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2010年7月23日 17:23 (瀬口 正晴)

保存食としての麩的パンの研究

他天体に向かう宇宙船の中で、どんなものを食品として積んでゆけるでしょうか。あるいは宇宙船の中で食糧の自給ができるでしょうか。火星へは地球から半年かかるようです。

動物性たんぱく質源として、昆虫の幼虫を食べるアイデアが、NASAでは真剣に考えられているようです。

昨年、アメリカ、ボルチモア市で穀物国際会議(AACC) のあった時、滞在中にボルチモアから電車でワシントン市までゆき、スミソニアンの宇宙航空博物館で宇宙食を求めようとしました。10年以上前にそこで一度高価な宇宙食を買って授業に使った記憶がありましたので。しかし今回はそのコーナーはつぶれ、ハンバーグか何かの食物屋になっていて、宇宙食は手に入りませんでした。

では小麦粉を用いた加工食品ではどうだろうかとそっちに関心が向きます。

この件で、ずっと以前から麩の可能性を考えています。

麩は小麦グルテンが主体で、そこに小麦粉等を混合し、水蒸気の力で膨化させる食品です。古くから日本人は焼き麩、生麩として食べてきました。その元はやはり中国からの移入だと思われます。唐の時代の文献に、麺麩(麩のこと)が出てきます。日本には遣唐使によってもたらされたようです。平安時代の貴族は板麩と読んで盛んに食べていたようです。鎌倉時代に入り、栄西、道元によって伝えられた禅宗の精進料理のなかにも豆腐とともに麩の名が出てきます。

ふとん圧縮機は、ふとんを袋に入れてこれを、真空装置で脱気して、ペシャンコにして押し入れに沢山、効率よく入れる事ができるというものですね。

これを真似て、膨化したパンをふとん圧縮機のようなもので減圧下でペシャンコにし、薄く板状にしてプラスチックの袋の中に保管します。これを食する時にはその袋を破り、空気を入れて元の状態に戻してパンとして食べられる用にならないだろうかと思いました。

しかしパンにはそれほどの膨張回復力はないでしょう。あるいは一度組織を潰してしまうとパン組織どうしでくついてしまうか、しかし何としてもパンにはグルテンの骨格力は不足していて、復元は難しいのではないかと思われます。


そこでグルテン中心のこの麩を用いて、さらにグルテン含量ももっと強化して、膨張回復力の強い食品を作ってみてはどうかと考えてきました。

ところが、この麩の製造自体が難しく、研究室で数年来色々試行錯誤しましたが、うまく進みませんでした。麩は、そのドウを短時間の内に高温で加熱し、グルテン中の水蒸気を一気に膨張させ、その力でグルテンを膨らませ、焼いて固化するというものです。

長田産業(株)のご好意で、その麩独特の製造装置をお借りして、やっと麩試作が可能となりました。

現在グルテン、小麦粉、水等の比率を変えて、その際の麩の弾力性等の変化を調べています。

ある比率で理想的な麩ができたら、真空装置を用いてプラスチックの中でその麩を減圧して薄い板状、あるいはフィルム状にしたいと思っています。プラスチックの袋に入れた麩それぞれ365枚を閉じて1冊の小冊子とし、3冊で1年分とします。麩表面には文章を印刷して本代わりの保存食品にして一食1枚破ってパンを取り出します。


さらにグルテンタンパク質を良質なタンパク質に変換したら、宇宙旅行などにはいいでしょう。この麩の中にさらに必須各種栄養素も入れましょう。

毎日の記録帳の一枚として使い、あるいは書籍の1ページに使い、必要時には1日1枚ずつ真空の袋を開放して空気を入れ、麩という膨化食品、パンとしてこれを食する事は有効だと思います。そこに到るにはまだ時間がかかりそうですが、未来の宇宙食としては面白いと思ってます。

この仕事は、小生の所の卒論学生の筒渕さんがやってます。

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