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2010年9月アーカイブ

2010年9月29日 10:43 (瀬口 正晴)

幼稚園のパン

本学(神戸女子大学)には附属幼稚園(高倉台幼稚園)が大学のキャンパスから離れたところにあります。以前からこの園児に何とかしてパン製作をさせたいと考えておりました。園長や管理栄養士に今春相談して、夏には1クラス38名の園児を2クラス、大学で製パン実習させる事になりました。

9月に入り、大学はまだ夏休み中でしたが、学生5名の援助を求めて、幼稚園児による製パン実習を行いました。

やると言ってもパンドウは当方の足田助手が進め、園児は粘土細工よろしく、パンドウを用いて自在に細工させ、これを助手が焼いて、パンにすると言ったものでした。園児にとって実験台は高すぎるので、特別にプラットフォーム(足台)をおき、その上に乗って何とか届くという塩梅でした。

パンの形は園児まかせで、ドウを細くのばしたり、丸めたりで動物の形を作ってゆきました。なかなかのアイデアで園児が言うミミズパン、キッテイちゃんパン、ウサギちゃんパンと自由自在の形を作り、パンにしました。

自分で細工したものがオーブンの中で大きく膨らみ、そのパンを手にしたときには大変に喜んでました。実習室は園児の発する奇声であふれ、great confusionでした。パンは大好きです。

数日後には園児の母親たちの製パン実習と続きました。

製パンは、イギリス食パンとサンライズ(メロンパン)でした。配合は以下のようなものです。大変に好評でした。

イギリス食パン                            【製法:中種法】
 《 中 種 》
『材料』           『配合』        ☆ ミキシング
Sカメリヤ(強)    70%          L2分M2分
生イースト      2       120分発酵後ガス抜き(パンチ)冷蔵発酵
水         40
  《 本 捏 》
『材料』           『配合』        ☆ ミキシング
Sカメリヤ(強)    30%              L4分M3分↓L3分M3分
生イースト            0、5                 (バター)
グラニュー糖          3、5           生地温度      27℃
伯方の塩              1、7           発酵  27℃75%  20分
モルト            0、3                    
脱脂粉乳              2              分割   230g×6個
無塩バター            4             ベンチタイム  20分
水                 25              成形  
                          ホイロ 35℃湿度85% 50分
                                  焼成  上火 180℃
                                            下火 230℃  40

    サンライズ    【ストレート法】
『材料』           『配合』       《クッキー生地》
強力粉             90%
薄力粉             10      薄力粉        480g
砂糖              15      無塩バター      120g
伯方の塩             1      砂糖         240g
卵               15      生クリーム        50g
無塩バター            8    卵    60g
生イースト            4        冷水            50g
脱脂粉乳             3    
水               48
      
《作業工程と条件》
1 材料は正確に計量し、粉はふるいにかける。
2 捏ね上げ生地温度は、27℃に設定する。 
3 バター以外の材料をミキサーボールに入れ、低速で4分、中低速で5分捏ねる。油脂を入れ低速で3分、中低速で4分捏ねる。
4 生地を丸め、27℃で60分発酵させる。
5 50gに分割し丸めて、生地を休ませる。
6 パン生地を丸め直し、クッキー生地をのばし丸め直した生地をのせ形を整え、グラニュー糖をつけ模様を入れて発酵させる。 最終発酵は、ホイロに入れずに暖かい室温で発酵させる。(30℃)
 7 2.2倍になったら、上火180℃下火200℃で12〜15分位焼く。
        
《クッキー生地の作り方》
1 バターを泡立て器で柔らかくなるまで混ぜ、砂糖を加えよく混ぜる。卵を少しずつ加え分離しないように混ぜる。生クリームを入れよく混ぜ、冷水を2〜3回に分けて入れ、分離しないように混ぜる。
2 ふるいにかけた粉を一度に加え木杓子を使って切るように混ぜ、粉気がなくなったら作業台に取り出し軽く練ってまとめ分割しやすいように棒状にして35gに分割する。

 

2010年9月21日 15:07 (瀬口 正晴)

食品の物性に関するシンポジウムに参加して

お茶の水大学で第37回食品の物性に関するシンポジウム(9/4−5)が行われ、暑いにもかかわらず大変に盛会でした。この会はファミリー的な会で、京大の松村教授、香川大の合谷教授のご両人のお人柄と大変なご尽力で、微に入り細に入り機能的にうごき、心地よく講演を聞く事の出来る会でした。


会での発表は多種多様、広範囲にわたり、例えばタンパク質だけとか、糖質だけとかいう事もなく、食品に関する全て、しかも物性にとらわれる事なくなんでもありと進められてゆきました。今回管理栄養士に関連する嚥下の問題などは3題ありました。


一人30分の持ち時間で、たっぷり話しを伺う事の出来る会でした。発表の準備は念入りだったかも知れません。自分の得意の分野を思いっきりしゃべる事ができ、そしてその後の議論も十分にできました。

小生の所で研究されている小澤博士は、以下のような発表を行い皆さんの好評を得たと思われました。

一般のホットケーキは、焼いてすぐのホットの状態のケーキを食べますが、熱い時のホットケーキは室温まで冷えたケーキとちがってケーキ組織の口腔内における弾力性は小さく、口の中ですぐに団子状になってしまい、おいしくありません。


ケーキ独特の弾力性が得られず、口の中で団子状になってしまうのです。それを改良する為にこれまでクロリネーション(塩素ガス処理)を小麦粉に施していました。クロリネーションは、本来小麦粉の漂白が目的でしたが、この漂白効果の出る以上にこのケーキ組織の弾力性がえられるという大事なメリットがあって小麦粉クロリネーションを使ってきました。


しかし塩素は体に良くないのではないかということから、ホットケーキ協会は自主的にこの使用をやめていますが、なかなかこれに変る安全な改良方法のないのが現状です。ハワイの食品のスーパーマーケットなどで小麦粉を捜すと、この漂白されたもの(多分クロリネーション)が市販されていました。アメリカで機内食のビスケットの包装紙にはクロリネーションが書いてありました。米国ではまだやっているのです。


そこで色々トライアルするうちに小麦粉の乾熱処理の可能性を小澤氏は追求し、結局クロリネーションに近い改良方法を提案しました。発表では、そのメカニズム、すなわち小麦粉中のプライムスターチ区分(PS区分)、テーリングス区分(T区分)の疎水化がその大きな原因である事を証明しました。なかなか明快な発表だったと思われました。なお小澤氏は管理栄養士です。

2010年9月13日 15:20 (瀬口 正晴)

学会の意義

食品科学工学会は毎年今ごろ行われ、今年の第57回大会は東京農大でありました。暑中にもかかわらず全国から多くの研究者、関連の方々がここに集まりました。小生もこの巨大な大学内の会場探しに汗をかき、15分の発表をやってきました。

学会とは自分の仕事を発表し、不特定の聴衆の方々にそれを聞いていただき、色々なご批判、ご意見をいただく有り難い、有益な会です。


見ず知らずの方から、よいアドバイスをいただく。自分の仕事がこんな風にも見られるのか、自分では全く気の付かない点をうまくご批判していただく、何と有り難い会なのかと思います。

多数の聴衆の面前、自分の仕事の粗(あら)を捜され質問され、その質問やご意見に対し自分はうまく答えられず、イライラやきもきし、棒立ちになり、顔面赤面、ヒトによっては蒼白となり、頭の中がパニックになるヒトがいます。聴衆は、自分のこの姿を見て笑っているに違いない、自分のピエロぶりをなぜこんなところで、しかも金(参加費)を払いながらせねばならないのかと恐れるヒトがいます。ある女性は、発表事前に質問しそうなヒトに、此の場で質問しないように頼み回っているヒトがいました。しかし、これは全くの誤解です。そんなことはやらない方がいいです。


学会の目的はそんなところ、すなわち演者をさらしものにしたり、みんなで心の中で笑いものにしているということはありません。それは演者が自分でそのように思い込んでいるだけで、勇気を持ってそれを乗り越えていただきたいものです。


質問者は、発表者に対し、失礼のないように敬意をもって質問しておれられますし、そうすべきです。学会発表も何度かやるうちにそのあたりがわかってきます。しかしただ単に厚かましくなって、質問にも誠意を持って答えず、アドバイスも受け入れないようになってはこれも困ったものです。


学会で講演を聴きにきている多くのヒトも、貴重な時間、旅費を使ってきているのです。とんちんかんな質問をして、真剣な聴衆からは無駄な質問するな、と思われないようにすべきです。限られた時間内でのくだらない質問はかえって迷惑です。そのテーマに近いヒトの質問の方が演者にとっても非常に重要であり、学会の真のデスカッションの意味があります。従って質問もよく考えて、第3者の聴衆者にとってもなるほどと思われる質問が大切なのです。



もう10年以上前、アメリカでの非公開の学会、デンプン円卓会議によばれたことがあります。世界中からその道のスペシャリストのみを集めた会でした。驚いた事に、その会では世界トップレベルの先生方が会場の要所要所にいて、若手の誰がどんな質問をするのかを聞いていました。そして会の雰囲気が低下してくると、若い研究者に質問するようにけしかけるようにしてました。

若い学者はそれを受けて積極的に真剣に質問し、自分の学会への売り込みの様な雰囲気でした。


今思うと、実は、その会はそれが何と若手研究者たちのデビューの場面だったように思われました。その後眺めてみると、そこでよい質問する研究者など輝いていたヒトが、各大学のトップの座を与えられいるような構造になっていることに驚いた事があります。油断大敵で、アメリカではこうして学者を育てるのだなあと思いました。


将来の日本のサイエンス、学問を支えるヒトに優秀なひとが欲しいのは当りまえです。
アメリカと同じ構造は存在しているのでしょうか。若いひとは自分の意見をしっかり持ち、しっかり普段から勉強している事がその意見に繁栄し、それを誰かが見ている事に十分関心と注意が必要です。

2010年9月10日 07:35 (瀬口 正晴)

論文審査の仕事

月に1報ほどのペースで、専門誌の論文審査依頼を受けています。これは当方から断ることのできるものですが、全て受けることにしています。

審査の分野は、小麦粉、小麦粉加工食品、麺類、パン類等です。何れも国内外の研究者の苦労してとったデーターが並んでいる苦心作です。論文審査には、一般に親が一人付き、そこにA, Bと称して子供の審査員がぶら下がり、組織が作られます。審査委員の名前は一切伏せられており、審査は自由に、何者からも制約される事なく秘密時にできるシステムになっています。

中心になる審査委員長(親)は、子供のA, Bの審査員がまじめに、正確に、客観的に審査が行われているかをwatch しています。いい加減な審査結果がくれば、その審査は無視して前進するというシステムです。さらに審査結果がA, Bで割れた場合には、親の意見が幅をきかして来ます。親が最終判定する訳です。

審査期間は最長で約8週間です。最近はもっと早く、もっと早くです。

各分野の第1線の研究者がその多忙な時間を割いて審査するわけで、大変に短い時間です。なるべく早く審査結果を出し、研究者の研究スピードを止めないという事です。

この審査という活動は、ある意味では学問の最先端を形成をするものであり、自分の審査の裁定が、学問の発展に大きな要因になっていると思います。さらに学問の牽引者として責任を感じています。

自分自身にとってはどんなメリットがあるのかというと、やはりこの分野で現在どのようなことに皆さんの関心があり、この分野がどの方向に向かっているか。その向かっている方向に対し十分に理解を深め、自分の仕事にとってもおおいに刺激になりに勉強になると思って積極的に参加しています。

数回にわたり論文をさっと読み、その次には細かく細読してゆきます。途中質問点、疑問点の整理、データーの信憑性のチェック、不十分な点などなどを書き出します。結果的にかなり厳しく審査する事にします。もし小生が本論文を書いたならばという基準で,少しでも疑問点があればそれを明らかにして修正を求めます。その結果、Rejectの裁断をするケースもあります。
これは少々気持ちが良くありません。誰も見ていないところで悪事をしているという感覚でした。お天道さんがいつもみているよと呼びかけてます。

しかし、論文によっては出来不出来の差が大きいのです。常に論文内容の新規性を審査基準にしています。

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