グルテンフリー食品への酵素の利用について(2) 穀物ベースの機能食品と食品成分生産における酵素利用
デンプンに基づく機能食品成分
デンプンとデンプン修飾酵素
デンプン
穀物の中でデンプンは最も多くある成分であり、最も重要な必要多糖類である。その大部分の成分は、分子のレベルではグルコースポリマーのアミロースとアミロペクチンである。アミロースは本質的には直線分子であリ約500-6000のα--(1,4)−結合--D-グルコースユニットである。アミロペクチンは対照として非常に大きく、高度に分枝化した多糖類でありそれは300万グルコース単位まであり、直線鎖の10-100α-(1,4)--結合D-グルコースユニットからなり、それはα(1,6)-結合で結ばれている。一般にアミロペクチンはクラスターモデルの言葉で定義され、
多モード鎖長分布して、枝は非還元的性質を持つ。クラスターモデル中、短鎖、例えば未分枝外側A鎖と最も枝の短い内側分子鎖(B1)は、二重らせん構造を作り一本のクラスターになり、一方より長い分子鎖(B2-B4)は各々の2−4クラスターに伸びる。
アミロース/アミロペクチン比はデンプンの植物起源によって異なり、典型的レベルは各々アミロース20-30%とアミロペクチン70-80%である。1つかそれ以上デンプン生合性酵素、例えばデンプン合成酵素、分枝、脱分枝酵素の欠損(不足)により、いくつかの変異型ゲノタイプ、例えばとうもろこし、大麦、コメにはいずれもアミロース含量増加(例えば70%までアミロースの高アミロースあるいはアミロペクチン)、あるいはアミロペクチン含量増加(例えば99-100%アミロペクチンのワキシデンプン)、及び他のデンプンパラメーター、例えばアミロペクチン鎖長分布が同様に変化したものである。
デンプンは細胞内に見られ、水不溶性半結晶化粒でいろいろなサイズ、型が違い、それらは植物起源の違いによるものである。偏光で見ると、天然のデンプン粒はバイアフリンゲント(複屈折)であり、"暗十字"が見える。この現象は、デンプン粒中のオーダーの程度を示し,更にデンプン粒表面への巨大分子の直線的方向生を示す。更に天然のデンプンは結晶域20-40%の程度で一部結晶化しているが、それは明らかにアミロペクチンの結晶要因によるものである。アミロペクチン側鎖二重らせん構造の異なったパッキングは、異なった結晶タイプを示す。穀物デンプンはAタイプ、一方老化デンプンはBタイプのX線分析パターンを示す。いくつかのデンプン粒組織化が述べられているが、そこにはアモロフォスと半結晶化成長リング、ブロックレット,アモロフォスと半結晶ラメラが含まれる。過剰の水中で、ある温度以上にデンプン懸濁液を加熱すると、デンプンは糊化する。このプロセスの間、粒の分子オーダーは次第に不可逆的に壊れてゆく。いくつかのことがデンプン糊化の間起こり、それは条件、加熱の強さにより;分子オーダー(及びこれはバイアフリンゲンス、複屈折)の消失、粒の膨潤、水分吸収、デンプン結晶の可溶化、(限界ある)ポリマー分子の溶出、分子の溶出、主にはアミロース、急激な粘度増加とある(一部)粒の破壊と可溶化。糊化温度は、デンプンのタイプの特徴であり、デンプンのアモロフォス区分のガラス転移による。全糊化イベントはDSC(示唆操作測定装置)の示す吸熱プロセスである。糊化デンプンの冷却、貯蔵で構造変化が起こり、新しい相互作用がデンプン高分子間で生じる。ある定義ではこちらのプロセスは老化という言葉で集約的に述べる。新しい半結晶化ポリマーシステムができ、アミロース(アミロース結晶化、短期間で)、アミロペクチン(アミロペクチン老化、長期間)は結晶化に寄与する。
デンプン修飾酵素
いくつかの異なる酵素、その中にはエンド-、エクソ--活性アミラーゼ、枝切り酵素、トランスフェラーゼがあり、それらはデンプンに、あるいはその誘導体に作用する。一般にアミロイド酵素の機能にはいくつかの面があり、例えば天然デンプン粒への作用、それらへの特異性と分解生産物形成である。
GH13はまたαーアミラーゼグループのように言われるが、いろいろなアミラーゼ酵素からなり、グルコース残基間のα--(1,4)−
及びα--(1,6)−結合の加水分解、例えばα--アミラーゼ、枝切り酵素である。α--amylase (EC 3.2.1.1)は典型的なエンド-酵素で、低分子α--デキストリンを生じ、多少ランダムにデンプンポリマー中のα--(1,4)結合を加水分解する。
主なエキソ-アミラーゼ、例えばβ--アミラーゼ(EC 3.2.1.3)とアミログルコシダーゼ(EC 3.2.1.3)は、CH14yと15にそれぞれ分類される。これらの酵素は典型的に転化するエキソーアミラーゼで、デンプン分子の非還元末端からα--1,4-結合に働くものである。β--アミラーゼはβ--マルトースを生じ、分枝の点に達するまで行う。デンプンのβ--アミラーゼ作用による最終産物はβ--マルトースとβ--リミットデキストリンである。それに対しアミログルコシダーゼはグルコアミラーゼともいい、α--(1,6)結合に限定的に働いてこちらは側鎖を迂回して進む。理想的にはデンプンを完全にβ--グルコースにすることができる。最も重要な枝切り酵素は、プルラナーゼ(typeI)(EC 3.2.1.41)、同様にCH13に所属のイソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)である。これらの酵素はα--(1,6)-結合を加水分解し、(直線の)側鎖を引きはなす。トランスフェラーゼはデンプン-変換酵素でドナー分子のα--(1,4)結合を切り、そして新たに生じた還元末端(ドナー)を非還元糖単位(アクセプター)にグルコシド結合で結び付ける。サイクロデキストリン
グルコシルトランスフェラーゼ(CGTase;EC 2.4.1.19;GH 13),アミロマルターゼ(EC 2.4.1-5;GHs 13,57,77)とアミロスクラーゼ(EC 2.4.1.4; GH 13)は新たにα--(1,4)−結合をグルコース単位間で作る。一般にCGTase は低加水分解酵素活性をもち、6-8個のグルコース残基からなるサイクリックオリゴ糖を分子内トランスグルコシレーション反応を介して形成し、一方トランスグルコシレーション反応はアミロマルターゼによって触媒され直線生成物を作る。分岐酵素(EC 2.4.1.18,GH 13)は、α--(1,4)結合を外して、新たなα--(1,6)グルコシド結合を作るトランスフェラーゼである。
それらはアミロペクチンとグリコーゲンの生合成に関わる。アミロシュクラーゼはシュクロースからグルコース残基をグルコースポリマーに移動してアミロース様ポリマーの合成を触媒するものである。
難消化性デンプンと酵素技術
難消化性デンプン
現在認められていることは、食事性デンプンの消化管での利用性と分解性は各食品製品の間で異なるが、それはデンプン、食品の性質の違いにかかっている。事実、栄養学的見地から各デンプン区分は区別され、例えば迅速消化性デンプン(RDS)、 ゆっくりした消化性デンプン(SDS)、難消化性デンプン(RS)である。しかしながらこれらのデンプンを分解する能力の違いはないため、in
vivoでこれらのデンプン区分間のはっきりした違いはない。RDSはすばやくグルコースを引き離し、ここで素早い血糖とインスリンレベル(これはタイプ2の糖尿病に関係する)の増加が起こり、一方RSは食品のグリセミック・インデックスを低下する。この点で、SDSとRS区分の低下したデンプン消化性は、明らかにグリセミック及びインスリン反応の調整に貢献する。
RSは一般にデンプンあるいはデンプン分解製品と定義され、健康な人の小腸では吸収されないで、しかし多分(一部は)大腸の微生物によって発酵されるのだろう。これは食物繊維の定義と一致するので、ここでRSは食物繊維成分である。RSの大便重量増加への効果は控え目かもしれないが、RSの発酵は酪酸の高生成を与え、それがホスト(大腸)の健康に価値ある生理的インパクトを持つと知られている。
RS にいくつかのタイプがあり、その分解を妨げるメカニズムによって区別される。
RS
タイプ Iは生理的に分解酵素に受け入れられず、例えばそれは細胞中に含まれているためである。RS タイプ IIは天然の粒子状デンプン粒からなり、未調理食品中、粒の高密度、一部結晶化のため酵素の感受性が低いのである。RS タイプ IIIは老化あるいは再構成したデンプンで、分解できない(結晶)区分からなる。最後にRS タイプIVは化学的にあるいは熱的に修正したデンプンからなり、α-(1,4)、及びα-(1,6)-結合とは違う置換基の存在、あるいは他のグルコシド結合形成によるため分解性が低下する。RS タイプ IIIは多くのデンプン含有食品中にあり、そこでは食品調製(加熱、冷却)に続いてデンプン老化・再構成により形成される。RS タイプ IIIは一般にはα--(1,4)-グルカンの結晶構造に並んだ短鎖切片の関連アミロースであると考えられている。食品中のRSレベルと特徴は、デンプンのタイプ(ワキシー、平常、高アミロース)、加工条件(例えば温度、貯蔵時間)、及び他の成分の存在(たとえば、脂質)に影響される。こうしてRS タイプ IIIの高レベルは、デンプンが高濃度の結晶/二重ラセン構造形成(約25グルコース残基)するのに十分な長さのポリマー分子を含み、好ましい結晶化条件(時間--温度、脂質なし)になった時に期待される。この点で高アミロースデンプンはRSの生産に好ましい。
難消化性デンプンタイプIIIの生産
一般にRS タイプ IIIの生産は、デンプンの糊化/分散に続く老化/再合成でされる。このプロセスは一部酵素分解に結びつく。
RS形成後、α--アミラーゼによる加水分解は非難消化性材料の除去によりRSの比率増加を増やし、そしてRSを分離する。一部デンプン分解が老化/結晶化ステップ前に起こると分子の再結合のためにポリマーの移動が増加する。RSタイプIII生産に枝切り酵素の利用が科学、パテント文献中に良く述べられている。アミロペクチンは、アミロース結晶化やアミロペクチンの枝切りの妨害するので、ここでその除去するとアミロース結晶化の強化が起こる。糊化したワキシデンプンのプルラナーゼによる枝切りとその老化/結晶化は、低DP(DP<40)の直鎖グルコース鎖を有するRSを作る。他の研究者たちははじめに一部分デンプン分解してマルトデキストリン(10以下のデキストロース等量)を作り、続いて同時に脱枝(イソアミラーゼ処理による)と、マルトデキストリン溶液の老化/結晶化を行い、結晶化デンプン区分(RS type III)を作った。RS区分は主に直線α−(1,4)−結合グルコース鎖からなりDP 10-35である。
更にデンプンの分解で形成されるもの、DP<40の(不溶性)直鎖α−(1,4)−グルコースに加えて、in nitroでシュクロースからアミロシュクラーゼで合成される。加熱処理に続いて結晶化ステップ25℃、あるいは4℃で行い、RSが起こる。
穀物タンパク質関連の機能食品面
タンパク質とタンパク質修飾酵素
小麦と他穀物のタンパク質
これまで習慣的に穀物タンパク質は可溶性をベースとした分け方で、アルブミン(水溶性のタンパク質)、グロブリン(希塩溶液に可溶なタンパク質)、プロラミン(水/アルコールに可溶な貯蔵タンパク質)、そしてグルテリン(希酸、アルカリ可溶な貯蔵タンパク質)とされた。しかしながらOsborne分画は、生化学的/遺伝的違い、あるいは機能性の違いからタンパク質のクリアな分類ができなかった。
今日、特に小麦の場合、タンパク質は好まれて非グルテン、グルテンタンパク質の機能的観点からの分類が行われる。前のタンパク質はほとんどOsborneアルブミン、グロブリン区分にみられ、一方後方のものは大きくは水不溶と希塩溶液に不溶のものである。小麦グルテンタンパク質はグリアジンからなり、機能的にはグルテニンとははっきり区別される。グリアジンは単量体で高度にヘテログループからなるグルテンタンパク質で、水アルコールに溶け、更に小麦のOsborneプロラミン区分が中心の区分である。それらは分子量は30-80KDaの範囲である。グリアジン中のジスルフィド結合がもし存在するならば分子内である。グルテニンはヘテロ重合体の混合体であり、広い分子量範囲をもち約80KDaから数100万に達する。大部分は希酸条件下で溶け、小麦Osborneグルテリン区分を作る。グルテニンポリマーはいろいろなグルテニンサブユニット(GSs)からなり、ジスルフィド結合で架橋化されている。ここでGSsのスルフィド基が、分子内あるいは分子間結合に関与する。GSsはジスルフィド結合の低下とともに得られ、生化学的にはグリアジンと関係ある。
グルテンタンパク質の性質は小麦粉を粘弾性ドウに変え、それは理想的には製パンに適し、発酵イーストによる生産された炭酸ガスを保持する。これらの性質はユニークであり、大麦とかライ麦の様な小麦に非常に関係ある穀物にすら見つけることはできない。それらの大きなサイズと連続ネットワーク形成により、グルテニンポリマーはドウに強度(変形に対する抵抗性)と弾性与える、一方、グリアジンはプラスチック(可塑剤)材として働くと思われ、粘性/可塑性をドウに与える。更に、ドウの構造中には共有及び非共有結合の両方がまき込まれる。ジスルフィド架橋の重要性は十分に確立され、酸化プロセスはドウ形成の間、非常に重大である。ベーキングの間、グルテンタンパク質は非常に多くの複雑な変化をするが、しかしこれらの変化の性質はあまり理解されてない。
それらは多分タンパク質の表面疎水化に起こる変化のコンビネーション,すなわちSH-SS交換反応、及び新しいジスルフィド架橋結合形成に結びつく。
タンパク質修飾酵素
グルテンタンパク質の機能性、例えばパンのような小麦ベース食品中では、強くグルテニンの分子量によって決まり、グルテニン分子間の共有結合、非共有結合の存在、さらに他の粉成分との作用によって決まる。これらのグルテン機能性の異なる面は異なる酵素によって影響を受けるが、例えば脱重合化酵素(プロテアーゼ)、架橋反応をすすめる酵素である。
プロテアーゼ
グルテンタンパク質のペプチド結合はプロテアーゼで加水分解される。エンドプロテアーゼは又プロテイナーぜともいい、タンパク質鎖の内部結合を切り、それらの分子量を低下し、ペプチドを生じる。エキソプロテアーゼとペプチダーゼは鎖の先端からアミノ酸を引き離す。タンパク質分解酵素の分類はそれらの触媒メカニズムの化学に基づく。セリン、チオールあるいはシステイン、メタロ、アスパルテックプロテアーゼは区分され、それらは水酸基(セリン残基)、スルフハイドリル基(システイン残基)、金属イオン(例えば亜鉛)、そしてカルボキシル官能基(アスパラギン酸残基)各々であり、官能基の性質が活性中心部である。プロテアーゼ特異性は特異的アミノ酸を含む分解ペプチド結合の分解にその優先性がある。
トランスグルタミナーゼ
トランスグルタミナーゼは、タンパク質−結合L-グルタミンのγ−カルボキシアミド基を第一級アミン、例えばタンパク質に結合するL-リジンのε−アミノ基に移すことを触媒するアシルトランスフェラーゼで、その結果イソペプチド結合を生じる。この方法は酵素が新たな分子間、分子内結合を作るもので、前者では新たな共有非ジスルフィド架橋をペプチド鎖間に作る。側反応はアミネーション(例えばタンパク質中に遊離アミン基の導入)とグルタミン残基の脱アミノ化を含む。
オキシダーゼ
オキシダーゼは、酸化還元反応を触媒する一連の酵素で、酸素が電子受容体として働く。オキシダ-ゼは電子供与体として機能する分子、あるいは機能基によって分類される(http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/enzyme)。グルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)は、グルコースと酸素をグルコノラクトン(これは同時にグルコン酸に変化)と過酸化水素(H2O2)に変化するのを触媒する。ヘキソースオキシダーゼ(EC1.1.3.5)は同じ様な反応を触媒するが、いくつかのモノー、オリゴ糖を相当のラクトンに変える。チロシナーゼはタンパク質中の可能性あるチロシン残基を酸化してo-キノンにし、それは互いに重合化、あるいはタンパク質のアミノ基、SH基と非酵素反応で縮合できる。いろいろな芳香物質をラジカル化し、それらは互いに非酵素的反応ができる。グルタチオンオキシダーゼとスルフハイドリルオキシダーゼはジスルフィド結合形成を触媒する。前者のオキシダーゼはグルタチオンに特異的でありハイドロゲンパーオキサイドを放出するのに対し、後者は高度の架橋グルテン区分を作るだろう。他の酸化酵素、例えばラッカーゼ(EC 1.10.3.2)は、フェノール物質を酸化する。ラカーゼはドウを含む酵素で、異なるフェノール物質の酸化を触媒し遊離ラジカル物質とし、それは他の物質と非酵素的反応をする。
グルテンフリー食品製品と酵素技術
グルテン不耐性、あるいはセリアック病は、しばしばおこり、炎症状であり、小腸の病気で、主には小麦、ライ麦、大麦、おそらくオート麦によって引き起こされるものである。グルテンタンパク質は人の胃腸関連酵素では完全に分解されず、その結果、毒ペプチドとなり、それらは殆どグルテンタンパク質のグルタミン−、プロリンーリッチの区分からくる。
酵素と低下グルテン不耐性
グルテン不耐性低下を引き起こす可能性のあるタンパク質分解作用する酵素は、いくつかの研究論文に報告されている。セリアック病をもつ患者にとりグリアジンに基づくペプチド毒は、発芽した小麦、ライ麦、大麦中のプロテアーゼによってすばやく非毒性区分に分解された。グルテンタンパク質のタンパク質分解は、主に選択された乳酸菌を用いたサワードウ発酵の中で研究された。サワードウのスターター培養は、試験条件下でグルテンタンパク質を分解できた。小麦アルブミン、グロブリン、グリアジン区分は、サワードウ発酵で加水分解された。選択されたLactobacillus sp.のプロテアーゼ酵素による、グリアジン区分の有毒ペプチド−トリプシン分解物の分解は、分解物中の毒性をin vitro実験で減らした。同じようにライ麦タンパク質の毒性はライ麦粉懸濁液の発酵により低下した。これはライ麦プロラミンの強いプロテアーゼ分解によるためだ。僅かなバクテリアプロテアーゼによるライ麦グルテリンの分解が観察された。これらのライ麦タンパク質の分解は主にpH依存性であり、結局ライ麦酵素の活性によるものである。これらの発見は、サワードウ製パンとパスタ製造実験ではっきりした。製パンで、小麦と非毒性粉(そば粉含む)の混合物からなるサワードウの24時間発酵後、小麦グリアジンはほとんど全体的に加水分解された。このグルテンタンパク質毒性は、in vitro、 in vivoいずれ実験でも低下した。同様に、パスタ製造でも選択的乳酸菌による発酵は、デュ−ラム小麦セモリナのグリアジン区分の強い加水分解をおこし、ペプチド−トリプシン分解物の人細胞癒着活性を低下させた。これらの結果、人のグルテンの不耐性レベルは、穀物バイオテクノロジーの進歩で低下できたが、そこでは選択的乳酸菌、非毒性粉、さらに長い(前)発酵時間を用いている。
グルテンフリー製パンでの酵素
小麦ベースの製パンでは、酵素テクノロジーがドウのハンドリングの改良とパン最終品質改良に広く用いられている。いろいろな多くの酵素は、小麦成分への影響により製パンに価値ある効果が報告されている。
これは大きくGoesaert と co-workers (2005,2006)により討論されている。一般には小麦製パンでいくつか酵素技術の考え、例えばアミラーゼは抗老化の目的があるが、それはグルテンフリー製パンにとっても同様に有効である。グルテンフリーパン製造の古典的方法は、グルテンフリー穀物成分、例えばコメ、コーン粉のようなものによるかなり複雑なレシピ−を用いている。グルテンフリー製パンにおいて最も大きな挑戦の1つは、良好な構造の性質をもつ高品質パンの製造である。事実、コメ、他のグルテンフリー穀物のタンパク質は、小麦タンパク質のユニークなタンパク質ネットワークとドウ形成能を欠き、更に発酵中に発生する炭酸ガスの保持ができない。この面でいくつかの研究、例えばグルテンフリー製パンでのトランスグルタミナーゼあるいはオキシダーゼによる架橋の生成する酵素機能面の研究がすすめられた。コメ粉−/コーン粉ベースのグルテンフリーパンでのトランスグルタミナーゼによるネットワーク形成が、Moore
and co-workers (2006)によって考えられている。タンパク質ネットワーク形成の程度は元のタンパク質により(例えば脱脂ミルク、卵粉のポジテブな効果で)、そして酵素添加量できまる。コメパンではトランスグルタミナーゼを加えると遊離アミノ酸の低下が報告され、酵素によりコメタンパク質の架橋が引き起こされた。このドウ中の架橋は弾性、粘性を改良し、その結果高比容積とクラム強度のあるコメパンを生じる。グルコースオキシダーゼをコメパン仕込み中に添加すると、コメパン品質を同様に改良した。コメタンパク質は修飾され、それはfree zone capillary electrophoresis (自由ゾーン電気泳動)で示され、チオール及びアミノ基含量の減少で示された。全体的にこれらの研究は、トランスグルタミナーゼあるいは酸化酵素によりタンパク質ネットワークの形成がグルテンフリーパンの全体的な品質、パン容積、クラムの特徴を改良する事を示す。架橋形成酵素のグルテンフリーパンでの機能は、小麦製パンのそれと比較できる。小麦製パンでは、トランスグルタミナーゼはグルテンタンパク質の共有架橋をより大きくし、グルテンポリマーの不溶化を促進し、一方グルコースオキシダーゼの機能性は多分、ハイドロゲンパーオキサイドの生成に関与し、それはタンパク質間あるいは多成分間で酸化的架橋化を進める。オキシダーゼとは対照的で、トランスグルタミナーゼによる新しい分子間、分子内結合の形成はドウ中の酸化還元システムに関係しない。
最終意見
酵素技術で穀物成分を特異的修飾あるいは分解することは高度の有望方法で、特に食品成分の可能性ある健康促進方法、例えば可溶性(高分子)食物繊維、プレバイオテック(A)XOS、及び抵抗性デンプン、更に高品質グルテンフリー食品製品である。
アラビノキシラン−、デンプン-由来の機能性食品成分の多量のin vitro生産は、簡単で安価に利用できる生材料を、適当な性質をもつ酵素の注意深い選択と同様に求める。NSP-由来機能性食品成分の生産の場合には、高レベルのNSPを含む穀物加工の共同製品が多量に利用できる。にもかかわらず多くの場合にはそれらは酵素修飾には簡単に受け入れられない。又WU-AXのエンドキシラナーゼによる可溶化は粘度を上げ、可溶性アラビノキシラン集団を生じ、それは順に酵素的に分解される。両ファクターは高分子可溶性アラビノキシランのin vitro生産を複雑にする。酵素性質の基礎的分子の理解、例えば特異性と選択性の理解の増加は、廃棄物の流れを非常に健康効果をもつ価値のあるものに変える新しい見通しを与えるものである。酵素の助けによる難消化デンプン生産の場合には、特別のデンプン、あるいはデンプン変異体と、一種あるいはそれ以上のデンプン修飾酵素の結びつけによるもので、その中にはアミラーゼ、枝切り酵素、更にトランスフェラーゼがあり大きな潜在性を示す。
酵素技術は特に上述の機能性食品成分のその場の生産物に特異的に十分合致している。しかしながらこれは高度の挑戦的研究域を残している。事実、酵素--修飾した穀物成分の機能はしばしば未修飾ポリマーのものとは異なっていて、これは高品質食品製品を作る時、説明されねばならない。更に機能性食品成分の十分なレベルは、最終生産物が高度の健康効果を持つように作られるべきである。この点、無殻大麦粉と酵素技術利用の結びつきは、味がよく、消費者受けのパン生産を行い、それは健康増進可溶性食物繊維成分のWE-AXとβ−グルカンをそのまま増加したレベルで生まれたものである。
そのまま機能性食品成分が生じるケースの場合として、酵素技術(発酵技術と結びつけて)は、そのままのグルテンタンパク質の除去を約束するが、それはセリアック病の患者が被る毒である。このやり方、グルテン不耐性の性質を低下した食品製品は利用できるであろう。しかしながら修飾した穀物成分グルテンタンパク質の異なった機能は考慮せねばならない。最後に、酵素利用はグルテンフリー成分から高品質食品加工品を得る効果的な方法である。この分野の研究は、グルテンフリー穀物の成分(タンパク質、デンプン、NSP)の性質にもっと光を当て踏み込むことにより、異なった酵素の機能の理解を深めることと関係してその恩恵を受ける事ができる。
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