グルテンの検知−1
紹介
セリアック病は、最も良く起こる永遠の食物不耐性のもので、小麦、ライ麦、大麦、可能性あるオート麦中の貯蔵タンパク質(グルテン)の摂取で引き起こされる病気である。最近のセリアック病の不可欠な療法は、グルテンフリー食事との強い結びつきであり、それは毎日の食品からグルテンの永遠の排除を意味する。小腸の炎症は粘膜の損傷と栄養素の一般的吸収不良に関してそれを抑えるのが治療の目的である。グルテンの全食事からの摂取がセリアック病をもつ患者にとって、20mg以上であってはいけない。セリアック病患者に加えて、他の多くの人々でグルテンタンパク質に対してIgE-仲介アレルギー反応のため耐えられない人々;彼らもまたグルテン含量食品をさけねばならない。
グルテン感受性の人々は、2つの異なったカテゴリーからグルテンフリー食品を食べる。
はじめに、かれらは肉、魚、ミルク、果物、野菜のような一般的食品の範囲のものを消費する。加工食品の場合、しかしながらそれらがグルテンフリーなのかそうでないのか認める事は困難である。大きな助けになるのは、グルテンは食品のリスト中に含まれる過敏症を引き起こす成分と入っていることと、常に加工食品のラベル(Codex Standard for the Labelling of Prepacked Foods, 2001zzz)にはっきり記入することになっていることである。にもかかわらず、グルテンー感受性のヒトは、非常に多くの食品に注意せねばならず,そこには隠れたグルテン源、例えば濃いソース,スープ、プッデング,あるいはソーセージのようなものがある。次に、患者は"Codex Stndard for Gluten-free Foods"によるグルテンフリーであるダイエット食品を消費する。このスタンダードは1981に作られ1983に修正され、しかしながらグルテンの測定法はなかった(Codex Sten 118-1981,
修正1983)。唯一の方法のポイントは窒素含量であり、それはグルテンフリー食品の調製に用いる穀物デンプンの分析に制限された;窒素含量は乾物含量として0.05%以下でねばならない。実際にはケルダール方法で、あるいはもっと最近ではDuma Combusion法が窒素含量の定量に用いられる。
グルテンの検査、定量測定の信頼おける方法は、グルテン感受性の消費者、食品産業、食品取り締まりにとり必要である。そこで、しかしながら、唯一の分析法の一般的アウトラインはDraft Revised Codex Standardによって与えられ、即ちプロラミンは60%エタノールで食品から抽出され、免疫学的方法で定量される。現在までそれは詳細にこの方法をデザインすることができず、存在する方法は感受性、選択性、再生可能性の精度、再現性、グルテン/プロラミンレフェレンスの可能性の点で最小の要求性に答える事はなく、そしてそれらが重層試験(ring test)ではない事、市販の試験キットが利用できないことがある。
さらに、パンのような加熱したもので問題が生じ、さらに一部分加水分解したモルツ加工食品やビールなどで問題が生じる。多くの研究が過去25年間、正確なグルテン検査、定量の解決にあたってきた。このチャプターでは、異なった技術、プロラミンあるいはグルテンの食品中における定量の進歩をまとめ、特にセリアック病をもつ患者の食事の為に作られたものについて行なった。分類分けしてタンパク質の沈殿抽出方法、参考タンパク質、免疫,非免疫化学法についても述べた。
グルテンタンパク質の化学
多くの成分からなる穀物の貯蔵タンパク質は、穀粒の胚乳中に殆どたまっている。その唯一の生化学的な機能は、発芽の際の窒素とアミノ酸を有する実生植物を与えるものである。
この機能により、唯一のアミノ酸組成(高含量のグルタミン、プロリン)とさらに配列(何度も繰り返しがある)をもつ。伝統的に、穀物貯蔵タンパク質は、2つの区分に分けられ、それはアルコールー水溶媒における可溶性にもとずくものである;可溶のプロラミンと不溶のグルテリン(Osborne1907)である。プロラミン区分は単一の及び数種のタンパク質を含み、グルテリン区分は多くのタンパク質を含む。セリアックー毒性穀物の貯蔵タンパク質は、いろいろな分析技術によって大きく研究されてきた(例えばSDS-PAGE、 DEAE、 SE-HPLC、 RP-HPLC、キャピラリー電気泳動)、及び アミノ酸組成の決定、分子量、部分あるいは全アミノ酸組成(Wrigleyらのレビュー2004)。結果は、小麦、ライ麦、大麦、オート麦は一部均一な貯蔵タンパク質を有し、それはこれらの穀物の植物的関係を非常にうまく反映している。一般の構造により、それらは3つのグループに分けられる;(1)高分子量(HMW)グループ(2)中間分子量(MMW)グループ(3)低分子量(LMW)グループであり、後者の主要グループは4つすべての穀物に存在する(Shewry と Tatham, 1990;
Wieser, 1994)。構造データーの表示は各グループ、各タイプ表3,1に示された。
HMWグループは、HMWグルテニンサブユニット(HMW-GS)(小麦)、HMWセカリン(ライ麦)とD-ホールデン(大麦)、HMW-GSと HMWセカリンはx-とy-タイプにさらに分離される。これらのタンパク質の分子量は約70-90KDaである。アミノ酸組成は高グルタミン、グリシン、プロラミンで特徴づけられて全残基の約70%である。それらは、3つの構造ドメインをもち、1つの非くりかえし、N-末端のドメインの約100 残基、非繰り返しのC末端ドメインで約40残基からなるもの、そして繰り返しの中心ドメイン
MMWグループは相同性のあるω1,2-グリアジン(小麦)、ω--セカリン(ライ麦)、C-ホールデン(大麦)、ユニークなω5−グリアジン(小麦)からなる。それらの分子量範囲は40-50KDaである。それらは、アミノ酸組成がアンバランスであり、高グルタミン、プロリン、フェニルアラニンの高含量でそれらは全残基の約80% に達する。アミノ酸配列の殆どの域は(Q)QPQQPFPあるいは(Q)QQQFPのような繰り返しユニットからなる。システインが普通欠けているので、MMWグループのタンパク質はモノマーであり完全に水--アルコールで抽出される。
LMW グループのメンバーは、単一のタンパク質に分けられ、そこではα/β-, γ-グリアジン(小麦)、γ--40K-セカリン(ライ麦)、γ--ホールデン(大麦),アベニン(オート麦)、LMWグルテニンサブユニット(LMW-GS)(小麦),γ--75K-セカリン(ライ麦)、β--ホールデン(大麦)を含む会合タンパク質である。それらの分子量は30-40KDaの範囲で、γ--75kDa-セカリン (分子量約50kDa), とアベニン(分子量約22kDa)が例外である。全てのこれらのタンパク質はN末端ドメインはグルタミン、プロリン、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン)が富んでおり、C末端ドメインはよりアミノ酸バランスがとれていて、よりシステイン残基のほとんどがここにある。両ドメインの長さは、タイプからタイプへと異なっている。γ--グリアジン、γ--40K-セカリン、γ--ホールデンは相同性があり、QPQQPFPのような繰り返しが多く、さらにC-末端ドメイン内にSS結合で4個結合している。α/β--グリアジンは小麦のみである;そのN--末端ドメインはQPQPFPPQQPYPのようなくりかえしで特徴的であり、C末端ドメインには3個のSS結合がある。殆どのα/β及びγ--タイプタンパク質はモノマーであり、水アルコールで抽出できる。これらのタンパク質の少数はシステイン残基が奇数で、遺伝子の点突然変異によるためであり、エタノールー可溶オリゴ分子プロラミン区分かあるいはエタノールー不溶性多分子グルテリン区分である。
アベニンは、LMWグループ内の最も小さなタンパク質であり、それは短いN-末端ドメインで唯一3つの繰り返し単位(PFVQQQQ)をもつ。C末端ドメインは、一部α/β--、γ--タイプに相同性があり、一部グルタミンリッチの繰り返し配列、QPQLQQQVFのようなものを有する。LMW-GS, γ-75K-セカリン,β--ホールデンは会合タンパク質であり、少なくとも他のタンパク質と1個のSS結合を形成している。LMW-GSのN-末端ドメインは、QQPPFSのような繰り返しユニットが特徴的であり、C末端ドメインは3個のSS結合の相互結合を含む。N末端中の1個のシステイン残基とC末端中ドメイン中のシステインは相互鎖間に結合する。
γ--75Kセカリンはγー40Kセカリンに相同性があるが、N-末端ドメインがづっと長く、分子内結合するシステイン残基を有している。 β--ホールデンはγ--ホールデンに相同性があり、しかし、両分子間と分子内SS結合を形成する。
毒性試験
生体試験は、一般にセリアック病のタンパク質、ペプチドの毒性検査にとり、"good standard"と考えられている。初期の研究では、食事試験による毒性をきめるのは、油脂あるいはキシロースで下痢あるいは吸収不良のような兆候があらわれることにもとづいて行なっていた。しかしながらグルテンの最大量で患者が疑われているヒトが用いる量は不確かであった。ある場合には、10-100gが各患者に必要であった。さらにこのような多量で、精製されたタンパク質あるいはペプチドで食事テストするとき最も決定的な限界要因であった。直接小腸に入れ、つづいて数時間後に生体組織検査をすると、必要量がグルテンの1g当量にまで減らす事ができた。絨毛の高さの組織学的測定と、陰窩の深さに対する絨毛の高さの比率は、免疫的測定による上皮内リンパ球測定同様、毒性検査の信頼おけるパラメーターであると示された(Fraser et al, 2003, Dewarら2006)。
生体内試験は、比較的大量のモノが必要で、僅かの限られた数の試験患者でやるために一連の試験管内試験が発達した。人間の小腸組織の組織培養は、僅かグルテンのミリグラム当量のみ必要だが、試験管試験での最も信頼おける接近方法と提案されている。酵素活性、あるいは形態学的測定によって、平らになった絨毛組織は医学的にのみ改良を示すが、しかしセリアック病毒素の存在のみではない。もっと最近になって、セリアック病をもつ患者からT-cellライン(細胞系)と細胞クローンがセリアック病の刺激効果の試験に用いられた。例えば、あるT細胞変換アッセイは推定の抗原(約10-200μg/mL)抗原存在細胞、T細胞,トリチウム化したチミジンのインキュベーションで行なわれた(Ellis et al 2003)。
最大2 daysのあとチミジンのT cell中への取り込みがシンチレーション測定で定量的に進んだ。さらにインターフェロンーγ,あるいはインターロイキン4の生産が、セリアック病特異的刺激効果用パラメーターとして決定できた。さらに試験管テストで、胎児ラットあるいはニワトリ腸を用いた組織培養試験をすすめ、白血球移動阻害因子、マクロファージ凝固促進活性、白血球K562細胞の会合が多少の特異的にスクリーニング試験された。
グルテンタンパク質及びペプチドの毒性
Dicke(1950)は、最初に小麦のセリアック毒性を報告した。すぐ後で、ライ麦、大麦は又毒性があり、一方トウモロコシ、米、ソバはそうではないと言った。(Kasarda のレビュー、1994)。今日までオート麦の毒性はまさに物議をかもしている。小麦粉の分画と食事テストのトライアルはグルテンが有毒であるという結論であり、一方デンプン、小麦性アルブミンはそうでない。それ以来、"グルテンフリー食事がセリアック病の慣習的治療となった。
それによるとグルテンはタンパク質で、普通小麦、トリテケール、ライ麦、大麦、オート麦にあり、オート麦については、ヒトによっては不耐性である(Codex stan 118-1981)。つづいての研究がタンパク質の毒性について小麦(Wieserのレビュー1995)についてのみ行なわれた。グルテンは、水エタノールでアルコール可溶プロラミン(gliadins)とアルコール不溶グルテン(glutenin)に分けられた時、毒性試験は、gliadin区分は最も毒性ファクターは大きかった。生体、試験管内試験をさらにすすめ、全てのグリアジンタイプ(α/β-,γ-ω-グリアジン)が毒性効果を示した。小麦グリアジン区分に相当するものとしてプロラミン区分、1個の相同タイプのライ麦タンパク質(セカリン)、大麦(ホールデン)は、重大な試験なしでセリアック毒性と結びつけた。オート麦プロラミン(アベニン)の毒性は今日まで議論の多いものと考えられてきた。小麦グルテニンの毒性は非--毒性、弱い毒性、あるいはグリアジンの毒性と言うようにのべられてきたが、しかし非常に不十分な証拠処理によるためだ。小麦グルテニン、HMW-GS、及びLMW-GSは何れも最近までテストされなかった。生体中、試験管中試験では、HMW-GSはまさにGliadins のようにセリアック病を悪化させる事を示した。(Molberg et al 2003; DEWAR et al 2006)。T cell刺激試験でLMW-GSからのペプチドで試験すると、このタンパク質のタイプもまた,大きくセリアック特異的免疫反応を示めした(Vader et al 2002)。サマリーとして、すべての貯蔵タンパク質(プロラミン+グルテリン)、小麦、ライ麦、大麦、可能ならばオート麦はグルテンタンパク質にCodex Standard 118-1981,及びDraft Revised
Codex Standard中で定義されるグルテンのようである。消化されるグルテンタンパク質から得られたペプチドあるいは合成されたそして精製されたペプチド、両方のパネルは毒性試験を行い、セリアック病のエピトープであるかどうか見つけるため行こなった(レビューはStermら2001, AndersonとWieser2006)。殆どの研究は、小麦グリアジンとグルテンのペプチドに集中した(ある選択的に毒性ペプチドは表3.2にその例として示した)。生体、試験管内研究のサマリーとして、貯蔵タンパク質とのグルタミンー、プロリンーリッチのエピトープは、主なる沈降因子である。プロリン、グルタミン残基の入れ方は、残基以下に活性ペプチドを短くする事もありえてセリアック病活性を阻害する(Sollid,2002)。それほど強く集められた結果はグルテン測定のための方向は小麦、ライ麦、大麦、可能ならオート麦中の貯蔵タンパク質を全てを含むべきであり、さらに試験の特異性はグルタミンー、プロリンーリッチエピトープに焦点があわされるべきだということを強く示す。
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