2011年11月12日 12:45 (瀬口 正晴)
メインページ
パンの話19 (酢酸ガス処理小麦粉によるパン−1)
カルカデパンのはなしの中にカルカデパウダーを小麦粉にブレンドすると製パン性(パンの膨らみ、パン高)は低下するとでてきましたが、その理由を考える時に、
1、カルカデが熱帯,亜熱帯地域の植物である事。パイナップルなどで見られるように暑い地帯の植物はプロテアーゼ活性が一般に高いという事です。このことからカルカでもそうなのではないかと思った事、プロテアーゼでグルテンが破壊されたのではないかという点です。
2、そのころわれわれの研究室で行なっていた研究に、小麦粉の酢酸ガス処理のことがありました。過度の酢酸ガス処理によりドウのpH低下がおこり、製パン性を低下させることが知られました。そのことからカルカデの持つ酸によるpHの低下がパンドウにおこり、その原因で製パン性低下が生じたのではないどろうかと思われた2点でした。
結局、前にお話ししたように、製パン性の低下はカルカデ中の酸によるためとわかり、pHを中性に戻してやると、製パン性が回復した事を述べましたね。
先日、S氏(前述のカルカデパンをビジネスに乗せた人)がいらして、カルカデパンの販売を再開したいとと言ってこられました。カルカデパンを食べてみたい鉄欠乏心配者の読者は、インターネット上でカルカデパンのキーワードを開いてみてください。
次には酢酸ガス処理パンの話に続きます。
ブロム酸カリウム(KBrO3)(通称ブロメート)は、ある米国の研究者らによって製パン性の高まる事が確認されました。彼らのパテントを見た事があります。ある時期からオープンになって、世界中でこのブロメートが永い間使われてきました。しかし消費者はブロメート使用のことを余り知っていなかったと思われます。
その後、このKBrO3に対し食品衛生面から議論されるようになり、使用を見直すような流れとなってゆきました。ブロムのようなハロゲンが危険だという事でしょう。
ブロメート使用を中止すると製パン性が劣化するならば、別の安全な方法で同一効果は得られないだろうかというはなしです。ブロメートによる小麦粉酸化のメカニズムから、アスコルビン酸(ビタミンC)を使用する流れとなりました。
アスコルビン酸は、これも西欧のある研究者が果実の汁をパンドウに入れたら、パンが良く膨らんだ、そしてその汁の中のビタミンC (VC)を入れたら、製パン性がやはりよくなったなどという事から、VCにその効果があるとなりました。VCがブロメートにかわって用いられるようになったわけです。しかしブロメートほどの効果がない、パンのフレーバーへの影響が違うなどと言われてます。
小生のところでも、さらに別の安全な方法で良い製パン性効果はでないだろうかといろいろと探りました。
かつて小麦粉にクロリネーション(塩素ガス処理)をして、その効果についていろいろ調べたことがありました。そこでは小麦粉(粉体)/塩素(ガス)という固体-ガス反応がおこり、小麦粉にクロリネーションの効果のでる事を示しました。この件、以前お話しましたね。
そこでは水が関与しないので、小麦粉製品としては都合良いのです。
こうして考えると、なにか気体で小麦粉を処理し、ブロメート同様の効果は生じないだろうかということです。更に衛生的に安全であるという条件もつきます。
ガス化するもの、HCl, I2ーーーーいろいろな考えられるましたが、酢酸もやってみたらという事でした。
酢酸を水でうんと薄めたのがお酢です。酢酸は食品衛生的にも安全です。
ある日、酢酸ガス処理した小麦粉で製パン試験を行なったとき、パンの膨張は製パン機の蓋をおしあげるほどだったのに驚きました。
そんな事から酢酸ガス処理小麦粉の製パン性の改良効果についてもっと詳しく調べてみようと言うことになりました。
以下酢酸ガス処理小麦粉による製パン性の改良効果についておはなします。
1、カルカデが熱帯,亜熱帯地域の植物である事。パイナップルなどで見られるように暑い地帯の植物はプロテアーゼ活性が一般に高いという事です。このことからカルカでもそうなのではないかと思った事、プロテアーゼでグルテンが破壊されたのではないかという点です。
2、そのころわれわれの研究室で行なっていた研究に、小麦粉の酢酸ガス処理のことがありました。過度の酢酸ガス処理によりドウのpH低下がおこり、製パン性を低下させることが知られました。そのことからカルカデの持つ酸によるpHの低下がパンドウにおこり、その原因で製パン性低下が生じたのではないどろうかと思われた2点でした。
結局、前にお話ししたように、製パン性の低下はカルカデ中の酸によるためとわかり、pHを中性に戻してやると、製パン性が回復した事を述べましたね。
先日、S氏(前述のカルカデパンをビジネスに乗せた人)がいらして、カルカデパンの販売を再開したいとと言ってこられました。カルカデパンを食べてみたい鉄欠乏心配者の読者は、インターネット上でカルカデパンのキーワードを開いてみてください。
次には酢酸ガス処理パンの話に続きます。
ブロム酸カリウム(KBrO3)(通称ブロメート)は、ある米国の研究者らによって製パン性の高まる事が確認されました。彼らのパテントを見た事があります。ある時期からオープンになって、世界中でこのブロメートが永い間使われてきました。しかし消費者はブロメート使用のことを余り知っていなかったと思われます。
その後、このKBrO3に対し食品衛生面から議論されるようになり、使用を見直すような流れとなってゆきました。ブロムのようなハロゲンが危険だという事でしょう。
ブロメート使用を中止すると製パン性が劣化するならば、別の安全な方法で同一効果は得られないだろうかというはなしです。ブロメートによる小麦粉酸化のメカニズムから、アスコルビン酸(ビタミンC)を使用する流れとなりました。
アスコルビン酸は、これも西欧のある研究者が果実の汁をパンドウに入れたら、パンが良く膨らんだ、そしてその汁の中のビタミンC (VC)を入れたら、製パン性がやはりよくなったなどという事から、VCにその効果があるとなりました。VCがブロメートにかわって用いられるようになったわけです。しかしブロメートほどの効果がない、パンのフレーバーへの影響が違うなどと言われてます。
小生のところでも、さらに別の安全な方法で良い製パン性効果はでないだろうかといろいろと探りました。
かつて小麦粉にクロリネーション(塩素ガス処理)をして、その効果についていろいろ調べたことがありました。そこでは小麦粉(粉体)/塩素(ガス)という固体-ガス反応がおこり、小麦粉にクロリネーションの効果のでる事を示しました。この件、以前お話しましたね。
そこでは水が関与しないので、小麦粉製品としては都合良いのです。
こうして考えると、なにか気体で小麦粉を処理し、ブロメート同様の効果は生じないだろうかということです。更に衛生的に安全であるという条件もつきます。
ガス化するもの、HCl, I2ーーーーいろいろな考えられるましたが、酢酸もやってみたらという事でした。
酢酸を水でうんと薄めたのがお酢です。酢酸は食品衛生的にも安全です。
ある日、酢酸ガス処理した小麦粉で製パン試験を行なったとき、パンの膨張は製パン機の蓋をおしあげるほどだったのに驚きました。
そんな事から酢酸ガス処理小麦粉の製パン性の改良効果についてもっと詳しく調べてみようと言うことになりました。
以下酢酸ガス処理小麦粉による製パン性の改良効果についておはなします。
カテゴリ:
タグ:
メインページ
最新のエントリー
カテゴリ
カレンダー
2019年4月
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 |
月別 アーカイブ
- 2019年3月 (4)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (4)
- 2018年10月 (2)
- 2018年9月 (1)
- 2018年8月 (2)
- 2018年7月 (1)
- 2018年6月 (1)
- 2018年5月 (1)
- 2018年4月 (2)
- 2018年3月 (1)
- 2018年2月 (6)
- 2018年1月 (4)
- 2017年12月 (1)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (3)
- 2017年9月 (3)
- 2017年6月 (1)
- 2017年5月 (2)
- 2017年4月 (1)
- 2016年12月 (4)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (1)
- 2016年5月 (2)
- 2016年4月 (1)
- 2016年3月 (1)
- 2014年11月 (1)
- 2014年4月 (1)
- 2014年3月 (2)
- 2014年1月 (1)
- 2013年12月 (5)
- 2013年11月 (3)
- 2013年10月 (3)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (2)
- 2013年7月 (5)
- 2013年6月 (2)
- 2013年5月 (4)
- 2013年4月 (3)
- 2013年3月 (3)
- 2013年2月 (2)
- 2013年1月 (3)
- 2012年12月 (3)
- 2012年11月 (3)
- 2012年10月 (1)
- 2012年9月 (2)
- 2012年8月 (3)
- 2012年7月 (3)
- 2012年6月 (4)
- 2012年5月 (3)
- 2012年4月 (4)
- 2012年3月 (3)
- 2012年2月 (4)
- 2012年1月 (4)
- 2011年12月 (5)
- 2011年11月 (4)
- 2011年10月 (4)
- 2011年9月 (4)
- 2011年8月 (4)
- 2011年7月 (4)
- 2011年6月 (5)
- 2011年5月 (4)
- 2011年4月 (4)
- 2011年3月 (5)
- 2011年2月 (4)
- 2011年1月 (4)
- 2010年12月 (4)
- 2010年11月 (5)
- 2010年10月 (3)
- 2010年9月 (4)
- 2010年8月 (3)
- 2010年7月 (5)
- 2010年6月 (4)
- 2010年5月 (2)
- 2010年3月 (18)