2019年6月アーカイブ
2019年6月25日 14:04 ( )グルテンフリー食品へのハイドロコロイドの利用(2)
特異的ハイドロコロイド
カルボキシメチルセルロース
カルボキシメチルセルロース(CMC)グループから成るいろいろな製品にはカルボキシメチルエステル基を含み、Na塩(--O-CH2-COO-Na+)となるアニオンポリマーである。それらは素早く水和する増粘剤だが、ゲル化剤では無く、水溶性フィルムを作り広範囲で多成分と互換性がある。それらは大豆タンパク質の様なタンパク質と相互作用し、そのpI(等電点)値で可溶性を保ち,一方そこでそれらは沈殿する。それらは良好な水保持能を示す。殆どのCMC溶液はpseudoplastic (偽性プラスチック)であるが、 CMCタイプはチキソトロピック溶液である。CMCは低カロリー、イースト膨化、小麦なしの焼き物製品に利用と言われた, しかしそれは1972年に言われてからも関心はないようだ。もし用いられるならば、それは適当なタイプ(カルボキシメチル基の置換程度、粘度グレード、偽プラスチックあるいはチキソトロピックタイプ)から選ぶ事が重要であろう。
カラギーナン
カラギーナンと呼ばれるグループ内には非常に多くのものがある。3種の基本的タイプ、κ(カッパー)--、ι(イオター)ー、λ(ラムダー)ータイプカラギーナンが知られている。これら3つのタイプは、混合され標準化されている。イオン,例えばKイオンは添加できる。異なった加工方法によって調整できる性質には、水和程度、ゲル強度、タンパク質相互作用、溶液粘度がある。作られる製品の数は殆ど無制限である(1つの供給源から100以上可能)。わずか3つ基本タイプがこれである。κ-タイプとι-タイプの両カラギーナンはゲルを作り、両方のNa塩は冷水に溶けるが、しかし冷ミルクにはとけず;それらは熱水、熱ミルクに溶ける。何れのK塩も冷水に溶けない。Kイオンではκ-タイプのカラギーナンはゲルを作り、それはもろく、離液を示し,冷凍解凍に安定性がない。ι--タイプーカラギーナンはカルシウムイオンでゲルを作り、ソフトで弾力あり、離液を示さず、冷凍解凍に安定である。λ--タイプのカラギーナンの全ての塩は安定で、その溶液はゲル化しない。κ-タイプカラギーナンはκ-カゼイン及びローカストビンガムと相乗作用的に相互作用する。κ-カゼインとの相互作用の結果、それらは濃厚になるか、あるいはゲル乳化製品となる。ローカストビンガムとの相乗的相互作用で堅い、しっかりして、砕けやすい、離液性のゲルを作る。このゲルの性質、堅いとかは、他の成分、例えばグアガムを入れると変化(柔くなる)なる。アニオンポリマーとしてそれらはいろいろな方法で他のタンパク質と相互作用する。
グルテンフリー製品をハイドロコロイドを用いて(そのうちの1つは"カラギーナン"(タイプは不明))作る研究の中で、判った事はパン品質は1%以上の大きなハイドロコロイド濃度にすると低下することである。
カードラン
カードランは少し用いられているが、かなり高価で中性のハイドロコロイドである。冷水に不溶である。カードランの水分散液を加熱するとまず溶ける。その溶液を約55-65℃にしてから冷やすと熱可逆的なゲルを作る。熱可逆的なゲルを約80℃以上に加熱すると、不可逆なゲルになる。より高温にすると次第により強く、さらにより強いゲルを作る。温度変化は濃度で決まる。
ゲラン
ゲラングループを作る製品は市販ではゲランガムのタイプとして知られる。ゲルは0.05%という低いゲラン濃度でできる;しかし堅いゲルには約0.2%の濃度が必要である。約0.05%より低濃度では増粘効果が起こる(これは全ハイドロコロイドでそうであり、例えば濃度がゲル形成に必要以下のとき、それらは増粘水システムとなる)。ゲラン分散液はガムを溶かすために75-85℃に加熱せねばならず(水の硬度のため)、それはゲル形成の起こる前に必要である。イオンは可溶化の温度を増加する。砂糖はゲル強度を低下する。ゲランには2つの一般的タイプがあり、即ち天然ゲラン(高-アシルタイプ)と低アシル(部分的脱アシル化)タイプで、それらを混ぜると中間タイプができる。天然(高アシル)タイプはKとCaイオンをもち熱不可逆的であるが、Naイオンで熱可逆的(可溶)となる。ゲルはソフトで非常に弾力あり、脆くない。ゲルは低アシルタイプで作ると堅く、比弾力性、脆く、常に熱可逆的となる。
グアガム
グアガムはlegume(豆科の植物)の種子の内胚乳をひいたものである。ガム粉には75-85%多糖類(実際のハイドロコロイド)、5-6%タンパク質、8-14%水分、その他成分から成る。多糖は中性の多糖類で、そういうものとしてその溶液はイオンあるいはpHによって影響は小さい。異なったメッシュサイズのものを加水し、異なった粘度を示すものが利用されている。ある一定濃度で全てのハイドロコロイドの中で最も高い粘度を出すものが、更に寒天、κ-タイプカラギーナン、及びキサンタンと相乗作用を示し、その結果さらに高い粘度を作る事ができる。
グルテンフリーパンで、グアガムは水分の吸収材料として研究され,他のガラクトマンナンには劣る事が判った。グルテンフリーパンをポテトデンプンあるいは又米粉、グアガム、他の成分でつくることが求められた。グルテンフリーパンをいろいろなハイドロコロイド(その1つはグアガム)で作る研究から判る事は、パン品質がハイドロコロイド濃度を1%以上では低下する事だ。
アラビアガム
ハイドロコロイドの中でアラビアガムはユニークな性質をもっている。これらのユニークな性質のうちの2つは、高濃度でも低い粘度をもつことと、アラビアガム溶液のレオロジーは広い濃度下でずり流動レオロジーではない点である。
適当な粘度を与えるためには高濃度が必要であるため、それは増粘剤としては使えない。しかしながら適当な量(表面方法論の応答で決めると)のアラビアガムは、グルテンフリー、ポケットタイプフラットパンの仕込みに用いられると良い特性が得られた;より多くするとより粘着性製品が得られる。アラビアガムの性質の真似したような修正食品デンプン製品は市販されている。これらのものは、一部解重合化したデンプン1−オクチネルサクシネートエステルである。
ハイドロキシプロピルセルロース
ハイドロコロイドノこのグループ内の製品、メチルセルロース(MC)、ハイドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、冷水に溶け、熱水には溶けない。3タイプの製品の溶液を加熱する時、ある温度域で変化が起こる。それはそこに使われるその製品、システムの機能である。MCとHPMC溶液は、温度がこの温度域に達した及び超した時、ゲル化する。ハイドロキシプロピルセルロース(HPC)は普通その溶液が達した時(例えば不溶化)沈殿する。その食品応用には限界があるが、泡を安定化し発砲食品に用いられる。
ハイドロキシプロピルセルロース
ハイドロコロイドのこのグループの製品はしばしばグルテンフリー食品の調製の際に材料として研究された。ハイドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCs)は、冷水にとけ、熱ゲル化に可逆的であり、例えば可溶性ゲルは加熱して転換温度以上の温度に加熱するとゲルになり,ゲルは冷却すると溶液にもどる。それらの溶液は偽プラスチックレオロジーを示す。それらはある界面活性を示し、さらにそれらは泡フィルムを作る事ができる。
HPMCsの利用が低カロリー、イースト-膨張、小麦粉フリー焼き物製品に請求された。グルテンフリードウの熱変換がHPMCs。で影響される事が研究された。米粉、卵とミルクタンパク質、キサンタン、HPMCsを含む仕込みは、"グルテンに似た、デンプン区分と二重連続マトリックス"を作った。表面方法論の反応を用い、最大の2.2% HPMC と79%小麦デンプンを含む仕込みが至上のものと同定されたが、しかし小麦デンプンにはグルテンなしが必要というわけではない。できたもののクラムの堅さが7日間の貯蔵で増えるに連れて、クラストの堅さ、クラムの水分は減った。トウモロコシデンプンと、キサンタンHPMCのコンビネーションでグルテンフリーパンを調製したものができた。
コンニャクグルコマンナン
コンニャクグルコマンナンで調製した粒子は素早く水を吸収し、水中での重量は、純度にもよるが200倍まで水を吸収する。グルコマンナンは粘性と、pseudoplastic (偽性プラスチック)を示す。他のガム質の様に、水和の間、温度、剪断(shear)程度の増加は、完全に粘度/水和に達するまで必要時間が低下する。
熱的可逆ゲルがコンニャクグルコマンナンとκ-カラギーナンあるいはキサンタンのコンビネーション熱溶液の冷却で生じる。コンニャクグルコマンナンはκ-カラギーナンとの相乗的効果がローカストビンガムの約2倍効果的であった。コンニャクグルコマンナン-κ-カラギーナンのコンビネーションは、強く、粘弾性ある熱可逆的ゲルであり、そのテクスチュアは2つのハイドロコロイドの比率と全体の濃度を変えることで変化させることができる。このゲルは純粋なκ-タイプカラギーナンゲル以上熱安定である。
キサンタンとコンニャクグルコマンナンのコンビネーションは粘性溶液となり、それは両方とも同じ全濃度で単一で用るより3倍粘度が上がる。
コンニャクグルコマンナンもキサンタンもそれだけではゲルは作らないが、2つのガム(最大比率で)ブレンドのホット(85℃)溶液は粘弾性ある強い熱可逆ゲルを冷却すると作る。コンニャクグルコマンナン-κ-カラギーナンゲル同様に、熱安定ゲルがコンニャクグルコマンナン-キサンタン混合物をより高い温度に加熱すると熱安定ゲルを作る。再び、コンニャクグルコマンナンは、荒荒2倍ほどローストビンガムよりもキサンタンで相乗効果がある。
コンニャクグルコマンナンは又、デンプン、修飾デンプンとも相互作用あり,粘度を増加する。
天然のコンニャクグルコマンナン分子上のアセチル基は、それら自身の会合とゲル形成をおさえる。しかしながら天然ガムは脱エステル化され,熱的には安定なゲルをつくる。伝統的にアセチル基をカルシウムハイドロオキサイド(ライム=石灰)で処理して外す。しかしながら或る食品グレードでは例えばKCO3のような弱塩基でコンニャクグルコマンナン分散液のpHを上げて必要なpHにして用いている。分散液の加熱は脱エステル化に効果がある。脱アセチル化したガム溶液の冷却は、レトルトでさえ可溶化しない温度のボイルに耐えるゲルを作る。ゲルは強く、多くは粘弾性である。コンニャクグルコマンナンは塩に感受性はない。加熱に安定、柔軟、強--硬度、保護膜、及びフィルムとなる。グルテンフリーパンにキサンタン-コンニャクグルコマンナンコンビネーションを用いるこころみは、小麦粉パンの品質を真似た面ではうまくいってない。
ローカストビンとタラガム
ローガストビンガム(LBG)はカロブガムとも知られ、構造はグアガムに似ている。グアガムのように、まめ科の種子の内胚乳から作る粉である。2つのガムはしかしながら異なった重要な性質をもつ。殆どのハイドロコロイドは水を素早く吸水して、より粘度のある溶液をつくるのだが、それらの分散液は室温の水を加熱し、冷却するとそうなるのだが;しかしLBGだけはすでに室温水に僅かに溶ける。懸濁液を約85℃に加熱することが良好な可溶液には必要である。
もう一つの違いは、LBG溶液がそれ自体ゲルではなく、寒天、κ--カラギーナン、キサンタンとの組み合わせた熱溶液がゲル温度以下になった時にゲルになるのである。グルテンフリーパンを作る研究では、いろいろなハイドロコロイド(そのうちの1つはLBG) を使う時、ハイドロコロイド濃度が1%以上ではパン品質の低下する事がわかった。タラガムは、グアやローカストビンガムにその性質がそれらの間で多少似ている。報告されている事は、グルテンフリーパンの製造では、"カロブ粉とタラ粉の混合(3:1)でしかも粒子サイズが75-100μmでは良好な多孔質形成ができ、クラムの性質の良い,しかも味への如何なる悪い効果もない"。
メチルセルロース
真のメチルセルロース(MC)製品は、HPMCのようにメチル及びハイドロキシプロピルエーテル両グループをもつものより、メチルエーテルグループだけをもつが、しかしMCとHPMCの両方はしばしば互いに区分されずに共にメチルセルロース製品として一纏めにして扱われる。MC製品の性質はHPMC製品のそれによく似ている。報告されているものには、未糊化米粉、未糊化コーンスターチ、コーンフラワー、メチルセルロ−ス、卵アルブミン、アラビアガムの仕込みを表面利用法のやり方で最適化し、官能的にも受け入れられるグルテンフリー、ポケットタイプフラットパンにしたものがある。
ペクチン
ペクチン製品の仲間はいろいろなハイドロコロイドであり、その全てはD-ガラクガラクチュロン酸のNa塩であり、塩基性でビルデングブロックされている。
全ては数%のウロン酸ユニットがメチルエステルの形(--COOCH3)で含まれている;そこで全てのペクチン調製品は多少アニオンであり、そのアニオン程度はいろいろである。ペクチンの種類はいろいろある。多分、グルテンフリー食品の中で最も興味深いのは低メトキシペクチンである(LM pectins)。LMペクチン溶液は、カルシウムイオンがそこに加えられるときにアルギン酸溶液のゲル同様にゲル化する。LMペクチンのある特異的なタイプは、ーCOO--Na+,--COOH3, 及びーCONH2 グループを含むアミド化したLMペクチンである。LMペクチンのアミド化したものは、従来のLMペクチンよりもカルシウムイオンに受容性が高い。ポリアニオンとして、適当なタイプのペクチンはあるタンパク質を加熱変性、あるいは等電点沈殿から安定化する。ミルクベース製品のpHを低下させる際、適当なペクチン調製物によってミルクタンパク質の安定化は、その1つの例である。
キサンタン
キサンタンは市販的にはキサンタンガムとして知られ、高粘度、pseudoplastic (偽性プラスチック)溶液を作り、温度、pHあるいは塩濃度の変化で影響を受けない。キサンタンは非ゲルハイドロコロイドであり、しかしアガロース、κ-タイプカラギーナン、コンニャクグルコマンナンあるいはLBGと混合するとゲル化する。LBGとのゲル形成はかなり弾力ある。唯一の供給源から、少なくとも10の異なったカテゴリーがキサンタンにはあり,利用されている。これらには、異なった粒子サイズ、異なった粘度グレード、簡単に分散するタイプ、素早く加水するタイプ、加水の遅れるタイプ、pseudoplastic (偽性プラスチック)の低下したタイプ、さらに他のタイプが含まれる。各製造者のキサンタンは類似しているが、しかしお互いわずか違っておりそれはそれら製造に用いた生き物の種が違い、生長条件が違うためである。
グルテンフリーパンはポテトデンプンあるいは又米粉プラスキサンタンと他原料で作ったものが申請された。グルテンフリー製品を作る研究で判った事は、ハイドロコロイド(そのうちの1つがキサンタン)を用いる時、パン品質はハイドロコロイド濃度を1%以上にすると低下する事である。キサンタンとキサンタン+コンニャクグルコマンナンの両方を、コーンスター、玄米、大豆、ソバ粉とともにグルテンフリーパンを作る時、その製品は貯蔵2日後にはもろくなる。
グルテンフリーパンの場合、十分なシェルフライフには連続タンパク質相が必要であると結論された。米粉、卵と牛乳タンパク質、キサンタン、HPMCを含む仕込みは,"グルテンに似て、デンプン区分との2重マトリックス"をつくると報告された。グルテン-フリーパンで、タンパク質のネットワークを作るトランスグルタミナーゼの効能を調べる研究の仕込みにはキサンタンが含まれる。コーンスターチ,キサンタン、HPMCのコンビネーションで調製するグルテンフリーパンが求められた。
結論
今日まで、ハイドロコロイドはグルテンフリーベーカリー製品の生産にとり、唯一の限られ約束されたものであった。しかしながら殆どのハイドロコロイドはいろいろな製品に利用されており(時には非常に多くのものに)、そのうちの殆どは同一の基本的名前である。各製品は特異的な性質を有し、特別の製品には特別の機能を与えている。異なったタイプのものは互いに他の物とは非常に異なっている;そこでこの時、ハイドロコロイド製品は特にグルテンフリー製品にとって特別にデザインされるものでは無いが、重要なことは、もっとも密接に品質と必要な加工の属性を提供するタイプをえらび、あるいはタイプの組み合わせを選ぶ事である。これは又、食品製品調製時に用いられているハイドロコロイドのコンビネーションの応用である。この理由のため、完全な徹底したグルテンフリー製品の調製時のハイドロコロイドの効果の研究は多分まだ完了していない。ハイドロコロイドの可能性の評価の為に、適当なハイドロコロイド、あるいはハイドロコロイドの混合は、他の成分とともに、例えばカルシウムイオンの様なものと、必要ならば好ましい必要な属性を得る為にいつか評価される必要があろう。
グルテンフリー食品へのハイドロコロイドの利用(1)
イントロダクション
食品ガムとしても知られるハイドロコロイドに関するこの章は、グルテン及びその成分タンパク質(グリアジン、グルテニン)の性質の試験ではなく、ある種のハイドロコロイド、あるいはハイドロコロイドの混合物のどんな性質がグルテンの機能を真似るのかを詳しく説明するものであり、如何にグルテンフリー食品を調製するのにハイドロコロイドを用いるのかを述べるものでもない。ある性質を述べることになるが、あるハイドロコロイドのネットワーク形成、フィルム形成、厚さ、水分保持能であるが、それはグルテンフリー食品形成に有用なものであろう。
ハイドロコロイドを分類するある1つの方法は、この本の目的の中身にとっても有用であり、それはそれらがゲルを作れるか作れないか(すべてのハイドロコロイドは、レベルは異なるが、水と結合し保持し、そして全て粘性のある水システムとなる)である。グリアジン、グルテニン、及びハイドロコロイドはすべて生体高分子である。グリアジン、グルテニンはタンパク質であり、一方最も殆どのハイドロコロイドは多糖類である。タンパク質のゼラチンは、しばしばハイドロコロイドに分類されるが、しかしこの章では述べない。この章では、主に多糖のハイドロコロイドを一般に言うゲル形成材、肥厚剤、水結合剤として討論する。
ゲル効果を示すハイドロコロイド
ゲル形成がこの中で重要な理由は、ゲル化は3次元の立体構造を形成するからである。ハイドロコロイドゲルは粘弾性があり、それはあたかもグルテンのドウがデベロップしたようである。しかしながら相違はある。グルテンによりもたらされる特異的レオロジー性質(粘弾性)は、ハイドロコロイドによりもたらされるものとは異なり、異なるハイドロコロイドでできるゲルのレオロジー的性質も互いに異なるものである。ハイドロコロイドによるゲル化(例えばハイドロコロイドによるネットワーク形成)は、それらの長さの全部にわたりポリマー分子間の密接な結合、あるいはポリマー分子の束を含み、それらは互いに水素結合、あるいは多価カチオン(殆ど常にカルシウムイオンかタンパク質質分子の何れか)でアニオン分子と架橋化している。これらの結合は接合部とよばれる。端、あるいは分子の端、あるいは分子の束の端の接合部の外側を伸ばし、もう一つ別のエリア中の他の分子あるいは分子の束と接合部を形成をし、3次元ネットワークをつくり、水を抱え込む(例えばスポンジ状構造を形成して)。
ハイドロコロイドによってできるネットワークは知られる限り、天然界では糸状である。グルテンネットワークは、ガスアワをトラップする力を与え、適当なセル構造を与へフィルム/シート及び糸形成能、いずれももつ。あるハイドロコロイドは膜を作るが、それらは水溶性の膜で、ゲル化の際のネットワーク形成に関与することは知られてない。ハイドロコロイドの糸形成に関与する結合は水素結合であり、カチオンの架橋であり、わずかには疎水結合である。グルテンデべロップメントには、共有結合のジスルフィド結合の形成、より弱い二次的相互作用の形成、例えば静電気的相互作用、ファンデルワース相互作用、水素結合、疎水結合、及び双極子--双極子相互作用が関与する。酸化還元剤の効果は、グルテンデベロップメントの場合には相当なものであるが、巻き込まれるポリマーがタンパク質であるからであろう、しかしハイドロコロイドでは酸化還元試験の効果は知られていない。それはスルフハイドリル基を含まないからである。グルテン形成は又ハイドロコロイドより或るアニオンの存在に対しずっと感受性が高い。しかしながらいろいろの性質、例えばモジュール、弾性、強さ(力)、脆さ、凝集性、粘着性といったものを有するいろいろなゲルは、異なったハイドロコロイドを形成し、ハイドロコロイドのコンビネーションを作る。伸長性は多少ハイドロコロイドゲルでは考えにくい。
ハイドロコロイドとハイドロコロイドシステムは単にゲル化の別の意味ではなく、それ(水系)のでできたゲルの性質がいろいろであり、これがグルテンフリー食品の性質に影響するのである。
多糖類ゲルの殆どは熱可逆性である(即ち可溶)。熱可逆性ゲルはドウ中で加熱されたガス泡を保持し十分にネットワークを保持できず、そして適当に開かれたセル(例えばクラム)構造を作る。ほとんどのジャンクゾーン(ゲル)は(引張)力で壊されたあとリフォームはしない。かなり分子は再溶解(一般に加熱による)するが、続いて溶液から一部変化する(普通冷却で)。
如何にハイドロコロイド、及びその3次元ポリマーネットワークを作る力がグルテンフリー食品を作るのに利用されるかははっきりしない。しかし各ハイドロコロイドグループは以下簡単なやり方で、必要なものを選択する目的で示された。デンプンと修飾食品デンプンもゲルを作るが、ハイドロコロイドのように分類しない。この章では議論しない。
ハイドロコロイドの肥厚剤及び水吸収能
すべてのハイドロコロイドは肥厚した水システムにできる。それはゲル化剤として上に述べたリストにすべて含まれ、すべてはある条件下で可溶で、そこではゲル形成は起らない。例えば、アルギン酸ナトリウムは水システムの肥厚材だが、カルシウムイオンあるいは水素イオンを加えるまではゲルを作らない。
もしゲルが十分な温度に加熱されるならカルシウム塩は溶ける;アルギン酸カルシウムの熱溶液が冷却されるときにゲルは生成する。又、キサンタンあるいはローカストビンガムの溶液はそれら自体ではどんな条件下でもゲルを作らないが、組み合わせにすると硬いゲルを作る。更にメチルセルロース(MC)溶液、及びハイドロキシプロピルメチルセルロース (HPMC) 溶液は、可逆ゲルを起こすのに加熱せねばならない。最後に十分な条件にしなければ何れもゲルを作らない。
すべてのハイドロコロイドではないが一部を表9.1にリストした。リストに乗ってないいくつかは、それらがゲル形成しない肥厚水系であってもグルテンフリー製品に有用されるかもしれない。このハイドロコロイドには、カルボキシメチルセルロース(CMC)、グアガム、プロピレングライコールアルギン酸(PGA)がある。
ほとんどのハイドロコロイドは、いろいろの粘度グレードで利用される(粘度グレードとは、ある特別のものが水中に一定濃度で溶ける時に生じる粘度のこと)。いくつかのものにとって、粘度グレード間の違いとは、最も高い粘度グレードとは同一濃度で最も低い粘度グレードの溶液粘度の10 000倍以上の溶液粘度を示すもののことである。より高い粘度グレードは増粘した時が目標である。より低い粘度グレードは高粘度のでない高液体濃度が用いられる時が理想的である;その例はハイドロコロイドがフィルム形成、あるいは結合に用いられる時であろう。あるガムのより低粘度グレードは、同じガムのより高粘度グレードよりも硬いゲルを作ることができる。
水系のハイドロコロイドで増粘するものは、異なったレオロジー(流動特性)を示す。多くのものはある程度、shear thinning(ずり流動化)を示す。ずり流動化とは、混合、圧送、咀嚼、嚥下等といった、力を加えると粘度が低下することである。2つのずり流動化のレオロジーがあり;pseudoplasticity (偽性プラスチック)とチキソトロピーである。Pseusoplastic flow (擬塑性流動)は瞬間shear thinning (ずり流動化)であり、
例えば力がかかった時、溶液/システムの粘度は瞬間的にかかる力の比率により低下し、瞬間的にその力が一部あるいは全て除去をされると粘度増加し、その結果生じる粘度は残りの力の関数である。チキソトロープレオロジーを有する溶液/システムは、力が加えられると薄くなり、その力が時間に依存して除去または減少されると厚くなる、すなわち瞬間的ではない。 むしろ、1秒から数時間まで変化することがあるタイムラグがある。これらの溶液は休んでいる時、しばしば弱いゲルになり、力がかかりそして除去される時、溶液/システムはゲル→ゾル→ゲル変換し、時に各変換起こす。他の方法で、ハイドロコロイド溶液/システムで互いの効果は違うが、温度、pH、塩の効果でそれらに影響するものがある。
すべてのハイドロコロイドの溶液(1つを除けば、すなわちキサンタン)は、0℃と100℃の間、加熱すると薄くなる。MC、HMPC、ハイドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びカードラン溶液は100℃前にゲルに達する。ハイドロコロイドはタンパク質がやるように変性しないが、そこで温度増加で鎖の移動性と立体配坐の変化があり、その一方プロセスは可逆的である。塩やpH のハイドロコロイド溶液/システムへの影響について、又いろいろ違いがあり、ナチュラルなハイドロコロイドへの効果よりイオン化したハイドロコロイドへのその効果は大きい。すでに述べたように、pHを低下させるとか、あるいはある種のアニオンハイドロコロイドの溶液にあるカチオンを添加するとゲル化が起こる。
ハイドロコロイドは、溶解の容易さにおいて互いに異なる。すべて水に結合し、水を保持するが、保湿剤として働く能力とは違いがある。あるものは水重量で100倍ほど結合ができる。それらは湿気ある食品の保存に用いられ(特に低脂質ベーカリー食品)、水分移動を抑えるのに用いられる。記憶しておかねばならぬことは、生地増粘剤としてのハイドロコロイドの利用はグミ製品にすることであることだ。
特異的ハイドロコロイド
各ハイドロコロイドの性質がグルテンフリー製品仕込み上、いかに価値があるかを考える前に気にしておかねばならぬことは、すべてのハイドロコロイドあるいは与えられたハイドロコロイドの粘性グレードではないが、粘性に利用されるかあるいはゲル水溶性/システムに用いられる。それらはしばしばエマルジョン、懸濁液、泡、タンパク質の安定化に用いられ、さらに氷、砂糖結晶化、成長の阻止、離水阻止、カプセル化に用いられるが、加工目的としては更に他の理由で、そこにはすでに述べられた水結合/保持の能力と膜形成する能力が含まれる。ハイドロコロイドはかなりある特異的な機能を与える力に違いがある。
アニオンハイドロコロイドは、例えばそれらはネガテブなチャージをもち、タンパク質と相互作用する。相互作用の程度と結果は、特異的ハイドロコロイドと特異的タンパク質の機能で、その等電点pH(pI)値を含む。各ハイドロコロイドは(著者が考えるのに)、グルテンフリー食品の形成に大きな価値のある物質である。以下アルファベット順に示す。
Agar(寒天)
寒天は2つの成分からなるーアガロースとアガロペクチンである。アガロースはゲル形成成分である。一般に寒天は100℃、あるいはそれ以上で水にのみ溶けるが、約80℃で水和し、可溶化したものが利用される。寒天はかなり高価で食品製品には少ししか使われない。
アルギン酸( アルギン)
アルギン酸 (あるいはalgins)はアニオン性ポリマーである。それらはアニオンであるが、その中で各モノマーユニットはウロン酸ユニットで(何れもD-マンヌウロン酸かあるいはL-グルロン酸)、そしてuronic acid はカルボキシル基(-COOH)をその構造の一部にもつ。カルボキシル基は遊離酸あるいはある塩中にある。最も一般的な形はナトリウム塩(-COO-Na+)のフォームであり、続いてアンモニウム塩(--COO-NH4+)のフォームである。
アルギン酸の主要な特徴は食品中の利用に関係があり、カルシウムイオン添加により、ゲル化する力のあることと関係ある。これが行われるのに3つの方法があり:(1)可溶性カルシウム塩溶液、例えば塩化カルシウム溶液をアルギン酸を含む、例えばアルギン酸ナトリウム溶液、あるいはそのシステムへ添加する(2)金属イオン封鎖剤を含む酸性溶液を、不溶性カルシウム塩懸濁液に添加する、例えばリン酸IIカルシウム、あるいは硫酸カルシウムII水和物カルシウをアルギン酸ナトリウム、あるいはアルギン酸アンモニウム溶液に加える。ゆっくりカルシウムイオンが不溶性カルシウム塩から外れ、ゲル化を起こす。(3)ゲル化はアルギン酸の不溶カルシウム塩、封鎖剤、次にわずかに溶ける酸を混合したものを加熱、冷却しても生じる。アルギン酸ゲルは普通かなり熱安定である。アルギン酸溶液のpHを3の値まで落とすか、あるいはそれより低くするとゲル化あるいは沈殿の効果があり、それは酸がいかに添加されたかによっている。アルギン酸溶液それ自信は、わずかに偽性プラスチックである。カルシウムイオンの低濃度添加は溶液をチキソトロピックにする。よりカルシウムイオンを加えるとチキソトロピック溶液をパーマネントのゲルに変える。
アニオン性ポリマーとしてアルギン酸はタンパク質と相互作用する。
アルギン酸プロピグライコール(PGA)中、50-85%のカルボキシル基がプロピレングライコールでエステル化する。PGAの溶液はチキソトロピックであり、アルギン酸ナトリウムあるいはアルギン酸アンモニウムよりずっと酸、カルシウムイオンに対し低い感受性を示す。
プロピレングライコール基は分子にある程度の界面活性を与える(例えば泡--、乳化−安定の性質)。
異なったオリジナルから集めたアルギン酸は、異なった構造をもち(2個のウロン酸の割合がその構造を作る)、そこで異なった性質、例えばゲル形成能とゲル形成タイプを示す。