻した緑の革命タイプと統一された前進は当てはまらないだろうと結論する人もいる。おそらく 別のアプローチが必要である。
実際、そのアプローチはアフリカのモロコシの自給自足から来ているのかもしれない。何千年もの間、農家は彼らの地域の状況と食べ物の好みに合う品種を選択してきた。これらの伝統的な品種はすでに彼らの多様化にとり注目に値する。たとえば、タンザニアのスクマランドでは、ある研究者はかつて109 の名前付き品種を数えたが、それらはすべて一般的に使用されている。ナイジェリアのサマルでは、100 を超える地域でタイプが特定されている。そしてケニアのトゥルカナ湖沼地域には、さまざまな色のモロコシがあり、 農民は穀物を見ただけで、誰がそれを栽培したかを特定できると主張し、しかも盗難を防ぐと言われている「天然のバーコード」である。アフリカでは、全体として、異なるモロコシの数は数千に及ぶ範囲がある。 世代から世代へと敬虔的に受け継がれているものもある。 これらすべてが可能になったのは、モロコシが主に自家受粉性であり、 品種は、毎年植えられてもその独特の性質を保持できる。
これらの伝統的なモロコシは多様であるだけでなく、それらははっきりした資質を持つ。おそらく何世紀にもわたる慎重な観察が彼らの選択に費やされたのであろう。 次のような機能が組み込まれている。
• 良好な苗の発芽と強力な初期の根の発達 ( 早い雨の通常の短さを補う);
• 良好な分げつ(不規則な初期の雨やシュートフライ(ハエ)の攻撃を防ぐため);
• 長い成長サイクル (不毛の土壌を最大限に活用するため)。
• 昆虫 (特にアタマジラミ) に対する耐性。
• カビに対する耐性。
. 特定の地域ではありえない鳥害虫と、寄生植物であるストライガに対する耐性。
上記の農業の特質に加えて、自給自足 モロコシは、外観、伝統的な食材の食感、味、準備、または貯蔵寿命に影響を与える機能について慎重に選択されてきた。それらはほとんど女性によって栽培され、主に家庭で地元の食品を準備するために使用される。
伝統的に、人々は穀物を固いお粥(tohまたはugali)、薄いお粥(uji)、またはさまざまな発酵飲料にとして消費している。
エチオピア人はモロコシ粉を生地のボールに成形し、それを茹でて 主食(dawa)にする。ナイジェリアでは、同様のタイプの団子とフレーク、 乾燥モロコシベースの食品が主食である。多くの人は、皮をむいた穀物を米のように調理、または小麦のように小麦粉に挽いて、ビスケット、ケーキ、または膨らまないパンにする。クスクスを作る人もいる。モロコシは醸造の天然ビールまたはbombeにも重要である。
すでに述べたように、アフリカには 2 つの広大なモロコシ ベルト地帯がある。驚くべきことに、 それぞれの状態は非常に異なるため、1 つの中で完成された品種でも他地方ではめったになじまない。
以下の状況が東アフリカと南部アフリカに蔓延している(Carr,
1989 に基づく情報)。
• 作物のほとんどは、単一栽培として植えられ、列に並べられている。
• 梅雨の季節は短く、(ほとんどの場所で) 雨季は年1 回だけの傾向がある。
• 植物の品種は、茎が短く、種子頭 (穂) が密集している傾向がある。 比較的高い収穫指数 (穀物の他のものとの比率)である。
• 鳥は多くの場合深刻で、どんな品種を植えるか、如何にマネージするか、どのレベルまでインプット(入力)するかを決定するほど深刻な問題である。
• 主な寄生植物、ストライガ種 (特にアフリカ南部) はアジア型 (Striga
asiatica)なので、植物育種家によるストライガ耐性の遺伝子をもつインドモロコシを使用できる。
• 醸造用および動物飼料用のモロコシはますます重要になっている。
• 現在の品種と雑種の両方が、少なくとも適度に使用されているが、インドから導入されたいくつかのタイプは、非常に成功している。例えばジンバブエでは、これが SVI と SV2 のリリースにつながりかなりの見込みがある。ザンビアには、同様に有用ないくつかのハイブリッドがパイプラインにある。
一方、西アフリカでは、次の条件が適用される。
• 単一栽培で栽培されているモロコシはほとんどない。ほとんどがササゲ、キマメ、ローゼル、その他の作物と混合して植えられている。
• 植物が列状に生育することはめったにないが、ランダムに散らばっており、離れていることが多い。このゾーンのより乾燥した部分では、時に草を刈ったり、燃やしたりすることなく植える前に土地が耕されたり調整されたりのどちらもしない。
• 植物は背が高くてひょろひょろした傾向があり、収穫指数が低い。 ほとんどの自給自足農家にとって茎は重要な飼料でもあり、穀物と同じくらい価値がある。
• この植物は雨の終わりに向かって花を咲かせるので、それによって雨が降っている間に蔓延し、その後の乾燥したころに消えるという真菌や吸虫からの被害からうまく逃れることができ穀物を助ける。
• 降雨量は非常に不安定である。
• 地元のモロコシは、干ばつによる深刻なストレスを受けても穀物を生産することができる。(降水量の多い地域で生育するタイプは、高密度のガラス質を生成する。一方、乾燥した地域で育ったものは粉状の穀物を生産する。)
• 種子は開いた円錐花序で生まれる。 穀物の収穫量は少なくなるが、穀物のカビを防ぐのに役立つ。
• 主なストライガは在来種のStriga hermonthicaである。ほとんど インドやアフリカ東部のストライガ耐性モロコシは、 この寄生植物にやられる。
次のステップ
自給自足モロコシの広大で有望な未来を開くための行動に、以下で説明するものが含まれる。
品種の共有
前述のように、真に優れたモロコシはアフリカ中に見られる。多くは、自給自足農家の特定ニッチに見事に適合している。 これらをより広く利用できるようにするだけで、多くのことを行うことができる。しかし殆どは大切にされている谷や村を超えて、一般に広くは知られていない。
ローカルタイプは十分に証明されており、生態学的ゾーン内でそれらを移動することができ、 農業生産の長期的な安定性を改善するための強力な方法となる。生態学的ゾーンを越えてそれらを移動することが重要になる可能性がある、それは気候変動と将来の不確実性が増大しているためである。
農民は既存の降雨パターンに適した品種を、今は植える。しかし、パターンが変われば (1970
年代に西アフリカで行われたように)、すべての地元の栽培品種が不適切となる。別の地域からの材料が災害を食い止める唯一の方法かもしれない。
農法の強化
自給自足生産におけるモロコシを改善するための農業の方法に関する研究は、より高い収量をもたらす植物育種の研究よりもより迅速な収量を得る研究の方が可能性が高いようである。1980 年代初頭の 4 年間の農場での試験では、試験は村で行われたが、品種のどれも研究試験で慎重に繁殖させた場合、すべての環境でローカルタイプのものよりも優れている可能性のものはなかった。実際、世界的なモロコシ育種にもかかわらず、現在までに、アフリカのモロコシ エリアでは 10% 未満が研究ステーションからの非伝統的なタイプが栽培されている。
いくつかの改善は単純で、明白で、複雑ではないように思える。 例えば:
• 水やり。過去 20 年間にブルキナファソで実施された研究は、 例えば少し余分な水を与え十分に満たしてやると穀物は収量を増やす。•施肥。一部の地域では、土壌に栄養素を提供することでモロコシ穀物の収量が劇的に増加する可能性がある。しかし、残念なことに、ほとんどの伝統的なモロコシは収穫指数が低く、例えばトウモロコシへの効果と比較して期待外れになる可能性がある。肥料の効果は土壌の貧弱さによって異なるが,殆どのより乾燥したモロコシ生長地域での収量は一般にトウモロコシの半分以下であり,多くの農家の今日の穀物と肥料価格への関心はあまりにも低い。
• 豆類のローテーション。モロコシが育つ多くの土地はそもそも始めから肥沃ではなかった、または現在使い古されている。窒素固定マメ科植物は そのようなサイトのほとんどを若返らせる鍵となるだろう。このテーマは、関連レポート、熱帯マメ科植物で記述する。
•雑草防除。
• 集水およびその他の節水技術。
• 壊滅的なストライガの発生を減らすための畑の管理。
ただし、伝統の変更には注意が必要である。
いくつか 一見明白な改善は、長期的には有害であることが判明する可能性がある。たとえば、離れて広い西アフリカの農家がモロコシを栽培しているのは当然のことである。この作物は栄養の吸収に優れていて、とうもろこしが完全に失敗する土壌でもうまく成長するが、その場合は大きな根システムを開発するスペースが必要である。
通常、農業アドバイザーはより近接して栽培する事を推奨するが、しかし、土壌肥沃度が制限要因である場合、これは収量を減らす可能性がある。 (もちろん、肥沃レベルが上昇すれば、植物の個体数密度も上昇させる可能性はある。)
不注意な人にとってのもう 1 つのわなは、土地の準備である。品種の選択と土地がどのように準備されていたかの間の強い相互作用がある。より湿った地域では、植える前に土地を耕し、畝を作る。一方、しかしながら他の場所では、種子を準備ができていない地面に広くまきちらかす。「改良型」品種は、通常、土地が耕作されている場合のみ、地元の品種より優れている。一方、地元品種はほとんど反応を示さず、植え付け前に土地を耕作することは時間の無駄である。
より良い植物の育種
世界において最高の穀物作物量を収穫できる特定のモロコシが知られている。しかし自給自足農家を助けるためのヘクタールあたり
8,000 kg の収穫量は、現時点では適切な目標ではない。通常、最大収穫は主要な目標ではない。信頼性がより重要である。毎年毎年の信頼できる収量が人生をかけている主な目標である。したがって、 差し迫った必要性とは収量の安定性を改善することであり、収量が増加するかどうかはその安定性との相性である。わずか
1,500 kg/ ヘクタールの平均収穫量は、アフリカでの生産量の2 倍になろう (インドは言うまでもない)。
資源に乏しい農家の収量を安定させるための作物育種目標、 そこにはアフリカが含まれる:
• 害虫や病気への抵抗力を高める(下記参照)。
• 干ばつ、湿度、その他の環境ストレス変化に対する耐性を高める。 (しかし、これらの耐性の程度はすでにかなり高い。多くの場所では、存在する耐性下で多くの収量を得るために良い育種をする方がよい。)
• 穀物の品質、特に重要な保管と加工面の改善。
これらの抵抗力と耐性力の一部は、地方以外で育てることができる。「ホット スポット」は、経済的に重要な多くの形質で特定されている。 たとえばミッジ(小虫)は、ブラジル北東部のシエラタルハダで常に深刻である。 Busseola fusca は、ナイジェリア北部のサマルで深刻である。同域の国または地域ステーションの適切なネットワーク数は、有用な地方遺伝資源をスクリーニングと大量動員するよりも現在はるかに迅速に強力な方法を提供する可能性がある。アフリカでの自給用には、通常、多目的モロコシを繁殖することが重要である。背の高い植物は、穀物の育種家にとっては忌み嫌われるかもしれないが、多くの小規模農家にとっては 農家の長い茎は、フェンス、わらぶき、薪、および その他の実用的な目的の資源である。それらの農家はどんなに高収量でも短茎タイプに切り替えることはない。
害虫耐性を上げる
熱帯地方の伝統的なモロコシの中には、葉の病気に強く、在来の害虫のほとんどに優れた良好な耐性を持つものがある。しかし、この幸運な地位を維持するためには、特にボーラー(ガ)とシュートフライ(ハエ)に対する浸透性殺虫剤の使用について研究を続けなければならない。 ニームの木(インドセンダン)からの抽出物は、この点で有望である。残念ながら、自然耐性はフェノール化合物の量と密接に関連し (特に凝縮されたタンニン)、これらの化合物は、人のモロコシ粒を消化をし難くする。
育種家は、また、遺伝子型の交配によってもストライガ(寄生植物の1つ)に強いもののを劇的に安定獲得すことができる。実際、これは非常に重要である。ストライガ耐性がない「改良された」素材は、この寄生植物が深刻な地域の農家にとって壊滅的なものになる可能性がある。ストライガは数万個の種子を生産し、それぞれが十年以上生き続けることができる。感受性モロコシを導入すると、この恐ろしい寄生植物は すぐに手に負えなくなり、10年分の時限爆弾のように機能する種子で土壌を埋めることになる。幸いなことに、現在、ストライガ耐性タイプの識別の良い可能性があるようだ。
耐鳥性の向上
他でも述べたように、鳥はアフリカの多くの地域で農民が食べているモロコシの栽培を最も妨げている。今日、鳥に対し強いタイプのモロコシは、苦くて消化しにくいタンニンを含む種皮を持つものである。もし より満足のいく解決策を見つけることができれば、 アフリカの未来、そしてそれは確かにモロコシの生産を後押しするのに役立つ。最近新しい可能性が発見された。
防カビ性の向上
アフリカの多くの地域で、穂の穀粒を駄目にするカビが生えてモロコシに悪影響与えている。もしこのような被害に強い品種が見つかれば、成長期の湿度に関係なく、その時はより素早く成熟し、収穫期には成長の早いタイプを育てることができた。また、穂が密集したタイプ(収穫量が多く、 効率的な形態)は実用的であり、現在速乾性のオープン穂型のみが植えられている。一部の株は、穂のタイプに関係なく本質的にカビに対して耐性がある;これらは、実に大きな研究の注目の的である。
もう 1 つ、比較的簡単なことで、黒穂病に対して種子を処理することも幼苗期の作物に影響を与える介入といえる。
取り扱いの負担を軽減
土地を準備し、雑草を防除し、 鳥を追い払う手作業量は、アフリカでの自給自足農業のモロコシ生産に重大な制約を与える。これらは、生産量の増加に対する重大な障壁である。したがってどのような切り口から提起された主要な問題でも、それがどれだけの手作業を必要とするかということである。手作業で畑を耕さなければならない農家にとってそれは重要である。鍬形農業では文字通り、彼、彼女らは収穫を得る以上のエネルギー消費で、「死ぬまで」働かねばならない。
最終用途
すでに述べたように、自給自足モロコシ生産は地方要件の複雑な並びに遭遇する。貯蔵寿命、加工特性、およびtoh、ugali、uji、dawa、およびその他の伝統的なモロコシベースの食品の味は最も重要で, それらは畑での収量の限界レベルよりも重要である。
伝統的な食品に影響を与える機能は、科学者がその定量化と品種改良することが難しく、 特に研究が中央研究施設で行われなければならない場合には難しい。自給自足のモロコシ育種を行うアフリカ人は、同じくらい多くのモロコシ料理を行っているという事実が、さらに難しくしている。
すでに、外来の遺伝資源で改良されたモロコシは拒絶されているが,それは 彼らが作ったtohは、その食感を十分に長く保てなかったからである。(デンプンゲルは一晩で崩壊する)。ニジェール、ブルキナファソ、マリのモロコシプログラムは、現在、小規模な診断テストを使用して、tohの品質保持のための高度な育種材料を評価している。このアプローチは、植物育種家が畑の収穫量と同様に食品技術者や家庭経済学から指示を受けるというもので、新鮮かつ切望される革新である。
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