ルピン;そのユニークな栄養と健康促進的性質-1
1 紹介
Lupin L. (US
spelling lupin、 Lupinus 属の種、マメ科)は、古代のパルス「豆」作物である(Hondelmann, 1984)。しかしながら、現代農業の新属で、種子は高タンパク質食品、動物飼料、餌の可能性、土壌肥沃向上、被覆作物としての植物、安定飼料としての作物残渣、及び土壌改良のために大きな可能性を有する(Gladstones, 1998;Lambers et al., 2013)。最近ルピン種子にかなり関心がもたれ、人健康食品として種子には非常に高い食物繊維があり、グルテンフリーであり、デンプンは事実上なくてそのため非常に低い血糖への影響を持つ(Sipsas, 2008)。さらにルピンが貴重な点は、遺伝的に変化させた(GM)豆品種が商業的栽培下で存在してない点である(Department of Agriculture and Food, 2016,
ISAAA, 2016)。
ルピンは、窒素固定する力と不毛の土壌に育つことがよく知られ、更に穀物、干し草、油糧種子、他の豆科植物の豆、及び牧草地のための病気の休憩作物を伴う農業の成長期の輪作の点で価値があることが知られている (Gladstones, 1970,1998; Seymour et al., 2012)。
ルピン種子は動物飼料のエネルギーとタンパク質源として十分に穀物や油糧種子粉と競いあい、他の食事成分をも補完し、そして費用対効果が高い(Edwards and Van Barneveld,1998; Glencross et al., 2015)。
ルピナスは大きな属で、約267種からなり(Drummond et al., 2012)、非常に広い環境と地域で育ち、例えば地中海、北部--、東部--アフリカ、北、中央アメリカ、アンデス南アメリカ、大西洋南アメリカである(Gladstones, 1970; Hughes and Eastwood,
2006; Maciel and Schifino-Wittmann, 2002; Wolko et al., 2011)。それらは一年生植物の草本から低地多年生植物の種類、さらに海岸線レベルから高山ツンドラまで広範囲の気候での野生の範囲である(Gladstones,1998)。一般にルピンは開放的な明るい生息地の植物で、日影でなく酸性から中性のpHのよく排水された土壌を好む(Gladstones,1998; Pascual et al., 2006)。
野生の在来種ルピンは苦いアルカロイドをもつ。多少苦いルピン製品は、特にLupinus
albusは塩水で加工するとアルカロイドを低下し、食用のスナック食品製品になる(Erbas, 2010)。しかしながら現在の品種は、種子中の全アルカロイドの大きな低下に関与する1個の劣勢遺伝子を持つように育種されてきた(Gladstones, 1970)。
種L.
angustifoliusのすべての現代種は、食品安全組織(例えばFood Standards Australia New Zealand ,
2016b)によって甘味として分類され、種子中の全アルカロイドレベルは、最大200mg/kg(0.02%) あるいはそれ以下とされ、ほぼ野生のタイプの種子アルカロイドレベルよりも100倍低い。このレベルは一般にL.angustifolius 中に低アルカロイド遺伝子の取り込みを通じてなりえた。L.
albusやL. luteusのようなルピン種の中で、色々な単一の遺伝子は又、アルカロイドの"甘い"レベルを種子中に与える(Gladstones, 1970)。アンデスルピン種(L.mutabilis )の中で低アルカロイド遺伝子タイプは、突然変異育種(Pakendorf,1974; Williams et al., 1984)、育種の連続ステップ後の生殖質からの自然発生的な変異種の選択(von Baer and von Baer, 1988)によって進歩してきた。
ほぼすべての食用作物と比べて、ルピンはほんの最近になって現代作物育種に関心が集まってきた。完全に育種化されたルピン品種の開発は、ほんの僅か20世紀に入ってヨーロッパ、オーストラリアで進んだのである(Gladstones, 1970)。現在できている作物の品種状態は、古代世界と新世界種からのL.
angustifolius L.(一般に知られたのは狭葉ルピンと青色ルピン)、L.
albus (alubus lupin、白色ルピン)、L. luteus (黄色ルピン) とL.
mutabilis (アンデスルピン、tarwi、chochos)である。図8.1 と8.2は、これらの種のそれぞれの典型的な例の花総状花序と成熟した種子を示したものである。野生又は在来種と育種されたルピンの遺伝子タイプの間の主な違いは、"甘いルピン"と知られる育種されたタイプには全アルカロイドレベル〜0.02g/100gのほぼ100分の1のあるいはそれ以下しか含まれてない、種子膜がより透過性が高い、そして粉々にならない莢であり、さらに比較的開花が早いことがある(Clements et al ., 2005a; Gladstones,1970; Lee et al., 2007)。特に"苦い(高アルカロイド)"と述べられてない限り、全てのこの章の情報は"甘い"ルビン品質で、低いアルカロイドレベルの種子をもつものである。
この章では、最近のルビンの作物の状態、その種子の化学成分、ルビン種子とその区分の食品、食品成分としての利用、ルピンのアレルギー、ルビン種子およびその区分の人臨床試験からのポジテブな健康価値の証拠を述べる。
2 ルピン種子の世界生産
ルピン種子の世界生産は1970年代に入りすばやく増加し、オーストラリア生産が主であり、1999年にはピークに達し、最近では1980年代中期のレベルに戻った(表8.1)(FAOSTAT, 2016)。オーストラリアでは、ルピン生産は1999年来(図8.3)低下したが、殆どは小麦とカノーラ(西洋アブラナ)に比べてより低い収益性のためと雑草防除コスト増加のためである(Sweetingham and Kingwell, 2008)。英国、ヨーロッパのルピン成長への膨れる関心は、1990年代に始まり地域の成長に対する要望と、非遺伝子組み替え植物性タンパク質動物飼料への要望、大豆輸入へのより低い依存性のためである(de Visser et al., 2014)。500,000トンの食料生産は毎年生産され、そこにはヨーロッパ白ルピンかあるいはオーストラリア甘ルピンがものとして含まれる(Lupin Foods, 2013)。そのものとしての含有量はしばしば小さい%であり、食品製品向きのルピンのトン数の意味する物は、最近地球上の生産区分としては主な最終用途である飼料も加えてほんの僅かである。
表8.2に最近の物産の収量と作物ルピン品種の構成特性のサマリーを示した。L.
angustifolius ( 幅の狭い葉のルピン) はオーストラリア(典型的には生産量の90%)の主要な栽培品種である。オーストラリア西部で第一に成長するのは、広くひろがる酸性の砂状の水はけの良い土壌に適応のためである(Gladstones,1998)。更にルピンは小麦への回転休憩作物として最も価値のあるもので(Seymour et
al., 2012)、そして一般には穀物と菜種の4年に1回のローテーションが用いられている。ルピンのオーストラリアでの平均収量は、この10年間に1.15トン/haである(FAOSTAT, 2016; Pulse Australia, 2016)。
黄色ルピン(L.
luteus)栽培の大部分の地域は、北ヨーロッパ平野、ウクライナの森林--ステップゾーン、ヨーロッパロシアのブリヤンスク州である(Kurlovich, 2002)。しかしながらL-luteusとL-albus(白花ルピン)の両生産は1980年代以来徐徐に低下しているが、ヨーロッパにおけるL.
angustifolius に対し賛同したためであり、それは炭疽病に対しする後者のより大きな耐性のためであった(Sweetingham and Kingwell 2008)。ポーランド、ドイツ、中国、南アフリカといった国々では最近生産がふえた。ポーランドは最近世界で第2番目のルピン生産国であり(表8.1)、それは、酸性、砂土壌、夏作物としてそれらの役目に育種研究の注目等が世界中に広がったためである(Swiecicki and Swiecicki、1995;
Swiecicki et al., 2000)。中国ではルピン生産は1990-2010年の間に大きく成長した(表8.1)が、それは動物飼料と養殖飼料マーケットの必要性からであり(Borquez et
al., 2011; Glencross et al.,
2007; Tacon, 2005; Saez et al., 2015)、結果、タンパク質とオイルの良い収量を与えた(von Baer, 2008)。しばしばいろいろの生育ルピン作物品種の比率を決めることが困難である;しかしながら国際会議でメンバーからのコメントは、L-angustifoliusが殆どの国で生産され、例外はチリー、イタリア、エジプトであり、そこではL.albusが主である。
アンデス高原のエクアドル、ペルー、ボリビアの狭い区域では、苦いL.mutabilisが未だに農家によって伝統的方法で栽培されている(Jacobsen and Mujica, 2004)。ルピン栽培、特にL. albus とL.
angustifoliusは、アルゼンチン、USA、カナダ、での狭い地域で見られ(FAOSTAT, 2016)、一方オーストラリア西部に似た気候の南アフリカで、ルピンはL. angustifolius に焦点を当てて一貫して作られて来た。多くのこれらの国々で、人食品への関心がルピンに現れてきた。
3 農業上の利点
ルピンは農家の作物ローテーションの中で穀物生産に実質的なメリットを与えることが知られ、収穫後の作物残渣はストックの放牧価値が高い。他のマメに比べ、ルピン種は大気中窒素固定時に高い効率を示すことが考えられ(GRDC, 2014; Unkovich et al., 2010)、ソラマメに類似のレベルであるが、他のマメよりは高く(Herridge et al., 2008)エンドーマメ、ソラマメと同じ順位のバイオマス生産をする(Unkovich et al., 2010)。ルピン作物は、良好な土壌窒素、生物学と構造、本質的な穀物作物の良好な水の浸透と貯蔵、好ましい雑草競争、病気休息の提供、ローテーションの次作物の収穫増加に結びつく事に貢献する(Asseng et
al., 1998; Haynes and Beare, 1997; Seymour et al., 2012)。
ルピンは、土壌栄養素、特にリン(P)と微量栄養素を、それ自体だけでなく、植え付けられた作物やその後の輪作作物にも動員する可能性が高い(Gilbert, 2009)。L. augustifoliusの根の深い浸透は(Hamblin and
Hamblin, 1985)土壌カリウムを効率的に抽出してリサイクルすることを可能とする(Rowland et
al.,1986)。それらはまた、微生物の蓄積と促進を通して土壌中のまじりもの、例えば重金属や炭化水素(Lamber et
al., 2013)のようなものを無毒化する土壌の植物的修復の役割を演じることが出来る。ヨーロッパでは特に、ルピンは環境活動に貢献し、例えば道路工事あるいは植物洗浄後の汚れた土壌の安定、緑肥と狩猟飼料作物、森林中の火災予防ベルト、松林中の土壌の肥沃土の向上、砂丘の安定化または若い木のための避難所に提供等である(Lambers et
al., 2013; Rehfuess et al., 1991;
Sprent and Silveste, 1973; Vysniauskiene et
al., 2011)。
4 ルピン育種:オーストラリアに焦点を当てた場合
ルピン育種の歴史は、数々の著者(Cowling et
al., 1998; Clements et al., 2005a)らによりレビューされた。単純に遺伝し、自然であるがまれな自然突然変異遺伝子が20世紀初頭にドイツ、von Sengbusch (1942)により見つけられ、アルカロイドの低下するものが同定されたのが大きな発見のステップであり、ルピンを動物飼料及び人の食品として美味しくするものとなった。
更に育種は、天然に起こる粉々にならない莢(ポッド)、白い花と種子、そして透過性の種子膜の突然変異遺伝子をもつ初期の開花と結びついた(Cowling et
al.,1998; Gledstones,1970)。オーストラリアのUnicrop (1973) は最初の大々的栽培者であり、彼は全てので家畜化の特徴(2個の添加的遺伝子の取り込みを通してそこには完全に砕けない莢を含み)を結びつけ、L.angustifoliusルピンをこの国における高度に成功した始まりのマークとした(Cowling et
al., 1998)。更に収量改良と野生の生殖質からの病気抵抗性遺伝子の取り込みがオーストラリアで成された(Berger et
al., 2012; Cowling and Gladstones, 2000; Gladstones, 1970)。1990年代半ば、炭疽病が世界的の問題になり、オーストラリアで抵抗性を持つ株の選択に大きな努力が払われた(Gladstones, 1970; Yang et al., 2008)。炭疽病及びホモプシス及び家畜化遺伝子の主要な疾患のマーカー支援選択のためのゲノムリソースの開発に努力がかなり注がれた。(Yang et
al., 2004; Tang et al., 2015a,b)。注目する活動は、ルピンの遺伝子配列出版(Yang et al.,
2013)と、トランスクソプトームレソース出版である(Kamphuis et al., 2015)。続いての努力として炭疽病、Fusarium wilt (フザリウム萎凋病)、豆黄色モザイックウイルス、キウリモザイックウイルスに対する病気耐性を強めることが成されている(Fischer et
al.,2015; Kehoe et al., 2014; Yang
et al., 2008)。さらなるゲノム選択、遺伝的修飾/変換法、例えばCRISPR/Cas 9遺伝子編集(Bortesi and
Fischer, 2015)があるが、収量と農業形質、種子品質特性のための育種を促進する。
5 栄養と抗栄養成分
豆にはルピンを含むが、発展途上国に住む人々数百万の栄養供給源として重要な食品源である。しかしながらそれらはときに"貧困な人の肉"と言われ(Khan and Basha, 2015)、 食品の安全保障のための彼らの栄養的可能性を信用しない用語である。
ルピンは成熟し乾燥し、一般に"豆"あるいは"莢豆"と言われる。可食部分は全体の種子で"種子"としてこの章では述べ、種子膜は"外皮"と述べ、脱皮した種子は"粒"と述べる(植物的には子葉である)。
ルピン種子は、他の冷季節莢豆に関連し、例えばレンズ豆、エンドー豆、ひよこ豆、そら豆(Clements et al., 2005b; Petterson et
al., 1997)、高タンパク質であり(表8.2)、、大豆によく似たレベルである(United States Department of Agriculture, 日付なし)。それらの粒は、また全食物繊維の高いこと、〜40g/100g乾物(db)「表8.3」も知られ、ルピンを古代穀物、豆の中でもユニークな存在にしている。
5.1タンパク質
種子のタンパク質含量はルピンの種の間で色々であり(表8.2B)L.mutabilisは一般に最も高い。最近のCarvajal-Larenas
et al., (2016)のレビューによると、平均種子タンパク質含量(g/100g db)は、文献の報告によるとL.albus, 38.2; L.angustifolius,
33.9; L. luteus, 42.2; そしてL.mutabilis, 43.3である。L.angustifolisの内でも、種子のタンパク質含量は品種、成長の場所/季節、経営慣行によって色々である(Villarino , 2014)。約40g/100g dbという、ルピン粒は最も高いタンパク質レベルを示し、いかなる普通に消費される豆類の中でも最も高いレベルを有する(Mulayim et
al., 2002)。表8.3は、オーストラリア西部の同一季節、同一地域で生長した市販のL.
angutifolis 品種のタンパク質含量を示した(Villarino, 2014)。これらは39.6と最も高レベルCoromup種の42.2g/100g dbの間でバラバラである。
ルピン粒内のタンパク質の主区分はグロブリンで、残りをアルブミンが占める(Duranti et
al., 2008; Petterson,1998)。主要グロブリン区分はα-コングルチン(35-37g/100g全タンパク質)、ββ--コングルチン(44-45g/100g全タンパク質、γ--コングルチン(4-5g/100g全タンパク質)、そしてδ--コングルチン(10-12g/100g全タンパク質)である(Blagrove and Gillespie, 1975; Duranti et al., 2008;Foley et al.,2011,2015;
Petterson,1998)。
栄養学的にはルピンタンパク質中の制限アミノ酸は、S含有アミノ酸のメチオニンとシステインである(Gulewicz et al., 2008)。大豆に比べ、大豆は不可欠アミノ酸プロフィールは完全(World Health Organization,2007)だが、ルピンタンパク質は成人が必要とする含硫アミノ酸の必要レベルは僅かにかけていると報告された(Chew et al., 2003)。しかしながら報告ではルピンタンパク質の含硫アミノ酸レベルは、大豆のそれと類似である(Sipsas et al., 2004)。この矛盾は、多分ルピンタンパク質の品種と生産環境の違いによるためである。
Carvajal-Larenas et al.,(2016)は、全ルピン種子のアミノ酸組成の詳細をレビューし、結論として種によって僅かに異なることを述べた。In vitro での消化性は、未調理ルピンタンパク質で〜98%の高さで(Chew et
al., 2003)、大豆に類似のものである(World Health Organization, 2007)。アミノ酸組成の点で小麦タンパク質の補完的性質を挙げ、ルピンー小麦合成食品(例えばパン)は、各々それぞれのみの時に比べてより高いタンパク質品質を示した(Villarino et al., 2015a)。
5.2食物繊維
食物繊維は食品の成分であり、人の胃腸酵素では消化されず、大腸に達しそこで発酵あるいはクローン病阻止の助けになるものを与える(Dhingra et
al., 2012)。そこには広範囲の非デンプン性多糖類と結合リグニン、不消化性オリゴ糖が含まれる(Dhingra et
al., 2012)。ルピンは豆の中でも高食物繊維レベルでユニークな豆で、他の豆や大豆よりも高い(KohaJdoVa et al., 2011; United States Department of Agriculture、日付無し)。しかしながら注意する必要あるのは、ルピンの"繊維"の文献値を比べると、時に異なった分析方法は非常に異なった結果となることである。以前は"粗繊維"法は、食品中の食物繊維含量を測定するのに用いられた;しかしこの方法はあるものは壊れているのですべての"食物繊維"を決めるものではない(Dhingra et
al., 2012)。ここで粗繊維決定法がルピン種子あるいは粒成分を決めるのに用いられると(Carvajal-Larenas et al., 2016)、全食物繊維含量はひどく低い値となる。食品の全食物繊維含量定量の従来のある方法は、ルピン種子中オリゴ等区分を顕著に捉えることはできない。そのため殆どの出版されているデーター(表8.3)は、全食物繊維含量をさらに低い値としか定量してない。より最近の食物繊維の定量方法は、すべての非消化炭水化物を定量でき、オリゴ等も含まれる(Food Standards Australia New Zealand 2016d)。
5.2.1皮の食物繊維
L. angustifolius 種子の皮区分は非常に全食物繊維が高く(〜90g/100g db)、第1には不溶性繊維である(KohaJdo Va et al.,
2011)。少量のタンパク質、脂質、灰分(ミネラル)(Bailey et
al.,1974; Evans et al., 1993)も存在し、種子の植物化学物質の大部分は皮区分に位置している(Duenas et
al., 2006; Khan et al., 2015; Luo et
al., 2016)。さらに大部分の種子のカルシウム、顕著な他のミネラル、例えばAl、 K、Na、Mg、Zn、Fe、Mn、のようなものは皮区分に位置している(Hung et
al., 1988)。皮食物繊維葉セルロ−ス(〜50%)、アラビノキシラン(〜13%)そしてペクチン(30%)から成る(Brillouet and Riochet 1983; Evans et al., 1993; White et al., 2007)。こうしてルビン皮の高食物繊維含量とミネラルと植物化学物質の顕著な存在レベルは、ルピン皮の高線維食物成分の可能性を示すが、しかし僅かしかその人への生理的効果と、ミネラル、植物化学物質の生化学利用については知られていない。
5.2.2 粒細胞壁食物繊維
ルビン種子の全食物繊維の殆どの比率は粒中の厚い細胞壁に見出され、殆どは非リグニンであり、非セルロース、非デンプン多糖類であり、ラムノガラクトロナムバックボーンが含まれ、側鎖にはガラクトースとアラビノースがある(Evans et
al., 1993)。Villarino (2014) の研究 (表8.3) から、L.angustifolius 粒の全食物繊維含量は37.5から40.2g/100dbであり、Australia西部では同一季節、場所での生長品種間のはっきりした相違はない。Hall et
al., (2005b)は、L.angustifolius粒粉の全食物繊維が不溶性食物繊維74%、可溶性食物繊維26%から成ることを報告した。ルピン粒は精製食物繊維の分離に用いれられた(Clark and Johnson, 2002)。粒の粉の中でのレベルを比較をすると、これらの精製した食物繊維区分では、可溶性食物繊維はより高レベルであるが(例えば全食物繊維区分の〜50%)(Hall et
al., 2005a)、多分それは加工上の効果によるためで、細胞壁材料の完全性が低下したためである。ルピン粒繊維を食品に添加すると、人臨床試験である程度の健康保護効果を示した(Hall et
al., 2005a)。
5.2.3オリゴ糖
ラフィノース類のオリゴ糖(RFOS)(
ラフィノース、スタキオース、ベルバスコース) は、他の豆に比べてルピン種子中に高いもう1つの重要な食物繊維である。文献中には人に対するルピンオリゴ等による何らの証拠もないが、RFOSの鼓腸誘発効果が知られている。オーストラリア西部で生産するルピン種子中、Karnpanit et al., ( 2016)は、全RFO含量は明らかに農家によって色々であるが最も高いレベルはMandelup種(16.8g/100g db), そして最も低い物はPBA Barlock 種(7.6g/100g db)であると報告した。しかしながらはっきりした相違はVillarino (2014)では報告されず、全オリゴ糖は市販品種のL.
angustifolius粒(全レベルは約5g/100g db)ではオーストラリア西部の同じ季節、同じ地域のものに相違はなかった。
5.3 脂質
ルピン種は、脂質含量に広いばらつきがあるが(表8.2)、L.
mutabilisでは脂質レベルは他の一般に消費されてる豆よりも高いが大豆よりは低い(Kouris-Blazos and Belsk; 2016のレビューによる)。種子(g/100 db)の平均脂質含量は、文献中(Carvajal-Larenas et al., 2016)報告されているのは:L.
albus, 11.2; L. angustifolius, 6.3; L. luteus 5.5; そしてL.mutabilis, 13.0で、すべての種にわたって高比率はオレイン酸 (C18:1)とリノール酸(C18:2)である。同じ地域、季節で育ったL.
angustifolius 粒の脂質含量は7.8-8.8g/100g dbの範囲と報告され(Villarino, 2014, 表8.3)、最も低いレベルはMandelup種であった。Kouris-Blazos and Belski (2016) はルピン粉の脂質プロフィール(概してL.angustifolius の粒粉)は;飽和19%; モノ不飽和33%;多価不飽和48%で、そこには全脂質のうちオメガー-3リノレン酸の寄与6%が含まれると報告した。
5.4 利用できる炭水化物
利用できる(グリセミック)炭水化物レベルは、一般に食品中の差で決められる(100 --%水分、--%脂質、--%タンパク質、--%灰分、--%全食物繊維)(Food Standards, Austraria New Zealand,
2016a)。ルピン種子中の"炭水化物"区分の文献値は、ひどく範囲が広い(表8.3)。一部これは全食物繊維区分の調査に用いた分析方法が異なっためによるためで(セクション5.2)、全食物繊維を低く測定し、利用できる炭水化物区分を過剰測定している。RFOSは5.0--16.8g/100g
dbと報告され(Karnpanit et al.,
2016; Villarino et al., 2015a)、それは表8.3に報告される"利用できる"炭水化物レベルの大部分であるようだ。
5.5 微量栄養素
ルピン種子中の不可欠食物ミネラルレベルに関する情報は少ない。USDA National Nutrient Database (United
States Department of Agriculture , 日付なし)によると、成熟した生のルピン種子は、成熟うずら豆種子に不可欠食物ミネラルの殆どのレベルと同様;しかしルピン中の亜鉛レベルは高い。Carvajal-Larenas et al., (2016) は、ルピン種子中に報告されるミネラルレベルをレビューし、そして結論したのはデーターの比較が難しいのは可能性ある生産環境の影響と文献値分析方法の違いによるためとした。オーストラリア生産のルピン粉 (多分L.
angustifolius 粒粉)のミネラル含量(g/100gそのまま)は以下のように報告された:Fe, 4.9; Ca, 84; Zn, 3.6; Mg, 189; K, 810(Food
Standards Australia New Zealand 2010; Kouris-Bkazos and Belski; 2016に示す)であり、値は他の豆や穀物粒の範囲内である。
ルピン種子のビタミンレベルの利用できるデーターは少ない。USDA National Nutrient Database (United
States Department of Agriculture, 日付なし) によると、成熟した生のルピン種子のビタミンレベルは生のうずら豆種子のものに類似である。オーストラリア西部で同季節、同地域に生長した市販品種、L.
angusrifoliusの幾つかのカロテノイドレベルがVillarino (2014)によって報告され、Mandelup種で最も高い全カロチノイドレベルは20.1μg/g db( lutein 7.6; β--カロチン5.5 ; zeaxanthin 4.4; α--カロテン2.6 μg/g dbから成る)である。ルピンオイル中のビタミンE含量は大豆に似ているが、ヒマワリや菜種オイルよりは低い(Lampart-Szczapa et al., 2003)。
5.6 植物化学物質と抗酸化能
ヒト健康に重要な植物化学物質の殆どのクラスはフェノール類とその化合物であり、抗酸化活性があり、タイプ2型糖尿病と循環器疾患を含む酸化ストレスに関係ある病気を防ぐものである(Perez-Matute et al., 2009)。Magalhaes et al., 2017は、ルビン、ひよこ豆、サヤエンドウ、そら豆、ヤハズエンドウの種の29ヨーロッパ生産されるサンプルについて分析し、ルピン、L.
luteusとL. angustifoliusは最も高い全フェノール含量を持つことを示した。ルピンではフラボノイドがフェノール酸以上に多く、一方他の種では反対のケースであった。
ポリフェノール、抗酸化能測量のための方法が多岐に渡るために、値は多くの異なった交換不可ユニットで表現されるため;そのため注意が必要なのは文献値を比較するときである。市販のL.
angustifoliusの同一地域、同一季節がオーストラリア西部で生長した際の変化は、粒の全ポリフェノール含量が1.6と1.9mg gallic酸等量(GAE/g db)と全抗酸化能が2.6と5.4μモルTrolox等価(TE)/g db ( Villarino ,2014) とわかった。比較として、Rumiyati et al.,
(2013)はL.angustifolius粒中全ポリフェノール値が0.95 mg GAE/g dbであったが、発芽9日目の脱皮芽中7.88 mg GAE/g dbに上がることを報告した。同様に発芽サンプルの抗酸化活性は粒よりもずっと高かった。これは発芽ルピンが、抗酸化リッチの新鮮食品あるいは他の食品に取り込まれた成分として可能性のあることを暗示する。L.
angustifolius粒の油区分の抗酸化活性のあることはRumiyati
et al., (2013)によっても報告され、彼らは一部油中に同定した植物ステロールの結果であろうと結論した。
他の種子区分に比べ、L.
angustifolius、 L. luteus、 L. albusの皮は遊離フェノール酸が最も高いと報告された(Jampart-Szczapa et
al., 2003)。ルピン皮の全抗酸化能は0.14 mg TE/g 乾物と報告された(Ranilla et al., 2009)。対照として26品種のいんげん豆の皮はもっと高く、7.1から102.4mg TE/g乾物の範囲であった(Kan et al., 2016)。
5.7 抗栄養素と毒
5.7.1抗栄養ファクター
一般にルピンの抗栄養素ファクターは、大豆のような他の豆類に比べて低いと考えられている。ルピンはレクチンを含まない(Petterson et al., 1997)が、一方Phaseolus spp.は1-10mg/gを含む(Nasi et
al., 2009)。L.
angustifolius中のサポニンは約570mg/kg種子(0.057%)(Gurfinkel and Rao 2002)の低レベルで存在すると報告され、同一著者らによって脱脂大豆粉では0.58%、白インゲン豆種子では0.32%と報告されている。キノアはサポニンレベルが約0.65%で、消費前に加工により除去の必要がある(Ward, 2001)。僅かのデーターがルピン種子中タンニン含量とタンニンのタイプに関し利用できる。タンニンは金属イオンキレート剤として働き、非ヘム鉄吸収をかなり阻害し、タンパク質消化性の反対の効果を示すが、しかしながらそれらはまたヒトにとって価値ある抗酸化効果ももつ(Santos-Buelga and Scalbert, 2000)。濃縮したタンニンのL. albus, L. angustifolius,
L. luteusの種類の皮中のレベルは、0.013-0.077mg カテキン当量/g dbと報告され、皮のそれは0.001-0.009mg/gである(Lampart-Szczapa et al., 2003)。これは一般の豆品種の皮のレベルとはっきりとしたコントラストであり、50-350mgカテキン当量/g db(Majica et
al., 2015)の範囲と報告された。
プロテアーゼインヒビターは非常に低レベルの存在で、ルピン種の作物での重要性は小さい(Winkk, 2006)。トリプシンインヒビター活性はLupinus種では"無視できる"と述べられ、大豆中43-84トリプシンインヒビター単位(TIU/mg)"非常に強い"、と一般の豆で高い(17-51TIU/mg)である(Guillamon et al., 2008b)。フィチン酸塩は豆も含みすべての粒に存在、豆では皮に集中して存在している(Ghavidel and Prakash, 2007)。フィチン酸塩は、例えば鉄、Ca、Znのような不可欠ミネラルをキレートし、生化学的利用性を低下する(Sanchez-Chino , et al., 2015)。フィチン酸含量は、L.
albusルピン種子では1487mg/100g dbであり(Nilgun and Nermin,2014)、一方P. vulgarisでは200-1900
mg/100 g dbである(Champ, 2002)。
5.7.2 植物エストロゲン
植物エストロゲンは、閉経期の症状との戦いを支援する植物化学物質である。しかしながらSirtori et
al., (2005)によるレビューでは、それらの意図された循環器疾患を抑える役割はあいまいで、それらは有毒かもしれない。Sirtori et
al., (2004) はL.
albus種子中のこれらの成分のレベル(56mg/100gそのまま)が、US大豆(116-274mg/100gそのまま)で報告されている範囲に比べて低い(Wang et al.,
2000)と報告した。しかしながら、Ranilla et al.,
(2009) はこれらの物質をL. mutabilis 種子中にのみ見出し、L. albusやL. angussifolius種子には見出さなかった。
5.7.3 アルカロイド
苦味のあるルピン種子品種はquinolidine alkaloids(例えばlupanine, 1,3-hydroxylupanine とangustifoline、表8.2B)を含み、それはヒトに有毒の可能性がある(Kamel et al.,
2015; Petterson 1998)。これらの毒効果は、最近Carvajal-Larenes et al., (2016)によりレビューされた。そこで、その最大の法的レベル0.02g/100gルピン粉と食品が幾つかの国で立法化され、その国にオーストラリア、ニュージーランド、英国、フランス(Food Standards Australia New Zealand,
2016b; Ministry of Agribculture Fisheries and Food and Departmeny of Health,
1996; Resta et al., 2008)が含まれる。同一地域、季節のオーストラリア西部の市販のL.
angustifolius品種で粒中のアルカロイドに相違の無いこと、すべてのサンプルが最大ヒト食品利用に許可されるレベル以下であった。
5.7.4 Phomopsins
PhomopsinshはDiaporthe spp.毒性の生産するカビ毒で、毒(European Food Safety Authority, 2012; Food
Standards Australia New Zealand, 2016b)が高湿度にさらされると種子に感染する。オーストラリア、ニュージーランド、英国で、食品に用いるルピン中最大許可レベルは5μg/kgである(Petterson, 1998)。最も高いphomopsins濃度は皮に見られる(EFSA, 2012)。そこで脱皮でそのコンタミレベルを低下させることができる。Phomoposinsは水漬、蒸気、発酵に対して安定だが(Battilani et al., 2011)、高温、高圧エクストルージョンクッキングでそのレベルを低下させる可能性があり、他のカビ毒で知られる効果がある(Bullerman and Bianchini, 2007)。
メインページ