2011年11月19日 09:43 (瀬口 正晴)
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パンの話20 (酢酸ガス処理小麦粉によるパン−2)
まず外麦(国内で栽培された小麦 内麦に対し輸入小麦粉のこと)小麦粉の酢酸ガス処理を行ないました。
どのようなシステムで小麦粉の酢酸ガス処理を行なったのかといいますと、純水製造装置として市販されるプラスチックの円筒状のカラムをまず準備し、その中に小麦粉1Kgを詰めました。そのカラム中に酢酸ガスを強制的に通すわけです。果たして酢酸ガスはうまく通るだろうかということです。小麦粉はカラム中に詰まってしまい、酢酸ガスは止まってしまうのではないだろうか?さらにカラムの上部にセットするフィルターは小麦粉で詰まりはしないかなどと心配しました。
カラム底部からコンプレッサーからの加圧空気を入れ、上部フィルターを通して空気は外へ放出します。チューブで結んだカラムとコンプレッサーの間にトラップ(ガラス容器)をもうけ、その中に氷酢酸(酢酸)原液を0.5~2.0mL入れます。約12時間コンプレッサーで連続的に通気しますと、その空気の中にこの氷酢酸は気化して酢酸ガスとなり混じり、そして小麦粉の中に入ってゆくというシステムです。
夕方にスタートすると、翌朝には酢酸はトラップからは完全に消えています。空気の出るカラム上部以外、システムからの空気の漏れはどこも無かったので、酢酸ガスはすべて小麦粉に接触した事がわかりました。
カラムから小麦粉を取り出し,ビニールの袋の中で良く混合して、フリーザー中に製パン直前までそのまま貯蔵しました。
その小麦粉の一部をとり水に懸濁後pHを測定すると、酢酸ガス量を小麦粉1kgに対し0.5、1.0、1.5、2.0mLと上昇させてゆくと懸濁液のpHは次第に低下してゆく事が測定されました。
小麦粉のブラベンダーファリノグラフ試験を行ない吸水率を測定しました。この吸水率に基づいて製パン時の加水量を計算し、製パン試験を行なうわけです。pHの違いによる小麦粉の吸水率の大きな変化は見えませんでした。
小麦粉を酢酸ガス処理をすると製パン性(パン高、比容積)の改良効果は認められました。
その製パン性改良レベルは、酢酸ガス処理レベルをあげるに伴って無処理時に比べて次第に上昇してゆき、パン高、比容積は増加します。ある酢酸ガス処理レベルで製パン性(パン高、比容積)はマキシマムの値を示しました。さらにレベルをあげてゆくと、しかしながら製パン性は逆に低下しました。
各パンクラム/水懸濁液のpHも測定して、パンクラムとpH値との間の関係も明らかになりました。
はじめには、日東製粉のレッドナイトという製パン用小麦粉を酢酸ガス処理実験に用いましたが、その後、日清製粉のカメリアなどの多くの製パン用小麦粉が試験されました。何れもある酢酸ガスレベルで製パン性の上昇する事がわかりました。
一般性がありました。
つづき
どのようなシステムで小麦粉の酢酸ガス処理を行なったのかといいますと、純水製造装置として市販されるプラスチックの円筒状のカラムをまず準備し、その中に小麦粉1Kgを詰めました。そのカラム中に酢酸ガスを強制的に通すわけです。果たして酢酸ガスはうまく通るだろうかということです。小麦粉はカラム中に詰まってしまい、酢酸ガスは止まってしまうのではないだろうか?さらにカラムの上部にセットするフィルターは小麦粉で詰まりはしないかなどと心配しました。
カラム底部からコンプレッサーからの加圧空気を入れ、上部フィルターを通して空気は外へ放出します。チューブで結んだカラムとコンプレッサーの間にトラップ(ガラス容器)をもうけ、その中に氷酢酸(酢酸)原液を0.5~2.0mL入れます。約12時間コンプレッサーで連続的に通気しますと、その空気の中にこの氷酢酸は気化して酢酸ガスとなり混じり、そして小麦粉の中に入ってゆくというシステムです。
夕方にスタートすると、翌朝には酢酸はトラップからは完全に消えています。空気の出るカラム上部以外、システムからの空気の漏れはどこも無かったので、酢酸ガスはすべて小麦粉に接触した事がわかりました。
カラムから小麦粉を取り出し,ビニールの袋の中で良く混合して、フリーザー中に製パン直前までそのまま貯蔵しました。
その小麦粉の一部をとり水に懸濁後pHを測定すると、酢酸ガス量を小麦粉1kgに対し0.5、1.0、1.5、2.0mLと上昇させてゆくと懸濁液のpHは次第に低下してゆく事が測定されました。
小麦粉のブラベンダーファリノグラフ試験を行ない吸水率を測定しました。この吸水率に基づいて製パン時の加水量を計算し、製パン試験を行なうわけです。pHの違いによる小麦粉の吸水率の大きな変化は見えませんでした。
小麦粉を酢酸ガス処理をすると製パン性(パン高、比容積)の改良効果は認められました。
その製パン性改良レベルは、酢酸ガス処理レベルをあげるに伴って無処理時に比べて次第に上昇してゆき、パン高、比容積は増加します。ある酢酸ガス処理レベルで製パン性(パン高、比容積)はマキシマムの値を示しました。さらにレベルをあげてゆくと、しかしながら製パン性は逆に低下しました。
各パンクラム/水懸濁液のpHも測定して、パンクラムとpH値との間の関係も明らかになりました。
はじめには、日東製粉のレッドナイトという製パン用小麦粉を酢酸ガス処理実験に用いましたが、その後、日清製粉のカメリアなどの多くの製パン用小麦粉が試験されました。何れもある酢酸ガスレベルで製パン性の上昇する事がわかりました。
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