米国におけるグルテンフリー食品マーケットの最近
Jeff CasperとBill Atwellが書いた"Gluten-Free Baked Products"(AACC INTERNATIONAL PRESS)を読むと、最近の米国のグルテンフリー食品のマーケットのことがよくわかるのでここに報告します。
グルテンの関連の病気には、1、セリアック病、2、グルテン不耐性 3、グルテンアレルギーの3種がありますがこれに関することは前回お話しした通リで、欧米では1-10%ほどの人がこのグルテンに苦しんでいます。その数は近年少しずつふえているといいます。1つの原因は今まで診断方法がはっきりしなかったものが、診断方法の進歩によってはっきりしてきたことや、これまで苦しんでいた人で、きちんとした診断を受けてなかった人が受けるようになったことなどです。朝鮮戦争で出兵したアメリカ兵の血液(保存していたのでしょう)中のセリアック病の抗体を調べたら、現在のアメリカ人より低かったといいます。わが日本ではセッリアック病はどうでしょうか?信州大学の調査など、やはり日本にも1%近くの人がいるようです。信州大学からの報告によると、700名余の日本人調査の結果、約1%の人がセリアック病に疑われるといいます。これはアジア地区の人の結果を調べた初めてのデーターとのことです。日本人は米食のため安心といわれ、あるいはプロリン、グルタミンを含むペプチドが、組織トランスグルタミナーゼで構造が変えられてそれを受け止めて問題を起こすHRA -DQ2 あるいは-DQ8 のない人種と言われ、安心だと言われてますが、メカニズムのはっきりしていない病気である以上安心できません。
アメリカではこれらの人を対照に盛んに商品がつくられて新しいマーケットが展開しています。よく見てみるとそのマーケットはグルテンで悩んでいる人のためのものと、それ以外の人、すなわち病気でも何でもない人がグルテンフリー食品を購入している人のためのもののようです。つまり病気で医者からグルテンを食べない様に言われている人以外にも.グルテンフリー食品を食べているようです。理由は、まあ何となくでしょう。
先ほどの3つの病気以外にもグルテンが関連しているのではないかと言われている病気、例えば自閉症、多発性硬化症などの人もはっきりした医学的根拠もないのですがグルテンフリー食品を食べているようです。
目下の所、グルテンに関連の病気に対する治療法はグルテンフリー食事しかないのが現状です。
アメリカの家庭で誰かがその病気の時、その家には台所が2つ必要だといいます。グルテンのない物を作る台所と、普通の台所でしょう。二重の生活になります。グルテンフリー食品は味がまずい、見てくれが良くない、香りもちがう、値段も高いなどいろいろ欠点があり、普通の人は買わないような欠点だらけのものでしたが、これに対しグルテンフリー製品をつくる業者は、改良して安価で、おいしく、グルテン入りの食物と同じようなものを作ろうとしています。それは1家族が全て同じ物を食べられるようにするということです。グルテンで困っている人に対してすばらしいグルテンフリー食品ができれば、ビジネスは成立し、大きくなるだろうと言っています。
ベーカリー食品の中でもグルテンの機能を最も必要とするパンなどは、技術的にその製造が難しかったのでしょう、当初2006年にはあまりいいものができてなかったのか、パン部門は6位でした。しかしいろいろ改良していい物ができはじめたのでしょう、2010年にはこの中で2位のビジネスにまで成長しています。栄養的にも満足のゆくものがこれから求められて行くでしょう。アジア地区でも同じ事がこれから起こってくると思われます。関心の深いところです。
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