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2011年2月14日 16:09 (瀬口 正晴)

ホットケーキの話−14

小麦粉、あるいはそこから分離した小麦プライムスターチ(PS)区分(小麦デンプン大粒区分)を120℃2時間ほど乾熱処理すると, クロリネーションに匹敵するほどの疎水化(親油化)を示すことがわかりました(Cereal Chem 61(3):248-250, 1984)。その乾熱温度を下げると処理時間をあげれば同一の効果があげられるし、乾熱温度をあげればもっと短時間で同一効果が得られました。

しかし温度はどんどんあげると、170-180℃ほどでデンプン粒は水中に入れるとあっというまに溶けてしまいました。


疎水性の生じた乾熱デンプン粒を、各種溶媒で洗浄、酵素処理等を行ったところ、クロリネーション同様,プロテアーゼ処理で疎水性が消えたことから、この疎水化はクロリネーション同様デンプン粒表面タンパク質のなせる技と思われました。その辺は前述した通りです。

この乾熱処理した小麦粉で焼いたホットケーキの組織弾力性はどうだろうか。

疎水化の得られた乾熱処理条件で処理した小麦粉では、組織弾力性の強いホットケーキが得られました(J. Food Sci. 55(3):784-78, 1990)。


小麦粉を酢酸分画して、乾熱処理による小麦粉中の成分間変化について調べました。

以前お話ししたように、W.F.Sollarsの報告する酢酸分画法は、激しい撹拌力のワーリングブレンダーで撹拌抽出する方法(ワーリングブレンダー法)でした。

この方法では、クロリネーションや乾熱処理によって小麦粉中に生じる弱い疎水性による相互作用(この弱い相互変化がホットケーキ組織弾力性と大きく関係あります)を壊してしまい、全くクロリネーションや乾熱処理による相互関係の変化が認められません。従って小生はワーリングブレンンダー法ではなく、もっとマイルドな方法、即ち乳鉢と乳棒を用いる方法で、なるべく泡をたてないような静かな撹拌(ホモゲナイズ)を行い、均一な懸濁液をえる方法を工夫しました。この懸濁液の状態は、ホットケーキがオーブン中で焼ける正にそのバッターの状態です。その状態での分画は重要です。

はじめは手を使って、乳鉢、乳棒で長時間、同じエネルギーを注入してホモゲネーションしましたが大変で、これを電動自動乳鉢器を用いて一定時間、均一に混合撹拌し、遠心分離で分画する方法に変えました。

この方法は極めて効果的な方法でした(Cereal Chem. 75(1):37-42, 1998)。

この方法を用いて乾熱処理小麦粉の分画実験を行うと、乾熱処理時間が長くなるに伴って、小麦粉中ではPS区分、T区分との相互作用が生じて、次第にその力は大きくなり、遠心分離しても容易に分離しにくくなりことが判明しました。ワーリングブレンダー法ではこの相互作用は認められませんでした(Cereal Chem. 75(1):37-42, 1998)。

明らかにPS, T区分間の疎水結合でこのような相互作用が生じていたのです。

以後つづく。

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  • 瀬口 正晴

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