2020年11月アーカイブ
2020年11月22日 15:27 ( )アマランス ユニークな栄養、健康増進効果-2
2.7 生物活性化合物
フェノール化合物は、一般にリングに一つ、あるいはそれ以上のOH基を持つベンゼン環を含む物質と定義され、例えばフェノール酸,フラボノイド、タンニン、クマリン、あるいはアルキルレゾルシノールがある(Dykes and Rooney, 2007)。それらは全ての食品に見出され、外観,味、香り、酸化安定性に影響する。いくつかの研究がアマランス種のポリフェノールに注目し、多くのフェノール酸フラボノイド、それらのグルコサイドを同定した。
フェノール含量は普通Folin-Ciocalteu反応で決める。
しかしながら,文献中の全てのフェノール含量に関するデーターの比較は難しい。それは異なった抽出溶媒,校正用物質が用いられ、データーはケルセチン(Q)、カテキン(C)、ガリウム(GA)、フェルラ酸(FA)、等量(E)等いろいろ表現されるからである。これらのことは測定したフェノール含量中、高いバリエーションと関係するが,また遺伝的,環境的要因も考えねばならない。
Lopez-Mejia et al., (2014)の研究では、A. hypochondriacusのアマランス種子をメタノール、エタノール、ヘキサンのソックスレー、マグネチックスターラー抽出した。全フェノール含量(TPC)は16と25mg GAE/100g (dw) の間、ソックスレー抽出された。最も低い値はメタノールで得られ,一方エタノール、ヘキサンは、顕著により高い値であった。抗酸化能の点で反対の結果が得られた。メタノール抽出はエタノールとヘキサン抽出では僅かに約5mg Trolox E/100gに比べ、25-30mg Trolox E/100gである。これらの発見は、異なる極性と溶解性を持つ色々な物質の抗酸化能の違いを示す。Okarter (2012)による総説では,ケルセチン、カンプフェロール,エピガロカテキンガレートが最も強い細胞性抗酸化活性を持ち、一方他のフェノール酸、特にヘミセルロースに結合しているものはin vivoで抗酸化能にほんの僅かだが貢献していると述べた。一方in vitroでは抗酸可能は、穀物,疑似穀物中のフェノール量とよく関連ある(Dykers and Rooney, 2007)。
いくらかの研究グループは異なった未結合フェノール酸をアマランス中で同定している。プロトカテキン酸(13.6±9.4μmol/100g)は、Alvarez−Jubete et
al., (2010c)により最も多量と報告された。アマランス中フェノールの包括的な特徴は、Pasko et
al., (2008)によりHPLC-DADで調べられた。Gallic acidが主で(400-440mg/kg)、続いて2種のA. cruentus 種子でp-ハイドロキシベンゼン酸(8.5-20.7mg/kg)が見出された。バニラ酸(15.5mg/kg)はある種で検知され,一方p-クマリン酸とシリング酸が発芽後だけに見つかった。フェルラ酸、カフェイン酸は種子あるいは芽には見つからなかった。7つのフェノール酸までは、7代A.
cruentus継承からの膨張種子とフレーク中で定量できた;バニラ酸、 p-ハイドロキシベンゼン酸 、とフェルラ酸が大部分のもので、各酸80mg/kg以上で、一方カフェイン酸、シナピン酸、桂皮酸 はもっと低濃度であった(Ogrodowska et al., 2012)。Steffensen et al., (2011)の研究では、18種の異なるアマランス遺伝子型がそれらのフェノール酸のプロフィールに特徴付けられた。プロトカテク酸、バニリン酸、4-ヒドロキシ安息香酸 、 p-クマル酸、シリング酸、 コーヒー酸、フェルラ酸、サリチル酸が同定され、各濃度は遺伝子形、種、場所でいろいろである。
別の研究では、3種の疑似穀物の各々から、5つの栽培品種をポリフェノールとそれらの関わる抗酸化活性の点から分析した(Vollmanova et al., 2013)。わかったことは、アマランスはポリフェノール含量が138-287mgGAE/100gあることで、ルチンが主成分で濃度は3.0-50.8μg/100g であったことである。
主な抗酸化能の成分の濃度はキノアに比べて高いけど、より低い抗酸化活性,平均3.26mmol Trolox-Equivalents (TE)/kgが測定された。こうしてフェノール類と抗酸化能との間の顕著な関係は観察されなかった。同様の発見はChlopicka et al., (2012) により報告された。アマランスは同レベルのポリフェノール(2.07±0.1mg/gとフラボノイド(65.0±8.0mg/g)を含むが、しかしアマランスの抗酸化能(プラズマーFRAPの第ニ鉄還元能力38.6±1.2mg/100gとラジカルスキャベンジング活性3.60±0.34mmolTE/kg)は明らかにキノアに比べて低い。Rutin平均濃度65.0±5.7mg/kgはKalinova
and Dadakova(2009)により発見されたが、それは異なったA hypochondriacus種子で2006年に採取されたものであった。さらにrutinの異なったアマランス品種からのものが分析され、それは2006と2007年に採取された種子で行われた。平均値は、A.hypochondriacusからのもので70±7mg/kgで、A.caudatusでは55±3mg/kg,
A. hydridusから99±4mg/kgで、A.retroflexusからは11±1mg/kg、A.tricolorからは7±1mg/kgであった。これらの結果から、種子のために一般に育てている種類は、主に葉類のために育てている他の品種よりもルチンは多いとわかった。
ルチン以外、ケンペロールグルコサイド、例えばニコチフロリン (Kaompferol-3-o-rutimoside)の様なものも、アマランスに同定された。Steffensen et al., (2011z)は、18種の異なった遺伝子形の中で6.1μg/gまでのレベルを見出した。これらの発見はBarba de la Rosa et al.,
(2009)の発見と一致し、彼は4種のA.hypochondriacusの粉の中で4.8-7.2μg/g nicotiflorinを見出した。フラバノン、ビテキシン、イソビテキシンは少量266-410mg/kg存在した(Pasko et al., 2008)。アマランス中のflavonoids の多量さは、いくらかの研究者,例えばJo et al., (2015)により確認され、メタノール抽出物中全含量1.69±0.12mg GAE/g phenolics に比べ、1.53±0.17mg catechin equivalents(CE)/gである。さらにタンニンは0.316±0.05mg tannin acid equivalents(TAE)/gの濃度で検出された。熱水で抽出されると全フェノール成分のよりずっと高い収量[4.23±1.00 mg gallic acid equivalents(GAE)/g]とタンニン(0.511±0.01TAE/g)が得られ、しかしフラボノイドの濃度は明らかに低下し0.08±0.00mgCE/gであった。この研究が再び示されたのは、フェノールの分析がずっと複雑で成分も多くのためと、さらに分析方法により大きく影響され,特に抽出溶媒に大きく影響されるためであった。ベタレインは植物色素であり、Caryophyllateのクラスの植物に見出された。Khan(2016)によると,彼は毎日100mg ベタニンの取り込みを提案し、ベタレインはin vitro及びin vivoで生理的活性を示し、主にラジカル-スキャベンジン活性があるという。それらの構造から、ベタレリンは赤から紫のベタシアニンあるいは黄色ベタキサンチンに分類される。アマランシン、イソアマランシン、ベタニンは,1.0±0.2、0.8±0.2、 および0.1±0.2mg/100g各々がピンクアマランス粒中に検知され、一方白い種子にはベタレインはなかった(Venskutonis and Kraujalis, 2013)。他の研究ではアマランス種子中ベタレインを述べたものはなく、しかし幾つかの研究はアマランスの葉にその高濃度を報告している(Venskutonis and Kraujalis, 2013)。ある研究では,適当なレベルのアントシアニン、90.83±9.2-103.6±10.4mg(Pasko
et al., 2009)、35.33±1.70mg/100g(Lopez
et al., 2011)を報告した。UVアントシアニンの最大吸収はベタレインに類似しているので,ベタレインの存在の報告は人工な可能性がある。しかしながら、アマランスはCaryophyllatesグループに所属するので、ベタレインはアマランス種子中の主要色素であるべきだ。しかしながら、この考えははっきりしなのでより研究が必要である。
リグナンあるいはレジノールはフェノール性物質で、シンナミールアルコールの二量体化したもので,可食性植物中に存在している。レジノールは腸内細菌叢によって植物エストローゲンにメタボイズされ、幾つかの可能性ある有益活動をし、例えば抗酸化、抗ウイルス、抗ガン、抗バクテリア、静菌性、殺虫剤、エストロゲン、抗エストロゲン、および冠状動脈性心臓病に対する保護効果である(Spilioti et al., 2014)。アマランス種子ふすま中にある成分含量は、Smeds et al., (2007)により調べられた。もっと高い濃度は7-ヒロドキシマスタレシノール (519μg/100g)、7-オキソマタイレシノール(207μg/100g)、メデオレシノール(114μg/100g)、セコイソラリシレシノール(98μg/100g)で観察された。全リグナンのレベル約1000μg/100gふすま、アマランス中ふすまは、ライ麦あるいは小麦中の穀物ふすまに比べずっと低く、しかしトウモロコシやヒエ(種については記述無し)、キノアとはほぼ同じである。
一般に、食品の加工は抗酸化物質とその性質に大きく影響を与える。Kunyanga et al.,(2012)は、TPCレベル1.07g CE/100gアマランス種子を見出したが、これは調理あるいは焙焼で50%以上減る。ラジカル消去作用は84.7±1.2%と第2鉄還元作用(FRAP)は44.9±3.0 mmolFe(II)/g抽出物である。調理と焙焼は全体的にTPCに比べて抗酸化性性質に関しては反対の効果を示し、ラジカル消去活性はほぼ一定(81.0%、87.3% DPPH)であり、FRAPは本質的には増加する(233-418 mmolFe(II)/g抽出物)。アマランス種子の発芽は抗酸化活性を促進する(Alvarez-Jubote et al.,
2010c; Pasko et al., 2009)。一般にフェノール酸レベルは低下し、一方フラボノイドは一般に出芽の間,増加する(Pasko et al., 2008)。
これらの纏めたデーターと重要なデスカッションは、アマランスがポリフェノールに富んでいて、それは主にフラボノイド、特にルチンであることを示した。ただし、ソバはより高レベルを含み,キノアはより高い抗酸化の可能性を示したが、検知されたフェノール物質はより少ないのだが。フェノール物質の中で、明らかにルチンが殆どの点と非グルコシル化フラボノイドの非常に低レベルであるのは、アマランス種子の低い抗酸化可能性に関係がある。他のフェノール物質、例えばレゾルシノール、ベタレインはほとんど低濃度で存在し,アマランスの健康促進効果には顕著に影響しない。
2.8 抗栄養素
アミラーゼ、プロテアーゼ(例えばトリプシン)インヒビター(ATIs)はすべての植物に存在し、昆虫の様な天然の敵に対して防御する。それらは又、健康増進性質、例えば抗発ガン物質、抗酸化、血中グルコース調節、と同時に抗炎症薬効果もある(Champ,2002)。アマランスは穀物に比べプロテアーゼインヒビターの量がほんの少し低い(D'Amico et al., 2017)。Tamir et al., (1996)は、アマランス種子中でトリプシン-キモトリプシンインヒビターを8kDの単鎖タンパク質と同定し、その性質を調べた。Gamel et al.,(2006b)は、トリプシンインヒビター活性が3.05-4.34 TIU (トリプシンインヒビター単位)/mg、キモトリプシンインヒビター活性(CIU)、0.21-O.26 CIU/mg、アミラーゼインヒビター活性が0.23-0.27 AIU/mgと見出した。インヒビタータンパク質は熱不安定性のようで、Kunyanga
et al., (2012)はアマランス中のα---アミラーゼインヒビター活性が焙焼によって大きく低下することを見出した。湿調理は強い効果の低下を示した。
フィチン酸あるいはミオイノシトール六リン酸(InsP6)は、マイナスのチャージ物質であり、プラスにチャージしたカチオン物質と複合体を作り得るが、例えばCa、Mg、Feとであり、すでに述べたようにそれはアマランス中のミネラル生理活性能に対し反対の作用となる。Sanz-Penella et al.,(2013)はアマランス中のミオイノシトールリン酸を詳細に分析した。全アマランス粉は21.1±2.1mmol/g InsP6、2.3±0.5InsP5、と0.86±0.08InsP4を含む。低リン酸グループを持つ類似物は見出されていない。
アマランスの高フィチン酸塩レベルがGarcia-Mantrana et al.,(2014)によってはっきりされ、彼らは小麦パン中のフィチン酸塩を分析し,それとともにアマランスのいろいろなレベルの物も含めて分析した。全小麦粉パンに比べ、50% アマランス成分含有では、全InsP6とInsP5は2.9±0.7から7.8±0.5μmol/gパンへと増加した。対象として、他のフィチン酸塩でもっと低数の結合リン酸(InsP4とInsP3)は、小麦パンに比べてより低量が見られた。その研究はまた、異なった起源(バクテリア、カビ)からのフィターゼ添加でフィチン酸塩濃度を顕著に低下する事ができた。
加工の効果について、Ferreira
and Gomez-Areas (2010)はフィチン酸(82.0 mg/g)が材料に比べてエクストルード処理したアマランス粉にも同レベルあることを見出した。全フィチン酸塩含量4.0-4.1g/kgがA.caudatusとA.cruentus種子中にあることをGamel et al.,(2006b)は見出した。調理、ポップによる加工と発芽がフィチン酸塩含量を3.1-3.5g/kgにまで低下した。
もう1つのはっきりした抗栄養素は蓚酸塩である。いろいろなアマランスの遺伝子型と種類の中の範囲は85-129mg/100gが見出された(Awasthi et al., 2011)。
サポニンは苦い味のあるアルカロイドで、表面化成能がありステロイドあるいはトリテルノイドアグリコンからなり、1−あるいはそれ以上のモノサッカライドと結合している。キノア中、非常に高レベルのサポニンがあり、一方アマランスにはほんの僅か量しか含まれていない(Alvarez-Jubete et al.,
2010a)。Oleszek et
al., (1999)は4つのサポニンをA.cruentus種子に見つけ全濃度は0.09%-0.1%であった。研究から、結論としてアマランス中には低毒性と低サポニン量で、消費者への顕著な健康リスクには至らないようだ。
3 加工と食品応用
3.1 製粉加工
全粒アマランス粉の製粉はよく知られており、特別に問題はない。
種子の水分含量のみが重要であり、そのため種子の事前のコンデショニング(水添加と加熱処理)に最適の水分含量がしばしば要求される(Tosi et al., 2001)。アマランスの異なった粉区分の生産は、穀物粒に比べて小粒で異常な種子構造のためチャレンジされた。Becker et al.,(1986)は、いろいろなタイプのミルで比較テストした。彼らは幾つかのパラメーターと技術をテストし,そこにはデスクミル,ハンマーミルもあり、スピードと水分レベルを変えてテストした。Berghofer and Schoenlechner (2002)によるある研究で、パイロットローラーミルをプランシフタート連結して用いて5製粉区分を得て、デンプン、タンパク質リッチ区分に分類することができた。もう一つの研究でもローラーミルを用い、異なった栄養成分の4区分を得た(Kumar et al., 2016)。
アマランスの湿製粉は、いろいろの方法を用いた研究室スケールのものが評価され、それはトウモロコシの湿製粉技術に類似していた(Calzetta Resio et al.,
2009)。Roa et al.,(2014)は、デンプン-,脂質-タンパク質-に富んだアマランス区分を研磨ミリングによって得て、アマランスデンプンは湿製粉方法で分離され、そして粉はボールミリングで得られた。技術が高度に応用され、デンプン、タンパク質、脂質区分が得られた(Roa et al., 2014)。
3.2 食品への利用
伝統的にアマランス種子は、調理、ロースト、ポップ、あるいはフレークと人々の消費に用いられた。植物の空中部はほうれん草の様な野菜として消費される。アマランス種子の組織的構造のため、ポップ加工が非常に興味深い。又,今日のポップしたあるいはエクストルードしたアマランス粒はしばしばスナック、ブレックファストセレアル、クランチバーの主成分として用いられる(Ramos-Diaz et al., 2013)。図6.3はポップしたアマランスをベースにしたスナックで図6.4Aは調理済アマランス種子で作ったかゆ製品である。栄養へのポップの効果はMurakami et al.,(2014) により深く研究された。熱風を用いた連続的流動層加工システムは、ポップアマランス種子をバルク中で応用する(250℃15s)。その結果、処理はビタミンB含量に悪影響は与えなかったし、ミネラル保持は高かった。エクストルージョン調理はアマランス加工には都合のいい方法である。アマランスの水可溶性指標はエクストルージョンクッキングにより11%から61%まで大きく増加する事がわかった((Robin et al.,2015)。アマランスを20%トウモロコシに添加すると、キノア、カニワ、100%トウモロコシに比べ最も大きな膨化指標を示した(Ramos-Diaz et al.,2013)。Ferreira and Areas (2004)は、いろいろなエクストルージョン条件下で作られたものを評価した。最高の水分含量24%でアマランスエクストルージョンで行うと、それより低い水分条件に比べ、より高いタンパク質品質が得られた。エクストルージョン加工は、プロテアーゼ消化後ペプチドプロフィールにも影響し、その結果より小さいサイズのペプチドとより高い生化学的活性の得られることがわかった(Montoya-Rodrigue et al.,2015)。
製パンではアマランスにグルテンがないことが主な理由で、アマランスだけでは一般に適当なパン製造は出来ない。一方,アマランスをパン仕込み時に添加すると、幾つかのメリットがある。Sanz-Penella et al.,(2013)らの研究で、全アマランス粉の製パンへの効果が評価され,全アマランス粉40% までは小麦パンに添加された。既に20% のアマランス添加はパンの栄養価がかなり改良した。重要なミネラル(Ca、Mg、Fe、Mg) の濃度は少なくとも2倍に成る。タンパク質,脂質,食物繊維含量も顕著に増える。
3.3 グルテンフリー食品
グルテンフリー製品の消費と要望は世界中に広がっていて、それはCDのようなグルテン関連病、あるいはグルテンと小麦不耐性、"非セリアック病の小麦あるいはグルテンの過敏症"(NCWSあるいはNCGS)と呼ばれるものの有病率増加のためである (Shewry and Hey, 2016)。
Junker
et al.,(2012)の研究は、アミラーゼ-トリプシンインヒビター(ATIs)を小麦中の先天性免疫の大きなトリガーとして同定し、それらがNCWSあるいはNCGSに大きく関係していると考えた。
前述した病気に苦しむヒトに加えて、グルテンフリー製品は自分の健康増進のイメージのために消費するヒトが増えてきて、特にそれらが疑似穀物を含んでいるかどうかである。この10年間多くのグルテンフリー製品が開発されマーケットにでて、非常に大きな消費増加のリードをした(Shewry and Hey 2016)。研究リサーチの努力の結果、高機能,高栄養品質をもつ製品が開発された。一般に疑似穀物は双子葉植物のため非常にプロラミンが低く、CD患者に有毒であるタンパク質区分を含まない。つい最近、幾つかの特別の研究がこのことを証明するのに進められた。サマリーではあるが、アマランスと他の疑似穀物の消費はセリアック病には安全であり、それらの製品はグルテンフリー食事に含めることが出来る(D'Amico et
al.,2017)。
最も重要なグルテンフリー製品はクッキー(ビスケット),パン,パスタである。クッキー製造では強いタンパク質ネットワークは必要ない,そこで疑似穀物が非常に適している。幾つかの研究はアマランス-ベースクッキーが非常に良い食感とテクスチュアである事が報告された(Inglett et al., 2015)。発芽したアマランス粉クッキーは、小麦のクッキーに比べ上等の性質が示めされた(Chauhan et al., 2015)。もう一つの優れたクッキーレシピーは、20% ポップアマランス粉と 13% 全粒ポップアマランスを含むものである(Caldaron de la Barca et al., 2010)。
しかしながら,主成分のアマランスは、パンの様な膨化製品に適している他の僅かなもの、あるいは疑似穀物よりも適していない。Alvarez-Jubete et al.,(2010c)は,パンでは50%アマランス添加はソバやキノアに比べてパン容積が低下すると報告した。Schoenlechner
et al.,(2010b)は、工場生産レベルのアマランス粉を含むグルテン-フリーパンの製造を検討した。水の含量がパンの比率の中で最も重要で、一方脂質含量の変化には顕著な影響はなかった。しかしながら、脂質、卵アルブミン添加の組み合わせは、全体的な食感の受け止められ方はベストであった。もう1つ別の研究では、アマランス粉はグルテン-フリードウの冷凍安定性を改良する事を示したが、シェルフライフは低下した(Leray et al., 2010)。Caldaron de la Barca et al.,(2010)は、最も好ましいグルテンフリーレシピーには最少限のグルテン(20ppm以下)を入れ、60-70%ポップし、30-40% 生のアマランス材料をベースにしたのが良いと述べ、それはパンに均一なクラムを与え、他のグルテンフリーパンより高い比容積を与えた。グルテンフリーパンの品質改良のために有望な戦略はサワードウ発酵の応用である。Jekle et al., (2010)は、アマランスサワードウの性質はいろいろな乳酸菌によって影響を受けることを示した。
アマランスは唯一のパスタ製造に限られた効果を示す。エクストルードしたアマランス粉を乾燥ポテトパルプに25%ほど添加すると、良好な構造の新鮮パスタ製造のできることがわかった(Bastos et al., 2016)。この仕込みは新鮮な小麦粉スパゲティに比べても、十分に消費者に受け入れられる食感と外観のスパゲティができる。すぐれたテクスチュアの特徴をもつパウタ製造に先んじて新規エクストルージョンクッキング方法がCabrera-Chaveza et al.,(2012)により開発された。アマランスに富んだパスタの加工はタンパク質の溶解性を低下し、遊離SH含量を低下し、アマランスタンパク質中のSS結合形成を示す。その結果は又、デンプンの糊化、タンパク質の変性の間、デンプンはアマランスタンパク質と十分に相互作用する。
タンパク質の消化性増加に加え、米--ベースパスタはアマランスを強化するとミネラル、繊維含量も改良された(Cabrera-Chaveza et al.,
2012)。
4.結論
アマランス粒は良好な栄養成分、特にビタミン、ミネラルの高濃度を有する点で非常に興味あるものである。Mg、Ca、Fe、葉酸が高レベルというユニークなコンビネーションは、セリアック病、子供、妊娠した女性にとって有用な供給食品製品であり、それは特別の食事あるいは高い要求性からくる欠乏栄養を補助するものである。又、バランスのとれた不可欠アミノ酸の成分は、良好な栄養品質に寄与する。最近の研究から,消化されたアマランスペプチドの高生理的活性が示された。アマランスはスナックの様な不膨化食品原料として適している。ポップあるいはエクストルードしたアマランス製品は、ビタミン、あるいはミネラルの様な敏感な栄養素の顕著な損出はしない。膨化製品あるいはパスタには、アマランスはあまり適していないがパンやヌードルの栄養的品質をかなり改良することが出来る。さらなる研究と製品開発が、食品一般の材料および特にグルテンフリー食品の材料となるアマランスのマーケットシェア増加のために必要である。
アマランス ユニークな栄養、健康増進効果-1
1.
紹介
アマランスは1年草の植物で高さ0.5-3mまで育ち、種によっていろいろである。植物体は厚い茎で覆われている。多くの点でブタクサ(pig weed)によく似ている。花は主に紫、赤、ピンク、オレンジ、グリーンである。葉は比較的広く、花房は90 cmまでに達し、それらは直立かひれ伏している。
アマランサス属(genus)は約70種ある。次に高レベルの分類学はfoxtail科(family)、Amaranthaceaeである(Berghofer and
Schoenlechner 2002)。アマランサス はCaryophyllales目(order)に属し;そこにはキノア、スピナッチ、ビートルートが入る。
最も重要なアマランス種(species)は、その種子が栽培され消費されるメキシコのAmaranthus
hypochondriacus、ガテマラのAmaranthus
cruentus, ペル-と他アンデス諸国のAmaranthus caudatusである。主な緑豊かな栽培品種は、Amaranthus blitum、spinosous、tricolorに属する。染色体数はアマランスの種(species)でいろいろ違う。種は普通、一倍体染色体数、n=16
( A. hypochondriacus L., A. cruentus L. ,A. caudatus L, Amaranthus quitensis
L., Amaranthus edulis L., Amaranthus powellii L., Amaranthus retroflexus L.) あるいはn=17 (Amaranthus tricolor L. とAmaran
thu tricolor L.とAmaranthus Spinosus L.) である。
四倍体種Amaranthus
dubius L.は、4n=64
染色体数である。最近7粒のアマランサスが再配列決定された;ゲノム会合は377-466 Mb (メガベースペア)からなる。ゲノムの注釈は約23タンパク質コード遺伝子と同定された。アマランス栽培で世界中に広がったデーターはない。主なアマランス生産国は南米の熱帯地帯で、しかしアフリカ(特にアマランス植物の葉)、中央、東南アジア(特にインド)、そして北米の温暖地域でもわずかに広がっている。ヨーロッパでの生産地域は全く狭く、わずか約1000haである。より広域のアマランス生産域はスロバキア、ハンガリー、イタリアである。地中海域ではアマランスは葉物野菜として育てられている。ロシアではずっと広く栽培され、約100,000haに達する。アマランスは植物のC4グループに入り、C3グループに比べてより高い水の利用効率と高温度下での光合成を示す。それはこれらの価値あるアマランスは、熱帯低地から高度3500m高までの山岳地域まで広域いろいろな所で栽培される。
アマランス種子の広域での収穫量が報告されてきた。Alemayehu et al., (2015) によるレビューは50-7200kg/haを示した。最も高収量は4600-7200
kg/ha南・中部アメリカであり、一方アフリカの作物収量は全く低く50-2500kg/haである。ヨーロッパでは収量はその中間的で1200-6700kg/haで、特に地中海気候がそうである。収量は多くのファクターによるが、例えば乾燥地域の低種子収量の450-700kg/haは灌漑で顕著に900-2000kg/haまで増加した。しかしながら一般にアマランス成長のため水の要求性は、小麦よりずっと低く(50%以下)さらにトウモロコシよりも低い(40-50% 以下)。アマランスの栽培は又、限界地にもよく適応し、更なる顕著な育種改良の可能性があり、それは高い遺伝的多様性と表現型の柔軟性の範囲のためである。高温、干魃、貧弱な土壌条件に対する固有の耐性、大きな病気のないことは、アマランスの成長条件に対し挑戦的作物として非常に大きな関心を示し、特に気候変化の結果に対して関心を示す。
アマランス種子構造は、全く真の穀物とは異なる。アマランス種子はクリーミーな黄金色のもので、レンズ状の形、直径は約1mmでその範囲は0.9-1.7 mmである。内胚乳は中心部のデンプン性の子乳を囲むが、それは主にデンプン粒で満たされている。幼根、胚軸、新芽幼根、子葉は、明確に縦断面が顕微鏡下で見える。胚は種子膜、内胚乳、果皮でカバーされ、それは穀物のふすま区分に似ている。比較的非常に大きな胚のサイズが示された(一部皮のとれたアマランス種子)。
外皮は脂肪、タンパク質に富む。このことと、より比率の高い胚(約25%)のため、アマランスは真の穀物に比べより脂質と多少タンパク質が多い。
2、化学成分と栄養関与
2.1タンパク質とアミノ酸
擬似穀物の栄養価は強くタンパク質含量、品質に関わっており、穀物粒に比べより高い。これは特にアマランスの場合であり、擬似穀物中、最も高い含量13.1-21.0%である。一般にタンパク質含量は、環境条件と品種に関係している。48A.
hypochondriacus と11A.
caudatus linesの分析はA.
caudatus lines がA. hypochondriacus lines より高タンパク質含量であることを示した。Tomoskozi et al., (2009)の研究で、ハンガリーとオーストリアで育ったA.
hypochondriacus とA.
caudatus lines の8サンプルのタンパク質含量は14.23%と17.40%の間の範囲の値を示した。
アマランスタンパク質は、約40%アルブミン、20%グロブリン、25-30%グルテリン、わずか2-3%のプロラミンから成る。低比率の0.48%-0.79% プロラミンがMuchova et al., (2000)により見出された。グロブリン、アルブミン成分は主アマランスタンパク質区分で、全ての双子植物の種子中のようである。それらの沈降挙動によると、グロブリンの2つの主クラスは7Sと11Sグロブリンの違いである。11Sグロブリン(アマランシン)はアマランス中最も多い粒貯蔵タンパク質であり、7Sグロブリン(コンアマランシン)はずっと低い量である。
11Sグロブリンの分子マスは、約56kDである。7Sグロブリンは66、52、38、16kDの4サブユニットからなり、全量は約200kDaである。Montoya Rodriguez et al., (2015)はタンパク質成分の特徴を調べ、その生理活性ペプチド配列を詳細に調べた。全体的にはアマランス種子中15主タンパク質を同定し、11Sグロブリン、7Sグロブリン、α-アミラーゼ阻害剤、トリプシンインヒビター、抗菌タンパク質、非特異的脂質-移動-タンパク質−1、スーパーオキサイドジスムターゼ、ring-zinc finger protein (リング亜鉛フィンガータンパク質)、プロシステミン、アマランスアルブミン1、グルコース−1−ホスホアデニルトランスフェラーゼ、 グルコシルトランスフェラーゼ、ポリアミンオキシダーゼ、顆粒結合デンプンシンセターゼー1、アセト乳酸シンターゼである。
2.1.1 アマランスタンパク質の栄養品質
ヒト栄養の極めて重要な点は、不可欠アミノ酸比である(必須アミノ酸)。Venskutonis and Kraujalis (2013) は、8研究からアマランス中のアミノ酸の明確な全体像を纏めた。幾つかのアミノ酸は全体的にかなりばらつきがあり、特にリジン(3.3-9.2mg/gタンパク質)とロイシン(3.6-7.9mg/gタンパク質)である。シスチン、メチオニン、トリプトファンの範囲はより狭く、2.9-4.2mg/gタンパク質、1.7-2.3mg/gタンパク質、 0.8-1.8mg/gタンパク質の各々である。グロブリン、アルブミンは高比率のため、擬似穀物には穀物よりグルタミン、プロリンは低く、より不可欠なアミノ酸、例えばリジン、メチオニン+シスチン、ヒスチジンの様なアミノ酸を含む。その結果、アマランスタンパク質はよいバランスのとれたアミノ酸組成である。Aguilar et
al., (2015)によると、WHO/FAO/UNUが未就学児、1-3才に対して提案する不可欠アミノ酸要件に比べアミノ酸スコアーはバリンに対し33%-48%、リジンに対し65-100%である(WHO, 2007)。消化性はタンパク質の栄養価に影響するが、不可欠アミノ酸の濃度に基づいてProtein Digestibility Corrected Amino Acid Score
(PDCAAS)は計算されている。PDCAASは、人生の異なった段階における人食事の品質を示す。アマランスにとり極めて高いタンパク質消化性、約89%が述べられた。他の研究は80%と86%のもっと低い値を報告した。しかしながら、Aguilar et
al., (2015)は真の消化値をわずか68.8-75.4%と見出し、Awasthi et al., (2011)はわずか66.1%-76.7%のin vitroタンパク質消化性を測定している。抗栄養素成分、例えばトリプシンインヒビターやポリフェノールの様な物は消化性にネガテイブに働く。高い効率はタンパク質消化性とポリフェノール濃度の間にあリ、一方わずかに弱い関係はトリプシンインヒビターの存在と活性で見出された。
ポッピング加工はin vivoタンパク質消化性には関係なく、しかしながらin vitro消化性はわずかに食材種子に比べて高い、しかし栄養的品質は加熱処理で低下し、それは不活性アミノ酸のロスのためである。又エクストルージョンクッキングはアマランスタンパク質のin vitro消化性を改良し、それはA.
caudatusの2種のアマランス品種で報告された。最近の4種のアマランス栽培品種の仕事で、生物学的価値44.53-64.28%の値とPDCAAS 0.23-0.36の値が得られた。これらアマランス栽培品種のPDCAAS は、低バリン含量のため低いことと、リジンが必要性以下であるためである。著者はこれらの新しいアマランス栽培品種はヒトの消費に十分耐える事の出来るもので、完全なタンパク質源と言った。Mota et
al., (2016)は、1により近く高いPDCAAS値になるには、イソロイシン、ロイシン、バリン、リジンがわずかにまだ欠けるためであることを見出した。しかしながらこれらのアマランス中での必須アミノ酸の制限レベルは重大な問題ではない、というのは穀物に比べてずっとバランスのとれたアミノ酸プロフィールであり、簡単に他の食品で補完されるためだ。
2.1.2 健康の関与するアマランスタンパク質の側面
栄養価とは別に、タンパク質のアレルギー可能性は非常に大きな関心事である。アマランスとキノアからのプロラミン区分の免疫学的評価はBergamo et
al., (2011)によって行われた。
セリアック病患者(CD)と遺伝子組換えマウスからの腸T-cellは、小麦グリアジン以外、免疫反応は示さなかった。Ballabio et al., (2011) は、電気泳動、イムノブロッテング法、ELISA試験を使って40種アマランス種の分析後、グルテン様タンパク質含量は20ppm以下とした。
最近の研究ではアマランスペプチドと分離タンパク質の生理的活性に関心が及んでいる。アマランス種子の水溶性抽出物には4つの新規ペプチドがあり、抗カビ活性がある。カビの成長阻害は、グルテンフリーパンと小麦粉パンの貯蔵中に確認された。未加工およびエクストルードアマランスの加水分解物のペプチドプロフィールはある生理活性を示した。これらの結果はアマランスペプチドの示された可能性は重要な慢性疾患の阻止にある。
Manolio Soares et al., (2015)による新規研究では、in vitro内アマランスペプチド消化物によるコレステロール生合成酵素の阻害能力を調べた。3kDaより小さいマスを持つ3つの主ペプチドは、90%以上加水分解されたペプチドと記録され、これらの顕著な低下がコレステロール生産に関わる特別のレダクターゼ活性を落とし、ポジテブな低コレステロール血症効果を示した。また胃腸消化ペプチドは強い抗酸化性を示し、Delgada et
al., (2016)により同定確認された。
さらに彼らは、フィブリン凝固阻害のため抗血栓の可能性を持つ4つのペプチドを見出した。天然のタンパク質にはこの力はない。アマランス分離タンパク質とそれらのアルカリ加水分解物は、又再構築されたゲル化魚製品の塩と置換する事が出来た。さらにそれらは抗酸化剤として働き、部分的にこれらの製品中脂質酸化プロセスを阻止した。
2.2 油脂成分
アマランスは殆どの穀物と比べずっと高い脂質含量を示し、わずかだがキノアよりも高い。3.24%-8.60%の広範囲-脂質含量が見出された。しかしながらTang
et al., (2016)は、異なる3種の7継承の中により近似脂質含量6.98%-7.22%を見出している。
A.
hypochondriacus の
48種とA. caudatus の11種のよくある分
布は、脂質含量は主にA.
caudatus で7%-8%、 A. hypochondriacus で4.8%と5.4%といい、それはA. hypochondriacus は普通A.caudatusよりずっと脂質は低い。しかしもっと前の研究では、非常に高い脂質含量17.0%、19.3%がA.
spinosus, tenuifolius で各々述べられた。これは最適な条件下で超臨界二酸化炭素抽出されたデーター、全脂質10.6%-16.7%と一致した。
アマランスオイル中の脂肪酸組成の全体図はVenskutonis and Kraujalis (2013)からのデーターによる。最も多い脂肪酸はリノール酸(33.0%-55.9%)、続いてオレイン酸(18.7%-38.9%)、パルミチン酸(14.04%-26.0%)、ステアリン酸(3.11%-4.47%)である。また、リノレン酸は低濃度(0.20-1.97%)であった。飽和脂肪酸の比率は20.1%から30.9%の範囲で、アマランス脂質含量は主には多不飽和脂肪酸(33-50%)であり、高い栄養価を示す。
脂質可溶性ビタミンEは、トコトリエール、トコフェロール(α、β-、γ--、δ-)の統合的な名称で示され、そのうちのα-トコフェロールは最も高い抗酸化性と生物学的価値を示す。トコフェロールの量と成分はアマランス種子の異なった種と起源の違いからいろいろである。Tang et
al., (2016)は、7.28-27.90μg全トコフェロール/g種子を報告し、それは0.73-2.79mg/100g種子と等しい。δ-同族化合物はアマランス中8.95-10.96μg/g種子の濃度で中心的である。A. hypochondriacusでは8.76-13.87μg/g種子でA. cruentus中よりも高く、その1.24-7.74μg/g種子の値は低くより変数の多い値である。β--トコフェロール量は0.53-9.74μg/g種子の高い変化を示し、γ--トコフェロールだけはわずか量が検知された。Palombini et al., (2013) は、A.
cruentus中1.15 ± 0.01mg/100g α-トコフェロール、1.35 ± 0.01mg/100g他トコフェロール(β--とγ-トコフェロール総計)を見出したが、それは前述の値範囲内にある。他の研究は又、A.cruentusから異なった方法で抽出されたオイルを測定した(コールドプレス、超臨界流体、溶媒抽出)。最も豊富な同族化合物はβ-トコフェロール濃度で34.0mg/100gオイルとδ-トコフェロール濃度で31.8mg/100gオイルである。コールドプレスオイルの全トコフェロール含量は101.0mg/100gオイルである。ソルベント抽出と超臨界流体抽出は、明らかにトコフェロール収量を各々127.9と131.7mg/100gオイルに増加した。β-トコフェロールは特に増えたが、一方α-トコフェロール量は多少も変化せずそのままである。同じように、Bruni et al., (2002)は超臨界CO2でA.caudatus種子からのオイルを抽出すると、より高レベルのα-トコフェロール26.37-34.81 mg/kg種子がとれ、β-トコフェロール33.18-43.86
mg/kg、 γ-トコフェロール1.42-1.81mg/kg、
δ-トコフェロール、39.36-48.79mg/kgがとれた。
両方の研究は、超臨界CO2抽出後トコフェロールの類似の分布と高度の収量を示した。しかしながらわかったことは、全トコフェロール量と同族体の比率は品種によって強く影響されることである。対照として、カロチノイドルテイン濃度は、3つの異なった種類からの7アマランス継承体の中で全く類似で3.55-4.44μg/g種子であった。β-カロチンは検知されず、ゼアキサンチンは非常に低濃度だがわずかに存在した。
スクワレンは重要な生理活性をもつコレステロール生合成の中間トリテルペンであり、例えば血清コレステロールを低下する。さらにスクワレンは高い抗酸化活性能を持ち、トコフェロールとともにアマランスオイルの良いラジカルスカベンジングの性質に寄与している。アマランス種子中のスクワレン濃度はいろいろであるが、脂質の%で示すと2.26%と5.94%との間である。Ogrodowska et al., (2014) は、469.96 ± 104.23mgスクワレン/100g種子と求め、これは全脂質含量の約5.66%である。
ステロ−ルは普通、植物オイルと脂肪中に存在し、アマランス油脂中の全ステロールは不鹸化部分の約20%を示す。Alvarez-Jubete et al., (2010a) のレビューによると、大部分のステロールはコンドリラステロールである。もう一つ別の研究ではまた全く高いステロールレベルを示した、しかし最も豊富なものとしてΔ7-エルゴステロール(315mg/100g オイル)、Δ7-スチグマステロール(279.6mg/100g オイル)とΔ7−アベナステロール(140.3mg/100gオイル)である。全ステロール含量は1931mg/100 オイルはもっと増えて超臨界流体抽出では2490mg/100g
オイルであった。これらのステロールの顕著な含量は又Ogrodowska et al., (2014)によりはっきりした;しかしながら彼らはα--スピノステロール+シトステロールで最も高い100.3mg/100g種子を見出した。別の研究ではγ-シトステロールとergost-5-en-3-olをエタノール抽出物中に見出した。要約すると、アマランス中のステロールの一部分はいくらかの研究ではっきりしたが、しかし同定された物質に関しては矛盾するものが得られた。
一般にアマランスオイルは酸化に対し非常に安定であり、それはリノレイン酸の低濃度のためである。またトコフェロール,スクワレンの防御効果は高安定性に寄与する。Czaplicki et al., (2012)による研究は、加工処理(種子の膨潤とフレーキング)が脂肪酸の成分には影響しないことを示した。しかしながらコレステロールの全脂質含量と濃度は減り、一方ステロールはわずかに潤う。
2.3 炭水化物
アマランス種子は穀物粒よりデンプンは少ないが,殆ど大部分の成分ではあり48%-69%(重量)を占める。アマランスは小粒デンプンのわずかな源の1つである。粒は典型的に1−3μm直径で均一な粒サイズである。アマランスデンプンは、主に短鎖枝からなるアミロペクチングルカンであり、平均分子マスは12 x 106-17 x 106 g/molである。
アミロースの比率は穀物に比べて非常に低い。Robin et
al., (2015)はアミロース含量がわずか全デンプン中の3.8%と測定した。対象として、キノアデンプンはアミロースがより顕著に高分子量であり、8.8%に比較される。Kong
et al., (2009) は又低いデーターを報告したが、しかしいろいろなアミロース含量があり、その範囲は4.7%--12.5%である。アミロースのいろいろな比率はデンプン糊化性質に影響する。Kaur et
al., (2010)は、粉の性質を48A. hypochondriacus
and 11A. caudatus linesで調べた。彼らは、A. hypochondriacus
がA.caudatusに比べてより高い糊化温度を示し、より低いピーク粘度、ブレークダウン、セットバックを示すことを見出した。迅速な消化デンプンは約30%dwとわかり,それは小麦デンプンに比べてより低い予測された血糖指数(87.2)であった。デンプン消化性は、調理エクストルージョン,ホッピングを通して増加する事がわかり、それは白パンに類似しており、一方、フレーク,ロースト種子にほんの僅かの血糖反応の増加が見られた。デンプン小粒サイズ,低抵抗性デンプン含量,結晶構造の加熱による損失の程度は殆どアマランスの高グリセミック特性に関係ある。
わずかのデーターがアマランス中の糖に関して利用できる。
Awasthi et al., (2011)によると,全糖含量は3.08%-3.29% の違いが13種アマランス遺伝子型違いの中にあった。遊離糖1.95%±0.21%のもっと低値がKumar et al., (2016)により報告された。Gamel et al.,
(2006a) もまた、より低い全糖濃度1.84-2.17%を示した。糖の濃度は;スクロース(0.58-0.75g/100g)、 グルコース(0.34-0.42%/100g)、 フルクトース(0.12-0.17g/100g)、 マルトース(0.24-0.28g/100g)がA.cruentus
と A. caudatus
種子に認められた。さらに三糖類ラフィノース(0.39-0.48g/100g)と四糖類スタキオース(0.15-0.13g/100g)がはかなりの量検知され,一方イノシトールはわずかし少しだけあった。テトロース(四単糖)の存在はPsodorov et al., (2015)によってはっきりした。同じ研究でリボース、グルコフラノサイドも又同定された。
2.4 食物繊維
アマランス中の食物繊維含量は8.0%-20.6%である。
最近の研究では多少類似の値が報告され,範囲は8-11%である。食物繊維の大部分は不溶性で,一方可溶性繊維は約17%-34%である。A.
caudatus からの市販粉では7.91±0.85%不溶性,5.66±0.95g/100g 可溶性食物繊維が見出され、それは全食物繊維の約42%が可溶性繊維の比率に一致した。食物繊維の全量と不溶性と可溶性食物繊維の比率は製粉区分に強く関係する。Kumar et
al., ( 2016)の研究は,全食物繊維は粉区分からでは9.1%からに対し,種子膜区分からでは25.8%であると報告した。最近いくつかの研究は、アマランス繊維を詳細に分析した。双子葉植物としてのアマランス種子の細胞壁には全くアラビノキシランが含まれておらず,アラビノキシランは穀物に典型である。アマランス繊維は主にペクチン多糖とキシログルカンからなるが,量は繊維区分により違う。不溶性区分はペクチン多糖とアラビナンが主をしめ、測定すると比率がアラビノース30.3%、ガラクチュロン酸22.2%である。グルコース(20.1%)とキシロース(10.4%)のより低い比率は同一区分に見出された。対称として可溶性区分はよりキシロースを含み単糖類成分の15.5%で、キシログルカンは大部分の可溶性食物繊維成分である事を示す。
¥これらの発見はLa Mothe et al., ( 2015)の研究によるもので,22.0%キシロース、31.2%グルコースが可溶性アマランス繊維中にある事を見出した。
高Xyl/Glc比率0.68が不溶性、0.71が可溶性繊維であることは、高度に分枝したキシログルカンであることを示し,そこではグルコース結合は主に(1è4)とxylose結合(1è2)である。アマランス中のペクチンは高比率のホモガラクチュロナンと多少低比率のラムノガラクタンの比率からなり、それは非常に多い(1è4)−結合−ガラクチュロン酸のためである。アラビノース残基は、末端アラビノフラノースであり、(1è3)-、(1è5)-、及び(1è3, 5)-結合していることがわかった。ガラクトースは末端でガラクトピラノース(1è4)結合しているとわかった。
これらのタイプの結合は、ペクチンヘミセルロースのラムノガラクタン区分がアラビナンとガラクタンの側鎖を有していることを示している。約7% のグルコースが非可溶性繊維中にあるがこれはセルロースによるものである。セルロースの存在もWefers et al.,(2015b)によって断言されているが、彼らは硫酸で加水分解するとグルコースの顕著な高い量の生じる事を見出している。マンノースは不溶性繊維のわずか低比率2.4%、可溶性繊維の5.4%が検知され,それは全単糖成分に基づくものである。アマランスの細胞壁は又、かなりの量のポリマー結合フェノール酸を含む。フェルラ酸、低レベルのクマル酸,コーヒー酸が見出された。さらに二鉄酸が見出され、それはヘミセルロース鎖間の架橋を意味する。
25アマランス栽培品種中の抵抗デンプン含量はMikulikova and Kraic (2006)により測定された。彼らは平均抵抗デンプン含量の1.24±0.22 g/100g (dw)を見出した。他の研究ではしかしながらもっと低く0.65%の値が報告された。にもかかわらずこれらの抵抗性デンプンレベルは,他の疑似穀物や真の穀物に比べてかなり低い。
2.5 ビタミン
Murakami et al., (2014) は,B--ビタミンを包括的に原料およびポップしたアマランス種子中で分析した。リボフラビン(B2)、ナイアシン(B3)、 葉酸、ピリドキシン(B6)、パントテン酸は濃度147±9.3230、340.152±16.454、
24.8±3.7, 1150±60μg/100g各々である。別の研究ではリボフラビンの同上レベル、0.19--0.23 mg/100gを見出し,しかしずっと低いナイアシンは僅か1.17-1.45mg/100gであった。
チアミン(B1)とアスコルビン酸レベルは
0.07-0.10mg/100gと4.50mg/100g各々であった。この両研究でのナイアシン含量は、Gamel
et al., (2006a)により1.25-2.13mg/100gナイアシンと1.59-2.80mg/100gナイアシンアミドと測定され、全ビタミンB3レベルの3.05-3.72mg/100gを与えた。同じ研究では2.30-2.98mg/100gアスコルビン酸、0.24-0.4mg/100gリボフラビン、0.45-0.61mg/100gピリドキシンがA.
caudatus とA. cruentus種子中で報告された。これらすべてから高ビタミンA含量が指摘されるべきであり,それは小麦はアスコルビン酸の量が非常に低い、 0.5mg/100g全粒以下であるからだ。
いくらかのアマランス種とそれらの製粉区分中の葉酸含量(Folate)がSchoenlechner et al., (2010a) によりかなり調べられた。全粒粉中では全葉酸52.8-73.0μg /100g種子、粉中で45.4-53.6、ふすま区分中で60.5-82.2を含み、小麦、ライ麦に比べずっと高いが,キノアに比べると低い。この研究でのサンプルの調製法は,僅かに2つの酵素で結合している葉酸の遊離に使われるが、それが他の研究に比べて低含量につながる原因である。しかしながら前述の研究データーもまた,幾つかのバリエーションを示し,主には異なった分析方法のためである。
全体的に見て、ヒトビタミン要求性を日本の2010年の食品成分の標準表と比べると、アマランスは強力なビタミン源であるが、それはバランスの取れたビタミン組成によるためである。
2.6 ミネラル
疑似穀物は一般にミネラルに富み、小麦の様な穀物に比べずっと高含量である。アマランス種子中には巨大-、微小-要素の非常に高いことを示す。高Ca含量は小麦に比べて5倍以上高く、キノアよりはるかに高いとデーターが出ている。他のミネラル、例えばP、K、Naは適正量が示され、一方Zn、Cu、Mnは僅かに適当レベルが見出された。Feは高含量4.6-10.7mg/100gで、小麦に比べて約2-3倍高い。Palombini et al., (2013)は,Fe 29.4mg/100gまで報告している。他の不可欠微量要素,例えばMo (59.6μg/100g) やCr (6.8-14.4μg/100g) は、ヒト栄養必要量(Bolanos et al.,
2016; Murakami et al., 2014)に関して適当量と報告されている。
現在発表データーは、異なった研究結果により多少大きなばらつきがある。にもかかわらず,Murakami et al., (2014) によると,アマランスは全ての巨大-、および殆どの微量-要素(ヒト栄養にとって必要な)の適当量を含んでいる。2010年日本の標準食品成分表に比べ、僅かに少々の不足がZn、Mn、Crで見出された。同じ研究で、ポップした種子も又分析されミネラル含量が加工中、水の蒸発によりに増加する。1つの例外はSeで、そのレベルはポッピングにより明らかに低下する。これは市販食品中の低レベルと一致する。
纏めると、アマランスはバランスとれた高ミネラル含量を持つ。
このためアマランスは栄養不足と戦うのに用いられるだろう。この点で、非常に高い濃度のFe、Caは妊娠した女性,子供にとって非常に重要であり、表明されるべきである。これはSanz-Penella et al., (2013) の研究で結論、断言されるが、彼らは小麦パンにアマランス粉を入れミネラル含量の強い増加を示した。しかしながらアマランス中の高レベルのフィチン酸塩は、Ze、 Ca、Feの金属生理活性に逆の影響を与えることを述べねばならない。