2010年11月30日 12:12 (
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ホットケーキの話−3
小麦粉クロリネーション(塩素化)によるホットケーキの弾力性獲得の原因が、顕微鏡観察から小麦粉PS(プライムスターチ)区分のデンプン粒(大粒)の表面に、何らかの変化が生じたことと大きな関係のある事が推察されました。
ショ糖脂肪酸エステル(SFAE) 添加で、このクロリネーションデンプン粒表面の異常な動きが消えた事から、次のようなモデル(Cereal Foods World 1993, 38, 493-497)を考えました。
デンプン粒はご存知のようにアミロース、アミロペクチンの集合体でありそれはブドウ糖のポリマーです。ブドウ糖には水と仲のいい水酸基がたくさん存在しています。
この水酸基はデンプン粒表面から外に向かって多く存在しています。水中で水とデンプン粒が仲がいいのはこの為で、デンプン粒は水中ではクロリネーションしたデンプン粒のような異常な行動は認められません。
ところがクロリネーションによってこの粒表面には何か違う性質が得られた様です。つまり、クロリネーションデンプン粒はある自分の好みの部位になるまで回転して、ある位置になると、好きもの同士集まるという性質が水中で数秒間のうちに観察されたという事です。
そしてその性質はSFAE添加で消えた訳です。SFAEはショ糖と脂肪酸のエステルで、ショ糖が脂肪酸と結合しているという代物です。ショ糖にはブドウ糖と同じように水酸基がたくさんあり、水が大好きな物質です。砂糖(ショ糖)をコーヒーに入れればすぐ溶けるのはそのせいですね。
それに対し脂肪酸は反対です。水が嫌いで、水酸基などは全く存在しません。
この性質の全くちがうもの、親水性物質と疎水性物質とをむりやり結びつけられたものがSFAEです。SFAE中の親水性物質のところは他の親水性物質と仲良く、疎水性物質のところは疎水性物質と仲良しです。
水中にあって、デンプン粒はSFAEのショ糖部とは仲がいいのですが、脂肪酸部とは仲はよくないです。
今、クロリネーションしたデンプン粒表面に疎水基が生じているとしたら、SFAEの脂肪酸部位はそちらと互いに引き合うでしょう。そしてSFAEのショ糖部は、周囲の水と馴染むでしょう。
クロリネーションしたデンプン粒をSFAEと接触させると、デンプン粒表面の疎水基はSFAEでブロックされたものと思われます。
即ち、クロリネーションによってデンプン粒表面は何らかの変化を起こして疎水的になったのでしょう。その事がホットケーキの弾力性改良に関与したのではと推察されました。
ならば疎水性になるならば親油性です。疎水性と親油性とは同じです。このクロリネーションしたデンプン粒をオイル(油)と水中で激しく撹拌すると、デンプン粒はオイルに強く結合するはずです。
はじめに牛乳のゲルベル遠心分離機を用いた実験です。牛乳中の油脂分を測定する装置です。オイルはクロリネーションデンプン粒に結合しました。
さらに、試験管の中にクロリネーションデンプン粒、クロリネーションしないデンプン粒をそれぞれとり、同様に水中でオイルとともに激しく撹拌する実験を行うと、クロリネーションしたものは強い親油性を示しました。水中でオイルは本来水より軽く、水層の上に浮かぶけど、このクロリナーションデンプン粒がオイルに多く付着するとこのデンプン粒の自重でオイルは水の中に沈んでしまうのです。
クロリネーションデンプン粒の親油化の程度は、この性質を利用して定量化されました。
次に問題になるのは、このクロリネーションによってどうして親油化が生じたのかでしょう。
それは次です。
論文 (Cereal Chem. 1984, 61, 241-243) 中に、顕微鏡下でこのクロリネーションデンプン粒のオイル吸着している様子を示しましたが、団子状になったオイルドロップにはその表面に、その中に、デンプン粒のぎっしり詰まっっている様子が見えます。コントロールのデンプン粒には勿論このようなものはまったく見えません。
ショ糖脂肪酸エステル(SFAE) 添加で、このクロリネーションデンプン粒表面の異常な動きが消えた事から、次のようなモデル(Cereal Foods World 1993, 38, 493-497)を考えました。
デンプン粒はご存知のようにアミロース、アミロペクチンの集合体でありそれはブドウ糖のポリマーです。ブドウ糖には水と仲のいい水酸基がたくさん存在しています。
この水酸基はデンプン粒表面から外に向かって多く存在しています。水中で水とデンプン粒が仲がいいのはこの為で、デンプン粒は水中ではクロリネーションしたデンプン粒のような異常な行動は認められません。
ところがクロリネーションによってこの粒表面には何か違う性質が得られた様です。つまり、クロリネーションデンプン粒はある自分の好みの部位になるまで回転して、ある位置になると、好きもの同士集まるという性質が水中で数秒間のうちに観察されたという事です。
そしてその性質はSFAE添加で消えた訳です。SFAEはショ糖と脂肪酸のエステルで、ショ糖が脂肪酸と結合しているという代物です。ショ糖にはブドウ糖と同じように水酸基がたくさんあり、水が大好きな物質です。砂糖(ショ糖)をコーヒーに入れればすぐ溶けるのはそのせいですね。
それに対し脂肪酸は反対です。水が嫌いで、水酸基などは全く存在しません。
この性質の全くちがうもの、親水性物質と疎水性物質とをむりやり結びつけられたものがSFAEです。SFAE中の親水性物質のところは他の親水性物質と仲良く、疎水性物質のところは疎水性物質と仲良しです。
水中にあって、デンプン粒はSFAEのショ糖部とは仲がいいのですが、脂肪酸部とは仲はよくないです。
今、クロリネーションしたデンプン粒表面に疎水基が生じているとしたら、SFAEの脂肪酸部位はそちらと互いに引き合うでしょう。そしてSFAEのショ糖部は、周囲の水と馴染むでしょう。
クロリネーションしたデンプン粒をSFAEと接触させると、デンプン粒表面の疎水基はSFAEでブロックされたものと思われます。
即ち、クロリネーションによってデンプン粒表面は何らかの変化を起こして疎水的になったのでしょう。その事がホットケーキの弾力性改良に関与したのではと推察されました。
ならば疎水性になるならば親油性です。疎水性と親油性とは同じです。このクロリネーションしたデンプン粒をオイル(油)と水中で激しく撹拌すると、デンプン粒はオイルに強く結合するはずです。
はじめに牛乳のゲルベル遠心分離機を用いた実験です。牛乳中の油脂分を測定する装置です。オイルはクロリネーションデンプン粒に結合しました。
さらに、試験管の中にクロリネーションデンプン粒、クロリネーションしないデンプン粒をそれぞれとり、同様に水中でオイルとともに激しく撹拌する実験を行うと、クロリネーションしたものは強い親油性を示しました。水中でオイルは本来水より軽く、水層の上に浮かぶけど、このクロリナーションデンプン粒がオイルに多く付着するとこのデンプン粒の自重でオイルは水の中に沈んでしまうのです。
クロリネーションデンプン粒の親油化の程度は、この性質を利用して定量化されました。
次に問題になるのは、このクロリネーションによってどうして親油化が生じたのかでしょう。
それは次です。
論文 (Cereal Chem. 1984, 61, 241-243) 中に、顕微鏡下でこのクロリネーションデンプン粒のオイル吸着している様子を示しましたが、団子状になったオイルドロップにはその表面に、その中に、デンプン粒のぎっしり詰まっっている様子が見えます。コントロールのデンプン粒には勿論このようなものはまったく見えません。
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