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2020年5月26日 09:33 (瀬口 正晴)

21世紀の古代穀物の世界供給;可能性解明のための鍵

1、      紹介

古代穀物は、よく個別的特徴、例えば収量、保存抵抗性、病気への抵抗性、あるいは新たな生化学的環境への適応といったものを改良する関連育種に欠けるものと特徴づけられている。これは古代穀物の選択スピードは遅く、天然界の選択スピードより早く取り込まれないことを意味し、さらに殆どの古代穀物が広域では栽培されることなく、それらの遺伝的原点の位置と地理的結びつきが強いものであるといっているようなものだ。これらの穀物は元々生えていた地域から外では育たないとは言わないが、その地域には遺伝的オリジンの位置に結びつく多くの鍵となる農業生態学要因がある。このガイドラインには、sorghum(モロコシ)やmillet(ヒエ)のあるもの、さらにその他のものについて例外もあるが、それらのマーケットアピールが一連の広い消費者に広がっているからである。

    古代穀物に対する初期の需要は高度の地域性であり、いくつかについては穀物が儀式式典に用いられたり、あるいは何か崇拝される対象物であった。しかしながら時間が経ち、需要はこれらの地域から外へでて、貿易を通し全粒を地球的な商品、あるいは加工商品に入れられた。古代穀物への現代の需要は作物によって変わり、また時代によって変わる。

    この章ではその古代穀物に関係ある供給と需要の力学のいくつかを検討する。この目的は、グローバル食品の可能性あるこの"天候と親密"な、しかし十分に活用されてない穀物を解き放つ鍵は一体何なのかを決めることである。穀粒の多くに限界域,生産,消費者情報があるため、これは挑戦的なトピックスである。多くの古代穀物に利用できる統計情報量不足のため、データーはUnited Nations Food and Agriculture Organization (FAO) (FAOSTAT, 2016) からのものに制限された。

2  古代穀物の供給と需要

古代穀物に対する供給と需要はいろいろあり、さらに広く貿易されるものとして知られているものは、例えばquinoa(キノア)(Chenopodium quinoa  Willd)、sorghum (モロコシ)(Sorghum bicolor (L) Mconch)、 some millets (ヒエ)、 buckwheat (ソバ )(Fagopyrum species)、 それよりは国際的貿易のレベルは低いが例えばfonio (フォニオ) (Digitaria species)、 teff (テフ) (Eragrostis tef (Zuccagni) Trotter)、及びamaranth (アマランス) (Amaranthus species) がある。広く交換されるものは国際的貿易の対照になる。しかし公式貿易のカテゴリーの中に入っているものですら、在来種中何%が貿易されているのかはっきりしないのであるが、例えばsorghumは一般に最近のハイブリッド品種で栽培されるものに対し、低所得の半乾燥熱帯諸国において栽培されるものである。Sorghumが温帯農業生態学に適応する場合には古代穀物の定義にはあっておらず、それは一般により高所得の国々で成長し国際的貿易に入る。

 

2.1          Sorghum (モロコシ)

Sorghumに関す国際的な統計は、殆ど完全に古代穀物のものである。Sorghumは全世界のほぼ1/3の国々で育ち,その全ての地域は19カ国に集中する。生産は;しかしながら15カ国に集中し、ヘクター当たりの高いばらつきを示し収量は5.5 メトリックトン(MT)(5500kg)/ha以上から0.20MT(200kg)/ha 以下の範囲である。

    国際的sorghum経済の第2番目のはっきりした特徴はその利用に関係する。Sorghumのはっきりした消費パターンに、2つの主な用途がある;ヒト食事用の消費と動物飼料用消費である。分布は2帯あり、ほぼ中程度、高所得国では主sorghum消費は動物飼料用で、一方低所得国はsorghum穀物を主食あるいは加工食品製品として消費する。中国では全地球生産量の20%を消費し、それは最も近い競争国メキシコの2倍である。エタノール生産への利用は近年重要となる、しかしエタノール生産に用いる油や代替物質の世界供給により大きく動く。Sorghumの動物飼料としての要求は貿易面で大きなモデルになり、余剰生産国から要求国(飼料、食品の両方)間への運送されるが、このsorghumの輸送は国際貿易のほぼ86%は2015年中国の輸入である。

 

2.2          Millets(ヒエ)

 

Milletsの種類には幾つかの品種があり、pearl、finger、proso、foxtail、 little、kodo、barnyard (Indian baryard)、Japanese baryard、他のmilletsである。Internationl Crops Research International for Semi-Arid Tropics (ICRISAT)、CGIAR (Consultative Group for International Agricultural Research) milletsの関係研究機関は、millets生産の50%はpearl milletであり、90 million (9000万人)の人々がこの種の食品と収入に関わっていると述べている(ICRISAT, 2016)。

    各品種の生産と消費の統計を得ることは困難だが、全millets を集めた地域はほぼアフリカ、アジア間で等量に割れるが、比例して生産はアジアが高い。Millets は84カ国で生産されるが、全生産量の90%は13カ国でできる。インドはmillets生産を支配し、主にはpearl millet, finger millet であるが、その量は全世界生産の41%である。その生産量は丁度25%面積比の広いNigerの約3.5倍の大きさである。これは大きくはインドにおいて、改良とハイブリッド品種によるpearl millet 成長の成功によるためである。とともにAfrican Sahelian (サハラ砂漠の周縁国) は世界のmilletの38%を生産し、この地域がその収穫物の遺伝的元祖の中心であるためこれらの国々はまず第一にpearl milletを生産する。Pearl milletの国際貿易は非常に制限されている。

 

2.3          Quinoa (キノア)

 

キノアの世界的供給と需要は過去10年間ドラマチックに増加し、過去5年間、栽培地域のほぼ150%が対数的に増加、そして生産も比例的に増加した。3アンデス諸国、ボリビア、エクアドル、ペルーは殆ど世界中のキノア栽培と生産をしたが、しかし最近の需要のうねりにより米国の太平洋北西、アイダホ,カリフォルニアでも新しい栽培が始まった。キノアへの世界的需要は消費者の価格上昇にも関わらず、収入の増加と収入のばらつきの減少を通してぺルーのキノア農民への福祉増加に寄与した。

 

2.4          Buckwheat (ソバ)

 

Buckwheat生産は非常に少数のある温度帯の国に集中しており、世界供給量の2/3以上が2014年には中国とロシア連邦で生産された。ウクライナ、フランス、ポーランド、米国は全世界供給量の各4%--8%で、これら6カ国全体でほぼ全供給量の90%になる。1961年以降、buckwheat栽培と生産にあたる地域の平均収量は約1MT(1000kg)/haと表示されたが、この20年間で生産量は倍を示すまで進化した。しかしながらbuckwheat生産の長期傾向は平均化して毎年低下傾向で、ほぼ50,000MT/年の供給である。しかし過去15年間の生産傾向は、ほぼフラットでそれは毎年の変化がなくなったためである。

 

2.5          Fonio (フォニオ)

 

Fonio生産は地理的特殊性から西アフリカに特異的である。全世界供給は、ギニアの76%に続いてナイジェリア、マリ、コートジュヴォアールの順となる。

小サイズfonio粒は粉砕の容易さと組み合わせ、製品収量は1MT/haを滅多に超えない収穫量である。これは作物生産の改善に関する研究が限られるために、新たな大きな消費のための供給拡大を生む機会を妨げる一例である。

 

3  結論

 

Ÿ   古代穀物の世界供給は、植物の成長を通し作物の改良でヘクタール当たり収量を増加する特別のケース以外のものに制限する。これはbuckwheat、sorghum、pearl milletの場合で、程度は低いがfinger milletも同様である。

 

Ÿ  供給は又栽培地域の拡張を通して増加する、例えばアンデスにおけるキノアの場合とか、さらに最近では同じ栽培条件の他地域に作物を作ろうとする。第三の傾向として、例えばbuckwheatであり、消費者の好みが他の製品にシフトするため,全製品の長期的な衰退がある。

 

Ÿ Quinoaの場合と同様に、消費者の需要が持続すると古代の穀物や疑似穀物の供給は国際的に対応するようになる。もし例えばmaize(トウモロコシ)のようなより生産性の高い異なった作物がこれら穀物に置き換わらない限り局所的需要は安定性を保つ。

 

Ÿ "特別食品"あるいは古代穀物に対する高所得国の最近の需要の傾向は、健康価値あるいはマーケットクレームを繁栄するものであり、それは殆どの需要増加がこれらの国々で起こるためである。低所得国でこれらの穀物の多くは作られるのだが、それらは経済的に"劣等"食品と考えられ、収入が増えるほどその需要は低下する。

これらのラベルが、quinoaの場合に続いて、高所得の消費者による二次的な需要の増加を維持するのに十分強力であるかどうかは、まだ不明である。

 

Ÿ  3番目の古代穀物粒と擬似穀物のはっきりした特徴は、その生産と消費を追跡する公的なそして簡単に受け入れられる統計に制限があるということである。幾つかの成功例がsorghum、milletと2−3の地域特異性穀物でより頻繁に見られたが、詳細な統計は国立公文書館に行かねば見られないない。さらにこの領域の研究では、生産と供給に影響する慣用パターンとファクターを明らかにする情報を掘り起こすことが必要である。

 

 

 

 

 

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