キノア ユニークな栄養と健康促進効果−2
3. 加工特性と食品用途
歴史的にキノアは、ラテンアメリカのヒスパニック以前の人々により広範囲の製品に用いられてきた。キノアの加工は主に全種子の調理で行い、次にスープ、サラダ、いろいろなシチュー、甘いデザートとして消費され、あるいは粉に製粉し幾つかの伝統的加工品(例えばかゆ、平パン)、あるいは発酵してビールタイプのchichaと呼ばれる製品になる。にが味サポニンは水中で洗浄(ヒスパニック以前の人々はこの洗浄水を界面活性剤として利用)するあるいは乾熱処理して種子皮を手でこすり落として除く。最終製品にいいナッツの香りを与えるために、熱調理前に種子を鍋中でローストするのが一般的である。これはまた今日でも推薦され、西欧食のアプリケーションでキノア固有の味を適応あるいは改良するのに使う。
今日キノアの主な利用は調理と直接消費(米の変わり)である。また広範囲の食品製品、朝食セレアル、飲料、パン、パスタ、他のベーカリー製品があり、キノアは一般に普通の穀物粉と混ぜ食品の栄養価を上げる。
3.1一般的加工特性
主にキノアは穀物と同様、多くの食品製品に用いられる。しかしながら食品加工のため、キノアは物理的に機能的性質が穀物とはちがうことを考えねばならないが、主にはそれは擬似穀物の異なった種子形態学(リング胚)とそれらのはっきりした化学組成の違いの結果である。キノアでは非常に小さいデンプン粒とその高アミロペクチン含量(普通少なくとも90%)が、真の穀物に比べより高い粘度、良好な冷凍-解凍安定性、より高い水吸収能、より高い膨潤能に関係する。さらにそのデンプンは穀物より老化しにくい。これらの性質によりキノアは粘り剤として素晴らしい機能がある。
タンパク質に関しては、研究はキノアタンパク質濃縮物あるいは分離物が高度に可溶化し、そして機能性食品(健康促進)に用いる良好な成分である事を示した。タンパク質の可溶性はアルカリ条件下にすると増加する。キノアタンパク質の乳化力と安定性はpearl milletあるいは小麦に比べてより高く、一方起泡能は低いようだ。キノアの分離タンパク質は抽出条件に基づくが保水能2.8-4.5mL水/gで、これは分離大豆に似ている。
最大の制限は食品加工にあり、キノアは小麦の様なグルテンが無いためドウ形成あるいはベーキングに制限が生じる。パンやベーカリー製品の製造のため、キノア粉にはさらに粉の添加や加工条件の変更なしではありえない。しかしながらある量までの小麦ベース製品には加えることができ、それは製品の栄養的性質の改良を行う。
3.2 製粉加工
デンプン性の種子の製粉と分画は重要なステップであり、最終製品品質に影響を与える、というのは殆どの穀物食品製品は全種子粒からは作られず、粉あるいは粉区分から作られるからである。製粉は乾燥か湿製粉加工で行われる。乾燥製粉の目的は、第一に全粒粉を作るかあるいは粉を物理的分画技術(例えば粉砕、ふるう、分ける)で組織的部分に分ける、即ちデンプン-リッチ内胚乳(キノア中の子乳)を外層(ふすま、胚)から分けることである。湿製粉は粒を化学成分に分けるのに用いられ、即ちデンプン、タンパク質(濃縮物、分離物)、食物繊維、そして油脂である。
キノアからの全粒粉の生産は十分に記載されていて、特別の問題はなく、そこには全て既知のプロセスが用いられる。しかしながらで異なった化学成分と物理的性質をもつ粉区分の生産は乾燥分画技術で行う事は非常に挑戦的であり、主にはそれは小種子サイズと異なった種子形態(リング内胚乳)によるためである。いろいろな製粉あるいは分画技術(パイロットスケールで)でキノアからデンプン-リッチおよびタンパク質リッチ粉区分を得る研究がいくらかの研究者で行われ、例えばローラーミリングとプランシフチングとがSchoenlechner et al., (2008)により行われた。研磨製粉はこのような小さな種子から粉区分を作るのに有効な様である。またサポニン含量を低下するのによく応用されるが、それはより高い部分がより外側層中に位置するためである。それとは別に、サポニンは洗浄で除去される。もしサポニンが製粉前に洗浄するなら全キノア粉は外皮を含むが、あるいはもしサポニンが研磨で除去されれば、少しあるいは全くの外皮を含まないようになる。
湿製粉は主にデンプン、タンパク質あるいは食物繊維を分離するように用いられ、其の後の食品適応に用いられる。典型的な湿製粉法には次のステップが含まれる:(1)粒の洗浄、(2)水溶液(しばしばアルカリが入る)中に浸ける、(3)数々の製粉ステップ、(4)濾過/ふるい(主には胚と繊維除去を)、(5)デンプンとタンパク質の遠心分離による分離(主にはラボラトリースケールの仕事で)、あるいはテーブル法により(希デンプン乳を傾斜した長い板上に流して沈殿)、あるいは液体サイクロン(工場スケール)で集める。タンパク質区分(軽い区分)は次に濃縮し脱水する。デンプン懸濁液は洗浄し濃縮する。述べた2分離技術は、デンプンをタンパク質間の比重相違に基づいて分ける。
キノアの湿製粉は幾人かの研究者で研究された。浸漬液(アルカリ、酸、あるいは水)はプロセスに大きな影響のあることが示された。酵素処理(キシラナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ)は、分離により効果的であった。Gonzalez-Roberto et al., (2016) は、キノア粒の水浸漬条件として乳酸の入った硫酸溶液が最も良いといっている。Pouvreau et al., (2014) は、サポニン含量を低下するためキノア加工の方法にアルカリ剤を含むか、またあるいはまた種子をコートするのにリパーゼ、プロテアーゼあるいはまたエステラーゼ酵素調製がいいと述べた。
キノアから確定した製粉区分、あるいは分離(あるいは濃縮した)成分を得るため、完全に進んだ乾燥および湿製粉処理の研究は特に結果的に産業レベルまでスケールを上げるまで進めねばならない。
3.3 食品利用
朝食セレアル、セレアル飲料(大豆飲料に似ている)、及びエクストルードスナックフードは、キノアからの製品例であり、それはマーケット上に見られる。それらは一般の穀物に比べ、加工条件の上で大きな違いは必要ない。キノアのエクストルージョンクッキングによる加工については;しかしながら、高脂質、低アミロース含量のためのキノアデンプン粒の混乱を破るために非常に高い剪断力が必要である。ベーカリー製品、例えばクッキー(ビスケット)はグルテンがなくても100%キノア粉で大きな困難さ無く焼けることが、Schoenlechner et al., (2006)によるトライアルで示された。Wang et
al., (2015) は小麦とキノアをいろいろな比率でブレンドしてクッキーを焼いた。クッキーの抗酸化活性はキノア粉の含有で増加し、過酸化物価は室温貯蔵後小麦だけのクッキーに比べ低下した。
豆乳と類似の飲料がキノア粉のホットマッシング法で、あるいはドラム乾燥法によってできた。Pineli et
al., (2015) は、キノアが近年のミルク代替食品に置き換わる新規代替品を作り、それらはヒトに既知の有害効果を与えず、タンパク質含量を増加し、低グリセミックインデックス(GI)を与えるものであることを述べた。キノア飲料は、学校入学前の子供あるいは乳児の健康的オプション(選択)であるとされ、それらは価値ある栄養素源、例えばタンパク質、ビタミンE、チアミン(ビタミンB1)、鉄、亜鉛、マグネシウムである。Repo-Carrosco
et al., (2003) はキノアやkaniwa ( C.pallidicaule) は離乳食ミックスに用いられると述べた。それらは2つの食物の混合物、キノアーkaniwa-豆、キノアーkiwicha豆であり、両者ともに高栄養価があり;混合物のタンパク質価比(PER)値はカゼイン(2.5)のそれに比べ夫々2.36と2.59である。
製パンに用いられる時、キノア中にグルテンがないことは大きな挑戦が必要である。小麦ドウへのキノア添加、特に高含量では、入れられるとドウの性質が変わり、最終製品の品質が変わる。これらの変化には、増加したドウ量、シットリしたドウ、発酵耐性の低下、低容積、緊張して非弾性クラム, さらにいろいろなフレーバー変化を含む。伝統的な製パン性は高量のキノア(20%以上)が入る時に適応されねばならない。主な小麦パンへのキノア添加の目的は最終製品の栄養的品質の増加である。しかしながらまた変わることはキノア添加後、パン中のフィチン酸塩塩の含量は明らかに増加する(Bilgicli and Ibanoglu 2015; Iglesias-Puig et al., 2015)が、それは結果的にはミネラルの様な栄養価の生理学的利用性の低下である。Iglesias-Puig et al.,(2015) によると、この効果は簡単に外部からのビフィズス菌のフィターゼの応用で避けることが出来る。発芽種子からの粉の利用は、ベーカリー製品中のフィチン酸塩含量を最少にすることが出来た。もしキノアの製パン性への含有目的が、タンパク質含量増加と品質増加のためならば、分離タンパク質は最終製品の品質悪化を避けるために好ましい。キノアから/またはキノア添加によるパン品質改良のもう1つの可能性は、サワードウ発酵の応用である。キノアはアマランス粉同様、いろいろな品種のLactobacillus (Coda et
al., 2010; Dallagnol et al.,
2015; Houben et al., 2010; Jekle et al., 2010) の発酵に適していることが判った。
3.4 グルテンーフリー食品
グルテンフリー加工の目的は、グルテンの機能性(パンの3次元ネットワークの形成、パスタの会合、弾性等)を他の手段、例えば特別の成分の利用あるいは加工条件を用いることに置き換えることである。しかしながらグルテンフリー食で重要なことは、単にすベてのグルテン含有成分(例えば小麦、ライ麦、大麦、他の亜種、可能ならオート麦)や、グルテン含有食品の除去するだけではなく、また不足している栄養素を補充することもあり、特に腸管吸収が未だ障害のある時にはそうである。こうしてグルテンを除去するのと同様、十分な栄養分適切さを確かめることが大切であり、グルテン不耐性に苦しむヒトの食事人生に結びつけるためには必要である。最近までのグルテンフリー加工は狭い範囲の原料に基づいており、主に米とトウモロコシであった。その結果は低栄養品質(高エネルギー濃度、しかし低ビタミン、ミネラル、極小エレメント、食物繊維、植物化学物質)、それと低官能品質であり、特にパンでそうである。グルテンフリー製品の生産へのチャレンジは、こうして官能品質とともに栄養的品質改良をすることであった。これを考えて、キノアは高品質グルテンフリー食品の開発に非常に高い可能性がある。
Alvarez-Jubete et al., (2010)
は、アマランス、キノア、ソバのベーキング適性を米とそれぞれをブレンド(50:50)し、標準的グルテンーフリーパン(米粉とポテトデンプン50:50)と比較した。彼らは、擬似穀物がグルテンフリーパン仕込みに使われ、クラムソフトネスと凝集性を強め、そのときパンの他の官能的性質には、悪影響を与えることのないことを述べた。アマランス、キノア、ソバのグルテン-フリーパスタ生産への利用はSchoenlechner et al., (2010a) により研究された。これらの著者は、パスタがアマランスから出来る時には固さのテクスチュアを減らし、クッキング時間を低下する、一方キノアからのパスタでは主にクッキングロスの増加を示すことを見出した。ソバパスタではネガテブ効果は最少であった。3種全ての擬似穀物のコンビネーション、60%ソバ、20%アマランス、20%キノアの比率で1つの粉にして、ドウマトリックスは改良された。ドウの水分は低下された(小麦パスタ中の34.5%に対し30%までとする)。分離タンパク質の添加(最も良いのは卵アルブミン)は、パスタの堅さを改良するのに最大の効果があった。グルテンフリーパスタ生産用にデンプンの役割とその性質が重要である。デンプンの老化に関係する現象は、製品の最終テクスチュアの中心的役割を演ずることが見出された。こうしてパスタ製造技術には、前もって糊化した粉の利用あるいはドウ、あるいは異なった温度域の応用を用い、多くの関心が向けられた。両方からの接近はグルテンフリーパスタ品質の改良が約束されるようだ。
4. キノア食品製品の栄養的、健康促進的性質
いかなる食品にとっても、単なる材料の化学組成や、重要な栄養素のあるレベルの存在のみならず、またそれらの最終食品製品内における生理的性質(例えば生化学的利用性、消化性、あるいは加工後の栄養素の保持性)も重要である。これまでのセクション中でアウトラインしたように、キノアには特別の栄養的成分があるが、しかしまたその生理的性質も興味深いものである。
タンパク質の関して、不可欠アミノ酸の高含量とともに高い生化学値があり、キノアはまた高消化性のあることも知られる。材料キノアのvitroでの消化性は76.3%-80.5%である。これは脱皮あるいは洗浄(サポニン除去)で83%-84%まで増加する、あるいは調理では95%まで上がる。In vivoで食餌実験では92%の消化性が示された。タンパク質の消化性は、トリプシンインヒビターで低下した。しかしながら、事実、トリプシンインヒビター活性はキノアでは低い(1.36-5.04トリプシンインヒビター単位(TIU)/mLサンプル)。阻害活性は加熱処理、洗浄、あるいは脱皮でさらに低下した。
キノアのデンプン消化性とGIに関して、残念ならがら利用できる研究データーは矛盾している。キノアは高含量のD-キシロースとマルトース、低含量のグルコートとフラクトースであり、低GIであると述べられてきたが、それは糖尿病者にとり都合のよいものであろう。またBerti et al., (2005) によると、彼らはin vitroおよびin vivoの研究でデンプン分解性とグリセミックレスポンスを決め、キノアはより低いGIの可能性のあることを示したが、しかし著者らはさらにより大きな研究がその血糖効果作用を決めるのには必要であると考えた。一方、Wolter et
al., (2014) は、擬似穀物のデンプン消化性にはっきりした相違を見出し、アマランスとキノアに対し高GIを予測した。アマランスの研究で、Capriles et al., (2008) は特別の擬似穀物の特徴(炭水化物のタイプに加えてデンプン粒のサイズとその分子配列)がGI値に影響することを述べた。この意味で、アマランス種子は高血糖食品であると示され、多分その小さいデンプン粒サイズ、低抵抗性デンプン含量、および結晶の完全消失の傾向、および加工(加熱処理)中にデンプン粒構造の完全な消失傾向があるためである。類似のデンプンの性質がアマランスとキノアにあるために、これらの仮定はキノアでも真実であろう。Wolter et
al., (2013) は、最も高い予測GIを他のグルテンフリーパンに比べグルテンフリーキノアパンで見出し、結論としたのはキノア中のより小さいデンプン粒直径(1.3μm)がより高いGIにするとした。
抵抗性デンプン(RS)は幾つかのはっきりした健康価値(例えば大腸がん阻害、血清コレステロール低下、トリグリセリド低下)があり、さらに最終製品のGIに影響を与え、ある加工方法によりキノアに増加させる。Linsberger-Martin et al.,(2012)による研究では、キノアデンプンの静水圧処理は約18倍のファクターでRS含量の強化をする。この処理粉は、パンの様なグルテンフリー製品での機能的成分として働くことが出来る。
食物繊維含量と成分は、加工により大きく影響される。エクストルージョンクッキング後、全食物繊維含量、特に不溶性区分はキノアでは減り、一方可溶性食物繊維区分は増加する。この変化は、また他の研究者によっても一般穀物で発見された。さらに恐らく剪断応力と高温度にさらされた結果であり、それはエクストルージョンクッキングパラメーターによる化学結合の破壊をおこし、可溶性小粒子を生成したものである。Ruales and Nair (1994)の初期の研究で、キノア全食物繊維含量は調理により減り、そしてある可溶性繊維は調理やオートクレーブでなくなることがわかったが、多分それは繊維成分の解重合のためである。キノア粉の生理的効果はKonishi et
al., (2000)により研究された。3%キノア果皮の入った食餌は、マウス中で明らかに血清、肝臓コレステロールレベルを低下した。このキノア果皮の低コレステロール血症効果は、ほぼ多分水溶性食物繊維含量によるもので、これはオート麦のような他の繊維に類似のものである。
微量栄養素に関しては、キノアは非常に高レベルの葉酸がある。
ビタミン類は一群の栄養素で非常に加工効果に影響される(温度および水の効果)、そして簡単に量的に低下するかあるいはなくなる。
葉酸は不安定なビタミンの1つで、貯蔵あるいは加工後平均して損失は35%と70%の間である。擬似穀物中の葉酸の研究では、Schoenlechner et al., (2010b)はいくつかの主食(パン,パスタ、クッキー)を擬似穀物(アマランス、キノア、ソバ)で作り、3ヶ月保存しその食品と粉中の全葉酸含量と損失を求めた。貯蔵後、粉中の全葉酸の平均損失は34%、パンで 51%、ヌードルで24%、クッキーで16%であった。これらのロスにもかかわらず全葉酸含量は17-98μg/100g dmヌードル、18-62μg/100g
dmクッキー、26-41μg/100g dmパンであった。キノア食品は最も高い葉酸含量であった。データーは食品製品が擬似穀物(特にアマランスとキノア)で作られる時の葉酸の実質的供給レベルを支えるものである。
これまで示したように、キノア中のミネラルは主に種子の外側層に位置している。サポニンの除去(機械的あるいは洗浄で)では、キノア中のミネラル含量が大きく減る(例えば46%のKが損失)。
さらにフィチン酸塩はミネラル生理的利用性に悪影響を持ち、それは不溶性複合体を形成のためでヒトの消化等で吸収出来ない。Omary et
al., (2012)によると、発芽中の擬似穀物は、栄養素含量、ビタミン、ミネラル、全ポリフェノール、抗酸化活性の改良をし、一方、抗栄養素は低下する。こうして発芽したグルテンフリー穀物および擬似穀物は、グルテンフリー食品の防備と強化の天然物手段として大きな可能性がある。しかしながらそれらの混入は製品のテクスチャ、味に影響するため、これからの更なる研究が必要である。
さらにこれらの生理的性質に加えて、幾つかの研究がキノア製品の特異的健康効果を示した。キノアのコレステロール低下活性がPasko et
al., (2010)とDe Carvalho et al., 2014の研究で示された。前向きおよび二重盲検調査研究を体重超過女性に対し4週間行い、25gキノアフレーク消費は顕著に血清トリグリセリドと全コレステロール、さらに低密度リポ蛋白質(LDL)-コレステロールの低下を示した。マウスの食餌試験で、Foucault et al., (2014) は、キノア食はエネルギー消費が増加し、そしてグルコースの酸化的代謝が進められ、脂質生成の阻害、脂肪組織中の脂質蓄積の低下が進む事を見出した。
キノアの抗酸化能は、in vivo試験でキノア抽出物(80%メタノールで調製)をRhizopus
oligosporus で発酵して証明された。重要な抗酸化酵素の活性増加に与えるプラスの影響は、血漿サンプル中の脂質過酸化パラメーターの低下同様に、赤血球、幾つかの異なった組織(心臓、腎臓、肝臓、脳)中で見出された。また他の研究でも、キノアが高フラクトース食を与えられた動物食餌で抗酸化活性を示し、酸化的代謝ストレスを引き起こす事を示した。
Gimenez-Bastida et al., (2016) は、ある擬似穀物を含む普通の食べ物にはコレステロール低下作用、抗酸化性、抗ガン活性、血糖レベル低下、高血圧食事と貧血条件の改良の効果があると結論した。彼らのレビューによると、食物繊維だけでは全粒のより多くの摂取間の頻繁の結合の完全な説明、および観察研究での病気の危険性の低下した説明にはならない。彼らはさらなる研究が疫学研究に向けられ、作用メカニズムの理解のために特にヒトの体に向けれねばならないと提案した。
5. 結論
上等な栄養素組成、加工性質、示された健康価値で、キノアは実に高度の栄養成分である。それが長い間無視されたあと、キノアは20世紀中/後期に"再発見された"のであるが、しかし未だキノアが密接な関心を呼ぶまで二−三十年かかると見られる。2000年来、マーケット上のキノアの食品製品の増加が世界中で広く見られる。この主な理由はグルテンフリーの状態にあるためだが、またカナダ、米国、日本、オーストラリア、ヨーロッパの様な国々の一般的な人々の間で、アンデス穀物は一般の消費者によってますます受け入れられている。キノアの生産と貿易のシステムはアンデス地域では重大な変化を経験したが、伝統的作物からのシフトを反映して、まず第一に自分達のための生産から国際的貿易商品へとシフトした。大きくなる国際的要望とボリビア、ペルーからの急成長する輸出は小規模生産者に恩恵を与えたが、しかしマーケットのダイナミックスが変化するに連れて新たな課題が発生する。大きな関心はキノア(2008年以後特に)の価格の大きな増加であり、それは大きく地方のマーケットや消費者に影響した。貧しい家庭はキノアをもっとやすいものに置き換え、しかし栄養的には劣った食品製品、例えば米、パン、パスタである。
キノア"再発見"の時期の最初の研究は、農業面と幾つかの初歩的な化学的特徴研究に向けられたが、未だ多くの領域で知識の欠ける事がある。しかしながらキノアの興味が増大するに伴ってキノアへの研究努力は今や大きくなっている。今日、研究は全てのエリア、基本的な化学、生理的性質を使って栽培、育種問題から、そして健康促進性質に関して詳細なデーターを得るためin vivo、臨床研究に広がる。このような包括的接近だけで、キノアの高い可能性を完全に明らかにする事ができ、世界中の全ての国々の人々に価値を提供することが出来る。
メインページ