2012年10月アーカイブ
2012年10月15日 17:40 ( )'12-AACC International Annual Meeting ( Hollywood, Florida U.S.A. ) に参加して
9月30日朝、南からの台風17号の風はまだ関西にはとどいてません。伊丹でチケット受け取り、9時15分には成田に着きました。エアポートラウンジで出
発時間を待ちました。台風17号のせいかアメリカから成田までのUNITEDの飛行機が約1時間遅れて到着し、そのため約1時間遅れて日本を出発しまし
た。
当然ヒューストンには1時間遅れて到着し、入国手続きも遅れ、結局3時間ほど余裕をみた Ft. Lauderdale/ハリウッド空港行きの国内線にも間に合いませんでした。次のチケットが発券され、これが3時間後のフライトということで、しかも ゲートナンバーは違っていました。No.9のゲートで予定の飛行機にのり、やれやれ次はホテルまでと思いましたたが、フライト出発時間になっても飛行機は 出発しません。30分たって機内放送が流れ、満席の客が立ちあがって、機外へゾロゾロと出はじめます。横の席の女性に聞くと別の機に移るとの事。そのゾロ ゾロの流れについて移動し、結局もとのゲート11に戻りました。
10時50分p.m.,このNo.11ゲートから出るので待てとの事でし た。まだ8時台というのに。やれやれ。何やらキャンデー、缶ジュースをゲートでは客に配ってました。小生はやめときました。今夜は一体何時につくものや ら。30日にはそんなこんなでハリウッド飛行場に深夜12時すぎに到着し、そこからタクシー40 ドル支払って、15−20分ほどのクラウンラウンジホテルに到着でき、荷物をほどいてやれやれという塩梅でした。長い一日でした。翌日(1日)と言っても すでに到着したその日から学会の登録、及びポスター貼付けの作業があり、会場は8時30分にオープンしている事を頭に入れてベッドに入りました。
目がさめたのは朝9時すぎで、いそいでホテルの朝食を取るためロビー近くの食堂に向かいました。
朝食後、ロビーで学会会場の場所を聞いて、長いポスタ−の筒を持って、会場のWestin Diplomat Convention Centerに向かいました。毎年ながらでかいホールを使ってのAACC Internationalの学会です。
登 録コーナーでは事務の女性に自分の名前を言えば小生用の書類袋を渡され、その中に名札、赤い帯、グリーンの帯、スケジュール等の書類が入っています。これ を受け取りました。赤い札は小生が35年のメンバー、グリーンは日本オフィサーというしるしで、これを自分の名札に貼付けぶら下げて、早速ポスター会場に 向かいました。縦112cm、横117cmの日本から持参した大きなポスター用紙を筒からだし、きめられたボード板(No.191)に貼付けました。すで に殆どのポスターは貼付けられており、多くの人々は階下のオーラル会場での発表を聞いて居るようです。小生の今回の発表は院生の田原さんのこれまでの進め てきた研究の一部を発表したものです。
タイトルは、 "Low-calorie bread baked with charred cellulose granules/wheat flour and elimination of toxic food dye (xanthene) in alimentary canal by charred cellulose granules in the bread" でした(Abstract ID 11189)。
以下はその要旨です。
The insoluble fibers of cellulose are linked through nondigestible β-1,4-bonds and are noncaloric. Synthetic toxic food dye (xanthene) is widely used in processed foods. The adsorption of the xanthene dye onto cellulose granules charred at 250℃ for 20min is known. The objectives of this study are to bake a low-calorie bread by a mixture of charred cellulose granules and wheat flour, and to eliminate toxic food dye (xanthene) in the alimentary canal using the charred cellulose granules in the bread. The size of cellulose granules plays an important role in determining good breadmaking properties [bread height (mm) and specific volume (SV) (cm3/g)]. Hence charred cellulose granules with diameters above 270 μm were blended with wheat flour at 10%, and bread with a lower calorie content (1020 kcal/ gram of bread) than the control bread (1126 kcal) made solely from wheat flour was obtained. It was confirmed that the charred cellulose granules in bread adsorb toxic food dye (xanthene), and toxic food dye (xanthene) in processed foods taken into the alimentary canal would be excreted in the feces with nondigestible charred cellulose granules in bread.
ポスターはほぼ彼女が製作しました。コンピュターを 駆使して美しく、立派に作ってくれました。当日はイーブンナンバーの発表が午後1時からで、ポスターセッションの見物者と発表者との討論の時間となってい ました。イーブンナンバーの発表者は自分のポスターの前に立って質問者に対応せねばならぬというやり方です。ただ単にポスターを貼付けて、おしまいという わけにはいきません。更に本会では数年前からポスタートークセッションを行なっています。こちらもただ単にポスター貼ってその場で質問者と討論しておしま いというわけにも行きません。別室にポスターを貼り直し、そこでオーラル発表し、さらに質問者とデスカッションするのです。むしろコチラの方がロードは大 きく大変です。オーラルプラスポスター発表という具合です。
翌日はオッドナンバーの番です。12:00-2:15まで大ホールに掲示し、 その間一般の人が見て質問することが出来ます。その発表番号の内のいくつかの選ばれたポスターについては、2:30-4:30のBall room 3号室でのポスタートークのため、2:00までには別室掲示の準備しなくてはなりません。そしてオーラル発表は、スライド3枚、発表時間5分間です。この 流れがこれからのAACCの主流になるようです。発表者はその全般をオーラルで発表し、ポスターで細かなデーターを十分に見せるわけです。
多くの発表者は3枚のスライドと言っても、アニメーションを巧みに使って数多くのデーターを見せます。
持 ち時間も余りなく、発表者は次々と壇上にあがって得意になってしゃべりまくるわけです。欧米の学会でつくづく感じるのは、発表者は何れも自信満々で、聴衆 者の前で得意満面でしゃべりまくることです。やはり発表者は学会では偉いのです。聴衆者は発表者に一目も二目も置くのです。特に女性研究者の場合にはそう 感じられるます。こうして発表する若い女性研究者は大変に魅力的です。
特にこの辺が日本人研究者と違うところで、小生などもいつも彼ら、彼女らの様子を見て感心させられます。自分はというと、おどおどして、逃げ腰で、というだらしなさです。
今回の発表は田原さんの学位論文の最後の部分の紹介でした。この論文は面白いストーリーの論文で、将来の食品化学の進む方向性の一つを示したものと思ってます。これから多くの人がフォローしてくれる方向と思います。
我々は毎日数多くの食品を食べていますが、全くわけのわからないものでも経験的に大丈夫だからと食べている可能性があります。しかし栄養的に必要なもの、危険なものが少しづつわかってきましたが、まだまだわからないサイエンスです。
食品をぱくぱく食べます。しかし危険なものを他の食べ物で人為的に除去するという考え方はありません。
田 原さんは、この食材として低カロリーであり、食べ物の中に危険な色素を吸着するというセルロースを考えました。これは消化吸収出来ず、吸着した危険色素と ともに体外に排出します。こうしてネガチブなものを除去しようと言うわけです。こんな食品化学はあるまいと思ってます。
今回のAACCの大会でもデンプンなどを何らかの処理をして低カロリー化する発表が多いです。これは抵抗性デンプンの事です。
抵 抗性デンプンは消化できずにそのまま大便として体外に放出されるのですから、ここに何らかの機能を与えてから体内に入れ、消化管を流れているうちに体内の 不必要なもの、危険なものなどを吸収させ大便として体外に放出して、例えば発ガンなどを抑えるという考え方です。そんなこともありと考えられます。
デンプン研究などのこれからの方向でしょう。Purdue大学のcarbohydrate sectionの研究なども体の病気のことと炭水化物の関連の研究を大いに進めている事が気になったところです。
学 会メンバー40年近くの小生にとり、本学会の移り変わりを今回ほど大きく感じた事はありませんでした。寂しさの感想です。学会でよくお会いし、挨拶し、ニ コニコ対応してくれたBeMiller先生(Purdue大)、Seib 先生(Kansas大)、Bushuk(Manitoba大)先生らは今回いません、BeMiller さんは数カ月前より体調不良とのこと、Seibさんはretireか?Bushukさんは?Okkyung Kim Chungさんはご主人を亡くされたためかいらっしゃいません。
Cereal ChemistryのChief RefereeのHoseneyさんはMorrisさんにその役を引き渡しされたとの事でした。
彼らの分野はやはりどんどん古くなり、新しいものに置き換わって行くようです。分野に余りこだわっていると不用になるという事でもあります。
大御所がいなくなる事は極めて寂しい事ですが、今回新しい人がどのように動いてくるのかも見え難いところでした。
2 日の夜、Carbohydrate sectionのdinner partyが"GG' Waterfront Bar &Grill"であり、これに出席して、うまいワインと肉で相変わらず大騒ぎのパーテーでした。これに混じってきました。これまで中心になってく れていた御夫婦(お名前不明)は会場の陰の方でひっそりとしておられました。お二人はひどく老けておられアメリカ人の老化は早いとつくづく思いました。
朝 4時過ぎタクシーで飛行場へ、帰りのフライトは繋ぎもうまくゆき、ヒューストンまで無事進み、そして成田へ帰国できました。成田から伊丹への時間は、 ヒューストンからのフライトが早くついたので、ANAに頼んで1時間早いチケットに切り替えてもらいました。飛行機のイアフォンから山下達郎の歌が流れて ました。これを聞いてなぜかホッとした次第です。
当然ヒューストンには1時間遅れて到着し、入国手続きも遅れ、結局3時間ほど余裕をみた Ft. Lauderdale/ハリウッド空港行きの国内線にも間に合いませんでした。次のチケットが発券され、これが3時間後のフライトということで、しかも ゲートナンバーは違っていました。No.9のゲートで予定の飛行機にのり、やれやれ次はホテルまでと思いましたたが、フライト出発時間になっても飛行機は 出発しません。30分たって機内放送が流れ、満席の客が立ちあがって、機外へゾロゾロと出はじめます。横の席の女性に聞くと別の機に移るとの事。そのゾロ ゾロの流れについて移動し、結局もとのゲート11に戻りました。
10時50分p.m.,このNo.11ゲートから出るので待てとの事でし た。まだ8時台というのに。やれやれ。何やらキャンデー、缶ジュースをゲートでは客に配ってました。小生はやめときました。今夜は一体何時につくものや ら。30日にはそんなこんなでハリウッド飛行場に深夜12時すぎに到着し、そこからタクシー40 ドル支払って、15−20分ほどのクラウンラウンジホテルに到着でき、荷物をほどいてやれやれという塩梅でした。長い一日でした。翌日(1日)と言っても すでに到着したその日から学会の登録、及びポスター貼付けの作業があり、会場は8時30分にオープンしている事を頭に入れてベッドに入りました。
目がさめたのは朝9時すぎで、いそいでホテルの朝食を取るためロビー近くの食堂に向かいました。
朝食後、ロビーで学会会場の場所を聞いて、長いポスタ−の筒を持って、会場のWestin Diplomat Convention Centerに向かいました。毎年ながらでかいホールを使ってのAACC Internationalの学会です。
登 録コーナーでは事務の女性に自分の名前を言えば小生用の書類袋を渡され、その中に名札、赤い帯、グリーンの帯、スケジュール等の書類が入っています。これ を受け取りました。赤い札は小生が35年のメンバー、グリーンは日本オフィサーというしるしで、これを自分の名札に貼付けぶら下げて、早速ポスター会場に 向かいました。縦112cm、横117cmの日本から持参した大きなポスター用紙を筒からだし、きめられたボード板(No.191)に貼付けました。すで に殆どのポスターは貼付けられており、多くの人々は階下のオーラル会場での発表を聞いて居るようです。小生の今回の発表は院生の田原さんのこれまでの進め てきた研究の一部を発表したものです。
タイトルは、 "Low-calorie bread baked with charred cellulose granules/wheat flour and elimination of toxic food dye (xanthene) in alimentary canal by charred cellulose granules in the bread" でした(Abstract ID 11189)。
以下はその要旨です。
The insoluble fibers of cellulose are linked through nondigestible β-1,4-bonds and are noncaloric. Synthetic toxic food dye (xanthene) is widely used in processed foods. The adsorption of the xanthene dye onto cellulose granules charred at 250℃ for 20min is known. The objectives of this study are to bake a low-calorie bread by a mixture of charred cellulose granules and wheat flour, and to eliminate toxic food dye (xanthene) in the alimentary canal using the charred cellulose granules in the bread. The size of cellulose granules plays an important role in determining good breadmaking properties [bread height (mm) and specific volume (SV) (cm3/g)]. Hence charred cellulose granules with diameters above 270 μm were blended with wheat flour at 10%, and bread with a lower calorie content (1020 kcal/ gram of bread) than the control bread (1126 kcal) made solely from wheat flour was obtained. It was confirmed that the charred cellulose granules in bread adsorb toxic food dye (xanthene), and toxic food dye (xanthene) in processed foods taken into the alimentary canal would be excreted in the feces with nondigestible charred cellulose granules in bread.
ポスターはほぼ彼女が製作しました。コンピュターを 駆使して美しく、立派に作ってくれました。当日はイーブンナンバーの発表が午後1時からで、ポスターセッションの見物者と発表者との討論の時間となってい ました。イーブンナンバーの発表者は自分のポスターの前に立って質問者に対応せねばならぬというやり方です。ただ単にポスターを貼付けて、おしまいという わけにはいきません。更に本会では数年前からポスタートークセッションを行なっています。こちらもただ単にポスター貼ってその場で質問者と討論しておしま いというわけにも行きません。別室にポスターを貼り直し、そこでオーラル発表し、さらに質問者とデスカッションするのです。むしろコチラの方がロードは大 きく大変です。オーラルプラスポスター発表という具合です。
翌日はオッドナンバーの番です。12:00-2:15まで大ホールに掲示し、 その間一般の人が見て質問することが出来ます。その発表番号の内のいくつかの選ばれたポスターについては、2:30-4:30のBall room 3号室でのポスタートークのため、2:00までには別室掲示の準備しなくてはなりません。そしてオーラル発表は、スライド3枚、発表時間5分間です。この 流れがこれからのAACCの主流になるようです。発表者はその全般をオーラルで発表し、ポスターで細かなデーターを十分に見せるわけです。
多くの発表者は3枚のスライドと言っても、アニメーションを巧みに使って数多くのデーターを見せます。
持 ち時間も余りなく、発表者は次々と壇上にあがって得意になってしゃべりまくるわけです。欧米の学会でつくづく感じるのは、発表者は何れも自信満々で、聴衆 者の前で得意満面でしゃべりまくることです。やはり発表者は学会では偉いのです。聴衆者は発表者に一目も二目も置くのです。特に女性研究者の場合にはそう 感じられるます。こうして発表する若い女性研究者は大変に魅力的です。
特にこの辺が日本人研究者と違うところで、小生などもいつも彼ら、彼女らの様子を見て感心させられます。自分はというと、おどおどして、逃げ腰で、というだらしなさです。
今回の発表は田原さんの学位論文の最後の部分の紹介でした。この論文は面白いストーリーの論文で、将来の食品化学の進む方向性の一つを示したものと思ってます。これから多くの人がフォローしてくれる方向と思います。
我々は毎日数多くの食品を食べていますが、全くわけのわからないものでも経験的に大丈夫だからと食べている可能性があります。しかし栄養的に必要なもの、危険なものが少しづつわかってきましたが、まだまだわからないサイエンスです。
食品をぱくぱく食べます。しかし危険なものを他の食べ物で人為的に除去するという考え方はありません。
田 原さんは、この食材として低カロリーであり、食べ物の中に危険な色素を吸着するというセルロースを考えました。これは消化吸収出来ず、吸着した危険色素と ともに体外に排出します。こうしてネガチブなものを除去しようと言うわけです。こんな食品化学はあるまいと思ってます。
今回のAACCの大会でもデンプンなどを何らかの処理をして低カロリー化する発表が多いです。これは抵抗性デンプンの事です。
抵 抗性デンプンは消化できずにそのまま大便として体外に放出されるのですから、ここに何らかの機能を与えてから体内に入れ、消化管を流れているうちに体内の 不必要なもの、危険なものなどを吸収させ大便として体外に放出して、例えば発ガンなどを抑えるという考え方です。そんなこともありと考えられます。
デンプン研究などのこれからの方向でしょう。Purdue大学のcarbohydrate sectionの研究なども体の病気のことと炭水化物の関連の研究を大いに進めている事が気になったところです。
学 会メンバー40年近くの小生にとり、本学会の移り変わりを今回ほど大きく感じた事はありませんでした。寂しさの感想です。学会でよくお会いし、挨拶し、ニ コニコ対応してくれたBeMiller先生(Purdue大)、Seib 先生(Kansas大)、Bushuk(Manitoba大)先生らは今回いません、BeMiller さんは数カ月前より体調不良とのこと、Seibさんはretireか?Bushukさんは?Okkyung Kim Chungさんはご主人を亡くされたためかいらっしゃいません。
Cereal ChemistryのChief RefereeのHoseneyさんはMorrisさんにその役を引き渡しされたとの事でした。
彼らの分野はやはりどんどん古くなり、新しいものに置き換わって行くようです。分野に余りこだわっていると不用になるという事でもあります。
大御所がいなくなる事は極めて寂しい事ですが、今回新しい人がどのように動いてくるのかも見え難いところでした。
2 日の夜、Carbohydrate sectionのdinner partyが"GG' Waterfront Bar &Grill"であり、これに出席して、うまいワインと肉で相変わらず大騒ぎのパーテーでした。これに混じってきました。これまで中心になってく れていた御夫婦(お名前不明)は会場の陰の方でひっそりとしておられました。お二人はひどく老けておられアメリカ人の老化は早いとつくづく思いました。
朝 4時過ぎタクシーで飛行場へ、帰りのフライトは繋ぎもうまくゆき、ヒューストンまで無事進み、そして成田へ帰国できました。成田から伊丹への時間は、 ヒューストンからのフライトが早くついたので、ANAに頼んで1時間早いチケットに切り替えてもらいました。飛行機のイアフォンから山下達郎の歌が流れて ました。これを聞いてなぜかホッとした次第です。