2012年11月 7日 10:03 (
一昨年(2010, 6/8-11)、フィンランド、テンペレ市でグルテンフリーの国際会議(Gluten-Free Cereal Products and Beverages) があり、これに出席してきました。日本からというより、東洋からは小生一人の参加者でしたが、欧米人の参加者は数百人の大きな学会でした。
この会は小麦粉中のグルテンタンパク質が引き起こすセリアック病に関する学会です。この病気は、小麦粉を主食とするヨーロッパ、アメリカでは人口の1%強の人がこれでなくなるという恐ろしい病気です。患者さんはグルテンを含む食品は一切食べられません。その原因の追及やら、対策やらに関する学会で、食の欧風化が進みパン食の進む日本でもこれから問題になる大きなテーマです。
この会に出席して欧米の人たち、特にドイツ、フィンランドの研究者が多かったのですが、彼らの発表の様子などをうかがい、グルテンフリーへの関心の深さを伺うことが出来ました。医師、化学者、食品企業の人たちなど、多くの分野の人たちで活発に議論が行なわれました。その中に管理栄養士の発表者がいたことが意外でした。若い女性管理栄養士が「私はDietitian(管理栄養士)だが」と滔々と他分野の人たちの中で自分の意見を述べていました。帰国後、小生のゼミ学生らにその様子を話し、「君らもあのようにならねばいけない。」と激励したのですが、現実味がなかったのでしょうか、笑っていました。
日本人にとってはさらに語学で苦戦を強いられることと思われますが、そんな中に入り込み国際的に活躍できる管理栄養士もこれから必要になってくるでしょう。スポーツ関連の管理栄養士の人は、すでにオリンピックなどの国際大会などで外国の管理栄養士とわたりあっているのでしょうし、あるいは将来、国際的な人がほしいはずです。いい情報交換の場面でもあるでしょうから。
しかしそこで問題となるのは語学でしょう。各大学、4年間の管理栄養士のカリキュラムの中には教養科目としての外国語科目はあるでしょう。しかし管理栄養士の専門科目は逼迫しており、しかもその中には必須の語学に関するカリキュラムは皆無が現状です。学生は高等学校でかなり英語を勉強してきたはずですが、続けてないと英語などすぐに忘れてしまいます。
神戸女子大学では、管理栄養士養成課程の中に、病院実習先の一つとしてハワイ、ホノルル市のクワキニ病院(Kuakini Health System 1900年 日本人慈善協会により創立)にお願いしています。平成14年から毎年2名の学生をハワイに派遣し、本学の宿舎からクワキニ病院にバスで通い、そこで実習をお願いしています。管理栄養士の国際化のいいチャンスだと思って続けています。これまで過去14年間、22名の学生を送り込み、2週間みっちりトレーニングしています。病院では日本の若い女子学生が来ると云うので大変に喜ばれていますが、毎年最後に先方から言われるのは、もう少し英語の出来る学生を送ってください、栄養士の専門英語の勉強も、と言われています。
クワキニでの2週間は全て英語での生活で、先方のDietitianに張り付いて、いろいろ指導を受けています。大変に効果的です。この先方からの語学訓練の要望に対し、本学ではカリキュラム的には全く対応しておらず、自主的に数カ月間昼休み時間に英語教員に指導を受けさせています。英語力、語学力のなさを残念に思っています。
これから管理栄養士の国際的ニーズが必ずやってきます。
大学のカリキュラム、大学院のカリキュラムで専門英語教育をしなければいけないと思ってます。特にスポーツ栄養関係では必要になってくると思われます。選手をバックアップする英語のしゃべれない管理栄養士が、果たしてスポーツ等の国際大会で他国の管理栄養士とわたり合えるのでしょうか?Completely Noでしょう。さらに日本の医療技術の進んでいることと、それに伴う日本の管理栄養士の技術の深さがこれからの日本の売り物にもなるのではないでしょうか?やはり国際化が必要です。
そんなこんなから早々に厚生労働省なども英語教育を熟慮し、管理栄養士カリキュラムの中に専門英語教育のカリキュラムを入れることに取り組んでいただきたいものです。
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管理栄養士の国際化の必要性について
一昨年(2010, 6/8-11)、フィンランド、テンペレ市でグルテンフリーの国際会議(Gluten-Free Cereal Products and Beverages) があり、これに出席してきました。日本からというより、東洋からは小生一人の参加者でしたが、欧米人の参加者は数百人の大きな学会でした。
この会は小麦粉中のグルテンタンパク質が引き起こすセリアック病に関する学会です。この病気は、小麦粉を主食とするヨーロッパ、アメリカでは人口の1%強の人がこれでなくなるという恐ろしい病気です。患者さんはグルテンを含む食品は一切食べられません。その原因の追及やら、対策やらに関する学会で、食の欧風化が進みパン食の進む日本でもこれから問題になる大きなテーマです。
この会に出席して欧米の人たち、特にドイツ、フィンランドの研究者が多かったのですが、彼らの発表の様子などをうかがい、グルテンフリーへの関心の深さを伺うことが出来ました。医師、化学者、食品企業の人たちなど、多くの分野の人たちで活発に議論が行なわれました。その中に管理栄養士の発表者がいたことが意外でした。若い女性管理栄養士が「私はDietitian(管理栄養士)だが」と滔々と他分野の人たちの中で自分の意見を述べていました。帰国後、小生のゼミ学生らにその様子を話し、「君らもあのようにならねばいけない。」と激励したのですが、現実味がなかったのでしょうか、笑っていました。
日本人にとってはさらに語学で苦戦を強いられることと思われますが、そんな中に入り込み国際的に活躍できる管理栄養士もこれから必要になってくるでしょう。スポーツ関連の管理栄養士の人は、すでにオリンピックなどの国際大会などで外国の管理栄養士とわたりあっているのでしょうし、あるいは将来、国際的な人がほしいはずです。いい情報交換の場面でもあるでしょうから。
しかしそこで問題となるのは語学でしょう。各大学、4年間の管理栄養士のカリキュラムの中には教養科目としての外国語科目はあるでしょう。しかし管理栄養士の専門科目は逼迫しており、しかもその中には必須の語学に関するカリキュラムは皆無が現状です。学生は高等学校でかなり英語を勉強してきたはずですが、続けてないと英語などすぐに忘れてしまいます。
神戸女子大学では、管理栄養士養成課程の中に、病院実習先の一つとしてハワイ、ホノルル市のクワキニ病院(Kuakini Health System 1900年 日本人慈善協会により創立)にお願いしています。平成14年から毎年2名の学生をハワイに派遣し、本学の宿舎からクワキニ病院にバスで通い、そこで実習をお願いしています。管理栄養士の国際化のいいチャンスだと思って続けています。これまで過去14年間、22名の学生を送り込み、2週間みっちりトレーニングしています。病院では日本の若い女子学生が来ると云うので大変に喜ばれていますが、毎年最後に先方から言われるのは、もう少し英語の出来る学生を送ってください、栄養士の専門英語の勉強も、と言われています。
クワキニでの2週間は全て英語での生活で、先方のDietitianに張り付いて、いろいろ指導を受けています。大変に効果的です。この先方からの語学訓練の要望に対し、本学ではカリキュラム的には全く対応しておらず、自主的に数カ月間昼休み時間に英語教員に指導を受けさせています。英語力、語学力のなさを残念に思っています。
これから管理栄養士の国際的ニーズが必ずやってきます。
大学のカリキュラム、大学院のカリキュラムで専門英語教育をしなければいけないと思ってます。特にスポーツ栄養関係では必要になってくると思われます。選手をバックアップする英語のしゃべれない管理栄養士が、果たしてスポーツ等の国際大会で他国の管理栄養士とわたり合えるのでしょうか?Completely Noでしょう。さらに日本の医療技術の進んでいることと、それに伴う日本の管理栄養士の技術の深さがこれからの日本の売り物にもなるのではないでしょうか?やはり国際化が必要です。
そんなこんなから早々に厚生労働省なども英語教育を熟慮し、管理栄養士カリキュラムの中に専門英語教育のカリキュラムを入れることに取り組んでいただきたいものです。
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