2020年7月アーカイブ
2020年7月29日 10:52 ( )モロコシ(Sorghum); そのユニークな栄養と健康促進効果−3
4 モロコシによるヒト健康と幸福になるチャンス
4.1抗酸化性と抗炎症性関連メカニズム
酸化的ストレスは、慢性疾患の発症への中心的役割である。この事実の確認は試験管内で急増に進み、更に食品からの予測能力を目的に食料品ベースによる研究が行われ、そして食品成分が生体中の酸化ストレスを低下することを導いた。Google Scholar researchでは"抗酸化能"に対し160万件以上のヒットを示した(4月現在、2016)。1990年代以来、食品科学、栄養の域における頻用文献は、殆ど抗酸化関係試験といろいろな食品成分の"抗酸化能"のものに基づいている。ポリフェノールの酸化還元作用の化学のため、ポリフェノールは最も広く研究されてきた食物の抗酸化物質である。
試験管内で測定した抗酸化能と、生体中の抗酸化能と直接に関連があるという誤った仮定が、ポリフェノール含量の高いいろいろな食品商品、殆どの果物,野菜中のフェノール含量(および抗酸化能へ拡大により)とを比較する行き過ぎた研究へ導いていった。消費者の想像する推論とマーケット会社が用いる推論は、より高いポリフェノールと試験管中の抗酸化能がよりベターな健康上の利点に等しいのであるという推論であった。しかしながら試験管内の抗酸化能と、生体中の目標となる物質が影響する力あるいは酸化ストレスの低下との間には直接の関連がないことが今や認められている。これは生体中の遊離ラジカルを消すための食事抗酸化物質の能力がその貧弱な吸収性のために制限されるためであり、それは一般にずっと強固な内因性の抗酸化システムと同じである。しかしながら多くの食物ポリフェノールは、それらの構造により間接的に内部の酸化還元酵素(例えばフェーズII酵素)の表現と活性を変調させ、影響を与える。結論的には、ある特別の食品あるいは商品の抗酸化能は、特異的活性物質の成分より関連性が低いのである。
モロコシポリフェノールは試験管内で他の粒より高い抗酸化能を示した。これはそれらの中の高ポリフェノール含量を期待したためと思われる。しかしながら前述のように、これを自身は良好な健康価値を意味しない。我々のデーターは他の研究者と共に次の事を示した。モロコシ中に見られるユニークなポリフェノールは、事実重要な生化学的性質を示すが、それは恐らくより大きな健康価値を与える抗酸化活性とは直接関係がないことであった。例えばモロコシ3-デオキシアントシアニジンは強いフェーズ II酵素誘導体であり、その性質はアントシアニン類似体としては報告されてない。このような内部脱毒酵素に対する間接的効果と高度に関係があり、それはこれらの物質が酸化的ストレスに重要な結果を持つ性質に働きかけ、そして低レベルの取り込みでガン化阻止が生じることを示すためである。更に3-デオキシアントシアニンの構造は、フェーズII酵素の能力に大変な影響を与える;O-メチル置換はそれらの活性を顕著に大きくする。興味深い事にO-メチル置換は実際に試験管中でのポリフェノールの抗酸化能を低下する;これは試験管中での抗酸化能が生体中での効果にまで外挿することは危険だというハイライトである。他の証拠はモロコシ茎から抽出した色素が、サイクロフォスファミドにより誘導したラット能の酸化的ストレスを除去したことであるが、このことは酸化的ストレス関連の神経変性疾患を阻止する効果を示すものである。こうしてモロコシ3-デオキシアントシアニンは、その成分から生体中の酸化ストレスに対し重要な間接的な価値を示した。
異なったモロコシタイプの中で、タンニンを含む品種は試験管中での抗酸化能は最大であり、それは単一フラボノイドに関係あるタンニンのより高い遊離ラジカルのスキャベンジング力によるものである。重合化したタンニンは互いに近接してより多くの-OH基を持ち、単一のフェノールよりパーオキシキシラジカルの消光に効果的であり、そして酸化還元サイクリング(これは時に1個のフェノール類での場合である)を通じて酸化促進剤のような作用は出来ない。試験管中のタンニンの抗酸化性の大きさは、生体中で直接の酸化ストレス、特に消化管中と関連ありそうで、一部はタンニンが典型的にタンパク質や吸収できない他の巨大分子と複合体を作るためである。この点で、結合した全粒フェノール物質は、標準のケミカルアッセイ(典型的に細胞壁材料に共有結合する)法では抽出できないが、消化管上皮と直接相互作用して抗酸化効果を示す、あるいは結腸で一部は微生物の加水分解により引きはなされると考えられている。酸化ストレスの他、慢性炎症(これは酸化的ストレスに関与)は普通のいろいろな慢性疾患への一般的なパスウエイである。こうしたフェノール物質や他の生理活性物質の炎症メーカーに対する効果の研究は、最近最もポピュラーな研究分野の1つであり、直接に病気予防の重要点と信じられている。事実、抗炎症テストは "アンチオキシダント2.0" とニックネームされた。炎症バイオマーカーに対するポリフェノールの効果はそれらの構造とターゲットマーカー(特別)によるが、これらの研究は健康に対するポリフェノール貢献の全体的可能性のインサイトを明確なものにするものであろう。更に、試験管中あるいは生体中での特別のポリフェノールの抗炎症効果のデーターは、一般的には一致しているようである。
最も良く知られた抗炎症物質はフラボン、アピゲニン,ルテオリンである。他のモロコシ中の単体フラボノイドもまたいろいろなレベルの抗炎症活性を示す。こうして驚くべき事ではないが、モロコシの抗炎症効果の直接の証拠は試験管中、生体中で有望視された。Moraes et
al., (2012) は、フェノール成分の違ういろいろな遺伝子型のモロコシを、21%-26%食餌として与えた大人ウイスターラットの低グレード炎症に対する効果を示した;全体的効果として粒のフェノール含量に関係なく、成分の方がより関係あることを示した。モロコシタンニン、及び非モロコシタンニンで赤、黒、白色果皮を含むいろいろなモロコシ品種からのふすま抽出物は、ヒアルウロニダーゼの活性を阻害する;ヒアルウロニダーゼの過剰発現はマクロファージと樹状細胞の慢性炎症反応を導く。タンニンおよび黒(非タンニン)モロコシからのふすまも又、試験管中でLPS(リポポリサッカライド)刺激後にサイトカインの遊離を低下させ、更にラット中のTPA (12-0-tetradecanoylphorbol acetate) による感染を低下させた。興味深い点は、小麦、米のふすまは2例の研究の中でそれぞれ抗炎症性質を示さなかった。このことはモロコシ中のユニークなフラボノイドがそのような観測の運転をしているのかもしれない。もう1つ他の研究は,白モロコシふすま抽出物がU266細胞によるIgE生産を抑えているが、一方小麦ふすま抽出物は抑えない事を示した。我々の最近の調査結果の確認は炎症に対するモロコシの効果で、最も強い効果がモロコシフラボンに結び着いていた(Agah et
al., 2017。
4.2モロコシのがん阻止
一般に全粒消費はガンのいろいろなタイプの阻止に強く結びつき,とくに消化管との結びつきである。例えばLarsson et
al.,(2005)は、結腸ガンリスクが女性で1日に全粒の1.5人分消費する人より1日4.5人分消費する人の方が33%減ることを報告した。また上部消化管のガン(食道、口腔,咽頭)リスクに対し全粒消費は50% 低下に結びついた。全粒ポリフェノールの抗酸化活性と他の細胞調節機構(例えばフェーズII酵素活性とエストローゲン活性)は、これらの恩恵に寄与する。
穀物粒の中でモロコシは有益な化学予防にその可能性を際立たせている。Van Rensburg(1981)の報告によると、食道がんの発生率が世界中のいろいろなところで(Africaとアジア)低下したが、そこではモロコシ消費が高いが、一方トウモロコシ、小麦の消費は発生率の上昇に関係ある。Chen et
al., (1993 ) の疫学研究は中国のサクシ州でも同一の発見を示した。この研究は、モロコシを最もよく消費する地域は食道ガンでの死亡が小麦,トウモロコシを第一に消費する地域より1.4-3.2倍低い事を示した。南アフリカの黒人の間でモロコシからトウモロコシ食に変更することで食道扁平上皮ガンの発生率が増加した。
試験管内、および生体中での実験で、モロコシポリフェノールのユニークな価値が疫学的研究ではっきりした。例えばモロコシ 3-deoxyanthoyanidins luteolinidin とapigeninidinはそれらの類自体cyanidinやpelargonidinよりもいろいろな濃度で、ずっとHL-60 白血病とHepG2 ガン細胞増加に対して効果があった。我々はまたモロコシタンニンがぶどう種子のタンニンよりもHT-29ガン細胞の成長阻止により効能があり、一方黒色モロコシ色素が赤キャベツアントシアニン色素よりずっと効果のあることを認めた。証拠からモロコシポリフェノールがガン細胞増殖を抑えるのに他の類維食品よりずっと高い可能性があり、そして使用低レベルで食事療法アプリケーションと関連するようであった。これら観察からは可能性ある理由は明確でないが、しかし多少はより良い生理的活性がモロコシフラボノイドにあり、それは他の類似食品に比べ相対的には低い親水性であるためである。モロコシフラボノイドは一般に水酸基が少なく、グリコシル化の頻度が低い。
最近我々は、特別のモロコシ品種中フラボンとフラボノイドの成分が低濃度で非悪性結腸組織中のエストローゲンレセプターβ(ER-β)を活性化する能力を高めることを見出し、そしてそのアピゲニン含量はER-β 活性の最も強い予測因子であることを見出した。ER-βの活性化は結腸癌予防の良く知られたメカニズムである。我々が更に示した事は、モロコシフラボノイドは卵巣包除マウスの結腸中アゾキシメタン誘導の異常陰窩巣形成低下を可能とし、生体中のエストロゲン様作用の阻止をはっきりしたことである。こうしてエストロゲン活性は、それによりモロコシフラボノイド、特にフラボン中の多いものが化学予防に貢献するメカニズムである。
4.3 肥満,血糖反応とその関連メカニズム
カロリーの過剰摂取の結果、今や飢えよりも大きな地球全体の健康問題になっている。肥満(に関連する健康問題)は、人類が今日面と向かって挑戦している最大の健康問題の1つである。より気になる点は、肥満、糖尿病の場合、発展国の肥満、糖尿病のスピードでライバルの途上国におけるスピードが次第に増加している点である。例えば、過剰体重と飢餓はアフリカの多くの国ではサイドバイサイドで共存している。過剰なカロリー摂取に関連する課題は、今後数十年で世界的な健康問題を支配すると予想される。モロコシは幾つかの理由からカロリー過剰摂取の問題でポジテブに貢献すると思われるが、将来に向けての最も重要なハイライトである。
4.3.1 ソルガム内胚乳の性質
モロコシ内胚乳は他の穀物やデンプン性食品に比べて比較的ゆっくりと消化するデンプンを含む。すでに説明したようにこれは主には内胚乳中デンプンの周縁にあるγ--カフェリンタンパク質の熱水処理(水存在下での調理)中の大きな架橋によるためである。ジスルフィド結合形成は主にはモロコシタンパク質架橋によるためであり、さらに調理の延長効果で架橋程度に影響し,より長時間でより大きなポリメリゼーションを引き起こす。架橋したタンパク質はアミラーゼ酵素の接近を邪魔し、デンプンからのグルコースの遊離の速度を緩める。Zhang and Hamaker (1998) は調理したモロコシ内胚乳はトウモロコシに比べて15%-25%デンプンの消化は低下すると報告し、更にこの効果は純粋なデンプンを比較して用いると消失するか、あるいは加水分解前に還元剤(メタ重亜硫酸ナトリウム)を架橋処理したモロコシ内胚乳タンパク質に用いると消失すると報告した。これらの結果は大きくEzeogu et
al.,(2005)と一致したが、彼らは試験管内で調理したハードモロコシ内胚乳分解を30分間で約75%のデンプンの消化を観察し,そのときの調理したハードトウモロコシ内胚乳の約90%のデンプンの消化と比較した。
ゆっくりしたデンプンの分解性は満腹感に重要な意味を持ち、そして食品への渇望を減らし、同時にそれは好ましい糖尿病へのグリセリック応答をする。事実、伝統的にアフリカ文化の中で、肉体的に厳しい労働の間、胃の中に知覚される持続力によって要求されたモロコシのかゆは、トウモロコシ、他穀物以上に好まれた。更に架橋したモロコシタンパク質は消化性は弱く(例えば30-55%の消化性で、調理したトウモロコシあるいは小麦タンパク質に比べてで、それらは80%以上の消化性である)、それはモロコシ−ベースの製品の全体的カロリー影響をより低下する。例えこれが高度に栄養過剰の人において価値があっても、タンパク質欠乏の人への影響も考えねばならない。
こうして、モロコシは実際に小麦、トウモロコシ、あるいはポテトの様な主流澱粉食品商品で体重増加に殆ど貢献するようなものに関心を持つ消費者の人達にそれを緩和するのに貢献できる。例えグリセミック反応と満腹へのモロコシ効果がヒトでの研究では制限されても、わずかの動物とヒト研究はモロコシ内胚乳の消化がゆっくりであるという試験管内中のいろいろなデーターを確認できる。例えばCarciofi et al., (2008) は犬ではモロコシがゆっくりのグリセミック反応をおこし、米,トウモロコシあるいはキャサバ粉の場合に見られる血中グルコースやインスリンのような急激な変化を起こさないことを示した。著者らはモロコシはより豆様に働き、食後血中のグルコース応答はレンズ豆やエンドウ豆に似ていたが、キャッサバ、トウモロコシ、米より消化性の遅い炭水化物が高比率で存在すると報告した。
最近、Stefoska-Needham et al., (2016) はフレーク状のモロコシビスケット(いろいろなモロコシタイプからの)を食べた被験者が朝食用に小麦ビスケットを食べた時より強い主観的満腹感を示したと報告した。彼らは、全食事後グルコース応答は、4時間以上では(血漿濃度−時間カーブの増分面積として報告)小麦ビスケット(67mmol/Lmin)に比べ全モロコシタイプ(47-55mmol/L
min)は低いことも報告した。モロコシのグルコース代謝と可能な体重管理の信頼できる利点を得るため、この種のデーターのより多くが決定的に必要となる。
4.3.2 モロコシのタンニン
モロコシタンニンもデンプン消化の修正と、一般食品のカロリーへの影響に興味あることを示す。これまで述べたタンパク質との知られた架橋とは別に、モロコシタンニンがまたデンプンとも直接に複合体を作り、それらの消化性を低下するかあるいは完全に消化出来なくする証拠が重要な事実となってきた。こうしたデンプン分解酵素阻害する力を超して、タンニンはまたデンプン自体を低消化性にするようである。タンニンのデンプンとの結合は特異的で、それはタンパク質の場合と同じである。モロコシタンニンの高分子量区分は,最もデンプンとの複合体形成に効果的である、一方カテキンの様な単量体フラボノイドはデンプンとは結合しない。更にタンニンの重合化の程度が増加するに伴って、そのデンプンとの結合効果は増加する。デンプンのアミロース区分がアミロペクチン区分よりもより早くタンニンと相互作用するということは、デンプン−タンニン複合体の特異性を示す。
デンプン−タンニン結合のメカニズムは主に水素結合により起こり,疎水相互作用により安定化し、それはタンパク質で見られるのと同じメカニズムと提案された。モロコシタンニン の直線的性質は水素結合にとり,整然として場所を与え,一方アミロースの"オープン"でラセンの性質はまた疎水的なコアを与えタンニンの芳香環と部分的な相互作用形成を促進する。これはまたタンニンの非澱粉性多糖類との複合体の他の観察を示すもので、そこでは多糖類の構造適合とその疎水的性質がタンニンとの結合効果を支持するようにみえる。著者らは疎水域を持ちオープン構造をもつ多糖類なら最も効果的にタンニンと結合することを見出した。
デンプンとのポリフェノール相互作用の研究報告の多様な研究体制は,デンプンの消化性に関し全くの影響を与えないというわずかな程度の発見しかない。これはこれらの研究の殆どに用いたポリフェノールがモノマーであったためであり、我々はそれがデンプンとは直接意味のある相互作用をしないものである事を見出した。例えば、茶カテキンはデンプンの分解性を低下する事がわかっている;メカニズムとしては酵素阻害を意味する。一方、われわれが見出したのはモロコシタンニンが3.4mg/gデンプンの低レベルですらデンプンの分解性を完全にブロックしたことで(>90%抵抗性デンプン)、そのとき部分的に糊化した無傷のデンプン粒と複合化した。更にデンプンの糊化の程度によって、タンニンは明らかにゆっくり消化デンプンを増加した。例えば、タンニンが高水分環境下で部分的糊化したデンプンと反応した時、我々はトウモロコシデンプンの消化を97から274mg/g正常デンプンまで3倍ほど低下させることを見出した。同一の実験で、素早く消化デンプンは46%まで低下した。更にモロコシタンニンは複合焙焼トリテーラマトリックス中の消化デンプンの低下をゆっくりだが増加した。この種の証拠は食品加工及びヒト健康と大きく関係があり、それはモロコシタンニンが生来デンプンを栄養的に体重マネージメントやタイプII糖尿病の阻止の利用に好ましいものとする成分として簡単に利用できるためである。
4.4 重要な食品安全作物としてのモロコシ
一般に食品として使用のモロコシは、主食として消費する社会が豊かになるに連れて減少する傾向にある。これは南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、インド、中央アメリカ等々の国におけるはなしであり、そこではトウモロコシ、米、小麦といった消費者により好まれる穀粒にシフトする。この傾向に寄与するファクターは、モロコシへの感覚が低品格作物であるという事に関係する、即ち貧者の食品ということである。残念な事にトウモロコシのような作物へのシフトが、これらの地域のある所では食品の安全保証問題に悪用された。例えばケニアでは低降水量の暑い周辺域でも存続農家によってトウモロコシがモロコシに変わって用いられ、そこはモロコシ生産にとりより都合の良いところであるのだが(例えば東部州)。その結果はこの地域は慢性作物の失敗と飢饉となった。更に広く公表されたケニア東部地域でのトウモロコシへのアフラトキシンのコンタミ関連による死は、モロコシからトウモロコシにシフトしたことが痕跡された。この非生物学的ストレスのもとで生産されたトウモロコシは、よりカビのアフラトキシンに感受性が生じる。
もう1つの問題は,食用作物としてのモロコシへの要求性を低下する加工性の問題がある。これまで述べたように料理中のモロコシタンパク質の架橋化が内胚乳中のデンプンの膨化能を抑え、そして殆どの穀物ベース食品で好ましいテクスチュアプロフィール形成のためのマトリックス形成を制限する。モロコシデンプンは又、より高温度で糊化し、そのため好ましいテクスチュアをえるためにはもっとエネルギーが必要となる。結論的にはモロコシはざらざらした、乾燥、涙脆い(離液のため)、あるいは崩れやすい製品を作りやすいが,それは製品の水分含量と加工条件によるためである。粒の低下した機能性は大きな障害であり、それはもしモロコシ利用が発展途上と発展した地域の両方で保持されつつ増加があるとすれば対処されねばならない問題である。
信頼できる研究を通してモロコシの"状況"を人に対して優れたあるいは独自の利点に関し良くするということは、単に現代の食物への利用の増加をするというだけではなく、殆どの生存のためにそれを必要とする人々とは逆転する人々の中で作物の衰退を確実にする大きなステップである。粒の次善の加工性のための技術克服は、また消費者が繰り返し利用する高品質製品確保のための長い道のりを必要とするであろう。
5. 結論
モロコシは栄養的には多くの面でトウモロコシに似ているが、モロコシは幾つかのユニークな性質があり、それは異なった人々の栄養的状態を改善するのに悪用されたことである。モロコシは栄養的エネルギー含量を全体的に強めるあるいは低下させるかの両方に対し異なった調理ができる様である。乾熱あるいは制限した水分、及び高剪断(エクストルージョンあるいはポッピングの様な)を用いた加工は、モロコシタンパク質の消化性を落とす事は見られず、実際にはタンパク質とデンプンの両方の消化性を他の穀物と同じように大きくする。このような加工は、発展途上中および発展した地域での子供や他の傷つきやすいグループの栄養強化をターゲットとした製品を作るために用いられるが、一方モロコシと結びつく他の健康恩恵がある。別に顕著な水分量(殆どの製品の場合ではあるが)を含む熱加工がモロコシベース食品製造に用いられ、減弱した血糖反応をターゲットにしたものでそれはカロリー摂取のマネージメントと同様であるが、さらにユニークなモロコシポリフェノールと結びつく追加的価値もある。
更にモロコシ由来のタンニンによるデンプン消化性低下の効果の強い可能性は、これらの成分により生来修正されたデンプンの新しいタイプの製品をつくる、あるいはカロリー低下をターゲットとする食品成分であることを意味する。
モロコシは多様な配列のフェノール成分を含むが,その多くは他の穀物粒中には見出されない。あるモロコシ品種中3-デオキシアントシアニン、プロアントシアニジン、フラボン、フラバノンの様な成分の高レベルの存在は,特に商業面に健康面両から特に興味深い。殆どのこれらの物質は熱加工に対して安定であり、そのためそれらの価値は多分製品中に保持される。その証拠から示される事は、モロコシ中の異常な物質でその高レベルは、粒中にあり特別の健康的価値を産み、それは他の穀物、例えばトウモロコシ、米、小麦では見られないものである。しかしながらより信頼出来るデーターがそこでは非常に必要となる。モロコシ食品が主食として世界の最も貧国な地域の、ある場所に大きく制限されて食べられているという事実は、粒の特別の健康的価値を広範囲にわたる研究を刺激する点で多少不利であった。しかしながら、開発途上国で肥満に結びつく"西側"健康問題が成長する件数とともに、これらの地域の人々の健康へのモロコシの影響を考える大きな機会でもある。
人間のモロコシベース食品の特別の健康価値の文書化は本質的に消費者の認識を揺さぶるであろう。ポリフェノールプロフィルのユニークな機能性を利用するモロコシで革新する他の機会はたくさんある。例えば、全て天然のモロコシアイスクリーム、多色モロコシスナック、モロコシ"茶"を含む革新的な食品は、AACCミーテングでの製品開発コンテストに勝った。西側食品マーケットでの"古代穀物"と健康全粒食品の要望への高まりから、すでに新しい革新的なモロコシベース食品が食料品店に提供されている。人の健康にいい影響を与えるモロコシの可能性ある完全な長所を示す製品は、長期的成功の最大のチャンスであろう。
モロコシ(Sorghum); そのユニークな栄養と健康促進効果−2
3、モロコシ中に見られる主要ポリフェノール類
ポリフェノールは植物中に至る所に存在し、推定される健康価値の第1のものとして遊離ラジカル消去能と病気阻止関連のいろいろなシグナル伝達経路の調整の研究があり広く行われている。他の穀物粒のように、モロコシもフェノール酸成分の殆どは粒の外側の部分(ふすま)に集中している。これは他の役割の中でこれらの物質は病原体や害虫に対して植物の天然防御の物質として働くからである。 事実、モロコシではポリフェノールの防御役割は明らかに明瞭であり、例えば;タンニン含有モロコシは鳥害虫には好まれない。
モロコシ中のポリフェノールは、関心がそれほどなくても、ユニークな成分であるとともに、他の穀物粒中にに比べても量が比較的豊富であるので非常に興味深い。モロコシのフェノールは又、ユニークな生化学的活性を持つことが報告され、さらに食品中での機能的性質も報告されている。例えばモロコシは、信頼できる文書中に報告ある凝縮されたタンニン(プロアントシアニジン)を含む非常にわずかの穀物である;大麦の穂やfinger millet(シコクビエ)もこれらの物質を含む。
モロコシ中に見られる他の物質でユニークなものは、3-デオキシアントシアニジン色素である。これらの物質は着色モロコシ種子(赤から黒の範囲)と二次的な植物の色に関係がある。それらは他の穀物粒や殆どの食用植物中に見られるアントシアニン類似体とは別で、ヘテロサイクリックリングの3位の位置の代用が欠除によるものである。
一般にモロコシは他の穀物粒よりも高比率のフラボノイドを含んでいるが、そこではあるアワ(millet)は除くがフェノール酸を含む傾向がある。他の穀物に比べてもう1つ重要な相違点は、モロコシは比較的高比率の抽出可能なフェノール酸をもつ点で、それは第1にモノマー、ダイマーグリセロールエステルとして存在している。全てモロコシ中の特異的フェノール類の成分は、十分特徴付けされたその合成をコントロールする遺伝子で高度に品種依存されている。フェノール類の構造と成分はそれら生理活性特性に殆ど影響しているが、モロコシフェノール類の成分をコントロールしている遺伝的要因の知識が、モロコシ品種の成長に対し継続的な取り組を導き健康と品質のための食品の特異的利用目標に成る。
3.1 モロコシ中のフェノール酸
穀物粒中でフェノール酸は最も豊富に存在し、これまで最も良く特徴づけられたポリフェノールグループである。安息香酸、桂皮酸誘導体の両方は、モロコシに存在し,桂皮酸誘導体が主体である。典型的にフェルラ酸誘導体は穀物類中のフェノール酸プロフィールの主体であり;これらの殆どは細胞壁構造の成分として存在し(ヘミセルロースにエステル化している)、簡単には加水分解した細胞壁から以外抽出できない。これらの結合したフェノール塩類は、全粒摂取と結びつく健康栄養に寄与する大部分と考えられて来た。それらはポジテブに直接腸内細胞相と相互作用とする考えられ、一部加水分解され更に結腸中に放出され吸収される。
モロコシ中のフェノール酸の成分は伝統的に他の穀物粒で報告される同じパターンを引き継いでいると報告された。しかしながらこれは結合したフェノール酸にとりのみ真実の様である。モロコシの結合フェノール酸の中にはフェルラ酸誘導体が典型的に90%あるいはそれ以上を占める。結合したフェノール酸が細胞壁の成分である時、粒の堅さはモロコシ中の含量に影響を与え、より堅い粒はより高い含量である。
Svensson et
al., (2012)によるパイオニア的論文は、赤モロコシ中の抽出可能なフェノール酸アルデヒドとグリセロールモノ--とジエステルの存在を示した。我々自身の研究は、殆どの抽出可能(有機溶媒)フェノール物質が赤、白モロコシ品種中と、我々が分析した全てのモロコシ品種中で目立つものに、多量のフェノール酸エステルの存在することを明らかにした。真っ赤なモロコシ中に成分はより高く、約2000μg/g粒と観測された。興味深いことに、殆どのこれらのエステル成分のフェノール酸はカフェイン酸(モノグリセリド、ジグリセリド、クマル酸およびフェルラ酸ジグリセリドエステル) であった。更に付け加えると、我々は制限された数の僅かなモロコシラインの分析だったが、この成分のどこにでもある性質は、フェノール物質の顕著な成分がモロコシ中一般に存在していることを示した。これまでのところ、我々はこれらのフェノール酸誘導体がモロコシの生理活性特性に寄与する可能性のあることを示すどんな研究にも気がついてない。それらが簡単に抽出されやすいことは、それらが恐らく上部消化管中に吸収し利用されやすいことを意味している。これらの成分はまたモロコシ中の他のポリフェノールと相互作用し機能性に影響するが、例えば3-デオキシアントシアニン 色素の安定性である。
3. 2 モロコシ中のフラボノイド
モロコシ中のフラボノイドは、他の穀物とも関係ある最もユニークな興味あるフェノール物質グループであり;それらはモロコシ中の多様な色と関係ある。フラボノイドは、植物中で最も多く、多種のフェノール類グループである。フラボノイドのバックボーンはフラバン構造によって特徴づけられ、ヘテロサイクリック(C)リングの周りの置換物質によリ大きく分類される。殆どの穀物粒中(米,小麦、大麦、トウモロコシ、オート麦等)フラボノイドは微量のフェノール成分であり、これらの粒の色素品種を除いては一般に製品には利用されていない。モロコシは幅広い配列のフラボノイドを比較的高レベルに含むことでユニークであり;これらの多くは一般には他の穀物中では見られないもの,あるいは殆どの食用植物には見られないものである。このように健康や栄養にユニークに影響する点で、モロコシフラボノイドは最も関心があり,最も広く研究されている。
モロコシフラボノイドは、モノメリックとポリメリック(凝縮)に分けることが出来る。モノメリック型はモロコシ中含まれる3-デオキシアントシアニン (色素)、フラボン、フラバノン、フラバンー4−オルスが同定された。興味深い同定されたモノマー型モロコシフラボノイドの特徴とは、独占的に3-デオキシフラボノイドである( 例えばヘテロサイクリック(C)リングの3位のものが欠けたもの)。この本領は食品加工およびヒト健康に関係してくる重要な化学的、生化学的性質を作る点である。モロコシのポリメリックフラボノイド(タンニン)は、主にフラバン-3-オルスの縮合化したポリマーで約15の平均重合度である。相互フラバンの結合は殆ど4è8であり、相対的に有機的結合構造を作る。モロコシタンニンは非常に多くの関心を引いたが、それは主にタンパク質に結合する能力があることと更に貧弱な消化性の複合体を作るためである。一方、タンニンはまたいろいろな健康的価値と結びついている。気のつく重要な点は、栽培される殆どのモロコシ品種はタンニンを含まない、それは栽培者によりこれらの物質に対する遺伝的選択が考えられているためである。これは、モロコシタンニンが高濃度で存在すると動物飼料にネガテブな効果を示すからである。モロコシ中の主フラボノイドグループの主な全体像は以下の様である。
3.2.1
3-デオキシアントシアニン
3-デオキシアントシアニンは、アントシアニンの誘導体であり;アントシアニンは植物中の至る所、花、葉、果物、他の植物組織の色に関係があり、オレンジ色から青黒色の色相の範囲である。アントシアニンの一般的性質は殆ど常にC-3のグルコシル代替物をもつ。これは一般に相対的不安定物質を安定化するのに助けとなる。モロコシでは、色素はC-3位置が未置換でありそのため名前が3-デオキシアントシアニンとなる。この小さな構造の違いは大きく食品加工に関係するおよびモロコシ色素の大きな生理活性特性に関係する。たとえモロコシがアントシアニン合成酵素を持っていても、アントシアニン合成のパスウェイは、もし植物が無菌(生物的ストレスのない)環境で成長しない限り、殆ど完全に成熟植物や粒中で3-デオキシアントシアニンのために抑制される。3-デオキシアントシアニンは、天然界では主にアグリコンとして存在し、即ち糖代用品なしで殆どいつもルテオリニジンあるいはアピゲニニジンの誘導体として存在する。殆どの一般の誘導体はダイマー同様、O-メチル化体を含む。これは常にグリコシル化されるアントシアニンとは対照的である。モロコシ−色素がアグリコンとしての存在する理由の一部は、多分3-デオキシアントシアニジン固有の安定性によるもので、これはグルコシル化を通じて安定性の必要性が低下するためである。C-5とC−4'の間の区域中のC-3の置換がなくなることは、アントシアニン類自体よりもより大きな疎水性が生じ親水性分子との相互作用が小さくなることである。3-デオキシアントシアニジンのこの域はより求核攻撃と水和に対し感受性を小さくし、それはアントシアニンの構造的転換の主メカニズムで溶液中で無色の形をとる。結論的には3-デオキシアントシアニンは比較的pHの広い範囲で安定なプロフィールを示すが、これは食品中に広い予測可能な色合いを与えるという長所がある。3-デオキシアントシアニンの付随的な長所はそれらがほぼ中性の域で赤色の色合いを示し、それが中性のpHで青色になる傾向のアントシアニン補体になる。その物質はまた植物組織(粒、穎,鞘等)にもたまっており、簡単に乾燥、長期保存できる。これは果物、野菜源のアントシアニンとは対照的であって、一般には水分含量、酵素活性が高くそこからの色素は貯蔵、濃縮するのに費用がかかる。モロコシ品種の中で、黒いモロコシ粒には最も高レベルのこれらの物質が含まれる(4-16mg/gふすま)。あるモロコシの植物組織(穎、鞘,葉)は、ずっと高レベル(90mg/gまで)これらの色素をためる。これらの非粒組織は植物体のずっと大きい部分で、色素の商業的生産源の開発にはよい機会である。それらの長所のためモロコシ 3-デオキシアントシアニンを天然食品色素として用いるのに関心が深く、多くの会社が色素試験のいろいろな段階にある。しかしながら3-デオキシアントシアニン利用には制限があり2つの重要な挑戦が必要であるが、植物組織からの貧弱な抽出性のためと水系中で自己会合する傾向があるためである。色素は果皮細胞内の細胞液泡中にあり、セルロース細胞壁材料中に高度に存在する。そこで細胞壁の破壊がそれらの抽出能を改良するのに不可欠である。酸性化した有機ソルベント、特にメタノールは最も試験室レベルでこれらの色素を抽出するのに効果的であった。しかしながらそれらが熱的安定性の証拠があるため、高温度と圧力システムの水系下でこれらの成分の抽出を大きく高めることが出来た。マイクロ波を抽出に結びつけると3-デオキシアントシアンを効率良く植物組織から外すことが出来る。
3-デオキシアントシアニンの水系での自己会合は多分、アントシアニンに関係しその低下した親水性による。それらは主にアグリコンとして存在する事がよりこの問題を悪化する。我々の経験から3-デオキシアントシアニンの成分はその水安定性に影響し、より高い親水性のルテオリニジン誘導体の色素は溶液中により長く留まる。しかしながら乳化安定材でカプセル化し、適当なHLB(親水性--親油性バランス)値の水溶液中では長時間色素を保持する最も実用的なメカニズムのようである。3-デオキシアントシアニンは平均的に低水分含量水系中で用いる事ができ、例えばアルコール飲料、さらにいろいろな非溶液食品への応用も同様に用いられ、即ちベーカリー,キャンデー製造等々である。
3.2.2 フラボン
フラボンは多くの穀物粒の見られる少量の淡黄色フラボノイドのグループである。最も関係のあるこれらの物質の食品源はハーブであり、例えばパセリやセロリである。しかしながらあるモロコシ品種はトウジンビエ、フォニオ同様、かなり高レベルのフラボンが蓄積され、まず第1にルテオリンとアピゲニンの誘導体がある。黄褐色の2時植物色をもつ赤とレモンイエローのモロコシ遺伝子タイプのものがこれらの物質の最も高レベルの蓄積をするようである。例えば黄褐色−植物モロコシで着色果皮は60-386μg/gフラボンを含む。フォニオ(Digitaria
exilis)はまた比較的高含量のルテオリン とアピゲニン(150と350μg/g各々)を含むト報告される。
興味深いことには3-デオキシアントシアンに比べ、モロコシのフラボンは元々配糖体として存在する。しかしながらグルコシド結合は酸性環境下では全く不安定で、簡単にアグリコンに加水分解される。事実フラボングルコサイドは簡単に胃中のpH条件において加水分解され、吸収が増加される。一般にモロコシ中のフラボンのレベルは栄養的にはいろいろな病気を阻止するのに関連があるが,それは相対的に低レベルの生物活性が観察されることに基づいている。更にそれらの活性は例えばフラバノンやフラバノールの様な構造的に相補的なフラボノイドの存在で強化される。
3.2.3 フラバノン
フラバノンは構造的にフラボンとは区別され、それはC-2と-3の間二重結合の欠除によって違う;それらのC-2位にキラル中心(不斉原子)を与える。それらは広く天然界に存在し、最も良く知られる(良く研究されている)ものでは、ナリンゲニンとその誘導体がある。最も関連のあるこれらの物質の栄養源はみかん類で、例えばナリンゲニンは相対的にグレープフルーツに豊富である。穀物粒中ではあるモロコシ品種は高レベル量のフラバノンを含む;例えば或るレモンイエローモロコシ品種は2000μg/g以上を含む。モロコシ中の殆どのフラバノンは第1にエリオジクチオールとナリンゲニングルコシドであり、それらのアグリコンと0-メチル誘導体も同様である。
興味深いことは、モロコシ品種はルテオリンベースのフラボンを大部分蓄積し、またエリオジクチオール-ベースのフラバノンを蓄積する。同様にアピゲニンベースのフラボンを蓄積する品種は、また主にナリンゲニン誘導フラバノンを含む。更に、紫の植物二次色はフラボノイドのルテオリン族 (例えばルテオリニジン、エリオジクチオール)とより高レベルで関係あり、一方、黄褐色や赤の植物二次色は、アピゲニン族(例えばアピゲニニジン、ナリンゲニン)とより高レベルで関係する。更に果皮の色と植物二次色の結びつきは、モロコシ中に蓄積するフラボノイドのクラスに影響する。こうして遺伝学を用いると、簡単にある特別のグループのフラボノイドを蓄積する媒介物としてモロコシを使うことができ、人の健康に価値のあるターゲットとして応用、利用ができる。
3.2.4 フラバン-3-オルスと縮合したタンニン(Proanthocyanidins)
フラバン-3-オルス はフラボノイドの亜クラスで、非常に天然界に多くあり、カテキン、ガロカテキン、およびそのアイソマーと誘導体(例えばエピカテキン、エピガロカテキン ガレート)が
最も良く知られている。ある植物で、例えば茶、いろいろなササゲのような豆では、フラバン-3-オルズは主にモノマーとして、あるいは低分子量重合化したポリーマーとして存在する。しかしながらモロコシではこれらの物質のほぼ大部分は高分子量重合ポリマーとして存在する(中間重合度は約15)、そしてモノマー形は僅かである。こうして、モロコシではフラバン-3-オルズは主に重合化するタンニンの生合成の中間体として存在する(またプロアントシアニジンと呼ぶ)。
フラバン-3-オルズの他に、他の3-デオキシフラバンもまたモロコシタンニンの重合化構造に関与する。例えばグルコシル化した3−デオキシフラバンポリマー (プロルテオリニジンとプロアジゲニニジン) はフラバノン( エリオジクチオールあるいはナリンゲニン )と末端単位としてそれらのアグリコサイドがモロコシ中に報告されている。モロコシ中のモノメリックフラボノイドとして、3−デオキシフラボノイドの支配的存在が考えられ、それらは重合化したモロコシタンニン合成に支配的役割を演じていると期待されるだろう。しかしながらこれらのタイプの重合化したフラボノイドはソルガムタンニンのマイナーな成分のようで、3-デオキシフラバンはモロコシ中フラボノイド重合化の中で小さな役割を演じているようである。また古典的な4→8Bタイプフラバン結合の上、A-タイプのフラバン間結合もまたモロコシでは報告された。こうして全体図の証拠からモロコシタンニン構造に顕著な異質性が暗示された。
モロコシでは重合したタンニンは最も広く研究されたフラボノイドグループである。前述したように、それらが化学的好奇心のこのような事実を持つ主な理由は、モロコシの食餌価値へのネガテブな影響が観察されるからある。タンニンはタンパク質に強く結合することが良く知られ、その性質は数千年間皮革に変換するために使用されている性質である。高タンニンソルガムの調理される時、タンニンのタンパク質との複合体は十分に顕著にタンパク質の消化性を制限する。このタンニンのタンパク質消化性へのネガテブな影響は70%あるいはそれ以上である。更に、タンニンは微量栄養素と複合体を作り特に2荷金属イオン、鉄や亜鉛、更にモロコシの栄養プロフィールにネガテブに働く。遊離型(他の食品巨大栄養素と複合体は作らない)では、タンニンは直接消化酵素(それ自体はタンパク質)と複合体を作り阻害しモロコシの栄養的プロフィールに影響を与える。しかしながら、これらの効果は強くモロコシ中のタンニン含量によるもので、タイプIII高タンニンモロコシで最もはっきりした影響を与える。
前向きに、タンニンは顕著に成熟中のモロコシ粒の鳥害虫補食を減らすようである。タンニンと非タンニンモロコシが同じ近傍にある時、観察される鳥の好みは非タンニンモロコシに対しドラマチックである。これは明白にタンニンが補食に対して重要な防御作用していることを示している。結論から、鳥補食による圧力が大きな問題である地域(東アフリカ、南アフリカ地域)では、地方で使用するための大部分のモロコシ成長は殆ど常にタンニンタイプである。