2010年11月 2日 21:36 (
今年のAACC (American Association of Cereal Chemists, International) 大会は,ジョージア州のサバナ市で10月24−27日にわたって行われました。サバナ市は、アメリカ南部の歴史ある町です。会場近辺は、サバナ川を挟んで ダウンタウンと巨大な会場(コンベンションホール)のある川向こうからなってました。
ダウンタウンのホテル群に泊まった参加者 は、フリーのシャトルバスや汽船で会場まで行けるようになっていました。サバナ市は多くの歴史的な由緒ある地域で、町の中心部には一面しだれのようなこけ で覆われている木々があって,夜にはオレンジ色のライトでそのクラッシックの雰囲気を作っているというなかなかしゃれた観光地でした。
ア メリカはこのところ、年から年中戦争状態であり、困ったものです。そのためか我々がアメリカ国内に入る時の入国手続きは極めて大変です。サバナ市まで行く のに伊丹、成田、ワシントンDCダラス空港とゆき、そこでさらに乗り換えました。ところがこのダラス空港でアメリカへの入国手続きが厳重に行われ、一人当 りの手続きに大変に時間がかかりました。
ヨーロッパからの観光客も多いようだ。指紋、顔写真、聞き取り調査で、長蛇の列はなかなか前に進みません。一時間なんてアッという間でした。日本からアメリカへのフライトは、向い風のせいもあり、15分あまり遅れました。
「次 の乗り継ぎの飛行機に間に合わない」と誰かがいうと、係員は「これは政府の仕事で、航空機会社の都合とは関係ない」と言ってきます。時間はたちまち経過し て、そこを通過してやっとゲートに入ったら、すでに乗り継ぎのサバナまでのフライト時間をとっくにオーバーしています。間に合わなかったのです。
途 方にくれ、飛行機会社に掛け合うと、新しいチケットは出してくれたが、「ツモロー」と言われ、「本日中に行かねばならぬ、どうしてくれるのか」と食い下 がったが、「本日のフライトはもうないよ」と言われてしまいました。しかたないのでインフォメーションでホテル紹介してもらいました。
一 晩宿泊後、翌朝のフライトでサバナ市に行きました。サバナでは、すぐホテルで荷物を解いて会場へ向かい、ポスターをはりにホールへ向かいました。小生の発 表は、"Effect of the outer bran layers from germinated wheat grists on bread-making properties"というタイトルで、小麦フスマの製パン性劣化を改良するという研究でした。これは小生のところで大学院マスターを終了した魚津雅子 さんの仕事です。彼女は、目下日本製粉(株)研究所に勤務です。会場には上司の大楠 秀樹氏も来ておられました。
小麦フスマは小 麦から15%近くもとれ、栄養価も高く、食物繊維としても有効な物質ですが、その製パン性との相性は極めて悪いのです。魚津さんは、発芽小麦から得たフス マを小麦粉に10%置換して製パン試験を行いました。発芽日数を変え、5日目のもので製パン試験するとその製パン性(パン高、比容積)はコントロール(無 添加)の1.4倍ほど上昇しました。その原因は発芽小麦中の分解酵素群(αー、βーアミラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)でした。特にαー アミラーゼ、キシラナーゼ活性の上昇が製パン性上昇と相関性が高かったのです。そういった内容の発表(Cereal Chem 87(3):231-236, 2010)でした。これは大会3日目のポスタートークでも発表しました。ポスタートークとは、終了したポスターをさらに別室に張替え、そこで内容をオーラ ルで5分間、スライド3枚で紹介後、さらにデスカッションするというものでした。ポスターセッションで2日間貼付けデスカッションし、更に1日このポス タートークでデスカッションするという油断ならぬ発表でした。
色々なヒトが興味を持ってくれて、特に発芽したフスマに対して大きな関心があったようです。
グ ルテンフリーの学会(第2回のGluten-Free Cereal Products and Beverages学会)が6月にフィンランド、テンペ市であり、その内容についてはご紹介した通りでしたが、やはりこの分野の発表がAACC大会でも多 く目に止まりました。
特にメキシコのAlma R. Islas-Rubioさんのオーラル発表では、グルテンタンパク質をキモトリプシンを用いてメチオニン修飾し、それを用いた合成粉でパンを焼いてまし た。このペプチドは、CD(Celiac disesase) 患者のserum IgA immunoleactivityを低下させ、病気が出にくくなったという発表でした(Journal of Cereal Science 52 (2010)310-313)。その後、御本人が丁度小生のポスターに来たときに、詳しく伺う事も出来ました。他に雑穀を用いたグルテンフリーパンの発表 等があり、興味深かったです。Celiac病は、アメリカ、ヨーロッパで次第に増加しているといいます。 わが国でもこの問題は油断できません。時間の 問題でしょう。それまでにこの様なものに対するグルテンフリー食品加工の可能性を研究しておかねばならないと感じてます。
相変わらずデンプン生合成、抵抗性デンプンの研究がAACCでは主体で、グルテンフリーの研究など新しい流れは前年度に引き続き大きな流れになってました。
帰 国時にもやはりフライトにトラブルがありました。ワシントンDC、ダラス空港に到着し、建物の中に入ると大きな声で "Seguchi" とアナウンスメ ントがあり、「直ちにC-1gateへと」いうアナウンスメントでした。両手に重い荷物を抱えて長い廊下を走ってやっと飛行機に間に合いました。やれやれ やっと日本に無事帰国出来た次第です。フライトと次のフライトのつなぎ時間の1時間は絶対無理ですね。2−3時間は必要です。皆さん御旅行時には心してく ださい。
今回のフライトで驚いたのは、このユナイテッド航空ではおやつにカップヌードルが出たことです。たしかきつねうどんでした。宇宙食にもあるのですから、あり得ますね。
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2010年AACC International 大会に出席して
今年のAACC (American Association of Cereal Chemists, International) 大会は,ジョージア州のサバナ市で10月24−27日にわたって行われました。サバナ市は、アメリカ南部の歴史ある町です。会場近辺は、サバナ川を挟んで ダウンタウンと巨大な会場(コンベンションホール)のある川向こうからなってました。
ダウンタウンのホテル群に泊まった参加者 は、フリーのシャトルバスや汽船で会場まで行けるようになっていました。サバナ市は多くの歴史的な由緒ある地域で、町の中心部には一面しだれのようなこけ で覆われている木々があって,夜にはオレンジ色のライトでそのクラッシックの雰囲気を作っているというなかなかしゃれた観光地でした。
ア メリカはこのところ、年から年中戦争状態であり、困ったものです。そのためか我々がアメリカ国内に入る時の入国手続きは極めて大変です。サバナ市まで行く のに伊丹、成田、ワシントンDCダラス空港とゆき、そこでさらに乗り換えました。ところがこのダラス空港でアメリカへの入国手続きが厳重に行われ、一人当 りの手続きに大変に時間がかかりました。
ヨーロッパからの観光客も多いようだ。指紋、顔写真、聞き取り調査で、長蛇の列はなかなか前に進みません。一時間なんてアッという間でした。日本からアメリカへのフライトは、向い風のせいもあり、15分あまり遅れました。
「次 の乗り継ぎの飛行機に間に合わない」と誰かがいうと、係員は「これは政府の仕事で、航空機会社の都合とは関係ない」と言ってきます。時間はたちまち経過し て、そこを通過してやっとゲートに入ったら、すでに乗り継ぎのサバナまでのフライト時間をとっくにオーバーしています。間に合わなかったのです。
途 方にくれ、飛行機会社に掛け合うと、新しいチケットは出してくれたが、「ツモロー」と言われ、「本日中に行かねばならぬ、どうしてくれるのか」と食い下 がったが、「本日のフライトはもうないよ」と言われてしまいました。しかたないのでインフォメーションでホテル紹介してもらいました。
一 晩宿泊後、翌朝のフライトでサバナ市に行きました。サバナでは、すぐホテルで荷物を解いて会場へ向かい、ポスターをはりにホールへ向かいました。小生の発 表は、"Effect of the outer bran layers from germinated wheat grists on bread-making properties"というタイトルで、小麦フスマの製パン性劣化を改良するという研究でした。これは小生のところで大学院マスターを終了した魚津雅子 さんの仕事です。彼女は、目下日本製粉(株)研究所に勤務です。会場には上司の大楠 秀樹氏も来ておられました。
小麦フスマは小 麦から15%近くもとれ、栄養価も高く、食物繊維としても有効な物質ですが、その製パン性との相性は極めて悪いのです。魚津さんは、発芽小麦から得たフス マを小麦粉に10%置換して製パン試験を行いました。発芽日数を変え、5日目のもので製パン試験するとその製パン性(パン高、比容積)はコントロール(無 添加)の1.4倍ほど上昇しました。その原因は発芽小麦中の分解酵素群(αー、βーアミラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)でした。特にαー アミラーゼ、キシラナーゼ活性の上昇が製パン性上昇と相関性が高かったのです。そういった内容の発表(Cereal Chem 87(3):231-236, 2010)でした。これは大会3日目のポスタートークでも発表しました。ポスタートークとは、終了したポスターをさらに別室に張替え、そこで内容をオーラ ルで5分間、スライド3枚で紹介後、さらにデスカッションするというものでした。ポスターセッションで2日間貼付けデスカッションし、更に1日このポス タートークでデスカッションするという油断ならぬ発表でした。
色々なヒトが興味を持ってくれて、特に発芽したフスマに対して大きな関心があったようです。
グ ルテンフリーの学会(第2回のGluten-Free Cereal Products and Beverages学会)が6月にフィンランド、テンペ市であり、その内容についてはご紹介した通りでしたが、やはりこの分野の発表がAACC大会でも多 く目に止まりました。
特にメキシコのAlma R. Islas-Rubioさんのオーラル発表では、グルテンタンパク質をキモトリプシンを用いてメチオニン修飾し、それを用いた合成粉でパンを焼いてまし た。このペプチドは、CD(Celiac disesase) 患者のserum IgA immunoleactivityを低下させ、病気が出にくくなったという発表でした(Journal of Cereal Science 52 (2010)310-313)。その後、御本人が丁度小生のポスターに来たときに、詳しく伺う事も出来ました。他に雑穀を用いたグルテンフリーパンの発表 等があり、興味深かったです。Celiac病は、アメリカ、ヨーロッパで次第に増加しているといいます。 わが国でもこの問題は油断できません。時間の 問題でしょう。それまでにこの様なものに対するグルテンフリー食品加工の可能性を研究しておかねばならないと感じてます。
相変わらずデンプン生合成、抵抗性デンプンの研究がAACCでは主体で、グルテンフリーの研究など新しい流れは前年度に引き続き大きな流れになってました。
帰 国時にもやはりフライトにトラブルがありました。ワシントンDC、ダラス空港に到着し、建物の中に入ると大きな声で "Seguchi" とアナウンスメ ントがあり、「直ちにC-1gateへと」いうアナウンスメントでした。両手に重い荷物を抱えて長い廊下を走ってやっと飛行機に間に合いました。やれやれ やっと日本に無事帰国出来た次第です。フライトと次のフライトのつなぎ時間の1時間は絶対無理ですね。2−3時間は必要です。皆さん御旅行時には心してく ださい。
今回のフライトで驚いたのは、このユナイテッド航空ではおやつにカップヌードルが出たことです。たしかきつねうどんでした。宇宙食にもあるのですから、あり得ますね。
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