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2011年7月 7日 09:48 (瀬口 正晴)

パンの話−5(冷凍ドウのはなし−2)

パンドウを調製して、そのままベーキングすれば良好な膨らみを示すパンが可能でしたが、このパンドウを冷凍機(−20℃)の中に入れてフリーズし、必要な時に取り出して解凍後、製パンを行なうと製パン性は極めて劣化し、パン高、比容積は著しく低下します。

この冷凍によるパン劣化のメカニズムは不明で、何故に冷凍、解凍で製パン性が低下するのか誰も知らずに長く放置されてきました。

製パン業界ではこれを防ぐために、乳化剤を入れたり、吸水性多糖類を入れたり、あらゆる考えられることを駆使してやっています。一度冷凍して、必要なときに取り出しパンが焼けるのは、労働時間の継続性のなくなることから、大きなメリットです。

しかし何故に冷凍するとパンは駄目になるのでしょうか。

いろいろメカニズムが考えられました。冷凍中イーストからしみ出てくるものが駄目にするのだとか、グルテン膜の破壊、デンプンの構造変化が原因などなどということです。その関連の成書をみると詳しく述べられていますが、なかなか決定打の無いのが現状と思います。

我々はこの大きな問題解決のため、ひとのやってないような新たな切り口を探そうと考えてゆきました。まずパンを徹底的に焼いてみようということです。

冷凍による製パン性(パン高、比容積)の劣化とはどんなものかというと、

ドウを作ってすぐ冷凍すると、1日目でパンの膨らみはほぼ未冷凍に比べて60-70%となり、これを2日、3日と延長してもそれ以上は大きく変化せずそのまま小さい一定値で保持されます。

ドウの解凍時の変化を観察しました。コントロール(未冷凍)に比べてドウに何か違いはみられないだろうかということです。学生らにも観察させると、パンドウ表面のかがやきが違うと言いました。冷凍解凍でドウ表面が湿っぽくなるとの感想でした。

表面に水分が浮いてきているのです。それならばこの表面の水分を何とかして定量してみたいと思いました。

いろいろやってみました。

結局パンドウを遠沈管につめて、遠心分離を行ないました。すると上清部に粘性のある液体が集まりました。円沈管を一定温度下, 45度の角度にセットして30分間放置しました。

ポタリ、ポタリと水滴に成ってその粘性溶液は滴下するわけです。

この実験を進め、冷凍による製パン性の劣化と、その解凍ドウからしみでる液量との間に大きな相関があり、しみ出る量が多いほどパンの膨らみは駄目になってゆくという結果でした。冷凍ドウによる製パン性の低下はこの遊離した液体量上昇のためと思いました。

いままできちんとパンドウにキャッチされていた水が、冷凍解凍でどのように外れて遠心分離で絞り出されてくるのかは不明です。

ドウ中の水は冷凍後、ドウから分離して一度氷結晶になると、解凍後は、もう以前のようにパンドウ中に存在しえないのでしょうか。

次に。

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