2019年9月アーカイブ
2019年9月18日 10:34 ( )グルテンフリー食品への米の利用(2)
米ベースにしたグルテンフリー穀物製品の製造と特徴
米は主に精米として消費されるが、繊維とミネラルは製粉プロセスの間に失われる。食品成分として、米は最終製品にクリーム性、カリカリ性、及び堅さを与える。テーブルライスとして一般に用いられるものに続いて、ベーカリー製品同様、米はビール製造、ベビーフード、朝食用セレアル、スナック、菓子、デザートの製造に用いられている。食品加工、米利用の増加は、古来の製品への興味の増加とともにより健康的、より便利製品として消費者の要求の結果である。更に米ベースの製品は、アレルギー問題をもつ消費者への解決である。更に、殻、外皮、ふすまはエネルギー源、ポリマー成分のフィラー(つなぎ)材、更に栄養補助食品と濃縮タンパク質材の生製品となる。
乾燥した米朝食用セレアルには米フレーク、オーブン、ガンパフ米 あるいはエクストルードパフ米、刻んだ米セレアル、マルチグレインセレアルを含む。これらの製品はサトー、塩、フレーバーと十分な水存在下で加圧調理される。米フレークは、小麦やコーンフレーク同様のやり方で作る:米は調理し、栄養成分(脱脂ミルク)でコートし、続いて一部乾燥し、加熱、フレークロールを通し、オーブンでローストする。
米スナックはグラノラ、ブレックファスト、エネルギーバーに入る。幾つかのスナックは機能的食品(例えばそれらはコレステロールレベルを低下できる)として作られている。多くのこれらの製品は子供、女性、他の特別のグループ用に作られている。米粉は主に多くのアジアのスナックに用いられ、それはこれらの国々で最も栽培されている穀物のためである。米ヌードルはエクストルージョンで作られ、米粉は高アミロース含量のものが一般に用いられる。この加工は一部ドウの料理、ニーデング、起泡、最後に調理、乾燥のステップからなる。米ヌードルは主食、スープ、スナックに使われる。製品加工によると、ケーキはペーストリー、未膨化、乾燥あるいは発酵ケーキに分けられる。最後にクラッカーは非モチ米(例えばせんべい)、あるいはもち米(例えばあられ)を用いてつくられる。米粉は大変広く幼児用食品仕込みの生産に用いられるが、それは消化性と低アレルゲンの性質のためである。一部酸あるいは酵素(デンプン分解酵素を用いて)で加水分解した米粉は、遊離糖の濃度増加のために用いられ、甘味、粘着性に貢献する。
米粉は小麦の代わりベーキング利用に増えており、それは小麦不耐性の人々あるいはセリアック病を持つ人々に対して製品を調製するためである。それはグルテンフリー製品の調製に最も適している穀物穀粒粉で、柔らかい味、白色、消化性、低アレルゲンの性質のためである。
更に、他の事、例えば低タンパク質含量、低Na含量によることと、低レベルのプロラミンと簡単に消化できる炭水化物の存在がアレルギーに苦しむ患者にとって米をベストの穀物にした。しかしながら多くの米粉の長所にも関わらず、米タンパク質は食品加工上相対的に貧弱な機能性しかない。疎水的な性質のために、米タンパク質は不溶性で、イースト膨化パンのような発酵時生成のCO2を保持するのに必要な粘弾性ドウ形成ができない。米粉中の低プロラミン含量は、米粉を水と練った時のタンパク質ネットワーク形成を欠く。その結果、炭酸ガスが発酵中にできてもそれを保持できず、その結果低比容積で、非常にコンパクトなクラムをもつものとなり、普通の小麦パンのようなソフトでオープンな構造に似たものではない。
パンの品質を改良するため、構造材料、例えばキサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)といったものが普通グルテンフリーパンの仕込みに加えられた。最近、ペクチン、CMC、アガロース、キサンタン、あるいは大麦β--グルカンが米粉、コーンデンプン、Na-カゼイネートのグルテンフリー仕込みに用いられた。キサンタンガムを除くと、これらのハイドロコロイドの存在はパンのより高い容積を与えることがわかる。最終的には、2% CMC添加がパンの最大の官能テスト結果を与えた。セルロース誘導体の中で、ハイドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が適当なグルテン代替として、米パン仕込み中で、ガス保持能とクラム構造材としての性質に用いられた。HPMC添加で、米ドウの粘弾性、レオロジーの性質が小麦ドウのそれらにしっかり類似した物となった。4% HPMC (米ベース)の存在は、パン容積とパン構造に顕著な増加を導いた。他のガム、例えばローストビンガム、グアガム、カラギーナン、キサンタンガム、アガー等は、米パンでグルテン代替えとしてテストされた。一般に米パンの容積はキサンタン以外のハイドロコロイド添加で増加する;しかしながらパン容積で1%から2%にハイドロコロイドレベルを増加するとパン容積はペクチン以外は低下する。クラム気孔率(porosity)の高い値は1%のCMC及びβ--グルカンあるいは2%ペクチン添加で得られ、一方高クラム弾力性はCMCあるいはペクチン添加で生じる。
ハイドロコロイド添加は、米パンの生産に効果的で、パン比容積は小麦パンに比較できるほどのものであるが、しかし官能的外観とクラム食感は未だ低い。クラム食感の改良は最近植物種子のオイル添加でできるようになった。小麦粉に比べ、米粉はドウコンデショナー、あるいは酵素の存在には対応しないが, 多分それは米タンパク質の疎水性の性質のためであろう。しかしながら最近の研究から、米ベースの製品の製造にある酵素の有用性が示された。例えば、サイクロデキストリン グルコシル トランスゼラーゼ(CGTase)の添加は、米パン用に用いられると非常にソフトなクラムを持つパンにする。この酵素はα--アミラーゼの様に働き、加水分解されたものがサイクロデキストリンを作り、これはいろいろな固形、液状、ガス状の物質と複合体を作る事ができる。米パンでのCGTaseの改良効果は、脂質とタンパク質間のサイクロデキストリンによる複合体形成によるためである。CGTase の添加は又米パンのシェルフライフを伸ばすのに有効で、加水分解及びサイクライジング活性を通じて抗老化材のような働きがある。他の酵素で抗老化活性のあるものはα--アミラーゼである。これはエンド酵素であり、多糖類中でランダムにα--1,4グルコシド結合を切リ、その結果短い鎖を作り、イーストが発酵できる。α−アミラーゼによる中間熱安定性は、グルテンフリーパンのシェルフライフを改良する事ができ、パンのクラムソフトと弾性を増加する。ラッカーゼ (p-diphenol
oxygen oxidoreductase) は酸化酵素で、フェルラ酸エステルの2量化によってフェルロ化アラビノキシランの酸化的ゲル化を触媒するものである。小レベルのラッカーゼ添加(1.5U/g flour)は米パン比容積を改良するが、酵素レベルを上げると特にクラムの堅さに関して悪い効果となる。
他の酵素で米パン仕込みに良好なポテンシアルを持つものは、グルコースオキシダーゼとトランスグルタミナーゼである。これらの酵素は、米タンパク質の分子間、分子内架橋を触媒しタンパク質ネットワークの形成を促進するものである。しかしながら米タンパク質の酵素処理によって触媒されるタンパク質ネットワークは、完全にグルテンの機能をカバーするものではなく、ハイドロコロイドの減った分は未だ必要である。トランスグルタミナーゼ応用を考えたとき、外部からのタンパク質源の添加はリジン残基量の増加するためであり、それは架橋反応のための限界要因になる。外因性タンパク質源、例えば大豆粉、脱脂ミルク粉、あるいは卵粉のようなもの(合成粉ベースの12.5%)が、トランスグルタミナーゼのレベルを上げた存在下でグルテンフリーパン仕込み(米粉、ポテトデンプン、コーン粉、キサンタンガムを含む)に対し添加された。パンクラムの共焦点レーザー操作電顕は、乳タンパク質の架橋をはっきり示し、そのときはトランスグルタミナーゼの高い量(10U/gタンパク質)が必要であったが、多分それはミルクタンパク質の極性、及び無極性表面間の熱学的非互換性のためであろう。米粉タンパク質と異なったタンパク質分離物(豆、大豆、卵アルブミン、ホエータンパク質)間のトランスグルタミナーゼ触媒による架橋反応の適合性は、小さな変化の米ドウ性質の研究で評価された。振動試験で記録された弾性係数は、顕著にタンパク質分離物とトランスグルタミナーゼ両方で影響された。効果の程度はタンパク質源によった;豆と大豆タンパク質は弾性係数を増加し、一方卵アルブミンとホエータンパク質はそれを低下した。
大豆タンパク質存在下で、異なった電気泳動的技術を用いて、架橋のより深い評価をすると、これらの相互作用に入り込む主なタンパク質区分は米粉のグルテニン同様、大豆のβ--コングリシニンとグリシニンであるが、アルブミンとグロブリンも架橋はする。
米、大豆タンパク質の間の相互作用は、トランスグルタミナーズ触媒された新分子間共有結合形成で強化され、更に又,タンパク質間の間接のジスルフィド結合の形成によっても強化される。豆タンパク質に関しては、相互作用に取り込まれる主タンパク質区分は分離豆タンパク質と米粉からのアルブミンとグロブリンであり、しかしグルテリンも架橋した。結論として、異なったタンパク質源ですすめられる研究は、ネットワーク形成酵素とのコンビネーションで、グルテンフリー製品の構造を強める大きなポテンシャルとなる。最近、米粉の化学修飾により生産された米パンが小麦パンと類似のテクスチュアをもつようになった。
あるパンの特異性がグルテン不耐性の人々に呼びかけるようなグルテンフリー製品を得るために適用された。これはチャパテーの場合で、膨化しないインドの全粒小麦で作るパンである。各種ハイドロコロイド(HPMC、グアガム、キサンタン、あるいはローストビンガム)とαーアミラーゼを米粉チャパテーの仕込みで用いられ、貯蔵中に伸展性を保持する事でテクスチュアの改良をした。更にハイドロコロイドとα--アミラーゼはアミロペクチンの老化を遅らせ、より長い期間のチャパテーの新鮮さを保つた。
グルテンフリーパン生産への異なったアプローチとして、米粉を他の粉や異なったデンプンとブレンドして行う。コーンデンプン、玄米、大豆とソバ粉を含む複合した仕込みが提案された。これらの仕込みを用いたパンは貯蔵2日後もろくなったが、しかしこの効果は乳製品例えば脱脂ミルクのようなものを仕込み中に入れると低下した。更に、米粉(45%)、コーン(35%)、 キャッサバデンプン(2%)のコンビネーションで均一で良好なグルテンフリーパンができ、十分均一なセルがクラム全体に行き渡り、好ましい香りと見てくれも同様にできた。グルテンフリーパンの良品質のものが、少量の米粉(約17.2%)、コーンデンプン(74.2%),キャッサバデンプン(8.6%)を用いても得られた。最後に、ソバ粉、米粉のブレンドと水素添加した植物油脂とで良好な官能属性を持つグルテンフリーパンが得られた。
これからの傾向
文明国でとられる全エネルギーの僅か4% を与えるのみではあるが、米は重要なエネルギー源で発展途上国でとられる全エネルギーの26%である。発展途上国では毎日の摂取タンパク質の20%を米からとるが、その不完全なアミノ酸プロフィールと微量栄養素(特に製粉した米)の制限レベルの為に、米の利用を主食とすることは栄養失調の原因となる。セリアック病を持つ患者は既に栄養失調であり、免疫学的反応は、グルテン取り込みによって引き起こされるが、小腸の絨毛膜にダメージを与え、栄養価の吸収能を低下させる。更に、殆どのグルテンフリー製品は微量栄養素が低く、それは欠乏症の危険を増加する。米に基づいてグルテンフリー製品の栄養的品質を改良するためには、他のタンパク質源を加える必要ある。乳製品、大豆タンパク質は最も有用である。豆類タンパク質は穀物ベース食品への良い供給源であり、豆類及び穀物タンパク質の両方は不可欠アミノ酸を補完する。最近では粒に不可欠アミノ酸と金属を加えるために、米強化の異なった技術がすすんでいる。それとは別に特別の金属は製造工程で製品に加える事ができる。たとえば、Kishini et
al., (2007)は鉄強化(ピロリン酸第2鉄)したグルテンフリーパンを作り、これは官能試験と栄養的特徴は良好のものであった。しかしながらこれらの成分は製品の官能品質には影響するであろう、そして特に添加した成分の形と量に関心を持たねばならない。
玄米は栄養価値はあるが、米は主には米飯(精米)として消費される。玄米は外皮を除いて得られ、茶色はふすま層の存在により、そこには金属、ミネラルが豊富である。玄米は普通の精米粒よりもより栄養物質(例えば食物繊維、フィチン酸、ビタミンE, B, γ--アミのブチル酸(GABA)を多く含む。全てのこれらの成分はふすま層と胚芽に存在するが、搗精あるいは製粉の間にはずれる。栄養的価値がその残渣に結び着いているのだが、玄米が適当な卓上米に適しているとは思われないのは、加圧米調理器で調理せねばならぬことやその茶色の見てくれ、堅いテクスチュアのためである。更に皮が米から除去されると、ふすま層は悪臭を放ちはじめ、玄米の苦い味に貢献する。これが主に玄米の発酵目的に用いられる理由、あるいは食品加工の材料に用いられる理由である。
粒の発芽の利用は数十年前にスタートし、主に小麦、大豆に応用された。発芽した玄米は次の研究へと進み、米からあたらしい価値のある製品が開発された。1994年Saikusa et
al., は、玄米を水に40℃で8-24時間つけるとGABAレベルが顕著に増加することを見出した。食事からのGABAの取り込みの増加が、低血圧、睡眠促進、更年期または老年期の関連する自立神経障害改良、更に肝臓障害抑制することも判った。日本では発芽玄米が1995年マーケットに現れた。それ以来に日本人のなかに人気が増加し、その生産に関係する多くの産業が日本に表れた。この10年間、発酵玄米に関わる49種のパテントが現れた。未発芽玄米を得るための基本的な方法は、良好な玄米の選択であり、30-40℃で約20時間水につけるというものである。この製品は料理前僅かに洗浄し、乾燥と湿ったもの(例えば各々15あるいは30%水分含量)の両方がマーケットに出る。発芽プロセスの間、糖化で内胚乳を柔らかくし、休眠中の酵素が活性化し、分解物成分量の増加を導く。更に、金属含量は変化し、GABA、遊離アミノ酸、食物繊維、イノシトール、フェノール酸、フィチン酸、トコトリエノール、Mg, K, Zn,γ--オリザナール、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤の増加に至る。発芽した玄米は、普通の米料理器で調理され、簡単に噛み砕かれるような柔らかい製品になる。更にいろいろな食品の製品中の原材料として用いられ、発芽玄米ボール、スープ、パン、ドーナッツ、クッキー、米バーガーに用いられる。
グルテンフリー食品への米の利用(1)
米
イントロダクション
米は人の食事にとり、歴史を通じ、最も重要な食品の1つであり、最も広がった収穫穀物の1つである(全栽培土壌の9%)。事実、米は恐らくどんな他の収穫物よりも歴史上より多くの人々の食べ物であった。今日まで、米粒は世界の人々の2/3を支えてきた、それはほぼ25億人である。しかしながら世界中、米が食べものへの寄与の仕方はいろいろであり、加工されるタイプも実にいろいろである。米は主に白粒として消費されるが、この10年間米をその成分として含む数十の食品が食品マーケットに現れている。米の異なった2種の品種が栽培されている;Oryza
sativa とOryza glaberrimaであり、更に約22種の野生種がある。Oryza sativa はアジアの熱帯湿地に原生していたが、今や世界中で栽培されている、一方Oryza
glaberrimaはこの3500年間西アフリカで栽培されてきた。
米は世界の全穀物生産の29%に達し、小麦、コーンの生産と比較される。栽培は発展途上国に集中し、主には東部と中部アジア周縁が主で、そこでは全世界生産の91%を占める。中国(30%)は世界の最大の米生産者で、インド(21%)、インドネシア(9%)、バングラデッシュ(6%)と続く。アジア、アメリカ、アフリカの残った地域では、各々全世界の37%、5%、3%の米生産をしている。米と米ベースの製品で人が利用する量は国によって違っているが、殆ど米生産量に対応している。僅かな例外を除いて、実際には米生産のすべては生産者の国内で消費される。毎日の食事の最大消費はミャンマーで見られ、795g/一人当たりである。アジアでの米の平均食事消費量は285g/一人当たりで、先進国の消費量一人当たり米44gを上回る。今日の3大米消費モデルがある;アジアモデルは平均年消費量一人当たり80kg以上;亜熱帯、発展途上国モデルは30-60kgの間;西欧国モデルは10kg以下の消費である。この10年間、米消費量は発展途上国で次第に低下し、この傾向は新しい画期的な米--ベースの食品の開発研究を促すものである。明らかに2000年には400以上の米を含む新しい製品がマーケットに現れ、それは米消費増加のためにデザインされた新しい先鞭の結果である。
米は発展途上国で摂取される全エネルギーの27%に相当し、それは発展国で消費される全エネルギーの僅か4%である。他の穀物のように米は安価なタンパク質供給源であり、発展途上国で米は食事タンパク質の20%を供給する。
米粒の成分は、生育する栽培地、環境要因、加工法に依存する。米は多様な条件下で栽培されるが、湿気、温暖環境下ではより早く生長する。米粒には短、中、長粒がある。それらは粘性、あるいはもち性、そして非もち性で、異なった色の品種があり、その中には黒から赤、茶色が含まれる;ある種には芳香さえある。殻を外した米粒は、粒を覆っている3種の果皮層の色により褐色である。米粒は、炭水化物複合体に富み、タンパク質、ミネラル、ビタミン源、主にビタミンB源であり、コレステロールは含まない。米粒の化学組成は製粉時に変化する。ふすま層の外側の除去は、タンパク質、脂質、多パーセントの繊維、ビタミン、ミネラルの損失原因となる。鉄、P、K、Mgはこの穀物の最も重要な金属である。外皮は粒の20%を占め、シリカとヘミセルロースからなる。炭水化物は米の中に最も多い成分であり、そのうち約80%はデンプン(14%水分含量)である。米デンプンはグルコースポリマーのアミロース、アミロペクチンからなり、米の種類によってその比較は異なる。米粒中のデンプンの含量は表面から中心に向かって増加し、そのため磨いた米(精米)はデンプンに富んでいる。米デンプンはアレルゲンでは無いと考えられているが、存在するのが低刺激性タンパク質のためである。デンプンは米粒の物理的性質、及び機能性を決め、これらの性質は大きくアミロース/アミロプクチン比に依存する。アミロペクチンは枝のあるポリマーで、直線ポリマー(アミロース)より多い。しかしながら、アミロースは化学コミュニイテーからより関心がもたれているのはその調理品質の指標と考えられるからである。米デンプンでは、アミロースを欠いたものを"waxy, もち"とよび、もち部位における突然変異のためでおこり、あるいはその不透明な様相から"glutinous"とよぶ。米デンプン構造、機能の性質に関する完全な情報が、最近Fitzgerald(2004)によってレビューされた。
タンパク質は2番目に多い精米中の成分で、6.3-7.1g (N x 5.95)である。タンパク質濃度は粒の外から内に向かって低下し、不可欠アミノ酸リジンに欠乏している。アルブミン、グロブリン、プロラミン、グルテリン含量が穀物中でユニークであり、グルテリンの高濃度とプロラミンの低濃度である。他の穀物と比較した時、この特性はリジンの高含量を決めた。最も多い不可欠アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、アルギニンで、続いてアラニン、バリン、フェニルアラニン、セリンである。脂質はマイナーな成分であるが、栄養的、感覚的、機械的特徴に寄与し、それらはアミロース鎖と複合体を作る。米脂質はデンプン性と非デンプン性脂質に分けられる。脂質の大部分は非デンプン性脂質であり、それらはアリューロン層と胚芽中に存在する。それらは中性脂質で、少量の糖脂質とリン脂質を含む。最近、あるマイナーな脂質が、ガンや心臓病のようなクローン病の広がりに米の役割と関係あるとされた。
米粉生産とその性質
米粉生産
製粉
米は収穫され脱穀され、いわゆる水稲、もみ米で、そこでは粒は未だ殻あるいは外皮内にある。小麦に関しては、製粉とは米を作るのに一般に用いられる方法であり、米産業では製粉という言葉は加工ということを意味し、小麦製粉とは完全に異なる。小麦では製粉して粉を得るが、一方米の製粉は殻の除去を意味し、内胚乳のふすまを除去し、最後には壊れて変形した穀粒の除去である。
米の製粉は大きくその成分を変える。
先進国では、米の製粉は非常に洗練された加工法を含む。初めに水稲は米粒より大きなものを目の荒いスクリーンを通して、藁、石、他のゴミ、除いてきれいにする。このプロセスは、繰り返し、細かなスクリーンで小さな雑草の種子、砂、石、他の米粒より小さなものを除く。密度でものを分ける比重表で、石と米を分ける。どんな金属粒子も磁石で分離する。この洗浄段階の後、ハスクは米を2段階の回転ゴムローラーを通して除去するが、それは異なったスピードで反対側に回転するローラーである。玄米は皮を除いて得られる。このものはそのままでも食べられるし、搗精して白米にするかあるいは異なったものや副産物に加工して食べる。茶色はふすま層の存在によるためで、それは金属とビタミンに富む。精米は又、精白米として知られ、搗精米、あるいは白米としても知られる、玄米からふすまと胚芽を除去して得られる。搗精米用の多くの機械、方法があるが、しかし時には摩擦と研磨のシステムがつづく研磨システムが用いられる。初めのステップで、95%のふすまは研磨剤で除去され、それは粒を研磨面に接触させて行う。最終的に粒の表面に残ったふすま層は、研磨白色装置で粒と粒の間をこすり付けて除去する。搗精程度は直線的に研磨時間で増加しない。搗精プロセスの間の変化が観察されたが、ふすまの堅さの違いのためである; ふすまの堅さは外から内の層に向かって低下する。しかしながら、内胚乳区分が異なっても同じ堅さであるふすまから内胚乳への移行は、搗精の程度がほぼ9%になった時に到達する。
米の色は重要な品質上のパラメーターであるが、搗精の程度に関係するが、それは色素の分布が粒の中で均一ではないためである。生の米粉と米粉の輝度は搗精の程度により上昇するが、それはふすまと外側の内胚乳が除去されるまでである。ふすまと内胚乳外側はより、内胚乳の中心あるいは中核部よりも赤、黄色の色素を多く含むからである。しかしながらこれらの色素は、内胚乳中間部、中核部に均一に分布している。
殆どの米は粒として食べる。しかしながら米粒は地面でひび割れするか、あるいは乾燥の間、あるいは搗精プロセスの間もひび割れする。時にこれらのひび割れは、粒の破壊や壊れた米をつくる。米の製粉では4-40%の壊れた粒の生成がおこり、それは米の品種と搗精装置によるためである。壊れた粒はインデントグレーダーで全粒と分けるが、それは調理の間それらがどろどろになる傾向にあり、このためテーブルライスの品質を低下させるためである。こわれた粒は、最終利用(醸造、スクリーニング、製粉)用に更にもっといろいろなサイズに分ける。幾つかの国では、こわれた米はそのまま売られるが、製粉した米より値段は安い。破砕した米は、ビール製造,高フラクトースシラップ、粉、高タンパク質粉、デンプン、マルトデキストリン,グルコースシラップ、家畜用餌、スピリッツ、蒸留酒に用いている。
結論として、米から精米、破砕米、米ふすま、皮、外皮をえる。価値を与えた多くの製品が米から発達し、例えば昔からの加工米(おかゆ、発芽米等)、米粉、ふかした米、および乾かしてかりかりにした米、朝食用セレアル、スナックがある。
研削
砕かれた米粒は3つの異なった方法で粉に挽くことができる;(1)湿らせた粉砕は、まず初めに砕かれた粒を水中に付ける。水から引き上げ粒を水の存在下で砕くが、それは損傷デンプン量を減らすためである。過剰の水は乾燥で除去し、粉は再び再粉砕し、湿米粉を得る。この生産物はいろいろなアジアの特殊なものに用いられ、例えば日本のケーキ、台湾のケーキ、インドの発酵食品等である。(2)湿研削を0.3-0.5%NaOHの存在下で行うことが米デンプン、米マルトデキストリン、シロップの調製時に用いられる。(3)セミドライ研削は又、浸ける、引き上げる、そして過剰の水なしで研削する。乾燥の研削も可能である;この場合破砕した乾燥粉は直接に湿米を直接異なったサイズへと砕く。乾燥米粉は、ベーキング、ベビーフード、エクストルージョン料理製品、高タンパク質粉製品に用いられる。
米粉の性質
米のバラエティは、その栽培地域、粒サイズ、アミロース含量で分類される。インデカ米はインド、バングラデッシュ、ベトナム、タイ、パキスタン等で育ち、一方ジャポニカ米は中国北部、中部域同様、日本、韓国で栽培される。穀粒のサイズに基づいて、米は長(6.6mm以上)、中(5.5-6.6mmの間)、あるいは短(5.5mm以下)に分類できる。アミロース含量はモチ(1%以下のアミロース)とウルチ(アミロース10%以上)で異なる。米は主に精米として用いられ、このため米の異なったタイプの中で第1の違いは、その物理--化学的性質の違いもあるが、料理の特徴に反映する。米粉は完全な穀粒から得られるが、搗精プロセス間に壊れた粒殻からも得られ、そのコストは全精米粒よりも安価である。一般に米粉は粉砕親粒と同じ化学組成である。米粉の特徴は、固有品種のバリエーション、生育環境の違い、粉砕方法、研削方法、事前の処理の違いによって変わってくる。
米粉は主にはアミロース含量が異なり、そのため糊化温度が変わり、一般的糊の性質、粘弾性が変わる。糊化性質の分析は米粉の性質の特徴を示す有用な方法で行われる。アミログルフは古くから用いられる機器であるが、最近はrapid viscoanalyzer (RVA)に置き換わったが、RVAは精度、感度、迅速性が高く,糊化性をより良く理解をさせてくれる。米粉の糊化の性質は大きく品種による;事実、米栽培者は良くRVAを米品質の指標としている。栽培品種Bomha とThaibonetの米粉は、より高い糊化温度を示すがこれは高糊化温度と低ピーク粘度によるもので、高アミロース含量からくるためである。これらの性質は典型的には長粒による。しかしながら、Bomhaは非常に短粒であり、料理用の間、長粒の用に振る舞う。Bomha粒は、高温度保持サイクルの間、低粘度のブレークダウンを示し、冷却の間、老化の傾向を示すはっきりした粘度増加を示す。そのため粒長だけでは米の糊化性質を示すのには用いられない。対照として、Bahia とSeniaはより高ピーク粘度とより低い糊化温度を示し、そしてその両方は加熱、冷却の間、同じ性質を示す。
近赤外スペクトロスコープは、タンパク質とアミロース含量の迅速測定技術である。マーケット上に現れた新しい装置の1つにMixolabがある(Chopinにより開発)。Mixolabで、粉の撹拌と糊化の性質が(即ち、粉の機械的、熱的制約下に於ける性質)決まる。得られたプロットから外挿して有用な情報が得られた。加熱サイクルスタート前の最初のカーブの部分から、粉の吸水性が求められる。トルク1.1Nmの対象はBrabender Farinographの500BUに相当する。2番目カーブの部分は、RVAの普通得られるものと類似のものである。しかしながらMixolabはドウシステム中で働くのに対し、一方RVA分析は懸濁液中で働く。アッセイの間、カーブの異なるスロープは、粉の異なった性質に関係がある:加熱によるタンパク質ネットワークの弱体化のスピード(α);糊化速度(β);及び酵素的分解スピード(γ)による。例えば、Mixolabは米粉の性質への水添加効果を示す。水添加増加にともなって、ドウの希釈効果と一致してドウ物性の低下が求められた。この違いは撹拌ステップ間(カーブの初めの部分)により大きくなり、そこではドウが機械的拘束により影響され、タンパク質が主な役割を演じているのである。しかしながら、加熱と冷却サイクルの間、異なる水分含量のサンプル間の違いは低下する。システム中の水存在量は、デンプン糊化に限界があるが、多量のデンプンの糊化には十分であった。
製パン用に適した粘性に達するために、米粉ドウは小麦粉ドウに比べて非常に高い水和を要求する。大量の水の添加は、撹拌の間ドウ性質のかなりの改良を導く(例えばより高い安定性)。加熱--冷却サイクルの間、より高い水和ドウはより低いピークトルク(これはデンプン糊化に関連する)を示し、更に冷却の最後にはより低い最終トルクを示し、それはデンプンの希釈効果のためである。より水和した米ドウは又、より低いセットバック(アミロースの老化傾向に関係)を示し、それはアミロース希釈によるためで、一方、デンプンの糊化程度(α)、酵素的分解スピード(γ)は多量の水利用で増加する。
糊の性質がベーキングの間の動きに影響するために、特に粉がベーキングをきめる際には注意深い粉砕に用いる米品種の選択が薦められる。一般に、長--粒品種は中間--あるいは短--粒品種よりもアミロース含量が高く、高い糊化温度を示し、より老化傾向が大きい。米粉はもち米品種からも得られる。これらのもち品種はアミロース含量が1%以下で、低糊化温度(61−62℃)を示す。例えその性質がベーキングに適してなくともこれらの粉はマイナーな成分として用いる事ができる。
環境の違いが又、米粉の糊の性質を決めるのに顕著な役割を演じる。実際には、Minh-Chau-Dang and Copeland (2004)が、3種の異なる米品種(Doongera, Langi, and Kyeena)の糊の性質への生長季節、場所の違いの影響を調べた。遺伝子タイプ、生長季節、栽培場所、全てが米粉の糊化の性質に影響する。生長季節が最も寒冷のものは、各栽培品種のアミロース含量が顕著に高く、その結果、アミロース含量のより低いサンプルよりもRVAトレースで低いピーク粘度と高いセットバックを示す。同じ米栽培品種が同一季節に他の場所で生長する時、得られた粉には科学的成分に顕著な違いは無かった。しかしながら、顕著な違いが糊化の性質にあり、環境の影響は米の糊化の性質に影響する事がわかる。結論から言うと、米粉の糊化の性質は遺伝子タイプに関係あり、環境要因で影響を受けるが、粒の細かな変化は化学分析では判らないという事である。
米粉の物理的性質は、又収穫と製粉の間の経過時間によっても影響を受けるが、それは貯蔵前の乾燥プロセスに用いた温度によるものと同じであった。収穫時の米水分含量の米粉の性質への影響が、長--、中--粒米で研究された。粉のピーク粘度は、米の機能性とパーフォーマンス(できばえ)を示すもので、米収穫時の水分含量の低下にともなって増加する、しかし増加のスピードは米品種、生長場所によって影響される。更に貯蔵期間、温度は顕著に米粉のエンタルピー、糊化温度、老化に影響する事がわかった。最近、Zhou et
al., (2003) は、米貯蔵の時間と温度も各栽培品種のRVA米粉糊化カーブに影響することを観察した。この仕事で、タンパク質のプロフィールの変化が観察され、そこには高分子量ペプチド量の増加と貯蔵時間の間のポジテイブな関係が認識された。事実、オリゼニンの構造と性質の変化は、デンプンよりも、貯蔵と結びつく米の物理的性質の変化に関係が大きかった。
製粉工程の条件は非常に重要であり、テンパリングの間、多くの乾燥ステップと温度は大きく米品質に影響する。2-、あるいは3段階目の乾燥は、1段階目の乾燥に比べ乾燥による割れ目%を低下する。高温でのテンパリング(60 ℃)も乾燥ステップ数とは関係無く割れ目粒の%を低下する。用いる研削法も、米粉の機能的性質に影響を与える。製粉の方法とタイプは、米粉の粒子サイズを決め、又損傷デンプン量を決める。Nishita and Bean (1982)は、異なった製粉機で得た米粉の性質について比較研究した。ローラー製粉機は米粉を中間の粒子にし、ベーカリーに都合良い状況にする。対照としてバー製粉機は、多少あらっぽい粉にし、製パンでは低品質用のものを作る。ハンマー製粉機を利用すると、高レベルの損傷デンプンを含むより細かな粒となり、製パンには十分ではないが、ケーキ製造には用いる事ができる。糊化性質では、より大きな粒子サイズの粉は、低いピーク粘度と50℃で最終粘度(老化への低い傾向)となり、一方中間あるいは小粒子の粉は、どんな顕著な変化もその性質に示さなかった。
DSCで得たエンタルピー結果は、粉砕の間のデンプン損傷の程度を示す。より低いエンタルピー値はより高いデンプンの損傷と関係ある。(TSL)( 熱刺激ルミネッセンス ) も熱分析技術として用いられるが、TSLで観察されるものは、標本においては永久の相変化によるものである。照射した米粉をこの技術で調べ、電子/ホールトラップ生成にTSLピーク強度の増加が見られた。
他のルミネッセンス技術は光ルミネセンスである。光ルミネッセンスのピークの強さは、米の品種の違いとその起源によって異なる。光ルミネッセンスの2次元イメージは、この技術を米製品の品質コントロールの目的で非破壊的迅速評価として大きく用いられ、異なった品種のブレンド、コンタミ、外国サンプルの検知を可能とした。
粉のレオロジー的性質は、温度、水分、脂質含量によっても影響される。Dautant et
al., (2007)は、一定の水分含量下で粘度は温度が上がると低下すること、そして適用される温度に関係なく、ずり速度が上がると低下することを見出した。このずり速度が上がると粘度低下する事は、材料の擬似性を示す。水分あるいは脂質含量(5%まで)の増加は、又粘度を低下させる。エクストルージョンプロセスの間、米粉は調理される。そこで、食品産業に用いられるベストの加工条件を決めるとき、重要な事は米粉の特性を考慮する事であり、それは最終製品の品質に影響するためである。
普通、米粉は精米からか製粉粒からも得られるが、時には玄米が製粉に用いられる事もある。玄米から得られた粉は、同じ製粉したものより13-17℃糊化温度が高く、そして約40%大きな糊化エンタルピーを示す。玄米からの粉は高含量の繊維、ビタミンを含み、穀粒の外側の粒中にそれらは富んでいる。これらの成分は特に焼き物に感覚的性質(色、テクスチュア、味)を与える。しかしながら玄米粉は非常に短い保存期間しかない。これは活性リパーゼとリポキシゲナーゼの存在によるためで、これは遊離脂肪酸の放出により、酸化が始まり製品の味に苦みを与える。これらの粉の安定性は貯蔵中の温度、湿度の低下、あるいは不活性大気を用いる事で増加が起こる;しかしながらこれらの修正は製品のコストに影響する。変わったものとして、玄米は、既にひいた米に製粉したふすまを適当レベル添加する事で調製することができる。この場合、ふすまは化学的、物理的処理を事前に行いその安定性と保存性の延長を確かなものにすることができる。異なったやり方でふすまの脂肪を除去する。米ふすまを脱脂、あるいはしない場合、小麦ベース製品の繊維、ビタミン源として用る事ができる。米粉は料理した米からも得る事ができ、その加工で定常及び、動的剪断でレオロジー的性質を修正する。製粉前、穀粒を煮るような加工して、米の物理化学的特徴を変えることができる。煮る加工で、水稲を水に浸け、加圧下の蒸気をかけ、米粒中のデンプンを糊化する。冷却後、ゆっくり乾燥すると砕ける効果が低下する。デンプンの結晶から非結晶状態に変化させる事は、栄養成分をふすま層からデンプン内胚乳へ移動する傾向にある。煮た米はより高含量レベルの栄養価(ビタミン、メタル)と異なった官能特性を示す。煮た米から得た粉は、ソフトで粘ったドウを作るが、それは低水分保持能とアミラーゼ攻撃への高い感受性のためである。そこで、これらの粉は製パンには適さず、ケーキ製造に低濃度で用いる事ができ、そこでは短加工時間がアミラーゼ活性を低下させる。糊化前の米粉は、エクストルージョン、パフ、あるいはローストによって得る事ができる。全てのこれらの処理は、米粉のレオロジー性質と反対に働き、ネバネバしたドウと低容積パンをつくる。