2017年10月12日 11:32 (
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グルテンフリー食品、その材料について (1)
現在欧米でグルテンフリー食品の材料に何が使われているか以下紹介する。何と言ってもグルテンを置き換えるために、以下のようなポイントがある。グルテンの機能は、ドウやバッターのガス保持、水分結合、構造、乳化、口腔内のチューイング性である。1つかそれ以上の粉で同じグルテン機能を得るものとして、ある成分と酵素類の合わせ、アマランスやソバのような粉、ハイドロコロイド、グルテンフリータンパク質を用いる。
グルテンフリー食品全体のために、グルテンフリー粉、デンプン、ハイドロコロイド、タンパク質等による合成粉をつくり、小麦粉とそっくりのものを作りたい。さらに栄養的改善もすすめたい。以下その材料をながめてみる。
グルテンフリー穀物とその種子
穀物、擬似穀物、マメ、ナッツ、オイルシードは全て種子である。種子成分はいろいろであり、色調、フレーバーを持ち、小麦ベースのベーカリー食品と比べて違いは大きい。グルテンフリー食品成分のどれ一つとっても、小麦と同じようなテクスチャー、機能性を持つものはない。多くのグルテンフリー穀物、擬似穀物、種子等は、グルテンと類似の機能をもたないが、エネルギー源と健康維持には必要である。
全体粉末、抽出デンプン
グルテンフリー穀物、擬似穀物、オイルシード、イモ類は、粉にするか、あるいはそこからデンプン分離を行なう。デンプンは殆どフレーバーもなく、色も白あるいは僅かに黄色である。デンプン添加で栄養濃度を薄め、繊維量を減らし、健康にむすびつけるグルテンフリー食品には悪い印象を与える。グルテンフリー食品には、米デンプン、コーンデンプン、タピオカデンプン、ポテトデンプンが用いられる。デンプンにはパンクラム構造のセットの役割がある。ガス保持のため適当な糊化、ペースト化が必要である。加工デンプンもまた、グルテンフリー食品に用いられるが、ここでは糊化前の水和による粘り増加を目的とする。
マルトデキストリン
マルトデキストリンはデンプンを加水分解したものある。市販のマルトデキストリンはデキストロース当量(DE)に基づいて販売されており、18-22のDE値範囲内で、グルテンフリーパンにうまく用いられており、ベーキング容積を増加させ、さらにデンプンの老化をおそくさせでシェルフライフを改良した。低DE値を持つマルトデキストリンは容積を高める効果を持つが、それはクラム品質を低下させる。マルトデキストリンによるパン容積を高める効果は、ドウ中のマルトデキストリンによる水結合力の結果と考えられ、さらにパン中のデンプンの膨化とパンのセットする温度が上昇するためと考えられている。
コーン(トウモロコシ)
コーンはアメリカ起源の植物であり、アメリカに小麦がくる前に、コーン、トリテイラ、あるいはコーンポリジの用なグルテンフリー食品が土着の人々により食べられていた。現在はコーンは世界中の人々によって用いられている。幾つかのタイプのコーン(デントコーン、フリントコーン、フラワーコーン)が存在している。全粒コーンは、グルテンフリー消費者に対し重要な栄養素を与える。高ビタミンA含量、抗酸化剤、カロチノイド(例えばルテイン、ゼアキサンチン)である。コーンは"ニクスタマライズ"したものが一般的である。"ニクスタマライズ"とは、コーンをアルカリ溶液中に浸け、粒中のナイアシンを増加させることで粒中で増えるカビ毒、マイコトキシン除去にも有効である。 "ニクスタマル"を粉にしたものを"マサ"と呼ぶ。" "マサ"の栄養プロフィールは全粒コーンのものと類似している。 コーンは黄色の色合いでそのまま用いられるが、もし黄色が望ましくないなら白色のコーンを用いる事もできる。コーンデンプンは、より細かなテクスチュアのベーキング食品で、しかも白色の組織を与える。ワキシコーンデンプンは、低糊化温度を与え、柔らかいゲルテクスチュアを与えるが、一方、高アミロースコーンはグルテンフリーベーカリー食品により堅いクラムを与える。コーンデンプンは、又加工して特異的な機能も与える。コーンのタンパク質、ツエインは、コーングルテンとしても知られている。小麦グルテンと類似の粘弾性機能を示す。加工して修飾したツエインは、そのベーキング機能を強く示した。コーンツエインの表面の脂質を除去するとツエインドウの粘弾性を増加させることができたと報告がある。
アワ
アワは、一般に乾燥した暖かい条件下で成長し、はじめにインド、アフリカ、中国で見出された。粒は堅い皮で包まれ、食品に使われる前に除去されねばならない。全てのアワは高レベルのフェノール成分をもっていて、抗酸化性活性を示す。アワは又、ミネラルが多く、葉酸、チアミン、ナイアシン、リボフラビン、パントテン酸、ピリドキシン(ビタミンB6)を含んでいる。アワで興味深いのは、その栄養価とアグルノミック的意味である。さらに低水分要求性と成長時期が短いことである。アワは、グルテンフリーへの応用に全粒粉として用いられる事があり、しかしブレンドにそのままの種子が用いられる。粉は、軽くクリーミーで黄色く、味がないが、ベーキングしたものやパスタに少々ナッツ的で甘いフレーバーを与える。機能的には、アワ粉は比較的低水分であるが、アマランス、キノアに比べ、ベーカリー食品を作るときはより高タンパク質のため高吸水性を与える。
オート麦
オート麦は寒冷地作物であり、温暖地作物の生育困難な地域で育つ。米国、ミネソタ、ノースダコタの北部州が主要地域である。カナダも食料、飼料用オート麦の主要生産地である。高脂質含量はほぼ小麦の3倍である。オート麦がセリアック病気に安全かどうかという問題は、数十年間議論されてきた。オート麦中の貯蔵タンパク質はaveninとして知られているが、いつも食べてる適当量のオート麦なら、セリアック病患者(大人)には安全であると言っている。オート麦は、セリアック病患者に多くの重要な栄養素を与えてくれ、特に可溶性繊維β--D-グルカンである。オート麦には、幾つかの健康上の利益があり、その中にはコレステロール低下作用がある。他のどんな穀物よりも多くの可溶性繊維が含まれており、それがセリアック病の消費者にとり、非常に大きな重大事である。あるスカンジナビア人研究者は、グルテンフリーのオート麦添加でセリアック病患者に必要な毎日の繊維量摂取を成就させることができた。それは小麦、ライ麦、大麦を食べれない人に取って大変なチャンスである。マグネシウム、亜鉛、カルシウムはオート麦中の金属類で、セリアック病患者にとり重要な金属類である。オート麦にはポリフェノール類の1つavenanthramidesがあり、これには抗酸化性効果、抗炎症活性がある。
オート麦は僅かに甘味があり、あたりさわりないフレーバーと香りのため、グルテンフリー仕込みに非常に使いやすい。それらもいつも全粒を使い、オート麦ブラン(ふすま)は市販の口当たりのよい繊維として有用なものとしているが、ロールにしたオート麦は、ベーカリー食品のテクスチュアを良くするのに用いる。オート麦粉は、グルテンフリーベーカリー食品に用いられるが、しかし機械加工する時には高レベルの加水がドウに必要とされ、加工ベーキング上問題となっている。
米
多くのタイプの米は、グルテンフリーベーキングに適し、粉にして用いられる。米は粒の大きさの違いで、調理後のテクスチュアに違いがでて分類される。粒のサイズ、"短粒"、"中粒"、"長粒"の米があり、料理後の"ねばり"、"ガム性"に違いがある。"ガム性"の米という言葉には、何かこの米はグルテンを含んでいるように消費者に聞こえる。"ガム性"は、米粒の粘りを述べるのに用いられる。側鎖デンプン(アミロペクチン)の高含量の場合は"ガム性"の米で、米粒同士の結合性を引き起こす。このデンプンタイプは又、グルテンフリのベーカリー食品のクラム品質を修正できる。長粒米は典型的な高アミロースで、直鎖状デンプン含量の高いものである。この性質は糊化を遅らせ、グルテンフリーベーカリー食品中、老化を遅らせる。
収穫し、繊維状の皮を除去後、全茶色米(玄米)がのこる。さらに搗精し、ふすまと胚芽を除き、磨かれた白米を得る。ふすま、胚芽からの栄養成分がないとすれば、白米からのものは茶色米(玄米)からのものよりグルテンフリー食品に重要な栄養分は低レベルである。
米粉は、荒い粒子、中くらいの粒子、細かな粒子、さらに細かな粒子にして利用される。細かな粒子、さらに細かな粒子は、例えばざらつきのテクスチュアを防ぐために低加水のクッキーに用いられる。中ぐらいの粒子はほとんどでのベーキング製品に用いられ、例えばパン、バッターベースの食品で使われる。米タンパク質を集めたもの、あるいはそれを分けたものはグルテンフリーの仕込みに用いられるが、それは低コストで比較的アミノ酸組成が完全であるため、しかも抗アレルギーの性質であるためである。米ふすまもグルテンフリー仕込みに用いられるが、他の穀類同様に、安定化したふすまは天然の酵素により脂質酸化で出る悪臭を押さえるのに好ましい。官能テストから、新鮮な茶色米粉は僅かにナッツの風味と甘味がある。白米粉は淡白でこれと言ったくせはない。
もろこし
もろこしは、グルテンフリー穀物であり、栽培に興味深いのは他のグルテンフリー食材に比べ比較的低コストで不毛条件下でもよく育つ点である。もろこし属の種子は、キビ、アマランス、キノア、テフの種子より大きく丸い。
もろこしは、B-Vitamins,金属、抗酸化能と言った点で幾つかの栄養的価値を与えるが、キノア,オートのような栄養的長所はない。もろこしの栄養成分はコーンに似ているが、コーンよりはタンパク質の消化性の悪いことが報告されている。さらにコーンによく似ている脂質部分では、80%以上の脂肪酸が不飽和脂肪酸である。もろこしは約70-80%がデンプンであり、エネルギー源として重要である。栄養的見地から、米、トウモロコシのような可能性があり、全ての繊維、微量栄養素、ポリフェノールを食べられる最も都合良いものである。もろこしの栄養的長所にも関わらず、ふすま層は研磨精製工程で典型的に除去される。デンプン区分はひいて粉にして製品中に混ぜ込み、最終食品をきれいにし、色を明るくする。もろこし粉は風味が少々甘く、ナッツのようなフレーバーがあり、ブレンドしたとき、グルテンフリー全粒粉によく合致し、きれいなデンプンともよく合致する。全粒粉の色の点で、あるやり方でもろこし利用には限界があり、それは灰色の最終食品の色である。
テフ
テフは、1年生植物でその非常に小さい粒がグルテンフリーで、エチオピア高原が原産と言われている。テフはエチオピアやエリトリア地方の最も重要な穀物の一つで、インゲラ(パン)やおかゆとして主食として食べる。粒が小さいため早く調理でき、不毛地の調理燃料の節約ができる。セリアック病患者は、食事にしばしばビタミン類、金属、繊維の欠乏をきたすが、テフの消費は大きな価値を与える。テフ粉のタンパク質含量は13%以下と報告されているが、これはコーン、もろこし、ある種の小麦よりも高い。テフにはカルシウム、鉄、マグネシウム、リン酸、亜鉛という金属が多く、健康に重要である。テフの変わった所は、ビタミンCの含まれていることでこれは他の穀物にはない。テフの脂質中の脂肪酸の半分以上は高度不飽和脂肪酸で、酸化による異臭発生になりやすい。
テフ粉は褐色で、ベーキング時に高レベル入れると濃い茶色となる。全種子そのままでホットセレアルやベーキングに用いられる時、もし全粒がそのまま見えるようなインパクトが欲しい時、小さいサイズは考えねばならない。テフ粉はナッツのようにさくさくし、黒砂糖の様な感じを食品に与える。エチオピアサワードウ、フラットパン(インジェラ)はテフ粉を発酵させた手作り伝統料理で、100%テフベースのインジェラは伝統的なグルテンフリー食品である。これはテフの色、フレーバーを示す好例である。グルテンフリー材料としてテフへの関心が高まっている,伝統的な東アフリカ食品の消費が増えている。さらに牧草としてテフに関心の高まっており、穀物生産を促進するのにも役立つかも知れない。
擬似穀物としてアマランス、ソバ、キノア
擬似穀物は穀物であるが、非草植物の種子である。最も一般的な擬似穀物は、キノア、ソバ、アマランスである。これらの種子は、粉に挽かれグルテンフリーベーカリー、スナック、パスタ用穀物類に用いられる。
アマランス
アマランスは、1年生の広葉植物(broad-leaf plant)で、小さな種子で、アメリカ原産、メキシコ、中央アメリカにつづいて,インド、中国でも育つ。アマランスは乾燥条件でもよく育つが、種子が発芽するのに水分を必要とする。
この擬似穀物は小麦に比べ、高タンパク質で繊維、脂質の高いのが目立つ。アマランスのタンパク質含量は、普通14%以上と報告され、グルテンフリー食品に用いられる最も高タンパク質の粉の1つである。さらにアマランスのタンパク質品質は非常に良い。アマランスには又、セリアック食事に必要な幾つかの金属、鉄、カルシウムがある。
アマランス粉はクリーミーな黄色がかった色で,ナッツの香りがある。繊維とタンパク質のコンビネーションによる高水和能のため、食品はじめからの湿気増加を示し、シェルフライフの改良を示す。アマランスは、市販のグルテンフリーベーカリー食品に使われている。その粉はパン、パンケーキ、セレアル、麺、クッキー、パン用ミックス粉、クラッカーに用いられる。アマランスは又、フレークに加工され、グラノラ、ホットセレアルに使われる。
ソバ
ソバは、グルテンフリー擬似穀物としてほとんどの人に親しみ深いものであり、それは灰色の色と三角形あるいはピラミッド状の形状をしているためである。脱穀されたソバは、特に"ひきわり、グロート"されたものと言う。グロートは普通、粉とされ、新鮮なうちは多少ナッツの香りがあるが、焼くと少々苦い匂いが出る。高不飽和脂質含量のため、ソバは酸化により異臭になりがちである。ソバ他成分として粘質成分含量があり、これは可溶性繊維のためで、バッターに粘度を与え、水結合性をグルテンフリーベーキング食品、パスタ類似物に与える。栄養的には、ソバは高レベルの金属を与え、小麦と比較しても平均以上の上等な品質のタンパク質を与える。テフのようにソバ粉は、幾つかの仕込みで限界の茶色を示し、最終食品の見てくれの効果はその色にかかっている。
キノア
キノアは、この5年の間、人気があがり、それはその栄養価プロフィールと不良土壌の過酷な条件下でも成長するためであり、消費量増加によりコストは3倍に増加した。キノアは、グルテンフリー消費者にとって栄養的に高品質タンパク質と高金属含量のため、重要な食材である。キノアのタンパク質含量は約13.5%で、製パン用の市販小麦粉より高い。キノアの並外れた栄養価プロフィールと、一部、異常に大きな胚芽で、種子の60%に相当することが知られる。小麦の胚芽は種子の約3%でる。キノアは高レベルのサポニンを種子の皮に含み、これは抗栄養因子として働く。このため、北アメリカで用いられているほとんどすべての市販キノアはサポニン除去されている。
他は次に述べる。
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