2011年9月13日 16:45 (瀬口 正晴)
メインページ
パンの話13 (カプシカム属野菜の製パン性に与える影響−3)
カプシカム属野菜の成熟したものは何れもきれいな色を示します。あじめ唐辛子なども真っ赤ですがあれもカプシカム属です。黄色のもの、赤色のもの、オレンジ色のもの、黒色に近いもの、何れのパプリカも成熟したカプシカム属野菜です。
これらをフリーズドライ後、8%ほど小麦粉にブレンドした後に製パン試験を行うと、パン高、比容積(cm3/g)ともに無添加のコントロールに比べて高い値を示しました。
この性質は、カプシカム属野菜独特の性質と思われました。
その原因はという事になるでしょう。
まずこれらの美しい色素(カロチノイド系色素)による製パン性への影響はどうかと調べました。
この赤色のカプシカム属野菜をオートクレーブ(120℃,100分)にかけると、色素は分解されて泥のような茶褐色になります。しかし色調は破壊されましたが、得られた製パン性向上には何らの影響は無かったのです。従って色素は製パン性には関係なしと思ってました。本研究結果はその後、Cereal Chemistryへ投稿され、アクセプトに到るまでレフェリー(レフェリーは通常3名つきます。1名が親、2名が子供のレフェリーです。)との間で何度かやりとりがありました。その際にレフェリーからは色素の事がチェックされました。カロチノイド(βーカロテン、クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン,カプサンチン)含量を経時的な色の変化に伴って定量しろと言ってきました。あまり必要性は感じませんでしたが、無視するわけにもゆかず定量もいたしました。
しかしこれらの色素は製パン性には関与しないのです。
色素はともかく、オートクレーブにかけて製パン性に関与しなかったという事は、エンザイムはこの製パン性向上には関与してないという事です。未熟のものに比べ, 成熟したものの製パン性向上にはプロテアーゼ、アミラーゼ等は関与しなかったのです。
ではなにか。
そこでこのオートクレーブ処理したパプリカ溶液でも製パン性向上が保持される事が分かった事から、この溶液を多量の水に対して透析して分子量の大きいもの、小さいものに分画いたしました。
即ち透析チューブにオートクレーブ処理したパプリカ抽出溶液を入れ、10Lの水に透析を一晩行ないました。10Lの透析外液は真黄色になりました。
一晩透析後、透析チューブ内液をフリーズドライ、外液を60℃以下の温度でシロップまで濃縮しました。
それら夫々を小麦粉にブレンドして製パン試験をすると、透析内液より外液の方が製パン性向上が認められました。
この結果はエキサイテングでした。
パプリカ属の野菜が製パン性向上効果があり、そのうち透析外液にその向上効果があったという事です。
透析内液には多糖類、たんぱく質等の高分子量物質が集まり、透析外液には分子量の小さい糖、オリゴ糖、アミノ酸、ペプチドなどの多くの低分子量物質がここに集まり、濃縮されてシロップ状(黄褐色)のものになりました。
この中に製パン向上効果を示すものがあるという訳です。
次に。
これらをフリーズドライ後、8%ほど小麦粉にブレンドした後に製パン試験を行うと、パン高、比容積(cm3/g)ともに無添加のコントロールに比べて高い値を示しました。
この性質は、カプシカム属野菜独特の性質と思われました。
その原因はという事になるでしょう。
まずこれらの美しい色素(カロチノイド系色素)による製パン性への影響はどうかと調べました。
この赤色のカプシカム属野菜をオートクレーブ(120℃,100分)にかけると、色素は分解されて泥のような茶褐色になります。しかし色調は破壊されましたが、得られた製パン性向上には何らの影響は無かったのです。従って色素は製パン性には関係なしと思ってました。本研究結果はその後、Cereal Chemistryへ投稿され、アクセプトに到るまでレフェリー(レフェリーは通常3名つきます。1名が親、2名が子供のレフェリーです。)との間で何度かやりとりがありました。その際にレフェリーからは色素の事がチェックされました。カロチノイド(βーカロテン、クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン,カプサンチン)含量を経時的な色の変化に伴って定量しろと言ってきました。あまり必要性は感じませんでしたが、無視するわけにもゆかず定量もいたしました。
しかしこれらの色素は製パン性には関与しないのです。
色素はともかく、オートクレーブにかけて製パン性に関与しなかったという事は、エンザイムはこの製パン性向上には関与してないという事です。未熟のものに比べ, 成熟したものの製パン性向上にはプロテアーゼ、アミラーゼ等は関与しなかったのです。
ではなにか。
そこでこのオートクレーブ処理したパプリカ溶液でも製パン性向上が保持される事が分かった事から、この溶液を多量の水に対して透析して分子量の大きいもの、小さいものに分画いたしました。
即ち透析チューブにオートクレーブ処理したパプリカ抽出溶液を入れ、10Lの水に透析を一晩行ないました。10Lの透析外液は真黄色になりました。
一晩透析後、透析チューブ内液をフリーズドライ、外液を60℃以下の温度でシロップまで濃縮しました。
それら夫々を小麦粉にブレンドして製パン試験をすると、透析内液より外液の方が製パン性向上が認められました。
この結果はエキサイテングでした。
パプリカ属の野菜が製パン性向上効果があり、そのうち透析外液にその向上効果があったという事です。
透析内液には多糖類、たんぱく質等の高分子量物質が集まり、透析外液には分子量の小さい糖、オリゴ糖、アミノ酸、ペプチドなどの多くの低分子量物質がここに集まり、濃縮されてシロップ状(黄褐色)のものになりました。
この中に製パン向上効果を示すものがあるという訳です。
次に。
カテゴリ:
タグ:
メインページ
最新のエントリー
カテゴリ
カレンダー
2019年4月
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 |
月別 アーカイブ
- 2019年3月 (4)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (4)
- 2018年10月 (2)
- 2018年9月 (1)
- 2018年8月 (2)
- 2018年7月 (1)
- 2018年6月 (1)
- 2018年5月 (1)
- 2018年4月 (2)
- 2018年3月 (1)
- 2018年2月 (6)
- 2018年1月 (4)
- 2017年12月 (1)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (3)
- 2017年9月 (3)
- 2017年6月 (1)
- 2017年5月 (2)
- 2017年4月 (1)
- 2016年12月 (4)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (1)
- 2016年5月 (2)
- 2016年4月 (1)
- 2016年3月 (1)
- 2014年11月 (1)
- 2014年4月 (1)
- 2014年3月 (2)
- 2014年1月 (1)
- 2013年12月 (5)
- 2013年11月 (3)
- 2013年10月 (3)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (2)
- 2013年7月 (5)
- 2013年6月 (2)
- 2013年5月 (4)
- 2013年4月 (3)
- 2013年3月 (3)
- 2013年2月 (2)
- 2013年1月 (3)
- 2012年12月 (3)
- 2012年11月 (3)
- 2012年10月 (1)
- 2012年9月 (2)
- 2012年8月 (3)
- 2012年7月 (3)
- 2012年6月 (4)
- 2012年5月 (3)
- 2012年4月 (4)
- 2012年3月 (3)
- 2012年2月 (4)
- 2012年1月 (4)
- 2011年12月 (5)
- 2011年11月 (4)
- 2011年10月 (4)
- 2011年9月 (4)
- 2011年8月 (4)
- 2011年7月 (4)
- 2011年6月 (5)
- 2011年5月 (4)
- 2011年4月 (4)
- 2011年3月 (5)
- 2011年2月 (4)
- 2011年1月 (4)
- 2010年12月 (4)
- 2010年11月 (5)
- 2010年10月 (3)
- 2010年9月 (4)
- 2010年8月 (3)
- 2010年7月 (5)
- 2010年6月 (4)
- 2010年5月 (2)
- 2010年3月 (18)