ルピン;そのユニークな栄養と健康促進的性質-2
6 ルピン製粉食品と食品成分として分離区分
6.1 粒、フレーク(
薄片)、グリッツ、ミール、粉
ルピン種子の分類わけ、等級わけし、振動スクリーンや金属検知器を用いて外部からのものを除き、脱皮装置を通して、粒を割り皮を分ける(Villarino et al., 2015b)。ルピンは他の豆に比べ比較的厚い皮で、一般にルピン粒を更に加工するのに脱皮が必要である(Clements et al., 2005b)。粒は製粉し、粒子サイズ<150から>600μmの範囲をふるう(Irwin Valley, 2011)。ルピンフレーク、グリッツ、クラム、ミールはルピン粉に比べて粒のサイズは大きく、そのサイズを決めるスタンダードは存在しない。しかしながら大豆に対するUSスタンダードは(Kanzamar et al., 1993)粉を♯100メッシュ(0.149mm)通したものとし、一方異なったソートのグリッツは#10メッシュ( 2.0mm) を通り、 #80メッシュ(0.177mm)までのものとする。ルピンフレークは適切な機械的な加工で作られ従来の製粉とは異なりフレーク状の幾何学的な粒子であり(Lupin Food Austraria、個人連絡)、フレーク粒の直径は1.5-3.0mmである(Terrena Lup'ingredients 日付なし)。製粉したルピンの粒子サイズは、食品用途の重要な品質パラメーターである。例えばVillarino et al., (2015b) は、パン品質に悪影響を与える前に小麦パンに加える際のルピン粉の粒子サイズの増加が顕著にルピン粉取り込み量の増加をすることができることを報告した。
ルピン粉、あるいはその抽出成分、例えばタンパク質あるいは繊維は、栄養的品質を強めるために食品に添加出来る(Vllarino et al., 2016のレビュー)。この添加は小麦粉を30-40%ルピン粉で置き換えて、いろいろな食品製品でタンパク質レベルを46-352%まであげ、食物繊維量を106%−346%まであげることができた。例えばトーフ(Jayasena et al., 2010b)、テンペといった発酵食品中、大豆にルピン粒を置き換えた利用研究(Coorey 1995; Fudiyansyah et al., 1995)が行われた。ルピン粉の取り込みは主要な小麦ベース食品、例えばパン(Ballester et al., 1988; Bartkiene et al.,
2011; Doxastakis et al., 2002;
Guemes-Vera et al., 2008; Mubarak ,
2001; Paraskevopoulou et al., 2010;
Villarino et al., 2015a)、 ビスケット(Jayasena and Nasar-Abbas, 2011)、 インスタントヌードル(Jayasena et al., 2010a)、 パスタ(Clark and Johnson 2002;
Martinez-Villaluenga et al., 2010)が研究され、タンパク質と食物繊維含量の食品中の増加、一方で消費者の受け止め方低下を最低にすることができた。小麦粉への約10%ルピン粉添加が製パンで報告され、ドウとパン品質の増加、及び老化の阻止が報告された。インスタントヌードルでは約20%までのルピン粉の代替えは、栄養的品質を調理時のどんな顕著な効果も食感にも影響なく増加できた(Jayasena et al., 2010a)。更にルピン粉の黄色(lutein、zeaxanthin、β-カロチンの色素から、Wang et
al., 2008)を食品(例えばケーキ、ビスケット)に入れ、卵黄、バター色の色素添加の必要性がこれで低下できる(KohaJdo Va et al., 2011; Krawczyk et al.,
2015)。
膨化小麦ベース食品、例えばパンのルピン利用の主な障壁は、ルピンタンパク質の低弾力性とルピン食物繊維の高水結合能である(Turnbull et al., 2005)。これは低いグルテン相互接続されたマトリックスの原因(Guemes-Vera et al., 2004)、低パン容積、硬い腔内でのテクスチュア( Villarino et al., 2016のレビュー) の原因となる。この問題対処のために、Villarino et al., (2015b) は小麦ベース膨化パンロールへのルピンの最大の取り込み調査のため統計的モデルのアプローチを行い、小麦粉に対し製粉ルピン粒28%置き換えたパンが消費者に受け入れられた。
ルピンの製品への取り込みで、もう一つのチャレンジは好ましくない後味に対する可能性に対するもので;ガラス状、豆状、金属状、油状、干し草のような、肉のような、チーズのような後味である(Bader et
al., 2009)。消費者は後味や異常な味を焼き物の中に感じた(Halland Johnson, 2004)。この結果、30%以上ルピン取り込みでマフィンのフレーバー受け入れ低下とビスケットでは20%以上の取り込みでフレーバー受け入れが低下し、豆臭(大豆製品でよく知られた、Shin et
al., 2012)が報告された(Jayasena and Nasar-Abbas, 2011; Nasar-Abbas
and Jayasena , 2012)。
ロースト、あるいは加熱したルピン種子はその豆臭(Yanez et
al., 1986)を低下し、酸化上昇低下により粉のシェルフライフを伸ばす(Auger and Corre, 1993)。ルピンフレークの脱脂もまた豆臭の低下を約束するようで、そしてルピンタンパク質の消費者への受け取り方を改良する(Bader et
al., 2011)。また、サワードー発酵がルピン製パンで研究され、好ましくないルピンフレーバーを発酵の好ましいフレーバーでマスクする研究であった(Bartkiene et al., 2011; Schindler et al.,
2011)。
ルピン粒、フレーク、グリッツ、粉は、更に色々な区分、例えば分離タンパク質、精製粒食物繊維、水溶性副産物(例えばホエータンパク質やオリゴ糖)に加工され、それらは次のセクションで述べる。
6.2 分離タンパク質と濃縮物
分離豆タンパク質は、そこにはルピンのも含まれるが、ある範囲の方法で抽出、分離するがいずれも等電点沈殿法(Lusas and Riaz, 1995)あるいは超遠心法(Chew et al.,
2003)を含む。ルピンタンパク質分離物は、湿製粉した粉あるいはルピン粉(脱脂あるいは非脱脂)から高アルカリpH(例えば9)で溶解抽出し、遠心分離で不溶性区分(食物繊維)の除去を行い、続いて大部分のグロブリンタンパク質(例えばα-,β-コングルチン)をpH4.5の酸沈殿法で集める(Coorey et
al., 2013; Sipsas, 2008)。不溶性繊維残渣、酸沈殿タンパク質、酸可溶性"ホエー区分"は、常温保存食品製剤として次に利用するため乾燥する。等電点沈殿法で調製された大部分のα-,β-コングルチン区分は、上等な乳化的性質があるが(Sironi et
al., 2005)、食品材料として用いるときに必要な粘度とゲル形成能が小さい。酸可溶性ホエー区分は、一度無駄なものとして考えられたが、例えば生化学的活性ペプチドγ--コングルチン(Sironi et
al., 2005)といった価値あるタンパク質成分や、安定な起泡性性質(Coorey et
al., 2013; Wong et al., 2013)を含む。それらの機能的性質の食品産業での重要性のため、ルピンタンパク質区分はE ( 乳化 ) 区分(α-,β-コングルチン)とF ( 起泡 ) 区分(γ--コングルチンーリッチ)とされた(Sironi et al.,
2005; Wasche et al., 2001)。
ルピンタンパク質分離物には有用なテクノ機能があり、例えばフランクフルトソーセージ(Alamanou et al., 1996)、 そしてビーガン(菜食主義)卵白代替品の可能性が提案された(Wong et
al., 2013)。食品中のそれらの性質の詳細の多くは専有情報に残す。しかしながら、国際的な植物タンパク質マーケットでの競争力を確保するために、更にルピンタンパク質区分の機能(例えば粘度とゲル化)強化されるための研究が必要である。
6.3 食物繊維区分
ほんのわずかの研究が、高繊維食品の開発へのルピン食物繊維区分の利用のために報告された。しかしながらルピン粒繊維は、ソーセージパテ中の脂肪交換剤として効果があるとAreher et
al., ( 2004) により報告された。パスタ中、小麦粉をルピン繊維で置き換えるとき、食物繊維レベルを約10%まで大きく上げても、全体的な受け止め方に何ら異常はなく可能であった(Clark and Johnson, 2002)。ルピン分画の酸--可溶ホエーにはオリゴ等が含まれ、それはプレバイオテック活性があり(それは価値のある腸細菌の成長を刺激するものである; Roberfroid, 2007)。しかしながら、現在この価値ある性質の可能性については全く臨床的証拠はない。市販ルピン食物成分の例はセクション7で述べる。
6.4 ルピン油
油は、またルピン種子からエクストルージョンやプロテアーゼ添加の前処理で水抽出され(Jung, 2009)、あるいは溶媒抽出される(Ortiz
and Mukherjee, 1982)。オイル種子の豆に比べて、多くのルピン品種中の油は低レベルと述べられているが、ルピン油は高価なニッチ商品として残る。
7.市販のルピン食品素材
いくつかの市販の利用ルピン種子材料が、表8.4のように各国で出ている。ルピン粉はオーストラリア、オーストリア、ドイツで作られている。オランダではミックス粉、例えば酵素活性粉、繊維入り粉といったものが市販されている。ルピングリッツやフレークは、特別のパン、セレアル、スナック製品にシェルフライフ改良材、味、テクスチュア改良用に用いることが薦められている。ルピン皮繊維は、チリ、ドイツで市販されている(表8.4)。L.
albus皮からの繊維は、焼き物、セレアルバー、パスタに利用が薦められ、肉製品中の脂質代替え品、食物繊維として販売されている。製粉した皮はルピン"ふすま"として販売されており、食物繊維含量増加以外にこれらはパンのシェルフライフ増加に使われている。市販のルピンタンパク質抽出物には、分離タンパク質(>90gタンパク質・100g db)、濃縮( 60-90gタンパク質/100g) 、タンパク質リッチミール(<60gタンパク質/100g)がある。市販業者によると、分離ルピンタンパク質は、乳化性、溶解性、起泡性、ゲル形成能があり、食品の構造、テクスチュア、官能的性質に影響し、ミルク、卵、肉代替え品に用いることが出来る。市販の濃縮タンパク質は、ケーキとバッターの乳化性、クリスプネス、粘着性を改良することが報告された。ドイツの会社はルピン油を販売し、黄色--褐色のルピン液は種子L.
angustifoliusからCO2抽出で抽出され、ベーカリー製品、肉製品、パスタ産業に薦められた。
8. 市販ルピン入り商品
ルピン種子やルピン区分を含む食品製品例を表8.5に示した。2000年代はじめからルピン成分が一般にヨーロッパ食品に見られ(Fletcher 2006), 約15,000トンがEUで消費、主に小麦ベースの焼き食品にルピン粉のわずかを混ぜた。ルピンは、口当たりがよく栄養的に強化されたパン、焼き物、パスタ、肉製品、飲料の範囲を含むものに、ゆっくりだが人気が出てきた(Belski et
al., 2011)。2015年にはすべてのベーカリー製品はルピン粉を含むようになり、ドイツでは22%、続いてフランス21%、 イタリア11%である。
9 ルピンアレルギー性
ルピンはアレルギー反応の危険性を含み、2014年EU Food Information Regulationの下(Food Standards Agency, 2016)で宣言された14に至るアレルゲンの1成分である。最近ルピンが食品アレルゲンとしてラベル義務付けされ、オーストラリア、ニュージーランド(Food Standards Australia New Zealand, 2016c)では公式のコンサルタント段階である。摂取または吸入したルピンタンパク質に対するアレルギーの人の%は比較的わずかであり、1522患者のうち2%弱がルピンアレルギー試験にポジテブで、ピーナッツ(8%)、大豆(11%)と比較される(Hieta et
al., 2009)。ルピンの僅か量に晒すと、しかしながらひどいアナフィラキシーになる(Moneret-Vautrin et al., 1999; Smith et al.,
2004).ピーナッツアレルギー者の中で、約5%はルピンに晒すと同じ兆候を示す(Hieta et
al., 20009; Reis et al., 2007;
Sanz et al., 2010; Smith et al., 2008)。
アレルギーエピトープのいくつかの位置がルピンタンパク質にありβ--、γ--、δ-コングルチンはすべてアレルゲンと報告された(Jappe and Vieths, 2010; Sanz et al., 2010)。更にα--コングルチンは、34 ピーナッツアレルゲン参加者と5非ピーナッツアレルゲン参加者の血液サンプルを用いたクロス反応研究でアレルゲン性を報告した(Sirtori et
al., 2011)。L.
angustifolius に対する各特異的アレルギーのためβ--コングルチニンファミリーのタンパク質はアレルゲンとして可能性がある(Foley et
al., 2011), 一方L.
albus, 両コングルチンβ--とコングルチンα--区分はアレルゲンと報告された(Guillamon
et al., 2010b)。食品中の僅かなルピンタンパク質を検知するのに迅速方法が開発され、そこにはサンドイッチ酵素結合一イムノソルベントアッセ―法(Ecker and Cichna-Markl,2012)と液体クロマトグラフィー電気スプレーイオン化タンデム質量分析プロテオミックス法を含む(Mattarozzi et al., 2012)。
ルビン食品のアレルギー反応を低下させるために色々の加工方法が応用された。例えばAlvarez-Alvarez et al., ( 2005) は、押出、ボイル、超音波加熱をテストしたが全く効果なかった。しかしながらルビンのアレルギー反応は、138℃30分間のオートクレーブで6バー、30分間制御した圧力降下すると壊れた(Guillamon et al ., 2008a, 2010a)。
報告されたルピンアレルギー反応の発生を述べてみると、多分ルピンはより世界中に広がり権威者は必須ラベルをアレルゲンとして提案するようになるだろう。最近のこの問題のレビューで、Ramanujam et al., (2016) は以下のように結論している。「ルピナスアレルギーに関連する課題を克服するには、製造業者による適切な製品ラベル付けと、医師および一般の人々の認識が必要である」と。
10 ヒトにおけるルピン摂取の健康へのプラスの影響に関し臨床研究の現状
ヒト臨床研究から、ルピン種子区分を含む食品がメタボリックシンドロームをともに作り上げている循環器疾患(体重増加と肥満、上昇した血糖値、上昇したインシュリンレベル、上昇したコレステロールレベル、高血圧)の危険要因の点に価値ある効果を与えるという進歩的な証拠を与えている(Hodgson et
al., 2015; Kouris-Blazos and Belski, 2016; Villarino et al., 2016)。すべてのルピンの種類の高繊維、高タンパク質、炭水化物成分の低利用性は、これらの防御効果に責任があるようだ(Hodgson et
al., 2015; Kouris-Blazos and Belski, 2016; Villarino et al., 2016)。表8.6は臨床研究をサマリー化したが、ルピン成分を含む食品の消費効果の研究で、慢性疾患リスクのバイオマーカーに関することである。これらの研究を以下より詳細に述べる。
10.1 抗肥満効果
ルピンあるいはその区分を含む食品は、(非常に満足)な食後に強く食欲を減らすことができるという臨床証拠があり、その効果は長期間食品摂取の減少を助ける効果があり、そのため健康な体重を維持するのに役立つ。例えば16健康成人での研究で、40%ルピン粉を含む等エネルギー小麦パンの朝食が小麦粉だけのパンと比べ、より高レベルの自己満腹感、昼食での低エネルギー摂取が行われた(Lee et
al., 2006)。同様の研究が20健康成人で行われたが、ルピン―小麦パンの方が小麦だけのパンよりより高い知覚で自己満腹感が認められた(Keogh et
al., 2011)。しかしながら、昼食時には小麦だけとルピン―小麦パンの間では、自己満腹感あるいはエネルギー摂取の相違はなかった(Hall et
al., 2005b)、多分ルピン粉の取り込み(10%)が低レベルのためであろう。ルピン粒繊維による食後満腹感効果は、また38人男子の研究でも報告があったが、そこでは全脂ソーセージパテイ朝食、あるいは脂肪のいくつかをルピン繊維に置き換えた低脂肪--パテイを入れた低エネルギー朝食摂取の比較研究をすすめた(Archer et
al., 2004)。この研究では、満腹効果は上部消化管においてルピン繊維の高水分吸着能のコンビネーションによるもの(Turnbull et al., 2005)と、結腸での短鎖脂肪酸への発酵の効果(Johnson et
al., 2006)と仮設がたてられた。
より長期の臨床試験が数週間あるいは数ヶ月行われ、ルピン食品の抗肥満の効果が説得力の低い証拠が得られた。例えば体重と体成分で相違なしが88人体重過重大人で見られ、彼らは小麦だけか、あるいは40% ルピン粉パンを16週間毎日食べた人々であった(Hodgson et
al., 2010)。同じように、結論のつかない発見が他の研究でも見られ、3ヶ月間エネルギー制限食事としてルピン粉焼き物、あるいはパン穀物を食べさせられた(Belski et
al., 2011)。利用できる証拠に基づいて、臨床研究で有望なルピン食事後の満腹効果は体重低下の実際の効果には変換されなかった。
10.2 2型糖尿病防御効果
グリセミック指数(GI)は、しばしば誤解させる考え方である。それは、同量の利用可能な炭水化物を含む例えば白パンあるいはグルコースのようなスタンダードに比べ、食後の血糖値の持続時間増加とレベル幅を広げるという一連の利用(消化)できる量の炭水化物を含む食品の一部の能力を述べたものである(Wolever et
al., 1991)。GIは、そこでいかにうまく高利用炭水化物食品中の利用可能炭水化物中のグルコース吸収とメタボリズムをコントロールできるか(例えばインシュリンで)を測定するものである。この光の下、しかしながら事実上利用できる炭水化物がないためルピンは測定できるGIを持たない。ルピンは、しかしながら利用できる炭水化物が非常に低く、どんな食事のグリセミックロード(GLグリセミック負荷)も本質的に低下するのである。GLは、食品のGIに1食あたりの利用できる炭水化物(g)含量をかけたものでそれを100でわって計算されたであり、食事中の利用できる炭水化物の量と質の両方を測定するものである(Glycemic Index Foundation, 2016)。低GL食品は本質的に2型糖尿病防御食の一部として食事の品質改良をする(Buyken et
al., 2010)。
更に、ルピン粉のデンプン性食品、例えば、白パンへの添加は、その粒繊維を通し製品のGIを低下する可能性を有する(Turnbull et al., 2005)が、それは高水分吸収能がある。これはルピンが小麦デンプン消化スピードとグルコース吸収速度を低下する結果である。更に、ルピン中の高タンパク質レベルはインシュリン活性を刺激し、更にグリセミックレスポンスを低下する。オーストラリアの甘いルピン粉を白パンに添加すると、朝食の大部分の成分のGIを低下し、パンは健康なヒトのボランテアにとり口当たり良いものと報告された(Hall et
al., 2005b; Lee et al., 2006)。
理想的には臨床研究は"リスクにさらされている"人々に行われるべきであるが、しかし研究の行われる間、倫理的配慮や処方された治療法の変化による交絡因子のために困難である。この複雑性にもかかわらず、2型糖尿病で、食後の血糖値とインシュリンレベルへの効果が、ルピン粉を加えた、加えないグルコースドリンクの評価を用いて行われた(Dove et
al., 2011)。ルピンの混入はグルコースレスポンスを低下させたが、インシュリンレベルをあげた。血糖値低下活性は、ルピン種子のγ--コングルチンタンパク質区分によるものであった。まさに1つの臨床試験の証拠が示されたが、それは口からγ--コングルチンに富んだルピン抽出物の飲み込みは、一般的薬物治療のメトホルミンよりも低い量で血糖値を低下することができたことである(Bertoglio et al., 2011)。しかしながらγ--コングルチニンに富んだ調製物は精製されておらず(Bertoglio et al., 2011)、研究結果を曖昧にしている。
長期的な血糖値コントロールとインスリン応答(インスリン感受性)効果の2つの測定、及び2型糖尿病の危険性低下は、低空腹時血糖値とインスリンレベルである。空腹時の血糖値、インスリンレベルへの食事へのルピン粉含有食品取り込みの影響が研究された。1つの研究は、全粒小麦パンとビスケット食で、全粒小麦のみのコントロールに比べてルピン粉をまぜたものを含むものは、空腹時インスリンレベルの低下を示し、しかしグルコースは同じレベルであった(Belski et
al., 2011)。もう1つの類似研究では、しかしながらこれらのバイオマーカーの点で2つの食事間での違いはなかった(Hodgson et
al., 2010)。
10.3 循環器疾患の防御効果
血中全コレステロール(TC)、低濃度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、トリグリセリドのレベル低下、高濃度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)のレベル増加は、循環器疾患の危険性を低下することができる(World Heart Federation, 2016)。ルピン粉の食事への添加で血液コレステロールレベルに関する何らかの価値ある効果があるという長期臨床試験からの結論的証拠はない(Hodgson et
al., 2010)。対照として、食事へのルピン粒繊維の添加で、毎日28日間の食品の範囲内への取り込みの添加は、健康なヒトでLDL-コレステロールとTCの臨床的に顕著な低下が見られた(Hall et
al., 2005a)。中程度の高コレステロール血症成人を対照とした、食事介入試験でのルピン粒繊維消費によるコレステロールへの有益な効果も報告されている(Fechner et
al., 2014)。著者らの考えは、コレステロール―低下効果は、糞便中で測定される短鎖脂肪酸酪酸と酢酸の同時増加によるためということである。対照として、もう1つ別の正常コレステロール血症参加者の研究では、ルピン粒繊維の食事への添加が血液脂質レベルの修正をしなかった(Fechner
et al., 2013)。
25g/day で4週間のルピン分離タンパク質の消費もまた、分離ミルクタンパク質に比べて、成人中で高オリジナルコレステロールレベルを持ちながら有益な低LDL-Cが報告された(Bahr
et al., 2013)。同時に、適当に上昇のコレステロールを持つヒト25人の参加者を入れ4週間食事療法をおこなったが、そこではルピン分離タンパク質を食事に混ぜたもの、そこには入れてない同時ケースの供給食事とを比べたら顕著なTC低下を示した(Sirtori et
al., 2012)。ルピンタンパク質のコレステロールへの効果は、上昇したコレステロールの被験者でのみ明らかであり、それは大豆タンパク質の場合でも同様であった(Sirtori et
al., 2012)。
高血圧は循環器疾患者にとり重要な危険因子である(Word Health DFederation, 2016)。体重超過の大人で、ルピン粉食事への取り込み、例えばパン、ビスケット、パスタで行い、ルピン粉なしの当量粒食品の食事療法と比較し長期的な食事療法が行われ、価値のある血圧低下を示したという研究の証拠がある(Belski
et al., 2011; Lee et al., 2009)。
10.4 腸の健康改良効果
最近胃腸内細菌叢のバランスの重要性と、そのプロバイオテック(良)バクテリアの良健康における役割の理解に対し大きな動きがある(Sarao and Arora, 2017)。多くのプレバイオテック食品成分があるようでそれと並んで、プロバイオテックバクテリアの成長を刺激することができる。制限はあるが、しかし重要なことはルピン粒繊維はプレバイオテック成分として働き健康腸機能をサポートする。Smith et
al., ( 2006)は、食事療法の研究でルピン粒繊維を日常の食品のものに加えて(チョコレートミルクドリンク、パスタ、パン、マッフィン、チョコレートケーキ等)、18健康人で4週間研究した。ルピン粒繊維を含む食事は、コントロールに比べ糞中のClostridiaグループのバクテリアのレベルを低下し、一方同時にBifidobacterium spp.のレベルを増加し、潜在的に価値のあることであった。この発見に基づいて、著者によりルピン粒繊維は"プレバイオレック"と分類された。続いて同じ研究プロトコールで38健康人が研究され、ルピン粒繊維と混ぜた食品は、腸機能を改良し(例えば低下した輸送時間)、糞のpHの価値ある低下し、糞の高酪酸塩レベル増加(酪酸塩は健康コロニーセルの発達の基盤)し、一方腸健康の自己申告認識の変化無しであった(Johnson et
al., 2006)。同様にFechner et
al., ( 2013, 2014) は、ルピン粒繊維の食事添加後の排便機能及び糞便化学の価値ある報告をした。
11. 結論
ルピンは、よく排水され、酸性、砂地、低〜中降水量地域、地中海型気候のところで、持続可能な"代替作物"農業システムの一つとして、開発に将来大きな可能性がある。ルピン種子は、高タンパク質と食物繊維というユニークなコンビネーションで、他の豆類と比べたとき、植物タンパク質や食物繊維供給源として次第にヒト食品マーケットに貢献する必要がある。しかしながら、ルピン種子は他の豆に比べ比較的厚い皮を有し、ヒト消費(Clements et al., 2005b)の前にそれを除去する必要があリ、その結果高レベルの無駄がある。こうしてルピン皮の生化学活性繊維への加工における変化は、そこからの構成ミネラルと植物化学物質により生理的利用性が生じ、新しい価値をもつ有用な繊維成分となるだろう。これは先進世界(Australian Bureau of Statistics, 2015)に広がる食物繊維取り込みギャップを埋める助けとして貢献出来るだろう。従来の育種あるいはGM的方法を使った硫化アミノ酸(メチオニン、システイン)レベルの増加したルピン高タンパク質品種の開発は、ルピンに要求されるより高度価値のある食品、動物飼料両方への増加する要望への約束をする(Glencross et al., 2007; Sipsas et al.,
2004)。しかしながら現在のルピンのGM利点の危険性についてのGMテクノロジー利用は、はルピン育種プログラム中物議をかもしている。非GM分子育種技術、例えばCRISPR/Cas9は、特異的ルピン種子品種目的解決の良い解決策を供給するかもしれない。
ヒト栄養にとってタンパク質、食物繊維の価値ある供給源に加えて、あきらかなことはルピンは食物成分の健康増進機能としての可能性があり肥満、糖尿病、高血圧、循環器疾患、腸ガンのリスク増加とのつながりがある。しかしながら大豆と比べ、ルピンの慢性疾患リスクバイオマーカーとしての効果評価の臨床的トライアルは非常に少ない。また、機能食品として他の豆と比べてルピンの唯一の価値を同定する大きな臨床的研究はない。また例えば2型糖尿病のようなリスクある参加者グループにおけるルピンのリスク低減特性の実証の必要性が残る。ルピン粒繊維は、食後満腹感の約束効果を示した(例えばArcher et
al., 2004)。しかしながらその体重ロス作用効果は、長期臨床研究で評価された。γ--コングルチンリッチルピンタンパク質区分の明らかなグルコース低下効果はBertoglio et al., (2011)により報告され、天然の抗糖尿病成分の開発が大きく約束された。しかしながら、精製γ--コングルチンの食品グレードの大スケール精製加工の効果的製造、あるいはまた高γ--コングルチン品種の育種には、未だにこのルピンタンパク質のグルコース調節活性を実証するためのより臨床的試験が要求されている。腸の健康リスクマーカーでのルピン粒繊維の防御的役割に関する限られた臨床研究で有望な発見を与えること(Johnson et
al., 2006)、更にルピンの何らかのプレバイオテック効果の実証を優先する研究等が優先的である。
ルピンのアレルギー誘発性は、ルピン取り込みの産業及び消費者の両方にとって障壁であり、特にアレルゲン―フリー大豆の最近の進歩は従来の育種を通してのものであり(Schmidt et
al., 2015); そこでルピン中のアレルギー反応の低下も長期育種テーマで重要である。ルピン種子中の低く、安定なアルカロイドレベル保持は、食品製品中に含まれるより信用おける種子品質となるであろう(Beyer et
al., 2015)。
産業界の"押す"同様、消費者の"引っ張る"は、ヒト食品としてルピンの取り込み拡大に要求される。この消費者が引っ張るということは、持続可能で栄養価が高く、健康的な人間の食品成分としてルピン種子のユニークな特性を最大限に活用するためのプロモーショナルキャンペーン(広告宣伝活動)を通した投資を必要とするということである。
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