「バッハ、マタイ受難曲を聞いて」
近隣の的場輝佳先生から「バッハ、マタイ受難曲」の招待状をいただく。先ほどその的場先生と会場入口でお会いした。お礼を言う。3時間の長いものだからとの彼の言。今、1時半、これから開演。京都コンサートホール・大ホール、地下鉄北山駅そば、素晴らしいホールで数千名入る。後日の先生のお話では、当初は1000名入ればとの予想だったが1400人ほど入って喜んだという。ここで今から行われる。感動が得られるか。パイプオルガンもある素晴らしい会場である。アンサンブル・ヴォーチェ。そのなか、テノール(11名)中に的場輝佳氏の名前があった。これは興味のある素人の人たちが集まった集団で、2年半かかって練習してきた。この曲は ドイツ語で語られる曲である。大変な努力の結晶である。馴染みのないドイツ語の楽譜にはひらがな書き込みの人もいるとのこと。
果たしてこれからどうなるか、はじめに大津児童合唱団、そしてアンサンブル・ヴォーチェ合唱団が続々と入って、その後に演奏者京都シンフォニカが着席する。第一バイオリニストのたてた音に演奏者達は音を合わせる。室内は暗くなり、室内は静かになる。歌手が続々と入場する。最後指揮者の入場を拍手で迎える。合唱団以外は全てプロである。前奏曲が演奏され、合唱が始まる。マタイ受難曲の記憶を記録しておく。
小生の自宅(宇治市)のそばに、宇治カルメル会黙想の家があり、ここは聖母女学院短期大学学生諸君を連れ、 シスター安藤、シスター小川 とともに 合宿をしながら奥村神父の話を聞いたところである。懐かしい。小生、横浜の森永製菓(株)から移動したばかり、全く別世界から移動してきた小生にとりキリスト教のことはよくわからない 。だが森永太一郎も敬虔な信者だった。イエズスが神であり、それ以上の神は考えられなかったけれどもどうも話をはそうではない 。やはりイエズスのさらに上に神がいるんだという認識がなかなか持ちにくかった。今回この受難曲、衝撃の場面を見ることによってよくわかった。イエズスは神から人間の世界に遣わされた1つの事件であったということである。先日久しぶりにカルメル教会裏通り門から入って通路を登った。当時無かったが、その途中に全11面にわたり 十字架上、白板に刻まれたイエズス死刑場面が見られる 。その途中にはイエズス聖母にあう。イエズスシモンの助けを受けるがある。これらは今から始まるまさにマタイ受難曲 第2部のアリアと合唱の場面である。
演奏と共に何故イエズスが批判され、非難されたのかが大合唱の元に解説され、音楽に乗ってストーリーは展開されてゆく。キリスト磔の2日前からである。バッハ の音楽に乗って、解説者(副音史家)が各場面のストーリーを語り、ソプラノ、アルト、バス、合唱団等が歌い、その場面をリアルに表現してゆく。映像のない時代、バッハの苦労で見事にイエズスの場面を音と言葉で民衆にわからせてゆく。第一場がおわって20分間の休みがあり第二場に至る。
イエズスが数々のことばを発し取り囲む信者がその言葉を残している。しかしその言葉は真実なのかどうかと周囲のものは疑いはじめ、最後にはイエズスを磔にして殺してしまえと言うストーリーだ。イエズスは 大声で「私の神よ、どうして私をお見捨てになったのですか(エリ、エリ、ラマ、アザプタニ!)」と叫ぶ 。イエズスはもう一度 大声で叫んで息を引き取る。すると 異変が起こり神殿の幕が上から下まで 二つに避け 大地が震え 岩が裂け 墓が開いて眠っていた聖徒たちの多くの体がよみがえて人々の前に現れる。 この異変を見て みんなは本当にこの方が神の子だったのだとわかった。これで周囲のものはイエズスが本当の神からの天からの降りてきたものと確認され、イエズスの身体を大切に地に葬ったというストーリーであった。延々とストーリーが展開後、起立した大合唱の下、全音楽を使って最後、静かにおやすみくださいと、もの語りは終了するのであり、イエズスとは何か、神との関係は何かこの演奏を聴きよくわかった。135名の大合唱団、42名のオーケストラ、歌手連による3時間にわたるこの演奏は、バッハの美しい音楽に乗り、イエズスの存在の確認を、そのリアリテイを人々に証明したものであった。
全てドイツ語演奏のため聴衆に渡されるパンフレットは日本語版が渡され、さらに演奏中には正面左右に日本語のスーパーが流され、観客それらをみて内容を理解できるようにされていた。大ホールには1400名の聴衆がこれを聞いた。京都の人がほとんどであったろう。見ると正装の年配夫婦が聞いていた、奥深い京都のインテリゲンが聞いていたようだ。感動の1日であった。
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