2018年6月アーカイブ
2018年6月28日 16:03 ( )新解説 グルテンフリーパンについて−1
グルテンフリーパンとは
セリアック病、唯一の効果的治療法は食事からグルテンを除けば、あとは永い人生を送ることが出来る。しかしながらパンを作ることからグルテンの除去は、製パン調製前の段階ではドウのシステムより液状のバッターになり、その結果ベーキングされたパンはぼろぼろに崩れるようなテクスチュアとなり、色も貧弱、その他の品質もよくないパンである。事実、グルテンは小麦粉に存在するタンパク質の主構造形成タンパク質であり、製パンでの小麦粉の機能に重要な役割を演じ、ドウに粘弾性を与え、良好なガス保持能と良好なクラム構造を多くのベーカリー食品に与える。最近グルテンフリーベーカリー食品がマーケットに多く登場するが、低品質、貧弱な口腔内での特徴とフレーバーを与えている。。これらの問題は製粉、製パン技術者両者に大きな技術的問題を与え、グルテンフリー焼き物の生産にグルテンに変わるものを探すことを要求した。グルテンフリーパンは、グルテンの粘弾性を真似る重合化物質を製パンドウに要求した。グルテンフリーパンの生産には、毎日の食事のタンパク質のような主にデンプン、タンパク質をベースとする成分が含まれるものである。さらにハイドロコロイドをグルテンフリーの基本粉中に入れてグルテンの粘弾性を真似る事ができ、さらに改良されたテクスチュア、口腔内感覚、感受性、シェルフライフの改良が出来た。
グルテンフリー食事について
人生すべての中で、グルテン摂取の拒否がセリアック病にとっては基本治療となる。時にグルテンフリー食事のことを患者は"薬の選択"と呼ぶのは、この栄養治療が生命にとり厳格なグルテンフリー食事である。グルテンフリー食の全体的なゴールは、グルテンをさけたバランスのとれた食事の採用を通して健康の回復と保持に到着する事である。食事には医師と栄養士両方による家族と患者への進行中の教育を要求する。はっきりしたグルテンフリー食事の承諾は簡単ではなく、それははっきりした食事はセリアック病を持つ患者を社会的に分離するようになる可能性があり、さらに栄養的にビタミンB、カルシウム、ビタミンD、鉄、アミン、マグネシウム、繊維不足を導きだすようになる可能性があるためである。
世界中、どんな成分がグルテンフリーを作るのかという認識された主義に関して大きな議論がある。多分、カナダでラベルされる"グルテンフリー"は、Kg当たり20mgグルテン以下のスタンダードを示しているには違いないが、一方、他の国では200mg/kgを用い及び他は差し出されたグルテンフリー、及び本来あるグルテンフリーの物に2重のスタンダードを出すことが望ましいとされる。最近のCodex Alimentarius Standfard for "Gluten-free Foods" は1976年のCodex Alimentarius Commision によるもののを採用した。この文ではグルテンは貯蔵タンパク質と定義され、一般に小麦、トリテケール、ライ麦、大麦、あるいはオート麦に見出される。グルテンフルーの定義は1990年代にレビューされグルテンフリーの意義はステップ7と続き、一方Codex Committeeは許容レベルの設置に対する化学的根拠に基づくための研究をまち、その研究法を明らかにした(Codex Alimentarius Commission, 2003)。グルテンフリー食品は食品として以下の様に記述される;
(a)成分はあるいは小麦あるいは全てTriticum種例えばスペルト,カミュと,デユ-ラム小麦、ライ、大麦、オート麦、あるいはそれらの雑種でいかなるプロラミンも含まないものからなるもの、あるいはそれだけでできたもので、グルテンレベルは20mg/kgを超えない;あるいは(b)小麦,ライ麦、大麦、オート麦、スペルトあるいはそれらの雑種からなり、グルテンフリーとされ、そのグルテンレベルが200mg/kgを超えないものとする;あるいは(c)前述の(a)と(b)で示された2つのものの混合が200mg/kgを超えないレベルのもの。
この内で標準のグルテンは、小麦、ライ麦、大麦、オート麦、あるいはその雑種、及びそれら派生物からのタンパク質区分と定義され、さらに水と0.5mL/L NaClに溶け、それに対しある人は不耐性である。
世界中でグルテンフリーの食品表示のことに関し問題があるが、それは正確な毒プロラミン量がセリアック病をもつ各個人で、その小腸粘膜にダメージを与える事なく消えてゆく量が十分に決まっていないからである。Codex CommissionによるELISA 法の認可と、進行中の許容レベルに関する研究結果から、Commissionは"グルテンフリー"定義の修正の方向に動きつつある。
ベーカリー加工食品中のグルテンの役割
小麦粉による製パン性品質では、そのグルテンタンパク質の量と質の両方に基づくものであることがこれまで知られて来た。グルテンタンパク質は全小麦タンパク質の80-85%を占め、小麦の大部分の貯蔵タンパク質である。それは種子貯蔵タンパク質のプロラミンのクラスに入る。グルテンタンパク質は殆ど水に溶けず、あるいは希塩類溶液にも溶けない。グルテンのタンパク質は、機能的に2つの明確なのグループに区別される;単一のグリアジンとポリメライズした(抽出可能及び抽出不能)グルテニンである。普通、グリアジンとグルテニンは小麦中でほぼ等量に認められる。グルテンはユニークなアミノ酸構造をもち、Glu/GlnとProでアミノ酸残基の50%以上の量に相当する。グルテンの低水溶性は低Lys,、Arg、Asp残基含量のためで、それはともにすると全アミノ酸残基の10%以下である。グルテン中、約30%のアミノ酸残基は疎水的で、その残渣は大きく疎水的相互作用によって会合するタンパク質に寄与し、さらに脂質や他の非極性物質との結合に寄与する。高グルタミンとハイドロキシアミノ酸(〜10%)含量のグルテンは、水--結合性の性質にも関係ある。さらにグルタミンとグルテンポリペプチドの水酸基の間の水素結合は、凝集性--結合性の性質に寄与する。cysteineとcystine残基は全アミノ酸残基のうちの2-3%に相当し,ドウ形成の間これらの残基はSH-SS交換反応が進みグルテンタンパク質の大きな重合化を示す。一般に受け止められているのは、小麦の製パン品質はグルテンタンパク質の存在とその性質に関係のあるという事である。グリアジン区分は粘度に寄与し小麦ドウの伸張性に関与すると考えられている。小麦グルテンのグルテニン区分はずっと考えられてきたことは、ドウの弾性と力強さに関係していると考えられてきた。ドウ中のグリアジンとグルテニンの総対比はドウの物理化学的性質に影響を与え、グルテニンの相対的な比率の高いほどドウの力に大きなインパクトを与える。
さらに小麦グルテンは多くの食品以外の物にも応用され、例えばグルテンベースのフィルム、カビで生化学的に分解されるプラスチック等である。SH-SS交換反応で、大きく重合化する能力のために、ドウ形成に間グルテニンは大きくドウの弾性に寄与する。また、それらのユニークな構造と機能的性質のために、製パンにおいて大きくこの技術的性質を模倣し、最終的には変更のできる成分を見いだすチャレンジが必要である。
グルテンタンパク質の機能的が、製パン品質にとり中心であることは明らかである。分画、再構成実験は、製パン性の違いは明らかにグルテンタンパク質によって決まることを示す。小麦粉による製パンは小麦粉タンパク質含量と直線的に関係があり、ここではグルテンタンパク質含量であるが、このタンパク質区分は、粒タンパク質含量増加とともに非グルテンタンパク質区分よりもずっと増加するからである。粉を水とともに練り/撹拌すると、グルテンタンパク質は粘弾性のあるドウの形成を可能とし、それが、発酵で出来たガスをホールデイングする事を可能とし、オーブンライズの結果、ベーキングの後、典型的なパンの固定した多孔質構造を作る。ドウのレオロジー的性質は製パン性に不可欠であり、大きく小麦グルテンタンパク質によってきまるが、グルテンタンパク質マトリックスと他の粉成分との相互作用[(例えば粉脂質と, アラビノキシランと, 非グルテンタンパク質と)]はレオロジーの性質に影響する。
小麦グルテンのレオロジィー的性質は、酸化剤、還元剤、あるいは脂質・乳化剤,あるいはヘミセルロースなどの添加で、グルテンタンパク質の相互作用を変化させ修正することができる。
加工食品で受け入れられる唯一最も重要なファクターは感覚的性質であり、それは食品から受けるテクスチュア、味、色、香り、刺激物質等、化学的、物理的刺激に対する総合的な反響である。一般に、楽しい物と思われる食品は楽しくないと考えられる食品を超えて選ばれる。セリアック病患者のくさびとなる治療法とは、グルテンを含む食品を終生にわたってさける食事のことである。セリアック病患者にとって必要なユニークな栄養面と感覚的要求性を満たすグルテンフリー食品の生産に必要な技術には、グルテンに変わるものとして、デンプン、乳製品、ガム、ハイドロコロイド、他の非グルテンタンパク質等があり、それらによってグルテンフリーベーカリー食品の構造、口腔内感覚、受け入れられるもの、そして保存性の改良を進める。
グルテンフリーパンの成分
グルテンフリーパンの生産に利用されるグルテンフリー粉の各種については、この本の他章でトピックスとして扱われ、そのためここでは議論しない。次のセクションからグルテンフリー仕込み上、最も大切な成分を特に紹介し討論する。
デンプン
デンプンの物理的性質
デンプンは最も重要な貯蔵多糖類であり、多くの植物中最も典型的成分である。デンプンは炭水化物の中でもユニークな存在であるのは、本来不連続半結晶状の粒で相対的に密着した不溶物であり冷水中でわずかに水を吸うためである。デンプンには幾つかのユニークな性質があり、多くの食品適応の中でその機能性をきめ、特にベーカリー食品の中では穀物ベース食品のテクスチュア、外観とその全体の受け入れに貢献する。その構造と物理化学的性質については、詳しくレビューされている。
殆どのデンプン粒はアミロース、アミロペクチンの混合物からなる。アミロースは本質的には直線の成分で、α(1,4)-結合D-グルコシルピラノース単位からなり、500-600グルコース残基の範囲で重合化したものである。対称的にアミロペクチンの方は非常に大きく、高度に分枝した多糖体で重合化の範囲は3x105から3x106グルコース単位である。それらはα(1,4)-結合D-グルコピラノース残基の鎖であり、α(1,6)-結合による内部結合している。アミロース/アミロペクチン比率はデンプンの種類によって異なり、典型的なものはアミロースとアミロペクチンは各25-28%と72-75%である。しかしながらある特異的遺伝子タイプのトウモロコシ、大麦、米デンプンではアミロース含量が増加し(高アミロース、あるいはアミロースデンプンで70%アミロースまで有する)、あるいはアミロペクチン含量が増加する(ワキシデンプンで99~100%アミロペクチン含量)ものがある。
デンプンは異なったサイズ(形)の細胞内水不溶性粒として存在しており、それは植物起原による。顕著なデンプン粒区分(約8%)は製粉時に損傷を受ける。この機械的な粒構造のダメージはデンプンの性質に大きく影響を与える。損傷デンプンは高度に水を吸収する力があり、より酵素分解を受けやすい。室温で十分に水があれば、デンプン粒はその乾物重量の50%まで水分を吸収でき、次に乾燥でオリジナルサイズへもどすことが出来る。デンプン懸濁液が水中である特異的温度以上に加熱されると、分子オーダーで分解がすすみ、結晶性を失ない不可逆的粒の膨潤へと進む。このプロセスを糊化と呼ぶ。非結晶域の加熱と加水は、これらの域での分子移動、アミロペクチン二重ラセン構造の解離、結晶性の溶解を容易にする。糊化過程はまた限界デンプン溶解性(主にはアミロースの溶出)と結びついており、それはデンプン懸濁液の粘度を増加させる。さらに加熱すると、糊化温度以上になり、膨潤と溶出が続き、溶解した巨大分子(主にはアミロース)連続相、膨潤した不連続非結晶デンプン粒、あるいは残渣が形成される。
デンプンの糊が冷却されると、デンプン多糖類はより複雑に再会合し結晶状態になる。この過程を老化という。2つのデンプンポリマー、アミロースとアミロペクチンのデンプン老化の動力学にはかなりちがいがある。6%以上デンプン濃度では、二重ラセン構造がアミロース分子間でみられるが、糊化、ペースト化の間、可溶化し、連続的ネットワークを作る。数時間後、これらの二重ラセン構造は非常に安定な結晶ゲル構造を作る。短アミロペクチン側鎖の再結晶化は、糊化デンプンあるいは残基中でづっとゆっくり(数日〜数週間)進む。そこでアミロースの老化は大変化を初期のデンプンゲルの堅さにおこしを、一方アミロペクチンの老化は長時間かけてデンプンシステム中のゲル構造形成と結晶化をおこす。デンプン老化は、pH、塩,砂糖、脂質を含む多くの条件と物質によって影響を受ける。アミロースの重要な性質はその中に多くのものを,特に極性脂質を取り込み、ラセン複合体をつくることである。アミロースは左周りのシングルラセンは脂質の炭化水素をその中心の空間に取り込む。極性脂質の存在がデンプンの性質に大きく影響を与え、特にその糊化と老化の性質に影響をあたれる。
製パンに於けるデンプンの役割
ドウの調製中、デンプンは約45%の水を吸収し、それがドウ連続マトリックスの充填内容物として働くと考えられている。一方、ドウはタンパク質とデンプンの2連続的ネットワークと考えている。最近の研究で、小麦ドウのレオロジー的性質がデンプン粒表面の特異的性質によって影響されると報告している。ベーキングの間の加熱、水分、時間のコンビネーションによりデンプン粒は糊化するが(例えばそれは膨らみ、一部可溶化し)、しかしまだそれらの粒は1個ずつ粒を保持している。2つのデンプンポリマーアミロースとアミロペクチンは再び混合し、少量のアミロースは粒中の内相中に染みこむ。このアミロースの一部は、添加及びもともとある小麦極性脂質と複合体をつくりとりこむ。相分離により、アミロースとアミロペクチンは粒内部では均一に分布しない。冷えると、可溶化したアミロースは連続したネットワークを作り、そこには膨潤そして変形したデンプン粒がおさまり,互いに結び合う。その素早い老化のために、アミロースはパンの不可逆な構造要素となり初期のパン容積の決定要因である。貯蔵中、パンはその新鮮さを失い、老化し、クラストは堅くなり、クラムもよりかたくなり弾性を失しない、さらに水分とフレ−バーを失なう。老化で水はクラムからクラストに移り、そして2つの成分はガラス質、ゴム質へ変換し、その結果、クラストは柔らかく、皮のようになる。かたさとつぶれやすさの増加はエージング中のクラムの典型的な変化として観察される。デンプン区分アミロペクチンとアミロースとの再組織化と、ポリマーオーダー増加によるデンプンネットワークのかたさの増加は、エージング中の重要な変化である。水の移動とアミロペクチンの老化は、特に二重ラセン構造と結晶域の形成はエージング中のパン老化にとり第1の要因であると考えられている。しかしながら、粒中心部でおこるアミロースのオーダーの揃った構造形成も粒を堅くすることに寄与であろう。そこでデンプン粒中でアミロペクチン-リッチ域とアミロース-リッチ域の分子再組織化のできた結果、デンプン粒の堅さ増加になり、結晶域間が結ばれた構造的ネットワーク形成はクラムのかたさ形成に寄与する。また水素結合によるクロスリンクの形成と2つのポリマー間のもつれがパンの機械的性質に影響すると提案した。エージング中、グルテン-デンプン相互作用がある程度クラムのかたさに関与することが提案された。しかし、グルテンの存在がアミロペクチン老化の動力学とその老化程度に影響するというどんな顕著な証拠もないと結論している。相互作用は多分、グルテンとアミロペクチンの熱力学的相反性のためにありそうもない。
乳成分
グルテンを他のタンパク質、たとえば乳タンパク質(第10章)に置き換えることはグルテンフリー食品の品質改良する一つの手だてである。しかしながら、高ラクトース含量の乳成分をグルテンフリーパンに入れる事は小腸絨毛への大きなダメージを持つセリアック病の患者にとってに都合良くないのだが、それは彼らが正常なら絨毛で生産される酵素ラクターゼを持ってないからである。約50%のセリアック病を持つ人がラクトース不耐性である。にもかかわらず、いくらかの研究はグルテンフリーシステムに乳タンパク質の混入を行っており、それはこれらがグルテンに似た機能を有するからである。乳タンパク質はネットワーク形成ができ、良好な膨張の性質を示す;それらには高度の機能性があり、さらにそれらの多能のためグルテンフリー食品生産にそのまま用いる事ができる。乳成分は今日、栄養面、機能面の両方の価値のあること、例えばそれらによりフレーバー、テクスチュア改良、パン老化の低下をすることでベーカリー食品に用いられている。最近グルテンフリーパンの容積、外観、食感の改良が、乳成分モルキン、脱塩ホエイ粉、スキンミルク粉レプレッサー、スキンミルク粉、カゼインナトリウム、あるいは分離ミルクタンパク質の添加で行われた。もう一つの研究では、市販のグルテンフリー粉で焼いたグルテンフリーパンとグルテンフリー成分に乳製品を入れたもの、入れないもので焼いたグルテンフリーパンの研究した。その研究では明らかに乳成分の入ったパンは最も品質がよく、小麦パンに最も近いものができた。乳成分含むパンの高品質は、乳成分のグルテンに似たネットワーム形成能によるものであった。
概して乳成分はグルテンフリー食品の品質を決めるキーファクターである。低ラクトース粉添加、カゼインナトリウム、ミルクタンパク質、分離ホエイタンパク質あるいは濃縮ホエイタンパク質の添加でパンを作り、はっきりした違いが見えた。
これまでのところ進められた研究から、次のことが結論されるが、乳成分は確かに栄養的な価値とともに全体的グルテンフリー食品の改良をする。しかしながら不可欠なことは、グルテンフリー食品にはラクトースフリーあるいは少なくとも低ラクトース含量レベルの乳成分を使用することである。さらに、乳成分にはいろいろな大きな性質の違いもあるが、成分の違いだけによるだけではなく、それらが作られた加工方法の違いにも注意をする必要が有る。
大豆
大豆は、植物分類上のFabaceae科に属し、"legumes"あるいは"pulses"として知られる。
この植物の科の種類はタンパク質含量が特徴的に高いが、しかしS-含有アミノ酸に不足している。大豆は多くの特徴をもち、機能食品に興味深い成分を示している。大豆イソフラボンは骨組織にプラスの効果のある事が知られ、そこでそれらは機能食品に用られて、骨疽鬆症のリスク低下、低濃度リポタンパク質の酸化防止、肺ガンの予防が報告されている。大豆粉、及び大豆食品はグルテンフリー食品の構造的機能の改良同様タンパク質含量の増加に用いられて来た。たとえば0.5%大豆添加のグルテンフリー仕込みでクラムグレインスコア、パン容積、パン全体のスコアが上昇する事を見出した。又大豆はグルテンフリーパン品質(例えば、大豆混入はグルテンフリーパンの栄養的、水吸収能の増加)へのポジテイブなインパクトのあることを見出した。しかしながら殆どの最近のEuropean Union directivesによると、大豆は高アレルギー成分としてリストに述べられ、グルテンフリー食品への利用は注意深く考える必要がある。
卵
卵は単に栄養的価値を増加させるために食品に添加されるだけではなく、色の変化、フレーバー、さらに食品の乳化性を強化するために添加し、ポイップ性/起泡性(泡)、さらに凝固性/糊化性を改良させる。卵黄は、乳化剤のレシチンを含むリン脂質同様、油溶性ビタミンA、D、E、Kを多く含む。栄養的には、卵は脂質、タンパク質、金属特に鉄の良い供給源である。しかしながら卵には約240mgのコレステロールが含まれ、それは卵黄である。このためコレステロール制限ある人々はより少ない全卵を普通摂取する。
ある焼き物、例えばケーキでは、卵成分はバッター中の脂質の乳化性、安定性等の多くの機能を示す。卵アルブミンのようなタンパク質がデンプン粒と結合する事を示した。
卵タンパク質が強い粘着性フィルムを形成し、泡の安全性に不可欠であることを示した。グルテンフリーパンシステムでは、卵タンパク質は粘性溶液を形成し、フィルム状連続的タンパク質構造は小麦グルテンに似て共焦点レーザー電顕を使って観察する事が出来る。このフィルムのようなタンパク質構造は、トランスグルタミナーゼを使ってよりはっきりさせることができその酵素はタンパク質架橋結合を作り,グルテンフリーパンの品質を増加させる事に用いられてきた。卵粉のポジテブな効果が明確なことは,トランスグルタミナーゼ添加せずにグルテンフリーパンシステムでフィルム形成が卵粉が存在するときのみ見られる事からわかる。非常に僅かのグループの研究であるが、限られた利用データーから、卵がグルテンフリー食品形成に価値ある成分である事を示した。唯一の問題は、卵を含むグルテンフリー食品の加工上出てくるややっこしい問題同様にコストの問題である。
ハイドロコロイド
ハイドロコロイドの製パン性における機能
ハイドロコロイドには,植物、動物、微生物、さらに合成品の親水性ポリマーがあり、普通多くのーCH基を持ち,多電荷物質である。それらは広く用いられ、食材の機能的性質をコントロールするのに用いられている。それらは一般にデンプン含有食品に用いられるが、それは食品系の受け入れに望ましい効果のあるためである。ハイドロコロイドは添加剤として広く次の目的で用いられる(i)食品テクスチュアと粘弾性改良; (ii)デンプンの老化を低下; (iii)水吸収剤;(iv)脂質交換剤の機能;(v)貯蔵中、食品の全体の品質にまで広げ;さらに(vi)又グルテンフリーパン形成のグルテン代替としての機能。ハイドロコロイドはその高い水保持能により、食品の連続的な冷凍-回答サイクルを行う際の安定性を与える。また各食品で脂肪の代替物として好ましい機能も示す。たとえハイドロコロイドが1%以下の濃度であっても、食品のテクスチュア、感覚を刺激する性質にはっきりと影響する。
ベーキング産業では、ハイドロコロイドは製パン改良剤として重要性が増しており、幾つかの研究はこの分野でのポテンシャルの展開をすすめている。カルボキシメチルセルロース(CMC)とグアガムがライ小麦に添加され、パン品質改良に用いられた。さらに発酵中小麦ドウ安定性の改良が、ハイドロコロイドのアルギン酸ナトリウム、κ-カラギーナン、キサンタンガム、あるいはハイドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の添加によって得ることを報告した。ハイドロコロイドはアルギン酸以外、水分保持能、水分活性同様に比容積の増加もした。さらにテクスチュアの研究から、κ-カラギーナンあるいはHPMCの添加はパンクラムのかたさを低下させた。著者らはκ-カラギーナン、HPMCが製パン適性に改良剤として効果的である結論している。ローストビンガム、キサンタンガム、アルギン酸もコロイドによるソフト化の効果があり、それはまず第一にローストビンガムの場合には高い水保持能のあるためである。キサンタンガム、アルギン酸の場合には、ソフト効果はグルテン-デンプン相互作用を邪魔するためであった。小麦パンではα--アミロースや乳化剤との相互作用と同様、CMC とHPMCのドウと製パン性への添加効果を研究した。この場合、主にはHPMCで、ソフト効果は水保持能とアミロペクチン老化の阻止可能性によるためであった。著者らは次のように結論した。HPMC はデンプンに優先的に結合し、そのときデンプン-グルテン相互作用の阻害が起こると。グアガムも又ソフト化効果を示すが、それはグアガムがデンプンに優先的に結合するため、多分アミロペクチンの老化を阻害することによって引き起こされるためであらう。
ハイドロコロイドの親水的性質は、また水の引き離しを阻害し、冷蔵中ポリマー会合を阻止する。
最近、HPMCによる阻害効果は一部焼いたパンの冷凍温度で貯蔵中に認められ、完全に焼いた場合、パンの容積改良とクラムのソフト化が示された。HPMCはパンの硬化速度を低下し、アミロペクチンの老化も遅らせた。低温電顕はHPMC鎖とパンクラム成分間の親密な相互作用を示した。ローカストビンガムで調製したパンは、水分をずっと大きく保持し、コントロールに比べ柔らかくなった。新鮮なパン品質とパン老化へのハイドロコロイド(アルギン酸ナトリウム、キサンタン、κ-カラギーナン、HPMC)の効果の評価を行った。各ハイドロコロイドはそれぞれの効果を示した。HPMCは、比容積インデックス、幅/高さ比、クラムのかたさを改良した。さらに外観、香り、匂い、クランチネス(噛み砕き安さ)、全体的好感度)を良くした。ハイドロコロイドは全体的にパン貯蔵中の水分ロスを減らし、アルギン酸、HPMCは抗老化効果がある。κ-カラギーナンは一部焼いた冷凍パンでは効果的改良剤ではなかった。
ハイドロコロイドは、糊化-ゼラチン化プロセス、即ちデンプンのペーストの性質を大きく修正するのに用いられた。選ばれたハイドロコロイド(グアガム、ペクチン、アルギン酸、κ-カラギーナン、キサンタン、HPMC)の小麦粉のペースト化性質、ゲル化の性質に与える影響は評価された。ペースト温度へのアルギン酸添加の最も大きな効果は、デンプン糊化開始温度を低下させることであり、逆に、ベーキング中、デンプンの酵素基質としての利用性が増加することになる。キサンタンとペクチンは調理安定性を増加し、一方κ-カラギーナン及びアルギン酸は調理安定性変化には効果ない。アミロースー脂質複合体の形成は、κ-カラギーナン、アルギン酸、ペクチンで起こりやすくなり、キサンチン、HPMCでは僅かに影響受けるだけであった。老化の低下を見るとき、κ-カラギーナンは貯蔵中のソフト化、かたさの遅延、両方に最も都合の良いハイドロコロイドであった。
ハイドロコロイドとグルテンフリーパン
グルテンフリーパンでの、グルテン置き換えは大きな技術的チャレンジであるが、それはグルテンが不可欠な構造を持つタンパク質のため数々のパンの外観、クラム構造に関係するからである。最近、デンプン、乳成分あるいは又、ハイドロコロイドをグルテンフリー粉ベース(米やコーン粉)に取り込ませることに関心がのぼっており、それでパンドウ中グルテンの粘弾性の性質を真似るものであり、その結果、構造、口腔内食感、好感度、シェルフライフの改良がこれらのもので得られた。これらの研究で、多くのハイドロコロイドは高品質のグルテンフリーパンを生産するために研究され、そこにはHPMC、CMC、メチルセルロース、β--グルカン、サイリウムガム、ローストビンガム、グアガム、キサンタンが用いられた。
幾つかのハイドロコロイドの改良効果、例えばHPMC、CMC、ローストビンガム、グアガム、κ-カラギーナン、キサンタン、β--グルカン、サイリウムが報告された。ハイドロコロイドはドウのデベロップメントを改良し、ドウの粘度増加でガス保持力を改良し、その結果パン容積が増加する。コメ粉、ポテトデンプン、ミルクタンパク質からなるグルテンフリーパンベースにHPMCレベルをあげるとパン容積のわずかの減少が起こると言った。至上の仕込みは、2.2%HPMC と79%水を含むものである。米パンを作る時HPMCとサイリウム(オオバコ)のコンビネーションをグルテンフリー仕込みに用いると良いパン容積を示したが、ポリマーだけ入れたのではパン容積の増加は低下した。さらに容積はあるハイドロコロイド濃度までは増加したがポリマー濃度をそれ以上あげるとパン容積は低下した。或る最近の研究からペクチン、CMC、アガロース、キサンタン、大麦β--グルカンのグルテンフリーパンのドウレオロジーへの影響を評価した。弾力性とドウ変形への抵抗性は、キサンタン>CMC>ペクチン>アガロース>β--グルカンの順であった。パン品質への影響のタイプとその程度も用いた特異的ハイドロコロイドとその濃度によった。彼らはパンの容積がハイドロコロイド濃度を1%レベルまであげると増加することを観察したが、ただしキサンタン、ペクチンは各コントロールサンプルに比べて例外だった。しかしハイドロコロイド濃度を1−2%に増加すると、ペクチン以外はパン容積の低下が観察された。ペクチン仕込みのパン容積では、コントロールに対し顕著に増加した。キサンタン1%含むグルテンフリーパンはパン容積は変化しないが、2%ではパン容積は低下した。この仕込みは用いた全ての調製のうち最も容積の低いものであった。同様に米粉パンへのキサンタンの混入の影響を認め、さらにグルテンフリーパンがソールガムを変えてキサンタンにし、そのレベルをあげると容積の低下することを観察した。
パン品質の物理化学的パラメーターの重要性は多孔性と弾性性にある。グルテンフリーパンの高多孔性は1%濃度CMC、β--グルカンで認められ、ペクチンでは2%で認められた。一方、パンの多孔性は2%キサンタンで最も低くなった。β--グルカンの小麦パンへの取り込みで、ドウ中の気室の安定化と気室合体阻止を起こし、クラムグレインの改良の起こる事を観察した。他方、2%キサンタンを含むパンの多孔性は最も低くなる。多孔性に加えて気室の均一なサイズ分布はパンの品質にとり又、重要であると言った。ある仕込みでアガロース(1%)、あるいはβ--グルカン(1%)含むようなものでは、多孔性値の大きな違いにもかかわらず、パンの外観、内部構造は両サンプルともかなりの数の気室の不均一性を示し、それは逆にクラム構造の均一性にも影響し、その結果パン品質に影響する。
CHC、ペクチン,キサンタンを2%レベルで供給すると、パンのクラム弾力性に高い値の示すことが出来た。クラストのL値(ライトネス)の増加がβ--グルカン(1%)添加で認められ、一方クラムの白さはキサンタンを仕込みに入れる事で認められた。
消費者パネル(未訓練者)によって感覚的評価をすると、グルテンフリーパンに2%CMC入ったものが大変に受け入れられた。コントロール仕込みと比較して、クラムのかたさ(加圧試験)はペクチン(2%)、CMC (2%)、 アガロース (1及び2%) 、あるいはβ--グルカン(1%)添加しても顕著には増加しなかった。一方、キサンタン(1、2%),あるいはβ--グルカン(2%)添加はクラムかたさに効果があった。グルテンフリーパンにキサンタンを供給すると、かたさに最も大きな増加があり、それは貯蔵中のAw値の大きな低下と一致した。キサンタンガムをソールガムのグルテンフリーパンに添加するとクラムかたさの増加することも報告した。ハイドロコロイドのデンプン構造と機械的性質への添加効果は、2つの相反する現象によるものからくる;デンプン粒の膨潤が低下した結果、かたさの増加と粒からアミロースの溶出の低下;膨潤粒の中でデンプン粒内部-粒接触の阻害によりデンプンの構成ネットワークの弱体化である。これらのファクターのコンビネーションがパン構造の機械的性質への全体効果を決めると結論した。この効果は、グルテンフリーパンの仕込みに用いられる各特異的ハイドロコロイドにもとずくものである。
以上のことから、ハイドロコロイドの性質と機能性には大きくばらつきがあるが、その元の違いと化学的な構造の違いによるものであることは明らかである。ハイドロコロイド機能性における高度の違いは、その起原と加工方法による。セルロース誘導体(メチルセルロース、CMC、HPMC)はセルロースの化学修飾で得られるが、それは均一な特性を確保する。このハイドロコロイドは親水基のため高い水保持能をもち、発酵中にシステム内に界面効果を持ち込み、製パン中にゲルネットワーク形成と言った添加的効果を示す。
メチル、ハイドロキシプロピル基のセルロース鎖への添加は、ポリマーに高表面活性を与え、さらに溶液状態、温度変化の間、ユニークな水和-脱水和特性を与える。メチルセルロース、CMCあるいはHPMCのネットワーク構造がベーキング中にでき、ドウ中の粘度増化、拡張する気室の界面の強化に供し、ベーキング中のガス保持の増加、その結果パン容積の増加となる。HPMC中の疎水-親水バランスは、乳化剤として機能し、クラムグレインを強化し、クラム中の水分含量を増加する。CMCはタンパク質と相互作用が進みやすく、一方HPMCはデンプンと結合しやすい。
CMCとペクチンは顕著にグルテンフリーパンの容積、多孔性、弾性増加を示す。小麦デンプンの糊化特徴は大きくハイドロコロイド添加で修飾され、さらにその効果のひろがりはハイドロコロイドの化学構造によっている。キサンタン、ペクチンは料理安定性をふやし、一方κ-カラギーナンは主にアミロース-脂質複合体形成に影響する。
全体的にハイドロコロイドの効果は小麦パン、あるいはグルテンフリーパンに疑いものなくハイドロコロイドによる物であり,その化学構造,抽出プロセス,化学修飾,ハイドロコロイドのドウ形成時の添加量、及び小麦パン、グルテンフリーパン成分との相互作用にもとずくものである。