Millets (ヒエ):ユニークな栄養、健康増進の性質-3
6.
ヒエ食品製品の健康促進的性質
ヒエ食品の重要な健康増進効果は、抗糖尿病、抗炎症性、循環器疾患病(CVD)阻止、プレバイオテックとプロバイオテック効果に整理することが出来る。
6.1 抗糖尿病関連効果
大きな関心事はヒエ食品が低GIで糖尿病を防げるかどうかである。殆どの研究はインドのfinger milletで進められたが、その国では効果に対して非常に強い文化的信念がある。残念な事にShobana et al.,
(2013)によるレビューによると、仕事の多くは続けられたが実験的に欠点があり、例えばGI研究のプロトコールである。ここでは唯一明らかにうまくデザインされた研究がレビューされている。これらは逆の結果であった。
わかった事はfinger milletと精製コムギでつくった合成粉ヌードルは、健康な若い女性成人が消費した時、精製小麦粉のヌードル(63)より低いGI(45)であった。
同様にfinger millet--コムギ合成パンは健康な被験者によって消費されコムギパン(63)にくらべ、低いGI(41-43)であった。対照として、非インシュリン依存性糖尿病患者はfinger millet、 米、モロコシで作ったロチ(平パン)とダンペリングを食べる時、finger milletロチ、ダンプリングは一般に他の穀物でつくったものより高い血糖反応を与える。他の研究では、小麦、脱皮finger millet、米のポン膨張菓子で作ったかゆを健全者に与えると、小麦かゆは遥かに低いGI(55±9)であり、fingerかゆは93±7で米製品のそれよりほんの僅かに低い値だった。
ある研究者はまたfoxtail
millet 製品は低GIを示した。例えば健康被験者は、finger
millet-小麦合成ビスケットは多少GIが小麦ビスケットより低い値、51対68を示した。同様にfoxtail-millet
-小麦合成パンは多少GIが小麦ビスケットより低いと示された。クロスオーバー無作為臨床試験を用いてfoxtail millet -小麦合成ビスケットとfoxtail millet -ひよこ豆合成スイート(バルフィ)がタイプ2の糖尿病患者に試験された。とりわけ両foxtail millet製品は血清グルコース、コレステロール、低--密度リポプロテイン(LDL)、 グルコシルヘモグロビンの顕著な低下と高密度リポプロテイン(GDL)の増加を示した。Pearl millet に関しては、スーダンの研究でタイプ2糖尿病を持つ患者でいろいろな伝統的食事をとるものは、pearl milletsのかゆと小麦パンケーキは最も低いグルコースとインスリン応答を示した一方、トウモロコシかゆは最も高い値を示した。極小ヒエの僅かに出版された仕事がある。1つだけの研究だが、健全者とタイプ2糖尿病患者が脱皮しローストしたbarnyard milletで作った食品を食べた。28日のトライアルで、両グループは僅かに血清グルコース、トリグリセリドの低下とHDLの増加を示した。しかしながらその仕事は、本質的にはローストしたbarnyard millet のGIの低下を示した。これは加工で抵抗デンプンが生じ、多分barnyard milletの特異的品質ではない。
最近の研究から、伝統的アフリカ食品製品のpearl milletやモロコシから作られたものは、西側穀物食品製品よりもずっとゆっくりの胃空を示すというはっきりした証拠が示された。Maliの農村で行われた研究で、健康被験者がモロコシとpearl millet で作った濃いお粥とpearl millet、 白米、小麦パスタ、調理ポテト等で作ったクスクスを食べた。13C-ラベルオクタン酸呼気検査法を用いて、全てモロコシとpearl millet で作った食品は他の食品に比べて胃排出の半量(約5時間)にかかる時間が約2倍であった。やや不思議なことには被験者の示す被験データーは、白米とpearl milletのクスクスミールが他の穀物よりも高い膨満感と低い空腹スコアのあったことだ。
疑いもなくフェノール植物化学物質はヒエにより観察された抗糖尿病関連効果にかなり関係があった。Shobana et al.,(2009)は、finger millet 種子膜からの抽出物にフェノール物質の関連範囲が多く、単純フェノール、アントシアン、タンニンが含まれ、α--グルコシダーゼやα--アミラーゼの強力なインヒビターであり、殆どのヒトデンプン分解酵素の阻害剤で有る。類似の結果はフェノールリッチ抽出物のbarnyard , foxtail,proso milletsから得られた。またヒエ中のフェノール類はより微妙な効果を示したが、それは多分抗酸化活性に関係あることであった。ラットの研究で、finger millet種子膜はレンズアルドースレダクターゼ活性を低下し、血清の高度な糖化の低下、グルコシル化へのヘモグロビンレベルの低下、更に白内障の発生の低下を示した。これらは全て血清グルコースータンパク質反応の低下した指標である。更にテストグループは腎臓損傷の多少の逆転を示した。
他の仕事では、ラットの研究でfoxtail
milletの水溶性抽出物の強い抗血糖効果も観察された。同様にマウスモデルを使いwhite fonio
flourは米粉に比べてインシュリン抵抗性を改良することもわかった。Fonioは炎症性サイトカインを低下することにより糖尿病の重症度を修正することが出来るだろう。しかしながらこれらの研究ではその効果がフェノール類によるものかどうかははっきりしてない。
6.2
抗炎症性およびCVD(cardiovascular disease=循環器疾患)阻止効果
全粒食品、そこにはヒエも含まれるが、これらの取り込みは、CVDを含むひどい病気危険性要因と病気の結果と逆に関連づく事が実証済みである。残念なことにヒエの役割に関する特異的データーは、とくにCVD に結びつく危険因子改善に関しては不足している。Lee et al., (2010)は、ラット高脂肪食の餌中、白米に対する全粒foxtail millet、proso millet、モロコシの効果を調べた。血清中トリグリセリドレベルは、foxtail、 proso milletグループ中のものはモロコシや白米グループに比べて低かった。
しかしながらC-反応性タンパク質レベル(炎症のマーカー)は、明らかにfinger millet グループだけのものが低かった。マウスモデルを用いて、Parker et al., (2011)は、proso millet の水抽出物(多分水溶性フェノール物質を含む)は血清トリグリセリドレベル、肝臓脂質蓄積、全コレステロールを低下させた。その効果は肝臓の脂質生成調整に関係があり、更に脂肪分解遺伝子発現、サイトカイン、ケモカイン遊離の阻害に関係あるという証拠はあった。Choi et al., (2005) は、foxtail millet タンパク質が本質的にHDL-コレステロール増加、アジポネクチンレベルの増加をカゼインのコントロールに比べマウスモデルで起こすことを見い出した。アジポネクチンは脂質分解の調整に関わるが、彼らはタンパク質がその濃度を増加するのに取り込まれると推測した。同様にShimanuki et al., (2006)は、proso milletから濃縮されたタンパク質がラットモデルで血漿 HDLをあげることを見い出した。これらの発見の中で、Lee et al., (2010)は、モロコシがCVDの脂質マーカーを増加するのを見つけたので、ヒエのCDVマーカーへのポジテブな効果はフェノール類による第1のものではないようだ。
6.3
抗ガン効果
どんな特異的データーもないが、しかし状況証拠ながらヒエ消費はガン防御に対するものである。しかしながらいくつかの研究からヒエからのフェノール抽出物は強力な抗酸化活性のあることが示された。間違いなくChandrasekara and Shahide(2012)はヒエの5種(finger, foxtail, kodo, pearl, proso)を研究し、類似の消化が本質的に増加した抗酸化活性を示すことを酸素ラジカル吸収能(ORAC)、DPPH (1,1-diphenyl-2-picryl-hydrazyl
radical scavenging activity)とhydoxyl radical scavenging
activityアッセーで調べた。高抗酸化活性は又、white fonio、Japanese barnyard millet、little milletとteff中のフェノール物質と結びついた。
フリーラジカルによるDNAの酸化的ダメージは、ガンの原因と同定された。Chandrasekara and Shahidi (2011c)は、脂質過酸化物の阻害、DNA分裂の阻害、大腸ガン細胞の増殖の阻害を6種のヒエ(finger, foxtail,
kodo,little,pearl, proso)からの全粒抽出物により研究した。全てのヒエ種はリポゾーム中に強力なリピド阻害、一重項酸素消去、DNA分裂のある阻害を示した。更に、ヒエ抽出物は大腸ガン細胞増殖阻止し、kodo、 pearl millet
抽出物では100%まで阻害した。著者らはヒエフェノール類はガン開始と進行を効果的に阻害するだろうと結論した。
6.4,
プレバイオテック、プロバイオテック効果
プレバイオテックは食物繊維の1つのタイプであり、それは発酵されまた選択的に結腸中バクテリアの特異的タイプのものの生長を刺激し、人ホストに有益である。プロバイオテックスはバクテリアであり、ヒトホストに価値があるものであり、消化管中にもともといる微生物集団中の健康バランスを促進あるいはサポートする。Foxtail milletとpearl
millet の両方からの食物繊維区分は、いくつかのプロバイオテックバクテリアLactobacillus
acidophilus, Lactobacillus rhammosis, Bifidobacterium bifidum, Bifidobacterium
longumの特別の基質であるとわかった。繊維区分の発酵の間、これらのバクテリアは短鎖脂肪酸アセテート、プロピオン酸塩を作り、それら自身よく知られた重要な胃腸健康促進に寄与するものである。
発酵したヒエ製品に関し、Lactobacillus
fermentum株はブルキナファソのpearl milletかゆのben-saalgaから分離されたもので、プロバイオテックの可能性が見出され、それらは胆汁酸塩耐性と低pH耐性能の両方と結びつく遺伝子を有するものであるとわかった
。またガーナの発酵pearl milletドウから分離したイースト種は胃腸細胞バリアー能の改良面でプロバイオテックの性質を示した。いくつかの研究は、伝統的発酵ヒエ食品と関係あるバクテリアが、バクテリオシン、抗菌タンパク質を作ることの出来ることを示した。Enterococcus
faeciumの1種は、発酵したfinger millet食品、インドのクーズから分離されたもので、バクテリオシンを生産し食物由来の病原体の生長を阻害する。しかしながら今日までこの様な伝統的発酵ヒエ食品が実際に胃腸健康を改良して進めたというはっきりした証拠はなく、しかしそれらはプロバイオテックバクテリアを含んでいる事実はある。
7. 結論と未来方向
7.1 ヒエの栄養的健康増進面
一般的な巨大、微小栄養成分に関して正しいはっきりした証拠はないが、ヒエ種のあるものは栄養素の点で本当に例外的であるという括弧たる証拠はない。問題は我々が十分な基本データーをいろいろなヒエ品種の成分で持たないことだ。最も最近のUSDA National Nutrient Database食品リストは、正に6ヒエ製品に関しデーターを示した:ヒエ材料;ヒエ料理;ヒエ粉;teff未調理とteff調理(USDA, 2014)。特に、ヒエ種の名前は述べられてない。更に述べられてないのは、そのデーターが全粒に対するものなのか、あるいは精製した粒製品なのかである。明らかにヒエとそれらの食品製品に関する基本的な栄養データーがより必要である。
健康--促進性質に関する件で,いくつかの研究(全てではない)はヒエ食品(伝統的あるいは近代)が低い血糖応答で、西欧タイプの食品より伝統的ヒエ食品の方が本質的には胃排出になるのがゆっくりであることを明らかにした。しかしながら鍵になる疑問点でいまだ答えが必要なものは、ヒエ食品のより低いGIと胃空腹の発見がヒエと他の穀物間の粒成分と構造の本質的な違いによるものなのか、あるいは加工に関する違いによるものかどうかである。例えば、全粒あるいはわずかに精製した穀物製品は、より高レベルの非デンプン性多糖、脂質、ビタミンB、ある種のミネラル、フィチン酸、特にフラボノイドータイプのフェノール類というものを穀物の種とは無関係でより高度に精製した穀物よりも含むだろう。更に穀物食品中デンプン利用性に大きく影響するものにいくつかの食品加工要因があるが、特に粒の粒径、熱と剪断加工処理および食品仕出し時の温度が有る。
これらのことにも関わらずこの著者の意見としては、一般にヒエ中のフラボノイドータイプフェノール類の高レベルは大部分の穀物に比べ、ヒエ食品の一般的消費がある非伝染性疾患、特にタイプ2糖尿病やCVDのような病気の進み方に対し何か防御に貢献するようである。しかしながら生体中で慢性的必要性があり、臨床研究が必要であり、そこでは直接的に他の穀物で作った同等の食品との比較研究であり、それは成分の面で粒と食品製品が比較するのにずっと良い特徴を持つものであることだ。もっと基本的レベルで、食品製品自体(抽出物ではなく)からのフェノール類の生化学的利用性と、特別のフェノール成分の生理的作用はより完全にずっと解明される必要がある。
7.2 ヒエの主食と特別食品、これからの予想
これまで見てきたように、ヒエは多くのポジテブなものを持つ。それらは厳しい天候条件下での栽培によく適応するが、それは他の殆どの穀物以上のものであり、農業への天候の変化の影響の結果、世界中の安全な食品になる大きな可能性がある。それらは多くの発展途上国の伝統的食物文化に重要な役割を演じ続けている。それらはグルテンフリーであり、制限はあるが明らかなことはそれらは所謂西側ライフスタイルの病気に対して抵抗的である。こうして発展途上国での大部分の主食として、そして発展国では日常食品としてのヒエの見通しは素晴らしいものがある。しかしながらヒエとそれらの食品にはまた対処すべき欠点もある。ヒエ食品と飲料には大部分の穀物のものより一般に強いフレーバーがある。これがほぼ確かなのは、より高いレベルのフラボノイドタイプのフェノール類のためである。これらを現代の小麦、米、品種では改良して育てた。こうしてヒエ栽培者、食品科学者、栄養学者、食品製造者らの挑戦は、ヒエとその製品の美味しさの改良であり;しかしながら同時にこれらの健康--促進植物化学の機能保持であった。
もう1つの挑戦は、ヒエが一般に大部分の穀物よりずっと高価で有る点である。例えば著者の地方スーパーマーケットのfoxtail millet riceは、レギュラー米のコストの3倍の値段である。こうして発展途上国では迅速な人口増加し、彼らは食事を(持久農家とは対照的に)購入し一般に大部分の穀物粒を消費する。同様に西欧諸国ではヒエ食品は殆ど高収入の人々によってほぼ独占的に消費される。ヒエ製品に対する要求が本質的に増加するなら価格差はかなり軽減される。これは育種家に大きな刺激を与え、品種改良と農家に栽培収益の増加をさせ、それにより収量を増加させる。またより大きなスケールの経済力は食物価値連鎖に用いられる。
恐らくヒエや他の古代穀物に対し増える要望を支持する一般的ニーズの最も緊急な場面は、国際的に受け入れられている grain-quality management systemの成長することである。ヒエ--特異的品質の管理システムは、ヒエ扱い効率を改良し、商品としてのヒエの品質を改良し、そして食品や飲料への応用のヒエ品質の世界貿易を促進するであろう。
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