2011年9月 7日 19:38 (瀬口 正晴)
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パンの話12 (カプシカム属野菜の製パン性に与える影響−2)
カプシカム属野菜はカプサイシン(唐辛子の辛み)の含有する野菜という事ですが、必ずしも辛くなく、食べて甘味があっておいしいものです。カプサイシン含量が低いのでしょう。
このカプシカム属の野菜(トマピー、パプリカ、ピーマン、唐辛子等)を片っ端から粉砕後凍結乾燥しました。
トマピー、ピーマン等は、果実の未熟のグリーンのものもありましたが、入手できるものは全て凍結乾燥後パウダーとしました。
まずは赤いパプリカ粉末を用いて製パン時の最適添加量をチェックしました。ほぼ8%の添加量で製パン性(パン高、比容積)の良好なものが得られ、それ以上添加しても製パン性の上昇する事はありませんでした。
従って他のカプシカム属野菜添加も8%添加で製パン試験を行ないました。 全部で9種類行ないました。
このうち黄色、赤色等のカラー着色のものは無添加(コントロール)に比べ、よくパンは膨化しましたが、グリーンのもの(ピーマンやパプリカ)の膨化はコントロール以下でした。
黄色、赤色等のカラー野菜入りはパンのクラム(パン内相)のカラーが美しく、朝食の食欲をそそるものと感じられました。
まず如何してグリーンのピーマンやパプリカは製パン性が低下したのかを調べました。
製パンに使用したグリーンのパプリカ乾燥パウダーをまず水に懸濁後、オートクレーブ(127℃,100分間)処理しました。このぐらいの高温ではどの酵素も失活するでしょう。このサンプルで製パン性が回復すれば、酵素による製パン性の低下の可能性が大きく疑われます。
オートクレーブ処理後、製パン試験を行なうと、やはり製パン性低下は消えたのです。
未熟パプリカ中の酵素が製パン性を低下させたのでしょう。
SE-HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で小麦粉ドウ中のSDS抽出物(グルテンタンパク質)の分子量分布を調べることが出来ます。小麦粉ドウでは一般に3本ピーク(位置から前、中、後のピーク)が等分に見えます。前のピークが高分子量、中のピークが中分子量、後のピークが低分子量となります。
この青ピーマンを小麦粉に添加してよく撹拌後、できた小麦粉ドウからのSDS抽出物のSE-HPLCプロフィールを調べると、青ピーマン未添加の小麦粉ドウに比べるとプロフィールに変化が見られ、高分子量のピークが小さくなり、低分子量のピークが大きくなっていました。
そしてオートクレーブにかけたものの添加小麦粉ドウでは、3ピークは未添加のものに回復してました。
つまり未熟なものにあったプロテアーゼが小麦たんぱく質に働き低分子量化し、ドウの粘弾性を低下させ、製パン性を低下したのですが、オートクレーブにかけてこのプロテアーゼを失活させると、小麦たんぱく質は傷まず、ドウの粘弾性を保持して、製パン性がもとの状態に保持された様ですね。
未熟なグリーンのものにはこのような酵素が存在したのでしょう。
次に。
このカプシカム属の野菜(トマピー、パプリカ、ピーマン、唐辛子等)を片っ端から粉砕後凍結乾燥しました。
トマピー、ピーマン等は、果実の未熟のグリーンのものもありましたが、入手できるものは全て凍結乾燥後パウダーとしました。
まずは赤いパプリカ粉末を用いて製パン時の最適添加量をチェックしました。ほぼ8%の添加量で製パン性(パン高、比容積)の良好なものが得られ、それ以上添加しても製パン性の上昇する事はありませんでした。
従って他のカプシカム属野菜添加も8%添加で製パン試験を行ないました。 全部で9種類行ないました。
このうち黄色、赤色等のカラー着色のものは無添加(コントロール)に比べ、よくパンは膨化しましたが、グリーンのもの(ピーマンやパプリカ)の膨化はコントロール以下でした。
黄色、赤色等のカラー野菜入りはパンのクラム(パン内相)のカラーが美しく、朝食の食欲をそそるものと感じられました。
まず如何してグリーンのピーマンやパプリカは製パン性が低下したのかを調べました。
製パンに使用したグリーンのパプリカ乾燥パウダーをまず水に懸濁後、オートクレーブ(127℃,100分間)処理しました。このぐらいの高温ではどの酵素も失活するでしょう。このサンプルで製パン性が回復すれば、酵素による製パン性の低下の可能性が大きく疑われます。
オートクレーブ処理後、製パン試験を行なうと、やはり製パン性低下は消えたのです。
未熟パプリカ中の酵素が製パン性を低下させたのでしょう。
SE-HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で小麦粉ドウ中のSDS抽出物(グルテンタンパク質)の分子量分布を調べることが出来ます。小麦粉ドウでは一般に3本ピーク(位置から前、中、後のピーク)が等分に見えます。前のピークが高分子量、中のピークが中分子量、後のピークが低分子量となります。
この青ピーマンを小麦粉に添加してよく撹拌後、できた小麦粉ドウからのSDS抽出物のSE-HPLCプロフィールを調べると、青ピーマン未添加の小麦粉ドウに比べるとプロフィールに変化が見られ、高分子量のピークが小さくなり、低分子量のピークが大きくなっていました。
そしてオートクレーブにかけたものの添加小麦粉ドウでは、3ピークは未添加のものに回復してました。
つまり未熟なものにあったプロテアーゼが小麦たんぱく質に働き低分子量化し、ドウの粘弾性を低下させ、製パン性を低下したのですが、オートクレーブにかけてこのプロテアーゼを失活させると、小麦たんぱく質は傷まず、ドウの粘弾性を保持して、製パン性がもとの状態に保持された様ですね。
未熟なグリーンのものにはこのような酵素が存在したのでしょう。
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