2011年4月 6日 14:37 (瀬口 正晴)
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カステラの話−3
カステラは前述のように、強い卵白の起泡性を利用した食品(菓子)です。
この卵白のアワの性質は調理でよく使われるから、一般によく知られているところです。小麦粉に卵を入れてよくホイッピングしてつくるスポンジ、パウンド、あるいはハイレシオケーキなども同じことで、この卵白アルブミンのアワ(起泡性)を利用した食品です。
カステラの場合、ケーキなどと違って卵の量が比較的多いのが特徴でしょうか。ホットケーキなどは膨剤(ふくらし粉)を使って、そこからのガスを小麦タンパク質などでキャッチアップして膨化させます。
カステラの場合には、十分のホイッピングで起こした卵白の気泡のバッター中に小麦粉を加えて、更に撹拌してよく小麦粉と馴染ませたカステラバッターを作り、これをオーブンで焼くのです。
オーブンでは強力な熱エネルギーがかかるために、卵白だけだとそのアワは全て破壊され、ゴムの板状になってしまいます。
小麦粉をカステラバッターに加えるということは、この卵の気泡を小麦粉がオーブン中でも安定化し、カステラの組織をつくる点でしょう。
この時アワの疎水的表面に疎水的な小麦デンプン粒あるいは小麦粉が付着してこのアワを安定化し、カステラ組織形成に貢献するのでしょう。
オーブン中で加熱され、卵白膜中の水分は小麦粉、特にデンプン粒に吸収され、デンプン粒の糊化は進み、ゾルはゲルに変ります。
この時の卵による気泡の安定化がカステラ組織をつくり、あるいは最終的なカステラのふくらみ、食感に大きく貢献してくるのです。
製粉会社は新しい小麦を挽彩して、その小麦粉をすぐにカステラ職人のところへ持っていっても"この粉では駄目だ"と追い返されるそうです。"古い粉をもってこい"と言われ、なぜかわからないところです。カステラ職人はその小麦粉の善し悪しがすぐに分かるようです。
カステラ職人の求める良質の膨らみ、食感と言うものは、新しい小麦粉では得られない、古い、枯らした小麦粉でないと出来ないと言うのです。
その枯らした小麦粉の良さのメカニズムが永く不明でした。しかし長い小麦粉の歴史(パンの歴史は6千年以上)の中で経験的には知られていたのです。即ち小麦粉のねかし(エージング)です。小麦粉を挽いてすぐにカステラベーキングには用いないという点です。
製粉会社は新しい小麦粉を紙袋の中に入れ、これを風通しのよい場所で約1年間ねかし(エージング)、枯らしてからカステラ職人のところへもってゆきます。
この枯らした小麦粉が、カステラベーキングには必要なのだそうです。
それは何が原因なのかと言うことです。
つづく。
この卵白のアワの性質は調理でよく使われるから、一般によく知られているところです。小麦粉に卵を入れてよくホイッピングしてつくるスポンジ、パウンド、あるいはハイレシオケーキなども同じことで、この卵白アルブミンのアワ(起泡性)を利用した食品です。
カステラの場合、ケーキなどと違って卵の量が比較的多いのが特徴でしょうか。ホットケーキなどは膨剤(ふくらし粉)を使って、そこからのガスを小麦タンパク質などでキャッチアップして膨化させます。
カステラの場合には、十分のホイッピングで起こした卵白の気泡のバッター中に小麦粉を加えて、更に撹拌してよく小麦粉と馴染ませたカステラバッターを作り、これをオーブンで焼くのです。
オーブンでは強力な熱エネルギーがかかるために、卵白だけだとそのアワは全て破壊され、ゴムの板状になってしまいます。
小麦粉をカステラバッターに加えるということは、この卵の気泡を小麦粉がオーブン中でも安定化し、カステラの組織をつくる点でしょう。
この時アワの疎水的表面に疎水的な小麦デンプン粒あるいは小麦粉が付着してこのアワを安定化し、カステラ組織形成に貢献するのでしょう。
オーブン中で加熱され、卵白膜中の水分は小麦粉、特にデンプン粒に吸収され、デンプン粒の糊化は進み、ゾルはゲルに変ります。
この時の卵による気泡の安定化がカステラ組織をつくり、あるいは最終的なカステラのふくらみ、食感に大きく貢献してくるのです。
製粉会社は新しい小麦を挽彩して、その小麦粉をすぐにカステラ職人のところへ持っていっても"この粉では駄目だ"と追い返されるそうです。"古い粉をもってこい"と言われ、なぜかわからないところです。カステラ職人はその小麦粉の善し悪しがすぐに分かるようです。
カステラ職人の求める良質の膨らみ、食感と言うものは、新しい小麦粉では得られない、古い、枯らした小麦粉でないと出来ないと言うのです。
その枯らした小麦粉の良さのメカニズムが永く不明でした。しかし長い小麦粉の歴史(パンの歴史は6千年以上)の中で経験的には知られていたのです。即ち小麦粉のねかし(エージング)です。小麦粉を挽いてすぐにカステラベーキングには用いないという点です。
製粉会社は新しい小麦粉を紙袋の中に入れ、これを風通しのよい場所で約1年間ねかし(エージング)、枯らしてからカステラ職人のところへもってゆきます。
この枯らした小麦粉が、カステラベーキングには必要なのだそうです。
それは何が原因なのかと言うことです。
つづく。
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