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2012年2月アーカイブ

2012年2月27日 12:04 (瀬口 正晴)

パンの話30 (マイタケ/小麦粉によるパン−2)

マイタケパンは、ただマイタケパウダーをそのまま小麦粉ドウにブレンドしても得られませんでした。

その原因はいろいろ考えられましたが、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の可能性を考えました。とにかく小麦粉ドウにマイタケパウダーを入れて混合するだけで、そのドウは溶け、水飴状になってしまうのですから。

他のキノコ類はどうかというと、ヒラタケ、エリンギ、シイタケ、ツクリタケなどを小麦粉に混ぜて同様に調べました。ヒラタケがマイタケの10倍量入れると同様に溶けるぐらいで、あとはそんな事はありませんでした。とにかくこのマイタケが他のキノコに比べて圧倒的にこの性質の強い事はテストして初めてわかりました。プロテアーゼの性質が強烈だったのです。

茶碗蒸しなどでも卵が溶けてしまうほどなのはこのためです。卵はタンパク質です。

プロテアーゼは酵素の一つです。酵素はタンパク質でできていますので、これを破壊するのにはタンパク質の熱変性が効果的です。

そこでマイタケパウダーを水に懸濁し、これをナベに入れて30分間ほど沸騰し、冷却してからマイタケとして製パン試験に用いました。


こうしてマイタケ水懸濁液を一度煮沸してプロテアーゼを完全に失活させた後、ドウに添加して製パン試験を行なうと、今度はドウの水溶化もなく、きちんと膨化したパンが出来ました。

やはりマイタケのプロテアーゼが原因でした。このプロテアーゼは金属プロテアーゼだろうとキレート化剤(EDTA)を用いて製パン性を行ないました。やはリキレート剤で効果が出てプロテアーゼは加熱しなくても小麦粉ドウの水溶化は阻止され、処理後、製パン性は回復しました。

その後、電気泳動法を用いて、小麦タンパク質のプロフィールをこのマイタケプロテアーゼ処理前後で比較検討しました。プロテアーゼによる破壊は小麦タンパク質でも特に高分子量区分がされるようでした。


マイタケの抗腫瘍性の性質は多分マイタケ多糖類によるものでしょう。このため熱処理しても多糖類はタンパク質と違って安定だから抗腫瘍性の性質は大丈夫と考えらます。

マイタケブレンドパンを少しづつ毎日食べていると、知らないうちに体内で発生してくる僅かのガン細胞はこのマイタケの力でそのうちに消えてゆく事がありえると思われます。

面白い事に、未加熱処理マイタケパウダーの少量を入れると、パンはその製パン性が壊れる事なく、むしろ僅かに容積の良い製パン性の変化の得られる事も観察されました。

少量添加ならば製パンに与えるプロテアーゼのよい効果が出たのでしょう。

つづく

2012年2月17日 16:15 (瀬口 正晴)

「患者よ がんと闘うな」近藤 誠著 の紹介

ある方から紹介され、読んだ感想文です。この本は管理栄養士としてご活躍中の皆さんにも大いに関係ある本と思われ、ここに紹介する次第です。

本書はもう10-20年ほど前に書かれた本のようで、時代は更に進み医学界と医師の考え方も変り、現状のがんの治療の進歩を大いに期待する次第です。

著者は慶大医の放射線科の医師です。本著の中ではがん治療の現状について、歯に衣を着せる事なく、大胆に報告されています。

その内容は、がん治療に如何ばかりに助けを求めようと思うヒトの気持ちを、なぜこうも大いに打ち砕かんとするのかと思うほどのすざましいものですが、やはりこれはまともなサイエンテスト、あるいはヒューマニストの手にかかると、必然的にこのような著書になったものと思われました。ある意味では極めて正直な有意義な本と思われ、がんの本質的問題を述べようとする本です。

食品加工分野ではひろうす、ヒリヨウスなどと言う言葉があり、これは歴史的にはポルトガルから南蛮文化(鉄砲、西洋菓子、食品)が安土桃山時代に移入された時に、入ってきた天ぷらのような菓子だったと言われてます。現在ではその変形が関西ではひろうす、関東ではがんもどきと言われているのがこれです。

著者はこのがんもどきをがんに引掛けてわかりやすく説明をしています。

がんの転移は初期がんでもすでに起こっていると言われます。それが転移がんの本質であると述べています。がんでも転移しないがん(がんもどき)は、放っておいてもそのうち少しづつ大きくなるけど心配ないと言われます。しかしこの転移がんに襲われたら初期がんであろうとどうしようもないのです。

がんの種類によっては例えば悪性リンパがん、小児がん、血液がんなどが抗癌剤治療でかなり良く直す事が出来るが、他のがんはでは全く治療の施しようがないと言うのです。

その証拠にこれまで各がんを大いに治療、研究したつもりでも、死亡率はちっとも変化してないではないかと言うのです。死亡率が低下しないという事です。これが現状であり、抗癌剤治療は全く意味がないとしています。

むしろ患者の負担する高価な抗癌剤費用、その患者の受ける苦痛を考えた場合、治療は疑問です。決して完治しないのが現状で必ず死を迎えます。それらの高価な、苦しい治療とは一体何の意味があるのだろうか。外科的手術で自分の大切な体の一部を外しても全く意味がなく、単なる医師の生活費稼ぎ、医療関連者の収入を潤すのみであるとまで言っているのです。

こうしてこの本を眺めて見るとそれが医学会の現状なのでしょう。

期待されるのはこの著書が出版されてから10−20年たち、その間時間が立っているということでしょうか。その間、新しい考え方の治療法など開発されているのでしょうか。

ここで考えていただきたいのは、やはり皆さん方管理栄養士の役割でしょう。発ガン原因は主には食事でしょう。

食事からの発ガン原因の大きい事は誰でも認めるところです。こうして見るとがん患者の生存率をあげるのは医師ではなく、栄養士、管理栄養士、そして大学の食関連分野の責任でしょう。皆さんにおおいに考えていただきたい事と思い、ここにこの本を紹介する次第です。ご一読ください。

2012年2月10日 11:23 (瀬口 正晴)

バレンタインデーの実習風景 (チョコレート製造実習風景)

大学(神戸女子大)のチョコレート製造実習風景です。お楽しみください。

チョコレートの製造実験
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チョコレートの冷却 チョコレートの試食の様子
2012年2月3日・金曜日、家政学部管理栄養士養成課程の食品加工学実習(瀬口 正晴教授)でチョコレートをカカオ豆から、調製し製造実験を行いました。
講義の最初にチョコレートの原料のカカオの生産が行われている地域、カカオ樹の栽培、収穫の説明から、カカオ豆の発酵と乾燥の方法、チョコレート工場での製造工程、チョコレートの歴史についての解説がありました。
続いてチョコレートの栄養成分からそのとろけるおいしさの鍵となる製造方法についての講義があり、いよいよチョコレートの製造実験になりました。
グループに分かれて実験を行います。カカオ豆(ロースト済み)は市販されていないので一般に見ることはありません。学生は珍しそうにカカオビーンズを手にとって観察して、殻を剥くところから始まりました。
コーヒーミルでカカオビーンズを細かく粉砕し、湯煎が始まると実習室一杯に甘い香りが漂いました。カカオバターや粉糖などを加え加熱・攪拌を続けました。
約一時間でどのグループもチョコレートを型に入れ冷やし始め、チョコレートを型抜きして切り分けチョコレートを味わうことができました。「おいしい」「甘い」といった声と「お店で売っているチョコレートと舌触りが違う」との声も聞かれました。
バレンタインデー前には店頭をにぎわせているチョコレートですが、学生は授業で得た知識も生かしてプレゼント選びができるのではないでしょうか。

殻のついたカカオビーンズ
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殻を一粒づつ丁寧にむいていきます
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殻を取り除いたカカオビーンズをコーヒーミルで細かく粉砕します
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粉砕したカカオビーンズに加えるカカオバター


材料を湯煎とドライヤーで加熱し加圧します
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湯煎に奮闘しています
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材料の計量に真剣な学生
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加える粉糖と粉乳を乳鉢でよく混ぜます
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アーモンドも入れて型入れし氷水で冷やします
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固まったチョコレートを取り出す瀬口教授
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固まったチョコレートの写真を撮ります
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チョコレートを慎重に切り分けます
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切り分けられたチョコレート
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自分で作ったチョコレートに満足しています
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2012年2月 3日 10:18 (瀬口 正晴)

パンの話29 (マイタケ/小麦粉によるパン−1)

以前にもご紹介した事のある岐阜の八尋産業、大矢社長がやってきて、各種キノコパウダーを持ってこられました。製パン材料に使えないだろうかと。いろいろなキノコのサンプルの中でマイタケ粉末が面白そうなのでマイタケの製パン試験をする事としました。


マイタケはかつては山奥に生えていたキノコで、入手困難の貴重なキノコでした。しかしそれを食べたヒトは、余りの美味しさに舞ってしまったという事からマイタケと命名されたのだと聞きました。おいしいキノコの代表です。しかし以前はシイタケのように簡単には栽培が出来なかったキノコで、現在の松茸のようなキノコだったようです。このキノコも栽培が可能となり、現在では雪国(株)などで多く栽培され、我々は食品売り場で簡単に安価で購入できます。


マイタケは茶碗蒸しなどに入れると、茶碗蒸しの卵が固まらなくなるといわれ、調理に少々工夫が必要なキノコです。

近年マイタケの水抽出液に強い抗腫瘍性のある事がわかり、この抽出液がガン研究の一つの糸口とされています。神戸薬科大学でこの研究されていると伺ってます。マイタケ多糖類の抗腫瘍性と思われます。

このパウダーが大矢氏から小生のもとに届けられたのです。早速数%ほど小麦粉にブレンドして製パン試験を行いました。

まず小麦粉の吸水率を測定するのですが、ブラベンダーファリノグラフのミキサーに粉を入れ、少しずつ加水しながらある温度(30℃)で撹拌してゆきます。その間の粘度変化をもとめてゆくのです。撹拌を続けると次第に小麦粉は水を吸水して粘度が落ちてゆきます。ある粘度(500BU)に達した時の加水量をその小麦粉の吸水率とします。これを製パン時の加水量とするのです。最も製パンに適したよく粘りの出る加水量という事です。

しかし驚いたことに、このマイタケを小麦粉に、鼻水のような液状になってしまったのです。

こんなドウではパンは得られません。そんな状況でした。パンは出来ないのです。




つづく

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