2011年9月22日 13:25 (瀬口 正晴)
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パンの話14 (カプシカム属野菜の製パン性に与える影響−4)
パプリカの成熟した果肉を凍結乾燥し、小麦粉に7%ほどブレンドして製パン試験を行なうと、パン高、比容積などの製パン性が著しく増加する事をこれまで話してきました。
このパプリカの水懸濁液を透析チューブに入れ、これを多量の水に対し透析を行い、透析される低分子量区分と透析チューブ中に残る高分子量区分に分画し、各々を60℃以下でシロップ状に濃縮したもの、凍結乾燥したものにしました。夫々を小麦粉にブレンドして製パン試験を行ったところ、高分子量区分(たんぱく質、多糖類などからなる)には製パン性を増加する性質は無く、透析外液区分のシロップ状のものに製パン性を増加させるもののあることがわかりました。
この中には糖、オリゴ糖、アミノ酸、ペプチド類等の低分子量のものが入っています。
これらのうちの何が製パン性の増加に効果があったのだろうかという事です。
この物質が何かを知りたいのです。
まずは、この透析外液区分のシロップを糖区分とアミノ酸、ペプチド類区分とに分けたいのです。これらを分画するのにはカラムクロマト法等もありますが、すべてのものが回収できるかどうかを目で確認したい、学生に確認させたいと考えました。
そのためペーパークロマトグラフィーなら、糖ならばAHP (Anilin hydrogen phthalate ) 発色で黄色に確認できるし、アミノ酸、ペプチド類ならばニンヒドリン試薬で紫色の発色で確認できます。
しかし分画されたサンプル量には、パンを焼くほどの多量のものが必要です。薄い紙でのクロマトグラフィーは、分離確認の定性は可能ですが、定量的に夫々をごっそり集める事は困難です。
そこで厚手のペーパークロマトグラフィーでやる事を考えました。
厚手とは厚紙濾紙の事です。厚紙のペーパークロマト用のものが市販されているのです。
何枚かの厚手濾紙に数十〜数百mgの透析外液のシロップをスポットして、チェンバー中で展開する事が出来ます。
ペーパークロマトグラフィーの展開後、濾紙全面を発色しては何もならないので、その一部、濾紙の両サイドをガイドストリップとして切リ離し、そこだけを発色して、その発色の具合から、糖区分とアミノ酸、ペプチド類区分を判別して、残った未発色の濾紙を切断して、糖区分とアミノ酸、ペプチド類区分とに分画しました。
それらを夫々水で濾紙から溶出して、糖区分、アミノ酸、ペプチド類区分を集め、濃縮してシロップ状にして、夫々小麦粉に添加してベーキング試験を行いました。
そのベーキング試験の結果、糖区分の方に製パン性増加を示すもののあることがわかりました。この糖区分の中にどんな糖が入っているのかが次の問題です。
その中にはショ糖もあるでしょうが、もしショ糖が製パン性に効果のあるものだったならば、単にベーキング時のイーストの餌が不足だったのだという事になり面白さは半減します。
コントロールの製パン時に、ショ糖添加量をもっと増やしてベーキングしたが、従来入れてあるショ糖量で製パンは十分である事も確認されました。
なればそれ以外のものが、製パンの増加と効果があるとなると面白いのですがね。目下、更に検討中です。
次に。
このパプリカの水懸濁液を透析チューブに入れ、これを多量の水に対し透析を行い、透析される低分子量区分と透析チューブ中に残る高分子量区分に分画し、各々を60℃以下でシロップ状に濃縮したもの、凍結乾燥したものにしました。夫々を小麦粉にブレンドして製パン試験を行ったところ、高分子量区分(たんぱく質、多糖類などからなる)には製パン性を増加する性質は無く、透析外液区分のシロップ状のものに製パン性を増加させるもののあることがわかりました。
この中には糖、オリゴ糖、アミノ酸、ペプチド類等の低分子量のものが入っています。
これらのうちの何が製パン性の増加に効果があったのだろうかという事です。
この物質が何かを知りたいのです。
まずは、この透析外液区分のシロップを糖区分とアミノ酸、ペプチド類区分とに分けたいのです。これらを分画するのにはカラムクロマト法等もありますが、すべてのものが回収できるかどうかを目で確認したい、学生に確認させたいと考えました。
そのためペーパークロマトグラフィーなら、糖ならばAHP (Anilin hydrogen phthalate ) 発色で黄色に確認できるし、アミノ酸、ペプチド類ならばニンヒドリン試薬で紫色の発色で確認できます。
しかし分画されたサンプル量には、パンを焼くほどの多量のものが必要です。薄い紙でのクロマトグラフィーは、分離確認の定性は可能ですが、定量的に夫々をごっそり集める事は困難です。
そこで厚手のペーパークロマトグラフィーでやる事を考えました。
厚手とは厚紙濾紙の事です。厚紙のペーパークロマト用のものが市販されているのです。
何枚かの厚手濾紙に数十〜数百mgの透析外液のシロップをスポットして、チェンバー中で展開する事が出来ます。
ペーパークロマトグラフィーの展開後、濾紙全面を発色しては何もならないので、その一部、濾紙の両サイドをガイドストリップとして切リ離し、そこだけを発色して、その発色の具合から、糖区分とアミノ酸、ペプチド類区分を判別して、残った未発色の濾紙を切断して、糖区分とアミノ酸、ペプチド類区分とに分画しました。
それらを夫々水で濾紙から溶出して、糖区分、アミノ酸、ペプチド類区分を集め、濃縮してシロップ状にして、夫々小麦粉に添加してベーキング試験を行いました。
そのベーキング試験の結果、糖区分の方に製パン性増加を示すもののあることがわかりました。この糖区分の中にどんな糖が入っているのかが次の問題です。
その中にはショ糖もあるでしょうが、もしショ糖が製パン性に効果のあるものだったならば、単にベーキング時のイーストの餌が不足だったのだという事になり面白さは半減します。
コントロールの製パン時に、ショ糖添加量をもっと増やしてベーキングしたが、従来入れてあるショ糖量で製パンは十分である事も確認されました。
なればそれ以外のものが、製パンの増加と効果があるとなると面白いのですがね。目下、更に検討中です。
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