セリアック食事中のオート製品の現在の状況
イントロダクション
価値ある高含量繊維と生物活性の共同存在は、オートを一般食、グルテンフリー食の両方で魅力的な物質にしている。オートの食物繊維は、栄養的に特に可溶性区分が高含量で、(1→3)、(1→4)--β-D-グルカンと結び付き、それは全粒重の2-7%にもなりオート粒の主細胞壁成分である(Wood, 1986)。β-グルカンの十分な毎日の食事取り込みは、心臓病や冠動脈疾患の危険性を低下することに結びつく。β-グルカンに加え、オート、特にオートふすまは、ほとんどの他のグルテンフリー粉より高含量の全食物繊維を多く含んでいる(表8.1)。更にオート中のタンパク質含量は、米、あるいはコーン粉よりも高い。
食物繊維、タンパク質に加えて、オートは不飽和脂肪酸、生化学的活性物質量のかなりの量を供給する。オート中、全脂質量は3-9%の範囲である(Brown and Craddock,1972)。脂質の大部分は不飽和脂肪酸で、殆どの脂肪酸はモノ不飽和オレイン酸と多価不飽和リノール酸である。オートは高含量の抗酸化剤を持つことが知られ、典型的なトコール(C26H44O2)含量は約20-30mg/kgである(Lasztity et al., 1980; Peterson and Qureshi, 1993)。他の抗酸化物質でオート中に存在するものにはフェノール酸、アベナンスラミドとステロールがある。
各タンパク質のクラス分布はオートはユニークで、グロブリンが最も大きなグループである。対照としてグルテン含有穀物の小麦、ライ麦、大麦グロブリンは全貯蔵タンパク質のほぼ10%であるが、最も大きなグループのプロラミンは全貯蔵タンパク質の80%を占める(図8.1)。殆どの他の穀物種子貯蔵タンパク質のように、オートプロラミンもグルタミンとプロリンに富んでいる。
多数の臨床研究から、今やオートは多くの国々でグルテンフリー食品の1パートに入ると認められている(Leiss 2003; Kupper 2005)。同時に特別のオートブレンドでは、全製造を通してオートが他の穀物とのクロスコンタミしないように注意深くコントロールし、クロスコンタミしても最小にしていることが紹介されている。結果として、多くのセリアック病患者は今やオート製品を彼らの食事の多様性と栄養品質のために用いている。
オートのグルテンフリーの状況
小麦とともにオートは最も完全にセリアック病と関連して臨床研究された穀物である(表8.2)。臨床研究は、セリアック病患者用グルテンフリー食事の一部としてオートの適当量の長期使用の安全性を示してきた。
1981年よりCodex standardにはオートをグルテン含有穀物、小麦、ライ麦、大麦とともにグルテン含有穀物と定義されていた。しかしながらグルテンフリー製品のスタンダードは最近のCodex Alimentarius法のステップ6であり、グルテンフリー食品としてのオートの利用は国際レベルであると決められていると記述されている。米国Food and Drug Administration(FDA)が2007年1月に提案したのは、"グルテンフリー"という言葉の定義にはグルテンフリー製品中にオートの入ることを禁止してはいないということである。
セリアック病と帯状疱疹を持つフィンランド患者は、1997年来オートを含むグルテンフリー食事を用いている。2001年来、オート食品はまたフィンランドでセリアック病の子供により容認された穀物リストに入っている。この国ではセリアック病の大人の73%がオート食品を彼らの毎日の食事に使っている(Peraaho et
al., 2004a, 2004b)。患者は味、使いやすさ、低コストを知り;彼らの94% はオートがグルテンフリー製品と解釈している。
オート製品
オートは皮付きで収穫され、人が食べるのにはオート製品から除去する必要がある。更に内胚乳脂質--修正酵素、特にリパーゼは、またリポキシゲナーゼ、リポパーオキシダーゼは、更に使うのに特に加熱処理によって不活性化する。脱皮、及び加熱処理したオート粒は異なった成分とともに食品を色々な形に加工し、見てくれ、味、技術的機能を持ったものにする。
オート製粉による区分化
オート粒の主な技術的部分は、皮、細胞壁(例えばふすま)、内胚乳区分である。硬い外皮は30-40%粒重量を占める。オート製品を述べる異なった言葉の利用の多様性を明らかにするために、American Associartion of Cereal Chemists (AACC)のオート委員会はオート製粉区分の定義を調べ始めた(表8.3)。オート全粒の大部分のうち、人が消費するのはオートフレークのローラーミル、あるいは粒を3-4部分に金属カッターで切って作る。オート粉と比べ、これらのハンドリングとその先の加工はオート粉を固める時やりやすくする。
オートフレークはベーキング加工に用いられるが、一度水と混ぜて簡単に崩壊する。使用するときにはこの崩壊は望ましくなく、もっと厚いフレークが使われやすい。対照としてカット粒は、ベーキング加工の間その構造の部分を保持し、最後の製品に粒の外観を残す。
健康の効果は、主にオート製品中の全食物繊維、βーグルカン含量に頼るところがあり、しばしばオート製品はβーグルカン含量により特徴づけられる。脱皮オート全粒中のβーグルカンはふすま製品に富んでいる。ふすまは、オート全粒粉から篩でデンプン内胚乳を除去し、あるいは空気分級で除去し作られる。ふすま中に残るデンプン内胚乳量の量は、製品から製品により違って来る。普通のオートふすまは、典型的には6-8%β--グルカンを含み、一方変わったオートふすま濃縮物は22%までβーグルカンを含むことができる。より高いβーグルカン含量は適応の抽出プロセスを使って得ることができる。
オート製粉区分はまたエクスクルード製品として利用できる。エクストルージョン加工は僅かにロースト臭を加えてフレーバーを変え、オートデンプンをアルファ化デンプンにする。他の穀物に比べ、オートはまた高脂質含量でもある。例えオート脂質が栄養的に有益であると考えられても、それらは加工性質上は悪影響を与え、オート加工の貯蔵安定性には悪い影響がある。結果的にはあるオート製品では、安定性を良くするためさらに加工前にソルベント抽出して脱脂する。
オートを含む消費用製品;技術と挑戦
オートは色々な消費者用製品に含まれセリアック病患者の食事に多様されている。
オートだけでは伝統的製パン加工には適しておらず、ほとんどの市販オートパンには小麦粉のかなりの量が入っている。市販オートパンのタンパク質ネットワークは、しばしば添加グルテンで強化されている。そこで最近利用される殆どのオートパンはセリアック病患者にとって適当ではない。しかしながら新たなベーキング加工を応用するとグルテンフリーオートパンを作ることが可能である。典型的なグルテンフリーパンはデンプンに基づくものである。デンプンパンはしばしば穀物フレーバーを欠き、グルテン含有パンのような口当たりの良いクラム構造を示すことに欠けている。オートを他のグルテンフリー成分と混ぜると、好ましい香りと味はテクスチュア同様に達成することができる。オートを全粒フレークあるいは粉で殆どを用いると、それらはマイルドなナッツ臭が出る。
最近のベーキング技術ではオートパン51-100%のものが開発され(Flander et
al., 2007), そしてはじめての製品がすでに市販された( www.eho.fi
for a 100% oat bread を見よ)。
パンに加えて、オートは広く色々な他の製品に用いられ、スナックやかゆがある。オート・スラリーの発酵は、ヨーグルトタイプのものを作るので、それはセリアック病患者ミルクアレルギー、乳糖不耐症の患者に用いることができる。いくらかオート含有する飲料もマーケットに現われている(例えばオートミルク)(Lindahl et
al., 1997; Onning et al., 1998; Chronakis
et al., 2004)、 及びオートーベリー飲料である。オートアイスクリーム、オートパンケーキミックス、ミール置換飲料( Mokola 2004) は、すべて全体的に新規な高水分オート食品である。Lyly et al.,
(2004)の研究は、オートβーグルカンが技術的にはスープ中の好ましい粘り剤であるが消費者に好まれている。オート抽出物の高いせん断力粘度により、製品溶液あるいは高水分食品に対する技術が調べられた。しかしながらこの製品はセリアック病患者以外の高いマーケットの可能性がある(表8.4)。
オート製品のグルテンフリー状況の解析法
他の穀物あるいはグルテンフリー食品中の成分同様、オートは小麦、大麦、ライ麦のように禁止された穀物種がコンタミしている。コンタミは農地で起こるが、輸送、貯蔵、製粉あるいは食品加工中にも混入することがある。
グルテン分析法はいろいろな食品の母形からの混入するプロラミンの正確な定量が期待される。2つのELISA法によるグルテン分析が広く商業的に利用される。それらの違いは、プロラミン検知のための抗体である。1つはモノクローナルω--グリアジン抗体で、熱安定性ω--fractionは小麦、ライ麦、大麦プロラミンから作られ、しかしオートアベニンからではない(Hill and Skerit 1989)。その主な欠点は大麦、ライ麦プロラミンが小麦プロラミンと同じ感度の検知ができないからである。更にWieser (2000)は、相対的ω-グリアジン量が小麦品種で違いがあり、そのことが不正確な結果を導くことを示した。他に、もっと最近のELISA 法はライプロラミンに対して産生したモノクローナル抗体R5に基づいている(Sorell et al., 1998; Valdes
et al., 2003)。この方法は、一時的な承認がCodex Committee on Methods of Analysis and Sampling (Codex
Alimentarius Commission,2005)としてされ、the Codex Committee
on Nutrition and Foodsfor Special Dietary Uses (Codex Alimentarius Commission
2003)によりさらに進められた。抗体R5は5ペプチドQQPFP(グルタミンーグルタミンープロリンーフェニルアラニンープロリン)が小麦、ライ麦、大麦プロラミンに存在するのを認識し、しかしオートにはないことを認識する(Kasarda, 1995)。この配列はプロラミンに何度か繰り返しが見られ、特にω--タイププロラミンに見られる(Shewry and Tatham, 1999)。Osman et al.,(2001)は、この抗体で認識できる異なったペプチドを研究し、エピトープ中最も重要な必要構造はdipeptide FPのようであることを報告した。このペプチドは小さく色々な異なった起源のタンパク質にあるので、可能性としては、抗体R5はセリアック病の人々に有毒ではない多くのペプチドを認識する可能性がある。結果として、誤検知の危険性があり、それはグルテンフリー食品の現在のバラエティーを低下させる。
Kanerva et al.,( 2006)は、大麦コンタミ既知量のわかったオートサンプルを作りプロラミン含量の定量をした。結果、R5抗体に基づくELISA法では数倍のオート基準サンプル中のプロラミン含量を示したが、その結果はそれらのあるべき値よりもずっと高かった(つまり実際に存在するよりオートサンプル中7-30倍高いホールデン濃度であった)。その結果はホールデンがグリアジンの代わりにスタンダードとして使われる時に改良された(Kanerva et al., 2006)。この現象はグルテンフリー製品の大麦の僅か量が含むなら分析を難しくし、そして多分マーケットからいくつかのグルテンフリー製品を不必要にはじき出すことになる。そこで大きな必要あるものは分析方法であり、食品成分および加工食品中セリアックー毒ペプチドの差別化と定量化できるものである。オートはセリアック病の患者の食事の一部に適しているので、小麦、ライ、大麦と差別化するより特異的な方法が必要である。
これからの傾向と結論
現在の臨床データーによると、明らかにオートはグルテンフリー食品に含まれる。Holm
et al.,(2006)は、セリアック病を持つ子供がまたコンタミのないオートを長い間彼らの食事の一部として消費して来たと述べた。更にオートの入った製品は子供によく受け入れられている。Carsed and Scott(2007)は、最近のレビューの中で以前の矛盾していたデーターは少なくともオートへの小麦の一部コンタミによるものであったと結論している。北欧諸国では大麦は典型的なオートのコンタミがある。オートがセリアック病患者にとり広く、安全だとすすめられる前に、コンタミのない、安全なオート製品の農場から食卓までのチェインが必要であることは明らかである。"純粋オート"製品は近年発達し、いくつかの製品はマーケットに出ている(例えばwww.creamhillestates.com and www.provena.fiを見よ)。
コンタミのない、"純粋"オートはグルテンフリー食品に真実に変わる。オートは典型的に穀物の特徴を製品に届け、ベーカリー食品、カユ、スナックのような典型的な穀物利用の材料として用いることができる。全粒オートベーキング技術の進歩は、更に伝統的タイプのソフトパンの品質、指向性を改良した。セリアック病患者のオートパン選択はすでに市販的に利用されている(例えばwww.moilas.fiを見よ)。
オート、及び特別のオート区分は、現在の消費者の高繊維製品への要望を満足させる。オート区分は、例えば飲料、ヨーグルトタイプ食品、乳製品のような最近の健康増進製品のいくつかのタイプに適している。オートは一般に広く受け入れられているので、全ファミリーに選ばれ、少々グルテンフリー製品へのコンプレックスは必要ない。これはセリアック病患者にとってはっきりとした助けとなるが、それはグルテンフリー製品は基本的な製品よりも典型的に高価だからである。
食品中へのオートの取り込みは、グルテンフリー食品にとってはいくつかの変更点が必要になる。現時点ではオートはほんのわずかの国々でグルテンフリー食品として承認されている。もっとオートを広く受け入れるためには、セリアック社会、当局、科学者、全食品生産チェーン間の活発な協力が必要である。
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