2011年2月 7日 19:24 (瀬口 正晴)
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ホットケーキの話−13
小麦粉クロリネーションの代替え方法として小麦粉乾熱処理の可能性について検討を加えました。
クロリネーション小麦粉の場合、ホットケーキ改良効果が現れる原因としてPS区分(デンプン大粒区分)の疎水化(親油化)がありましたが、この疎水化が小麦粉の乾熱処理でもあらわれれば、乾熱処理によるホットケーキの改良効果(組織弾力性獲得)はあり得るということでした。
そして120℃、2時間乾熱処理した小麦粉から得られたPS区分のプライムスターチ粒表面の疎水化は表れたのでした。
そのデンプン粒は強い親油性を示したのです(Cereal Chem. 1984, 61(3):248-250. 澱粉科学 1991, 38(3): 271-279. )。その原因は?
クロリネーションの場合は、粒表面タンパク質にクロール元素が入り、疎水化を示したのです。乾熱処理ではクロール元素がそのようなことをすることはありえないです。
しかし小麦粉の乾熱処理で、現象的にはクロリネーションと同一の疎水化(親油化)が生じました。
乾熱処理でどうして疎水化したのであろうか。
小麦粉から酢酸分画法でデンプン大粒(PS区分)を取り出し乾燥後、そのデンプン大粒を直接乾熱処理を施しました。この時、疎水性にばらつきが生じました。ある時は親油性が強くでる、ある時にはそれが弱いのです。
いろいろと検討後、乾熱処理をスタートする時のデンプン粒中の水分含量が大きく関与していることが分かりました。
従って乾熱処理する時には、少々デンプン粒を湿らせた状態からスタートすることにしています。勿論その程度の湿りけでは糊化などはしません。
次に乾熱処理したデンプン粒の疎水化(親油化)の原因です。クロリネーションの時と同様に、親油性のでたデンプン大粒にプロテアーゼ処理を施しますと、デンプン大粒の親油性は消失しました。
このことからクロリネーション同様、乾熱処理でもその疎水化にはデンプン粒表面タンパク質の関与していることが推察されました。
乾熱時に少々湿らせた方が親油性がでやすいというのも、納得できます。デンプン粒表面タンパク質分子は、少々湿らせた方が、乾熱処理でより分子が動きやすくなり、今まで表面近くにあったタンパク質分子の親水基は120℃の乾熱処理で分子内に潜り込み、逆に分子内部に埋もれていた疎水基は分子表面に出やすくなったものと思われました。
小麦粉クロリネーションでは、デンプン粒表面タンパク質がクロール元素で化学修飾され疎水化したのに対し、乾熱処理ではデンプン粒表面のタンパク質が熱により分子運動が生じ、埋もれてた疎水基が表面に露出したために疎水性が起ったものと思われました。
現象的には同様の疎水性(親油性)ではありますが、食品衛生的に見れば乾熱処理の方が安全でしょう。
乾熱処理と言っても限りない処理条件があります。全てのその条件でホットケーキベーキングを行うことは出来ません。この乾熱処理による疎水化の程度を測定することでホットケーキの改良効果の程度(温度、時間)を予測することが出来ます。
乾熱処理によるホットケーキベーキングの話は次です。
クロリネーション小麦粉の場合、ホットケーキ改良効果が現れる原因としてPS区分(デンプン大粒区分)の疎水化(親油化)がありましたが、この疎水化が小麦粉の乾熱処理でもあらわれれば、乾熱処理によるホットケーキの改良効果(組織弾力性獲得)はあり得るということでした。
そして120℃、2時間乾熱処理した小麦粉から得られたPS区分のプライムスターチ粒表面の疎水化は表れたのでした。
そのデンプン粒は強い親油性を示したのです(Cereal Chem. 1984, 61(3):248-250. 澱粉科学 1991, 38(3): 271-279. )。その原因は?
クロリネーションの場合は、粒表面タンパク質にクロール元素が入り、疎水化を示したのです。乾熱処理ではクロール元素がそのようなことをすることはありえないです。
しかし小麦粉の乾熱処理で、現象的にはクロリネーションと同一の疎水化(親油化)が生じました。
乾熱処理でどうして疎水化したのであろうか。
小麦粉から酢酸分画法でデンプン大粒(PS区分)を取り出し乾燥後、そのデンプン大粒を直接乾熱処理を施しました。この時、疎水性にばらつきが生じました。ある時は親油性が強くでる、ある時にはそれが弱いのです。
いろいろと検討後、乾熱処理をスタートする時のデンプン粒中の水分含量が大きく関与していることが分かりました。
従って乾熱処理する時には、少々デンプン粒を湿らせた状態からスタートすることにしています。勿論その程度の湿りけでは糊化などはしません。
次に乾熱処理したデンプン粒の疎水化(親油化)の原因です。クロリネーションの時と同様に、親油性のでたデンプン大粒にプロテアーゼ処理を施しますと、デンプン大粒の親油性は消失しました。
このことからクロリネーション同様、乾熱処理でもその疎水化にはデンプン粒表面タンパク質の関与していることが推察されました。
乾熱時に少々湿らせた方が親油性がでやすいというのも、納得できます。デンプン粒表面タンパク質分子は、少々湿らせた方が、乾熱処理でより分子が動きやすくなり、今まで表面近くにあったタンパク質分子の親水基は120℃の乾熱処理で分子内に潜り込み、逆に分子内部に埋もれていた疎水基は分子表面に出やすくなったものと思われました。
小麦粉クロリネーションでは、デンプン粒表面タンパク質がクロール元素で化学修飾され疎水化したのに対し、乾熱処理ではデンプン粒表面のタンパク質が熱により分子運動が生じ、埋もれてた疎水基が表面に露出したために疎水性が起ったものと思われました。
現象的には同様の疎水性(親油性)ではありますが、食品衛生的に見れば乾熱処理の方が安全でしょう。
乾熱処理と言っても限りない処理条件があります。全てのその条件でホットケーキベーキングを行うことは出来ません。この乾熱処理による疎水化の程度を測定することでホットケーキの改良効果の程度(温度、時間)を予測することが出来ます。
乾熱処理によるホットケーキベーキングの話は次です。
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