2010年12月14日 15:15 (瀬口 正晴)
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ホットケーキの話−5
デンプン粒表面のタンパク質がクロリネーションで疎水的になり、親油性も示すという事がはっきりいたしました。そしてデンプン粒表面をプロテアーゼ処理すると、その性質の消えることも確認されました。
小麦デンプン粒表面にタンパク質が存在しているという事については、当時のデンプン関連専門書にはそれはないという記述でしたが、それがそうではないのではないだろうか、ということ、そして小麦デンプン粒表面タンパク質が疎水化でなぜホットケーキの組織弾力性と結びついてくるかという点が問題になります。
前者はそのうちお話するとして、後者のホットケーキ組織弾力性との結びつきについて少々実験しました。小麦デンプン粒の疎水化が、どのような影響をホットケーキに与えているかが問題です。
本来、泡は疎水性です。ここで泡表面が疎水性ならば疎水的なもの同士が仲が良く、お互いに引っぱり合う事は前述の疎水化したクロリネーションデンプン粒同士が磁石で引き合うように結合する挙動のあった事は前述しましたね。こう考えるとこの泡の表面と疎水的デンプン粒の関係に興味あります。なぜならホットケーキは泡で出来た膨化食品だからです。
何か泡とクロリネーションした疎水化小麦デンプン粒との間をうまく測定出来ないかと考えてました。図書館である本をペラペラとめくっていたら、鉱石の採石技術法にクズの鉱石中から金属鉱石を集める方法があり、そこに起泡剤を用いている方法がありました。クズの鉱石水懸濁液中に泡を人為的に起て、その泡に金属鉱石を吸着する方法です。クズの金属鉱石が疎水的なのですね。
この方法が利用できるのではないかと思いました。この利用には起泡剤としてイソアミルアルコールが使われていましたので当方もこれを用いました。
数本の試験管の中に水を入れ、そこにクロリネーションレベルを変えた疎水性小麦デンプン粒をそれぞれ入れ、起泡剤としてイソアミルアルコールを入れました。これをシェーカーにセットして、30分間ほど激しく上下撹拌しました。時間が来たらストップです。泡は激しく起ちますが数秒のうちに消えてゆきます。しかしよく見るとクロリネーションレベルが上昇するほど泡は安定化して消えにくいのです。しかしその差はわずかでした。
起泡剤としてイソアミルアルコールが泡を作り、泡安定剤としてクロリネーションデンプン粒が働いている様でした。そこできちんとデーターを取りたい、つまり泡の高さを正確に測りたくなります。そしてその高さが経時的に消えてゆくところを記録したいと思いました。
前述のように30分間激しく撹拌します。ストップと同時にカメラで1秒おきに写真をとりました。現像後、写真から泡の高さの変化を記録しました(Cereal Chem 64, 281-282, 1987 )。うまくゆきました。
これでやると、泡の高さはクロリネーションで明らかに高くなり、しかも安定化しておりました。クロリネーションレベルの下降に伴って、経時的に泡は消えやすくなっているのでした。
顕微鏡写真からイソアミルアルコールの泡にはクロリネーションデンプン粒は表面に多くへばりついておりました。この事はクロリネーションによって生じたデンプン粒表面の疎水化がイソアミルアルコールの疎水的泡表面に結合して泡を安定化しているのです。
このモデルから、多分ホットケーキのバッター中でも泡はクロリネーション小麦粉中のデンプン粒(PS区分)で安定化され、ホットケーキの弾力性強化に至ったものと推察しました。
さらに続けます。
小麦デンプン粒表面にタンパク質が存在しているという事については、当時のデンプン関連専門書にはそれはないという記述でしたが、それがそうではないのではないだろうか、ということ、そして小麦デンプン粒表面タンパク質が疎水化でなぜホットケーキの組織弾力性と結びついてくるかという点が問題になります。
前者はそのうちお話するとして、後者のホットケーキ組織弾力性との結びつきについて少々実験しました。小麦デンプン粒の疎水化が、どのような影響をホットケーキに与えているかが問題です。
本来、泡は疎水性です。ここで泡表面が疎水性ならば疎水的なもの同士が仲が良く、お互いに引っぱり合う事は前述の疎水化したクロリネーションデンプン粒同士が磁石で引き合うように結合する挙動のあった事は前述しましたね。こう考えるとこの泡の表面と疎水的デンプン粒の関係に興味あります。なぜならホットケーキは泡で出来た膨化食品だからです。
何か泡とクロリネーションした疎水化小麦デンプン粒との間をうまく測定出来ないかと考えてました。図書館である本をペラペラとめくっていたら、鉱石の採石技術法にクズの鉱石中から金属鉱石を集める方法があり、そこに起泡剤を用いている方法がありました。クズの鉱石水懸濁液中に泡を人為的に起て、その泡に金属鉱石を吸着する方法です。クズの金属鉱石が疎水的なのですね。
この方法が利用できるのではないかと思いました。この利用には起泡剤としてイソアミルアルコールが使われていましたので当方もこれを用いました。
数本の試験管の中に水を入れ、そこにクロリネーションレベルを変えた疎水性小麦デンプン粒をそれぞれ入れ、起泡剤としてイソアミルアルコールを入れました。これをシェーカーにセットして、30分間ほど激しく上下撹拌しました。時間が来たらストップです。泡は激しく起ちますが数秒のうちに消えてゆきます。しかしよく見るとクロリネーションレベルが上昇するほど泡は安定化して消えにくいのです。しかしその差はわずかでした。
起泡剤としてイソアミルアルコールが泡を作り、泡安定剤としてクロリネーションデンプン粒が働いている様でした。そこできちんとデーターを取りたい、つまり泡の高さを正確に測りたくなります。そしてその高さが経時的に消えてゆくところを記録したいと思いました。
前述のように30分間激しく撹拌します。ストップと同時にカメラで1秒おきに写真をとりました。現像後、写真から泡の高さの変化を記録しました(Cereal Chem 64, 281-282, 1987 )。うまくゆきました。
これでやると、泡の高さはクロリネーションで明らかに高くなり、しかも安定化しておりました。クロリネーションレベルの下降に伴って、経時的に泡は消えやすくなっているのでした。
顕微鏡写真からイソアミルアルコールの泡にはクロリネーションデンプン粒は表面に多くへばりついておりました。この事はクロリネーションによって生じたデンプン粒表面の疎水化がイソアミルアルコールの疎水的泡表面に結合して泡を安定化しているのです。
このモデルから、多分ホットケーキのバッター中でも泡はクロリネーション小麦粉中のデンプン粒(PS区分)で安定化され、ホットケーキの弾力性強化に至ったものと推察しました。
さらに続けます。
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