2018年8月アーカイブ
2018年8月16日 08:24 ( )新解説 グルテンフリー穀物による麦芽とビール醸造(2)
グルテンフリー穀物の麦芽
穀物(ソルガム.米、トウモロコシ、キビ、オート麦)
ソルガム
大麦栽培は熱帯地帯ではできないので、アフリカのビール生産には温帯域からの大麦麦芽輸入にコストがかかる。ナイジェリアの1988年大麦麦芽輸入禁止の結果、ソルガム麦芽とトウモロコシ麦芽が伝統的アフリカ飲料の醸造用にと製造された。ソルガムは、大麦麦芽に変わるものとして、大きな可能性を示した。しかしながら醸造業者の中に、市販ビール製造時、補助的にソルガムを利用した経験者がいて、その際に次のような問題に遭遇した;時間のかかる不完全な麦芽の糖化、困難な麦汁の分離、さらに困難なブライトビールの濾過であった。にもかかわらず、味覚に関して大麦と同様の効果のあるとまでは主張されていないが、100%ソルガム麦芽ビールはナイジェリアや他の地域の国々で、多くの人々にビールとしての品質は受け入れられている。
麦芽加工はソルガムの相対的栄養価を増加し、麦芽ソルガムは、離乳期の子供用の食事の低粘度粥を作るのに用いられる。しかしながら、第1にソルガム麦芽はKaffirビール類似のビール醸造に用いられた。1つの重大な問題点は、実験研究結果からソルガム麦芽で醸造するとき、普通にみられるものは酵素レベルが不十分である事だ。初期の研究で、ソルガム麦芽中の糖化用β--アミラーゼ活性が僅かあるいは全くなかったため、ソルガム麦芽使用は大型ビールの醸造用には不適切であるというまちがった結論となった。しかし数名の研究者は、用いたデンプン分解酵素活性測定法が大麦用のものであったため、ソルガム利用研究は不適当であると述べた。デンプン分解酵素力測定に異なった方法を使うとソルガム麦芽にはβ--アミラーゼ活性はあったが、しかし大麦麦芽の25%以下のレベルであると報告された。ソルガム中のβ--アミラーゼは大麦中のとは異なり活性化した可溶性の状態にあるが、大麦では殆どのβ--アミラーゼが不活性の結合状態で存在していた。本質的には活性β--アミラーゼレベルはソルガム、大麦両方で同一であると考えられた。
詳細な研究が最適のソルガムの麦芽加工のために行なわれた。今日までソルガムで最適の麦芽加工は20-25℃で8時間水につけ、続いて2時間空気中におき、さらに14時間水に浸ける。そのとき水分は34-36%で同一の温度で発芽は120時間行う。次に24時間50℃の乾燥に続く。ソルガム、生と麦芽は、現在広くヨーロッパタイプのラガービール醸造に用いられていて、多くの熱帯発展途上国では経済的な理由から広く用いられている。ナイジェリアでは、既に全ての大麦麦芽が国内で生産されたソルガムに置き換えられている。
米
米はアルコール飲料生産に広く用いられている。アルコール飲料、例えば日本の酒、中国のshaoshinshu(焼酒)、及び東南アジアの種々雑多なアルコール飲料は、主成分は米であるが、時には一種の穀物(米)のみで作られる。さらに米はビールのようなアルコール飲料の生産時に付加物として用いられる。ビール、酒は最もポピュラーな米ベースのアルコール飲料であり、大量に生産されている(年間、ほぼ9x1010Lビール、15x108L酒)。醸造にともない、米は非常にナチュラルな匂いと香りが有り、醸造ハウスでは、適当に軽くクリーニングな味のビールとなる。もっと最近、麦芽米で興味あるのは食品材料での利用の可能性の引き金となってきたことで、遊離糖、アミラーゼ含量の増加、さらに発芽後の粘度低下のためであり, さらにアフリカの或る地域では必要性から輸入大麦に変わるものとして関心が持たれている。さらに発芽は、米の栄養価のレベルをあげる事が示される。
初期の研究ではビールが米麦芽から醸造できる事を示した。これらのトライアルではCalifornia粒米が用いられた。粒は48-60時間15℃の水につけ、17.8-18.0℃で72時間発芽させ、そして最後に48時間で乾燥するが、32.2-65.5℃の温度上昇による。これらの低い温度は粒のガラス化を抑えるためである。しかしながら出来た物は酵素活性が貧弱で、生産するのに高価で、内胚乳物質の修飾が貧弱であった。にもかかわらず、麦芽化しない米に比べ、クッカー中での溶液化はす早く、比較的低温度ですすむ。さらに抽出化がいいことと、さらに出来たもののフレーバー、香りがこの材料を用いるとすばらしい。
米麦芽は、麦芽ロスがしばしば非常に高くなるので醸造材料としては満足のゆくものではない。米麦芽は、最終的には従来のやり方でひかれて砕かれた時、糖化は不十分で麦液の流出はゆっくりであった。さらに米麦芽は非常に苦くなることがわかった。米に関する研究の不一致性は、抽出回収量増加とフレーバー改良のため、最適の麦芽処理体制をさがす強いニーズが或る事を示す。
トウモロコシ
トウモロコシは、メキシコのTarahumara Indiansの伝統的なTesuinoトウモロコシビールを作るのに用いられてきた。さらにホーム-醸造のXhosaトウモロコシビール生産と消費は、南アフリカの伝統的なものとして広がっている。醸造関連のものとして.トウモロコシはビールのアワ・ダメージ効果を制限するために胚芽除去をせねばならない。
トウモロコシは麦芽がソルガムよりも十分少なく、ほとんどのトライアルの報告では、醸造業者の見地から不満足な結果であった。この穀物の麦芽の特徴についての我々の知識は少ない。いくつかの面では、トウモロコシの発芽はその栄養価を強めることができる。しかしながらトウモロコシデンプンの糊化温度は高いので、もしも修正したマッシング(加水)方法を用いれば、多分ソルガム麦芽と同様、改良された抽出回収量を得る事が出来るだろう。
麦芽作成法で、粒を36℃で12時間事前に乾燥して、25℃で40%水分含量になるように水に浸け、25℃で168時間発芽させ、最終的に45℃で24時間乾燥させることが推奨されている。そこでソルガムのようにトウモロコシで麦芽をつくるのに「湿と温」が必要で、そのためカビ感染の極端な広がリとなった。グリーン麦芽は、酵素活性のために低温で乾燥すべきである。増加した抽出量、酵素レベル、Kolbach指数、及び麦芽ロスが得られる。さらにジベレリン酸添加でα--アミラーゼ、プロテアーゼ.抽出物、Kolbach指数値を上昇させた。最近.上等の麦芽品質選択のための、とうもろこし品質を選ぶというはっきりした努力は行われていない。
キビ
キビは小粒の熱帯性穀物の総称のグループである。不透明なビール、少なくとも実験的には透明なビールであるが、麦芽にして食品材料として利用している。キビの品種間、あるいは1つの品種中でも麦芽品質にかなりの違いがある。初期の研究から、麦芽と醸造、さらにキビからのラガービールの生産は可能であるが、ビールのフレーバー、色調改良にはまだ高度の研究が必要である。
南アフリカでは、伝統的にパールキビが麦芽、発酵に使われた。麦芽パールキビは、粘度の低い子供用離乳食に用いられる。大麦、ソールガムと違い、キビ麦芽の技術については知見が少ない。パールキビ麦芽のベストの加工方法は、25℃で水に着け、1サイクル2時間湿地、2時間空気中で休ませ、全8時間行い、25-30℃で72-96時間発芽させ、最後に50℃ 24時間の乾燥が示されている。これらの条件は、高ジアスターゼ活性、α--、β--アミラーゼ活性、遊離アミノ態窒素、適当な麦芽ロスを示す。ある場合には、さらにジベレリン酸添加で回収量を高め、酵素活性はすぐにピークに達しより高いαーアミラーゼ活性になる。
キビ麦芽化の限定された仕事は、主にフィンガーキビですすめられた。フィイガーキビは非常に良い麦芽を作り、伝統的アフリカ不透明ビールの醸造に使われ、さらに消化の良い液状食にも使われている。フィンガーキビ麦芽は非常に納得ゆくフレーバーと受け入れやすい味があると報告されているが、しかし短時間の貯蔵の間これらの麦芽は苦い味に変化してゆく。未麦芽のフィンガーキビ粒は、非常に僅かのアミラーゼ、プロテアーゼ、フォスファターゼ活性であるが、粒が発芽がするとこれらの酵素活性はかなり増加する。さらにフィンガーキビは、カルシウムと食物繊維に富んでいる。粒を24時間25℃の水に浸け、25℃で発芽9時間行い、最後に24時間45℃で乾燥することがすすめられている。これまでの研究からパールキビとフィンガーキビ麦芽は大量タイプのビール製造に大麦置き換え価値の有る事がわかった。
オート麦
オート麦の食品利用は伝統的にオートミール、オートフレーク、朝食のセレアルである。天然のオート麦は可溶性食物繊維、価値のある脂肪酸の高含量、ビタミン、ミネラル、ステロール、抗酸化剤の大量精選され健康増進穀物として知られている。さらに、オート麦はFDA (Food and Drug Administration)承認の健康宣言によるとオートミールからの可溶性食物繊維、低飽和脂肪酸、低コレステロール食事は心臓病のリスクを低下させるといったことが、消費者間でさらに興味を増加させた。オート麦は普通好ましいナッツ臭、粒の匂いが有り、発芽はフレーバー、官能的特徴を良くするのに用いられ、それとともに金属の生化学的利用性の増加にも有効である最近、オート麦麦芽はまれにしか用いられないので、利用できるデーターは僅かである。オート麦麦芽は大麦麦芽に比べれば少量である。オート麦麦芽は、時たま多くの国の人々ためにヨーロッパ醸造家により利用されたが、その利用も今では僅かである。時にはオート麦麦芽は英国でエールビール用に用いられ、さらにストウトの醸造に用いられ、さらに特別の食品成分に用いられる。
Avena SativaとAvena byzantinaの2種は、最も広く育てられたオート麦品種である。しかし麦芽醸造には僅かの量しか用いられない。主なるオート麦品種で麦芽に用いられるのはA. Sativaと、醸造用にはA.
gramineaeである。研究からはっきりしたのは、デンプンはゆっくり発芽中に分解され、発芽したオート麦中のデンプン含量は未発芽オート麦よりも同じかあるいはわずかに低い。さらにオート麦の発芽は、不可欠アミノ酸(特にリジン、トリプトファン)含量の増加を引き起こし、僅かのプロラミン含量の低下を引き起こす。
オート麦は高金属含有の穀物であると記録されている。しかしながらラジオアイソトープ技術を用いた最近の研究から、オート麦粥、オート麦ふすまパンを含む朝食からの鉄、亜鉛の低レベルの人体への取り込みが示された。オート麦の高フィチン酸含量は、低フィターゼ活性とともに、低鉄吸収の説明と考えられる。ここでより良好な金属利用性を得るために研究者は加工中のフィチン酸分解の適当な条件を研究し、オート麦のフィチン酸含量を低下させるための発芽条件を見出した。最適のオート麦の麦芽条件はつぎのようである;16℃の水に16時間浸け、発芽は16℃で144時間行い、引き続いて49-85℃で22時間乾燥する。巨大分子の水解の基本的知識を用い発芽粒のアミラーゼ分解活性、解糖活性、タンパク質分解活性の利用をコントロールして、オート麦麦芽から多量タイプのビールを作る事が出来た。
偽穀物(ソバ、キノア、アマランス)
ソバ
ソバは大部分の穀物とは違いPolygonaceae族に属する交換作物である。ソバは小麦とは関係なく、その名前は多分トライアングルの種子に基づくものであり、それはピーナッツのづっと大きい種子に似て、これが小麦のように使われる事実だ。ソバ粒は、栄養価が高く、よいタンパク質源である。ソバの栄養価は、ミレットより高く、あるいは米、小麦のような穀物よりも高い。その成分は栄養-生化学的見地からも好ましく、健康保持食事によくあっている。ソバの一定の消費は、"栄養生まれの文明病"(消化不良、肥満、便秘、コレステロール、糖尿病、高血圧等)を防ぐ事が出来る。
ソバは殻付き殻なしの両方がある。しかし最近の研究から殻なしソバの利用が殻付きのものより長所があり、それは水吸収が遅く、その結果麦芽は改良されるというものである。麦芽ロスに加えて、もう1つの殻無し材利用のメリットは、濾過性の改良であった。水につける時間、温度のソバ麦芽品質に与える効果の研究は、次の事を示した。即ち最適の水浸時間後の水分含量は35-40%で、その時に薦められる水浸時間は、温度10℃で7-13時間である。この水分レベルでの麦芽ロスは受け入れられる範囲内にあり、麦芽品質は最適である。ソバ麦芽中の至適酵素活性は、ソバが15℃で96時間、発芽する時に得られた。このとき粒は十分に修正され、しかし栄養価は消費されていない。さらにルチンは機能性をもつポリフェノールの1つだが、麦芽の間、顕著に増加した。
いくつかの最適条件が最近ソバ麦芽に提案された。殻なしソバを用いたソバを含め、広範囲のグルテンフリー穀物の最適麦芽条件をきめるのに、RSM(応答曲面法)が用いられた。著者らは96時間の水浸時間、水分47%の程度で、発芽時間は19℃で120時間を薦めた。これらの麦芽条件はかなりバラバラであり、他者の条件では水浸時間は僅か10時間で水分の程度は35-40%の間で、発芽時間は15℃で96時間が推薦された。いろいろなグルテンフリー麦芽を用いて広いフレーバー分析を行い、ソバ結晶状麦芽には強い甘い香り、モルト臭、ナッツの香りを見出し、エール生産醸造成分として用いる可能性があった。ソバ麦芽中の酵素活性への乾燥の重要性が研究された。結論として、40℃で長く乾燥すると加水分解酵素の不活性化が起こる。多段階乾燥ステップがそこで研究され、酵素活性は乾燥プロセスの間乾燥を行う温度によって示す。ソバの酵素活性の最適レベルのためにソバ麦芽は40℃ 5時間、50℃で3時間さらに60℃で3時間フォローすべきである。この条件下で、最も高いレベルのアミラーゼ酵素、全可溶性窒素、遊離アミノ態窒素が観察された。得られた結果から強く示されることは、ソバは最適にまで麦芽化すると、健康保持、醸造目的に用いられるソルガム麦芽に変わるグルテンフリーとして有益である可能性を示す。
キノア
偽穀物であるChenopodiaceae族の穀物キノアは、良好な栄養成分を持つもの、さらに離乳食として顕著に貢献していると認識されている。キノアはリジン、メチオニンが高含量含まれていると言われる。世界中で多くの研究がキノアの農学レベルでなされてきたが、生理学的レベルあるいは麦芽、醸造面では少ない。キノア種子はin vitroでは早い発芽といういい面があるが、土壌では非常に貧弱な発芽である。36時間麦芽処理すると、キノアのα--アミラーゼ活性は4倍に増加するが、外胚乳のデンプン粒は発芽の間アミラーゼで強く分解するようには見えない。これは麦芽プロセスにとり有利ではないが、マッシング(すりつぶし)と醸造にとり多少いい所である。もしα--アミラーゼレベルが麦芽製造の間このように消費されないならば、残った酵素はマッシングプロセスに利用されるであろう。マッシングの間、α--アミラーゼが存在しないと、糖化は不完全になり低抽出のwort(麦中)になる。RSMを使って、キノアの最適の麦芽条件を探すと、水漬時間36時間、水分54%、発芽温度8℃で144時間であった。
麦芽化したキノア粒はまた栄養的利用性を改良した。発芽の間、フィチン酸は35-39%まで落ち、一方鉄溶解性は生理的条件下(及び生体中の鉄利用度の計測から)は2-4倍に増えた。消費者は食品、飲み物を消費しながら、革新的なものを求めていて、更に健康に価値のあるものを求めているため、キノアの栄養的性質は麦芽と醸造目的用のこれからの材料の研究をしようとしている。
アマランス
アマランスは、Amaranthaceae族の一品種であり、ほとんど亜熱帯、熱帯域で見られる。食物栄養源として価値あるこの植物は、野菜として食べられ、その種は穀物として用いられる。文献上僅かに、現在利用できるアマランスの醸造用材料の情報があるだけである。
種子の発芽あるいは麦芽では、一般に生原料中の内胚乳酵素を使って一部加水分解されたもの(pre-digest)、好ましい物質が合成されたもの、そして好ましくないものの破壊が進んだものが用いられる。水に漬けて10分後、アマランス種子は35℃で72時間発芽のために放置する。発芽48時間後、リジン量は変化せず、72時間後タンパク質消化性が増加するに伴ってリジンは僅かに減った。対照として12時間アマランス種子を水に浸け、192時間までそれらは発芽した。この条件下では48-182発芽時間の間、タンパク質は減少し、リジンは発芽24時間後31%増えることが観察された。RSMを使って最適のアマランス麦芽条件が探された。これらの麦芽条件では、水に漬ける時間36時間、水分は54%、発芽温度は8℃で168時間とした。そのため麦芽と醸造目的ではこのZarnkow et alの方法がアマランス麦芽を調製するのに用いるべきだとされた。
発芽前後の高級な栄養的成分のため.ソルガムに変わるアマランスの存在はグルテンフリーの興味深い原料である。しかしアマランスの麦芽、醸造成分としての利用にはもっと研究が必要だ。
新解説 グルテンフリー穀物による麦芽とビール醸造(1)
紹介;
ビール醸造の歴史
ビール製造の技術と工夫は約5000年にさかのぼることができ、世界の多くの地域の発掘によって証明されている。古代の醸造法の描写は古代エジプトの墓に書かれた中に見出される。ビールの記述は2000BCのメソポタミア遺跡の記述に含まれている。ビールはパンとともに古代文明の食事で最も重要な食品である。さらに食品であるとともに、ビールは宗教的信念、儀式の中で中心的役割を担う。Scythians(スキタイ)、 Celts(ケルト)、 Germanic(ゲルマン)民族により好まれた飲料で、そこでは毎日の家庭の食事の仕事として女性による発酵が行われ、すべての文明の中でベーキング、醸造は女性の仕事であった。醸造産業への変化はキリスト教の宗教的基盤の醸造所で起こり、そこではビールは彼ら自身の消費のためだけではなく他への報酬とされた。ひきつづいてそれは男性のための職業となリ今日に至る。
歴史的にビールは大麦からつくられるものと報告され、1516年のビール精製法の紹介以来、大麦は伝統的に主たるビール原料として用いられてきた。かつて信じられたことはビールは大麦以外からは作れないということである;しかしながらよく言われたことは、濁ったビールがソルガム、アワ、トウモロコシの様な穀物から作られ、熱帯においてこれまでのビール醸造に変わる原料として価値が有ると信じられて来た。
消費者の要求に答えるために,他の穀物(米、トウモロコシ)、擬似穀物(ソバ、キノア、アマランス)が醸造原料として研究され,それらにはグルテンがないことと健康にプラスと思われる成分が存在するためである。
麦芽製造と醸造プロセスの全体像
麦芽製造プロセス
麦芽製造プロセスでは穀粒中に酵素を作り、化学成分の変化を引き起こさせる。麦芽製造プロセスは大麦ストックの洗浄と選別であり、粒を水に浸け、粒を発酵させ、最後は釜で乾燥し、保存処理する。
水に浸けている間に粒は水を吸い容積は増える。4-6時間後、始めに浸けた水は捨て、粒は大きく空気を吸いCO2を除去する。粒の水分含量が43-46%になった時、水に浸けることを中止する。
発酵の間、粒は十分量の水中で、ルートレット(根)、アクロオスパイア(芽)を生長させる。この生長相の間、デンプン分解、細胞溶解、及びタンパク質分解の各酵素が形成され活性化する。これらの酵素は、すりつぶしている間、大きな分子、例えばデンプン、タンパク質、β--グルカンの様なものを本質的に分解する。強い呼吸作用の結果、水につけた粒は十分な空気にふれ、冷えてCO2は除かれる。発酵はアクロスパイア(芽)長がほぼ粒の長さの2/3-3/4になった時、普通は止めるが、その粒はグリーン麦芽として知られる。
乾燥の間,グリーン麦芽から水分は除去される。麦芽は脆くなるまで乾燥され、安定な貯蔵物質となり、そこからは根も簡単に除去出来る。乾燥は麦芽の層にいろいろなスピードの暖かい乾燥空気を流して行い、温度をあげて乾燥し、麦芽穀物にする。麦芽中の酵素活性は、乾燥レジメの温度、時間に非常に大きく影響を受ける。
醸造プロセス
最も重要な2つのビール製造プロセスとは、マッシュの間にデンプンの分解で糖にすることと、これらの糖を発酵してアルコールとCO2にするである。もっと簡単には醸造は7段階からなる;
1、グリストミル(製粉機)で麦芽大麦をつぶし荒い粉にする(例えばグリスト)。
2、マッシュタン(桶)中に、麦芽グリストを温水と混ぜ(マッシュして)粥状の粘性あるマッシュをつくる。麦芽酵素は、麦芽製造中調製されるものだが,つぶした麦芽の壊れた内胚乳を最も適した温度下で可溶化して、出来るだけ多くの可溶抽出物とする。
3、ロータータン(桶)中で、麦汁中の可溶化抽出物は、不溶の固形分(グレインハスク)から分離する。さらに水をタンクの上からマッシュにスプレーして抽出物を増やす。
4、次に麦芽ケルト(やかん)中で麦汁をホップとともに入れ煮沸する。これで酵素活性を止め、麦汁を殺菌し,あるタンパク質を凝集する。はっきりしたフレーバー、香りはホップから麦汁にうつる。
5、whirlpool(ジェットバス)で、熱い麦汁を沈殿した粒子(例えばtrub)から分離する。
6、麦汁の冷却、エアレーションを続け、イースト発酵の理想的な培養液を作る。
7、イーストが次に加えられ麦汁を発酵し、存在する炭水化物はアルコールとCO2に変わる。他のイースト代謝物はフレーバー、アロマに寄与する。
熟成と精製にビールは引き継がれ、その間、ビールのフレーバー、アロマ、品質保持がすすむ。最後にビールはパックされ、普通はその後、無菌濾過あるいは殺菌が行われる。
グルテンフリー穀物
セリアック病のひろがりは約100名中1人と計算される。この比率はセリアック病が最も一般的な不耐性の病気と知られたものの一つであることを示す。この病気は小腸内の免疫(媒介応答)で起こるもので、グルテンが引き金になる遺伝的感受性もつ個体に起こる。唯一の効果的治療法はしっかり穀物(小麦、スペルト、トリテケール、ライ麦、大麦)摂取をさけることである。穀物にはグルテンがあり、患者は生涯を通じて摂取をさけるべきである。
グルテンは小麦中タンパク質区分を述べるのに使う一般的用語である。グルテンタンパク質は、2つの区分に分けられ、それは水溶性アルコールへの可溶性、不溶性によるものである;可溶性グリアジンと不溶性グルテニンで全体的にはプロラミンとして知られる。小麦、ライ麦、大麦は全てグラスファミリー(Poaceae)のメンバーで有り、分類学的に近い関係にある。すべてこれらの穀物とそのプロラミン[グリアジン(小麦)、ホールデン(大麦)、セカリン(ライ麦)、多分、アベニン(オート麦)]は、セリアック病をもつ人々にとって有毒である。
穀物でグルテンを含まないものには以下のものがある;米(Oryza Sativa)、 トウモロコシ (Zea mais)、ソルガム(Sorghum bicolor)、 ミレット (例えば Panicuim
miliaceum, Setaria
italica, Pennisetum typhoideum と Eleusine
coracana)。他の炭水化物--リッチの偽穀物にはグルテンのないソバ(Fagopyrum esculentum)、キノア (Chenopodium
qunoa) とアマランス(Amaranthus)がある。
グルテンフリー食事の中でオート麦食品の摂取は、米国、その他の多くの国々で反対されていたが、最近の研究からセリアック病患者は全くコンタミのないオート麦を小腸絨毛に害を受ける事もなく適当量の長期摂取しても大丈夫であることがわかった。FCA (フィンランドセリアック協会)は、グルテンフリー食事の中にオート麦を入れた。1981年と2000年にWorld Health Organization(WHO)とFood and
Agricultural Organization (FAO)からCodex Standardのグルテンフリー食事見直し草案がでて、所謂グルテンフリー食品とは次のように述べると声明が出た:それは(i)グルテンレベル20ppmを超えないと思われる如何なるプロラミンも含まないオート麦からなる、あるいはそれで作られるもの
(ii)グルテンレベル200ppmを超えないグルテンフリーとしてきたオート麦からなるもの。にもかかわらず、多くの業者及びオーガナイザー、例えばCSA(Celiac Sprue Association)、 CDF(Celiac Disease Foundation, ADA (American Dietetic Association) は、オート麦に関する添加証拠のない安全性について彼らの考えを変更する事を躊躇している。
最も研究されたグルテンフリー穀物の1つはソルガムであり、これは元々セリアック病をもつ人のためにビールを作るために用いられたのではなく、1988年ナイジェリアの大麦麦芽の輸入禁止を乗り越えるために行われたものである。ソルガムに結びつくいくつか固有の問題点(低アミラーゼ酵素活性レベル、抽出低回収量、マッシュ濾過速度が遅い)があるが、大麦麦芽からソルガム麦芽に変える可能性を示す研究がある。最近、グルテンフリー食品の域における研究数は顕著に増加してきた。
ソバ、キノア、アマランをグルテンフリー食事に加えてよいかどうかの問題点に対し、GIG (Gluten Intolerance Group) (Seattle, Washington)とCDF(Studio City, California)の両グループは、これらの植物食品を受け入れたが、一方CSA (Omaha, Nebraska)はそれらを受け入れないとリストに述べた。しかしながらCSAはこれらの穀物に実際上グルテンが含まれてるとは言わない。ここで最近の証拠はこれらの穀物はグルテンフリー食品の生産に用いる事ができるという結論をより強く支持している。
最近の研究は、米、トウモロコシ、ミレットやソバ、キノア、アマランスの偽穀物といったグルテンフリー穀物が麦芽やビールの製造利用に焦点が絞られてきた。これらの研究で、一般に最も醸造に可能性の高い生材料はソバであることが別個にわかった。このことからソバの麦芽、醸造がより詳細に取り上げられた。
グルテンフリー生材料にもとずく麦芽とビールに関する研究は、ソルガムに焦点があわされ、このレビューの目的はソルガムに変わるものとしてグルテンフリー穀物、例えば米、トウモロコシ、ミレット、そして同様に偽穀物ソバ、キノア、アマランスの利用にも焦点を合わせた。