2013年7月 2日 18:37 (
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セリアック病患者用のグルテンフリーパンの開発研究進展
小麦粉グルテンの引き起こすセリアック病は、ヨーロッパ、アメリカの1-10% ほどの人々が被る恐ろしい病気です。この病気は、グルテン、あるいは小麦以外の麦類のもつタンパク質のある種のアミノ酸配列(例えばQQPGQG,QQPGQG, QQPGQG, QQPGQG等)が原因とし、人間の小腸の柔毛が欠如して引き起こされる病気です。柔毛が無ければ食物から栄養成分を獲得できず、死に至る怖い病気です。
ビールなど、大麦の関与するアルコール飲料なども飲むことはできません。グルテンタンパク質はハム、ソーセージなどの加工食品のつなぎ材料にも用いられますが、そこにはグルテン使用の表示がない、とそれを知らない患者たちにとっては大きな恐怖でしょう。
従って、自ら食する各加工食品中にグルテンがどのぐらい混入しているのかをチェックしなければなりません(簡単な試験紙で判定できます)。
日本人も今やパン(小麦)を食べずに生きていけるヒトがどのぐらいいるだろうか、という食生活の時代に入ってきました。日本人はじめ、東洋人(米食中心だった)にとっても、これからグルテンのことは大きな社会問題になる問題です。
これまで当研究室では、小麦グルテンに置き換わる粘りのある食材として、ヤマイモに注目してきました。特にそのうちジネンジョという日本独自の材料、これは独特の粘性多糖類を有し、グルテンとは一切関係ないことに注目してこれまで膨化食品(パン)を製造してきました。しかしそのパン原料(ジネンジョ、デンプン、イースト、砂糖、水)中のデンプンに小麦デンプンを用いてきました。
この小麦粉デンプン粒は表面にフリアビリン等のタンパク質が存在していたり、あるいは微量のグルテンなども付着して混入の恐れがあるであろうと指摘されてきました。
いろいろトラブルがありながらポテトデンプン、甘藷デンプンでパン高, 比容積、ともに 小麦パンに匹敵するほどのものを得ることに成功しました。
さらにヤマイモ以外の小麦粉グルテンを含まない粘性食材を探し、小麦デンプン以外のデンプンをさがし、目的とする膨化食品を作ることに成功しました。粘性食品の好きな日本に存在する一連の膨化食材を片っ端から小麦粉に置き換えてテストし、小麦デンプン以外のデンプンとの組み合わせを考えて、あたらな膨化食品の製造に進んでいます。
4年生のゼミ生、井関さんは大学院入学を希望しており、近く行われる大学院入試に合格してくれれば本研究に本格的に参入してもらう予定です.。以下推薦文。
井関杏子さんは、昨年夏(3回生後期)から食品加工学研究室で卒業研究「ヤマイモ/各種デンプン(ポテト、甘藷、米、トウモロコシデンプン)を用いたセリアック病患者用パンの研究」を進めています。本研究は当食品加工研究室の大きな研究テーマの一つであり、井関さんの仕事に大いに期待しています。セリアック病とは、小麦粉グルテンに基づく遺伝病で、グルテン中の或る特殊なペプチド鎖が原因です。そのため患者の小腸柔毛が消失するという病気で、ヨーロッパ、アメリカ人の1−10%の人がかかり、子供はそのため死に至ります。グルテンという粘性を有する食材に変わり、ヤマイモ、バナナ等の食材を求めて研究を進めてきました。そのうちヤマイモによるグルテンフリーパンの成果は既に論文化してきました。しかしそこに用いられたデンプンには小麦粉デンプンを用いたため、そこからの微量グルテンの混入が危惧されます。井関さんはポテト、甘藷、米、トウモロコシデンプン等の小麦デンプン以外のデンプンを用いて、このヤマイモパンの研究を進めています。目下興味を持ってポテトデンプンにとりくんでいて、よい成果が得られています。その後には他のデンプンを用いてこのヤマイモパン製造をすすめ、さらに新たな粘性食材の検索によりグルテンフリーパンの体系化を進めようと意気込んでいます。彼女は着々と実験をすすめるという熱心さがあります。大学院入学を推薦します。
ビールなど、大麦の関与するアルコール飲料なども飲むことはできません。グルテンタンパク質はハム、ソーセージなどの加工食品のつなぎ材料にも用いられますが、そこにはグルテン使用の表示がない、とそれを知らない患者たちにとっては大きな恐怖でしょう。
従って、自ら食する各加工食品中にグルテンがどのぐらい混入しているのかをチェックしなければなりません(簡単な試験紙で判定できます)。
日本人も今やパン(小麦)を食べずに生きていけるヒトがどのぐらいいるだろうか、という食生活の時代に入ってきました。日本人はじめ、東洋人(米食中心だった)にとっても、これからグルテンのことは大きな社会問題になる問題です。
これまで当研究室では、小麦グルテンに置き換わる粘りのある食材として、ヤマイモに注目してきました。特にそのうちジネンジョという日本独自の材料、これは独特の粘性多糖類を有し、グルテンとは一切関係ないことに注目してこれまで膨化食品(パン)を製造してきました。しかしそのパン原料(ジネンジョ、デンプン、イースト、砂糖、水)中のデンプンに小麦デンプンを用いてきました。
この小麦粉デンプン粒は表面にフリアビリン等のタンパク質が存在していたり、あるいは微量のグルテンなども付着して混入の恐れがあるであろうと指摘されてきました。
いろいろトラブルがありながらポテトデンプン、甘藷デンプンでパン高, 比容積、ともに 小麦パンに匹敵するほどのものを得ることに成功しました。
さらにヤマイモ以外の小麦粉グルテンを含まない粘性食材を探し、小麦デンプン以外のデンプンをさがし、目的とする膨化食品を作ることに成功しました。粘性食品の好きな日本に存在する一連の膨化食材を片っ端から小麦粉に置き換えてテストし、小麦デンプン以外のデンプンとの組み合わせを考えて、あたらな膨化食品の製造に進んでいます。
4年生のゼミ生、井関さんは大学院入学を希望しており、近く行われる大学院入試に合格してくれれば本研究に本格的に参入してもらう予定です.。以下推薦文。
井関杏子さんは、昨年夏(3回生後期)から食品加工学研究室で卒業研究「ヤマイモ/各種デンプン(ポテト、甘藷、米、トウモロコシデンプン)を用いたセリアック病患者用パンの研究」を進めています。本研究は当食品加工研究室の大きな研究テーマの一つであり、井関さんの仕事に大いに期待しています。セリアック病とは、小麦粉グルテンに基づく遺伝病で、グルテン中の或る特殊なペプチド鎖が原因です。そのため患者の小腸柔毛が消失するという病気で、ヨーロッパ、アメリカ人の1−10%の人がかかり、子供はそのため死に至ります。グルテンという粘性を有する食材に変わり、ヤマイモ、バナナ等の食材を求めて研究を進めてきました。そのうちヤマイモによるグルテンフリーパンの成果は既に論文化してきました。しかしそこに用いられたデンプンには小麦粉デンプンを用いたため、そこからの微量グルテンの混入が危惧されます。井関さんはポテト、甘藷、米、トウモロコシデンプン等の小麦デンプン以外のデンプンを用いて、このヤマイモパンの研究を進めています。目下興味を持ってポテトデンプンにとりくんでいて、よい成果が得られています。その後には他のデンプンを用いてこのヤマイモパン製造をすすめ、さらに新たな粘性食材の検索によりグルテンフリーパンの体系化を進めようと意気込んでいます。彼女は着々と実験をすすめるという熱心さがあります。大学院入学を推薦します。
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