2011年4月20日 19:21 (瀬口 正晴)
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カステラの話−5
小麦粉を枯らす、ねかすということは、実験室では室温で小麦粉をどこかに放置しておくとなります。温度や湿度がなるべく変化のないところに置くことになりますが、一年間放置となると日本の場合、四季があることからそのコントロールは難しいです。
暗所で、通風のよいところ、カビの生えぬところとなりましょうか。
鉄板トレー(25cm x 34cm x 3cm)中に1kgの小麦粉を高さ1cmほどになるように入れて、これを陽の当らぬような上述の部屋に数多く放置します。
この数多くのトレーを経時的に1個づつ取り出してはカステラベーキング、小麦粉の物性測定、酢酸分画法による小麦粉の分画等を行いました。
ほぼ1年間にわたってサンプルを実験してゆきますが、すぐに実験のできぬときは、冷凍庫に小麦粉サンプルは保存しました。
カステラベーキングは卵の起泡性を利用して行うものですから、ベーキング前にはバッターの比重を常に測定して、一定の比重範囲内に入るよういたします。
卵は常に新鮮なものを購入して使用しました。小麦粉はエージングを続けると次第に疎水的になり、その様子はミキソグラフという小麦粉測定装置にかけるとよくわかりました。
この方法は、小麦粉10gに水 5.0mlを加えて撹拌すると小麦粉は水を吸い糸状になり、これを回転しながら糸巻き状の数本のピンに絡ませて行きます。そのときの抵抗を測定するものです。
新鮮な小麦粉は、短時間内にクリーム状のバッターになり連続性を示し、ピンに巻き付いてゆき、きれいなプロフィールを示しました。
小麦粉が枯れるとともに小麦粉は水を吸わなくなり、ピンには巻き付きにくくなりました。これをプロフィールに示すことが出来ました。
枯れてくると、水を加えても小麦粉は吸水が困難になってくるということです。
この時の小麦粉は、酢酸分画を行って水溶性区分、グルテン区分(pH3.5)を除去した後、プライムスターチ(PS) 区分とテーリングス(T)区分は十分に撹拌後、遠心分離しても分離しなくなるという点がありました。
即ち、PSとT区分間に相互作用が生じてお互いに遠心分離で分離しなくなるということです。物理的な力(疎水化)が働いてます。
プライムスターチ粒(小麦デンプン大粒)は表面が疎水的に変化し、強い親油性を示すことが分かりました。小麦デンプン粒には大粒と小粒があり、大粒はPS 区分で、小粒はT区分にきます。
この小粒もやはり親油性を示しました。疎水性同士が互いに引き合い、PS,T区分の相互作用となったものです。
小麦水溶性区分、グルテン区分も疎水性になっているかどうかは証明データーがありません。
小麦粉はエージングで全体的に疎水的になっています。
続く
暗所で、通風のよいところ、カビの生えぬところとなりましょうか。
鉄板トレー(25cm x 34cm x 3cm)中に1kgの小麦粉を高さ1cmほどになるように入れて、これを陽の当らぬような上述の部屋に数多く放置します。
この数多くのトレーを経時的に1個づつ取り出してはカステラベーキング、小麦粉の物性測定、酢酸分画法による小麦粉の分画等を行いました。
ほぼ1年間にわたってサンプルを実験してゆきますが、すぐに実験のできぬときは、冷凍庫に小麦粉サンプルは保存しました。
カステラベーキングは卵の起泡性を利用して行うものですから、ベーキング前にはバッターの比重を常に測定して、一定の比重範囲内に入るよういたします。
卵は常に新鮮なものを購入して使用しました。小麦粉はエージングを続けると次第に疎水的になり、その様子はミキソグラフという小麦粉測定装置にかけるとよくわかりました。
この方法は、小麦粉10gに水 5.0mlを加えて撹拌すると小麦粉は水を吸い糸状になり、これを回転しながら糸巻き状の数本のピンに絡ませて行きます。そのときの抵抗を測定するものです。
新鮮な小麦粉は、短時間内にクリーム状のバッターになり連続性を示し、ピンに巻き付いてゆき、きれいなプロフィールを示しました。
小麦粉が枯れるとともに小麦粉は水を吸わなくなり、ピンには巻き付きにくくなりました。これをプロフィールに示すことが出来ました。
枯れてくると、水を加えても小麦粉は吸水が困難になってくるということです。
この時の小麦粉は、酢酸分画を行って水溶性区分、グルテン区分(pH3.5)を除去した後、プライムスターチ(PS) 区分とテーリングス(T)区分は十分に撹拌後、遠心分離しても分離しなくなるという点がありました。
即ち、PSとT区分間に相互作用が生じてお互いに遠心分離で分離しなくなるということです。物理的な力(疎水化)が働いてます。
プライムスターチ粒(小麦デンプン大粒)は表面が疎水的に変化し、強い親油性を示すことが分かりました。小麦デンプン粒には大粒と小粒があり、大粒はPS 区分で、小粒はT区分にきます。
この小粒もやはり親油性を示しました。疎水性同士が互いに引き合い、PS,T区分の相互作用となったものです。
小麦水溶性区分、グルテン区分も疎水性になっているかどうかは証明データーがありません。
小麦粉はエージングで全体的に疎水的になっています。
続く
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