2012年11月アーカイブ
2012年11月22日 18:03 ( )中国での学会、BIT's 1st Annual World Congress of SQ Foods-2012での発表と中国の印象について
2012年11月1-3日(中国深浅)で行われたBIT's 1st Annual World Congress of SQ Foods-2012に招待されて講演してきました。
深浅航空というあまり聞いたことのない飛行機会社の機内では日本語は全く流れず、すべて中国語で、英語か何かわからぬ言葉も少し流れましたが、英語でしょう。機内食のヌードルはコンニャクのようなヌードルでした。
深浅は高層ビルの立ち並ぶ近代的な巨大都市でした。香港からは飛行機で1時間、電車で50分のところにあります。
この会は、分野の全く異なる研究者の集まり、しかし各分野ではそれぞれ著名な研究者の集まりといったものでした。いよいよ発表の前日となり、ホテルで再度発表原稿の練り直しを行ない、数回原稿を口頭で読み直し,頭に入れて、当日の発表にそなえました。
事前に座長のマリアさん(スペインのMiguel Hernander 大学教授)と挨拶し、USBFLASH MEMORYで会場のPCに小生のスライドをローデングしました。講演会が始まると、持ち時間15分になってもしゃべりまくっているようで、時間を気にしなくてよいような雰囲気であり、少々安心しました。
発表内容は冷凍ドウのはなしでそのサマリーは以下のようでした。
Title: Restoration of Breadmaking Properties to Frozen Dough by Addition of Sugar and Yeast and Subsequent Processing
Dr. Masaharu Seguchi
Professor
Kobe Women's University JAPAN
Abstract
We prepared dough A (a mixture of wheat flour, sugar, salt, and water), dough B (a mixture of dough A and yeast), and dough C (1st, and 2nd -proofed dough B), and froze (-20Ž) them for 6 days. They were thawed at 5Ž for 16 hrs, and subjected to their breadmaking processes. Results indicated that breadmaking properties (bread heightimmjand specific volume (cm3/g)) after dough A and B processes were same to that of control dough (non- frozen dough), however, dough C process showed depression of the breadmaking properties. Sugar was added to frozen and thawed dough C (dough C-1), and yeast was further added to dough C-1 (dough C-2), and they were subjected to their breadmaking processes, respectively. The results showed that the same breadmaking properties to control was obtained not by dough C-1 process but by dough C-2 process. It was further known that when 1st-proofed step in dough C-2 process was omitted breadmaking properties decreased. Frozen and thawed dough C was packed into a plastic tube (5.0 cm in a diameter and 16 cm in height), and the extension of the dough was compared with control dough in a vacuum condition. It was observed that dough C extended to 50 mm comparing to 70 mm of control dough, which was owing to weakness of cell membranes in dough C. First and 2nd-proofed dough C-2 extented to the same level of control dough. It was concluded that the cell membrane in dough was physically damaged by freezing and thawing, however, it was easily recovered to control dough and obtained remarkable bread by re-mixing and re-fermentation with newly added sugar and yeast
これは、小生のところで長く研究生をやってきた卒業生の森元さんの仕事です。冷凍ドウは解凍すると、パンの膨らみが低下するようになるのですが、その原因は氷結晶生成のためで、簡単に水がドウ組織から移動するためということを証明した仕事でした。解凍ドウにイースト、砂糖を添加してレミックスし、醗酵すると製パン性(パン高、比容積)はなんと回復したのです。冷凍により水がパンドウから分離して、解凍しても水はもとに戻らぬために製パン性が復元しないということを示したものです。
発表後に座長から1点基本的な質問がありました。その後、タイのチェンマイ大学の若い先生Yuthana博士が挨拶に来られました。この方も小生同様に冷凍ドウの話をされました。
本学会で、食品分野の発表は今回が第1回でしたが、他に第3回ナノ物質関連分野の発表がジョイントで行われました。こちらには阪大の斉藤 彰准教授、JAEA(日本原子力研究開発機構馬場 裕治先生らが出席されました。懇親会では一緒にお話しができましたが、日本人が3人も集まり日本語でしゃべるのは危険ではないかといわれました。目下、尖閣諸島問題のまっただ中でした。
ホテルではテレビにスイッチを入れると、CCTV6チャンネルで連日刺激的な中国映画をやっていました。日本との戦争映画です。だらしなさそうなカーキ色軍服の日本軍と凛々しい水色の軍服の八路軍との戦いで、そこにはおんな、こども、あるいは身体不自由の兵士がおり、結局戦闘後に彼らがヒーローとなり、侵略者日本軍は負けるというストーリーでした。いずれも日本人は悪役(日本鬼子という言葉が再三でてきました)で日本軍を懲らしめたおんな、こども、身体不自由の兵らに拍手喝采というストーリーでした。中国の若い人たちはこれを連日見て、現在の日本人に当てはめてゆくわけでしょう。我々の立場は中国で危険な状況というわけでした。しかし全く被害はありませんでした。
会の3日目には学会の企画する1日ツアーがあり、3名の先生方(ポーランド、USA, 韓国)とで市内見物いたしました。英語のうまい中国人ガイドの紹介で、まづはじめに"世界の窓"というところに連れて行かれました。ミニチュアのエッフェル塔、ピラミット、ピサ斜塔、タージマハール等と、世界中の町のミニチュア(1:15)を展示する大きな公園の見学でした。
昼食後、Folk Culture Village というところに連れて行かれました。この中で素晴らしいアトラクションを2点見ました。1つは馬賊の戦争を模したアトラクッションでした。観客席のある大きなグラウンドでその対面には城の壁があり、その上にはいろいろな太鼓、旗が掲げられており、外敵から守られています。そこに馬賊が襲いかかるというストーリーでした。40騎の馬に若い兵士がのり、20騎ずつに分かれ、頭のてっぺんに青軍は青、赤軍は赤の羽毛を付け、マントを付け旗を持って戦場そのもので猛スピードで走り回る騎馬戦でした。刃で武装した若武者達が全速力で馬上で殺し合いを演じる場面は大変に感動を憶えました。日本では見ることのできないエンタテーメントでした。もう一つの伝統的中国舞踏なども豪華な迫力のある興味深いものでした。中国の豊かな歴史、文化を感じさせられました。
機内で今回の旅行を振り返って感じるのに、"中国よ、たいじん(大人)たれ" という思いでした。
深浅航空というあまり聞いたことのない飛行機会社の機内では日本語は全く流れず、すべて中国語で、英語か何かわからぬ言葉も少し流れましたが、英語でしょう。機内食のヌードルはコンニャクのようなヌードルでした。
深浅は高層ビルの立ち並ぶ近代的な巨大都市でした。香港からは飛行機で1時間、電車で50分のところにあります。
この会は、分野の全く異なる研究者の集まり、しかし各分野ではそれぞれ著名な研究者の集まりといったものでした。いよいよ発表の前日となり、ホテルで再度発表原稿の練り直しを行ない、数回原稿を口頭で読み直し,頭に入れて、当日の発表にそなえました。
事前に座長のマリアさん(スペインのMiguel Hernander 大学教授)と挨拶し、USBFLASH MEMORYで会場のPCに小生のスライドをローデングしました。講演会が始まると、持ち時間15分になってもしゃべりまくっているようで、時間を気にしなくてよいような雰囲気であり、少々安心しました。
発表内容は冷凍ドウのはなしでそのサマリーは以下のようでした。
Title: Restoration of Breadmaking Properties to Frozen Dough by Addition of Sugar and Yeast and Subsequent Processing
Dr. Masaharu Seguchi
Professor
Kobe Women's University JAPAN
Abstract
We prepared dough A (a mixture of wheat flour, sugar, salt, and water), dough B (a mixture of dough A and yeast), and dough C (1st, and 2nd -proofed dough B), and froze (-20Ž) them for 6 days. They were thawed at 5Ž for 16 hrs, and subjected to their breadmaking processes. Results indicated that breadmaking properties (bread heightimmjand specific volume (cm3/g)) after dough A and B processes were same to that of control dough (non- frozen dough), however, dough C process showed depression of the breadmaking properties. Sugar was added to frozen and thawed dough C (dough C-1), and yeast was further added to dough C-1 (dough C-2), and they were subjected to their breadmaking processes, respectively. The results showed that the same breadmaking properties to control was obtained not by dough C-1 process but by dough C-2 process. It was further known that when 1st-proofed step in dough C-2 process was omitted breadmaking properties decreased. Frozen and thawed dough C was packed into a plastic tube (5.0 cm in a diameter and 16 cm in height), and the extension of the dough was compared with control dough in a vacuum condition. It was observed that dough C extended to 50 mm comparing to 70 mm of control dough, which was owing to weakness of cell membranes in dough C. First and 2nd-proofed dough C-2 extented to the same level of control dough. It was concluded that the cell membrane in dough was physically damaged by freezing and thawing, however, it was easily recovered to control dough and obtained remarkable bread by re-mixing and re-fermentation with newly added sugar and yeast
これは、小生のところで長く研究生をやってきた卒業生の森元さんの仕事です。冷凍ドウは解凍すると、パンの膨らみが低下するようになるのですが、その原因は氷結晶生成のためで、簡単に水がドウ組織から移動するためということを証明した仕事でした。解凍ドウにイースト、砂糖を添加してレミックスし、醗酵すると製パン性(パン高、比容積)はなんと回復したのです。冷凍により水がパンドウから分離して、解凍しても水はもとに戻らぬために製パン性が復元しないということを示したものです。
発表後に座長から1点基本的な質問がありました。その後、タイのチェンマイ大学の若い先生Yuthana博士が挨拶に来られました。この方も小生同様に冷凍ドウの話をされました。
本学会で、食品分野の発表は今回が第1回でしたが、他に第3回ナノ物質関連分野の発表がジョイントで行われました。こちらには阪大の斉藤 彰准教授、JAEA(日本原子力研究開発機構馬場 裕治先生らが出席されました。懇親会では一緒にお話しができましたが、日本人が3人も集まり日本語でしゃべるのは危険ではないかといわれました。目下、尖閣諸島問題のまっただ中でした。
ホテルではテレビにスイッチを入れると、CCTV6チャンネルで連日刺激的な中国映画をやっていました。日本との戦争映画です。だらしなさそうなカーキ色軍服の日本軍と凛々しい水色の軍服の八路軍との戦いで、そこにはおんな、こども、あるいは身体不自由の兵士がおり、結局戦闘後に彼らがヒーローとなり、侵略者日本軍は負けるというストーリーでした。いずれも日本人は悪役(日本鬼子という言葉が再三でてきました)で日本軍を懲らしめたおんな、こども、身体不自由の兵らに拍手喝采というストーリーでした。中国の若い人たちはこれを連日見て、現在の日本人に当てはめてゆくわけでしょう。我々の立場は中国で危険な状況というわけでした。しかし全く被害はありませんでした。
会の3日目には学会の企画する1日ツアーがあり、3名の先生方(ポーランド、USA, 韓国)とで市内見物いたしました。英語のうまい中国人ガイドの紹介で、まづはじめに"世界の窓"というところに連れて行かれました。ミニチュアのエッフェル塔、ピラミット、ピサ斜塔、タージマハール等と、世界中の町のミニチュア(1:15)を展示する大きな公園の見学でした。
昼食後、Folk Culture Village というところに連れて行かれました。この中で素晴らしいアトラクションを2点見ました。1つは馬賊の戦争を模したアトラクッションでした。観客席のある大きなグラウンドでその対面には城の壁があり、その上にはいろいろな太鼓、旗が掲げられており、外敵から守られています。そこに馬賊が襲いかかるというストーリーでした。40騎の馬に若い兵士がのり、20騎ずつに分かれ、頭のてっぺんに青軍は青、赤軍は赤の羽毛を付け、マントを付け旗を持って戦場そのもので猛スピードで走り回る騎馬戦でした。刃で武装した若武者達が全速力で馬上で殺し合いを演じる場面は大変に感動を憶えました。日本では見ることのできないエンタテーメントでした。もう一つの伝統的中国舞踏なども豪華な迫力のある興味深いものでした。中国の豊かな歴史、文化を感じさせられました。
機内で今回の旅行を振り返って感じるのに、"中国よ、たいじん(大人)たれ" という思いでした。
工場 (ふじっこ鳴尾浜工場)見学会報告
我々の勉強会グループは、10月27日(土曜日)に神戸、鳴尾浜にある(株)ふじっこの工場見学を行ないました。
この5月に食品科学工学会関西支部会の運営委員会が5月16日に大阪であり、小生は運営委員の一人としてこれに参加し、その席上でたまたま(株)ふじっこの開発室長の戸田登志也氏とお会いし、是非見学できないだろうか、一度社長と連絡していただけないだろうかと厚かましくお話いたしました。その後、戸田氏のお世話でとんとんと話が進んで、6月17日には社長の福井正一氏と電話でお話する事が出来ました。当方の工場見学の希望をお伝えすることが出来ました。
鳴尾浜工場は甲子園近くの多少交通不便のところにあるので、ご好意で会社のバスを出していただきました。皆さんは神戸電鉄甲子園口に集合し、そこからバスで工場までまいりました。当日は26名の参加者でした。旧工場、新工場と結合し、更に新工場を増設中でした。食品会社として立派な工場でした。
初めに大きなホールに招かれて、そこで高野氏、工場長の山崎氏らの工場概要説明があり、2グループに分かれて工場を見せていただきました。当日は土曜日にも関わらず工場のトップ連に多くでていただき、対応していただき、大変に恐縮しました。
休日のため工場内は止まっているところがあると思えば、24時間365日動いている日配惣菜関連のところもありました。100名余のパートの女性が懸命に作業しているところにきて、その工場内の静、動の大きな違いを見て驚かされました。毎日の我々の食べる惣菜製造の作業で、これは休みなしとのことでした。その後、再びホールに戻って研究開発室長戸田氏のお話がありました。
戸田氏によると、1996年ブリュッセルでイソフラボンの国際会議があり、欧米人のイソフラボンへの関心の高さに驚いたといわれました。国際会議では、日本人に心臓病が少なく、骨粗そう症が低い、乳がん、前立腺がんが少ない、動脈硬化が少ない、ホットフラッシュも少ない、これらは日本人の大豆食が原因で、大豆のイソフラボンが原因とにらんでいたようでした。そのころ昆布、煮豆に白い斑点が出来るクレームがありましたが、その白い斑点は大豆イソフラボンの析出だったなど講演され、皆さんの関心を呼ばれました。
2時間半の工場見学、講演等を終え、見学会を終了いたしました。
この5月に食品科学工学会関西支部会の運営委員会が5月16日に大阪であり、小生は運営委員の一人としてこれに参加し、その席上でたまたま(株)ふじっこの開発室長の戸田登志也氏とお会いし、是非見学できないだろうか、一度社長と連絡していただけないだろうかと厚かましくお話いたしました。その後、戸田氏のお世話でとんとんと話が進んで、6月17日には社長の福井正一氏と電話でお話する事が出来ました。当方の工場見学の希望をお伝えすることが出来ました。
鳴尾浜工場は甲子園近くの多少交通不便のところにあるので、ご好意で会社のバスを出していただきました。皆さんは神戸電鉄甲子園口に集合し、そこからバスで工場までまいりました。当日は26名の参加者でした。旧工場、新工場と結合し、更に新工場を増設中でした。食品会社として立派な工場でした。
初めに大きなホールに招かれて、そこで高野氏、工場長の山崎氏らの工場概要説明があり、2グループに分かれて工場を見せていただきました。当日は土曜日にも関わらず工場のトップ連に多くでていただき、対応していただき、大変に恐縮しました。
休日のため工場内は止まっているところがあると思えば、24時間365日動いている日配惣菜関連のところもありました。100名余のパートの女性が懸命に作業しているところにきて、その工場内の静、動の大きな違いを見て驚かされました。毎日の我々の食べる惣菜製造の作業で、これは休みなしとのことでした。その後、再びホールに戻って研究開発室長戸田氏のお話がありました。
戸田氏によると、1996年ブリュッセルでイソフラボンの国際会議があり、欧米人のイソフラボンへの関心の高さに驚いたといわれました。国際会議では、日本人に心臓病が少なく、骨粗そう症が低い、乳がん、前立腺がんが少ない、動脈硬化が少ない、ホットフラッシュも少ない、これらは日本人の大豆食が原因で、大豆のイソフラボンが原因とにらんでいたようでした。そのころ昆布、煮豆に白い斑点が出来るクレームがありましたが、その白い斑点は大豆イソフラボンの析出だったなど講演され、皆さんの関心を呼ばれました。
2時間半の工場見学、講演等を終え、見学会を終了いたしました。
管理栄養士の国際化の必要性について
一昨年(2010, 6/8-11)、フィンランド、テンペレ市でグルテンフリーの国際会議(Gluten-Free Cereal Products and Beverages) があり、これに出席してきました。日本からというより、東洋からは小生一人の参加者でしたが、欧米人の参加者は数百人の大きな学会でした。
この会は小麦粉中のグルテンタンパク質が引き起こすセリアック病に関する学会です。この病気は、小麦粉を主食とするヨーロッパ、アメリカでは人口の1%強の人がこれでなくなるという恐ろしい病気です。患者さんはグルテンを含む食品は一切食べられません。その原因の追及やら、対策やらに関する学会で、食の欧風化が進みパン食の進む日本でもこれから問題になる大きなテーマです。
この会に出席して欧米の人たち、特にドイツ、フィンランドの研究者が多かったのですが、彼らの発表の様子などをうかがい、グルテンフリーへの関心の深さを伺うことが出来ました。医師、化学者、食品企業の人たちなど、多くの分野の人たちで活発に議論が行なわれました。その中に管理栄養士の発表者がいたことが意外でした。若い女性管理栄養士が「私はDietitian(管理栄養士)だが」と滔々と他分野の人たちの中で自分の意見を述べていました。帰国後、小生のゼミ学生らにその様子を話し、「君らもあのようにならねばいけない。」と激励したのですが、現実味がなかったのでしょうか、笑っていました。
日本人にとってはさらに語学で苦戦を強いられることと思われますが、そんな中に入り込み国際的に活躍できる管理栄養士もこれから必要になってくるでしょう。スポーツ関連の管理栄養士の人は、すでにオリンピックなどの国際大会などで外国の管理栄養士とわたりあっているのでしょうし、あるいは将来、国際的な人がほしいはずです。いい情報交換の場面でもあるでしょうから。
しかしそこで問題となるのは語学でしょう。各大学、4年間の管理栄養士のカリキュラムの中には教養科目としての外国語科目はあるでしょう。しかし管理栄養士の専門科目は逼迫しており、しかもその中には必須の語学に関するカリキュラムは皆無が現状です。学生は高等学校でかなり英語を勉強してきたはずですが、続けてないと英語などすぐに忘れてしまいます。
神戸女子大学では、管理栄養士養成課程の中に、病院実習先の一つとしてハワイ、ホノルル市のクワキニ病院(Kuakini Health System 1900年 日本人慈善協会により創立)にお願いしています。平成14年から毎年2名の学生をハワイに派遣し、本学の宿舎からクワキニ病院にバスで通い、そこで実習をお願いしています。管理栄養士の国際化のいいチャンスだと思って続けています。これまで過去14年間、22名の学生を送り込み、2週間みっちりトレーニングしています。病院では日本の若い女子学生が来ると云うので大変に喜ばれていますが、毎年最後に先方から言われるのは、もう少し英語の出来る学生を送ってください、栄養士の専門英語の勉強も、と言われています。
クワキニでの2週間は全て英語での生活で、先方のDietitianに張り付いて、いろいろ指導を受けています。大変に効果的です。この先方からの語学訓練の要望に対し、本学ではカリキュラム的には全く対応しておらず、自主的に数カ月間昼休み時間に英語教員に指導を受けさせています。英語力、語学力のなさを残念に思っています。
これから管理栄養士の国際的ニーズが必ずやってきます。
大学のカリキュラム、大学院のカリキュラムで専門英語教育をしなければいけないと思ってます。特にスポーツ栄養関係では必要になってくると思われます。選手をバックアップする英語のしゃべれない管理栄養士が、果たしてスポーツ等の国際大会で他国の管理栄養士とわたり合えるのでしょうか?Completely Noでしょう。さらに日本の医療技術の進んでいることと、それに伴う日本の管理栄養士の技術の深さがこれからの日本の売り物にもなるのではないでしょうか?やはり国際化が必要です。
そんなこんなから早々に厚生労働省なども英語教育を熟慮し、管理栄養士カリキュラムの中に専門英語教育のカリキュラムを入れることに取り組んでいただきたいものです。