2010年8月11日 08:31 (瀬口 正晴)
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テレビ番組、龍馬伝、長崎でのカステラをみて
NHKの日曜日の大河ドラマ、龍馬伝では、先日(7/5)ドラマの中で長崎における龍馬の金策の話がでていましたが、ご覧になりましたか。龍馬らは長崎に来て、初めてカステラを食べましたね。その後いろいろ話が続くのでしょうが。
カステラと言う事になれば、少々こちらでもカステラに集中してましたので、お話ししたい事がありました。
カステラはやはり主原料は小麦粉でしょうか。カステラの膨らみはしかしながら卵なのです。卵アルブミンというタンパク質は極めて起泡性があり、泡安定性もあり、いろいろな膨化食品を作るのにはご存知のように大変に良い材料です。
パンやケーキ(ホットケーキのような膨材を入れるもの)などは小麦粉のグルテンの力で膨らみを保持するというメカニズムですが、カステラの場合は、小麦粉のグルテンの力は借りずに、もっぱら卵を撹拌して、それを起泡させ、その卵の泡をいかにオーブン中でも壊さずに保持し、そのまま固化してあのカステラのふわふわの組織を作るかという点です。ではこの時、主原料である小麦粉の役割は何か?
オーブンに入れる前に、卵の泡をミキサーで思いっきりたてても、オーブン中に入れてしまえば、熱で泡の空気は膨らみ、そのままフーセンがいっぱいに空気入れて膨れて、しまいにはフーセンは破れてしまうのと同じで、その後の泡はオーブン中ではことごとく破れてしまいます。その結果オーブンから取り出すとゴム状の板になってしまいます。
小麦粉の役割はオーブン中での卵の泡の安定化です。さらにカステラのボデー作りです。小麦粉は卵の泡の中にブレンドすることで泡の表面に付着して泡の安定化をするのです。
泡は水をはじく性質(疎水性)があり、小麦粉にもその性質、疎水性の性質があって、疎水性同士は仲が良く互いに引き合います。そのため小麦粉は、泡表面に付着します。その結果、泡はオーブン中でもかなり安定化し、デンプンは水を吸収して多少糊化しながら泡の形を保持します。デンプンが糊化して卵のタンパク質とともに袋を作るような事で組織が形成されてゆくものです。
小生のところでは、カステラの組織を改良する(もっとよく膨らむカステラ、もっと食感の改良したもの)目的で中村さんが長い事研究されました。中村さんは小麦粉にもっと強い疎水性を与えて、もっと強く卵の泡の安定性をはかろうというものでした。
小麦粉を120℃,数時間乾熱処理すると、強い小麦粉の疎水化は知られています。
この性質を利用して、ただ単なる小麦粉を用いてカステラを焼くのではなく、もっと強い疎水化を与えた小麦粉でもっと卵の泡を安定化して、オーブン中でも卵泡膜が壊れにくいように工夫してカステラを焼くというアイデアです。
彼女は苦労して各種乾熱処理小麦粉を沢山揃えて多くのカステラを焼きました。
乾熱処理小麦粉を用いるとカステラのバッター(焼く前のドロドロのもの)は安定化し、オーブン中で焼いた後も保持されるのか、良く膨らむカステラのできる事が分かりました
。食べてもドライな食感のもので、新規カステラとしてパテントにまで至りました。
彼女はこの仕事で博士になりました。
カステラと言う事になれば、少々こちらでもカステラに集中してましたので、お話ししたい事がありました。
カステラはやはり主原料は小麦粉でしょうか。カステラの膨らみはしかしながら卵なのです。卵アルブミンというタンパク質は極めて起泡性があり、泡安定性もあり、いろいろな膨化食品を作るのにはご存知のように大変に良い材料です。
パンやケーキ(ホットケーキのような膨材を入れるもの)などは小麦粉のグルテンの力で膨らみを保持するというメカニズムですが、カステラの場合は、小麦粉のグルテンの力は借りずに、もっぱら卵を撹拌して、それを起泡させ、その卵の泡をいかにオーブン中でも壊さずに保持し、そのまま固化してあのカステラのふわふわの組織を作るかという点です。ではこの時、主原料である小麦粉の役割は何か?
オーブンに入れる前に、卵の泡をミキサーで思いっきりたてても、オーブン中に入れてしまえば、熱で泡の空気は膨らみ、そのままフーセンがいっぱいに空気入れて膨れて、しまいにはフーセンは破れてしまうのと同じで、その後の泡はオーブン中ではことごとく破れてしまいます。その結果オーブンから取り出すとゴム状の板になってしまいます。
小麦粉の役割はオーブン中での卵の泡の安定化です。さらにカステラのボデー作りです。小麦粉は卵の泡の中にブレンドすることで泡の表面に付着して泡の安定化をするのです。
泡は水をはじく性質(疎水性)があり、小麦粉にもその性質、疎水性の性質があって、疎水性同士は仲が良く互いに引き合います。そのため小麦粉は、泡表面に付着します。その結果、泡はオーブン中でもかなり安定化し、デンプンは水を吸収して多少糊化しながら泡の形を保持します。デンプンが糊化して卵のタンパク質とともに袋を作るような事で組織が形成されてゆくものです。
小生のところでは、カステラの組織を改良する(もっとよく膨らむカステラ、もっと食感の改良したもの)目的で中村さんが長い事研究されました。中村さんは小麦粉にもっと強い疎水性を与えて、もっと強く卵の泡の安定性をはかろうというものでした。
小麦粉を120℃,数時間乾熱処理すると、強い小麦粉の疎水化は知られています。
この性質を利用して、ただ単なる小麦粉を用いてカステラを焼くのではなく、もっと強い疎水化を与えた小麦粉でもっと卵の泡を安定化して、オーブン中でも卵泡膜が壊れにくいように工夫してカステラを焼くというアイデアです。
彼女は苦労して各種乾熱処理小麦粉を沢山揃えて多くのカステラを焼きました。
乾熱処理小麦粉を用いるとカステラのバッター(焼く前のドロドロのもの)は安定化し、オーブン中で焼いた後も保持されるのか、良く膨らむカステラのできる事が分かりました
。食べてもドライな食感のもので、新規カステラとしてパテントにまで至りました。
彼女はこの仕事で博士になりました。
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