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2020年12月23日 15:39 ( )ソバ:そのユニークな栄養成分と健康促進効果−2
6. 食品産業での利用
6.1 製粉と分画
全粒粉は全ソバ種子を小麦と同じように製粉して作る,しかしソバ痩果は初めに衝撃製粉で殻をとるかあるいは金剛砂か研削板で摩耗する必要がある。この方法で25-30%の痩果が除去される。ひきわ割り穀物(groats)はローラーミルにかけ食品加工用のいろいろなグレードの白い粉にひく。抽出収量は約55%で主に品種による(Zheng et
al., 1998)。Bonafaccia et al., (2003) は、普通ソバの55.4%が、ダッタンソバの55.6%がこの製粉技術で得て,一方Wronkowska and Haros (2014)は58.8%湿製粉法で得ている。製粉区分の成分はそれらの区分を作っている組織(内胚乳,胚,母体組織)により非常に様々である(表7.3)。
Steadman et al., (2000) は、全痩果の製粉、また脱穀した痩果について研究した。両ケースとも製粉した組織はファンシイ(好ましい)で明るい色の粉と、ふすま区分である。ふすま区分は果皮、アリューロン層を含む、また胚の子葉と大きな区分を含む。そのままの痩果を製粉すると果皮はふすまと分離し、其の後,皮は篩で分けられる。グリッツは殆ど内胚乳の大部位からなる。製粉と分離プロセスはファンシーな(素晴らしい)粉を作る。これは全ひき割り(groat)製粉区分に比べられる;ふすま、最高の粉,好ましい粉である。最高の粉は脱穀プロセスから得られ,本質的には皮の付いた全ひきわり粉である。両方の場合、ふすま区分は最も高いタンパク質、食物繊維含量、また脂質含量は主にふすまと外皮区分中に来る。ファンシー粉中のデンプン含量は70%以上である。グリットはファンシー粉に類似していて、ファンシー粉は栄養品質的には最高の粉に比べて劣る。Bonafaccia and Kreft (1994)、およびSedej et al., (2011)は、また同じ結果を白--タイプ、ライトカラーのファンシー粉で普通およびダッタンソバから得ている。
6.2 粉技術的性質
明らかにソバ粉の性質は小麦粉と異なっており、小麦粉の様な食品をつくることは難しい。がそれはグルテン形成のタンパク質がソバにはないためだ。我々の研究グループは,2市販白ソバ粉をMixolabドウレオロジー装置を用いて評価した。そのカーブは図7.4である。明らかな違いは,カーブの特徴点がちがうことである;ドウデベロップ時間の増加はスタンダード小麦粉に比べて見られる。ソバ粉の水吸収(66%-69.3%)はコントロール小麦(62.0%)より高かった。この違いはソバ粉がスタンダード小麦粉に比べてより脂質、繊維含量の高いことによる。ソバタンパク質のより弱い構造形成上のため、両ソバ粉のドウの安定性は低い。プロフィールの第2パートでの加熱の間、ソバカーブは糊化ピークもセットバックもなくむしろ95℃保持で粘度の連続増加が見られる。これはZheng et
al., (1998)と一致し、彼らはソバデンプンの性質を研究した。ソバ粉の加熱時の安定粘度は多分その粒の固さによるものであろう。Qian and Kuhn(1999)は、ソバデンプンは真の穀物デンプンよりもっと高い粘度を有することを示した。Cai et
al., (2016) は穀物デンプン(トウモロコシ,小麦)に比べて、高ピーク粘度、高糊化温度、より大きな膨潤力、一般的なゆっくりの老化を報告した。ソバ粉は使用前に時に小麦粉や他の粉と混合する。30%ソバ粉、70%小麦粉のブレンドは、一般に家でパンを焼くのにヨーロッパ、例えばスロベニア(Cai et
al., 2016; Kreft and Germ 2008; Steadman
et al., 2000)で多く用いられた。Sedej et
al., (2011) は,異なった小麦ドウにソバ粉を10%-50%と加えて, 我々と同じ分析をした。そば粉を混合すると、100%ソバ粉と同様の効果が得てドウ安定性を低下した。これは最終的なパン製品品質へのプラス効果であった。彼らが結論したのは、小麦ドウをソバ粉で増強するとコントロール小麦ドウに比較してレオロジーパラメーターを変えることのできたことだ。しかしかしながら、代替レベルの顕著な効果は認められなかった。
さらに機能性に加えて、ソバ製品の官能的性質の研究が必要でもある。Fessas et
al., (2008)は,ソバー小麦合成パンの見てくれ、色、全体官能寄与に変化の無いことを見出した。これらのパンは小麦パンに比べて、フレーバー、食感の程度はより高いレベルだった。このソバー小麦合成パンはまたより高いルチン含量を持ち、良い抗酸化活性、ラジカル消去能を持った(Lin et
al., 2009)。さらにこの合成パンは、パンの品質の大きなパラメーター(容積、パンサイズ)にプラスの影響を与えた(Lin et
al., 2009)。さらにこの合成パンは、またタンパク質と微量要素、特にCu、Mnga比例的に補強されていることがわかった(Kruper -Kozak et al., 2011)。
6.3 伝統的食品製品
非常に多くの伝統的ソバ食の品種が何世紀にも渡って作られて来た。ソバは多くの方法に利用され、調理のソバ種子から作られたものには2つの大きなグループに分けられ;引き割り穀物(ソバ米)料理、粉料理(図7.5)である。
最もポピュラーなソバ米料理はかゆ状料理でkashaと呼ばれるもので、ローストしたソバ米を水中あるいはミルク中でボイルしたもので、一般にロシア、ポーランドにある。料理は移民によってアメリカに紹介され、しかしUSA ではkashaは一般にパスタを混ぜるか、あるいは詰め物として用いられる。ソバ米はまたもやしにして生か料理して食べる。
明るい色の粉はパンケーキ、パン、ヌードルに用いられる。
最も一般的な食品はソバヌードルであり、日本、中国、イタリアでは非常に人気があり、それらはソバ粉--水ドウから作られる。ヌードル製品は異なった名前で呼ばれるが、作られた地域の名前で呼ばれる。日本ではsobaと呼ばれ、イタリアではpizzoccheriと呼ばれ,韓国ではguksuと呼ばれる。日本では多くのヌードル製造会社がありソバヌードルを作っている。これらの製品は直接販売のために生産されているだけでなく、調理済のもの、ボイルしたもの、乾燥したもの、あるいはインスタント様式で売られている。インドのいくつかの地域では、ヒンズー社会の人々が断食日に穀物を被穀物成分、例えばソバに変える。最も有名な料理の1つはki
puri (pancake)である。イーストで膨化したソバパンケーキは、幾つかの国で食べられる、たとえばフランス、ベルギー、ロシアである(Cai et
al., 2016; Heffler et al., 2011)。
ソバからの他の製品は世界中で食べられている。ソバの花は、特徴的味のある蜂蜜を多く与えてくれる(Biacs et
al., 2002)。ソバ茶はsobachaと呼ばれ、日本で比較的一般的な茶である。茶が作られるのに多くのステップがある。生の全種子は初めに水に漬け、続いて蒸気にさらし、皮が外れる前に乾燥する。皮のとれたひき割り穀物は続いてローストされ、茶は出来る(Zhang et
al., 2012)。ソバウイスキーはフランスの会社で生産で蒸留され、ビール製品はソバからもつくられる(Cai et
al., 2016; Gimenez-Bastida et al.,
2015)。新鮮なグリーン部分の植物は野菜として使われ、乾燥薬は高ルチン含量のため機能的食品強化に適したものとして用いられている。
結論から、葉は健康保持に可能性がある(Cai et
al., 2016;Kreft et al., 2005)。
6.4 グルテンフリーとグルテンーフリー食事中の可能な役割;新しい製品開発
伝統食品とは別に、ソバ(他の疑似穀物やあまり使われていない穀物とともに)はグルテンフリー食品製造に適している(Gimenez- Bastida et al., 2015)。図7.6はモダンな、市販のグルテンフリーパンケーキとパスタ製品を示しているが、そこではソバ粉が主要成分で、パンケーキで49%、パスタで80%である。
さらに製品には米粉が入っている、パンケーキの場合にはいろいろなデンプンとハイドロコロイドメチルセルロースが入っている。
ソバ種子は非常にプロラミングルテリング分が低く、これはそば粉と小麦粉のタンパク質に関する大きな違いである(Aubrecht and Biacs, 2001)。免疫学的アッセイから、ソバが毒性プロラミンを持たず、粉は最も一般的な生涯食障害の1つセリアック病(自己免疫性腸症)を持つ患者に対し、食事あるいは食品製品に用いるのに適している(Mieslander and Norback, 2001)。最近、グルテンフリー食品は最も有益な食品製品マーケットの1つであり、ソバはこの食品中でふさわしい場所にある(Gimenez-Bastida et al., 2015)。これはグルテンを含んでいないという事だけではなく、高栄養品質のためでもある。このことは最も大切で,研究からセリアック患者の20%-30%がタンパク質、食物繊維あるいはミネラル、ビタミン欠乏である事を示したからである(Biacs et
al., 2002)。
プラス要因のため、ソバだけはグルテンフリー食に適している。またソバ粉を含む穀物の栄養的供給の幾つかの例があり、特に小麦粉の食品である(Cai et
al., 2016; Li and Zhang, 2001)。Wronkowska and Haros (2014) は幾つかの特別のソバ健康プログラムを述べた。これらのプログラムには、ソバが正常の子供、大人用食事に含まれる。あるプログラムでは、健康的性質を促進し,例えばカナダの北アメリカソバプロモーション委員会、あるいはブータンの"Bickwheat Conservation and Utilization"と呼ばれるプロジェクトがある。
食品製品中、ソバ利用の新しい傾向が予測されており、そこには伝統的食品の改良も含まれ、新機能(健康増進)食品の開発、および特別の生理的効果をもつソバ添加物(栄養補助食品)の形成である(Krkoskova and Mrazova, 2005)。また,幾つかのソバの新規利用法がある。例えば殻は治療用マットレス、クッション製品に用いられ、体の姿勢にプラスの影響を与える:それらは素早く体の水分を吸収し、加温せず,常にクールである。タンニンの存在のため、有害な微生物の成長を阻害する(Heffler et
al., 2011)。ソバの加工のバイプロダクトは、粒状バイオ燃料の生産材料に用いられる(Wronkowska and Haros, 2014)。
7 見通しと展望
世界中のソバ種と品種は農業上の価値あるアクターである。しかしながら、もし我々が良くその素晴らしい栄養的品質をよりヒト栄養に利用したいならば、我々はソバベースの食品製品の伝統的マーケット、現代食品マーケットの両方で、その存在場面を見出さねばならない。今日、伝統とグルテンフリーの状況はこの疑似穀物の利用を増やすのに十分でない。我々はその化学成分についてより知識を持たねばならないが、特に健康増進成分、例えば植物化学物質とそれらの遺伝的、環境(GxE)変動性についてである。我々にとり各ソバ品種の技術的性質についての知識は限られており、さらにまた科学成分との関係についても限られている。例えばタンパク質サブユニット成分、デンプン、非デンプン性多糖類プロフィール、それらの技術的特徴についてである。広く受け入れられているソバ品質のシステムもまたぬけている。連続的に拡大してゆく知見とともに、我々はより洗練された製粉加工技術をより良く発展させ、その事で価値ある健康増進栄養品質と植物科学を至上のものにし,より広く受け入れられ,おいしいそば食品製品を21世紀の消費者に贈りたい。
ソバ:そのユニークな栄養成分と健康促進効果−1
1、 紹介
ソバは古代の双子葉植物でその種子のため世界中の多くの場所で栽培され,今日は緑の植物(葉)としても栽培される。ソバはPolygonaceae科のFagopyrum属に属する(Biacs et
al., 2002)。こうして穀物には関係はないが,しかし化学成分の類似と利用からアマランス,キノアとともに疑似穀物と呼ばれている(Krkoskova and Mrazova, 2005)。
Fagopyrum属は非常に多くの野生種を加えて約19種ある(Zhang et
al., 2012)。2種のソバが数世紀に渡り世界中で一般に栽培された;普通ソバ(Fagopyrum
esculentum Moench)とダッタンソバ[Fagopyrum tataricum (L.) Gaertn.]である(Alvarez-Jubete et al., 2010; Cai
et al., 2016)。普通ソバは初めアジアで栽培され、多分今から6000年前ごろ(Ohnishi,1998)。栽培は中国のYunnan地域、チベット高原の端、ヒマラヤの丘で始まった。そこから広く中央アジア、チベットへと広がって,次に中東とヨーロッパへと広がった (Bonafaccia et al., 2003; Eggum et al.,
1980)。
ソバは短期間、条件の少ない作物で、いろいろな農業条件下で広い生態学的適応性があり、例えば低地力あるいは酸性土壌、低降水量、過酷な環境の辺境地のような所でも適応性がある。植物は耐霜性あり、そのため2000mの高緯度地域が一般的で、チベットの標高4500mまでの地域で見出された。環境的には肥料と農薬の利用なしの持続可能な栽培地が適している(Zhang et
al., 2012)。ソバは毎年生育する作物で、その花の蜜はダークカラーハネー製造に用いられる。風で受精した小さなソバは榮房または頭で生まれる(図7.1A)。
一般に花は雌雄同体でいろいろの数のパートからなる。時にはその植物は緑肥として、飼料として、野生生物の避難所として使われ,さらに土壌浸食をコントロールしている(Aubrecht and Biacs 2001)。
過去数十年でソバの栽培は低下した。しかしながら最近増加が見られ、世界の種子生産は栽培面積は2.5百万haで年間2百万トンを超えている。最大の生産者と消費者はヨーロッパ(52.1%)で、続いてアジア(38.6%)が2番目である。アメリカ、アフリカのシェアは大きくなく、それぞれ7.1%、1.1%である。最近トップのソバ生産は、ロシア、中国、ウクライナ、フランス、ポーランドである(FAOSTAT, 2014).
この章では我々はソバの品種、成分、利用について広範囲の概要をしたい。より良く理解するためデーターを平均的な小麦パラメーターと比較した。
2. ソバ種子の組織学
ソバ植物はほぼ三角形の果実を作り、それは痩果と呼ばれる(図7.1)。
痩果は4-9mm長、千粒重は15-35gである。一般にダッタンそば種子は普通そば種子より小さい(Cai et
al., 2016)。痩果は2パートからなり;穀とひき割り穀物である。殻(外皮,果皮)は痩果の外側の層であり;一般にその色はいろいろで、光沢あるいはくすんだダークグレイから茶色あるいは黒色である。痩果の内部部分はひき割り穀物である(図7.1B)。ひき割り穀物(皮をむいた痩果は3つの部分から成る;種子膜(子乳)、内胚乳、胚である。種子膜は1−3細胞厚である。内胚乳細胞はデンプン粒で満たされている。内胚乳は痩果の頭に位置していて2 個のコチレドンは内胚乳を通して伸びている(Steadman et al., 2000; Stevens,1912)。
3ソバ種子の化学成分
ソバ種子は栄養源である(表7.1)。多くの価値ある成分、例えばデンプン、タンパク質、食物繊維、抗酸化物質、微量エレメントを含む(Krkoskova and Mrazova, 2005)。しかしながら遺伝子型と成長条件(例えば土壌、環境と受粉)は多分その栄養成分に影響する(Wang et
al., 2012)。
3.1 炭水化物
消化できる炭水化物は真の穀物粒同様、ソバ種子の大部分の成分(58-73%)で,それは主にはデンプンの形で存在する。ソバの全ひき割り穀物中、デンプンは含量の変化が59%から70%(乾物ベース)で、いろいろな天候、栽培条件下で変動を示す。他の殆どの疑似穀物、アマランス、キノアはより低いデンプン含量である(Steadman et al., 2000)。Qian and Kuhn (1999)は、酵素分析から異なった国々のデンプンのアミロース含量が21.3% から 26.4%の範囲であるとソバデンプンを分析した。しかしながら、ある研究はもっと高い(〜50%)アミロース含量を報告している(Berghofer and Schoenlechner, 2007; Christa
and Soral-Smietana, 2008)。ソバデンプンの重合化の程度は12-45グルコースユニットといろいろである。(Christa and Soral-Smietana, 2008)。一般に、ソバデンプン粒の形は丸く、卵型、あるいは多角形である。ソバデンプン粒サイズは2-15μmといろいろで,真の穀物種の殆どのサイズよりそれ以下である(Berghofer and Schoenlechner , 2007)。約35%のソバデンプンは消化に対して抵抗性である(Cai et
al., 2016)。
ソバひき割り穀物は又1%--6%の可溶性炭水化物を含み,それは殆ど内胚乳とアリューロン層にある。これらのレベルは穀物粒や他の疑似穀物に比べても高い。ソバ可溶性炭水化物は殆ど還元糖,ファゴピリトールとして存在する。
FagopyritolA1(O-alpha-D-galactopyranosyl-(1è3)D-chiro-inositol)fagopyritolB1(O-alpha-D-galactopyranosyl-(1è2)-D-chiro-inositol)が殆ど全てのソバ種子中の顕著なfagopyritolsである(図7.2,Christa and Soral-Smietana, 2008)。
ソバ種子は7.0%-10.9%の食物繊維を含むが、それは全小麦粒に比べて低く、しかし他の穀物粒に似ていてがアマランス、キノアに比べて高い(Christa and Soral-Smietana , 2008)。普通ソバは食物繊維レベルがダッタンソバに比べ高い(Steadman et al., 2000)。一般にはソバ繊維に抗栄養素フィチン酸はない。約20-30%のソバ繊維は可溶性で、それは真の穀物より高い (Wang et al., 2012)。
3.2 タンパク質
ソバひき割り穀物のタンパク質含量は約12%で小麦に似るが,他の疑似穀物より低い(Steadman et al., 2000)。表7.2はソバ全ひき割り穀物のアミノ酸組成である。小麦に比べると、ソバタンパク質は類似かあるいはほぼ全てのアミノ酸でより高い含量である;リジン,スレオニン,バリンは最も重要なもので、人体に不可欠なものである(Pomeranz and Robbins,1972)。グルタミン,プロリンアミノ酸含量は、ソバではかなり真の穀物より低い(Aubrecht and Biacs, 2001)。
ソバ種子タンパク質の特徴は、その可溶性をベースに幾つかの研究がある。オズボーン可溶性区分は次の比率で見つかった;アルブミンが主なタンパク質区分(30-40%)で、続いてグルテリン(11-29%)、マイナー区分はプロラミン(2%-10%)、グロブリン(3.0%-7.82%)である(Pomeranz,1983; Wei
et al., 2003)。異なった抽出法といろいろな品質では極端に違った結果となる。4区分は十分量の必須アミノ酸(不可欠)、ヒスチジン、バリン,イソロイシン、ロイシンを含む(Guo and Yao, 2006)。非不可欠アミノ酸の中でグルタミン酸とアスパラギン酸のレベルは全ての区分で十分である。
3.3脂質
2%-4%の脂質が全粒子中にあり、それは内胚乳中に集中している。結合脂質量は遊離脂質の2倍高い(Cai et
al., 2016)。ソバ脂質は9個の脂肪酸からなる;大部分はパルミチン(16:0),オレイン(18:1),リノール(18:2)酸である。全脂肪酸の幾つか75%-80%は不飽和であり,そのうち40%以上は多不飽和で、他の粒に比べて高い部分である(Steadmasn et al., 2000)。
3.4 ミネラル
ソバはミネラルの高い含量を含み、キノアより高く,アマランスに似ている。巨大要素K、Mg、Ca、Na、微小要素Cu、Zn、Fe、Mnは特に高レベルで存在する(Krkoskova and Mrazova, 2005)。極小要素、例えばCr、Seは非常に低レベルで僅かに存在する。ミネラルは内胚乳(主にタンパク体にフィチン酸塩として保存される)と、種子と皮の外側層に蓄積される(Christa and Soral-Smietana, 2008)。
3.5 ビタミン
ソバはビタミンBの良好な供給源と知られ、ビタミンBの最も高いレベルは種子のふすま部分に存在している。Kim et
al., (2002) は痩果のビタミンB成分の分析を行い、次のレベルを見出した;ビタミンB1(チアミン3.3mg/kg)、B2(リボフラビン、10.6mg/kg)、 B3(ナイアシン、18.0mg/kg)、 B5(パントテン酸11.0mg/kg)、B6(ピリドキシン、1.5mg/kg)である。全ビタミンB含量は比較的ダッタンソバ中の方が多い(Bonafaccia and Kreft, 1994)。逆に普通ソバはより脂質可溶ビタミンE(トコフェロール)が多く、各々0.05-0.14 mg/kgである(Cai et al., 2016; Kim et al ., 2002)。
3.6 植物化学物質
これらの主要成分に加えてマイナー成分があるが,それは健康増進の性質の点で重要なものである。それらの含量と成分とは、ソバの種,成長条件によって異なる(Christa and Soral-Smietana, 2008)。
3.6.1 フラボノイド
フラボノイドは天然の抗酸化物質の大きなグループである。フラボノイド含量と組成はいろいろなソバ種の間で異なる。わかっている事は,フラボノイド含量は、ダッタンソバで普通ソバの4倍高いことである。ひき割りダッタンソバの苦味はこれらの成分によるものと言われている(Cai et
al., 2016)。Kreft et
al., (2005) は,ソバから6フラボノイドを分離した;ルチン、ケルセチン、オリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、イソオリエンチンである。ルチンが主力のもので、ソバはルチンを含む唯一の疑似穀物であり、そこでこのフラボノイドのはっきりした源である。
ルチン (quercetin-3-rutinosid, 図7.3)
はフラボノールグルコシド植物生理物質である。それは紫外線照射に対する防御の役割がある。ルチンは主にソバ植物の花と緑の部分で発見される。典型的にソバ茶の葉は種子より10倍以上その含量が高い(Christa and Soral-Smietana 2008; Kitabayashi
et al., 1995; Kreft and Cerm, 2008)。種子にはルチンは少なく,一般に精製した粉中より全種子ソバ粉中の方がより多い。Kitabayashi et al.,(1995)は、そば全粒ひき割りソバ粉中の含量は12-36mg/100kgの範囲であると述べた。Kreft et al., (2005)は平均21.8mg/100gが全ひき割りソバ粉中にあると報告し、ソバの重要な食物内容とした。
3.6.2 ステロール
ソバ種子は低レベルの植物ステロールを含む。
ベーターシトステオールは特に重要であり、人の体中で合成できない(Krkoskova and Mrazova, 2005)。脂質抽出後脱皮した痩果中のステロール含量は、約β--シトステロールが700mg/kg、カンペステロールが95mg/kg、低量のシグマステロールが測定された(Horbowiez and Obendorf 1992)。
4. 抗栄養素ファクター
ソバもまた、幾つかの抗栄養的成分を含み,例えばトリプシンインヒビター(I, II, III)でこれはソバの種子から分離された。トリプシン以外これらのインヒビターは又キモトリプシンも阻害した(Krkoskova and Mrazova、2005)。フィチン酸塩も又内胚乳やアリューロン細胞のタンパク体に存在する。Steadman et al., (2001) は35-38g/kgフィチン酸をソバ種子中に見出した。ソバふすまはまたタンニンの豊富な源である。Zhang et al.,
(2012) は高タンニン含量1.6%を測定した。高レベルの繊維がソバ中にあり抗栄養素要因の1つと考えられるが、しかしながら脱皮処理の間、これらの成分は外皮にあるため殆ど除去される(Cai et
al., 2016)。
4.1 アレルギー反応
アレルギー反応はソバか、ソバ製品摂取、あるいはソバほこりに触れると起こる反応である。そば粉はタンパク質を含み、それが過敏反応(アレルギー)を引き起こす。このイミュノグロブリン(IgE)-仲介反応は、重大な症状のアナフィラクテックショックを起こす(Wang et
al., 2004)。
ソバアレルギーは一般的ではない。しかしながら非常に重大なアレルゲンで特に子供にとってである(Park et
al.,2000)。ソバアレルギーは初めて1900年代初期に報告された。それ以来 病気の数は増え、特にヨーロパ、北アメリカ、日本、同様にアジア諸国であり、ソバを含む食品製品をしばしば、しかも多量に消費する人々である(Morita et
al., 2006)。特異的ソバアレルゲンに対する感受性は、特別の症状と関係し,例えば主な胃腸または皮膚症状であり,さらに最悪のアナフィラキシーである(Heffler et
al., 2011)。低分子量タンパク質、特に分子量9、16、19、24kDaタンパク質が殆どのアレルゲンになる強い候補物質である事が示された(Park et
al., 2000)。又ある研究ではIgE-結合効果ある低分子量範囲(<9kDa)のタンパク質が見出された(Christa and Soral-Smietana, 2008)。臨床的に関連ある交叉反応性は、ソバタンパク質と他のアレルゲン、例えば米、ポッピー種子(けしの実)、ヘーゼルナッツとの間が述べられている(Oppel et
al., 2006)。ソバ粒のアレルゲンタンパク質除去のいろいろな試みがなされ、例えば酵素修飾あるいはイーストによる特異発酵で行われた(Christa and Soral-Smietana, 2008)。ソバ粒の製粉や食品加工の間、ある労働者達はアレルギー反応に苦しんだ、たとえば鼻のかゆみ,くしゃみ、さらにもっと重大な症状,喘息である(Krkoskova and Mrazova, 2005; Wieslander and
Norback, 2001)。明らかに特異的なソバアレルゲンタンパク質の性質、加工特性について知る必要がある。
全ソバ植物の摂取はファゴピリズムと呼ばれる重大な光感受性を引き起こす。ファゴピリンはナフトジアンスロンであり、ヒペリシンと関係あり、しかし毒性は低い。ファゴピリンの光毒性は紫外線に対する感受性と関係ある(Stojikovski et al., 2013)。この病気は第1に植物の葉を食べる動物で起こり、しかし人では大量のソバもやしを食べるヒトに報告がある(Li and Zhang, 2001)。普通ソバの花は0.64mg/gのファゴピリンを含み、葉は0.4-0.6mg/gを含む、しかしファゴピリンはひき割りソバ中には見られない。しかしながら人では,光毒性ドースに関する情報はない(Stojikovski et al., 2013)。プラスのこととして、ファオピリンの光依存活性は光線力学療法において増感剤として用いられるだろう(Benkovic et al., 2014)。
5. ソバ消費による健康増進面
ソバは中国の伝統療法で効果的薬草として利用され、多くの病気に対し1000年以上にわたり治療に用いられてきた(Cai et
al., 2016)。
今日では有益な栄養的性質のために、機能食品材料と添加物として力になっている。
ソバ炭水化物は好ましい特性を持つ。ソバデンプンの栄養的品質の研究は、低グリセミックインデックスの食品形成として重要な利用性を示したが、それは高アミロース含量と高抵抗性デンプン量のためである(Cai et
al., 2016)。穀物繊維は多くの健康増進効果を示した。特にそれらは胃排出を減らし、下部消化管での輸送時間を増やす。これらのソバ中の繊維成分は、消化管中の微生物相による発酵をすすめ、短鎖脂肪酸を作り、ガスを生産する(Steadman et al., 2000)。より高レベルの可溶性繊維は、栄養関連病気の危険性を低下するのに効果的で、たとえば肥満または心血管疾患の様な病気である。ユニークなソバ可溶性炭水化物の活性成分は、ファゴピリトールである。それらは非インシュリン依存性糖尿病や多嚢胞性卵巣症候群の治療にかなりの関心がある(Christa and Soral-Smietana, 2008)。
示されたように、ソバタンパク質のアミノ酸組成は栄養的に十分バランスが取れている。ソバは好ましいアミノ酸組成を持つタンパク質食事源としてよく知られ、特にリジンに富んでいる点である。これは他の植物タンパク質と比べ良いところで、リジンは植物中心の食事の中で第1制限不可欠アミノ酸であるためである。ソバ中、スレオニン、メチオニンは第1、第2制限アミノ酸である(Krkoskova and Mrazova, 2005; Pomeranz and
Robbins,1972)。さらに疑似穀物タンパク質、特にソバタンパク質は、真の穀物に比べてかなり高い生物学的価値(90%以上)がある(Berghofer and Schonkchner , 2007; Egyum et al., 1989)。これは高バランスの不可欠(必須)アミノ酸濃度によって説明される。全ひき割り穀物中、外部抗栄養素の存在(食物繊維、プロテアーゼインヒビターとタンニンータイプ成分を含む)のため、それとタンパク質分解作用へのタンパク質の低感受性のため、真のタンパク質分解性は僅か80%以下である (Bonafaccia and Kreft 1994; Pomeranz and
Robbins 1972)。
多くの不飽和脂肪酸の有効な効果が示された。ソバ種子中の高比率不飽和脂肪酸(主に多不飽和である)は非常に好ましく、ソバは栄養的に真の穀物の脂肪酸組成に比べ優れている(Krkoskova and Mrazova, 2005)。
さらに殆どに用いられる穀物に比べ,ソバは高い抗栄養活性をもつ事が報告され、主にはその高ルチン含量によるためである(Sedej et
al., 2011)。ヒト食事中のルチンは、他の健康上のメリット同様に抗微生物的,抗炎症作用がある(Cai et
al., 2016)。
セリアック食事中のオート製品の現在の状況
イントロダクション
価値ある高含量繊維と生物活性の共同存在は、オートを一般食、グルテンフリー食の両方で魅力的な物質にしている。オートの食物繊維は、栄養的に特に可溶性区分が高含量で、(1→3)、(1→4)--β-D-グルカンと結び付き、それは全粒重の2-7%にもなりオート粒の主細胞壁成分である(Wood, 1986)。β-グルカンの十分な毎日の食事取り込みは、心臓病や冠動脈疾患の危険性を低下することに結びつく。β-グルカンに加え、オート、特にオートふすまは、ほとんどの他のグルテンフリー粉より高含量の全食物繊維を多く含んでいる(表8.1)。更にオート中のタンパク質含量は、米、あるいはコーン粉よりも高い。
食物繊維、タンパク質に加えて、オートは不飽和脂肪酸、生化学的活性物質量のかなりの量を供給する。オート中、全脂質量は3-9%の範囲である(Brown and Craddock,1972)。脂質の大部分は不飽和脂肪酸で、殆どの脂肪酸はモノ不飽和オレイン酸と多価不飽和リノール酸である。オートは高含量の抗酸化剤を持つことが知られ、典型的なトコール(C26H44O2)含量は約20-30mg/kgである(Lasztity et al., 1980; Peterson and Qureshi, 1993)。他の抗酸化物質でオート中に存在するものにはフェノール酸、アベナンスラミドとステロールがある。
各タンパク質のクラス分布はオートはユニークで、グロブリンが最も大きなグループである。対照としてグルテン含有穀物の小麦、ライ麦、大麦グロブリンは全貯蔵タンパク質のほぼ10%であるが、最も大きなグループのプロラミンは全貯蔵タンパク質の80%を占める(図8.1)。殆どの他の穀物種子貯蔵タンパク質のように、オートプロラミンもグルタミンとプロリンに富んでいる。
多数の臨床研究から、今やオートは多くの国々でグルテンフリー食品の1パートに入ると認められている(Leiss 2003; Kupper 2005)。同時に特別のオートブレンドでは、全製造を通してオートが他の穀物とのクロスコンタミしないように注意深くコントロールし、クロスコンタミしても最小にしていることが紹介されている。結果として、多くのセリアック病患者は今やオート製品を彼らの食事の多様性と栄養品質のために用いている。
オートのグルテンフリーの状況
小麦とともにオートは最も完全にセリアック病と関連して臨床研究された穀物である(表8.2)。臨床研究は、セリアック病患者用グルテンフリー食事の一部としてオートの適当量の長期使用の安全性を示してきた。
1981年よりCodex standardにはオートをグルテン含有穀物、小麦、ライ麦、大麦とともにグルテン含有穀物と定義されていた。しかしながらグルテンフリー製品のスタンダードは最近のCodex Alimentarius法のステップ6であり、グルテンフリー食品としてのオートの利用は国際レベルであると決められていると記述されている。米国Food and Drug Administration(FDA)が2007年1月に提案したのは、"グルテンフリー"という言葉の定義にはグルテンフリー製品中にオートの入ることを禁止してはいないということである。
セリアック病と帯状疱疹を持つフィンランド患者は、1997年来オートを含むグルテンフリー食事を用いている。2001年来、オート食品はまたフィンランドでセリアック病の子供により容認された穀物リストに入っている。この国ではセリアック病の大人の73%がオート食品を彼らの毎日の食事に使っている(Peraaho et
al., 2004a, 2004b)。患者は味、使いやすさ、低コストを知り;彼らの94% はオートがグルテンフリー製品と解釈している。
オート製品
オートは皮付きで収穫され、人が食べるのにはオート製品から除去する必要がある。更に内胚乳脂質--修正酵素、特にリパーゼは、またリポキシゲナーゼ、リポパーオキシダーゼは、更に使うのに特に加熱処理によって不活性化する。脱皮、及び加熱処理したオート粒は異なった成分とともに食品を色々な形に加工し、見てくれ、味、技術的機能を持ったものにする。
オート製粉による区分化
オート粒の主な技術的部分は、皮、細胞壁(例えばふすま)、内胚乳区分である。硬い外皮は30-40%粒重量を占める。オート製品を述べる異なった言葉の利用の多様性を明らかにするために、American Associartion of Cereal Chemists (AACC)のオート委員会はオート製粉区分の定義を調べ始めた(表8.3)。オート全粒の大部分のうち、人が消費するのはオートフレークのローラーミル、あるいは粒を3-4部分に金属カッターで切って作る。オート粉と比べ、これらのハンドリングとその先の加工はオート粉を固める時やりやすくする。
オートフレークはベーキング加工に用いられるが、一度水と混ぜて簡単に崩壊する。使用するときにはこの崩壊は望ましくなく、もっと厚いフレークが使われやすい。対照としてカット粒は、ベーキング加工の間その構造の部分を保持し、最後の製品に粒の外観を残す。
健康の効果は、主にオート製品中の全食物繊維、βーグルカン含量に頼るところがあり、しばしばオート製品はβーグルカン含量により特徴づけられる。脱皮オート全粒中のβーグルカンはふすま製品に富んでいる。ふすまは、オート全粒粉から篩でデンプン内胚乳を除去し、あるいは空気分級で除去し作られる。ふすま中に残るデンプン内胚乳量の量は、製品から製品により違って来る。普通のオートふすまは、典型的には6-8%β--グルカンを含み、一方変わったオートふすま濃縮物は22%までβーグルカンを含むことができる。より高いβーグルカン含量は適応の抽出プロセスを使って得ることができる。
オート製粉区分はまたエクスクルード製品として利用できる。エクストルージョン加工は僅かにロースト臭を加えてフレーバーを変え、オートデンプンをアルファ化デンプンにする。他の穀物に比べ、オートはまた高脂質含量でもある。例えオート脂質が栄養的に有益であると考えられても、それらは加工性質上は悪影響を与え、オート加工の貯蔵安定性には悪い影響がある。結果的にはあるオート製品では、安定性を良くするためさらに加工前にソルベント抽出して脱脂する。
オートを含む消費用製品;技術と挑戦
オートは色々な消費者用製品に含まれセリアック病患者の食事に多様されている。
オートだけでは伝統的製パン加工には適しておらず、ほとんどの市販オートパンには小麦粉のかなりの量が入っている。市販オートパンのタンパク質ネットワークは、しばしば添加グルテンで強化されている。そこで最近利用される殆どのオートパンはセリアック病患者にとって適当ではない。しかしながら新たなベーキング加工を応用するとグルテンフリーオートパンを作ることが可能である。典型的なグルテンフリーパンはデンプンに基づくものである。デンプンパンはしばしば穀物フレーバーを欠き、グルテン含有パンのような口当たりの良いクラム構造を示すことに欠けている。オートを他のグルテンフリー成分と混ぜると、好ましい香りと味はテクスチュア同様に達成することができる。オートを全粒フレークあるいは粉で殆どを用いると、それらはマイルドなナッツ臭が出る。
最近のベーキング技術ではオートパン51-100%のものが開発され(Flander et
al., 2007), そしてはじめての製品がすでに市販された( www.eho.fi
for a 100% oat bread を見よ)。
パンに加えて、オートは広く色々な他の製品に用いられ、スナックやかゆがある。オート・スラリーの発酵は、ヨーグルトタイプのものを作るので、それはセリアック病患者ミルクアレルギー、乳糖不耐症の患者に用いることができる。いくらかオート含有する飲料もマーケットに現われている(例えばオートミルク)(Lindahl et
al., 1997; Onning et al., 1998; Chronakis
et al., 2004)、 及びオートーベリー飲料である。オートアイスクリーム、オートパンケーキミックス、ミール置換飲料( Mokola 2004) は、すべて全体的に新規な高水分オート食品である。Lyly et al.,
(2004)の研究は、オートβーグルカンが技術的にはスープ中の好ましい粘り剤であるが消費者に好まれている。オート抽出物の高いせん断力粘度により、製品溶液あるいは高水分食品に対する技術が調べられた。しかしながらこの製品はセリアック病患者以外の高いマーケットの可能性がある(表8.4)。
オート製品のグルテンフリー状況の解析法
他の穀物あるいはグルテンフリー食品中の成分同様、オートは小麦、大麦、ライ麦のように禁止された穀物種がコンタミしている。コンタミは農地で起こるが、輸送、貯蔵、製粉あるいは食品加工中にも混入することがある。
グルテン分析法はいろいろな食品の母形からの混入するプロラミンの正確な定量が期待される。2つのELISA法によるグルテン分析が広く商業的に利用される。それらの違いは、プロラミン検知のための抗体である。1つはモノクローナルω--グリアジン抗体で、熱安定性ω--fractionは小麦、ライ麦、大麦プロラミンから作られ、しかしオートアベニンからではない(Hill and Skerit 1989)。その主な欠点は大麦、ライ麦プロラミンが小麦プロラミンと同じ感度の検知ができないからである。更にWieser (2000)は、相対的ω-グリアジン量が小麦品種で違いがあり、そのことが不正確な結果を導くことを示した。他に、もっと最近のELISA 法はライプロラミンに対して産生したモノクローナル抗体R5に基づいている(Sorell et al., 1998; Valdes
et al., 2003)。この方法は、一時的な承認がCodex Committee on Methods of Analysis and Sampling (Codex
Alimentarius Commission,2005)としてされ、the Codex Committee
on Nutrition and Foodsfor Special Dietary Uses (Codex Alimentarius Commission
2003)によりさらに進められた。抗体R5は5ペプチドQQPFP(グルタミンーグルタミンープロリンーフェニルアラニンープロリン)が小麦、ライ麦、大麦プロラミンに存在するのを認識し、しかしオートにはないことを認識する(Kasarda, 1995)。この配列はプロラミンに何度か繰り返しが見られ、特にω--タイププロラミンに見られる(Shewry and Tatham, 1999)。Osman et al.,(2001)は、この抗体で認識できる異なったペプチドを研究し、エピトープ中最も重要な必要構造はdipeptide FPのようであることを報告した。このペプチドは小さく色々な異なった起源のタンパク質にあるので、可能性としては、抗体R5はセリアック病の人々に有毒ではない多くのペプチドを認識する可能性がある。結果として、誤検知の危険性があり、それはグルテンフリー食品の現在のバラエティーを低下させる。
Kanerva et al.,( 2006)は、大麦コンタミ既知量のわかったオートサンプルを作りプロラミン含量の定量をした。結果、R5抗体に基づくELISA法では数倍のオート基準サンプル中のプロラミン含量を示したが、その結果はそれらのあるべき値よりもずっと高かった(つまり実際に存在するよりオートサンプル中7-30倍高いホールデン濃度であった)。その結果はホールデンがグリアジンの代わりにスタンダードとして使われる時に改良された(Kanerva et al., 2006)。この現象はグルテンフリー製品の大麦の僅か量が含むなら分析を難しくし、そして多分マーケットからいくつかのグルテンフリー製品を不必要にはじき出すことになる。そこで大きな必要あるものは分析方法であり、食品成分および加工食品中セリアックー毒ペプチドの差別化と定量化できるものである。オートはセリアック病の患者の食事の一部に適しているので、小麦、ライ、大麦と差別化するより特異的な方法が必要である。
これからの傾向と結論
現在の臨床データーによると、明らかにオートはグルテンフリー食品に含まれる。Holm
et al.,(2006)は、セリアック病を持つ子供がまたコンタミのないオートを長い間彼らの食事の一部として消費して来たと述べた。更にオートの入った製品は子供によく受け入れられている。Carsed and Scott(2007)は、最近のレビューの中で以前の矛盾していたデーターは少なくともオートへの小麦の一部コンタミによるものであったと結論している。北欧諸国では大麦は典型的なオートのコンタミがある。オートがセリアック病患者にとり広く、安全だとすすめられる前に、コンタミのない、安全なオート製品の農場から食卓までのチェインが必要であることは明らかである。"純粋オート"製品は近年発達し、いくつかの製品はマーケットに出ている(例えばwww.creamhillestates.com and www.provena.fiを見よ)。
コンタミのない、"純粋"オートはグルテンフリー食品に真実に変わる。オートは典型的に穀物の特徴を製品に届け、ベーカリー食品、カユ、スナックのような典型的な穀物利用の材料として用いることができる。全粒オートベーキング技術の進歩は、更に伝統的タイプのソフトパンの品質、指向性を改良した。セリアック病患者のオートパン選択はすでに市販的に利用されている(例えばwww.moilas.fiを見よ)。
オート、及び特別のオート区分は、現在の消費者の高繊維製品への要望を満足させる。オート区分は、例えば飲料、ヨーグルトタイプ食品、乳製品のような最近の健康増進製品のいくつかのタイプに適している。オートは一般に広く受け入れられているので、全ファミリーに選ばれ、少々グルテンフリー製品へのコンプレックスは必要ない。これはセリアック病患者にとってはっきりとした助けとなるが、それはグルテンフリー製品は基本的な製品よりも典型的に高価だからである。
食品中へのオートの取り込みは、グルテンフリー食品にとってはいくつかの変更点が必要になる。現時点ではオートはほんのわずかの国々でグルテンフリー食品として承認されている。もっとオートを広く受け入れるためには、セリアック社会、当局、科学者、全食品生産チェーン間の活発な協力が必要である。