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2010年11月10日 17:36 (瀬口 正晴)

ホットケーキの歴史

静岡県三島市で森永製菓(株)旧食品研究所OB会(大仁ホテル)が11月の6-7日にあり、出席しました。懐かしい顔ぶれの皆さんと40年ぶりにお会いで きました。会の直前にはホットケーキグループで小生の元上司の松木寿助氏に三島市内でばったりお会いすることもできました。当時、ホットケーキについて色 々ご教示いただきました。なつかしいのでホットケーキのこと、blogします。

ホットケーキの生まれた頃(昭和36年頃)は、まだ日本の 貧しい頃で、ホットケーキは子供のおやつとして生まれたものです。そのごろは日本が次第に豊かになっていった時代でした。若い人は外国映画など盛んに見て 楽しんでいた時代でしたが、やはり映画の画面いっぱいに出てくるアメリカの豊かさは日本人の若い人々にとってあこがれでした。まねをしたい場面がいっぱい だったのです。

あのようにバターをたっぷりつけたパンを食べ、ミルクをのみ、肉、ハム、ソーセージ、チーズ、ワイン、果物を食べたいというわけです。女子供にとっては、オーブンで焼いたホカホカの甘いケーキを食べたいなどもその一つでした。

当 時、我々の食生活はというと、相変らず、ごはん、沢庵の漬け物、梅干し、魚の干物といった塩分の濃い、低カロリーの日本食でした。お母さんがオーブンで焼 きたてのケーキを子供に食べさせたいという事になるのは当然でしょう。そして空腹感を満たしたい。あの暖かいホワホワのケーキを食べたい、食べさせたい。

外 国映画では各家庭にそれぞれオーブンがあり、それでケーキを焼いて食べています。日本ではというとそんなものはありません。あるものはというとフライパン です。当時このフライパンを使ってサッと焼き、熱いうちに食べるホットケーキを考えました。フライパンならオーブンはいらない。熱くしたフライパンで焼こ うと。

こうしてホットケーキは生まれました。しかしいざ小麦粉でホットケーキを焼くと大きなトラブルがありました。小麦粉で焼くとファッ と膨れたホットケーキは、口腔内ですぐに団子状になってしまいました。和菓子のがんずき状になってしまうのです。この改良のため、松木氏は、日清製粉の技 術者と協力して色々苦労されたようでした。


当時アメリカでは小麦粉の漂白を求めてクロリネーション(塩素ガス処理)を行っていました。クロリネーションは強力な酸化剤で、小麦粉中のカロチノイド系色素、ルテインを酸化し、小麦粉を漂白する効果があるというのです。

テ ストしてみると小麦粉の漂白効果と同時に、ホットケーキの品質改良に効果のあることが分かりました。今度は口腔内に熱いホットケーキを入れてもすぐに団子 状にならず、ケーキのスポンジ性が獲得されたのです。こうしてクロリネーションはホットケーキ用の小麦粉改良方法として用いられるようになりました。しか し現在は塩素ガスの危険性からこれを自主的に中止しています。製粉工場内で塩素ガスの苦情も出たようです。

米国などでは未だにクロリネーションをやっているようです。学会などで先方の専門家から「われわれもクロリネーションの中止を考えているが、どうしたらいいの」などと聞かれる事もあります。

小麦粉のクロリネーションで何故ホットケーキに弾力性が生じたのかは、これまでの研究から最終的にはクロリネーションで小麦デンプン粒表面タンパク質が、塩素原子による修飾が起り疎水的になったためと結論しています。この件は、またお話しいたします。

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