2010年6月30日 16:10 (瀬口 正晴)
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グルテンフリーパンとしてヤマイモパンの製造研究
今回のGF10学会(フィンランド、タンベレ市)では、以下のようなポスター発表 "A gluten-free bread with viscous yam (D. japonica) (Jinennjyo) instead of wheat flour (=小麦粉に変えて粘性ヤマイモによるグルテンぬきパン製造研究)" を行いました。
グルテンを用いずに,すなわち小麦粉を用いずに膨化食品を作ろうというものです。対象は製パンです。
前回のブログで述べましたように、小麦グルテン中のCeliac 病(CD)を引き起こす原因タンパク質は、そのキーポイントになるアミノ酸配列まで分かっています。テトラペプチドPSQQ, QQQPが、その活性ペプチド(P;Pro, S;Ser, Q;Gln)でした。
当方の研究では小麦グルテンに匹敵するねばりのある山芋に注目いたしました。これはタンパク質ではありません。ヤマイモには世界中に600種類あるともいわれています。そのうち日本には3種類(ジネンジョ、長いも、ダイショ)があります。大和イモ、イチョウイモ等は長いもの中に入ります。ジネンジョは、日本原産のもので昔から日本でも薯蕷まんじゅう、カステラをモデルにしたかるかん等に広く用いられており、熱いご飯にこのジネンジョをかけて日本人はよく食べますよね。
ここではこの粘性物質を小麦粉、小麦グルテンに代替えしました。ヤマイモは良く摺り合わせた後、凍結乾燥し、小麦デンプンとブレンドして小麦粉の代替えとしました。砂糖とイーストもまぜ、醗酵させて、製パン試験を行いました。ジネンジョが最も強い粘りを示しました。そのためかパンも最もよく膨れました。粘りの強いものがよく膨化するというわけです。
ヤマイモパンならばグルテンによるCeliac病は起らないと思います。ジネンジョの粘りは多糖類マンナン、グルコプロテインと言われています。これらのヤマイモのねばりについては、関東学院大学の津久井先生が良く研究されています。多くの論文を参考にさせていただきました。
さらに当方ではジネンジョを多量の水に透析し、その透析外液と内液による製パン試験をそれぞれ行いました。ジネンジョの透析内液(HMW)とは、分子量が大きくて透析膜の穴を通らない成分です。透析外液(LMW)とは逆にこの透析膜の穴を通過する分子量の小さな区分でした。
これらHMW, LMW区分をそれぞれ用いて製パン試験を行ってもパンは膨化しませんでしたが、ジンネンジョと同比率でHMW, LMW区分を混合して製パン試験すると、できたパンは、ジネンジョのパンと同じ膨化を示す事がわかりました。
ジネンジョで膨化する為にはこのHMWとLMW区分とが必要という事でした。ヤマイモのねばりに基ずくパンの膨化です。LMW中の糖質区分、ペプチド区分と、HMWとのからみでこのような粘りが生じ、製パンとなるものと推察しています。
その他、粘性物として納豆のねばり、海草のねばり、バナナのねばりなどを利用した同様の膨化食品の研究も進めています。
グルテンを用いずに,すなわち小麦粉を用いずに膨化食品を作ろうというものです。対象は製パンです。
前回のブログで述べましたように、小麦グルテン中のCeliac 病(CD)を引き起こす原因タンパク質は、そのキーポイントになるアミノ酸配列まで分かっています。テトラペプチドPSQQ, QQQPが、その活性ペプチド(P;Pro, S;Ser, Q;Gln)でした。
当方の研究では小麦グルテンに匹敵するねばりのある山芋に注目いたしました。これはタンパク質ではありません。ヤマイモには世界中に600種類あるともいわれています。そのうち日本には3種類(ジネンジョ、長いも、ダイショ)があります。大和イモ、イチョウイモ等は長いもの中に入ります。ジネンジョは、日本原産のもので昔から日本でも薯蕷まんじゅう、カステラをモデルにしたかるかん等に広く用いられており、熱いご飯にこのジネンジョをかけて日本人はよく食べますよね。
ここではこの粘性物質を小麦粉、小麦グルテンに代替えしました。ヤマイモは良く摺り合わせた後、凍結乾燥し、小麦デンプンとブレンドして小麦粉の代替えとしました。砂糖とイーストもまぜ、醗酵させて、製パン試験を行いました。ジネンジョが最も強い粘りを示しました。そのためかパンも最もよく膨れました。粘りの強いものがよく膨化するというわけです。
ヤマイモパンならばグルテンによるCeliac病は起らないと思います。ジネンジョの粘りは多糖類マンナン、グルコプロテインと言われています。これらのヤマイモのねばりについては、関東学院大学の津久井先生が良く研究されています。多くの論文を参考にさせていただきました。
さらに当方ではジネンジョを多量の水に透析し、その透析外液と内液による製パン試験をそれぞれ行いました。ジネンジョの透析内液(HMW)とは、分子量が大きくて透析膜の穴を通らない成分です。透析外液(LMW)とは逆にこの透析膜の穴を通過する分子量の小さな区分でした。
これらHMW, LMW区分をそれぞれ用いて製パン試験を行ってもパンは膨化しませんでしたが、ジンネンジョと同比率でHMW, LMW区分を混合して製パン試験すると、できたパンは、ジネンジョのパンと同じ膨化を示す事がわかりました。
ジネンジョで膨化する為にはこのHMWとLMW区分とが必要という事でした。ヤマイモのねばりに基ずくパンの膨化です。LMW中の糖質区分、ペプチド区分と、HMWとのからみでこのような粘りが生じ、製パンとなるものと推察しています。
その他、粘性物として納豆のねばり、海草のねばり、バナナのねばりなどを利用した同様の膨化食品の研究も進めています。
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