2013年11月 1日 10:46 (
メインページ
)
パンのおいしさ
第二次世界大戦後、給食(ランチタイム)に採用されたアメリカからの援助小麦粉によるパン食は、大人になってもご飯ではなく、パンが大好きという日本の食生活に定着してしまいました。
戦後、テレビのなかったころ、貧しかった日本人の若い人の娯楽は、何と言ってもアメリカ映画、フランス映画だったでしょう。その中ででてくる彼、彼女らの豊かな食事風景は、当時の日本人、特に若い人たちのあこがれの的であったはずです。映画を見て、自宅に帰って食べるものは、ご飯、つけもの、魚の干物、みそ汁等の貧弱な日本食であったはずです。日本に経済力がついてくると、懐具合は良くなってきて、肉食、牛乳、卵、チーズ、バターの西洋食が可能になってきました。西洋食にはご飯はなじまず、パン食でしょう。大人も子供もパン、パンということになります。ご存知模の様にこうして食の自給率は70%ほどあったものが、今や40%へと落ちこんでしまい、パンに毎日の支払う日本人の食費は米への食費を凌駕してしまったということがニュースで報じられています。
最近では、小麦粉の重要成分、グルテンのアミノ酸配列によるセリアック病が問題になって
います。これから小麦粉の占める食環境が大きくなってきたときに、日本人もさけて通れな
い大きな問題が控えています。そのアミノ酸配列とは、例えばQQPGQG,QQPGQG, QQPGQG,
QQPGQG等です。この病気はヒトの小腸表面の柔毛がとれてしまうのです。絨毛から栄養分を
吸収するのだから、これが無いと成長できません。遺伝的な問題です。アメリカ、EUでは
この患者が人口の1%以上もいます。
パンがなぜおいしいのか、本誌の大きなテーマです。やはりパンはそのふくらみでパンのおいしさを評価しています。AACCI(American Association of Cereal Chemists, International) などではパン高、比容積(specific volume)と称してパンの背の大きさや膨らみでパンの出来不出来の評価をしています。
空気のいっぱい入ったパンは、ネチャとして、膨らみの悪い、レンガのような、例えばサワードウパンよりもおいしいし、みんなが大好きなパンです。研究的にも如何にしてパンを膨らませようか、いかにしてパンをおいしく食べようかと考えてます。パンのおいしさは甘さ、かおり、弾力性等いろいろな項目があるだろうが、なんと言ってもふくらみです。膨らみはパンのおいしさのすべてを代弁していると一般に考えられています。よく膨らめば、いいかおり、いい弾力性です。いい甘さもでてくるかもしれません。
パンの歴史は6千年などと言われますが、まずはじめは平焼きと称して、熱い石の上に粘土状のものを貼付けて焼いてました。しかし古代エジプトのころになると、ズーメイと称したどろどろの発酵液をドウ(パンを焼く前の小麦粉に水等入れて捏ねたもの)に入れてやく膨張パンとなり、おいしくなったはずです。
平焼きでは熱の通りが悪く、うすいものだったと思います。このパンは外側からの熱の通りは、伝導熱だけですが、ズーメイ入りの膨張したパンではそこに気化熱が加わり、水蒸気により内部の冷たいところに熱が伝わってゆくシステムです。膨張したドウの空間(気室)の中で起こります。これだと粘土状のドウの伝導熱だけの平焼きよりもスピードも速く内部まで焼けて、おいしくなったはずです。古代のヒトはすでに現在と同じおいしいパンを食べていたはずです。聖書にはパンのことを"ひとの作った果物"という言い方があるぐらいですから。
しかし、どうしても膨らまないのが冷凍ドウです。パン職人にとってパン製造はドウのねかしだとか発酵だとかで大変に時間がかるものです。こんな仕事は今の若い人には耐えられません。
これを何とかならぬかと言うことでアメリカで発明されたのが冷凍ドウです。あるところまでやってフリーズして仕事をストップしてしまうのです。必要になって冷凍ドウを取り出し、パンを焼くのです。こうして長時間働いてパンを焼くことから逃げたのです。
しかしこの冷凍したドウを解凍すると、どうしてもパンのふくらみが低下するのです。凍らせるとドウ中の水が氷結晶となり、水は必要なところにあった位置から移動してしまい、元々必要な水はそこにはなく、ドウは本来の膨張をしなくなります。
こんなパンはパンではないと毛嫌いされました。そこでパンの中に野菜とか肉とかの詰め物を入れ、パンの膨らみの欠点を隠しました。
しかしパン製造者のご苦労でかなり冷凍ドウによるパンの劣化をカバーできるようになりました。大きくは冷凍ドウパンにならされ、それが普通のものだと勘違いさせられたのは消費者でしょう。
戦後、テレビのなかったころ、貧しかった日本人の若い人の娯楽は、何と言ってもアメリカ映画、フランス映画だったでしょう。その中ででてくる彼、彼女らの豊かな食事風景は、当時の日本人、特に若い人たちのあこがれの的であったはずです。映画を見て、自宅に帰って食べるものは、ご飯、つけもの、魚の干物、みそ汁等の貧弱な日本食であったはずです。日本に経済力がついてくると、懐具合は良くなってきて、肉食、牛乳、卵、チーズ、バターの西洋食が可能になってきました。西洋食にはご飯はなじまず、パン食でしょう。大人も子供もパン、パンということになります。ご存知模の様にこうして食の自給率は70%ほどあったものが、今や40%へと落ちこんでしまい、パンに毎日の支払う日本人の食費は米への食費を凌駕してしまったということがニュースで報じられています。
最近では、小麦粉の重要成分、グルテンのアミノ酸配列によるセリアック病が問題になって
います。これから小麦粉の占める食環境が大きくなってきたときに、日本人もさけて通れな
い大きな問題が控えています。そのアミノ酸配列とは、例えばQQPGQG,QQPGQG, QQPGQG,
QQPGQG等です。この病気はヒトの小腸表面の柔毛がとれてしまうのです。絨毛から栄養分を
吸収するのだから、これが無いと成長できません。遺伝的な問題です。アメリカ、EUでは
この患者が人口の1%以上もいます。
パンがなぜおいしいのか、本誌の大きなテーマです。やはりパンはそのふくらみでパンのおいしさを評価しています。AACCI(American Association of Cereal Chemists, International) などではパン高、比容積(specific volume)と称してパンの背の大きさや膨らみでパンの出来不出来の評価をしています。
空気のいっぱい入ったパンは、ネチャとして、膨らみの悪い、レンガのような、例えばサワードウパンよりもおいしいし、みんなが大好きなパンです。研究的にも如何にしてパンを膨らませようか、いかにしてパンをおいしく食べようかと考えてます。パンのおいしさは甘さ、かおり、弾力性等いろいろな項目があるだろうが、なんと言ってもふくらみです。膨らみはパンのおいしさのすべてを代弁していると一般に考えられています。よく膨らめば、いいかおり、いい弾力性です。いい甘さもでてくるかもしれません。
パンの歴史は6千年などと言われますが、まずはじめは平焼きと称して、熱い石の上に粘土状のものを貼付けて焼いてました。しかし古代エジプトのころになると、ズーメイと称したどろどろの発酵液をドウ(パンを焼く前の小麦粉に水等入れて捏ねたもの)に入れてやく膨張パンとなり、おいしくなったはずです。
平焼きでは熱の通りが悪く、うすいものだったと思います。このパンは外側からの熱の通りは、伝導熱だけですが、ズーメイ入りの膨張したパンではそこに気化熱が加わり、水蒸気により内部の冷たいところに熱が伝わってゆくシステムです。膨張したドウの空間(気室)の中で起こります。これだと粘土状のドウの伝導熱だけの平焼きよりもスピードも速く内部まで焼けて、おいしくなったはずです。古代のヒトはすでに現在と同じおいしいパンを食べていたはずです。聖書にはパンのことを"ひとの作った果物"という言い方があるぐらいですから。
しかし、どうしても膨らまないのが冷凍ドウです。パン職人にとってパン製造はドウのねかしだとか発酵だとかで大変に時間がかるものです。こんな仕事は今の若い人には耐えられません。
これを何とかならぬかと言うことでアメリカで発明されたのが冷凍ドウです。あるところまでやってフリーズして仕事をストップしてしまうのです。必要になって冷凍ドウを取り出し、パンを焼くのです。こうして長時間働いてパンを焼くことから逃げたのです。
しかしこの冷凍したドウを解凍すると、どうしてもパンのふくらみが低下するのです。凍らせるとドウ中の水が氷結晶となり、水は必要なところにあった位置から移動してしまい、元々必要な水はそこにはなく、ドウは本来の膨張をしなくなります。
こんなパンはパンではないと毛嫌いされました。そこでパンの中に野菜とか肉とかの詰め物を入れ、パンの膨らみの欠点を隠しました。
しかしパン製造者のご苦労でかなり冷凍ドウによるパンの劣化をカバーできるようになりました。大きくは冷凍ドウパンにならされ、それが普通のものだと勘違いさせられたのは消費者でしょう。
メインページ