ワイルドライス;栄養と健康増進への関与−3
5.
健康意義の可能性
全粒消費の健康的価値は一般には栄養成分、ビタミン、ミネラル、いろいろな他の植物化学物質含量によるとされる。そこで、それらは心血管病、2型糖尿病、肥満、ガンの危険性を低下させるものに関係がある。2006年にはワイルドライスは全粒がUS
Food and Drug Administration(米国医薬品局)によって認められ、最近さらに関心が強くなった。ワイルドライスの価値は、その天然の栄養的プロフィールの相乗効果によるものであり、例えば高含量の食物繊維(Zhai et al., 2001)、不可欠脂肪酸(Przybylski
et al., 2009)、およびフェノール成分(Qiu et al., 2009, 2010)によるものである。
古代穀物の全粒消費増加の食物推奨と消費者の関心は、ワイルドライスのヒト食物利用を薦める。ワイルドライスの抗酸化的性質は、わずか2-3の研究報告があるのみで、それらはワイルドライスの脂質過酸化反応の役割に関するものである(Asamarai
et al., 1996; Johnson and Addis 1996;
Minerich et al., 1991; Rivera et al., 1996; Wu et al., 1994)。いろいろな肉製品中に取り込ませる時、素末扱い、あるいは調理ワイルドライスは脂質の酸化を遅らせる可能性があり、そこでワイルド粒抽出物は効果的な抗酸化物として用いることができるだろう。しかしながらフィチン酸だけはワイルドライスタンパク質の抗酸化物質の1つとして特徴づけられた(Wu. et al., 1994)。これらの発見はワイルドライスが食品製品の酸敗から防ぐ、あるいはそのシェルフライフを長引かせるのに利用する力があることを示す。更にQiu et al., ( 2009, 2010) は、市販のワイルドライフの抗酸化活性の研究とこれらの性質に関する特別の関与物質の同定を行った。ワイルドライスのメタノール抽出物の抗酸化活性は、それらのDPPHラジカルスキャベンジング活性とDRACアッセイから、白米のものよりも10倍ほど高いことが見出された。フェルラ酸とsinapic
acid(シナピン酸)は、ワイルドライス中最も多くのフェノール酸と同定された(Qiu et al., 2010)。アセトン抽出物は白米より30倍以上抗酸化活性が大きいことを示し、更にこれらに関する抗酸化特質はフラボノイドグルコサイドとflavan-3-olsであった(Qiu et al., 2009)。
更にZ. latifoliaの茎、葉抽出物には効果的な抗酸化的性質を有することが報告され、しかし茎抽出物だけはアンジオテンシンコンバーテング酵素(ACE)阻害活性があり、高血圧の治療にうまく利用された(Qian et al., 2012)。もう1つのin
vitroの研究では、抗酸化性質の他、ワイルドライスの虫こぶエキスがあるが、直腸ガン細胞中のヒトβ--defensin-2のプロモーター活性を刺激し、ポジテブな効果を自然免疫システムに与え、その結果ヒト健康に遺伝子表現を活性化することで貢献する(Oritani et al.,2009)。Lee et al.,(2015)はZ.latifoliaの空中部からメタノール抽出した区分の可能性ある価値を研究した。 FlavonolignansとFlavonesは、in vitroで主な一酸化窒素の生産とヒスタミン放出に対する阻害活性の認められる主成分であると認められた。Salcolin DとZ.latifolioのもつ最も強い抗炎症剤と抗アレルギー作用が、可能性のある治療源として確かめられた(Lee et al., 2015)。これまでの研究から(Lee et al., 2009b)、全ワイルドライス植物メタノール抽出物のポジテブな効果が報告された。これまでの研究から(Lee et al., 2009b)、全ワイルドライス植物のメタノール抽出物のポジテブな効果が報告された。研究された抽出物は、物質48/80誘導脱顆粒を阻害する能力を持つことと、ある濃度依存的な方法で抗原--誘導β--hexosaminidase
遊離を阻害する能力を持つ。この性質はタイプIアレルギー反応の阻止に有用である(Lee et al., 2009b)。
更にZ.latifolia 虫こぶ(gall)のエタノール抽出物はmice中のosteoclast(破骨細胞)形成阻止能力を有し、osteoporosis(骨粗鬆症)阻止に対する効果的溶液として発展した(Kawagishi et al., 2006)。著者らは、虫こぶ抽出物が破骨細胞形成をいかなる細胞の損害性もなく、49%まで低下することを見出した。これまでの研究でもワイルドライスはラット中の結腸ガンの異常に大きな陰窩病巣の数を効果的に減らした(Gallaher and Bunzel 2012)。
ワイルドライス消費のポジテブな可能性ある科学論文と情報に関するものには限界があり、ヒトのワイルドライスを用いた食事療法に関する試験データーはない。しかしながらZhang et al., (2009)は、ワイルドライスのラット食で高脂質/コレステロール食の脂質--低下と心臓保護効果を報告した。炭水化物源としてワイルドライス取り込みは、血清トリアシルグリセロールとトータルコレステロールの増加を抑え、そして高密度リポタンパク質レベルを低下させた。ワイルドライスリッチ食の効果により、血清と肝臓組織でのスーパーオキシドジスムターゼ活性の増加、マロンジアルデヒド濃度の低下が示された(Zhang et al., 2009)。更にHan et al., ( 2012) は、ラット食の高脂質/コレステロール食によって引き起こされる肥満と脂肪毒性に対するワイルドライスの防御可能性を調べた。観察されたのは、ワイルドライスは肝臓中脂質滴の蓄積を阻止し、血清--遊離脂肪酸とleptinレベルを極小にして、ラット中の肥満と肝臓脂肪毒性に対して健康効果を示した。又、リポタンパク質リパーゼとアジポーズトリグリセリドリパーゼ活性の低下を阻止した(Han et al., 2012)。体重と脂質プロフィールの改善に同じ効果がZhang et al., (2009) により報告された。更にHan et al., (2013) は、食事炭水化物にワイルドライスを置き換えることで、ラットのインシュリン抵抗性への効果を研究している。結果から、ワイルドライスはラットで異常なグルコース代謝の改善すること、インシュリン抵抗性に効果があることが示された。更に、ワイルドライスの食事への取り込みは肝臓ホモジネートトリグリセリドの異常性あるいは悪いレベル、および遊離脂肪酸レベルを逆行させ、そして食事誘導脂肪毒性の改良があった(Han et al., 2013)。一般にワイルドライス消費は,はっきりとグリセリド、遊離脂肪酸、血清リポカリン−2レベルを落とし、つづいて血清中、ラット肝臓中のアジポネクチン濃度を増加する事がわかった(Han et al., 2013)。
ワイルドライスのコレステロール低下効果と抗アテローム派生効果は、低--密度リポタンパク質レセプター欠マイスで観察された(Surendiran
et al., 2013)。著者らは、ワイルドライスの消費がマイスの大動脈ルート中のアテローム性動脈硬化症の病変とサイズを顕著に減らすことを示し、それらは明らかに血清コレステロールレベル、低密度リポタンパク質レベル、超低密度リポタンパク質レベルの低下と関係のあるものである。しかしながら食事中のワイルドライスに対する応答がマウスのオス、メス間で異なった。メスマウスは、ワイルドライスのコレステロール低下効果により良く反応した。全フェノール型物質と食物繊維含量は白米と比較して増加したけれど、血漿および赤血球スーパーオキシドジスムターゼおよびカタラーゼ活性は改良しなかった。得られた結果から、コレステロール低下効果は、低--密度リポタンパク質(LDL)-レセプター欠マイス中のアテローム発生阻害に対する主要因であり、メスのコレステロール排泄スピード増加に主に関与している(Suendiran
et al., 2013)。更にMoghadasian
et al., (2016) は、LDLレセプター ノックアウト オスマウス中のアテローム性動脈硬化症(粥状硬化硬化巣)阻止への植物化学物質とワイルドライスの結合効果を試験した。植物ステロールと結合してワイルドライスを消費すると、コントロールグループに比較して顕著にそのアテローム性動脈硬化症の病変のサイズと重大度を低下した。この効果は、糞便中コレステロール排泄中の増加と同様、血漿全体、LDL、超低密度リポタンパク質 (VLDL) コレステロール濃度の顕著な低下に強く結びつく。しかしこの研究はワイルドライスとフィトステロールの長期消費がマイス中安全で、心血管リスクファクターを低下する(Moghadasian
et al., 2016)証拠を与えた。しかしながら、作用メカニズムと可能性のある臨床転帰は未知のままである。ワイルドライスの可能性ある抗酸化と健康増進の性質は表10.7にまとめた。
6 これからの目標と可能性
ワイルドライスは従来の米粒とは関係なく、全粒穀物と同定される。以来、ワイルドライスは栄養的成分と同様その関心はもっと健康増進の性質の特徴に向けられている。研究から、ワイルドライスには高レベルのタンパク質、ポジテブな脂質プロフィール、複雑な炭水化物、更に高レベルの繊維を含むことが示された。非常に多くの情報がワイルドライスの成分に関して蓄積されてきたが、しかしながら更に必要な研究分野がある。生物活性化合物の組成と含量は多少希薄さと矛盾があり、そこで分析法の統一が必要である。
近年、高い抗酸化活性をもつ食品にかなりの関心がある。ワイルドライスはかなりの量の植物化学物質を含むが、それは抗酸化物質の豊富な源と認められる。ワイルドライスの複雑な性質は、その抗酸化的性質と結びつき健康価値の可能性に結びつくが、特に慢性疾患の抑制に結びつく。そこで毎日の食事にワイルドライスを入れる努力は行うべきである。酸化しやすく食品へのワイルドライスの取り込みは、それらのシェルフライフを長引かせ好ましくない変化から防御するだけでなく、健康的価値を増加する事もできる。しかしながらワイルドライスとヒト食物と間にデーター介入はなく、動物実験だけではいつも十分ではない。そこで、動物で見られたと同じポジテブな効果が見られるかどうか、ヒトの毎日の食事の中にワイルドライスを実際に添加したヒト主題の研究が必要である。
一言で言えば、ワイルドライスの組成と植物化学物質に存在するその含量は、現在と未来の世代のための顕著な機能性食品として位置づける重要なものであり、多くの進化する慢性疾患に対する防止と予防に価値のあるものであろう。しかしながら、より多くの努力が以下の方向には必要であり;(1)これらの植物化学物質の大部分が一般的抽出プロフィールでは簡単には近づけられないような結合様式で存在が認められると考えると、ワイルドライス中の高レベルの抗酸化成分の検索と利用のための経済的に実現可能な方法を発展させる必要があること、(2)改良したタンパク質、アミノ酸、植物化学物質含量と組成、優れた抵抗デンプンと繊維含量の栽培品種の発見と開発、そして(3)ワイルドライス製品(例えば粉と抽出物)を含んだ官能特性の妥協なしの一般食品の開発である。
メインページ