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2011年7月22日 13:28 (瀬口 正晴)

パンの話−7(冷凍ドウのはなし−4)

冷凍によってイーストが破壊されるとか、グルテンタンパク質やデンプン粒等の小麦粉成分が化学的な変化をおこして製パン性が低下するというのではないというデーターが得られました。


パンドウを−20℃で冷凍してさらに解凍すると、パンの膨らみや高さ等の製パン性が低下するのは、イーストの破壊や小麦粉成分の化学的な変化によるものではないでしょう。


例えば冷凍でデンプンのグルコシド結合や多糖類等の結合が破壊されたり、グルテンタンパク質のペプチド結合等が破壊されたのではないでしょう。

テストに使用中のイーストの命も、この程度のフリーズでは死なないのでしょう。

ならば、すでに醗酵も終え、そのまま焼けば満足のゆく製パンの可能なパンドウを、その直前に冷凍するとなぜ駄目になってしまうのかという疑問です。


担当の森元さんの考えたアイデアは次のようなものでした。

パンドウ中のデンプンやグルテン等小麦粉成分にうまく馴染んだ水は、冷凍することによって氷結晶となります。その際水分子は自分の関与していたものから外れ、ひたすら水分子だけが集合して氷結晶になるのです。そしてタンパク質、デンプン等の馴染んでいた相手と一度水分子が離れると、解凍時にはこの引き離された水は元の状態にもどらないのだろうと。


彼女は、それならば解凍したパンドウをもう一度、染み出た水も除去しないで、一緒に撹拌操作してはどうか、そしてもう一度新たなイーストの力を使って、ガスをイーストドウ中にため、そのときにイーストの餌として砂糖も添加して膨化したパンドウを作り、これで製パン試験してはどうかと考えました。


こうして製パン試験を行ないました。

結果は思った通り、パンは良く膨らみ、満足のゆく製パン性を得ることができました。

このことは小麦粉成分には全く冷凍によるダメージはなく、単に水の遊離の問題だけであったということです。

彼女はこの時、イーストのみ入れ、砂糖を入れなかった場合もやりましたが、イーストが餌なしのためか膨れませんでした。

こうしてパンドウの冷凍の場合の、製パン性劣化のメカニズムが明らかになりました。


パンが膨れるために必要なドウ中の気室の壁から水分が抜け、本来の粘弾性が失われたのがこの原因でした。


冷凍によってもいかに水を小麦粉成分から簡単に外れないようにするのかが冷凍ドウの場合には問題となるようです。


次に。

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