2020年8月アーカイブ
2020年8月24日 08:52 ( )Millets (ヒエ):ユニークな栄養,健康増進の性質-1
1、
紹介
ヒエは、穀物種小さく詰まった穀物の集合的名称であり、ほぼ小麦粉の4/1-1/10のサイズである。それらは単一の種ではなくあるいは単一の遺伝子の種でもない。事実ほぼヒエ品種は、より小麦,大麦より遠い関係のものである。 約11栽培--ヒエ 品種がある。それらは大きくは経済的には重要性の点でいろいろであるが、全てのヒエは食料不安定国において栄養安全面でかなり重要なものである。これはヒエがかなり固いためである。低収入農業国でも栽培する事が出来、高温、干ばつの条件に耐える事の出来るものである。
この章では経済的重要性から、fonio( 白と黒fonio)、finger millet、 foxtail millet、prosomillet、pearl
millet、teffが大部分のヒエとして、barnyard millet、Japanese
barnyard millet、 kodo millet、little millet が少ないヒエとして述べる。ヒエの研究は複雑でいろいろなヒエの成分に関する基本的な情報ですら不完全であり、時には異なるという矛盾もある。
これは基本的にはヒエは発展途上国の小規模農家によって大きく栽培され、そして地球的には殆どのヒエは非常に小さな作物であるのが理由である。ここではそれらは主要穀物とほぼ同じ程度には研究されてこなかった。寄与する要因は各品種間で区別するのが難しく、特にそれらが脱皮後、皮あるいはふすまが除去された後、特に難しい。
ヒエはトウモロコシ、モロコシ同様C4熱帯草であり、小麦、大麦、ライムギ、米、オートムギの様な温帯穀物とは違う。ヒエは2つの植物亜科と属に入り、Choridoideae亜科とEragrostideae(ツツガムシ)族 (finger
milletとtuff)とPanicoideae亜科とPaniceae 族(すべての他ヒエ)。トウモロコシとモロコシは又後の亜科である。しかしながらヒエはまたはっきりと温帯穀物に関係あり(Pooideae 亜科)と米(Bambocoideae 亜科)とある。
ヒエと小麦とその周縁のものとの間の遺伝的距離のため、ヒエ
は小麦関連の穀物によるセリアック病や他の不耐性アレルギーの人々に対して適している。
ヒエは世界中の温暖、熱帯地方で広く栽培される。発展途上地域、 国(アフリカ、アジア全国、特にインド、中国、東、南ヨーロッパ)ではヒエは広く伝統的な常食の形で消費され、伝統的なアルコール、ノンアルコー飲料製造に利用されている。アフリカ,アジアではマイナーなヒエ は干ばつの場合の最後の手段の食用作物として用いられる。より発展国、例えばUSA、アルゼンチン,ブラジル,オーストラリア、南アフリカではヒエは広く飼料に栽培され、更に特別な食品のグルテンフリー製品に使用されるのに生産は広がった。
発展途上国、発展国の両方で、ヒエは愛玩用と狩猟用の鳥の餌用に多く生産された。USA、アメリカでは家畜用飼料として特にpearmilletの生産が拡大された。
この章では基本的な情報がヒエの生産と栽培について述べられた。そこで、主に述べられているのはいろいろなヒエ種の粒を述べた。いろいろなヒエ種の栄養,植物化学,抗栄養素の点での成分を調べた。それに続いて伝統的、現代のヒエ食品の製造のための科学技術,および飲料製品の加工技術を主に記述した。更に栄養、植物生理活性物質、抗栄養素に関する影響が説明された。続いてヒエ食品の栄養品質および健康増進性質の研究上の発見が開示、評価され,そこでは動物およびヒトの研究で栄養、植物化学、生理的利用性に主力をおく。章の結論点の第1の関心は、ヒエの知見の状況と研究ニーズに関する点で、栄養的、健康促進属性に関し、ヒエの主食と専門食品としての見込みに関する点である。
2、
生産と栽培
ヒエは本当に古代穀物である。明らかにproso milletの広がった栽培の証拠はカザブスタンの7000年前以上のものである、そして多分pearl milletのガーナにおける栽培は5000年以上前である。多分pearl millet、fonio、finger
millet、teffは全て元々アフリカで、サハラの南、pearl milletとfonioは西アフリカかfinger millet とteffは北西アフリカである。Finger millet とpearl
milletは今から約2000年前インド亜大陸もたらされた。他のmilletmも多分全てユーラシア大陸がオリジンだろう。Prosomillet はアジア、ヨーロッパ全国、7000BP以前の証拠があり、foxtail milletは北中国でこの時期の証拠がある。
今日ヒエは総合的に考えると6番目に重要な穀物であり、生産面でトウモロコシ、米、小麦、大麦、モロコシの6番目である。しかしながらヒエ生産のデーターは別のようである。FAO ( FAOSTAT, 2014) は、平均の年間生産量(ヒエ
プラスfonio、これは分けられてリスト化された)、28.3百万トンで平均は0.9トン /haである。この生産はかなり低く見積もった量であり、ICRISAT (the International Crops Research
Institute for the Semi-Arid Tropics) のCGIAR 組織はヒエに責任があり、そこでは世界のpearl millet だけの作物面積を示し、定量的に最も重要なヒエを31百万ヘクタールで世界ヒエ生産の46%を数えた(ICRISAT、日付ない)。全てのヒエに対しこの収穫を考えると,これは世界のヒエ生産の約60 百万トンと数えられるであろう。それはヒエのそれと同じである。前に記述したようにpearlmilletは約世界生産のほぼ半分である。他の大きな栽培ヒエは下方順位の生産は;foxtailmillet(世界生産の約19%)、teff( 9%)、foxtail millet (
11%)、prosomillet(8%)、fonio(1%)である。
ヒエの強大な影響は、主食用作物として天候変更の条件下で引き起こされる気温上昇としばしば起こる干害で一般にそれを非常に固くすることである。Pearl milletは多分最も水効率のよい穀物植物であり、年間降水量250-400mmという低い地域でも育つ(National Research Concil, 1996; USDA, 日付け不明)。Proso milletは短期作物(60-90日)であり、より多くの温度帯で育ち,高い高度(3500m)で育つ(ICRISAT, 日付不明)。Foxtail milletは、トウモロコシの僅か2/3の水要求性であり、土壌の肥沃度の異なったところでも強く耐える(ICRISAT,日付不明)。Finger milletはもう少し水量が他のヒエより必要(年間降水量500-1000mm)(Obilana
and Manyasa 2002)、しかし高度2000mまで育つ。Teffはまた、高度(1700-2800m)まで育ち降雨条件(300-2500mm)の広い範囲で育つ。
示したようにヒエは殆ど開発途上国の小規模農家で栽培される。
伝統的手動農業作業法で、手動あるいは動物牽引耕起,手挽き、手除草、手あるいは動物による脱穀が基本である。典型的にはアフリカでは、全くかあるいは最低の施肥であり,それは作物としてのヒエ の商品価値に対する肥料のコストの相対的関係のためである。結論的にはヒエ収量は常に非常に低い。さらに開花受粉品種、それは次の季節に植える種子としてとっておくことを農家に可能とするものだが、殆どいつも用いている。今日、より収量を上げ、病気に抵抗性のある改良された品種、更に大きくより簡単な加工穀物は素早く在来種に置き換わる。例えばエチオピアのteff収量はこれまで低く(2011-1.26トン/ha)かったが、急激に増加し6年で33%ほど増加したが,それは改良品種の栽培の結果で、より素早い増加要求に答えて生産を強化したことによるものである。より発展した国々では、高収量の雑種品種の栽培ができ、ヒエ生産は一般には機械化されており,その結果より高収量である。Pearl millet とfoxtail millet の雑種品種もまた国々、例えばIndiaのChina で各々使われている(ICRISAT、日付不明)。これらの開発にもかかわらず,全体的にはヒエ収量(O.9トン/ha)は未だに穀物(トウモロコシ5.2 トン/haおよびモロコシ 1.5トン/ha)に比較されかなり遅れている。遺伝子工学がこれらの病気抵抗性のヒエを作るのに用いられた。例えばトランスゲニックpearl milletでベト病への抵抗性のあるものが開発されたが、未だ遺伝的に修飾されたヒエはコマーシャル栽培されていない。
3、ヒエ種の記述と構造
ヒエ種のサイズは種間で大きく違う。 最も大きなものはpearl milletで、それは千粒重約8-10g(約小麦の1/4)、最も小さいteffで千粒重は僅か0.3-0.4gである。しかしながら品種の中でも粒サイズにかなりばらつきがあり、集中育種プログラムではずっと大きい粒サイズになっているが例えばfoxtail millet である。粒サイズの違いはドラマチックである。我々はある改良されたインドからのpearl millet lineがセネガルで育ったもっとも一般的なものの千粒重の2倍になる事を見出したが6.9gに対して14.9gである。
粒サイズの違いに加えてヒエ 粒は種によって植物構造に違いがある。ある物は露出した粒で,例えばpearl millet は小麦の用に殻から脱穀されていて、一方他は例えばfoniogはそうではなくオートムギの様にもみ殻である。ある物は正常の穀構造をもつ穎果であり、例えばpearl milletで他の多くの穀物のようである;一方他は卵型で、例えば、finger milletで、そこでは果皮は完全には種子膜に融合してなく、脱穀によって除去出来る。全体的には粒の色は種間あるいは種の中でもバラバラである。例えば黒(実際は茶色)と白種がfonioにあり、finger milletとteffの品種では茶と白の両方がある。粒の色はポリフェノール植物化学物質の含量に関係があり、アントシアニンタイプ色素はふつう黒色粒色に関係ある。全てのこれらの要因は大きくはヒエの栄養と植物生理活性物質含量に影響する。更に出版されたデーター;しかしながら粒の可食部が分析されたかどうか区別されていない、あるいはハスク/外皮が入っているかあるいは脱皮した外皮(もしあれば)が分析されたかどうかも区別されていない。ここでウエブサイト上及びある科学文献の記述で、ヒエが非常に栄養的で健康的であるという効能があるがそれはせいぜい単純化しすぎている。
4、
栄養と植物生理活性物質
ヒエ種間の粒サイズと構造の違いや、更に他の穀物粒に対し相対的に小さいサイズではあるが、にもかかわらず、はっきりしている事はヒエのほぼ巨大栄養成分は種間によっては大きくは違いはなく一般に他の穀物のそれと同じ範囲内にある。他の穀物と同じように炭水化物、特にデンプン(約60%-75%)が大部分の成分であり、続いて食物繊維(10%-15%)、タンパク質(8%-15%)、脂質(oil/fat)(1%-5%)、それと灰分(全体ミネラル)(1%-3%)である。小さい炭水化物以外の値はハイドレッドパン小麦のそれらの範囲内にある。
4.1 炭水化物
前に記述したように,ヒエ の大部分の可食部炭水化物はデンプンである。Finger millet とfoxtail
milletのデーターは、他のヒエ中の炭水化物は主にはシュクロースと少量のグルコースとフラクトースで、ヒエ粒重の約1%に相当する。ヒエ中のデンプンは一般には正常で約3--4:1比のアミロースに対するアミロペクチン比である。しかしながらfoxtailとprosomilletにワキシ種(高アミロペクチン)がある。ヒエデンプンの糊化温度はトウモロコシとモロコシに類似していて,熱帯植物のデンプンの特徴である。平均値はpearlmilletの65℃からJapanese barnyard milletの84.9%が報告されている。ハードウィンター小麦デンプンの糊化温度と比較すると約59℃。
興味深い事は、デンプン粒の形態学的にはヒエ種間で非常に大きな違いがあり、何れかの種もデンプン粒に1タイプ以上が含まれる。
Pearl milletsはトウモロコシ,モロコシのように正に大粒のシンプルな粒(8-13μm)が含まれる。
Fonioは小粒で単粒(約7μm)で、一方他の種はfinger、kodao、 little、puroso milletは一般に2タイプあり、かなり大きな多形と小さい多形および/または丸い粒で約サイズ範囲は1-10μmである。Finger milletの場合にはこれらの粒のある物は結合粒であり,
即ち大きなデンプン粒は多くのパックされた小粒でできる。恐らく他のヒエのあるものも同じケースである。Teffで、全ての種は集合体であるようだが、そこでは小粒(2-6μm)は多形である。ヒエ中の小デンプン粒は擬似穀物アマランス,ソバ,キノアと同じサイズであり、米にも似ていて米はやはり複粒の形をとる。多分それらの比較的大きな表面積のため、小デンプン粒はドウベースの食品の品質にプラスの影響を与えるようだ。例えばインジェラ(エチオピアの発酵平パン)はteffとfinger milletで作るが,よりモロコシのものよりも老化に対し抵抗性がある。事実、teffあるいはfinger milletが利用できない時、米のインジェラ製造には好ましい粉である。
4.2 タンパク質
他の穀物同様,リジンはすべてのヒエで第1の不可欠必須アミノ酸である。多分ヒエ中でpearl millet はもっと高いリジン含量であり、その値の範囲は表4.2に示した通りである。これは比較的タンパク質の多い(約31%タンパク質)胚芽ためであり、そこにはリジンリッチアルブミンとグロブリンタンパク質を含む。
殆どの穀物同様,米とオートムギは例外だが,プロラミン貯蔵タンパク質は大部分のヒエ種中の主要タンパク質区分である。プロラミンの全粒タンパク質の%としてfinger、foxtail、 pearl、proso millet とteffは約42、76、43、58、41%各々であり、それらは論文中にある。プロラミンはプロリンとグルタミンに富むと定義され、非常にリジンが低い。ここでこの理由のためリジンは殆どの穀物中の第1制限アミノ酸である。例外としてfonioで見られるが、大部分のタンパク質はほぼグルテリンであり,それはリジンがより多く,それは米と同様であり、粒タンパク質の約60%から成る。少数ヒエのタンパク質のデーターは完全ではないが、グルテリンはまたbarnyard millet、Japan
barnyard millet、 kodo millet、 little millet中の主要タンパク質区分である。しかしながら殆どのヒエはトウモロコシやモロコシに関係が深く、それらのタンパク質のリジン含量は非常に低く、著者の意見はこれは多分正確ではない。
ヒエのプロラミンは詳細には研究はされていない。示されているのはモロコシのプロラミンのkafirinに対する抗体はbarnyard、finger、 foxtail、kodo、 little、proso milletsのプロラミンと反応することである。この事は高レベルの相同性に違いない。また、高レベルの相同性はpearl millet とteffプロラミン間にあり、トウモロコシとモロコシにそれにも相同性がある。興味深い事は、わかった事はteffのプロラミン はkaffirinより重合化がより低い程度であり、疎水性がより小さく、更により低い変性温度である。これらの性質はteff プロラミンが特に不活性モロコシ kafirin プロラミンタンパク質 よりもドウシステム中機能的である事を示す。
4.3 脂質
脂質はヒエ品種間で異なる物質として唯一の大きな成分である。
Pearl milletsとfoxtai
milletは明らかに他の大部分のmilletに比べて高レベルの脂質含量であり、そしてわずかなヒエJapanese barnyard millet 、little
millet はまた明らかに脂質含量が高い (表4.2)。Pearl milletとfoxtail millet中のより高い脂質レベルは比較的大きい胚によるためであり、脂質は胚組織中に集中しているためである。pearlmillet で胚は約32%脂質からなり、粒中全脂質の約88%の含量である。
ヒエ脂質の脂肪酸組成に関しては,これは他の穀物と同じである。不飽和脂肪酸に富みオレイン酸(C18:1) , リノール酸(C18:2), それとリノレン酸が主体である。Finger millet は例外としてモノ不飽和脂肪酸のオレイン酸が優勢のように見える。この事はそれとその低脂肪含量(約1.4%)は多分finger millet粒のよく知られた素晴らしい貯蔵性の説明であろう。
4.4 食物繊維
明らかにヒエ種には食物繊維含量に多少大きな違いがあるが(表4.2)、データーは実際にはっきりしない。これは前述の問題点、分析が皮ありと皮なし粒で行ったかどうか、更に食物繊維分析で進行中の分析法進歩のためなのか、一方可溶性食物繊維と抵抗性デンプンが伝統的不溶性(粗)食物性繊維に加えられて考えられるかどうかのためである。ここで食物繊維に対する非常に高い(約18%)と低い(2%--3%)値とは可食全粒の全食物繊維含量とは関係ない。
4.5微量栄養素
ヒエ中のミネラル,ビタミンの含量は種では一般には広くばらつく事はない,そして必然的には他の穀物のそれに類似している(表4.3)。しかしながら微量栄養素,抗栄養素のデーターは巨大栄養素よりも包括的でない、そして幾つかのデーターにはギャップがあり、特にマイナーなヒエ についてはそうである。
ミネラルに関してfinger milletは顕著に高レベルのカルシウム(約240-410
mg/100g)が含まれている。またカルシウムが種皮膜中に集中している分布は興味深い(多分finger milletは擦りの間除去される)、内胚乳中に多少と胚には全くなし。
Pearlmillet に関し、ICRISATはこれまでの育種を続けて鉄や亜鉛の多い系統を成長させた。これらのバイオ的に育てられたpearl millets系の雑種は75mg/100g以上の鉄、55mg/100g以上の亜鉛(Rai et
al., 2013)で、即ち60%以上、30%以上各々がpearl millet の平均の鉄,亜鉛含量よりも高い。
ビタミンに関しては、全ての穀物の様にヒエ はビタミンB(ビタミンB1−チアミン,ビタミンB2−リボフラビン,ビタミンB3−ナイアシン)が多く、それはふすま層中に集まっている。全ての穀物の様にそれらはプロビタミンA(β--カロチン)が非常に低い。。Foxtail
milletは黄色の内胚乳を持ちそれはカロチノイドの存在のためだ。しかしながらtrans-luteinとtrans-zeaxanthinの第1カロテノイドは非常に僅かなprovitamin
A活性しかない。不完全ながら、利用できるデーターはヒエがビタミンE(トコフェロール)の並外れた源ではない事を示し、小麦のそれより低い含量である事を示した。
4.6 植物生理活性物質
一般に大部分の穀物、例えば赤小麦に比べて、ヒエ種はかなり高いフェノール生理活性物質レベルである。全ての穀物種の様に、ヒエ中の大部分のフェノールはフェノール酸とフラボノイドである。Finger milletのほぼ黄色品種はさらに重合化したタンニンを含む(プロアントシアニジン/プロシアニジン)、それはタンニンタイプのモロコシ品種の様である。ヒエ中の他のタイプの生理活性物質の報告があり、例えばγ--amino butyric acoidはfoxtail
milletとbarnyard millet中、特に発芽した粒に見出される。ヒエ中のフェノール酸に関して、hydroxybenzoic acid (例えばprotocatechuric acidとvanillic acid )とhydroxy
cinnamic acid (例えばferulic acid、caffeic、coumaric
acid とsinapic acid) と、それらの誘導体が、どれもヒエ の異なった種にいろいろの比率で見つかる。データーは非常に不十分であり、時に矛盾するが、teff、 kodo millet、foxtail milletは高レベルのフェノール酸を含んでいる。いろいろな研究者らのデーターを比べると;フェノール酸の問題はいろいろな異なった形で存在していることだ;遊離、エステル化、エーテル化、結合である。いろいろなヒエ種は、他の穀物のおけるようにフェノール酸の大部分が結合型である、結合型は特にフェルラ酸の不変のダイマーあるいはオリゴマーであり、たとえばdiferulic acidで、細胞壁非デンプン性多糖類に架橋しているがこれは正確に定量する事が非常に難しい。
フラボノイドタイプのフェノール酸に関しては、finger milletは一般に最も高レベルを含んでおり、幾つかの異なった成分も伴っているが,更に誘導体として同定されたのはcatechin, gallocatechin, epicatechin,
epigallocatechin, taxifolin, vitexin tricin, luteolin, myricetin, querucitin,
kaemferol, narigeninおよびdiadzeinである。フェノール酸同様フラボノイドもまた遊離エステル化,エーテル化結合型があるが,しかし多分大部分は遊離型である。
4.7 抗栄養素
フィチン酸塩 (myoinositol hexaphosphate)と蓚酸塩は抗栄養素であり、それらは広く植物食品中に存在する。それらは2荷の金属イオンと結合し、たとえば鉄、亜鉛、カルシウムであり、生化学的利用性に深刻な悪影響を与える。フィチン酸塩は穀物のアリューロン層にあり,胚には少ない、そして蓚酸塩は種皮に集中している。また不完全ではあるがデーターが示すのは,これらの抗栄養素のレベルがヒエ中で、他の穀物中のものより高いわけではない。ここで文献中の言明のようにこれらの抗栄養素として特別にヒエを拾いだすのは間違いである。
記述したようにfinger milletはヒエ中ユニークに見え、それは茶色品種にはタンニンが濃縮されているためである。濃縮されたモロコシでのタンニンは良く知られた抗栄養素でそれは食物タンパク質と結合する結果であるか,あるいは消化酵素と結合するためである。タンニンはモロコシ中でまた食物ミネラルの生化学的利用性を低下させる。モロコシの様にfinger millet粒中のタンニンも種皮中に存在する。
しかしながら濃縮したタンニンのレベルは、finger milletの茶色品種中(1−2gカテキン等量/100g)では一般にタンニンモロコシ品種中より低く見える。相対的にタンニンは茶色finger millet品種中低レベルにも関わらず,それらはネガテブな栄養効果を示す。Finger milletの発酵は本質的に測定できるタンニン含量を低下し、および同時に多分タンパク質、デンプン、ミネラル利用性を変え、試験管(vitro )アッセーでも示された。
Pearl millet は、たとえばスーダン や南スーダンの地域で非常に制限された食事で一般に主食にされるところで、甲状腺腫を引き起こした。Pearl millet にはC-glycosyl
flavon-typeのフェノール物質が含まれ、特にvitexin、 glucosyl vitexin、
glycosyl orientinが原因物質と考えられて来た。これらC-glycosyl flavones はhormone
thyroxine のdeiodination(脱ヨウ素化)を阻害する事で、活性化した型のtriiodothyronineにすることを阻害する。
セリアック病とグルテン−5
3.2 穀物の毒性
1950年にディッケの論文で始まった初期の調査では、小麦、ライムギ、大麦はCD患者に有害であるが、米とトウモロコシは有害ではなかったことが示された。ソバやジャガイモなどのイネ科以外の植物は安全であると見なされていた。当時は腸の生検の技術が利用できなかったため、研究は摂食試験とその後の症状と脂肪またはキシロースの吸収不良の出現に依存していた。その後、腸の生検と免疫原性反応に関する組織学的研究が毒性判断に使用された。オートムギの毒性についてはまだ意見の相違はあるものの、小麦とオートムギだけが広く研究されており、小麦の疑いのない毒性をもたらしている。ライムギと大麦のテストはかなり最小限だったが、貯蔵タンパク質の構造から推測される小麦との強い類似性は、CDの毒性を裏付けている。トウモロコシ、イネ、モロコシ、キビ、およびすべての非穀物植物が安全であると見なされるようになった。これは、おそらくこれらの作物を含む食事からの矛盾する証拠が何十年も遭遇していないからである。小麦を含まないモロコシ食品の安全性は、in vitroおよびin vivo試験、ならびにゲノム、生化学、および免疫化学分析によって確認された。
Kasardaによると、植物の分類法は、植物を安全または危険として分類するのに役立つガイダンスを提供するかもしれない。間違いなく有毒な穀物(小麦、ライムギ、大麦)はすべて、草の科(Family)内の単一の族(Tribe)、Triticeaeで見つかる。この植物関係および類似のタンパク質パターンにより、CD患者はすべての小麦種、ライコムギ、およびライムギとオオムギのすべての植物形態を避ける必要がある。毒性に関して議論の余地があると判断されたオートムギは、同じ亜科(Subfamily) Pooideaeに属しているが、別の族(Tribe) Aveneaeに属している。すべての非毒性の一般的な穀物(イネ、トウモロコシ、ソルガム、ヒエ)およびほとんど使用されない穀物(テフ®、ラギ、ヨブの涙)は、コムギ科からより離れており、草の科(Family)内で別々の進化系統を示す。ソバ、アマランス、キノアなどの草科(Family)以外の種子は安全であると想定されている。
四倍体(デュラム、エンマー)および二倍体(インコーン)小麦種は、Dゲノムが存在しないため、六倍体(一般的、スペルト)小麦よりもCD患者に有毒なタンパク質エピトープが少ないことが提案された[83]。実際、グルテンタンパク質の成分は少ない。しかし、小麦粉中のタンパク質量はさらに多く、すべてのグルテンタンパク質タイプが存在する。さらに、α-グリアジンのN末端配列決定は、異なる小麦種の間で高度の一致を示した。それにもかかわらず、刺激性エピトープのレベルに違いが存在する可能性がある。Molbergと共同研究者は、免疫原性33-merペプチドと同一または同等のタンパク質断片が小麦染色体6D上のα-グリアジン遺伝子によってコードされているため、二倍体インコーン(ゲノムAA)および四倍体デュラム小麦(ゲノムAABB)のグルテンが存在しない事を見出した。 Triticum monococcumグリアジンの毒性の欠如は、in vitro organ
culture system でも又示された。
しかし、グルテン感受性T細胞および器官培養試験に基づく他の発見は、古代小麦種のCD毒性の証拠を提供した。
オートムギをGFDに組み込むと、高繊維、ビタミンB、マグネシウム、亜鉛、鉄の含有量、嗜好性の向上、心血管の健康に対する有益な効果が得られる可能性がある。ただし、CD患者の食事からオートムギを除外する必要性については議論の余地がある。 Sontag-StrohmおよびPawloskaのグループは、チャレンジした個体数、毎日与えられたオートムギの量、チャレンジの期間、および臨床測定を含む毒性試験の概要を提示した。 1953〜1976年のオートムギに関する報告は、オートムギin vivoチャレンジ後の異なる効果を明らかにした。効果は、吸収不良試験で示されるように有害であるか、腸生検で示されるように無害であった。ただし、これらの研究は少数の患者に基づいており、チャレンジ期間は短かったため、オートムギのサンプルは小麦、ライムギ、または大麦の混入についてテストされていなかった。その後の研究はより包括的であり、より多くの患者が純粋であることが証明されたオートムギに挑戦された。最大92人のCD患者とコントロールを含むさまざまなコホートに、3〜60か月間の1日あたり10〜93 gのオートムギがチャレンジされた。使用された検査と測定の種類は、主に組織学的判断と血清学的検査を伴う十二指腸生検だった。結果は、オートムギは臨床的に許容され、組織学的損傷も細胞性または体液性免疫応答の誘発も引き起こさないことを明らかにした。それぞれ1〜5年にわたる長期の研究でさえ、患者が有害な影響なしにオートムギに耐えることを実証した。別の研究では、CDを患う子供はGFDで2年間にわたってオートムギに耐性があり、その間定期的に監視されていたと述べている。同様の発見は、もう一つのグルテン関連障害である疱疹状皮膚炎の患者でも行われた。しかし、2つの研究は、少数の患者に対するオートムギの有害な影響を示した。オートムギに敏感なケースの数が限られているため、このサブグループのサイズの数字による推定値は入手できない。最も可能性が高いのは、このサブグループがCD患者の1%未満を構成している可能性があることだ。主に良好な臨床的証拠にもかかわらず、オートムギがGFDに含まれることは継続的に議論されてきた。オートムギのプロラミン画分であるアベニンの含有量が比較的低いことは、ほとんどの患者にとって明らかな安全性を説明していると主張された。その後、オートムギ粉から分離された純粋なアベニンによる試験が実施された。繰り返すが、明確な結果は得られなかった。たとえば、T細胞試験では、小麦(グリアジン)、ライムギ(セサリン)、および大麦(ホルデイン)のプロラミン画分に相当する免疫応答が示されたが、器官培養試験は陰性だった。
結論として、臨床研究では、CD患者に対するオートムギの一般的な無害性を支持する限られた結果しか得られない。オートムギを継続的に摂取する人(子供には20〜25g /日、大人には50〜70g /日)が適切な臨床フォローアップ必要であることが推奨されている。
さらに、オートムギ製品は、小麦、ライムギ、または大麦の汚染についてテストする必要がある。これは、市販のオートムギの供給がこれらの穀物でひどく汚染されている可能性があるためである。いくつかの研究グループは現在、CDに毒性のないオートムギ品種の選択の基礎として、オートムギの潜在的な免疫原性の多様性を研究している。オートムギ品種間の2つの既知の免疫原性アベニンエピトープの違いは、すべてのCD患者にとって完全に安全なオートムギ品種の選択と育種が現実的な可能性があることを示している。 CD患者から分離されたT細胞に関する研究は、オートムギ品種は、非免疫原性、中程度の免疫原性、または高度な免疫原性のいずれかで、異なる免疫原性を持つ可能性があることを示した。免疫原性の程度は、特定のグルタミンおよびプロリンが豊富なペプチドの存在に関連していた。しかし、13の2倍体、4倍体、および6倍体オートムギ種のアベニン遺伝子の評価により、すべてが2つのCD特異的アベニンエピトープを含むことが明らかになった。著者らは、これらのエピトープを欠くエンバク品種が見つかる可能性は非常に低いと結論付けた。
3.3 タンパク質画分の毒性
初期の調査により、小麦、ライ麦、大麦、そして場合によってはオート麦はCD患者に有害であるが、トウモロコシ、米、ソルガム、およびキビは無害であると考えられているという結論に至った。有毒穀物の中では、最初から小麦タンパク質に、そしてその後オートムギタンパク質に調査が集中した。初期の研究者は、脂肪便などの症状の発生とキシロースまたは脂肪の吸収不良の測定に基づいた摂食試験を使用して毒性を確立した。 Dickeのグループの先駆的な研究により、水溶性画分(アルブミン)ではなく、小麦粉生地のゴム様タンパク質画分であるグルテンが毒性因子を負った。小麦グルテンの分別により、アルコール可溶性グリアジン分画が最も毒性の高い因子であるという結論に至ったが、不溶性グルテニン分画の効果は、グリアジン分画と同様に、非毒性、弱毒性、または毒性のいずれかとして議論された。グルテニン画分は一般に、鎖間ジスルフィド結合を介してグルテニン凝集体に共有結合している奇数のシステインを有する修飾ω-、α-、およびγ-グリアジンによって汚染されていることに言及する必要がある。したがって、グルテニンの毒性に関する記述は、グルテニン画分全体に関する研究ではなく、精製されたグルテニンサブユニットに基づいてするべきである。
グリアジン画分または小麦グルテンのいずれかを使用して、さらに基本的な研究を実施した。重要な結果には以下が含まれる:グリアジンの加熱と酸化によるジスルフィド結合の切断は毒性を減少させなかった。結果として、グリアジンの三次元構造は、その毒性効果にとって重要ではない。対照的に、酸加水分解によるグリアジンのアミノ酸への完全な分解は、それらを無害にした。
グルタミン、最も頻繁に貯蔵タンパク質中にあるアミノ酸であるが
CD患者に許容される。ペプチド結合の限られた切断を伴う希釈塩酸によるグルタミン側鎖のグルタミン酸側鎖への広範な脱アミド化は、グリアジンの解毒を引き起こし、グルタミン残基がCD毒性効果に重要であることを示した。生体内の状況に応じて、小麦グルテンまたはグリアジンをペプシンおよびトリプシンのみで、またはその後にパンクレアチンで生体外消化すると、毒性が保持される。このようなCD毒性タンパク質の酵素加水分解物は、無傷のグリアジンおよびグルテンとは対照的に水または塩溶液に可溶であるため、毒性試験の陽性対照として頻繁に使用されてきた。最も引用された例は、いわゆるフレイザーのフラクションIII、小麦グルテンの消化性トリプシン(PT-)消化の水溶性部分である。グリアジン画分に相当するものとして、ライムギとオオムギのプロラミン画分はCD毒性に関連している。ただし、徹底的なテストを行うことなく、この発見に達した。 22人の患者の比較研究は、グリアジン、セカリン、およびホルデインのPT消化物が培養生検に対して同様の毒性効果を誘発することを明らかにした。ライ麦と大麦のグルテリン画分は、今日まで調査されていない。オートムギに関する矛盾した結果のため、オートムギプロラミン画分(アベニン)が分離され、in vivoチャレンジ、器官培養、およびT細胞テストによりCD毒性について広範囲にテストされた。それぞれCDおよび疱疹状皮膚炎の2人の患者は、5日間毎日2.5 gの純粋なアベニンでチャレンジされ、9日後に2.5 gでチャレンジされた。腸の生検標本と皮膚の生検サンプルのその後の検査は、アベニンの毒性効果を示さなかった。グリアジンとアベニンのPT消化物のCD固有の効果は、CDおよび非CD生検の器官培養試験で比較された。IFN-γおよびIL-2は、免疫原性応答のマーカーとして使用された。 PTグリアジン(n = 9)で培養した後、マーカーの大幅な増加が観察された。対照的に、CD生検(n = 8)がPT-aveninとともに培養された場合、反応はなかった。
別の研究では、PTグリアジン、PTセカリン、PTホルデイン、およびPTアベニンは、CD患者の5つの異なる腸T細胞株を用いた増殖アッセイを使用して比較テストされた。結果は、すべてのPT消化物に対するすべてのT細胞株の免疫反応性を示した。ただし、PTアベニンと他の消化物との間には顕著な違いがあった。TG2で処理すると、グリアジン、セサリン、およびホルデインへの応答が強化された。両方の研究の著者は、T細胞実験によって示される抗原免疫原性は毒性と同等ではないと結論付けた。これは器官培養試験またはin vivoチャレンジによって確認する必要がある。最近、3つのオートムギ栽培品種からのアベニン消化物とグリアジン消化物(陽性対照)およびオリジン消化物(陰性対照)の免疫原性が、10人のCD患者から分離された末梢血単核T細胞で測定された。 T細胞増殖とIFN-γ放出の測定により、アベニン消化物に対する異なる品種依存的な反応が高、中程度の免疫原性、または非免疫原性で示された。アベニンの免疫原性の程度の違いは、アベニン配列内の異なる免疫原性エピトープの存在に起因している。
3.4 タンパク質タイプの毒性
小麦、ライムギ、および大麦のプロラミンおよびグルテリン画分は、いくつかのタンパク質タイプで構成されている。 CD毒性に関する詳細な研究は不完全で、小麦のグリアジンとグルテニンの種類に限定されている。 Hekkensと共同研究者は、CD患者の小腸への点滴注入とその後の生検によって、明確に定義されたグリアジン亜画分A-グリアジンの毒性を最初に示した。 Aグリアジンの毒性は、器官培養試験などのin vitro試験で確認された。当時、グリアジン(糖タンパク質)に共有結合する可能性のある炭水化物は、CD毒性効果(レクチン様反応)に寄与すると疑われていた。しかし、A-グリアジンの分析は、共有結合した炭水化物が存在せず、したがってCDの活性化に関与しないことを実証した。その後のin vivoおよびin vitroの研究により、すべてのグリアジン亜画分(α-、β-、 γ-、およびω-グリアジンは、電気泳動移動度に関して)CD毒性作用を誘発した。この結果は、α-グリアジンからω-グリアジンへの毒性の減少という観点に有利だった。しかし、調査されたサブフラクションはタンパク質タイプに関して必ずしも純粋ではなく、ω-フラクションはω5-およびω1,2-タイプに区別されなかった。高度に精製されたω-グリアジン(おそらくω5-およびω1,2-グリアジンの混合物)を使用して、2人のCD患者に直腸導入を試みた。粘膜CD3 +およびγδ+リンパ球による特徴的な反応は、このグリアジンタイプに対する直腸粘膜の特異的な反応を示した。
その後、タンパク質の毒性に関する生体内および臓器培養の研究は、合成ペプチドおよびT細胞試験の利用可能性により大幅に減少した。 Molbergと同僚は、小麦粉から5つの成分(サブユニット1Ax2、1Dx5、1Bx7、1By9、および1Dy10)で構成されるHMW-GSのサブフラクションを分離し、大腸菌で発現した組換え単一サブユニット1Dx5または1Dy10を使用した。サブフラクションと単一サブユニットの両方を、HMW-GSに感受性のある一連のT細胞で、ネイティブの形で、またはTG2によって脱アミド化してテストした。結果は、CD患者22人中9人の腸T細胞が脱アミド化されたHMW-GSに応答したが、天然タンパク質には応答しなかったことを示した。生体内チャレンジおよびT細胞試験のために、小麦粉からHMW-GS(1Dx5、1Bx7、1By9、1Dy10)の混合物を分離し、沈殿とHPLCで慎重に精製した。 17人のCD患者のうち11人のT細胞株が有意に刺激された。ネイティブおよびTG2脱アミド化サブユニットへの応答の違いは有意ではなかった。 3人のCD患者にそれぞれ500 mgのサブユニットを投与し、注入を開始してから4時間後に小腸の形態が大きく変化(例えば、絨毛の高さと陰窩の深さの比)した。さらに、小腸におけるIL-15の発現は、注入の2時間後に増加した。連続して、毒性に関するインビトロ研究は、それぞれトランスジェニック酵母およびトランスジェニックトウモロコシから精製された単一の組換えHMW-GS 1Dx5および1Dy10で実施された。 CD患者13人中4人のグルテン感受性T細胞がサブユニット1Dx5に反応し、11人中3人がサブユニット1Dy10に反応した。 1人の患者の生体内チャレンジによってテストされた両方のサブユニット1Dx5と1Dy10は、陰窩の深さと腸細胞の高さに対する絨毛の高さの比に有意な変化を誘発した。 IL-15の染色の増加は、両方のサブユニットでのチャレンジの2時間後に見られた。要約すると、説明した3つの研究は、グリアジンと同様にHMW-GSがCDを悪化させる可能性があることを明確に示した。その後の研究では、未治療のCD患者がHMW-GS 1Dy10に対する抗体レベルを上昇させ、適応免疫応答におけるこのタイプのタンパク質の関与を示していることが実証された。
グリアジンおよびHMW-GSとは対照的に、LMW-GSおよび単一タンパク質タイプのライムギは、これまでCD毒性についてテストされていない。それらの潜在的な毒性は、対応するペプチドの研究から得られたものである。経口大麦チャレンジによって誘発されたホルデイン感受性T細胞を使用して、CD特異的免疫原性について異なるホルデインタイプをテストした。すべての画分は免疫原性でしたが、D-ホルデインおよびC-ホルデインが最も活性が高かった。
3.5 ペプチドの毒性
器官培養試験の導入は、少量を試験できるため、グルテンペプチド毒性に関する研究の新しい分野を開いた。それにもかかわらず、純粋なグルテンペプチドを単離し、特徴づける試みはほとんど行われていない。問題には、グルテンタンパク質画分が多数の成分で構成されており、必要な酵素消化により数百の異なるペプチドが生じるという問題があった。さらに、ペプチドの分取分離の効率は限られており、グルテンタンパク質のアミノ酸配列は1980年代まで知られてなかった。
当時、有望な研究は、穀物のタンパク質化学を経験した研究所とCDの研究を行っている病院の協力によってのみ可能であった。
3つのパートナーグループは、総グリアジン、β-グリアジン、またはα-グリアジンのいずれかの、異なるグリアジン調製物の消化物からペプチドを分離およびテストすることに成功した。 一致して、彼らの結果は、セクションI内のα-グリアジン(α1-55)のグルタミンおよびプロリンに富む配列がCDの活性化に関与し、他の配列(α56-68、α247-266)は陰性。 活性ペプチドに共通のテトラペプチド配列PSQQおよびQQQPは、さらなる調査のための重要な配列であると考えられた。 立体配座研究により、βターンが活性ペプチドの主要な構造的特徴であることが示された。
1991年、α-グリアジンの配列を含む合成ペプチドのパネルが、小腸または腸粘膜の器官培養物への点滴注入によってテストされた。ドデカペプチドα206-217(PSQQを含む)は、in vivoで毒性効果を示した。 α-グリアジンからの3つの合成ペプチドがin vivoおよびin vitroでテストされた。一貫して、ペプチドα31-49は毒性であることが示されたが、ペプチドα3-21およびα202-220は毒性ではなかった。後者は、ペプチドα1-30、α3-24、およびα206-217と対照的である。さらに、in vivo試験では、合成ペプチドα31-43およびα44-55が毒性である一方、ペプチドα56-68は不活性であるという証拠が示された。ペプチドα31-55およびα31-43の器官培養試験では、低濃度での活性が明らかになったが、ペプチドα44-55は高濃度でのみ活性であることが判明した。単一アミノ酸残基がアラニンで置換されたペプチドα31-49の変異体は、残基L31およびP36が置換された場合、器官培養試験で活性を維持しましたが、残基P38、P39、およびP42が置換された場合、毒性を失った。寛解期の4人のCD患者は、ペプチドα56-75およびβ-カゼイン由来の陰性対照ペプチドによる挑戦を受けた。グリアジンペプチドはすべての患者で腸の損傷を引き起こしたが、カゼインペプチドは反応を誘発しなかった。グリアジンペプチドα51-70の毒性は、器官培養システムを使用して評価された。
記載されている調査がテストの数、ペプチドの純度、および結果の一致に関して部分的に不十分である場合でも、ほとんどの毒性配列はα-グリアジンのN末端ドメインで発生し、主にグルタミン、プロリン、および疎水性アミノ酸(ロイシン、フェニルアラニン、チロシン)。 γ-およびω-グリアジン、グルテニンサブユニット、セカリン、ホルデイン、およびアベニンの対応する配列は、in vivoチャレンジおよび器官培養試験によってまだテストされていない。
CD活性ペプチドの検索は、腸のグルテン感受性T細胞株とCD患者のクローンを刺激するエピトープにシフトしている。 van de Wal、Vader、Arentz-Hansen、およびShan et alのグループによって報告された免疫原性ペプチドの第1世代(1999〜2005)の小さな選択がある。腸管T細胞アッセイにより同定されたより免疫原性の高いペプチドは、Camarcaと共同研究者の論文に記載されている。小麦、ライムギ、および大麦のタンパク質の不均一性を考えると、多数のT細胞エピトープが存在することは驚くことではない。ペプチドの大部分はHLA-DQ2に制限されており、グルタミンおよびプロリンが豊富な配列ドメインに由来する。多くの研究が、患者が異なるエピトープに不均一に反応し、子供と大人の間にも違いがあることを示した。免疫原性グルテンペプチドを検出する別のアプローチは、Tye-Dinと共同研究者によって使用された。 PBMC(Peripheral blood
mononuclear cell)は、3日間にわたって小麦、ライムギ、または大麦で攻撃されたCD患者から新たに分離された。
グリアジン、グルテニン、セカリン、およびホルデインに由来する合成ペプチドのライブラリをTG2で処理し、PBMCとインキュベートし、IFN-γELISpotアッセイでスクリーニングした。結果は、調査したすべてのタイプのグルテンタンパク質からの多数の免疫原性ペプチドを明らかにした。興味深いことに、T細胞を刺激したペプチドは、同じ穀物を食べた患者間で同じであった:グリアジンとグルテニンのペプチドは小麦の攻撃後のみ、セカリンのペプチドはライムギの攻撃後のみ、ホルデインのペプチドは大麦の攻撃後のみ刺激性であった。消費された穀物に関係なく、ω-グリアジンとC-ホルデインの1つの一般的なペプチド(QPFPQPEQPFPW)のみが免疫優性だった。腸のCD4 + T細胞とPBMCの両方を使用した比較研究により、2つのアプローチ間の収束を明らかにするいくつかの一般的な免疫原性配列が特定された。
米国ネブラスカ大学リンカーン大学食品科学技術部の食物アレルギー研究および資源プログラムは、CD-活性グルテンペプチドのデータベースを編集した。 60以上の出版物に記載されている1000を超えるネイティブまたは脱アミド化されたペプチドが含まれている。これらのペプチドは、すべてのタイプの小麦グリアジンとグルテニンに加えて、ライムギのセサリン、大麦のホルデイン、エンバクのアベニンにも由来している。一部の著者は、CD活性ペプチドを先天性免疫応答を生成する「毒性」ペプチドと適応免疫応答を生成する「免疫原性」ペプチドに細分した。 T細胞検査で同定された免疫原性ペプチドとin vivoまたは臓器培養検査で同定された毒性ペプチドの数の違いは異常である:1014ペプチドは免疫原性、9ペプチドは毒性、5ペプチドは毒性および免疫原性として分類されている。いずれにせよ、免疫原性が毒性に対応するかどうかの問題は回答されていない。要約すると、毒性/免疫原性ペプチドに共通する特徴は、複数のプロリンおよびグルタミン残基の存在である。これにより、4つのユニークな構造的および機能的特性が生じる:
1. これらのペプチドは、プロリン含有量が高いため、胃、膵臓、および腸の消化プロテアーゼによるタンパク質分解に対して非常に耐性がある。結果として、潜在的に免疫原性のペプチドの高い腸内濃度は、グルテンを含む食事の後に維持される。
2. これらのグルテンペプチドの選択されたグルタミン残基は、生理学的条件下でTG2によって脱アミド化またはトランスアミド化され、免疫原性の強化につながる。
3. プロリンが豊富なグルテンペプチドは、自然に左結合ポリプロリンIIらせん構造を採用する。これは、結合したすべての主要組織適合性複合体クラスIIリガンドの好ましい構造である。
4. 複数のHLA-DQ結合エピトープを含む大きなペプチドは、1つのエピトープのみを含む小さなペプチドよりも大きなT細胞刺激活性を示す。
セリアック病とグルテン−4
3. セリアック病毒性
3.1 毒性のテスト
さまざまな穀物および非穀物原料、穀物タンパク質およびペプチドのCD毒性と免疫原性を特定し、新しい治療法をテストするために、多数のin vivoおよびin vitroの方法が開発された。テストは、(1)CD患者の生体内チャレンジ(2)CD患者の組織および細胞を用いたin vitroテスト(3)動物モデルに分類できる。テストの前に、材料は化学分析によって十分に特性評価される必要がある。
3.1.1
テストする材料
穀物由来のタンパク質およびペプチド製剤は、信頼性の高いステートメントを保証するために、毒性と免疫原性をテストする前に化学的に特性評価する必要がある。小麦グルテンなどの原材料は、たとえばケルダール法またはデュマ法などを使用して、窒素の含有量を分析する必要がある。窒素の含有量は、係数5.7によって粗タンパク質含有量に変換できる。グルテン組成は調製または加工の異なる起源と条件によりかなり変化する可能性があるため、プロラミンとグルテリンの割合や不純物の含有量などのタンパク質組成のさらなる研究が望ましい。たとえば、抽出/液体クロマトグラフィーを組み合わせた手順は、さまざまなタンパク質画分の詳細な分析に使用できる。 in vitro試験の場合、タンパク質はペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パンクレアチンなどの酵素によって部分的に加水分解され、消化管消化を模倣し、不溶性タンパク質を可溶性ペプチドに変換する必要がある。塩が存在する場合(例えば、酵素消化中の中和ステップから生じる)、乾燥加水分解物のタンパク質/ペプチド含有量は窒素測定により分析する必要がある。少量の精製タンパク質およびペプチドは、RP-HPLCで定量できる。キャリブレーションには、定義済みのリファレンス(PWG-gliadinなど)を使用する必要がある。分離または合成されたペプチドは、純度と同一性を確認する必要がある。この目的には、RP-HPLCと質量分析が推奨される。
3.1.2
生体内試験
ほとんどの研究者は、in vivo試験がCD毒性を評価するためのゴールドスタンダードであることに同意する。これは、数年間GFDを使用しているセリアックボランティアで実施されるため、小腸の形態が正常であることが期待される。最初に、CD患者は、摂食試験に続いてキシロースと脂肪の吸収不良を測定するか、脂肪便などの症状を監視することにより、穀物製品と粗タンパク質画分に挑戦した。ただし、これらのテストは、チャレンジ素材の量とチャレンジの期間最適の不確実性のために不十分であると見なされている。
さらに、キシロース吸収不良および脂肪バランスへの影響は二次的であり、上皮表面での反応に関する情報を提供しない。ほとんどの研究では、わずかなCD患者のみが検査され、対照は含まれていなかった。 1970年代に、腸の生検の技術が導入され、患者とコントロールのより大きなコホート(観察対象集団)が挑戦され、毒性に関するより正確な結論に至った。オートムギ毒性に関するJanatuinenと研究者のin vivo研究は、試験成績の例かもしれない。彼らは、定義された量のオートムギを含む選択された食事で挑戦されたCD患者について無作為化された研究を行った。評価の主な方法は、特別な食事の適用前および血清学的検査を伴う検査後の十二指腸生検による内視鏡検査であった。患者(n = 92)は、オートミールを食べるグループとコントロールグループに分けられた。オートムギグループの患者は、6ケ月または12ケ月間、1日あたり約50 gのオートムギを摂取した。完了すると、その後の組織学的および形態計測的測定と血清学的検査を伴う十二指腸生検が行われた。
このような広範なテストは、大量に入手可能な材料(穀物、小麦粉、小麦グルテンなど)でのみ実行できるが、調製が困難な精製タンパク質やペプチドでは実行できない。寛解期(治療中)のCD患者の小腸への直接注入による経口チャレンジの導入、それに続く試験の開始時および数時間後の生検により、タンパク質およびペプチドの量を約1 gにさらに少なく減らすことができた。例として、グリアジンペプチドα56-75を使用した生体内試験は、次のプロセスで説明されている:Quinton®油圧式、複数生検カプセルにカニューレ(チューブ)を取り付けた。カプセルは、蛍光透視下で鎮静されたCD患者の十二指腸遠位に配置された。消化性トリプシンタンパク質消化物またはグルテンペプチドの溶液は、シリンジドライバーによって2時間十二指腸に注入される。注入前および注入開始の2、4、6時間後に生検を行う。その後、組織をカプセルから取り出し、形態計測分析のためにホルマリンで固定する。組織の一部は部分的に染色され、一部は瞬間凍結される。染色切片の絨毛の高さ、陰窩の深さ、および腸細胞の高さを測定する。凍結切片を使用して、特殊な抗体検査により腸細胞100個あたりの上皮内リンパ球(IEL)の数を測定する。絨毛の高さ、絨毛の高さと陰窩の深さの比率、およびIELの数の変化は、毒性評価の信頼できるパラメーターであると考えられている。
侵襲的(生体を傷つける)な生検検査を避けるために、CD毒性の可能性のある薬剤による経口投与後の腸透過性の測定または末梢血T細胞の検査を使用して検査することができる。透過性試験は、血液循環に対する腸の障壁を特異的に通過するオリゴ糖(ラクツロースなど)と単糖(マンニトールなど)の経口投与に基づいている。小さい分子(単糖)はバリア機能の喪失とは無関係に、腸のバリアを自由に通過することを考えたのに対し、より大きな分子(オリゴ糖)はバリア機能の喪失中にのみ通過する。経口摂取後5〜6時間に収集された尿サンプル中の両方の糖類の比率は、バリア機能の損失、したがって、テストされた薬剤のCD毒性を反映すると考えられる。ただし、14日間、3.0または7.5 gグルテン/日にチャレンジしたGFDで20人のCD患者を用いたin vivo試験では、ラクツロースとマンニトールの比率に有意な変化は見られなかったが、生検形態、抗体価、および胃腸症状大多数の患者で変化した。したがって、糖とタンパク質/ペプチドに対する異常な腸管透過性の間の相関の程度は確立されていない。
血液検査に関して、CDが確認された患者は、検査対象の薬剤で3日間の経口チャレンジを受ける。末梢血単核細胞(PBMC)は数日後に分離され、薬剤(ペプチドまたはタンパク質)とインキュベートされる。インターフェロン-γ(IFN-γ)応答は、サイトカイン特異的アッセイにより測定される。直腸は粘膜組織を取得するためのアクセスが容易な部位を提供するため、局所グルテン攻撃に対する反応が調査された。 2 gのグルテン消化物で攻撃されたCD患者の直腸粘膜は、粘膜固有層の著しい腫脹、マスト細胞の急速な低下、IELの顕著な上昇、および粘膜固有層のリンパ球の実質的な浸潤を示した。これらの観察は、直腸粘膜がグルテンに感作されていることを示しており、したがって、調査および診断の目的に便利なアプローチを提供した。
3.1.3
生体外試験
毒性を試験するためのin vitroシステムの開発は、少量(≈1mg以下)を試験できるため、純粋なタンパク質およびペプチドの研究における重要なステップである。 CD患者の腸組織の器官培養は、最も信頼性の高いin vitroモデルであることが提案されており、in vivo状況を反映している可能性がある。このテストは、1969年にBrowning and Trierによって最初に導入された。 CD患者の組織は、診断手順の一部として採取され、テスト対象のタンパク質またはペプチドを含む培地でインキュベートされる。長期培養後の粘膜形態の質の保証はないが、生検は培養システム内で24〜48時間またはそれ以上継続することができる。元々、活動的なCD患者の生検が行われ、組織は培養液のみで酵素活性、炎症の徴候、および形態の改善を示したが、CD毒性物質の存在下では認められなかった。現在、寛解期の患者の組織は潜在的に有毒な物質とインキュベートされ、サイトカイン(例:IFN-γ、インターロイキン(IL)-4、IL-10)および一酸化窒素などのCD特異的効果のマーカーが測定される。この方法の利点の1つは、治療を受けた患者の生検でCDに特徴的なさまざまな特徴を再現できるため、研究者がCDの開発に関係するメカニズムを発見できることである。腸生検には腸細胞と粘膜固有層が含まれているため、このモデルは生得応答と適応応答の両方を判断するのに役立つ。欠点は、器官培養システムがハイスループットな方法ではなく、組織に循環、神経系、およびリンパ器官への接続がないことだ。器官培養システムは、毒性効果を検出するための最良のin vitroモデルだが、免疫原性効果のみを特定するT細胞に関する研究に広く置き換えられている。1990年代から、小腸粘膜またはCD患者の末梢血からのT細胞株およびクローンが、タンパク質およびペプチドの免疫原性効果を測定し、潜在的な新規治療形態をテストするために使用されてきた。グルテンに対して産生されたT細胞株とクローンは、多数の実験を行うのに役立ち、刺激に対するT細胞の反応を容易に実証する。グルテン感受性T細胞は、in vitroで培養および刺激された腸の生検から分離でき、または3日間の経口グルテンチャレンジ後6日目に治療を受けたCD患者の血液に見られる。頻繁に使用されるテストは、抗原提示細胞(APCs)(例えばB細胞)およびトリチウム化チミジンの存在下でTG2で処理された推定抗原(約100〜200μg/ ml)と腸のCD感受性T細胞のインキュベーションによって実行されるT細胞増殖アッセイである。シンチレーション測定によって決定されたT細胞の増殖は、免疫原性効果のパラメーターである。さらに、IFN-γまたはILの産生を測定できる。 T細胞検査は、免疫原性効果のレベルを比較するために広く使用されている。たとえば、異なるグリアジンペプチドおよびオートムギ栽培品種とのインキュベーション後、刺激指数(抗原の1分あたりのカウントを抗原なしの1分あたりのカウントで割った値)およびIFN-γ濃度を測定するために増殖アッセイを適用した。 T細胞の感度は大きく変化し、刺激を受けた患者と刺激の手順に依存するため、参照グルテンタンパク質またはペプチドを比較のために摂取する場合、相対的な値のみを決定できる。グルテン感受性クローンからではなく、複数のCD患者からのグルテン感受性T細胞株の使用が推奨されている。
グルテンに敏感なT細胞は腸組織ではまれなので、直接評価することはできない。十分に高い頻度で新鮮なポリクローナルグルテン感受性T細胞の唯一の既知のソースは、短期経口グルテンチャレンジの直後に採取されたCDドナーからの末梢血である。グルテン攻撃の数日後に収集されたCD患者の末梢血単核細胞は、96ウェルプレートを使用して潜在的な抗原とインキュベートされる。 IFN-γの放出は自動リーダーによってカウントされ、グルテンタンパク質の免疫原性T細胞エピトープの包括的なマッピングが可能になる。一般に、T細胞は腸内に存在する他の細胞タイプとの関連性がないため、in vivoで小腸を必ずしも反映しないことに言及する必要がある。さらに、T細胞は抗原に対する反応が異なることが多いため、異なる患者の複数のT細胞株を同時に適用する必要がある。さらに、免疫原性は、in vivoまたは器官培養試験で示される毒性に常に対応するとは限らない。例えば、オートムギのプロラミン画分であるアベニンは、T細胞試験では免疫原性を示すが、器官培養試験では非毒性であることが示された。
皮膚試験、ヒトK562(S)細胞による凝集試験、白血球遊走阻害試験、またはマクロファージ凝血促進活性試験などの難易度の低いスクリーニングアッセイは、一般に受け入れられていない。 1990年代以来、2つの上皮細胞培養モデル、T84細胞とCaco-2細胞が、CD特有の効果をテストするためのモデルとして使用されてきた。
T84細胞は結腸癌の肺転移に由来する。この細胞株は、結腸起源だが、高分子およびイオンに対する腸上皮透過性の研究に広く使用されている。 T84細胞は、CDの病因の研究、例えば、自然免疫反応および腸管透過性への影響の研究にも応用されている。 Caco-2細胞は、比較的高分化したヒト結腸腺癌に由来する。コンフルエンスに達すると、細胞は自発的に分化し、先端表面が微絨毛で覆われた分化した腸細胞の超微細構造形態を保持する。 Caco-2細胞は、タイトジャンクションと、腸の内側の細胞に特徴的な多くの酵素とトランスポーター(通路膜タンパク質)を含んでいる。これらの特性により、Caco-2細胞は腸上皮バリアのモデルとして、およびCDに関連する研究で広く使用されている。例えば、それらは個々のペプチドがどのように処理されるか、CD患者の抗体が疾患の病因にどのように関与するかを明らかにするために使用されてきた。
3.1.4 動物モデル
ヒトの腸内物質とは別に、グリアジン画分の細胞毒性活性を実証するために、ラットまたはヒヨコ胎児の未熟腸の培養物が使用されている。 CD活性化合物は、非常に未熟な小腸の発生と形態形成を阻害し、グリアジンペプチドがその形態形成の初期段階で小腸粘膜に対して直接的な損傷活性を有する可能性があることを示す。別のアプローチは、活性グリアジンペプチドによって引き起こされるラット肝臓リソソームの破壊を研究することである。
CDの免疫学的経路とメカニズムをよりよく理解するために、さまざまな目的の動物モデルを作成するために多くの試みが行われた。現在、グルテン依存性下痢を自発的に生成する3つのモデルがある:(1)犬、(2)アカゲザル、および(3)馬モデル。犬モデルでは、アイリッシュセッターはグルテンの消費に応じて部分的な絨毛萎縮とIEL浸潤を発症する。アカゲザルではグルテン依存性の小腸粘膜損傷が報告されており、炎症性小腸疾患のウマではグルテン依存性の抗体レベルの上昇が観察されている。これら3つの自発的モデルすべてに共通するのは、HLA-DQ2 / 8対立遺伝子との関連性の欠如である。他のモデル(マウス、ラット、ウサギなど)は自発的ではなく、グルテン感作、化学的および/または薬物治療、およびCDの機能を開発するための遺伝子改変が必要である。マウスモデルは、特定の遺伝子のCDの発生への寄与を評価するために導入遺伝子を導入できるため、他のモデルよりも大きな利点がある。例えば、ヒトHLA-DQ2または-DQ8を発現するトランスジェニックマウスが生成されたが、使用された動物のいずれも本格的な絨毛萎縮を発症しなかった。デ・パオロと共同研究者は、グリアジンを与えられたヒト化HLA-DQ8マウスが固有層でIL-15を過剰発現していることを報告した。ただし、粘膜構造は正常のままであった。多くの研究でトランスジェニックマウスを使用して、CD病因のさまざまな要素(CD4 + T細胞、TG2、IL-15、腸内微生物叢の役割など)を調査した。特定のマウスモデルは、CDの新規治療法のテストにも使用された。病原性ステップを標的とする例は、グルテンペプチドの修飾、自然反応の抑制、ゾヌリン-1、炎症性T細胞応答の抑制、およびIL-15またはIL-15の受容体の遮断である。これらすべての試みに関係なく、この障害のすべての側面を再現するCDの動物モデルはまだ開発を待っている。
3.1.5
毒性レベル
多くの出版されたものが、穀物、タンパク質画分とタイプ、およびペプチドのCD毒性レベルに関する推測を提供している。たとえば、六倍体の普通小麦は、最も毒性の強い穀物として頻繁に説明されている。二倍体および四倍体の小麦種は、六倍体の普通小麦よりも毒性が低いことが示唆された。
グリアジンはグルテニンよりも毒性が強い傾向がある。グリアジン内では、α-グリアジンが最も毒性が強く、γ-グリアジンとω-グリアジンの毒性の低いことが提案された。 DホルデインとCホルデインはホルデインの中で最も免疫原性が高いことがわかった。多数の報告が、α2-グリアジンからの33量体ペプチドがグルテンペプチド内の最も重要な免疫原性物質であることを強調している。これらの仮定はすべて正当化されているのか、CDの毒性と免疫原性のレベルを決定することはまったく可能なのか?
意欲的な患者の数が限られていること、毒性効果を生み出すのに必要な薬剤の量が比較的多いこと、実験の労力が大きいため、毒性レベルの統計的に有意な評価のために生体内チャレンジを考慮することはできない。対照的に、CD患者に由来する小腸生検の臓器培養は、毒性効果の違いを測定する可能性を提供する。寛解期の患者の組織は潜在的に有毒な物質とインキュベートされ、酵素活性、形態的特徴、サイトカイン濃度などのCD特異的効果のマーカーを測定できる。陽性および陰性の対照物質を実験に含める必要がある。例として、ペプチドα31-49と10人のCD患者の検体で試験した5つのアラニン置換変異体の検査を示した。フレイザーの画分FIII(小麦グルテンの消化性トリプシン消化物の水溶性部分)およびオボアルブミンをそれぞれ陽性および陰性コントロールとして使用し、培地のみと比較した腸細胞の高さの変化を毒性のマーカーとして使用した。結果は、非修飾ペプチドα31-49は、陽性対照と同程度の毒性があった。ペプチドα31-49 / A31およびα31-49 / A36は毒性が低かった。また、ペプチドα31-49 / A38、α31-49 / A39、およびα31-49 / A42は非毒性だった。器官培養システムが多種多様な細胞タイプを含み、生体内の状況を反映していることを考えると、この方法が少数の研究でのみ使用されていることは驚くべきことである。
対照的に、CD患者の小腸粘膜および末梢血から得られたグルテン感受性T細胞による検査は、CD特異的免疫原性効果の評価に広く使用されている。T細胞株とクローンの感度と特異性は、いくつかのパラメーター(例えば、それらが採取された患者や刺激に使用される薬剤)に強く依存している。一部のT細胞は特定のグルテンペプチドに高度に特異的であるが、他のT細胞は相同ペプチドと交差反応し、これらのT細胞間の比率は患者ごとに異なる。これらの制限を克服するために、T細胞クローンではなく、異なる患者からの複数の同時T細胞株の適用が推奨されている。
セリアック病とグルテン−3
2.3 小麦グルテン
1745年、イタリアの生化学者Jacopo Beccariは、小麦グルテンを植物由来の最初のタンパク質として「De frumento」(穀物に関する)の記事で説明した。それ以前は、タンパク質は動物起源の材料にのみ存在すると信じられていた。小麦の世界的な収量に基づいて、推定5,000万トンの小麦グルテンが毎年生産されており、植物タンパク質の中でも主要クラスとなっている。小麦グルテンの特別な物理的および化学的特性は、小麦粉の独特のベーキング特性のために、穀物の中で小麦の例外的な位置を占めている。グルテンは通常の状態では水に溶けない。その不溶性と疎水性にもかかわらず、グルテンはその乾燥重量の約2倍の水を吸収する。水和グルテンネットワークが形成されるため、小麦粉は水と混合すると粘着性の粘弾性生地を形成する。したがって、生地は発酵中に生成されたガスを保持し、これによりパンを焼いた後に均一に穴が開いた弾力のあるパンになる。
グルテンは、主に小麦粉の2つの主要なタンパク質画分で構成されている:(1)グリアジンと(2)グルテニン。両方の画分が小麦生地の物理的特性(凝集性、粘度、伸展性、弾性)を決定的に説明することは一般的に受け入れられている。これらは、これらのプロパティの重要な貢献物であるが、機能は異なる。水和グリアジンは弾性がほとんどなく、グルテニンよりも粘着性が低い。それらは主に生地の粘度と伸展性に寄与する。対照的に、水和グルテニンは粘着性で弾力性があり、生地の強度と弾力性に関与する。したがって、小麦グルテンは「2成分接着剤」であり、グリアジンはグルテニンの可塑剤または溶媒として機能する。望ましい生地とパンの特性を得るには、2つの適切な混合物(≒2:1)が不可欠である。
グルテンは、非常に複雑な化学構造によって特徴付けられる。小麦貯蔵タンパク質に対応する数百のタンパク質成分で構成され、小麦粒のでんぷん質の胚乳で形成される。同様に、それらは異なるグリアジン型(ω5-、ω1,2-、α-、およびγ-グリアジン)およびグルテニン型(HMW-およびLMW-GS)に分類される。アミノ酸配列に加えて、タンパク質の共有結合および非共有結合と分子量分布により、グルテンのユニークな化学的および物理的特性が決まる。ジスルフィド結合は、グルテンの「構造」の最も重要な決定要因の1つである。それらは、システイン残基のスルフヒドリル基間で、単一のタンパク質内(鎖内)またはタンパク質間(鎖間)で形成される。いくつかの例外を除いて、ω5-およびω1,2-グリアジンはシステインを含まず、モノマーとして存在する。ほとんどのα-グリアジンとγ-グリアジンはそれぞれ6個と8個のシステインを含み、配列セクションIIIとVの間にまたは間に存在する3つまたは4つの相同鎖内ジスルフィド結合を形成する。 N末端ドメイン(セクションIおよびII)にはシステインがなく、その結果、ジスルフィド結合がない。 C末端ドメイン(セクションIII、IV、およびV)には、2つの小さな環(ABおよびC)と大きな環(D)を形成する3つの鎖内ジスルフィド結合に関与する6つのシステイン残基が含まれる。 8つのシステインを持つγ-グリアジンは、別々の環AとBで4つの鎖内ジスルフィド結合を形成する。 LMW-GSには8つのシステイン残基が含まれており、そのうち6つは、α-およびγ-グリアジンのものと相同な3つの鎖内ジスルフィド結合を形成する。セクションIおよびIVにある2つのシステイン残基はLMW-GSに固有であり、それらは主に同じタイプのシステインとの鎖間結合に関与している。同様に、HMW-GSは鎖内および鎖間ジスルフィド結合を形成し、後者はエンドツーエンド重合に関与している。したがって、グルテニン凝集体は、鎖間ジスルフィド結合で結合されたLMW-GSポリマーとHMW-GSポリマーで構成されている。重合は、グルタチオンやシステインなどのいわゆるターミネーターによって停止される。
ジスルフィド結合に加えて、水素結合などの非共有結合、および程度の低いイオン結合や疎水結合が複雑なグルテン構造に寄与している。グルテンのさらなる特徴は、タンパク質の分子量分布が広いことである。単量体グリアジン(ω5-、ω1,2-、α-、γ-グリアジン)の分子量は約30,000〜55,000である。モノマーに加えて、アルコール可溶性グリアジン画分には、分子量がおよそ60,000から600,000の範囲のオリゴマーが含まれている。それらは、修飾されたグリアジン(奇数のシステインを含む)と鎖間でリンクされたLMW-GSで構成されている。それらは、HMWグリアジン、凝集グリアジン、またはエタノール可溶性グルテニンとは異なる名前が付けられている。アルコール不溶性グルテニン画分には、LMW-およびHMW-GSのポリマーが結合しており、分子量が600,000から1,000万を超える。グルテニンマクロポリマーと呼ばれる最大のポリマーは、自然界で最大のタンパク質に属している可能性がある。ライムギ粉には小麦粉タンパク質と相同のタンパク質が含まれているが、グルテンを形成する能力は失われている。構造の違い(ジスルフィド構造、分子量分布、モノマーとポリマーの比率など)が理由として議論されている。さらに、ライムギ粉のアラビノキシラン含有量が高いため、生地の混合中に貯蔵タンパク質の凝集がライムギグルテンを形成するのを防ぐようである。小麦グルテンは実験室で小麦粉と水を混ぜて生地にし、手動でまたは特定の機器(Glutomatic®、Perten Instruments)でデンプンと水溶性物質を水流で洗い流すことで簡単に調製できる。このプロセスにより、いわゆるウェットグルテンが得られる。このグルテンは、乾燥させて、粉砕してバイタルグルテンとして知られる製品にすることができる。グルテンの工業的大規模生産は、原則として、単純な実験室手順に似ている:小麦粉から生地または生地を準備し、凝集したグルテンをデンプンおよび他の成分から分離し、リングドライヤーでグルテンを乾燥させ、均質化のために粉砕する。重要なグルテンは小麦澱粉生産の重要な副産物である。市販のグルテンの組成は、出発材料(小麦の種類)およびプロセス条件、特に洗浄の程度に応じて大きく異なる。平均して、バイタルグルテンには、タンパク質80%、脂質7%、水6%、デンプン5%、アラビノキシラン1%、および灰1%が含まれている。伝統的に、食品用途における重要なグルテンの主な使用は、ベーカリーおよび製パン産業であり、現在も続いている。グルテンは小麦粉改良製品の重要な成分であり、高タンパク質含有量と水分吸収、生地の取り扱いの改善、パンの品質向上を保証する。さらに、パン屋は、さまざまな量のグルテンを追加して、さまざまな焼き製品の要件を満たすことができるため、使用する小麦粉の焼き品質が異なっていても、製パンプロセスを標準化できる。さらに、ペットフード業界ではかなりの量のグルテンが使用されている。CD患者は、多くの複合食品に「隠れた」グルテンが予期せず存在することに注意する必要がある。食肉および魚産業は、小麦粉グルテンのユニークな接着性と熱硬化性を、ひき肉、テクスチャー加工肉、肉類、缶詰ハム、ソーセージ、鶏肉ロール、シーフード類などの製品に使用している。水和グルテンのユニークな粘弾性特性は、模造モッツァレラなどの合成チーズの製造に活用できる。グルテンの水結合と増粘特性は、アイスクリーム、インスタントプディング、スープ、ソース、ケチャップ、マリネ、ドレッシングの品質を改善するために使用される。グルテンは、コーンフレークやパフライスなどの朝食用シリアルの製造にも使用される。グルテンは、ビタミンやミネラルのサプリメントを結合し、製品の強度とサクサク感を改善するのに役立つ。酸によって部分的に加水分解されたグルテンタンパク質は、高い乳化能力と良好な溶解性を持ち、コーヒークリーマーなどで添加剤として使用される。
小麦グルテンには、非食品産業でも多くの用途がある(接着剤、コーティング、洗剤、ホイルなど)。食用グルテン箔(例えば、果物やチーズのコーティング用)が市場に導入された後、コーデックス規格163-1987は、本来グルテンを含まない食品へのこれらの箔の使用を禁止した。グルテンは、一部の医薬品、切手糊、および化粧品(口紅など)に含まれている場合がある。アミノ、カルボキシ、カルボキサミド、およびチオール基の化学修飾または酵素処理により、グルテンの粘弾性特性のさまざまなバリエーションが可能になる。また、グルテンは容易に生分解され、再生可能で持続可能な原料から製造されるため、石油ベースのポリマーの代替品としてのグルテンにも関心がある。
2.4 トウモロコシ、米、モロコシ、ヒエの貯蔵タンパク質
トウモロコシ、米、モロコシ、ヒエの貯蔵タンパク質は、小麦、ライムギ、大麦、オートムギの貯蔵タンパク質とは大きく異なる。アミノ酸組成には、グルタミンとプロリンが少なく、ロイシンなどの疎水性アミノ酸が多く含まれている。トウモロコシ貯蔵タンパク質(ゼイン)は、アルコール可溶性モノマーゼインと、加熱時またはジスルフィド結合の還元後にのみアルコール可溶性である架橋ゼインに分類できる。構造の違いによると、ゼインは4つのサブクラスに細分化されている。主要なサブクラスであるαゼイン(全ゼインの71〜85%)、続いてγ-ゼイン(10〜20%)、β-およびδ-ゼイン(各1〜5%)。 α-ゼインは、分子量19,000および22,000の単量体タンパク質である。それらのアミノ酸配列には、グルタミンとプロリンが豊富な最大10個の反復単位が含まれていますが、これらは、コムギおよびオートムギのものとは異なる。他のサブクラスのゼインはジスルフィド結合によって架橋されており、そのサブユニットの分子量は18,000および27,000(γ-ゼイン)、18,000(β-ゼイン)、10,000(δ-ゼイン)である。ソルガムとヒエの貯蔵タンパク質(カフィリン)は、ゼインと密接に関連しており、類似している。カフィリンは、溶解度、分子量、およびアミノ酸配列に基づいて、α、β、γ、およびδサブクラスにも細分化される。 α-カフィリンは単量体タンパク質であり、主要なサブクラスであり、総カフィリンの約65%〜85%を占めている。他のサブクラスのタンパク質は、高度に架橋されており、ジスルフィド結合の還元後にのみアルコールに可溶である。平均して、これらのそれぞれは総カフィリンの10%未満を占めている。イネ(オリジン)の貯蔵タンパク質は、プロラミンとグルテリンの比が非常に不均衡であるという特徴がある(≈1:30)。両方の画分は、穀物貯蔵タンパク質の中で最も低いプロリン含有量(約5 mol%)を示している。プロラミン成分の分子量は17,000から23,000の範囲であり、グルテリンサブユニットの分子量は20,000から38,000の範囲である。
トウモロコシ、米、モロコシ、およびヒエからの貯蔵タンパク質のアミノ酸配列は、知られている限り、グルテンタンパク質のものとは完全に異なる。例としてのゼインcZ22A1(α-ゼイン)の配列がある。グルタミンのアミド分解のアルゴリズムによれば、ゼインはTG2によって頻繁にアミド分解される。しかし、このタンパク質タイプは消化管の酵素によって十分に消化される。ペプシン、トリプシン、キモトリプシンによるインシリコフラグメンテーションは、8アミノ酸残基(8〜18、63〜74、233〜241)を超える長さの3つのペプチドのみを生成する。それらの構造は、HLA-DQバインディングの要件に適合しない。対照的に、Chabrera-Chavezと研究者は、in silico分析により、ゼインの消化性トリプシン消化物中のいくつかの免疫反応性α-ゼインペプチドを同定した。彼らは、トウモロコシプロラミンはCD患者の限られたサブグループにとって有害であり、このサブグループはGFDに加えてトウモロコシフリーの食事療法に従うべきであると仮定した。しかし、ゼインの前に免疫原性と毒性に関する包括的なin vivoおよびin vitro試験を実施する必要があり、それに対応して、CD患者に無害な食品成分としてトウモロコシが問題になっている。
セリアック病とグルテン−2
2.2
小麦、ライ麦、大麦、オート麦の貯蔵タンパク質
小麦、ライムギ、大麦、およびオートムギのプロラミンおよびグルテリン画分は、部分的に密接に関連する多数のタンパク質で構成されている。この不均一性の理由は、穀物の進化中の遺伝子変異(置換、削除、およびDNA核酸塩基の挿入)であり、アミノ酸配列に多くの変更が生じた。配列の相同性により、多数のタンパク質成分を少数の異なるタンパク質タイプに減らすことができる。
タンパク質分離技術の進歩に伴い、プロラミンモノマーとグルテリンサブユニットの命名法は段階的に開発されてきたため、かなり混乱し、矛盾している。一方で、タンパク質は電気泳動移動度の違いに基づいて命名された(例:ω-、α-、β-、およびγ-グリアジンまたはω-およびγ-セカリン)。一方、用語は分子量の違いに基づいている(例、高分子量グルテニンサブユニット(HMW-GS)と低分子量グルテニンサブユニット(LMW-GS)、またはD-、C- 、およびB-hordeins)。電気泳動またはクロマトグラフィーの移動度に基づく命名法は、後で決定される一次構造(アミノ酸配列)による分類と必ずしも一致しない。例えば、アミノ酸配列の研究により、α-グリアジンとβ-グリアジンが1つのタイプに分類され、ほとんどがαタイプ、時にはα/βタイプと呼ばれることが明らかになった。タンパク質分類の最も重要な基準は、一次構造(アミノ酸配列)である。過去数十年で、ほぼ完全にDNAシーケンスによって決定された穀物貯蔵タンパク質の多数の配列が、出版物またはデータベースのいずれかで公開された。データは、系統発生およびアミノ酸組成に従って、小麦、ライムギ、大麦、および一部のオートムギ(プロラミンのみ)の貯蔵タンパク質は密接に関連しており、他の穀物のものと決定的に異なることを示している。
相同アミノ酸配列と類似の分子量に基づいて、Triticeaeとオートムギ(プロラミンのみ)の貯蔵タンパク質は3つのグループに分けることができる:
1. HMWグループ;
2.中分子量(MMW)グループ;
3. LMWグループ。
各グループには、さまざまなタイプに割り当てることができる多数の関連タンパク質が含まれている。タンパク質は、部分的にモノマーとして、部分的に鎖間ジスルフィド結合によってリンクされたポリマーとして存在する。HMWグループは、(1)小麦のHMW-GS、(2)ライムギのHMW-セカリン、および(3)大麦のD-ホルデインの3つのタイプで構成されている。 このグループにはオートムギはない。 HMW-GSとHMW-セカリンは、分子量と反復単位の数が異なるx型とy型に細分化できる。 HMWグループのタンパク質は、分子量70,000〜90,000に対応する約600〜800のアミノ酸残基で構成されている。 アミノ酸組成は、総アミノ酸残基の約60%を占めるグルタミン(約26〜36%)、グリシン(約16〜20%)、およびプロリン(約10〜15%)の高い含有量によって特徴付けられる。 アミノ酸配列は、3つの構造ドメインに分割できる:(1)約100残基の非反復N末端ドメインA、(2)約500〜700残基の反復中央ドメインB、および(3 )約40残基の非反復ドメインC。ドメインAおよびCは、ほとんどまたはすべてのシステインと荷電アミノ酸(グルタミン酸、アルギニン)を含む、比較的バランスの取れたアミノ酸組成によって特徴付けられる。ドメインBには、QQPGQGなどの多数の反復ヘキサペプチドがバックボーンとして含まれている。これらは頻繁に変更され、YYPTSPなどのヘキサペプチドやQQPやQPGなどのトリペプチドによって散在している。 HMWグループのサブユニット間の違いは、主に単一の残基の変更と反復の数と配置によるものである。例えば、xタイプは短いドメインAと長いドメインBによってyタイプとは異なる。小麦の製パン品質にとってHMW-GSの重要性のため、単一のサブユニットはコーディングに従って番号が付けられている。ゲノム(1A、1B、または1D)、タンパク質タイプ(xまたはy)、およびSDS-PAGEの移動度(元々は1番から12番)。命名法の例は、HMW-GS 1Ax1、1Bx7、および1Dy10である。一般に、HMWグループのタンパク質はプロラミン画分にモノマーとしては存在しないが、鎖間ジスルフィド結合によって重合され、グルテリン画分に存在する。ジスルフィド結合の還元後、得られたサブユニットはプロラミンのようにアルコールに可溶である。MMWグループは、小麦の同種のω1,2-グリアジン、ライ麦のω-セサリン、および大麦のC-ホルデインで構成される。これらのタンパク質には300〜400の残基が含まれており、約40,000の分子量に相当する。さらに、小麦には、400以上の残基と約50,000の分子量を持つユニークなω5-グリアジンが含まれている。 MMWグループに対応するタンパク質はオートムギには存在しない。 MMWグループのタンパク質は、通常、グルタミン、プロリン、およびフェニルアラニンの含有量が非常に高く、アミノ酸残基全体の約80%を占める非常に不均衡なアミノ酸組成を持っている。それらは主にモノマーとして発生し、水性アルコールに、そして部分的には水にさえ容易に溶解する。それらはほぼ完全に反復配列で構成されており、短い非反復N末端ドメインとC末端ドメイン(最大30残基まで)しかない。中央ドメインには、主にグルタミン、プロリン、フェニルアラニンからなるリピートが含まれている。 ω1,2-グリアジン、ω-セカリン、C-ホルデインの典型的な繰り返し単位は、QPQQPFPなどのヘプタペプチドである。 ω5-グリアジンのものは、リピートの数と組成(QQQPF)が異なる。
LMWグループは、単量体タンパク質と高分子タンパク質に分類できる。単量体タンパク質には、α-およびγ-グリアジン(小麦)、γ-40k-セカリン(ライムギ)、γ-ホルデイン(大麦)、およびアベニン(オートムギ)が含まれる。高分子タンパク質は、LMW-GS(小麦)、γ-75k-セカリン(ライムギ)、およびB-ホルデイン(大麦)である。それらの配列は、γ-75k-セカリン(≒430残基、分子量≈50,000)およびアベニン(≈200残基、分子量≈23,000)を除いて、約28,000-35,000の分子量に対応する約300のアミノ酸残基で構成されている。 アミノ酸組成は、優勢なグルタミン(28〜36%)とプロリン(11〜22に加えて、ロイシン(5〜9%)やバリン(5〜8%)などの疎水性アミノ酸の含有量が比較的高いことを特徴としている。構造的相同性によれば、アミノ酸配列は、セクションIおよびIIを含むN末端ドメインと、セクションIII、IV、およびVを含むC末端ドメインに細分化できる。
N末端ドメインはグルタミンとプロリンに富んでいるが、C末端ドメインは、よりバランスのとれた組成を持ち、グルタミンが少なく、プロリン含有量が大幅に減少しているが、荷電残基(グルタミン酸、リジン、アルギニン)と疎水性側鎖 (ロイシン、イソロイシン、バリン)を持つ。 N末端ドメインは、比較的短い非反復配列(セクションIa)で始まる。これは、最大32残基長で、各タイプに固有である。 セクションIaはBホルデインにはない。 セクションIbは、グルタミン、プロリン、フェニルアラニンが豊富で、QPQPFPPQQPY(α-グリアジン)、QQPQQPFP(γ-グリアジン、γ-75k-セカリン、γ-およびB-ホルデイン)、QQPPFS(LMW- GS)、またはPFVQQQQ(アベニン)。 タンパク質の種類によって、セクションIbの長さは大きく異なり、22残基(アベニン)から273残基(γ-75k-セカリン)の範囲である。 セクションIIは、α-グリアジンとB-ホルデインにのみ存在するため、これらのタンパク質タイプに固有である。
α-グリアジンは最大18残基長のポリグルタミン配列を含んでいるが、B-ホルデインはグルタミンとロイシンが豊富な30アミノ酸残基の配列で構成されている。セクションIIIでは、長さ(68〜73残基)と組成の高い相同性が示される。セクションIVに関して、LMWグループのタンパク質は、長さが異なる(25〜55残基)部分的に相同で部分的にユニークな配列を持っている。セクションVは、相同セクションVaと短い固有セクションVbに分けることができる。それらの長さは類似している(42〜55残基)が、それらの相同性の程度はセクションIIIと比較して低くなっている。
タンパク質のすべてのHMW、MMW、およびLMWグループの最も特徴的な機能は、反復配列であり、これまでに特定されたほとんどのCD活性ペプチド はこれらのセクションから派生している(セクション3.5を参照)。それらの組成は、グルタミン(Q)とプロリン(P)が優勢である。さらに、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)などの疎水性アミノ酸残基が頻繁に発生する。例外は、高グリシン(G)含有量によってさらに特徴づけられるHMWグループタンパク質の反復配列である。反復単位は長さと頻度が異なり、単一のアミノ酸残基の交換、挿入、または削除によって変更される。各タンパク質タイプには、反復単位のユニークなプロファイルがある。ω1,2-およびγ-グリアジンに存在するペプチドモチーフQQPQQPFPは、明らかに反復配列の先祖のモチーフの1つである。これらは、ω5-グリアジンのQQQFPユニットと、α-グリアジンのQPQPFPおよびPQQPYPユニットに変更される。 LMW-GSは、QQQPPFSなどの反復単位により大きく異なる。 HMW-GSは、QQPGQGユニットと、トリペプチド(QPGまたはQQG)およびヘキサペプチド(YYPTSP)の挿入によって形成される骨格によって特徴付けられる。ライムギ(セサリン)およびオオムギ(ホルデイン)の貯蔵タンパク質は、小麦のさまざまなグリアジンおよびグルテニンタイプと相同であり、対応する反復配列を含む。オートムギアベニンには、PFVQQQQおよびQPQLQQVFの2つの反復シーケンスユニットがある。小麦、ライムギ、大麦のタンパク質タイプとは大きく異なる。
プロリンが豊富な反復配列を含むタンパク質の空間的コンフォメーションは、αヘリックスとβシート構造の欠落によって特徴付けられる。それらは、ポリ-L-プロリンIおよびII構造を含む伸びた立体構造を持っている。これらの構造の重要な立体構造上の特徴は、逆回転(βターンまたはβベンド)である。それらは、ペプチド鎖が突然方向を変えるコーナーで発生する。 HMW-GSの場合、このようなコーナーには、主にプロリン、グルタミン、グリシンを含む4つのアミノ酸が含まれる。 Tathamと同僚は、これらのサブユニットの定期的に繰り返されるβターン(QPGQ)は、結合組織タンパク質エラスチン(VPGV)に似たゆるいらせん構造(βらせん)を形成するように組織化することを提案した。両方のらせんは、タンパク質に弾性特性を付与すると考えられている。グルテンタンパク質のプロリンが少ない非反復配列はαヘリックスが豊富で、鎖内ジスルフィド結合によって安定化されたコンパクトな球状構造を形成する。
プロリンが豊富な反復配列で構成されるタンパク質セクションは、消化管での酵素分解に耐性がある。リジンおよびアルギニン残基(K-X、R-X)の後にペプチド結合を切断するトリプシンは、これらのアミノ酸が不足しているため無効である。ペプシンとキモトリプシンの活性は、通常、疎水性アミノ酸残基(例えば、L-X、F-X、Y-X)の後に(ペプシン、前にも)切断される。 L-P、F-P、Y-P、およびこれらの特定のペプチド結合は、ペプシンとキモトリプシンによってほとんど切断されない。このような結合は、穀物の発芽に有効なプロリルエンドペプチダーゼによってのみ切断されるか、特殊な細菌や真菌によって生成されるが、ヒトの消化管には存在しない。反復配列の違いから判断すると、HMWグループとLMW-GSのタンパク質は、Y-Y(HMW-GS)やF-S(LMW-GS)などの切断可能なペプチド結合のため、酵素消化に対して最も感受性が高いようである。頻繁に存在する。
前述のように、貯蔵タンパク質の定量的組成は、遺伝子型と成長条件に強く依存している。それにもかかわらず、いくつかの一定のデータが観察できる。 HMWグループのタンパク質は微量成分に属し、LMWグループのタンパク質は最も豊富である。 LMWグループ内では、小麦の場合のように単量体タンパク質が高分子タンパク質を上回るが、ライムギと大麦は単量体タンパク質よりより重合化タンパク質の方が上回る。 MMWグループのタンパク質の割合は、低範囲のω-グリアジン、中範囲のω-セカリン、および高範囲のC-ホルデインとは大きく異なる。オートムギのグルテリンはグロブリン様タンパク質に対応するため、LMWグループに属するアベニンはオートムギ貯蔵タンパク質の唯一のタイプを表す。
セリアック病とグルテン−1
1.シリアルの概要
穀物は世界中で最も重要な主食である。主な穀物は小麦、トウモロコシ、米、大麦、モロコシ、ヒエ、オートムギ、ライムギである。それは世界の耕作地のほぼ60%で栽培されている。トウモロコシ、米、小麦は穀物の栽培地域の大部分を占めており、穀物の量が最も多くなる(2012年にはそれぞれ875、718、675百万トン(t))。食品および動物飼料の生産に使用される。
穀類は、穀粒と呼ばれる乾燥した1種子の実で穎果の形で生産し、果皮は種皮に強く結合している。穀物のサイズと重量は、かなり大きなトウモロコシ粒から小さなヒエ粒まで大きく異なる。穀物の構造はかなり均一であり:果皮と種皮(ふすま)は胚芽と胚乳を囲み、後者は澱粉質の胚乳とアリューロン層で構成されている。オートムギ、大麦、米、および一部の小麦種(例:スペルト、エマー、インコーン)では、一般的な小麦やライ麦などの「裸の」穀物のように、殻は果皮と融合し、脱穀だけでは簡単に除去できない。
植物学的には、穀物は単子葉植物イネ科(草科)に属する草である。コムギ(Triticum)、ライムギ(Secale)、およびオオムギ(Hordeum)は、Pooideae(イネ科)およびTriticeae(小麦連)の亜科と密接に関連するメンバーである。エンバク(Avena)は亜科Pooideae内のTriticeaeに比べて遠く、イネ(Oryza)、トウモロコシ(Zea)、ソルガム(Sorghum)、およびキビ(Pennisetum)は別々の進化系統を示す。栽培小麦は、5種から構成される;六倍体(ゲノムAABBDD)普通小麦(Triticum aestivum L.)およびスペルト小麦(Triticum spelta L.);四倍体(ゲノムAABB)デュラム小麦(Triticum durum Desf.)およびエマー(Triticum dicoccon(Schrank)Schübler)、および二倍体(ゲノムAA)einkorn(Triticum monococcum L.)である。パン小麦とも呼ばれる普通の小麦は、約1万年前にTriticum turgidum(ゲノムAABB)とAegilops tauschii(ゲノムDD)の自発的な交配によってできた。 Triticaleは、デュラム小麦とライムギの人工ハイブリッド(ゲノムAABBRR)である。まれに使用されるシリアルは、カムット®、テフ、ラギ、およびジョブズティアーズである。各穀物種の中には、農業、技術、および栄養の最適化のために育種によって生産された多くの品種が存在する。
穀物の化学組成は、多糖類の形の炭水化物の含有量が高いことを特徴としている。栄養的に利用可能な炭水化物の中で、胚乳に沈着した澱粉が優勢である(56〜74%)。主にふすまにある利用できない繊維(アラビノキシラン、β-グルカン、セルロースなど)は、2%から13%の範囲である。成分の2番目に重要なグループはタンパク質であり、平均範囲8〜12%に含まれる。特に、一部の穀物の貯蔵タンパク質は、セリアック病(CD)の促進因子として特定されている。したがって、穀物タンパク質については、次のセクションで詳細に検討する。穀物脂質は、オートムギ脂質(≈7%)を除き、微量成分(2-4%)に属する。ミネラル含有量の範囲は1.0%から2.5%である。シリアルは、ビタミンB群とトコフェロールの優れた供給源である。ミネラルとビタミンは両方とも、アリューロン層と胚芽に集中している。
2.穀物タンパク質
2.1 組成
1950年代以来、穀物タンパク質はCD特異的免疫応答の抗原であることが知られている。穀物のタンパク質含量は、遺伝子型(穀物、種、品種)および成長条件(土壌、気候、施肥)に応じて、6%未満から20%以上の幅広い範囲にある。機能の観点から、穀物タンパク質は3つのタイプに分類できる。
1.穀物や澱粉粒の外側にある膜タンパク質などの構造タンパク質。
2.主にアリューロン層と胚に存在する酵素や酵素阻害剤などの代謝タンパク質。
3.澱粉質胚乳にのみ存在する貯蔵タンパク質。
貯蔵タンパク質は、全穀物タンパク質の約70〜80%を占める。それらの構造は穀物に特有であり、その主な機能は発芽中に穀物胚に窒素とアミノ酸を提供することである。
穀物タンパク質の分析に2次元(2-D)電気泳動が導入されて以来、穀物にはさまざまなタンパク質の複雑な混合物が含まれていることが明らかになった。たとえば、小麦粉には数百のタンパク質成分が検出されている。伝統的に、穀物タンパク質は、溶解度の違いにより4つの画分(オズボーン画分)に分類される。(1)アルブミン、(2)グロブリン、(3)プロラミン、(4)グルテリン[5]。アルブミンは、水および希釈塩溶液に可溶。グロブリンは純水には溶けないが、塩溶液には溶ける。両方の画分は、主に代謝タンパク質で構成される。プロラミンは、古典的には、水および塩溶液には溶けないが、アルコール水溶液(60〜70%エタノールなど)には溶ける穀物タンパク質として定義されている。それらは主にモノマーとして存在する。グルテリンは鎖間ジスルフィド結合により重合化する。もともとは、アルブミン、グロブリン、プロラミンの抽出後も不溶性のままであるが、希酸または塩基で抽出可能であるとOsborneによって説明されている。しかし、グルテリンの顕著な部分は酢酸などの弱酸に不溶であり、強酸または強塩基で抽出すると、一次構造に影響を与える可能性がある。今日、グルテリンの完全な抽出は、水性アルコール(60%エタノールまたは50%プロパノール)の混合物、還元剤(たとえば、2-メルカプトエタノールまたはジチオトレイトール)を含む溶媒により、高温(たとえば50°C)で達成される。そして、化合物(例えば、尿素またはグアニジン)を分解する。この処理を使用すると、ジスルフィド結合が切断され、グルテリンがモノマーサブユニットとして得られる。この処理を使用すると、ジスルフィド結合が切断され、プロラミンなどの水性アルコールに可溶な単量体サブユニットとしてグルテリンが得られる。 プロラミンとグルテリンは両方とも貯蔵タンパク質である。 小麦粉タンパク質の小さなグループは、4つの溶解度画分のいずれにも該当しない。 でんぷんを水を使って除去後、さまざまな穀物の貯蔵タンパク質には、小麦ではグリアジン(プロラミン)、グルテニン(グルテリン)という一般名が付けられている;ライムギではセカリン;大麦ではホルデイン;オートムギではアベニン;トウモロコシではゼイン;米ではオリジン;そしてヒエとモロコシではカフィリンである。小麦粉生地を水で洗浄して澱粉と可溶性成分を除去した後に残るタンパク質性の塊は、グリアジンとグルテニンから成り、穀物の化学と技術の分野ではグルテンと呼ばれている。
ほとんどの穀物タンパク質は、20個すべての標準アミノ酸で構成される。3文字コード(通常はアミノ酸組成の表示に使用)と1文字コード(アミノ酸配列の表示に使用)として略語を示している。また、アミノ酸側鎖の化学的性質も示している。アルブミンとグロブリン、プロラミンとグルテリンは、アミノ酸組成が大きく異なる。アルブミンとグロブリンはバランスによって特徴付けられ、バランスのとれた「普通の」組成物(図示せず)。プロラミンとグルテリンは、バランスの取れていない「異常な」組成物を示している。すべてのプロラミンおよびグルテリン画分に典型的なのは、酸性アミノ酸、特にグルタミン酸の高度なアミド化である。したがって、グルタミン酸は、ほぼ完全にグルタミンとしてアミド化された形で存在し、このアミノ酸は一般に優勢である(15.5〜37.1 mol%)。すべての貯蔵タンパク質に共通するその他の特徴は、必須アミノ酸であるリジン(0.0〜4.0%)、メチオニン(0.5〜2.4%)、およびトリプトファン(0.0〜0.8%)の含量が低いことである。このため、穀物貯蔵タンパク質の生物学的価値はかなり低い。栄養の観点からこの側面を考慮すると、グルテンフリー食(GFD)は消費者にとって不利ではない。
"プロラミン"という名前はプロリン、グルタミンの高含量のアミノ酸組成の特徴から来るが、それは特に小麦、ライ麦、大麦(35-37% グルタミン、17-23%プロリン)のプロラミンがそうである。アミノ酸のグルタミンとプロリンは両方とも、貯蔵タンパク質の機能において重要だが異なる役割を果たす。ほとんどのアミノ酸とは対照的に、グルタミンには2つの窒素(N)原子が含まれている。これは、発芽の最初の段階での胚の窒素供給に重要である。プロリンに特有なのは、タンパク質鎖内にねじれを引き起こす二次アミノ基であり、したがって、デンプン質の胚乳におけるタンパク質鎖の密なパッキングを可能にする。さらに、プロリン残基は、外部の酵素攻撃による貯蔵タンパク質の分解を防ぐ。CDの文脈では、グルタミンとプロリンも非常に重要である。プロリンが豊富な性質により、グルテンタンパク質は胃腸内腔での完全なタンパク質分解に抵抗性があるため、長いペプチド断片は胃と小腸で生き残る。さらに、プロリン残基は、ヒト白血球抗原(HLA)-DQ結合に好ましいペプチドの左利きのポリプロリンIIらせん構造の形成に寄与する。グルタミンに富むペプチドは、腸組織酵素トランスグルタミナーゼ2(TG2)の優れた基質である。プロリンは、グルタミンに対する酵素の特異性に影響を与えるため、特定のグルタミン残基のみが脱アミド化およびアミド交換の基質であり、どちらもCD病態メカニズムに典型的である。
小麦、ライムギ、および大麦のプロラミンは、グルタミン(35〜37%)およびプロリン(17〜23%)の最高値を示し、その後にロイシン(6〜7%)およびフェニルアラニン(5〜6%)が続く。ヒスチジン(1-2%)、リジン(≈1%)、メチオニン(≈1%)、およびトリプトファン(<1%)は微量である。米、ヒエ、モロコシ、トウモロコシのプロラミンは、グルタミン(19〜22%)とプロリン(5〜10%)が少ないが、ロイシン(12〜19%)とアラニン(9〜14%)が豊富である。 オートムギのプロラミンは中程度の位置にある:グルタミン含有量(34%)はコムギのプロラミンと似ており、プロリン(10%)とロイシン(11%)の値は米、ヒエ とトウモロコシに近い。 したがって、プロラミンのアミノ酸組成は、穀物の系統発生およびそのCD毒性と密接な関係を示している。 プロラミンと比較して、グルテリンと残留タンパク質は、主にグルタミンとプロリンが少なく、他のほとんどのアミノ酸の値が増加して、よりバランスのとれたアミノ酸組成を示す。 プロラミンと同様に、小麦、ライムギ、大麦(一方で)と米、ヒエ、トウモロコシ(他方で)の間には、オートムギが中間の位置にあるという明確な違いが明らかである。
Osborne画分の含量はかなり異なり、遺伝子型と成長条件に依存する。さらに、段階的なオズボーン分画の結果は実験条件によって強く影響され、得られた分画は明確ではない。したがって、オズボーン画分の定性的および定量的組成に関する文献のデータは異なり、部分的に矛盾する。平均して、総タンパク質の最小割合がグロブリン画分に存在し、次にアルブミン画分が存在する。例外はオートムギグロブリンであり、総タンパク質の50%以上に相当する。ほとんどの穀物では、プロラミンが主要な部分である。オートムギプロラミンは、しかし、マイナーなタンパク質であり、米はプロラミンがほとんどない。オズボーンの各画分は、部分的に関連する多数のタンパク質で構成されている。現在では、酸性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS-)PAGE、等電点電気泳動(IEF)単独またはSDS-PAGE(2- D電気泳動)、および逆相(RP-)およびゲル浸透(GP-)HPLCなどの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、これらの方法はすべて、各画分の複雑なタンパク質組成を確認できる。これらの方法を使用した単一成分の調製により、さらなる構造特性評価と分類が可能になり、さらに機能性、アレルギー性、CD毒性のテストが可能になった。