2011年3月 1日 09:34 (瀬口 正晴)
メインページ
ホットケーキの話−16
小麦粉に乾熱処理を施して疎水性を与え、ホットケーキに弾力性を与えることは可能でした。そしてその原因についてもクロリネーションに類似の効果であることが判明しました。高い温度で短時間処理して、小麦粉にクロリネーション同様の効果を与えることは証明されました。
しかしこの高温処理によるグルテンタンパク質変性の膨化食品への影響は問題です。即ち膨化食品の膨らみはやはりグルテン等のタンパク質に頼らざるを得ないからです。
特に本研究では、なるべく小麦粉の性質がホットケーキに直接でてくるように、副原料をカットし、卵、牛乳など入れない実験です。
それはそれで、副原料を入れてみればよいわけですが、なるべく小麦粉の性質を調べるためには小麦粉、砂糖、膨剤だけのシステムで実験を進めてきました。
ならば小麦粉の乾熱処理をなくした場合、同様の効果は得られないだろうかと次に考えました。室温でのエージングの効果です。
昔から、製粉したての小麦粉では焼いても良いものが出来ないが、これら少々放置するとなぜか良好な効果に出ることが経験的に知られています。
それならばどの様に小麦粉を処理すれば良いのかということとなります。
今ではもうある企業に勤めていますが、長男がまだ小学生のころ、中学受験のための模擬試験に、会場までつれてまいりました。
1日がかりの模擬試験で、その間、近くの喫茶店で子供を待っていましたが、このことを考えたことがありました。
物が化学反応する時、温度10℃下がると、反応速度は2−3倍に下がるでしょう。逆に10℃あがると反応速度は2−3倍あがります。そのように考えると120℃2時間で小麦粉に疎水化が生じてホットケーキの弾力性が生じるならば110℃ではどうでしょうか。100℃ではと、どんどん室温まで下げてゆきました。
室温では何と数ヶ月です。
これを行ってサンプルを作りました。
得られた小麦粉でホットケーキベーキングを行うと、120℃から温度が下がるほど時間かかりますが、同一の効果(ホットケーキの弾力性、小麦粉PS区分の疎水性、それによるPS, T区分間の相互作用)が得られました。
さらに、室温(15−25℃)条件下では、神戸女子短期大学の中村智英子助手が徹底的にこの研究をやり(FSTR 2007, 13(3), 221-226)、満足のゆく結果をえました。
この方法でやれば高温の場合、感じられていた臭気の問題も生じませんでした。
つづく。
しかしこの高温処理によるグルテンタンパク質変性の膨化食品への影響は問題です。即ち膨化食品の膨らみはやはりグルテン等のタンパク質に頼らざるを得ないからです。
特に本研究では、なるべく小麦粉の性質がホットケーキに直接でてくるように、副原料をカットし、卵、牛乳など入れない実験です。
それはそれで、副原料を入れてみればよいわけですが、なるべく小麦粉の性質を調べるためには小麦粉、砂糖、膨剤だけのシステムで実験を進めてきました。
ならば小麦粉の乾熱処理をなくした場合、同様の効果は得られないだろうかと次に考えました。室温でのエージングの効果です。
昔から、製粉したての小麦粉では焼いても良いものが出来ないが、これら少々放置するとなぜか良好な効果に出ることが経験的に知られています。
それならばどの様に小麦粉を処理すれば良いのかということとなります。
今ではもうある企業に勤めていますが、長男がまだ小学生のころ、中学受験のための模擬試験に、会場までつれてまいりました。
1日がかりの模擬試験で、その間、近くの喫茶店で子供を待っていましたが、このことを考えたことがありました。
物が化学反応する時、温度10℃下がると、反応速度は2−3倍に下がるでしょう。逆に10℃あがると反応速度は2−3倍あがります。そのように考えると120℃2時間で小麦粉に疎水化が生じてホットケーキの弾力性が生じるならば110℃ではどうでしょうか。100℃ではと、どんどん室温まで下げてゆきました。
室温では何と数ヶ月です。
これを行ってサンプルを作りました。
得られた小麦粉でホットケーキベーキングを行うと、120℃から温度が下がるほど時間かかりますが、同一の効果(ホットケーキの弾力性、小麦粉PS区分の疎水性、それによるPS, T区分間の相互作用)が得られました。
さらに、室温(15−25℃)条件下では、神戸女子短期大学の中村智英子助手が徹底的にこの研究をやり(FSTR 2007, 13(3), 221-226)、満足のゆく結果をえました。
この方法でやれば高温の場合、感じられていた臭気の問題も生じませんでした。
つづく。
カテゴリ:
タグ:
メインページ
最新のエントリー
カテゴリ
カレンダー
2019年4月
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 |
月別 アーカイブ
- 2019年3月 (4)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (4)
- 2018年10月 (2)
- 2018年9月 (1)
- 2018年8月 (2)
- 2018年7月 (1)
- 2018年6月 (1)
- 2018年5月 (1)
- 2018年4月 (2)
- 2018年3月 (1)
- 2018年2月 (6)
- 2018年1月 (4)
- 2017年12月 (1)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (3)
- 2017年9月 (3)
- 2017年6月 (1)
- 2017年5月 (2)
- 2017年4月 (1)
- 2016年12月 (4)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (1)
- 2016年5月 (2)
- 2016年4月 (1)
- 2016年3月 (1)
- 2014年11月 (1)
- 2014年4月 (1)
- 2014年3月 (2)
- 2014年1月 (1)
- 2013年12月 (5)
- 2013年11月 (3)
- 2013年10月 (3)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (2)
- 2013年7月 (5)
- 2013年6月 (2)
- 2013年5月 (4)
- 2013年4月 (3)
- 2013年3月 (3)
- 2013年2月 (2)
- 2013年1月 (3)
- 2012年12月 (3)
- 2012年11月 (3)
- 2012年10月 (1)
- 2012年9月 (2)
- 2012年8月 (3)
- 2012年7月 (3)
- 2012年6月 (4)
- 2012年5月 (3)
- 2012年4月 (4)
- 2012年3月 (3)
- 2012年2月 (4)
- 2012年1月 (4)
- 2011年12月 (5)
- 2011年11月 (4)
- 2011年10月 (4)
- 2011年9月 (4)
- 2011年8月 (4)
- 2011年7月 (4)
- 2011年6月 (5)
- 2011年5月 (4)
- 2011年4月 (4)
- 2011年3月 (5)
- 2011年2月 (4)
- 2011年1月 (4)
- 2010年12月 (4)
- 2010年11月 (5)
- 2010年10月 (3)
- 2010年9月 (4)
- 2010年8月 (3)
- 2010年7月 (5)
- 2010年6月 (4)
- 2010年5月 (2)
- 2010年3月 (18)