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2021年2月23日 11:29 ( )ルピン;そのユニークな栄養と健康促進的性質-1
1 紹介
Lupin L. (US
spelling lupin、 Lupinus 属の種、マメ科)は、古代のパルス「豆」作物である(Hondelmann, 1984)。しかしながら、現代農業の新属で、種子は高タンパク質食品、動物飼料、餌の可能性、土壌肥沃向上、被覆作物としての植物、安定飼料としての作物残渣、及び土壌改良のために大きな可能性を有する(Gladstones, 1998;Lambers et al., 2013)。最近ルピン種子にかなり関心がもたれ、人健康食品として種子には非常に高い食物繊維があり、グルテンフリーであり、デンプンは事実上なくてそのため非常に低い血糖への影響を持つ(Sipsas, 2008)。さらにルピンが貴重な点は、遺伝的に変化させた(GM)豆品種が商業的栽培下で存在してない点である(Department of Agriculture and Food, 2016,
ISAAA, 2016)。
ルピンは、窒素固定する力と不毛の土壌に育つことがよく知られ、更に穀物、干し草、油糧種子、他の豆科植物の豆、及び牧草地のための病気の休憩作物を伴う農業の成長期の輪作の点で価値があることが知られている (Gladstones, 1970,1998; Seymour et al., 2012)。
ルピン種子は動物飼料のエネルギーとタンパク質源として十分に穀物や油糧種子粉と競いあい、他の食事成分をも補完し、そして費用対効果が高い(Edwards and Van Barneveld,1998; Glencross et al., 2015)。
ルピナスは大きな属で、約267種からなり(Drummond et al., 2012)、非常に広い環境と地域で育ち、例えば地中海、北部--、東部--アフリカ、北、中央アメリカ、アンデス南アメリカ、大西洋南アメリカである(Gladstones, 1970; Hughes and Eastwood,
2006; Maciel and Schifino-Wittmann, 2002; Wolko et al., 2011)。それらは一年生植物の草本から低地多年生植物の種類、さらに海岸線レベルから高山ツンドラまで広範囲の気候での野生の範囲である(Gladstones,1998)。一般にルピンは開放的な明るい生息地の植物で、日影でなく酸性から中性のpHのよく排水された土壌を好む(Gladstones,1998; Pascual et al., 2006)。
野生の在来種ルピンは苦いアルカロイドをもつ。多少苦いルピン製品は、特にLupinus
albusは塩水で加工するとアルカロイドを低下し、食用のスナック食品製品になる(Erbas, 2010)。しかしながら現在の品種は、種子中の全アルカロイドの大きな低下に関与する1個の劣勢遺伝子を持つように育種されてきた(Gladstones, 1970)。
種L.
angustifoliusのすべての現代種は、食品安全組織(例えばFood Standards Australia New Zealand ,
2016b)によって甘味として分類され、種子中の全アルカロイドレベルは、最大200mg/kg(0.02%) あるいはそれ以下とされ、ほぼ野生のタイプの種子アルカロイドレベルよりも100倍低い。このレベルは一般にL.angustifolius 中に低アルカロイド遺伝子の取り込みを通じてなりえた。L.
albusやL. luteusのようなルピン種の中で、色々な単一の遺伝子は又、アルカロイドの"甘い"レベルを種子中に与える(Gladstones, 1970)。アンデスルピン種(L.mutabilis )の中で低アルカロイド遺伝子タイプは、突然変異育種(Pakendorf,1974; Williams et al., 1984)、育種の連続ステップ後の生殖質からの自然発生的な変異種の選択(von Baer and von Baer, 1988)によって進歩してきた。
ほぼすべての食用作物と比べて、ルピンはほんの最近になって現代作物育種に関心が集まってきた。完全に育種化されたルピン品種の開発は、ほんの僅か20世紀に入ってヨーロッパ、オーストラリアで進んだのである(Gladstones, 1970)。現在できている作物の品種状態は、古代世界と新世界種からのL.
angustifolius L.(一般に知られたのは狭葉ルピンと青色ルピン)、L.
albus (alubus lupin、白色ルピン)、L. luteus (黄色ルピン) とL.
mutabilis (アンデスルピン、tarwi、chochos)である。図8.1 と8.2は、これらの種のそれぞれの典型的な例の花総状花序と成熟した種子を示したものである。野生又は在来種と育種されたルピンの遺伝子タイプの間の主な違いは、"甘いルピン"と知られる育種されたタイプには全アルカロイドレベル〜0.02g/100gのほぼ100分の1のあるいはそれ以下しか含まれてない、種子膜がより透過性が高い、そして粉々にならない莢であり、さらに比較的開花が早いことがある(Clements et al ., 2005a; Gladstones,1970; Lee et al., 2007)。特に"苦い(高アルカロイド)"と述べられてない限り、全てのこの章の情報は"甘い"ルビン品質で、低いアルカロイドレベルの種子をもつものである。
この章では、最近のルビンの作物の状態、その種子の化学成分、ルビン種子とその区分の食品、食品成分としての利用、ルピンのアレルギー、ルビン種子およびその区分の人臨床試験からのポジテブな健康価値の証拠を述べる。
2 ルピン種子の世界生産
ルピン種子の世界生産は1970年代に入りすばやく増加し、オーストラリア生産が主であり、1999年にはピークに達し、最近では1980年代中期のレベルに戻った(表8.1)(FAOSTAT, 2016)。オーストラリアでは、ルピン生産は1999年来(図8.3)低下したが、殆どは小麦とカノーラ(西洋アブラナ)に比べてより低い収益性のためと雑草防除コスト増加のためである(Sweetingham and Kingwell, 2008)。英国、ヨーロッパのルピン成長への膨れる関心は、1990年代に始まり地域の成長に対する要望と、非遺伝子組み替え植物性タンパク質動物飼料への要望、大豆輸入へのより低い依存性のためである(de Visser et al., 2014)。500,000トンの食料生産は毎年生産され、そこにはヨーロッパ白ルピンかあるいはオーストラリア甘ルピンがものとして含まれる(Lupin Foods, 2013)。そのものとしての含有量はしばしば小さい%であり、食品製品向きのルピンのトン数の意味する物は、最近地球上の生産区分としては主な最終用途である飼料も加えてほんの僅かである。
表8.2に最近の物産の収量と作物ルピン品種の構成特性のサマリーを示した。L.
angustifolius ( 幅の狭い葉のルピン) はオーストラリア(典型的には生産量の90%)の主要な栽培品種である。オーストラリア西部で第一に成長するのは、広くひろがる酸性の砂状の水はけの良い土壌に適応のためである(Gladstones,1998)。更にルピンは小麦への回転休憩作物として最も価値のあるもので(Seymour et
al., 2012)、そして一般には穀物と菜種の4年に1回のローテーションが用いられている。ルピンのオーストラリアでの平均収量は、この10年間に1.15トン/haである(FAOSTAT, 2016; Pulse Australia, 2016)。
黄色ルピン(L.
luteus)栽培の大部分の地域は、北ヨーロッパ平野、ウクライナの森林--ステップゾーン、ヨーロッパロシアのブリヤンスク州である(Kurlovich, 2002)。しかしながらL-luteusとL-albus(白花ルピン)の両生産は1980年代以来徐徐に低下しているが、ヨーロッパにおけるL.
angustifolius に対し賛同したためであり、それは炭疽病に対しする後者のより大きな耐性のためであった(Sweetingham and Kingwell 2008)。ポーランド、ドイツ、中国、南アフリカといった国々では最近生産がふえた。ポーランドは最近世界で第2番目のルピン生産国であり(表8.1)、それは、酸性、砂土壌、夏作物としてそれらの役目に育種研究の注目等が世界中に広がったためである(Swiecicki and Swiecicki、1995;
Swiecicki et al., 2000)。中国ではルピン生産は1990-2010年の間に大きく成長した(表8.1)が、それは動物飼料と養殖飼料マーケットの必要性からであり(Borquez et
al., 2011; Glencross et al.,
2007; Tacon, 2005; Saez et al., 2015)、結果、タンパク質とオイルの良い収量を与えた(von Baer, 2008)。しばしばいろいろの生育ルピン作物品種の比率を決めることが困難である;しかしながら国際会議でメンバーからのコメントは、L-angustifoliusが殆どの国で生産され、例外はチリー、イタリア、エジプトであり、そこではL.albusが主である。
アンデス高原のエクアドル、ペルー、ボリビアの狭い区域では、苦いL.mutabilisが未だに農家によって伝統的方法で栽培されている(Jacobsen and Mujica, 2004)。ルピン栽培、特にL. albus とL.
angustifoliusは、アルゼンチン、USA、カナダ、での狭い地域で見られ(FAOSTAT, 2016)、一方オーストラリア西部に似た気候の南アフリカで、ルピンはL. angustifolius に焦点を当てて一貫して作られて来た。多くのこれらの国々で、人食品への関心がルピンに現れてきた。
3 農業上の利点
ルピンは農家の作物ローテーションの中で穀物生産に実質的なメリットを与えることが知られ、収穫後の作物残渣はストックの放牧価値が高い。他のマメに比べ、ルピン種は大気中窒素固定時に高い効率を示すことが考えられ(GRDC, 2014; Unkovich et al., 2010)、ソラマメに類似のレベルであるが、他のマメよりは高く(Herridge et al., 2008)エンドーマメ、ソラマメと同じ順位のバイオマス生産をする(Unkovich et al., 2010)。ルピン作物は、良好な土壌窒素、生物学と構造、本質的な穀物作物の良好な水の浸透と貯蔵、好ましい雑草競争、病気休息の提供、ローテーションの次作物の収穫増加に結びつく事に貢献する(Asseng et
al., 1998; Haynes and Beare, 1997; Seymour et al., 2012)。
ルピンは、土壌栄養素、特にリン(P)と微量栄養素を、それ自体だけでなく、植え付けられた作物やその後の輪作作物にも動員する可能性が高い(Gilbert, 2009)。L. augustifoliusの根の深い浸透は(Hamblin and
Hamblin, 1985)土壌カリウムを効率的に抽出してリサイクルすることを可能とする(Rowland et
al.,1986)。それらはまた、微生物の蓄積と促進を通して土壌中のまじりもの、例えば重金属や炭化水素(Lamber et
al., 2013)のようなものを無毒化する土壌の植物的修復の役割を演じることが出来る。ヨーロッパでは特に、ルピンは環境活動に貢献し、例えば道路工事あるいは植物洗浄後の汚れた土壌の安定、緑肥と狩猟飼料作物、森林中の火災予防ベルト、松林中の土壌の肥沃土の向上、砂丘の安定化または若い木のための避難所に提供等である(Lambers et
al., 2013; Rehfuess et al., 1991;
Sprent and Silveste, 1973; Vysniauskiene et
al., 2011)。
4 ルピン育種:オーストラリアに焦点を当てた場合
ルピン育種の歴史は、数々の著者(Cowling et
al., 1998; Clements et al., 2005a)らによりレビューされた。単純に遺伝し、自然であるがまれな自然突然変異遺伝子が20世紀初頭にドイツ、von Sengbusch (1942)により見つけられ、アルカロイドの低下するものが同定されたのが大きな発見のステップであり、ルピンを動物飼料及び人の食品として美味しくするものとなった。
更に育種は、天然に起こる粉々にならない莢(ポッド)、白い花と種子、そして透過性の種子膜の突然変異遺伝子をもつ初期の開花と結びついた(Cowling et
al.,1998; Gledstones,1970)。オーストラリアのUnicrop (1973) は最初の大々的栽培者であり、彼は全てので家畜化の特徴(2個の添加的遺伝子の取り込みを通してそこには完全に砕けない莢を含み)を結びつけ、L.angustifoliusルピンをこの国における高度に成功した始まりのマークとした(Cowling et
al., 1998)。更に収量改良と野生の生殖質からの病気抵抗性遺伝子の取り込みがオーストラリアで成された(Berger et
al., 2012; Cowling and Gladstones, 2000; Gladstones, 1970)。1990年代半ば、炭疽病が世界的の問題になり、オーストラリアで抵抗性を持つ株の選択に大きな努力が払われた(Gladstones, 1970; Yang et al., 2008)。炭疽病及びホモプシス及び家畜化遺伝子の主要な疾患のマーカー支援選択のためのゲノムリソースの開発に努力がかなり注がれた。(Yang et
al., 2004; Tang et al., 2015a,b)。注目する活動は、ルピンの遺伝子配列出版(Yang et al.,
2013)と、トランスクソプトームレソース出版である(Kamphuis et al., 2015)。続いての努力として炭疽病、Fusarium wilt (フザリウム萎凋病)、豆黄色モザイックウイルス、キウリモザイックウイルスに対する病気耐性を強めることが成されている(Fischer et
al.,2015; Kehoe et al., 2014; Yang
et al., 2008)。さらなるゲノム選択、遺伝的修飾/変換法、例えばCRISPR/Cas 9遺伝子編集(Bortesi and
Fischer, 2015)があるが、収量と農業形質、種子品質特性のための育種を促進する。
5 栄養と抗栄養成分
豆にはルピンを含むが、発展途上国に住む人々数百万の栄養供給源として重要な食品源である。しかしながらそれらはときに"貧困な人の肉"と言われ(Khan and Basha, 2015)、 食品の安全保障のための彼らの栄養的可能性を信用しない用語である。
ルピンは成熟し乾燥し、一般に"豆"あるいは"莢豆"と言われる。可食部分は全体の種子で"種子"としてこの章では述べ、種子膜は"外皮"と述べ、脱皮した種子は"粒"と述べる(植物的には子葉である)。
ルピン種子は、他の冷季節莢豆に関連し、例えばレンズ豆、エンドー豆、ひよこ豆、そら豆(Clements et al., 2005b; Petterson et
al., 1997)、高タンパク質であり(表8.2)、、大豆によく似たレベルである(United States Department of Agriculture, 日付なし)。それらの粒は、また全食物繊維の高いこと、〜40g/100g乾物(db)「表8.3」も知られ、ルピンを古代穀物、豆の中でもユニークな存在にしている。
5.1タンパク質
種子のタンパク質含量はルピンの種の間で色々であり(表8.2B)L.mutabilisは一般に最も高い。最近のCarvajal-Larenas
et al., (2016)のレビューによると、平均種子タンパク質含量(g/100g db)は、文献の報告によるとL.albus, 38.2; L.angustifolius,
33.9; L. luteus, 42.2; そしてL.mutabilis, 43.3である。L.angustifolisの内でも、種子のタンパク質含量は品種、成長の場所/季節、経営慣行によって色々である(Villarino , 2014)。約40g/100g dbという、ルピン粒は最も高いタンパク質レベルを示し、いかなる普通に消費される豆類の中でも最も高いレベルを有する(Mulayim et
al., 2002)。表8.3は、オーストラリア西部の同一季節、同一地域で生長した市販のL.
angutifolis 品種のタンパク質含量を示した(Villarino, 2014)。これらは39.6と最も高レベルCoromup種の42.2g/100g dbの間でバラバラである。
ルピン粒内のタンパク質の主区分はグロブリンで、残りをアルブミンが占める(Duranti et
al., 2008; Petterson,1998)。主要グロブリン区分はα-コングルチン(35-37g/100g全タンパク質)、ββ--コングルチン(44-45g/100g全タンパク質、γ--コングルチン(4-5g/100g全タンパク質)、そしてδ--コングルチン(10-12g/100g全タンパク質)である(Blagrove and Gillespie, 1975; Duranti et al., 2008;Foley et al.,2011,2015;
Petterson,1998)。
栄養学的にはルピンタンパク質中の制限アミノ酸は、S含有アミノ酸のメチオニンとシステインである(Gulewicz et al., 2008)。大豆に比べ、大豆は不可欠アミノ酸プロフィールは完全(World Health Organization,2007)だが、ルピンタンパク質は成人が必要とする含硫アミノ酸の必要レベルは僅かにかけていると報告された(Chew et al., 2003)。しかしながら報告ではルピンタンパク質の含硫アミノ酸レベルは、大豆のそれと類似である(Sipsas et al., 2004)。この矛盾は、多分ルピンタンパク質の品種と生産環境の違いによるためである。
Carvajal-Larenas et al.,(2016)は、全ルピン種子のアミノ酸組成の詳細をレビューし、結論として種によって僅かに異なることを述べた。In vitro での消化性は、未調理ルピンタンパク質で〜98%の高さで(Chew et
al., 2003)、大豆に類似のものである(World Health Organization, 2007)。アミノ酸組成の点で小麦タンパク質の補完的性質を挙げ、ルピンー小麦合成食品(例えばパン)は、各々それぞれのみの時に比べてより高いタンパク質品質を示した(Villarino et al., 2015a)。
5.2食物繊維
食物繊維は食品の成分であり、人の胃腸酵素では消化されず、大腸に達しそこで発酵あるいはクローン病阻止の助けになるものを与える(Dhingra et
al., 2012)。そこには広範囲の非デンプン性多糖類と結合リグニン、不消化性オリゴ糖が含まれる(Dhingra et
al., 2012)。ルピンは豆の中でも高食物繊維レベルでユニークな豆で、他の豆や大豆よりも高い(KohaJdoVa et al., 2011; United States Department of Agriculture、日付無し)。しかしながら注意する必要あるのは、ルピンの"繊維"の文献値を比べると、時に異なった分析方法は非常に異なった結果となることである。以前は"粗繊維"法は、食品中の食物繊維含量を測定するのに用いられた;しかしこの方法はあるものは壊れているのですべての"食物繊維"を決めるものではない(Dhingra et
al., 2012)。ここで粗繊維決定法がルピン種子あるいは粒成分を決めるのに用いられると(Carvajal-Larenas et al., 2016)、全食物繊維含量はひどく低い値となる。食品の全食物繊維含量定量の従来のある方法は、ルピン種子中オリゴ等区分を顕著に捉えることはできない。そのため殆どの出版されているデーター(表8.3)は、全食物繊維含量をさらに低い値としか定量してない。より最近の食物繊維の定量方法は、すべての非消化炭水化物を定量でき、オリゴ等も含まれる(Food Standards Australia New Zealand 2016d)。
5.2.1皮の食物繊維
L. angustifolius 種子の皮区分は非常に全食物繊維が高く(〜90g/100g db)、第1には不溶性繊維である(KohaJdo Va et al.,
2011)。少量のタンパク質、脂質、灰分(ミネラル)(Bailey et
al.,1974; Evans et al., 1993)も存在し、種子の植物化学物質の大部分は皮区分に位置している(Duenas et
al., 2006; Khan et al., 2015; Luo et
al., 2016)。さらに大部分の種子のカルシウム、顕著な他のミネラル、例えばAl、 K、Na、Mg、Zn、Fe、Mn、のようなものは皮区分に位置している(Hung et
al., 1988)。皮食物繊維葉セルロ−ス(〜50%)、アラビノキシラン(〜13%)そしてペクチン(30%)から成る(Brillouet and Riochet 1983; Evans et al., 1993; White et al., 2007)。こうしてルビン皮の高食物繊維含量とミネラルと植物化学物質の顕著な存在レベルは、ルピン皮の高線維食物成分の可能性を示すが、しかし僅かしかその人への生理的効果と、ミネラル、植物化学物質の生化学利用については知られていない。
5.2.2 粒細胞壁食物繊維
ルビン種子の全食物繊維の殆どの比率は粒中の厚い細胞壁に見出され、殆どは非リグニンであり、非セルロース、非デンプン多糖類であり、ラムノガラクトロナムバックボーンが含まれ、側鎖にはガラクトースとアラビノースがある(Evans et
al., 1993)。Villarino (2014) の研究 (表8.3) から、L.angustifolius 粒の全食物繊維含量は37.5から40.2g/100dbであり、Australia西部では同一季節、場所での生長品種間のはっきりした相違はない。Hall et
al., (2005b)は、L.angustifolius粒粉の全食物繊維が不溶性食物繊維74%、可溶性食物繊維26%から成ることを報告した。ルピン粒は精製食物繊維の分離に用いれられた(Clark and Johnson, 2002)。粒の粉の中でのレベルを比較をすると、これらの精製した食物繊維区分では、可溶性食物繊維はより高レベルであるが(例えば全食物繊維区分の〜50%)(Hall et
al., 2005a)、多分それは加工上の効果によるためで、細胞壁材料の完全性が低下したためである。ルピン粒繊維を食品に添加すると、人臨床試験である程度の健康保護効果を示した(Hall et
al., 2005a)。
5.2.3オリゴ糖
ラフィノース類のオリゴ糖(RFOS)(
ラフィノース、スタキオース、ベルバスコース) は、他の豆に比べてルピン種子中に高いもう1つの重要な食物繊維である。文献中には人に対するルピンオリゴ等による何らの証拠もないが、RFOSの鼓腸誘発効果が知られている。オーストラリア西部で生産するルピン種子中、Karnpanit et al., ( 2016)は、全RFO含量は明らかに農家によって色々であるが最も高いレベルはMandelup種(16.8g/100g db), そして最も低い物はPBA Barlock 種(7.6g/100g db)であると報告した。しかしながらはっきりした相違はVillarino (2014)では報告されず、全オリゴ糖は市販品種のL.
angustifolius粒(全レベルは約5g/100g db)ではオーストラリア西部の同じ季節、同じ地域のものに相違はなかった。
5.3 脂質
ルピン種は、脂質含量に広いばらつきがあるが(表8.2)、L.
mutabilisでは脂質レベルは他の一般に消費されてる豆よりも高いが大豆よりは低い(Kouris-Blazos and Belsk; 2016のレビューによる)。種子(g/100 db)の平均脂質含量は、文献中(Carvajal-Larenas et al., 2016)報告されているのは:L.
albus, 11.2; L. angustifolius, 6.3; L. luteus 5.5; そしてL.mutabilis, 13.0で、すべての種にわたって高比率はオレイン酸 (C18:1)とリノール酸(C18:2)である。同じ地域、季節で育ったL.
angustifolius 粒の脂質含量は7.8-8.8g/100g dbの範囲と報告され(Villarino, 2014, 表8.3)、最も低いレベルはMandelup種であった。Kouris-Blazos and Belski (2016) はルピン粉の脂質プロフィール(概してL.angustifolius の粒粉)は;飽和19%; モノ不飽和33%;多価不飽和48%で、そこには全脂質のうちオメガー-3リノレン酸の寄与6%が含まれると報告した。
5.4 利用できる炭水化物
利用できる(グリセミック)炭水化物レベルは、一般に食品中の差で決められる(100 --%水分、--%脂質、--%タンパク質、--%灰分、--%全食物繊維)(Food Standards, Austraria New Zealand,
2016a)。ルピン種子中の"炭水化物"区分の文献値は、ひどく範囲が広い(表8.3)。一部これは全食物繊維区分の調査に用いた分析方法が異なっためによるためで(セクション5.2)、全食物繊維を低く測定し、利用できる炭水化物区分を過剰測定している。RFOSは5.0--16.8g/100g
dbと報告され(Karnpanit et al.,
2016; Villarino et al., 2015a)、それは表8.3に報告される"利用できる"炭水化物レベルの大部分であるようだ。
5.5 微量栄養素
ルピン種子中の不可欠食物ミネラルレベルに関する情報は少ない。USDA National Nutrient Database (United
States Department of Agriculture , 日付なし)によると、成熟した生のルピン種子は、成熟うずら豆種子に不可欠食物ミネラルの殆どのレベルと同様;しかしルピン中の亜鉛レベルは高い。Carvajal-Larenas et al., (2016) は、ルピン種子中に報告されるミネラルレベルをレビューし、そして結論したのはデーターの比較が難しいのは可能性ある生産環境の影響と文献値分析方法の違いによるためとした。オーストラリア生産のルピン粉 (多分L.
angustifolius 粒粉)のミネラル含量(g/100gそのまま)は以下のように報告された:Fe, 4.9; Ca, 84; Zn, 3.6; Mg, 189; K, 810(Food
Standards Australia New Zealand 2010; Kouris-Bkazos and Belski; 2016に示す)であり、値は他の豆や穀物粒の範囲内である。
ルピン種子のビタミンレベルの利用できるデーターは少ない。USDA National Nutrient Database (United
States Department of Agriculture, 日付なし) によると、成熟した生のルピン種子のビタミンレベルは生のうずら豆種子のものに類似である。オーストラリア西部で同季節、同地域に生長した市販品種、L.
angusrifoliusの幾つかのカロテノイドレベルがVillarino (2014)によって報告され、Mandelup種で最も高い全カロチノイドレベルは20.1μg/g db( lutein 7.6; β--カロチン5.5 ; zeaxanthin 4.4; α--カロテン2.6 μg/g dbから成る)である。ルピンオイル中のビタミンE含量は大豆に似ているが、ヒマワリや菜種オイルよりは低い(Lampart-Szczapa et al., 2003)。
5.6 植物化学物質と抗酸化能
ヒト健康に重要な植物化学物質の殆どのクラスはフェノール類とその化合物であり、抗酸化活性があり、タイプ2型糖尿病と循環器疾患を含む酸化ストレスに関係ある病気を防ぐものである(Perez-Matute et al., 2009)。Magalhaes et al., 2017は、ルビン、ひよこ豆、サヤエンドウ、そら豆、ヤハズエンドウの種の29ヨーロッパ生産されるサンプルについて分析し、ルピン、L.
luteusとL. angustifoliusは最も高い全フェノール含量を持つことを示した。ルピンではフラボノイドがフェノール酸以上に多く、一方他の種では反対のケースであった。
ポリフェノール、抗酸化能測量のための方法が多岐に渡るために、値は多くの異なった交換不可ユニットで表現されるため;そのため注意が必要なのは文献値を比較するときである。市販のL.
angustifoliusの同一地域、同一季節がオーストラリア西部で生長した際の変化は、粒の全ポリフェノール含量が1.6と1.9mg gallic酸等量(GAE/g db)と全抗酸化能が2.6と5.4μモルTrolox等価(TE)/g db ( Villarino ,2014) とわかった。比較として、Rumiyati et al.,
(2013)はL.angustifolius粒中全ポリフェノール値が0.95 mg GAE/g dbであったが、発芽9日目の脱皮芽中7.88 mg GAE/g dbに上がることを報告した。同様に発芽サンプルの抗酸化活性は粒よりもずっと高かった。これは発芽ルピンが、抗酸化リッチの新鮮食品あるいは他の食品に取り込まれた成分として可能性のあることを暗示する。L.
angustifolius粒の油区分の抗酸化活性のあることはRumiyati
et al., (2013)によっても報告され、彼らは一部油中に同定した植物ステロールの結果であろうと結論した。
他の種子区分に比べ、L.
angustifolius、 L. luteus、 L. albusの皮は遊離フェノール酸が最も高いと報告された(Jampart-Szczapa et
al., 2003)。ルピン皮の全抗酸化能は0.14 mg TE/g 乾物と報告された(Ranilla et al., 2009)。対照として26品種のいんげん豆の皮はもっと高く、7.1から102.4mg TE/g乾物の範囲であった(Kan et al., 2016)。
5.7 抗栄養素と毒
5.7.1抗栄養ファクター
一般にルピンの抗栄養素ファクターは、大豆のような他の豆類に比べて低いと考えられている。ルピンはレクチンを含まない(Petterson et al., 1997)が、一方Phaseolus spp.は1-10mg/gを含む(Nasi et
al., 2009)。L.
angustifolius中のサポニンは約570mg/kg種子(0.057%)(Gurfinkel and Rao 2002)の低レベルで存在すると報告され、同一著者らによって脱脂大豆粉では0.58%、白インゲン豆種子では0.32%と報告されている。キノアはサポニンレベルが約0.65%で、消費前に加工により除去の必要がある(Ward, 2001)。僅かのデーターがルピン種子中タンニン含量とタンニンのタイプに関し利用できる。タンニンは金属イオンキレート剤として働き、非ヘム鉄吸収をかなり阻害し、タンパク質消化性の反対の効果を示すが、しかしながらそれらはまたヒトにとって価値ある抗酸化効果ももつ(Santos-Buelga and Scalbert, 2000)。濃縮したタンニンのL. albus, L. angustifolius,
L. luteusの種類の皮中のレベルは、0.013-0.077mg カテキン当量/g dbと報告され、皮のそれは0.001-0.009mg/gである(Lampart-Szczapa et al., 2003)。これは一般の豆品種の皮のレベルとはっきりとしたコントラストであり、50-350mgカテキン当量/g db(Majica et
al., 2015)の範囲と報告された。
プロテアーゼインヒビターは非常に低レベルの存在で、ルピン種の作物での重要性は小さい(Winkk, 2006)。トリプシンインヒビター活性はLupinus種では"無視できる"と述べられ、大豆中43-84トリプシンインヒビター単位(TIU/mg)"非常に強い"、と一般の豆で高い(17-51TIU/mg)である(Guillamon et al., 2008b)。フィチン酸塩は豆も含みすべての粒に存在、豆では皮に集中して存在している(Ghavidel and Prakash, 2007)。フィチン酸塩は、例えば鉄、Ca、Znのような不可欠ミネラルをキレートし、生化学的利用性を低下する(Sanchez-Chino , et al., 2015)。フィチン酸含量は、L.
albusルピン種子では1487mg/100g dbであり(Nilgun and Nermin,2014)、一方P. vulgarisでは200-1900
mg/100 g dbである(Champ, 2002)。
5.7.2 植物エストロゲン
植物エストロゲンは、閉経期の症状との戦いを支援する植物化学物質である。しかしながらSirtori et
al., (2005)によるレビューでは、それらの意図された循環器疾患を抑える役割はあいまいで、それらは有毒かもしれない。Sirtori et
al., (2004) はL.
albus種子中のこれらの成分のレベル(56mg/100gそのまま)が、US大豆(116-274mg/100gそのまま)で報告されている範囲に比べて低い(Wang et al.,
2000)と報告した。しかしながら、Ranilla et al.,
(2009) はこれらの物質をL. mutabilis 種子中にのみ見出し、L. albusやL. angussifolius種子には見出さなかった。
5.7.3 アルカロイド
苦味のあるルピン種子品種はquinolidine alkaloids(例えばlupanine, 1,3-hydroxylupanine とangustifoline、表8.2B)を含み、それはヒトに有毒の可能性がある(Kamel et al.,
2015; Petterson 1998)。これらの毒効果は、最近Carvajal-Larenes et al., (2016)によりレビューされた。そこで、その最大の法的レベル0.02g/100gルピン粉と食品が幾つかの国で立法化され、その国にオーストラリア、ニュージーランド、英国、フランス(Food Standards Australia New Zealand,
2016b; Ministry of Agribculture Fisheries and Food and Departmeny of Health,
1996; Resta et al., 2008)が含まれる。同一地域、季節のオーストラリア西部の市販のL.
angustifolius品種で粒中のアルカロイドに相違の無いこと、すべてのサンプルが最大ヒト食品利用に許可されるレベル以下であった。
5.7.4 Phomopsins
PhomopsinshはDiaporthe spp.毒性の生産するカビ毒で、毒(European Food Safety Authority, 2012; Food
Standards Australia New Zealand, 2016b)が高湿度にさらされると種子に感染する。オーストラリア、ニュージーランド、英国で、食品に用いるルピン中最大許可レベルは5μg/kgである(Petterson, 1998)。最も高いphomopsins濃度は皮に見られる(EFSA, 2012)。そこで脱皮でそのコンタミレベルを低下させることができる。Phomoposinsは水漬、蒸気、発酵に対して安定だが(Battilani et al., 2011)、高温、高圧エクストルージョンクッキングでそのレベルを低下させる可能性があり、他のカビ毒で知られる効果がある(Bullerman and Bianchini, 2007)。
グルテンフリー食品中の擬似穀物の利用−3
ソバ
炭水化物
デンプン
ソバの全炭水化物含量は67-70%であり ( Li and Zhang 2001; Steadman et al., 2001a)、そのうち54.5%はデンプンである( Steadman et al., 2001a)。ソバデンプン粒は多角形でしばしば会合している。デンプン粒のサイズはかなり小さく、2-14μmの粒サイズ分布でその平均直径は6.5μmであり(Acquistucci and Fornal 1997)。ソバデンプンは特徴的な成分区分を示し,そこではアミロースとアミロペクチンの比率が1:1である。この点でソバデンプンは穀物あるいは豆デンプンとは見てくれが違い、高アミロースコーンに似ている。アミロース含量はソバデンプンで46%ほどの高さがQian et
al., 1998 and Soral-Smietana et al., (1984a)
に見出され、他の穀物デンプン同様21.1-27.4%の低い値も報告されている(Li et
al., 1994; Zheng and Sosulski 1998; Noda et al., 1998; Qian and Kuhn , 1999b, 1999c; Yoshimoto et al., 2004)。Yoshimoto
et al., (2004)の研究で、実際のアミロース含量は16-18%であり、見かけのアミロース含量(26-27a%)よりも低い、それはソバアミロペクチン ( 2.21-2.48%)のヨード親和性が高いためである。
ソバデンプンは多量の長鎖アミロペクチンを含んでいる(Noda et
al., 1998; Oroznic 1999; Yoshimoto et
al., 2004)。長鎖区分は多く(12-14%重量測定)、しかしアミロースとアミロペクチンの短鎖(分子の基礎に基づく)は小麦、大麦デンプンで測定されるものと類似である(Yoshimito et al., 2004)。Noda et
al., (1998) は,40%以上のアミロプクチンは10-12の重合度を示し,ソバデンプンの平均重量は94900でありこれは他の穀物あるいは擬似穀物から分離されたデンプンよりもモチコーンスターチの値に近い。デンプンはX線解析典型的タイプ"A"パターンを示し、さらに結晶化度は38.3から51.3%を示す( Qian and Kuhn 1999b; Zheng et al., 1998)。
一般にはソバデンプンは他の穀物デンプンよりより高い糊化温度ピーク、セットバック値を示す(Wei et
al., 1995; Zheng et al., 1998)、そして根茎デンプンの糊化的性質と類似である(Whisle et al
1984)。高粘度値は超分子グルカン構造で説明され(Praznik et
al., 1999)、そしてソバデンプンは穀物デンプンよりも高い粒膨潤、ゲル化傾向を示す(Pomeranz, 1991; Yoshimoto et al., 2004)。Acquistucci
and Formal (1997)は、より高い膨潤度は粒中のより弱いがより伸張結合力の大きい結果であることを示し、一方Qian et
al., ( 1998) は、アミロース脂質複合体の存在が膨潤力と溶解性を制限するように働くことを示した。ソバデンプンの酸やα--アミラーゼ加水分解に対する増加した感受性は、コーンや小麦デンプンよりも大きいソバデンプン粒の大きなアモロフォス域のためである(Qian et
al., 1998)。ソバデンプンの水結合能は、109.9%で小麦やコーンデンプンより大きく、ソバデンプン粒の小さなサイズのためと説明される(Qian et
al., 1998)。
抵抗デンプン
生のひきわりソバには73.5-76.0%デンプンを含み、そのうちの33.5-37.8%は抵抗デンプンである(RS)(Skrabanja and Kreft 1998; Skrabanja et al., 1998)、これはソバを低グリセミックインデックス食品にデザインする興味深い材料を意味する。加工はRSの分布に影響する。熱処理(例えば調理、あるいは110℃への乾熱)は、RSを7.4%減少するが、一方老化デンプン(RS3)レベルは沸騰により4倍増加する(Skrabanja et al.,
1998, 2001)。RS3値のソバでは3.79%であり、抵抗デンプン/全デンプンの比率は6.51%と計算され、それはキノアやアマランスで見られる値より3倍以上大きい。これらの結果はソバにはアミロースがより多く含まれることを示す(Mikulikova and Kraic, 2006)。
繊維とD-chiro-insitol (D-チロ-イノシトール)
ソバふすまは、種子膜、胚組織を含み、製粉区分には殆どのタンパク質(35%)、脂質(11%)、食物繊維(15%)の濃縮したものが来る。
Bonafaccia et al., (2003b) は、全食物繊維区分がソバ種子の27.38%であると報告した。水溶性区分は特にふすま中に約1%レベルで見出され,それはこれまで見出されたよりもより低かった(Steadman et al., 2001a)。ソバふすまは、またfagopyritols( 2.6%) の濃縮源であり(不消化オリゴ糖)、D-チロ-イノシトールのガラクトシル誘導体であり,非--インシュリン依存性糖尿病の治療に用いられる(Steadman et al., 2000)。ひきわりソバ中の遊離D-チロ-イノシトールのレベルは、20.7-41.7mg/100gの範囲である。(Steadman et al.,
2000)。D-チロ-イノシトールはfagopyritols の形で(Horbowiez et al., 1998)主にソバ胚中に存在する。
タンパク質
貯蔵タンパク質
ソバ種子タンパク質の主な成分は塩可溶グロブリンであり、主に13Sレグミン様タンパク質区分と表される(Aubrecht and Biacs,1999; Li and Zhang, 2001;
Milisavljevic et al., 2004)。マイナーの8Sビシリン様グロブリンとともに貯蔵グロブリンは全種子タンパク質の70%に達する(Radovic et
al., 1996,1999)。8Sグロブリンは全種子タンパク質の約7%に相当する。Milisavljevic et al., (2004)によると、8Sグロブリンは13Sソバレグミンよりも生化学的応用に興味深く、それは大部分のソバアレルゲントして報告されている。明らかにクロス反応は8S貯蔵グロブリンには見られなかった。ソバ貯蔵タンパク質の顕著な部分は2Sアルブミン区分(全タンパク質の18-32%)であると表明される(Radovic et
al., 1999)。グルテリンの寄与は小さく、プロラミンはちがった量の0から(Radovic et
al., 1999)1.9%( Aubrecht and Biacs, 2001) あるいは4.35%( Wei et al., 2003) のタンパク質の範囲である。しかしながら、最近の結果からダッタンソバはこれまでの研究とは対照的である(Guo and Yao, 2006)。アルブミン区分は圧倒的タンパク質区分(43.8%)で、つづいてグルテリン ( 14.6%)、プロラミン ( 10.5%)、グロブリン(7.82%)である。この不均一性は、研究レポート中の異なる抽出方法を用いたためか、あるいは栽培品種の違いのためと説明される。
アミノ酸
アミノ酸組成は,研究された種子の部位による(Li and Zhang, 2001)。ソバタンパク質は、小麦タンパク質と比較した時、全てのアミノ酸がより高いか類似であるが、それ以外グルタミンとプロリンはより低量である。特に制限アミノ酸リジン含量は小麦粉で見られる量よりも2.5倍ほど高い(Aubrecht and Biacs, 2001)。グルタミン酸、続いてアスパラギン酸、アルギニン,リジンは、最も代表的なアミノ酸である。メチオニン、システイン含量は少量なものと同定される。しかしながら制限アミノ酸の異なる分類が報告された。最近、Wei et
al., ( 2003) は,ロイシンを第1制限アミノ酸として同定し、続いてスレオニン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシンと続く。これらの結果から著者はソバの栄養的価値の見地からソバは主食として用いるのに適当な食材ではないことを示し、他の穀物粒とのコンビネーションで用いるべきと述べた。
栄養的品質
ソバのアミノ酸組成は十分バランスがとれ、栄養的にも穀物粒よりも生物価が優れ(Pomeranz and Robbins 1972)、全タンパク質利用の面でもタンパク質値の有用の面でも優れる(Eggum et
al., 1980)。
真の消化性は、しかしソバは小麦より低い(Eggum et
al., 1980)。
ソバタンパク質は胆石形成を抑制し、分離大豆タンパク質よりコレステロールレベルをより強く低下する(Kayashita et al., 1995; Tomotake et al.,
2000, 2001)。リジン/アルギニンの比率、およびメチオニン/ グリシンの比率は、植物タンパク質がコレステロール低下効果を決める重要な要因であると十分に受け入れられる点である、しかしメカニズムはまだ十分にわかってはいない(Li and Zhang 2001)。にもかかわらず、コレステロール-低下効果はまたソバの低消化性(<80%)さらに食物繊維様のものの含量に関与する(ikeda et
al., 1991; ikeda and Kishida ,1993; Pandya et al., 1996; Kayashita et al.,
1997; Skrabanja et al., 2000)。さらにソバタンパク質は、また乳がんを血清エストラジオールを低下しておくらせ、そして細胞増殖を低下し結腸発ガンを抑制するようだ (
Kayashita et al., 1999; Liu et al., 2001)。
アレルギーとセリアック病
Francischi et al., (1994) は、ソバがセリアック病患者に有毒のプロラミンを含まないことを示した(Francischi et al., 1994)。しかし
Radovic et al., (1999) はソバには抗栄養効果があり、たとえプロラミンが検知されなくても感受性ある患者へのアレルゲン活性がある事を述べた。測定されたプロラミン含量は、ソバでは3.8-5.2mg/100g種子であり、全ての100%ソバの製品は十分グルテンフリー製品のリミット以下である(Aubrecht and Biacs, 2001)(
10mg/100g乾物、Codex Alimentarius Commission, 2000)。ソバは韓国、日本で一般の食品アレルゲンとして認められているが、しかし北アメリカではそうではない(Park et
al., 2000; Taylor and Hefle 2001; Tanaka et al., 2002)。
ソバは、IgEを介したtype I免疫反応に関与する食品アレルゲンの高度の可能性のあることが知られている。Asthma (喘息)、アレルギー鼻炎、蕁麻疹、欠陥浮腫は、主な生じる症状である(Li and Zhang, 2001)。もし患者がソバ特異的IgE抗体レベル1.26kUA/L、あるいはそれ以上持っていると、ソバのほんの少量の摂取または吸入があるとアレルギー反応の危険性は既に存在する(Sohjn et
al., 2003)。Bush and Hefle ( 1996) は、分子量9-40 kDaの範囲の4つの糖タンパク質のIgE-結合バンドを見出した。1つの24kDaタンパク質は、ソバ中の主なアレルゲンと同定された(Kondo et
al., 1996)。同じ24kDaタンパク質が、最近ダッタンソバ種子から分離された(Wang et
al., 2004)。もう1つ別の研究で、24、19、16、および9kDaのアレルゲンがアレルギー誘発性の強い候補として同定され、19kDaアレルゲンはソバアレルギー患者への相対的特異的アレルゲンとして同定された(Park et
al., 2000)。分子量67-70kDaのアレルゲンはすでに同定された(Li and Zhang, 2001)。一方、ソバと大豆粉アレルゲンは2軸エクストルージョンクッキングを用いて高度の剪断力によって部分的に破壊された(Hayakawa et al., 1996)。
酵素活性
幾つかの研究が、リポキシゲナーゼ,パーオキシダーゼの様な酵素活性(Suzuki et
al., 2004b, 2006)を示し、あるいはフラボノール−3−グルコシダーゼ(Suzuki et
al., 2002, 2004a)の酵素活性がソバ粉の悪化について重要な役割を演じている事を示した。in vitroリポキシゲナーゼ活性に対するルチンの阻害効果が、Suzuki et
al., ( 2005)によって観察された。ソバはフィチン酸を含むのみならず、2.17PU/gのフィターゼ活性(PU)を示した。最適のソバフィターゼ活性条件は、pH5.0、55℃である(Egli et
al., 2003)。
脂質
ソバの脂質は胚に集中しており、そこでふすまは最も脂質-リッチの製粉区分である。ソバ粒中で全脂質含量は2.48%( 乾物重量) で、そのうち遊離脂質は2.41%、結合脂質は1.09%である。ソバ粒中の遊離脂質の糖脂質とリン脂質は僅か1.01と0.47%各々である(Soral-Smietana et al., 1984b)。トリアシルグリセライドは中性脂質区分の主要成分である。リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸は全脂肪酸の88%に相当する(Mazza,1988; Horbowicz and Obendorf, 1992)。典型的に80%不飽和脂肪酸と、40% 以上の多価不飽和脂肪酸リノール酸を持つソバは栄養的には穀物粒より優れている(Steadman et al., 2001a)。類似の脂肪酸組成はアマランス油、綿実油に見られる(Jahaniaval et al., 2000)。
植物ステロールは全ソバ穀粒を通じ偏在する(Li and Zhang, 2001)。胚と内胚乳組織中、最も多いステロールはβ--sitosterolであり、全ステロールの70%である。脂質抽出後の脱穀されたひきわり(グロート)中のステロール含量は、約70mg/100g種子がβ--sitosterol、9.5mg/100gがcampesterolで、そして僅かのシグマステロールである(Horbowicz and Obendorf,1992)。
ミネラル
ソバ粒子中のミネラル(灰分)含量は小麦より低い(表7.1)。しかしながらカルシウム除いてソバは、米、ソルガム(モロコシ)、ミレット(ヒエ )、コーンの様な多くの穀物よりも栄養的には重要なミネラルの供給源である(Adeyeye amd Ajewole, 1992)。Bonafaccia
et al., (2003a)は、Se、
Zn、 Fe、Co、Niの元素が一般ソバと比べてダッタンソバ栽培種の方に2−、3−倍高い含量であることを報告した。全体的にミネラルは、ふすまに殆ど集中していると見出された。P、K、Mgの濃度は殻の除去後増加し、一方,CaとZnは殻中に蓄積しているようだ(Steadman et al., 2001b)。ソバ種子中でのSe含量を増加させる試みが行われた; 8.5倍の増加が葉面Se施肥後に観察された(セレン酸ナトリウムが1mg/L) ( Stibilj et al., 2004)。
ビタミン
幾つかの穀物粒製品のビタミン含量が最近研究された(Gujska and Kuncewicz, 2005)。結果、ソバひきわり(グロート)の全葉酸含量(30μg/100g)は、ライ粉(29μg/100g)、大麦ひきわり(グロート)(21μg/100g)あるいは小麦粉(19-20μg/100g)より高かった。ビタミンB2、B6は、ソバ種子に存在する(Fabjan et al.,
2003)。全ビタミンB含量はダッタンソバではふつうソバより高く、一般にはビタミンBがふすまに最も多い。さらにダッタンソバふすまは約6%のピリドキシンの1日当たりの治療用量を含むが、それは(葉酸とビタミンB12とともに)血漿ホモシステインレベルの低下と、さらに冠動脈形成術後の再狭窄率の低下に効果がある(Krkoskova and Mrazova, 2005)。Watanabe
et al., (1998) は、分子量(分子マス)42-45kDaをもつチアミン結合タンパク質を分離した。これは摂取後、この複合体はプロテアーゼで分解し、チアミンを離し、加工食品の残存に寄与する。
植物化学物質
フェノール
全フェノール酸は、はじめアルカリ、に酸水解を用いて求めた(表7.2)( Mattila et al., 2005)。全フェルラ酸含量(湿質量に基づいて)は低い(1.2mg/100g)、しかしp-hydroxybenzoic
acid ( 11.0mg/100g) caffeic acid ( 8.5mg/100g)含量は他の穀物生産物に比べ高い。最近の研究で、ソバ殻中および粉の全フェノール酸含量は夫々30--15mg/100g範囲であるとわかった(Gallardo et al., 2006)。さらにp-coumaric acidと安息香酸の誘導体のほんの僅かがソバ製粉区分中で測定された。
ポリフェノール
一般にポリフェノールは殆どふすまに集中しており、一方、粉とグリットにはほんの少量含しか含まれない。ふすま区分は、タンニンの高濃度(0.4g/100g非凝縮タンニン、1.7g/100g凝縮タンニン)と他のポリフェノール(全ポリフェノール;1.2gカテキン等量/100g)から成る。明らかにふすまから殻区分を除去をすると、凝縮タンニンの4倍低下が起こる(Steadman et al., 2001b)。ソバのホールミール区分中の全フラボノイドの含量は2.42g/100g (湿集合)であった(Liu and Zhu 2007)。殻には1.53g/100g含み、一方7.16g/100gは砕いた胚、ふすま,アリューロン層、殻の一部を含む区分中に見出された。主なフラボノイドの分子量はルチンの分子量に合致する。ダッタンソバは、フラボノイドがより多く、7g/100gまで含まれている(Gu, 1999)。ルチン、ケルセチン、オリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、さらにイソオリエンチンは殻中に同定され、ルチン、イソビテキシンが種子中に同定された(Dietrych-Szostak and Oleszek, 1999; Kreft et al., 1999; Gallardo et al., 2006)。さらにWatanabe(1998)は脱殻したグロートからカテキンを分離した。フラボノールグルコサイドルチン、ケルセチン、kaempferol-3-rutinoside、および僅かの量のフラボノイドトリグルコサイドがメタノール抽出物から分離された(Tian et
al., 2002)。
ルチンはフラボノールケルセチンのラムノグルコシドであるが、特別に関心があるのは、多くの国々で医学用目的で用いられているからである。ルチンとフラボノイド量の異なった値が報告されている。Steadman et al., (2001b)は,ルチンとケルセチンをグロート(20mg/100g)中より主に殻中(80-440mg/100g)で調べた。これらの値は最近の14ソバ品種の研究とは対象的であり、そこでは非常に低含量のルチン (0.064-0.390mg/100g)が報告されている(Suzuki et al.,
2005)。比較研究が行われ、普通ソバよりダッタンソバの2種でルチン(810-1660mg/100g)、ケルセチン(47-90 mg/100g)のより高い量が見出された(Fabjan et
al., 2003)。しかしながらダッタン、普通ソバの殻中にルチンの類似量をSteadman et al., ( 2001b) は報告している。ダッタンソバ種子の苦みは、これらのフラボノイドによるものと述べられている(Fabjan et
al., 2003)。これらはさらにフラボノール−3−グルコシダーゼの分離で指示され、これはルチンを加水分解し、ダッタンソバの苦みを引き起こした(Suzuki et
al., 2004a)。興味あることに、Mattila et
al., (2005)は4.1±0.41mg/100gアルケニルレゾルシノールをソバグリット(全粒)に見出した。ソバ中の含量は小麦粉中のものと同じで、アルケニルレゾルシノールの存在はこのユニークな収穫に特別の価値を与える。この成分はオート麦製品にも米,ミレット、コーン粉にも存在しない。
抗酸化活性と健康上の利益
ソバ殻から分離されたフェノール成分(Velioglu et al., 1998)とフラボノイド(Watanabe et al., 1997; Watanabe 1998; Sensoy et al., 2006)は抗酸化活性を有する。Oomah and Mazza (1996) はフラボノイド含量がルチンと大きく関係あるが、しかし抗酸化活性とは弱い関係であることを示した。最近Gallardo et al., ( 2006) は、ソバ粉の水/80%メタノール抽出液中に4.5, 4.4全可溶性フェノール酸(mg/100g)を見出した。これらの含量は僅か小麦あるいはライ麦ふすま抽出物の1/7であり,ソバ区分のトロロックス等価抗酸化能(TEAC)は小麦ふすま抽出物の1.7-2倍であり,ライ麦ふすま抽出物のTEACの15倍である。Sun and Ho(2005)は、butylated hydroxyanisole、 butylated hydroxytoluene、 およびtertiary butyl hydtochinoneで抽出したソバ抽出物の抗酸化活性を、β--carotene bleaching法、2,
2-diphenyl-β--
picrylhydrazyl (DPPH) 法、およびRancimat 法を用いて比較した。ソバはいろいろな極性のあるソルベントで抽出した。メタノール抽出は、β--カロテンブリーチング法で行った最も高い抗酸化活性比(AAC)を示した、一方Rancimat法を用いて最も永い誘導時間が観察された。アセトン抽出物は、最も高い全フェノール類の3.4±0.1gカテキン等量/100gを示し、DPPH法により最も高いスキャベンジング活性を示した。gallic acid等量として示すTPC は、ロースト(200℃、10分間)がダークそば粉(1047mg/100g)あるいは白ソバ粉(180mg/100g)のフェノール含量に顕著な影響しない事を示し、一方抗酸化活性(DPPH)は低下する事を示した。
フィチン酸
ソバ種子は一般に豆や穀粒以上の高いフィチン酸を持ち、しかしながら粉中身のフィチン酸含量は,非常に小麦粉のそれに似ている(Steadman et al., 2001b)。フィチン酸含量は殻を除去したふすま中に最も高い(3.5-3.8g/100g)。ソバでは60-90%のリンがフィチン酸として蓄えられる。
粉の生産とその性質
ソバ種子の製粉区分は、生の穀粒をローラーミルにかけ、粒を篩にかけ軽い粒(主には中間部の内胚乳)とグリスト(内胚乳の固いボール)とふすま区分にするか、あるいはインパクト脱殻装置を通じて殻除去を行い、出来たひきわり(groat)をローラーミルにかけて生じた粒を篩にかけ粉とふすま区分に分けて得られる(Steadman et al., 2001a)。ソバ種子の区分への製粉は、存在する組織のいろいろな比率に基づいてある区分の濃縮が起こる。精製した粉は殆ど内胚乳でデンプンに富み、一方ふすまは種子膜、胚区分からなりデンプンの量は低い(Skrabanja et al., 2004; Steadman et al.,
2001a)。ふすまは、外胚乳(種皮とともに),核の残骸,それとともにアリューロン層,サブアリューロン層を含む。成熟したソバ種子中、2つのコチレドン(子葉)の外側は種子膜に付着していて、製粉の間、ひきちぎられ、ふすまとともに分離される。中心内胚乳から胚の大きな区分はふすまとともに分離され、しかし多少のソフトな胚組織はつぶれ、粉とともに分離される(Steadman, et al., 2001a)。湿製粉の応用で、79、64%のデンプンとタンパク質の抽出効率で各々が得られた(Zheng et
al., 1998)。ソバふすまは最も栄養的には価値がある製粉区分であり、高度にタンパク質(350g/kg)、脂質(110g.kg)、食物繊維(150g/kg)、ファゴピリトール (26kg/kg)が集中している(Steadman et al., 2000)。デンプン以外、タンパク質もソバ製品テクスチュアの特徴に関係する主要な内部要因である(Ikeda et
al., 1997)。デンプンとタンパク質含量の間の適当な比率選択は、特に各そば製品の製造、デザイン上重要な点である。
擬似穀物をベースにしたグルテンフリー穀物製品の生産と特徴
世界中に広がる擬似穀物を使ったグルテンフリー食品製品(例えばパン、パスタ、クッキー)の探索が、市販のweb accessible ProductscanR Online Database (www.productscan.com) を使って出来る。このデーターベースを使ってキノアに基づくグルテンフリー製品を見つけることは出来ない。アマランスを使った9種のグルテンフリーパン製品は北アメリカにあり,僅か3種のソバを使ったグルテンフリ−クッキーはヨーロッパでリスト化されている。これら3種の擬似穀物のうち、どんなものもグルテンフリーパスタに使ったものはない。殆どの研究者は擬似穀物を小麦とブレンドしてパスタあるいはパン製造を研究した。小麦ドウに含まれるレベルは、典型的には10-20%である。アマランスを用いたグルテンフリーパン製造が可能であり、アマランスの存在は栄養成分の増加(タンパク質、繊維、微量成分の増加)が最終製品に示される(Gambus et
al., 2002)。Kishini et
al., ( 2007)は、アマランスベースのグルテンフリーパンを作り、そこでは鉄が強化された。グルテンフリーパンで8.5%そば粉入れたものがMoore et
al., ( 2004)により作られたが、しかしパンは貯蔵2日目に苦みがあった。Di Cagno et al., (2004) は,サワードウパンの製造を目的としたがそのパンはセリアック病患者によって許容されるものである。この研究の結果、選択された乳酸菌、非毒性粉、長時間発酵の組み合わせがグルテンフリー成分(例えば小麦デンプンあるいはオート)中グルテンのコンタミレベルを低下する新しい手段であることを示した。グルテンフリーパスタが100%擬似穀物粉、アマランス、キノア、あるいはソバ粉のブレンドで研究された(Drausinger 1999; Wolfrum,1999; Schoenlechner
2001; Jurackova, 2005)。
アルブミン、乳化剤、酵素、時にキサンタンの添加は、100%擬似穀物粉で作ったヌードルの品質を増加した。アマランスはヌードル製造には最も適しておらず、最終製品はクッキング時間、許容性の低下とともに堅さの弱いテクスチュアが特徴であった。キノアヌードルは良好な凝集体であったが、しかしより高いクッキングロスと味の低下があった。ソバはテクスチュアの固さを増やし、クッキングロスを減らし、そのためヌードルのテクスチュアを強めるベストのグルテンフリー材料に選ばれる。興味深いことに、3種のすべての擬似穀物粉のコンビネーションは、単一粉を用いたときのネガテブの効果を最低にするという最も長所があるようだ。ヌードルの結果、づっと良く凝集し、良いテクスチュアの固さとクッキングロスの低下を示す。さらに調理安定性は大きく増加する。乳化剤添加は、グルテンフリーキのノアパスタの品質を改良した。DATEMとsoduim stearoyl-2-lactateは最も適したもので、一方レシチン添加は貧弱だけの改良効果を示す(Kovacs et
al., 2004)。Caperuto et al., ( 2000) は、グルテンフリースパゲテイ製造の研究をし、コーン粉とキノア粉区分(5-15%)をブレンドし良好なスコアを消費者味パネルから引き出した。グルテンフリーマカロニは、キノアと米粉のブレンドをエクストルージョンクッキングすることで良好なものが作られた(Borges et al., 2003; Ramirez et al., 2003)。
ビスケットドウと製品は、キノアとソバを唯一のデンプン成分として用いることで成功した(Kuhn et
al., 1994)。Schober et
al., ( 2003) は10%ソバ粉、50%玄米粉、30%ポテトデンプン、10%ヒエフレークを使ってビスケット製品の製造研究した。出来たビスケットは構造、ドウの柔らかさ、ビスケットの厚さの点で非均一であった。さらにビスケットは、暗い表面の色と同様、水分とawの点で高い値を示した。米ケーキマシーンを使って、ソバグリットのケーキパフィング製造条件の物理的、化学的性質がIm et
al., ( 2003) により調べられた。その結果、高比容積のケーキを得るために、高水分、高加熱温度、あるいは長い加熱時間が必要であった。どんな小麦粉も入れないで、ふつう、およびダッタンソバで作られる受けいられるビスケット製造についてVombergar and Gostencnik ( 2005) が述べてきた。
Schoenlechner et al., ( 2006)
は、アマランス、キノア,あるいはソバでショートドウビスケットを作り、一般の豆粉添加の効果と同様に研究した。豆粉を入れるとビスケット全てクリスプネスは増加したが、擬時穀物利用とは関わりなかった。一部アマランス粉をポップしたアマランス粉に置き換えると,出来たビスケットのテクスチャの性質は増加した。グラノラ バー、およびミューズリーの良好な食感改良は、ポップした、あるいはエクストルードしたアマランス、キノアを用いて作ることが出来た(Wesche-Ebeling et al., 1996;Schoenlechner, 1997)。ポップしたアマランスとハネーで出来た類似の加工品、allegriaと呼ばれるものは、コロンブス時代以前のラテンアメリカ人により作られた。最後に擬似穀物から作る非伝統的なグルテンフリー製品には範囲があり,それは乳製品以外の飲料(大豆飲料の様なもの)、幼児食、エクストルードあるいはポップした食品、およびこれらの疑似穀物から作れるトリテーラのようなものである。しかしながらヨーロッパマーケットでのこれらの製品の重要性はこれまでは取るに足りないものであった。
結論
アマランス、キノア,ソバの好ましい化学的成分は、この章で示された。この点でアマランス、キノアの特別のタンパク質品質が指摘され、一方ソバではユニークな植物化学の濃縮、特にルチンが示された。しかしながらアマランス、キノアは永く食品生産、栄養の面で、主に小麦のために無視されて来たので、現在の知識はいまだ非常に制限がある。特にベーカリー、パスタの様な西欧タイプの食品に、擬似穀物に基づく、あるいはそれを含む食品製品の利用がほんの僅かしかないのがこの1つの理由である。より多くの食品が開発されるために、これらの3種の植物についての物理化学的および機能的性質に関して益々のより完全な研究が進まねばならない。
これら全ての擬似穀物は、いかなるセレアック病に対するプロラミンも含まず、グルテンフリー食事に含まれる。しかしながら利用できる研究データー(特にキノアに関する)は、これら3つの植物がセリアック病をもつ全ての人々にとり許容できるかどうか未だはっきり言える十分な状態ではない。更なる研究(例えば;動物あるいは臨床研究)が詳細な推奨事項を与えるためには必要である。セリアック病はしばしば吸収不良を起こし、そのためビタミンあるいはミネラル欠乏に陥り、そのためより重要な高品質の栄養とする。アマランス、キノア、ソバが高度の栄養を持つもので、それらの統合はグルテンフリー食品に価値ある貢献することとなる。
グルテンフリー食品中の擬似穀物の利用−2
キノア
炭水化物
デンプン
キノア中の主な炭水化物成分はデンプンである。しかしながらキノアのデンプン含量は、穀物中のものより低い(表7.1)。アマランスにおけるように、デンプンは外胚乳中にあるが,少量は種子膜と胚にもある(Prego et
al., 1998)。キノアデンプンは1個の多形粒で0.63-1.8μm(平均 1.5μm)のサイズである(Atwell et al.,
1983; Ando et al., 2002)。デンプン粒の複合体がまた見出され、そこでは14000単一粒までは1複合体を作っている(Lorenz,1990)。これらの複合体は球状または横長であり、タンパク質マトリックスでとり囲まれ,80μm長に達する。キノアデンプンのタンパク質含量は、他の穀物デンプンより高い(Atwell et
al., 1983)。
2つの大部分のデンプン粒結合タンパク質は、粒結合デンプン合成酵素I(GBSSI)で分子マスは56と62である(Lindeboom et al., 2005b)。GBSSI含量はデンプン中のアミロースの濃度とポジテブの関係がある。キノアデンプン中のアミロース含量は穀物デンプンよりずっと低く、異なった量が見出され、その範囲は3-22%である( Atwell et al., 1983; Qian and Kuhn,1999a; Tang et al., 2002; Wright et al.,2002;
Tari et al., 2003; Lindeboom et al., 2005a, 2005b)。デンプンは、短鎖分子グルカンで平均分子量は11.3 x 106g/molである(Praznik et al., 1999)。Tang
et al., (2002)は、キノアアミロペクチンのユニークな鎖長分布を見出し、それはワキシアミロペクチンに似ていて、長鎖に対する短鎖のより大きな比率である。X線分析パターンは、デンプンが典型的な"A"タイプの結晶性を示すことを示した(Qian and Kuhn,1999a; Wright et al., 2002)。
キノアデンプンは他の穀物より高い糊化温度を持ち、より高い粘度を持つ。これらの値は冷却で増加する(Atwell et
al., 1983; Lorenz1990; Ruales and Nair,1994; Schoenlechner,1997)。さらに低アミロース含量は、高水結合能、高膨潤能、高酵素感受性、特別の冷凍解凍能、老化安定性と関係ある(Atwell et
al.,1983;Lorenz,1990;Ahamed et al.,
1996;Qian and Kuhn,1999a)。
これらの物理的性質はアミロース含量とポジテブの関係にある(Lindboom et al., 2005a)。アミロース含量内の広いバリエーションは、そのためキノアデンプンの物理的性質の違いに関係ある。
抵抗デンプン
色々な穀物、擬似穀物中の抵抗デンプン含量(老化RS3 加工中に生じる)は、酵素的(AACC法32-40)、Milkulikova and Kraic ( 2006)によって測定された。キノアの値は12.6±1.29g/kg種子、これは他の穀物、例えば小麦(39.0±5.7g/kg)あるいはライ麦(49.0±7.3g/kg) よりも低い。RS/全デンプンの比率はキノアで2.18%、 小麦、ライ麦で各々5.64%、7.01%であり比較出来る。かなり低いキノアのRS含量の理由は、低アミロース含量のせいで、低RSの形成のためである。
低分子量炭水化物
キノア中の遊離糖の量に関し、はっきりした結果が報告されている。
Gonzalez
et al.,(1989)は,グルコース含量4.55%、フラクトース2.41%, シュクロース2.39%と報告した。シュクロースに対するグルコースの異なる比はGross et al.,(1989)によると;グルコース0.19%、シュクロース2.79%、 ラフィノース 0.15%、スタキオース 0.08%、 α----ガラクトサイド0.23%、フラクトース0%、 ベルバスコース0%であった。またOgungbenle (2003)は、より低い量のグルコース(0.019%)を他の糖、例えばフラクトース(0.019%),ガラクトース(0.06%),リボース(0.07%),マルトース(0.1%),D-xylose(0.12%)と比較した。
繊維
キノアの食物繊維含量(12.88%)は他の穀物に匹敵するほどであるが(表7.1)、外胚乳より胚は高含量である(Hirano and Konishi,2003)。
全食物繊維のうち可溶性繊維は僅か13.5%である(Ranforta et al., 1993)。調理とオートクレーブで可溶性繊維区分は低下し、一方不溶性区分は変化しない(Ruales and Nair,1994)。
タンパク質
キノアのタンパク質含量は他の穀物より高く、タンパク質の品質は非常に良い(表7.1)。
貯蔵タンパク質
キノアタンパク質は主にグロブリンとアルブミンである。種子タンパク質は、31%水、37%塩、0.8%アルコール,11.5%アルカリ可溶、19.7%不溶性タンパク質区分から成る(Prakash and Pal,1998;Ando et
al., 2002; Watanabe et al., 2003)。各タンパク質区分のアミノ酸プロフィールは、高レベルのリジン(4.5-7.0%)を含んだバランスのとれた不可欠アミノ酸の内容を示す(Watanabe et al.,2003)。キノア種子中のタンパク質の2つの主クラスのタンパク質は、11S(ケノポジン、chenopodin)と2S(高システイン)タンパク質である(Bringar and
Goundan,1993;Brinegar,1997)。11Sと2Sのはっきりした構造的および可溶性の特徴は,はっきりそれらの性質が違う事を示している。酸性条件下でケノポジン不溶性であるのは、他の11Sタンパク質の特徴であり、一方キノア2Sタンパク質は高度に可溶で、多くのシステイン残基を含んでいる。
アミノ酸
アミノ酸は38.71g/100gタンパク質の濃度で存在し、この値は全卵タンパク質の濃度より僅かに16%ほど低い(Drzewiecki et al., 2003)。キノアタンパク質はFAOの推薦する不可欠アミノ酸のパターンに近い(Prakash and Pal,1998)。リジンレベル(6.3%)は大豆のレベルと比べる事ができ、一方、他の典型的双子葉種子タンパク質の様にメチオニンは不足している(Ranhorta et al., 1993)。しかしながら、違う結果が制限アミノ酸については報告されている。化学スコアにより芳香族アミノ酸チロシンとフェニルアラニンは、制限されるとわかったが、一方メチオニンとシステインの濃度は高い(Ruales and Nair,1992a)。分画はキノアのアミノ酸組成に影響しないようだ(Chauhan et al.,1992)。
栄養的品質
Ranhorta et al., (1993)は,キノアのタンパク質の品質を研究した。PER値(3.8)とC-PER値(2.7)は明らかにカゼインとは異なった。消化率は84.3%でカゼイン(88.9%)よりも低かった。キノアタンパク質は75.2のNPU値を持ち生物値(BV)は82.6であった(Ruales and Nair,1992a)。Chauhau
et al., (1999)はPERの増加を見出したがサポニン抽出後はBVの変化しないことを見出した。Ruales とNair ( 1994)によると、in vitroでは生のキノアのタンパク質消化性はカゼインよりも低い。種子層の外側の除去は、そこにサポニンが含まれていて消化率を7%まで改良した。消化性の増加はまた加熱処理後も見出された。さらに加熱処理は,有害物質(例えばタンパク質阻害剤)も破壊する。構造変化もまた生じるだろう(例えば脂質--、あるいはデンプンータンパク質複合体の低減)、それは加熱処理後のキノアタンパク質消化性の改良に関係あろう。しかしながら調理時間を永くすると改良のレベルは低下する。
アレルギーとセリアック病
キノアのアレルギーあるいはセリアック病患者への悪影響については文献上情報がない。
タンパク質の機能性
キノア粉のタンパク質可溶性はpHにより、pH6.0で最も小さく、それはパールミレット中に見られたようである(Oshodi et
al., 1999;Ogungbenle 2003)。
しかしながら乳化能と安定性は、パールミレット、小麦よりキノアの方がべターであり、一方起泡性はより低いようだ(Oshodi et
al., 1999)。
酵素阻害剤
アマランス同様に、トリプシンインヒビター活性はキノアでは低く,加熱処理により不活性化する(Chauhan et
al., 1992)。
Ruales and Nair
(1992b) によると、1.36-5.04 TIU/mLサンプルが見出され、それは豆中より低い。
脂質
キノア中の脂質含量は穀物中より高い。平均して5-6%(表7.1)の範囲で,しかしある品種ではより高い。例えばRuales and Nair (1993a)は9.7%NO脂質含量を述べ,Pezybyski et al.,
(1994)は7.6%を測定した。脂質含量は外胚乳よりは胚芽中、種子表皮で高い。脂質は不飽和脂肪酸の高含量で特徴づけられ、リノール酸(linoleic acid )は脂肪酸の50%以上と測定される。パルミチン酸は約20%と測定され、オレイン酸約8%、リノレン酸 (linolenic acid ) 約6%以上と続く。不飽和度は75%以上(Przybyski et al., 1994)、あるいはAndo et
al., (2002)によると87%以上である。高ビタミンE含量により、キノア脂質は貯蔵に安定であることが判った(Ng et
al., 2007)。リン脂質は全脂質の25.2%を示した(Przybylski et al.,1994)。それらはリゾフォスファチジルーエタノールアミン(リゾセファリン),フォスファチジルーエタノールアミン、フォスファチジルーイノシトール、フフォスファチジルーコリン(レシチン、それは全リン脂質の49%を占める)である。他のリン脂質は僅かの量検知された。
ミネラル
キノア中のミネラル含量(灰分)は、ほぼ穀物の2倍である(表7.1)。成長条件はミネラル成分に影響するようである(Karyotis et al., 2003)。Ca、Mg、Fe、Znは高い量が見出される(Chauhan et
al., 1992; Ruales and Nair1993a; Ando et
al., 2002; Kinishi et al., 2004; Ogungbenle,
2003)。キノアはアマランスより高い量のKを含みCa/P比は1:4.1−1:6である(計算はSouci et
al., 2000; Chauhan et al., 1992)。栄養学者は約1:1.5 ( Ca:P) を薦める)。サポニン除去で(機械的にあるいは洗浄で)キノアのミネラル含量は大きく低下する(例えばKの46% は減る)(Ruales and Nair 1993a; Konishi et al., 2004)。
ビタミン
キノア中ビタミン含量は、これまでの穀物に見出されたものに類似している。Ruales and Nair ( 1993a) はキノア、小麦中でほぼ等量と述べている。キノアは、チアミン(0.4mg/100g)、葉酸(78.1μg/100g)、ビタミンC ( 16.4mg/100g)の良い供給源である(Ruales and Nair,1993a)。アマランスの様に、キノアにはリボフラビン(0.2mg/100g)が穀物以上ある。さらにキノアは、特にビタミンEの良い供給源である(Coulter and Lorenz 1990; Ruales and
Nair,1993a; Souci et al., 2000)、 それは油脂の安定性に貢献する。キノア種子にはγ--トコフェロール(5.3mg/100g)がα--トコフェロール(2.6mg/100g)の2倍多い。Ruales and Nair (1993a) は、0.3mg/100gβ--トコトリエノールを測定したが、いかなるα--トコトリエノールは見出せなかった。
植物化学
全フェノール化合物
キノア中いろいろなタンニン含量が報告され、その値は0-500mg/100gの範囲である(Chauhan et al., 1992; Ruales and Nair,1993b)。この違いは品種と生息地の違いによるものと説明することが出来る。とにかく粒中500mg/100gのタンニンレベルは、かなり低い。不溶性繊維中全フェルラ酸の含量を考えると、635μg全フェルラ酸/g不溶性繊維が報告された(Packert,1993)。この値はアマランス中のものと同程度である。
フラボノイド
キノア中にあるポリフェノールは、主にケンペロールとケルセチングルコサイドである。2つのフラボノイドグリセロールは種子から分離された(De Simone et al.,1890)。Zhu et
al., ( 2001) はキノア中に6種のフラボノイドを分離し、4種ケンペロールグルコサイド、2種ケルセチングルセロールを分離した。全て6成分はDPPH試験で抗酸化活性を示した。2つのケルセチングルコシドは、存在する4つのケンペロール3-グルコサイドよりずっと強い活性を示した。さらに5種のフラボノールグルコサイドと1つのバニラ酸グルコシルエステルがDini et
al., ( 2004) により見出された。
抗酸化活性
キノアはアマランスより抗酸化活性が強い(Jung et
al., 2006)。
サポニン
キノア(全種子)は、0.03--2.05%間の苦味サポニンを含む(Ridout et
al., 1991; Chauhan et al., 1992; Gee
et al., 1993; Ruales and Nair, 1993b;
Cuadrado et al., 1995),
しかしこれらの値はまだ大豆のそれに比べると低い。キノア種子中のサポニンは、オレアニン酸と3種の他のサポゲノール(hederagenin, phytolaccagenic acid,
deoxyphtolaccagenic acid)からなる(Cuadrado et al., 1995; Woldemichael and Wink, 2001)。化学的方法と光学および電子顕微鏡でキノアの果皮細胞中のサポニン体を同定した(Prado et
al., 1996)。球形のサポニン体は直径約6.5μmで、4-5個の小粒(直径2.2μm)が結合している。34%のサポニンは殻中に見出される(Chauhan et
al., 1992)。脱殻と洗浄で72%まで含量は減る(Ruales and Nair 1993b; Gee et al., 1993)。また加工でサポニンは破壊するが、含量の低下は洗浄や脱殻後に見られるほど大きくはない(Gee et
al., 1993)。
キノア種子中のサポニン含量を低下させるもう一つのやり方は、所謂甘い(低サポニン種)キノア種の生育によるものである。Mastebroek et al., (2000) はいろいろな種のサポニン含量を調べ、苦い品種の0.47-1.13%サポニンに比較し、甘い品種では僅か0.02-0.04%サポニンであることを見出した。Koziol (1991)によると、もしサポニン含量が0.11%以下ならばその品種は甘い品種であるといえる。
フィチン酸
キノアは0.1-1.0%のフィチン酸を含む(Chauhan et
al., 1992; Ruales and Nair, 1993b)。Varriano -MarstonとDeFrancisco
(1984) は、フィチン酸が胚に集中していると述べたが,それはリン含有グロボイド介在物がこの組織に観察されたからである。しかしながらChauhan et
al., ( 1992) , Ruales and Nair( 1993b) によると、フィチン酸は種子に不均一分布するため、研磨脱皮あるいは水抽出によっても減少しにくい。
粉の製造とその性質
小サイズンのため、キノアはふつうは全粒粉にするが、サポニンを洗浄かあるいは研磨脱皮ミルして除去後に行う。異なった化学成分を有するキノア粉フラクションの製造研究は本当に少ない。サポニンは皮に集中しているので、その含量は種子の脱皮により最少にすることができる(例えば;接線研磨脱皮)(Reichert et al., 1986)。Becker and Hanners (1990) は、キノアを石ミルを用いて挽き,種子の33-40%はふすま区分として除けて高研磨力を示した(Becker and Hanners 1990)。しかしながらふすま区分には外胚乳より栄養成分が高含量含まれ、またサポニン量も多かった。研究用ロ−ラーミルがChauhan et
al., (1992) により用いられ、粉区分からふすま区分を分離した。タンパク質-、脂質-リッチのふすま区分として約40% は除外され、残った約50%はスターチリッチ粉区分となる(主に外胚乳)。キノアからのいろいろな粉区分の製造は、アマランス用と同様の道具で行った(前述部を見よ、Nanka,1998; Schoenlechner, 2001)。さらに技術的にローラーミルとプランシフターを結びつけたものを用いて、キノアをデンプンリッチ粉、中間区分、タンパク質リッチセモリナ区分の間で良好な分離ができた。最後に中間区分は、粉区分よりデンプン含量が高い事を示した。Caperuto et al., (2000)はSenior Quadrumat Brabender millを用いてキノア粉を作った。粒を150g/kg水分と前調製し、ブレーキプラスレダクション粉は平均粒子サイズ187.7μmの粉で最大の収量を得た。図らずも、粉のタンパク質含量は全粒粉で12.5%から粉では 3.55%に落ちた。一方、タンパク質はリジンの点では大きくは改良せず、メチオニン、分枝鎖アミノ酸含量の増加がみられた。キノア粉のコーン粉への100g/kgという添加は、グルテンフリースパゲテイを3カ所の工場で作った時、十分にリジン含量に改良があった。
グルテンフリー食品中の擬似穀物の利用−1
紹介
アマランス、キノアは、ラテンアメリカ、コロンブス以前の文化の中の大きな作物であった。スペイン征服後、しかしながらこれらの作物の消費と栽培は制限されそのあと僅かに小さなスケールで続いた。両作物は良い栄養的性質を示すことがわかったので、それらへの関心が再び盛り上がった。キノア生産は、2006年にボリビアで25 329トン、エクアドルで652トン、ペルーで32 590トンであった(FAOSTAT, 2006)。アマランスとキノアの栽培は比較的低い所に留まっているーアマランスはFAO統計リストにその生産データに関する報告がなくーしかしながら人の栄養のためにアマランスは大きく商業的栽培は行なわれている。ラテンアメリカ諸国以外、USA、中国、ヨーロッパで生産している。
ソバはもともとは中央アジアのものであり、遊牧民によって中央、東ヨーロッパに伝えられた。13世紀にはドイツ、オーストリア、イタリアではある程度重要になったが、他の穀物の栽培のために低下した。今日ではソバは、グルテンフリー食事に要求されカンバックすることで何か喜ばれていて、今や2.5百万ヘクターの土地に穀粒2百万トンが生産されている。2005 年には中国は最も多く800 000トンを生産し、続いてロシア(605 640トン)、ウクライナ(274 700トン)であった(FAOSTAT, 2006)。ヨーロッパは、72 096トンがポーランドで、124 217トンがフランスで、ハンガリー、スロベキア、ラトビア、リトアニアで少量が生産された。日本は主なそば輸入国である。植物学的検知からすると、アマランス、キノア、ソバは双子葉植物であり、そこで穀物(単子葉植物)ではない、しかしそれらが穀物のようにデンプンーリッチ種子を生産するのでそれらを疑似穀物と呼ぶ。Plate 7.1 に3種の植物の開花状態を示した。ある系統分類によると、Amaranthus とChenopodium 属はともにCaryophyllates 目に入り、一方ソバ(Fagopyrum)はPolygonales目に入る。PolygonalesとCaryophyllalesは密接に関係あり、ともにCasryophyllidae のsubclass (亜網)である。しかしながらDrzewiecki et al.,
(2003) のデーターは、Polygonales とCaryophyllalesの間には顕著な遺伝的距離がある事を示し、最近Corinstein et al.,
(2005)によってはっきりさせられた。キノア、ソバ、アマランス(属として)は系統発生的には離れた分類群であると考えられ、Aphalo et
al., (2004) によると、しかし重合化した11Sアマランスグロブリン(グロブリンーP)はキノアグロブリンと交差反応性を示し、程度は低いがひまわり、米のグロブリンとはその程度が低かった。
アマランスは60種以上が世界中で知られる。今日用いられている主な穀粒のアマランス種は、Amaranthus
caudatus L. (syn. edulis Spegazzini), Amaranthus cruentus L. (syn. paniculatus L.)、およびAmatranthus hypochondriacusである。キノアの中では甘い、苦い品種があり、それはサポニン含量による(例えばもしサポニン含量が0.11%以下ならその品種は甘いものと考えられる)(Koziol,1991)。ソバには2種が一般に栽培されており、ふつうソバ(Fagopyrum esculentum)とダッタンソバ(Fagopyrum tataricum)である。
アマランスの種子はレンズ状の形状で約1mmの直径である。1000粒重はほんの0.5-1.4gである。キノア種子はアマランス種子より少し大きく、1000粒重はほぼ1.9-4.3gである。穀物に比べて内胚乳周辺はデンプン-リッチの組織(胚乳)で はリング状を作り、全種子重量中の約25%である。ソバの種子は3つのアングルの痩果、6-9mm長である。F.tataricumの果実はより小さく(4-5mm)、 そのかどはよりまるい。1000粒重(10-20g)で主に外皮の厚さによる。構造的、化学的に、内胚乳は穀物粒のそれによく似ていて、非デンプン性アリューロン層と殆ど内胚乳からなるデンプン粒のつまった大細胞からなる。
化学成分
表7.1にアマランス、キノア、ソバの化学成分をまとめた。
アマランス
炭水化物
デンプン
アマランスデンプンの分析値は穀物に比べて2つの大きな違いがある。はじめに、デンプンはアマランス中の主炭水化物であるが、しかし一般に穀物中より量は低い(表7.1見よ)。次にアマランスデンプンは内胚乳にはなく外胚乳中にあり、そこでは典型的な成分、デンプン粒は直径約50-90μmであり、アミロプラストの中で生成する。水に懸濁すると、1-3μmの小デンプン粒は凝集体から抽出される(Wilhelm et
al., 2002)。小粒のデンプン粒成分が典型的には殆どデンプンの材料である。粒子はクラスターとして表面を小さくするように集まり、そこで特徴的な物質として形成する。デンプンの特異的表面域は粒の直径が小さく成るに連れて顕著に増加する。Wilhelm
et al., (2002)は,アマランスの小デンプン粒表面に対して5.194m2/cm3の値を与えた。Hunjaj et al., (2004)は、A. cruentusからデンプンを分離した。SEM( 走査型電顕)を使ってデンプン粒は直径0.8-1.0μmの多角形である事を示した。
X-線解析パターンは、アマランスデンプンが典型的な"A"タイプの結晶性であることを示した(Paredes-Lopez et al., 1994; Qian and Kuhn,199A; Hunjai et al., 2004)。アマランスデンプンのアミロース含量は、他の穀物デンプンよりずっと低く0.1-11.1%といろいろな違いがある(Stone and Lorenz, 1984; Perez et al., 1993;Hunjai et al., 2004)。アミロペクチンは短鎖枝のグルカンからなるとわかり、平均分子量は11.8 x106g/molである(Praznik et al., 1999)。デンプン粒の小サイズは高アミロペクチン含量同様、殆どのアマランスデンプンの物理的性質を説明する。他の穀物と比較して、アマランスデンプンは特別の冷凍-解凍、および老化重要性(Baker and Rayas-Duarte, 1998; Wilhelm et al., 2002; Hunjai et al., 2004),
高糊化温度(Becker et al.,
1981), 粘度(Hunjaj et
al., 2004; Becker et al., 1981; 他),より高い水吸収能(Calzetta-Resio et
al., 2000;Hunjaj et al., 2004),
高水分活性能でのより高い吸収能(Paredes-Lopez et
al., 1989; Schoenlechner,1997; Ca;lzetta-Resio et al 1999), 高溶解性同様、高膨潤能と酵素感受性を示す(Singhal and Kulkarni,1990; Baker and
Rayas-Duarte,1998; Hunjai et al., 2004)。Hunjai et
al., (2004) は、異なったデンプン懸濁液を55-95℃で加熱する事でアマランスデンプンが一定の膨化力を持ち、75℃以上の温度では膨化力増加のないことを示すことが出来た。さらに溶解性は75℃以後変化しなかった。
抵抗デンプン
抵抗デンプン(RS)は、単に天然界にあるのみならず加工中にも形成される。食物繊維の様に RSはヒトの消化酵素に感受性がなく、結腸にまで達して細菌相で発酵する。RSは価値のある生理的効果を持ち、例えば血液脂質の低下、結腸ガンの危険性を低下したりする。RS含量は、用いた分析法と同様に、食品中に存在するデンプンの性質、粒のタイプ、アミロース/アミロペクチン比、デンプンの結晶性により決まる。食品加工条件はRS含量形成に影響する。Gonzalez et al., (2007) は、RS含量が0.65%と見出した。エクストルージョンクッキングと流動相加熱により、この含量は増加し、一方、調理とポッピングは低下する(Gamel et
al., 2005)。Lara and Ruales (2002)はポップしたアマランスでRS含量を求め、そこでは約0.5%であり、アマランスデンプンの利用効果は非常に大きい。Mikulikova and Kraic (2006)は、18のアマランス遺伝子型のRSを決めた(AACC methods 32-40によるRS3の酵素的測定)。広範の1.24±1.22%という値が種子で測定されたが、それはアマランス種のアミロース含量の広いバリエーションによって説明された。RS/全デンプンはアマランスで1.98%であった。RS4.5%以上含む作物は良質のものと考えられる。
低分子量炭水化物
単糖、二糖のみがアマランス中に少量見出される。Gamel et
al., (2006a)によると、A.
cruentus と A. caudatusの2種の全糖含量は、1.84から2.17g/100gの範囲であった。他の糖組成を考えると、ショ糖が主で0.58-0.75g/100gとわかった。他の糖の値はガラクトース+グルコース0.34-0.42g/100g、フラクトース0.12-0.17g/100g、マルトース0.24-0.28g/100g、ラフィノース0.39-0.48g/100g、スタキオース0.15-0.13g/100g、イノシトール0.02-0.04g/100gであった。値はこれまでの報告されたものに良く一致した(Becker et
al., 1981; Saunders and Becker, 1984)。
繊維
食物繊維、可溶性および不溶性は、ヒトの健康に有益な効果のあることが知られている。アマランスの繊維含量は他の穀物の範囲内にあり、そして違う種で大きなバラエテイがある。可溶性食物繊維の区分はA.
cruentus で19.5から27.5%、A. hypochondriacusで33.1-49.3%である(Bressani et al., 1990)。
タンパク質
擬似穀物の栄養価は主にそのタンパク質含量に結びつく。アマランスはソバやキノアよりタンパク質含量が高い。65%のタンパク質は胚と種皮に存在し、35%はデンプンリッチの内胚乳にある(Saunders and Becker, 1984)。タンパク質含量、アミノ酸パターンは遺伝子型と成長条件による。
貯蔵タンパク質
アルコール可溶プロラミンは、小麦、大麦等の穀物の大部分の貯蔵タンパク質を示すが、双子葉植物の貯蔵タンパク質の主体はグロブリンとアルブミンである(Gorinstein et al., 2002; Drzewiecki et
al., 2003)。Osborn分類によると、アマランスタンパク質の約40%はアルブミン、20%がグロブリン、25-30%グルテニン、僅か2-5%がプロラミンである(Segura -Nieto et al., 1994; Bucaro and Bressani, 2002; 他)。Gorinstein et al., (1999)は,より低い量のプロラミン様(アルコール可溶)タンパク質の約1.2-1.4%を見出し、より低いプロラミン(0.48-0.79%)はMuchova et al., (2000)により測定された。
Gorinstein et al., (1999)によると、アマランスのタンパク質の性質は米に似ているという。SEM およびSDS-PAGEを用いて、Gorinstein et al., (2004)はアマランスと大豆のタンパク質区分が非常に良く似ていることを見出した。プロラミンは穀物とは異なり、一方グルテリン区分は多少トウモロコシに類似している(Gorinstein et al., 2001,2004)。沈降係数によると2つの主な綱のグロブリンは違っていて;7Sと11Sグロブリンである。アマランスでは、類似の7S( コンアマランチン)と11S(アマランチン)貯蔵グロブリンが見出された(Marcone et
al., 1994; Martinez et al., 1997;
Marcone , 1999)。熱処理は水溶性タンパク質区分(アルブミン,グロブリン)、アルコール可溶区分(プロラミン)を低下した(Gamel et
al., 2005)。結論されることは、アマランスタンパク質は、他の双子葉植物、例えば豆の様なものに類似している種子タンパク質であり、大部分の穀物プロラミンとは関係ないということである。
アミノ酸
擬似穀物には高含量の必須アミノ酸成分があり素晴らしい。特にメチオニン、リジン、アルギニン、トリプトファン、S−含有アミノ酸が、他の穀物に比べて高レベルで見出される(Matuz et
al., 2000a; Gorinstein et al.,
2002)。アマランスでは、必須アミノ酸の総計はタンパク質100g中47.65gと報告されてる(Drzewiecki et al., 2003)。大豆と比較すると、より高濃度のグルタミン、グリシン,メチオニンがアマランスに顕著に見出され、一方、チロシン、システインおよび不可欠アミノ酸(例えばイソロイシン,ロイシン,フェニルアラニン)は顕著に大豆よりアマランスでは低い。アマランス、大豆ともに全卵タンパク質にくらべ、比較的あるいは高い量のアミノ酸である。Morales de Leon Josefina et al.,(2005)は、高含量S
含有アミノ酸を断言した(4.09-5.34g/16g N)。Correa
et al., (1986) はロイシンは制限アミノ酸であり、しかし制限アミノ酸に関する文献データーは制限されている。化学的スコアーを考えた時、幾人かの著者はロイシンがアマランスで制限アミノ酸であることを示した(Becker et
al., 1981; Saunders and Becker, 1984; Pederson et al., 1987; Abreu et al.,
1994; Escudero et al., 2004)、一方タンパク質効果比(PER)を考えた時,スレオニンは制限アミノ酸であることがわかった(Bressani et al., 1989)。ポッピングの後、アミノ酸チロシンの損失は最大であり、つづいてフェニルアラニン、メチオニンである(Gamel et
al., 2004)。化学スコアをベースとすると、ポップしたサンプル中ではリジンは制限アミノ酸であり、それはTovar et
al., (1989)により以前報告された様である。
栄養的品質
タンパク質品質は単にアミノ酸組成だけでなく、生化学的利用性あるいは活性化にもよる。タンパク質消化性は、リジンの利用、全タンパク質利用性(NPU)、あるいはPERは広くタンパク質の栄養的品質のインデケーターとして用いられる。この点で擬似穀物タンパク質の値は穀物と比べてずっと高く、それはカゼインに近い。Bejosano and Corke(1998)は,平均タンパク質消化率、生のアマランス全粒粉で74.2%を測定し、Guzman-Maldonado and Paredes-Lopez (1994)の発見をはっきりさせた。僅かに高い値がEscudero et al.,
(2004)とGamel et al.,
(2004)により81%, 80-86%とそれぞれで見つかった。タンパク質の消化率の増加は加熱で平均2.7% であった。これは炭水化物-タンパク質複合体の開化、あるいはトリプシンインヒビターあるいはポリフェノールの様な抗栄養ファクターの不活性化によって説明される(Bejosano and Corke 1998)。特に、高い関係がタンパク質消化性とポリフェノールの存在の間に見出され,一方ほんの弱いトリプシンインヒビターと関係ある事がわかった。Fadelp et
al., ( 1996)は、加熱処理はトリプシンインヒビターの活性を低下させ、アマランスの栄養価値を改良することを示した。
Correa et al., (1986) は、アマランスタンパク質で化学スコアを50-67と計算した。計算したPER( C-PER) の値は1.39から1.80の範囲であり、その生化学的値(BV)は52から68であった。類似の値が最近Escudero et al., (2004)により見い出された。Yanez et
al., (1994) はC-PER値がアマランスで1.94で、カゼインで2.77、小麦中で 1.64 に比較して求められた。全体タンパク質比(NPR)値は3.04-3.20の範囲であり、カゼイン中の4.08からNPRと比較された。
タンパク質消化性を考慮する時、正しいアミノ酸スコア(アミノ酸スコアxタンパク質消化性、PDCAAS)は、アマランス全ミール粉は小麦(0.40)あるいはオート(0.57)より高い値(0.64)で、一方PDCAASのNaカゼインは1.03である(Bejosano and Corke, 1998; Escudero et al., 2004)。
In vivoタンパク質消化性で、生とポップした種子間に違いはなく、しかしin vitro消化性は僅かにポップした種子の方が高かった。ポップする事はPER値を14-19%まで低化させ、多分必須アミノ酸のロスによるためである。ラットの餌用のアマランス、小麦、カゼイネートの取り込みでは、アマランスを用いた時、より高いことが判った。さらにラット餌アマランスによる成長は餌小麦よりも高く、餌カゼイネートの時と同じだった(Gamel et
al., 2004)。
アレルギーとセリアック病
今日まで2−3の研究がアマランスアレルギー、あるいはアマランスタンパク質のセリアック病をもつ人々の毒性研究が行われた。最近アマランスプロラミン区分へのアレルゲン反応に関する研究がMatuz et
al., ( 2000b) により行われた。小麦、大麦、ライ麦、トリテケール、オート麦と比べ、アマランスのプロラミン区分はラビットの抗グリアジン(小麦)抗体に対し全く反応しなかった。In
vivo及びin vitro 研究で、アマランスの一般的アレルギー反応が研究され,感受性ある患者に、アマランスは古典的タイプ1反応を引き起こした(Bossert and Wahl, 2000)。一方Hibi et al., ( 2003) はin vivoおよびin vitroでアマランス粒およびその抽出物は、抗原-特異的IgE生産物をTh 1 cytokine responses 増強を通じて制御する事を見出した。アマランス11Sグロブリン(アマランチン)を持つ遺伝的に修正されたトウモロコシは、in vitro 研究でアマランチンに対し重要なアレルゲン反応を示さない(Smagawa-Garcia et al., 2004)。結論すると、これまで集めた結果はアマランスはセリアック病をもつ患者には有毒ではないということを示す。
タンパク質の機能的性質
全ての擬似穀物タンパク質は高度の可溶性で、このため機能食品中に用いることが出来る(Segura-Niete et al 1999; Bejosano and Corke, 1999; Kovacs et al., 2001; Salcedo-Chavez et
al., 2002)。タンパク質濃縮物でアマランスからのものは、ずっと可溶性、起泡性、乳化性がよく、それは市販の2つの大豆タンパク質以上である(Bejosano and Corke,1999)。
最近わかった事はアマランスタンパク質分離物は、効果的な起泡剤として働く事である(Fidantsi and Doxastakis, 2001)。特にアマランスグロブリンには良好な機能特性がある(Serura-Nieto et al., 1999)。Marcone and Kakuda (1999) は、アマランスグロブリン分離物の機能的性質はずっと大豆分離物よりも良く、特にその電気ポイント(pH5-6)近傍においては、乳化活性同様により高い可溶性、熱安定性、起泡性、安定性を示す事を見出した。アマランスアルブミンの機能的性質はSilva-Sanchez et al., (2004)により研究された。最大の溶解値はpH6以上である。これらの値を卵アルブミンの溶解性の値と比較すると、pH5でアマランスアルブミンは特別の起泡能とアワ安定性を示し、それらは卵アルブミンの様な起泡剤として用いる事が暗示される。さらに水,オイル吸収能は最適値を酸性pHで示した。ファリノグラフ、アルベオグラフ研究は、1%アルブミン添加で小麦ドウの性質とパンクラム特徴の改良することを示した。
タンパク質と熱条件によりアマランスタンパク質はセルフサポーテングゲルを作る事ができ、それは異なったゲル状食品に応用できる(Avana et
al., 2005)。さらにScilingo et al., (2002)は、アマランスタンパク質分離物をパパインで加水分解すると、加熱後高い可溶性を保持し、その結果熱処理した食品中の適当な成分となる事を示した。ソルベント(borate=ホウ酸塩、あるいはNaOH)はグルテリン区分抽出に用いられるが、タンパク質の物性化学的性質に影響し(Abugoch et
al., 2003)、そして順に異なった機能的性質を示す。
酵素阻害剤
多くの食品用植物は一つ以上のプロテアーゼ阻害剤(例えば、キモトリプシンやトリプシンの阻害剤)は競争的にタンパク質分解酵素の活性を阻害する。プロテアーゼ阻害剤は、抗炎症性と同様に抗発ガン性、抗酸化性、血糖調節性がある。しかしながら加熱処理はその活性を低下する。他の穀物と比較すると、アマランスは非常にプロテアーゼ阻害剤のレベルが低い。Gamel et
al., (2006a) はトリプシンインヒビター活性(TIU)が3.05-4.34TIU/mgの範囲であり、キモトリプシンインヒビター活性(CIU)は0.21-0.26CIU/mg、アミラーゼインヒビター活性(AIU)は0.23-0.27AIU/mgの範囲である事を示した。トリプシン、アミラーゼ、特にキモトリプシンインヒビターは加熱処理あるいは発芽後には低下する。
脂質
アマランスの脂質含量は、他の穀物(表7.1)より約2-3倍高い、そして種間において高いばらつきある事も示された。アマランスの油含量は、75%以上が不飽和脂肪酸で特にリノレン酸35-55%と高い。パルミチン酸は20-23%, パルミトエ酸(palmitoeic acid)約16%、ステアリン酸3-4%, オレイン酸18-38%である(Ayorinde et al., 1989; Becker, 1994; Leon-Camacho et al., 2001; He et al., 2002;
Berganza et al., 2003; Escudero et al., 2004)。リノレニン酸 (Linolenic acid) は、Escudero
et al., (2004)によっては検知されず、一方Becker (1994)とLeon-Camacho et al., (2001)は1%の量を見出している。多変量統計手順を用いて、Leon-Camacho et
al., (2001) はアマランス脂肪酸のプロフィールが他の穀物、例えば小麦、大麦、コーン、ライ麦、オート麦あるいは米から得られるoilに類似している事を示した。
アマランスは高レベルのスクアレンを含み、それは高度に不飽和化したオープンチエインのトリテルペンであり、一般には唯一深海魚の肝臓や他の種類の肝臓にしか見出されない。スクワレンは広く医薬、化粧品への応用に用いられる。アマランス中の含量は2−8%の範囲である(Becker et
al., 1981; Lyon and Becker, 1987; Qureshi et al., 1996; Leon-Camacho et
al., 2001; He et al., 2002)、一方、他の植物オイル中にはずっと低い量である(例えばオリーブオイル0.1-0.5% あるいは小麦胚乳油0.1-7%)(
Trautwein et al., 1997)。Shin
et al ., (2004) は,アマランスのスクアレンはコレステロール低下効果を示し、コレステロール吸収と関連してステロイドの糞便除去増加によるためである。その効果は、サメ肝臓スクアレンのものより大きい。さらにアマランスオイルとアマランス粒は、トリグリセリド同様血清および肝コレステロールを低下し、これは以前の発見をはっきりさせた(Chaturvedi et al., 1993; Qureshi et al., 1996; Budin et al., 1996; Grajeta 1999; Gamel et al., 2004)。あるin vivo(生体)テストで、ラットをオートあるいはアマランスに1%コレステロール含む物で育てた(Czerwinski et al., 2004)。アマランスは血漿脂質プロフィールにポジテブに影響を与え、その効果は直接にアマランスサンプルの生化学的活性成分とさらに抗酸化活性と関係する。さらにKim et
al., (2006) はアマランス粒あるいはアマランスオイルが糖尿病ラットで顕著に血清グルコースをへらし、血清インシュリンレベルを増加したことを示した。対象としてBerger et
al., (2003)は、アマランスのフレークのコレステロール低下の性質のないことをハムスター給餌試験で示したが、しかしアマランス粒とオイルは抗血糖の修正,糖尿病合併症の防止に価値があるであろうと暗示された。
リン脂質はアマランスのオイル区分の約5%を示す(Becker, 1994)。これまでの研究でOpute
(1979)は、3.6%リン脂質をアマランスオイル中に見つけ,そのうちセファリン区分は13.3%、レシチン16.3%、フォスホイノシトール8.2%であった。アマランスオイル中、全ステロールは24.6 x 103 ppmであり(Leon-Camacho et al., 2001)、および殆ど全てのアマランスオイルのステロールはエステル化している。殆どの植物オイル中、遊離(非エステル化)ステロールのパーセンテージは普通ずっと高い。大部分のステロールの存在は、クレオステロール(clerosterol)(42%)でこれは抗バクテリア活性がある。高濃度のステロールは、アマランスオイルを薬理学用に有用の可能性あるものにする(Leon-Camacho et al., 2001)。
ミネラル
ミネラル(灰分)のアマランス中の含量は他の穀物より約2倍高い(表 7.1)。特に高いのはCa、Mg、Fe、K、Znの量である(Saunders and Becker, 1984; Pederson et al., 1987; Bressani 1994; Yanez et al., 1994; Gamel et al., 2006a)。Ca/リン比(Ca:P)は約1:1.5であるべきだが、良好にも1:1.9-2.7の値を示した(Bressani,1994)。
ビタミン
全体的にアマランスは重要なビタミン源ではない。Souci et
al., (2000)によるとアマランス中のチアミン含量は小麦より高く、以前の研究とは対象的である(Bressani,1994)。アマランスは、リボフラビン、ビタミンCの良い供給源で、特に葉酸とビタミンEの良い供給源である(Dodok et
al., 1994; Gamel et al., 2006a、他)。
葉酸は102μg/100gの量が見つかり,小麦(40μg/100g)の2.5倍高い(データーは未発表)。ビタミンEは抗酸化効果があり、オイルの安定性を増加する。Qureshi et
al., (1996)とBudin et
al., (1996)は、全トコフェロール含量が約45mg/kg種子と報告した。超臨界流体抽出を利用して、Bruni et
al., (2002)は全トコフェロール含量は100-129mg/kg種子と見出した。トコフェロールの中でα--tocopherolは重要な抗酸化活性を示すが、最も豊富で2.97-15.65mg/kg種子量(Lehmann et
al., 1994)、 あるいは248mg/kgオイル(Leon-Camacho et al., 2001)と見出された。β--トコフェロールはLehmann et
al., (1994)により見出されたがLeon-Camacho et al., (2001)により546mg/kgオイルの高濃度が見出された。トコトリエロールは、低コレステロール血症活性を持つ重要な成分である。矛盾の結果がアマランス中でのそれらの存在について報告された。Lehmann et
al., (1994)によるとアマランス粒はβ--トコトリエノール(5.02-11.47mg/kg 種子)とγ--トコトリエノール(0.95-8.69mg/kg種子)のはっきりした量がある一方、Budin et
al., (1996)とLeon-Camacho et al., (2001)はいかなるトコトリエールもアマランス中には検知しなかった。
植物化学
主要活性物質、例えばデンプン、脂質、あるいはタンパク質に比べて、植物化学は植物中にほんの僅か量しかない。植物化学は薬理学効果のある事が知られ、常にヒトの食べ物の一部となって来た。過去においては、植物育種者はこれらの物質を除去する事を目的とし、食品加工業者は、加工でそれらを除去しようとして来たが、それはヒト栄養(抗-栄養)にネガテブであると受け止められたからである。しかしながら最近の研究から、植物化学はヒト健康にとりポジテブの効果があることが示された。フェノール化合物は植物性食品中の天然抗酸化物質の大部分の源である。ビタミンおよび極小要素に関しては、有害な量、最適な量、不可欠な量、不足量がありそれらを決めねばならない。
全フェノール物質量
多くの研究者は、ポリフェノール物質をタンニン酸あるいはタンニンと表現している。タンニンは高等植物のポリフェノール化した植物二次代謝物であり、ガロイルエステル(galloyl etster)および誘導体であるか、あるいはプロアントシアニジンのオリゴマーおよびポリマーである。高濃度のものは穀物および豆類の皮に見出され、いろいろな栄養成分、あるいは消化酵素と複合体を形成して、それらは消化や吸収に対しネガテブに影響する。
茶色アマランス種子は、明るいものよりタンニンを多く含む(104-116mg/100g対80-120mg/100g)(
Bressani, 1994)。Becker et
al., (1981)は10種の異なるサンプルを調べ、80-420mg/100gの範囲を見出した。Breene(1991)は平均値40-120 mg/100gを得て,一方もっと高い値(410-520mg/100g)が
Bejosano and Corke (1998)によりいろいろなアマランスの品種で測定され、その際酸性化したメタノールを抽出溶媒として水メタノールの変わりに用いられた。
Gamel et al., (2006b)はフェノール物質を(タンニン酸として)測定し、アマランス中、酸性化したメタノールで抽出後、516-524mg/100gの範囲のものを得た。さらに熱処理あるいは発芽はフェノール物質の含量を減少させた。
アマランス種子中の全フェノール類は、フェルラ酸(アルカリ抽出フェノール物質)として示すが、Klimezak et al.,(2002)により測定された。種類により考慮すると、その値は39.17から56.22mg/100gの範囲と測定された。これらの値は、他の物質と比較された。遊離フェノール酸はAmaranthus caudatus中での全フェノール酸の27%であった。大部分の成分は珈琲酸(55.79μg/g種子)、p-hydroxybonzoic acid ( 20.89μg/g)
, フェルラ酸は( 18.41 μg/g) である。Protocatechuic acidとサリチル酸の低量も同様に測定された。アマランス不溶性繊維中と非デンプン多糖類中のフェルラ酸量はBunzel et
al., (2005)によって測定された。アルカリによる加水分解は62mg/100g トランスフェルラ酸 と高含量(20.3mg/100g)のシスフェルラ酸を外した。フェルロイル化オリゴ糖の3成分が同定され、フェルラ酸は大部分はアマランス不溶性繊維中のペクチンアラビナンとガラクタンに結合していることを示した。
Czerwinski et al., (2004) は、2種のアマランスサンプル中で全フェノール物質をgallic acid等量(Folin-Ciocalteu試薬)、アントシアニン
およびフラボノイド(分光光度法)として示し、オート麦のそれと比較した。アマランスサンプル中のポリフェノールの量は14.72から14.91mg/100g種子の範囲であり、アントシアニン のそれは59.6-62.5mg/100種子、フラボノイドのそれは13.4-14.3mg/100g種子であった。全体的にこれらの量はオートサンプルから得た物より低かった。
抗酸化活性
アマランスとオート抽出物の抗酸化活性は、β--carotene/linoleateモデル型と一酸化窒素(NO test)に対するスキャベンジング活性を用いてCzerwinski et al., (2004)により測定した。アマランス抽出物はオート麦抽出より低い抗酸化活性だった(23.2-26%β--カロテン、23-25%NO)。ベストの関係は全抗酸化活性と全フェノールの間に見出され、良好関係はまたアントシアンとフラボノイドで見られた。
最近アマランス種子抽出物の0.05%添加がβ--カロテン/リノレン酸モデルシステムでβ--カロテン分解を阻止するのに用いられた(Klimczak et al., 2002)。不運にもアマランス抽出物の濃度と成分の情報がない。Jung et
al., ( 2006) はいろいろな種子で、抗酸化力(抗酸化ユニットで示し、ビタミンC活性に相当する)をDPPH(1,1−diphenyl-2-picryl-hydrazil)アッセイに基づくESR分光法で求めたが、そこでは抗酸化能と抗酸化活性の両方が酸化防止剤を特徴づけるものとして用いられた。アマランス種子は、かなり低い抗酸化力27であり、一方キノア種子はより高い抗酸化力の458であった。酸化防止剤の低下プロセスの動力学的性質を含め,著者らはサンプル中の主な酸化防止剤に関する結論を引き出した。この方法によりビタミンCはキノア中の主な酸化防止剤として同定され、一方ポリフェノールはアマランス中での主な酸化防止剤として見出された。
サポニン
サポニンは強い苦みのある物質で、表面活性剤(surfactants)で、水溶液中で強い起泡活性を示す。それらはタンパク質、脂質(例えばコレステロール)と複合体を作り、溶血作用を示す。サポニンは唯一少量だが吸収され、そして主の効果は腸管で制限される。サポニンは亜鉛、鉄と複合体を作り、それらの生化学的利用性の制限する(Chauhan et al., 1992)。健康増進効果に関しては、サポニンは抗ガン性、抗バクテリア、コレステロール低下、免疫調節,同様に抗炎症性がある。
アマランス種子にはかなり低量だがサポニンを含む。Dobos(1992)は平均0.09%(エシン、aescin等量)をいろいろなアマランス種に含む事を見出し、これらの結果はOleszek et
al.,(1999)の研究によって確かめられた。アマランス種子中、あるいはそれら関連のものには、アマランス種子中サポニンの低濃度毒性が、アマランス由来の製品は消費者に重大な危険性をもたらすことはないと結論された。
フィチン酸
穀物と豆は特にフィチン酸が多い。フィチン酸は塩基性タンパク質残渣と複合体を作り酵素分解反応阻害を引き起こし、さらにミネラルの吸収を邪魔するが、特に亜鉛である。アマランスはフィチン酸塩を0.2-0.6%範囲で含む(Breene, 1991; Bressani,1994; Escudero et al., 2004; Gamel et al., 2006a)。最近、調理でフィチン酸塩含量を約20%まで低下し、ポッピングで15%まで、発芽(48時間)で22%まで低下し、これらのアプローチがアマランスのフィチン酸塩含量を低下できることが示された(Gamel et
al., 2006a)。
粉生産とその性質
アマランス種子のサイズが小さいためと、植物の特異性のため、特別の製粉方法が要求される。アマランスの全粒粉の生産は複雑ではないが、製造された粉区分が違った化学成分と物理性質を持つ様に成る時、特別の要求が粉砕と選別の時必要となる。さらに成分の違いに加えて、また品質に関する違いがある(例えば粉区分の粒子サイズの均一性)。そこで製粉と用いた製粉技術は、その結果出来た粉区分の品質を決める鍵の役割となる。幾つかの研究グループは、アマランスの全粒粉製粉に関する研究をしている(Becker et
al., 1981; Betschart et al.,
1981; Sanchez-Marroquin et al.,
1985a, 1985b, 1986)。対象として、非常に僅かな情報が粉区分生産にはある。幾つかの違った製粉(例えば金属ミルフェースをもつデスクミル、異なったハンマーミル、幾つかのピン構造を使ったピンミル)はBecker et
al., (1986)によりテストされ,しかし全ては種子を砕いて全粒粉を作るだけである。石ミルの変更(直径の石のスピンドルスピード(主軸速度)を3600rpmに増やし、製粉ストーンの間の距離を減らした)は、胚とふすまから無傷の胚乳を分離した。
ある研究者はタンパク質リッチあるいはデンプンリッチ粉区分の生産のために"Strong-Scott barley pearler" を採用した(Betschart et al., 1981;
Sanchez-Marroquin et al.,1985a,1985b,1986)。種子膜と胚芽は完全に分離され、球状の生のデンプン-リッチ胚が残った。ふすま区分は種子重量の約25-26%で、穀物同様に胚乳より栄養素を含む。窒素、粗脂肪、食物繊維、灰分は、2.3-2.6倍全粒種子よりも高いとわかった;さらにビタミン類は2.4-3.0倍高い(Betschart et al.,1981)。異なった製粉と分画装置(ピンミルとジグザグ篩、パイロットローラーミル、バリオテクニカルローラーミル、テクニカルスケールローラーミルのプラン篩とのコンビネーション)はいろいろな粉区分を得るために研究された(Nanka,1998; Schoenlechner, 2001)。最上の結果がテクニカルスケールローラーミルをプラン篩と組み合わせて使うことで得られ、得られた5区分はタンパク質リッチとデンプンリッチ区分に分けられた。興味深いのは、中間区分のデンプン含量は粉区分より高く、アマランス種子の植物的構造の違いの結果であった。デンプンリッチ粉と中間区分はタンパク質-リッチのセモリナ区分よりも高い糊化粘度を示した。
Gamel et al., ( 2005, 2006a, 2006b
)は、ラボラトリースケールで種子から115-mesh篩を通して高タンパク質アマランス粉(HPF)を製粉し、次の操作条件でその粉をジグザグ篩を用いて空気分級した:温度23℃、フィルター圧2 mbar、遠心分離8000 x g、空気流通80m3/hの条件。HPF回収とタンパク質含量はともに25g/100gであった。デンプン含量は30-36g/100gであった。吸気分級は35%以上までミネラル含量を増加し、それはビタミンB複合体、フェノール物質とフィチン酸塩と同様レベルであり、一方酵素阻害剤は低下した。さらに冷パスタ粘度とピーク粘度の増加は、アワ安定性とともにHPFで測定された。
Tosi et
al.,(2001, 2002)は,異なったアマランス粉区分を作るために異なった製粉方法を応用した。パイロット製粉で,調製されたアマランス種子は製粉され,つづいて古いニューマッチック分離器(空気圧分離)で分けた。タンパク質リッチ区分40%タンパク質を含む物が得られた。デンプンリッチセモリナと繊維リッチ区分は、さらに空気圧分離で改良され,出来たものは63.9%不溶性繊維と6.9%可溶性繊維が得られた(Tosi
et al., 2001)。小麦粉4-12%をタンパク質リッチ区分で置換した時、パン品質は変化しなかった。明らかにパン中でタンパク質含量と利用できるリジン含量は、タンパク質リッチ区分の存在で増加した(Tosi et al., 2002)。デンプンリッチ区分はエクストルージョンクッキングと流動床加熱で修正され、広範囲の水和とレオロジー性質をもつα--化アマランス粉の生産ができる。流動床加熱により加熱されたサンプルから得られた粉は、調理した時に高粘度をもつ水分散性を示した。それらは低水可溶性で、デンプン結晶構造の多少を保持する。エクストルージョンクッキングで得られた粉は高水可溶性を示し、調理したときにより低い粘性を持ち、さらに完全な結晶性と粒構造の除去を示した(Gonzalez et al., 2007)。